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鳥取県のクマが生息する山でドングリ運び

クマに厳しい鳥取・兵庫

鳥取県・兵庫県は、クマを守ろうとがんばっている京都府・滋賀県・岡山県などと違って、クマがどんどん増えているとして、今年から、有害捕獲→原則殺処分に方向転換し、足並みをそろえて、クマに厳しい対応を進めています。(以前、兵庫県は、「全国一のクマ保護先進県」として、全国に名をはせた時期がありました。担当部署が変わると、すっかり対応が変わってしまいました。他生物にも優しい文明が一番優れているというのに、残念です。)10月初めの聞き取りでは、今年、両県とも15頭ものクマを有害捕殺し、誤捕獲グマは、兵庫が24頭、鳥取が14頭で、これについては両県共、全頭放獣したということです。

 

熊森と見解が正反対

各地の奥山のクマ生息地を長年歩き続けている熊森は、これらの県の見解と正反対の見解をとっています。森の劣化が急速に進み、動植物の姿が消えて、クマの痕跡も見られなくなってきていることにより、本来の生息地でクマたちが棲めなくなり、人間のいる所にクマたちがしかたなく出てきているとみています。目撃数が増えたと言っても、ドーナツ現象に過ぎないので、喜ばしいことではありません。絶滅に向かう一過程であるという見方をとっています。

 

生息場所の公表を

これらの県は、クマたちに付けられた発信機やGPSにより、クマたちが本来の生息地に棲んでいると主張されますが、詳しいデータを公表して頂けないので確かめようがありません。知り得たデータを、公表して頂きたいです。

 

鳥取県のクマが殺されないように、ドングリ運び

鳥取のクマたちが、食料を求めて人里に下りて行って殺されるのを、なんとか防ぎたい。11月18日、地元の方の呼びかけで、鳥取県支部と本部は、鳥取県で今年最後のドングリ運びをしました。この日、山の林道は24センチの積雪だったそうですが、除雪車が出て道路の雪を除雪して下さっていました。ありがたかったです。

鳥取というと人工林率54%。人工林だらけというイメージがありますが、今回行った所は、さすが、クマが残っているだけあって、広葉樹の自然林もそれなりに残っており、紅葉がとても美しかったです。

 

地元の方に、クマの通り道や子育ての場所などを対岸から見せていただき、詳しい説明も受けました。とても楽しかったのですが、人間がこんなに奥地の、クマたちの最後の国にまで踏み込んで、道路を造っていることに、不安を感じました。こういう開発が、誰にも見つからずにそっと暮らしてきたクマたちを追い詰めて、絶滅に追いやっていくのではないかと思います。クマの棲む山の中を縦横に走る立派な道路を、今更、つぶすのも大変ですが、森を残し森の生き物たちと共存するには、人間が一歩も二歩も下がるべき時だと思います。

 

ドングリの入った重い段ボールを抱えて、急な山道を下ります。心してやらないと、両手がふさがっている為、危険です。

 

 

 

 

 

 クマの通りそうなところにドングリを運んで、里に出て来ないようにします。

 

地元から参加した一人は、「クマたちが殺されるのがかわいそうで、ずっと守ってやりたいと思ってきたが、地元ではそういう声は出しづらく、つらい思いをしてきた。こうやって、よそから守ろうという人たちがやってきて、いっしょにクマを守る話ができるのが、とてもうれしい」と、喜ばれていました。

 

 

 

 

 

 

イノシシ用くくり罠にクマが誤捕獲される

しかし、この日、こんな奥地のきれいに色づいた広葉樹林の中にかけられたイノシシ捕獲用くくりわなに、クマが誤って掛かりました。今年17頭目の誤捕獲グマだそうです。(左は捕獲された山のイメージ写真です。こんな感じの所で、くくり罠にかかっていました)

 

環境省は、クマが掛からないように、シカやイノシシ用のくくり罠の直径を有害捕獲であっても、狩猟であっても、12センチ以下にするように指導しています。しかし、鳥取県は、これを規制緩和して、14~15センチまで広げて良いことにしているそうです。そのため、クマ(4~5歳メス)の左手のひらにくくり罠が食い込んでいたそうです。兵庫県は、クマのいそうなところにくくり罠をかけないように指導して下さっていますが、鳥取県では、市町村に任せており、地元ではそういう指導はしていないそうです。

 

こんな動物の最後の生息地に、シカやイノシシであっても罠をかけるのはおかしいと思いました。ここで、罠をかけて殺されるなら、シカやイノシシだって、どこにいたらいいのかわからなくなります。しかし、今回の罠は有害駆除ではなく、猟期の狩猟として捕獲なので、生息地のど真ん中に罠をかけても合法なのだそうです。

 

鳥取県はクマの狩猟が禁止されていますから、誤捕獲グマは放獣しなければなりません。その場で、短時間麻酔をかけ、罠を外してすぐに放獣してやってくれたらいいのですが、研究者や放獣業者は、いろいろとクマの体を調べたり、耳にタグを付けたり、発信器を付けたりしますから、1時間以上にもわたる長時間麻酔をかけます。このような放獣作業は、他の所で、一部始終を見て、ビデオに撮ったこともありますが、本当に残酷です。クマが弱り切ってしまいます。クマは耳を大切にしており、遠くの音を聞くときは、耳をパンパンと何度もはたいて、耳の毛をそろえると言われています。タグや発信器を付けられたら、かれらは本当に困ってしまいます。業者には県から放獣費が出ますが、相場は1頭に付き20万円です。

 

人間は他生物の体に何をしても許されるという発想は、普通の人のものではありません。他生物の体を物としてしか見れなくなっている多くの野生動物保護管理派学者たちの発想です。

このような人間としての倫理観の喪失は、彼らの為にも許していてはならないと思います。「あなたの来世は、野生動物かもしれませんよ。そういうことを人間にされていいのですか。」私たちの祖先が、子供たちが自然や生き物を大切にし、思いやりのある人間に育つために使った民族の知恵であるこのことばを、今、ワイルドライフマネジメント派の学者たちに送りたいです。相手の身になって相手を思いやることが出来るかどうかは、人間生活を送る上でも大切な資質です。

 

ドングリ運びを終えてから、どうしたら鳥取や兵庫のクマが守れるか、みんなで長時間話し合いました。この日、猟友会の方が、鳥取の山には、クマもイノシシも、もうほとんどいないと言われていたそうです。動物だけ見ていては自然保護は出来ません。山をどうしていくか考えよう。今のままの動物が棲めなくなった山ではだめだ。熱い語らいが続きます。

 

志を同じくする者がいる。ほんとうに、出会えてうれしいです。大切にしていきたいなかまが、この日また、増えました。

 

 

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