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8月29日 四国山地でクマたちの餌場再生活動 2022年度後期編

絶滅阻止に向け

~四国のツキノワグマに餌場を復元してやろう~

 

8月29日(月)、熊森本部職員の水見と羽田が高知県香美市のくまもりトラスト地を訪れました。

いろいろと専門家にも相談に乗ってもらいましたが、残念ながら地理的に、この場所からの材の伐り出しは、どんな手を使っても不可能なことがわかりました。材は大きく育っているのに、切り捨てるしかないのです。なんとも無駄な人工林で終わってしまいました。

こんな場所が全国各地にあります。

日本熊森協会は四国のクマ生息地にクマの餌場を再生するために、四国で買い取った山の人工林の伐採に2019年から取り組んでいます。今回は5回目の伐採作業でした。

 

今回、林業を営むyamaken株式会社の社員2名に伐採作業をお願いし、水見と羽田は伐採箇所の決定と前回までの作業地の見回りを行いました。例年は、11月や3月に伐採作業を行っていましたが、今年からは温度湿度が高くなる夏に木を伐ることにしました。伐倒した木を早く腐らせて、土に返しやすくするためです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

伐採箇所にピンクテープで目印をつけます

 

この場所ではすでに計7か所2haの小面積皆伐を行っています。山を上から見ると、人工林の緑の中に四角形の伐採跡がぽつぽつと見える形になります。それに加えて、今回から斜面を横方向へライン状に伐採する列状間伐も試すことになりました。斜面にも光を入れて、植生を回復させるのが狙いです。どんな伐採方法がいいかは、場所によって違ってきます。様子を見ながら、その土地に合わせて柔軟に対応しています。

 

放置人工林のスギ・ヒノキは枝が張っていて、伐倒の際に枝が引っ掛かり、大変危険でした。加えて夏の暑さが襲ってくるので、作業はとても過酷を極めました。

 

 

放置人工林を伐採して3年でシカ除け網内に緑が!

 

真っ暗で茶色一色だった放置人工林に太陽光が一部入って3年。伐採地ではシカ除け網内に緑の植生回復が見られるようになってきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

シカよけ網内

 

2019年に伐採をして翌年に広葉樹を植樹した場所では、クヌギやシバグリといった苗木が順調に生育していました。シカから苗木を守るために張り巡らせたシカよけ網が効果を発揮したようです。また鳥由来でしょう、クマイチゴやクロモジ、ヌルデといった木本植物も見られました。植物が育ってきたことで、僅かながら昆虫も戻ってきました。マルハナバチ、バッタ、トンボ、センチコガネなどが活発に動き回っていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

植樹したシバグリの成長(左)と、自然に生えてきたシカの食べないタケニグサの繁茂(右)

 

 

ここは森再生を困難にする3つの要素である①多いシカ、②急斜面、③豪雪のうち、②③がありません。ほんの少しずつですが、兵庫県で天然林化に取り組んでいる①②③がそろった山より早く、元の山に戻っていくかもしれません。今後が楽しみです。

yamaken株式会社の若い作業員の方が、この山のスギを全部伐り終わるころ、自分たちは年取っているだろうなと笑っておられました。人工林を天然林に戻す。本当に大変なことです。今回も、本当にありがとうございました!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

赤線内が熊森トラスト地でほぼすべて人工林

オレンジ部分はすでに伐採済み、黄色部分は今後伐採予定

地図は上が北 衛星画像は2021年4月

 

 

 

国は、熊森を見習って、林業不向き場所の人工林から、国を挙げて天然林に戻していってほしいです。

 

今後も会員・ボランティアの皆様や地元の方々のお力をお借りして、一日でも早くクマの餌場を作ってあげられるようにがんばっていきます!

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