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1月22日、熊森調査研究部員ら、雨、みぞれ、吹雪の中、腰まで雪に埋まって、クマが撃ち殺されたスキー場の現場へ弔いに行く

県事務所を出たわたしたちは、クマが殺された現場へ弔いに行くことにしました。雨、みぞれ、吹雪と次々と天候が変わりだすとても寒い日でした。

 

スキー場近くまで来て、周辺の山を見渡してみました。ほとんどがスギの人工林です。いったんスギの人工林にされてから、今度はそこにスキー場開発がかけられたもようです。もう山が、頂上から下まで全面的に人間の好きなようにしたい放題にいじくりまわされたという感じでした。これだけスキー場があるのに、また来月、新たにここにスキー場がオープンするそうです。もう、山への敬意や尊厳はゼロという感じでした。「蹂躪された山」という言葉が浮かんできて、思わず鉢伏山に、両手を合わせてしまいました。

 

鉢伏山・・・氷ノ山後山那岐山国定公園に属し、標高1221mで兵庫50山のひとつ。ハチ・ハチ北として親しまれており、スキー、パラグライダー、キャンプ、登山などのアウトドアスポーツが楽しめる。ハチ北にスキー場が出来たのは昭和43年。

 

リフトに乗って射殺現場へ。まわりのスギの人工林は手入れもされず、風雪害に極めて弱い状態で、動物のエサになるものは皆無でした。

どうしてこんなところに、クマがやってきたのか疑問でした。

上の写真の大きな岩(赤丸のところ)の前まで、クマは移動し、そこで射殺されたそうです。

この日、このあたりは雪が深くて腰までうまってしまい、移動が大変でしたが、がんばって岩の所まで行きました。クマは撃たれた後、ここから転げ落ちたそうです。岩の前まで行って手を合わせていると、突然泣きたくなってきました。撃たれるのを知ったクマが、怖くなって少しでも何かに守られたくて、大きくて頑丈そうな岩の所まで移動したのではないかと思えてきたのです。

 

頂上が1200メートルを超えている山です。もともとこのあたりはクマたち野生動物たちの国だったはずです。現地に行ってみて、人間が全部土地を奪ってしまったんだなあということが良く分かりました。そして、何かの間違いで、クマが紛れ込んでしまったら、人間の所に出て来たとして、クマが撃ち殺されて終わるのです。

 

スキー場を造るにしても、標高800m以下にするとか、山の一斜面だけにするとか、国定公園なのですから、何らかの規制をかけようという声は起きなかったのでしょうか。このような無制限の開発を許していたら、野生動物たちと共存する文化など、とても育たないと思います。今からでも遅くない。熊森をもっともっと大きくして、人間のことしか考えないこんな世の中を変えていきたいと思いました。

 

そうすることは動物のためでもありますが、人間が今後もこの地球上で生き残るための必須条件でもあるのです。

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