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4月11日、獣害ゼロを達成した集落を訪問

行政主催の会議の席で、ある農業関係者から、獣害ゼロを達成した集落があるから、ぜひ、視察に行くようにと教えていただきました。

 

この集落は、左右を山に囲まれた谷間にあり、水田面積23ヘクタール。全75戸。80%が農家です。放置された田畑が多く見られる地方にあって、この集落には、そのような田畑がありません。農家が元気だったころの昔の風景が続いています。そのわけは、集落で法人化した営農組合が、耕作できなくなった人の田畑を代わりに手掛けていくからです。畦には野草がいっぱいに生えており、可憐な花を咲かせていました。子ども時代の田園風景を思い出して、懐かしくなりました。

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この集落では、以前は、動物など出なかったのに、平成になってからイノシシが出始め、4~5年前からは、シカが爆発増加。シカ被害に悲鳴を上げるようになったということでした。国県市からの補助金1300万円をいただき、1戸あたり1万数千円の負担金を全戸が出して、集落を徹底的に、2m30cmの金網の柵で囲いました。地元リーダーの方に公民館でお話を聞いてから、現地を見せていただきました。

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金網は1メートルが4500円です。3メートルの支柱を打ち込んで、金網が倒れないようにしっかりと支えています。よく見ると、金網の上段と下段は強度が違います。下は、イノシシの侵入を防げるように、特別丈夫になっています。上は、シカの侵入を防げるように高くしてあります。

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山の中も徹底的に、頑丈で高い柵が張り巡らされています。

 

問題は川です。川から上がって来るシカもいるのです。川の周りも、シカが上がってきそうなところは徹底して金網柵が張られています。

どれも、プロのすばらしい仕事です。今でも、川の中で遊んでいるシカがたまにいるそうですが、川にいる限りは、害がないので放置しているということでした。

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このような思い切ったことが出来たのは、リーダーがいたからで、リーダー中心に集落が一致団結して、獣害被害に当たったからということでした。柵を作った当初は、シカたちが金網柵の外でキーキー鳴いていたそうですが、そのうち諦めて移動していったということです。この集落は出入口の1か所以外は全て金網柵で囲まれています。今でもたまに1頭ほど、シカが迷い込んでくることがありますが、問題ないということでした。柵のメンテナンスが今後、ずっと必要になります。全戸が今も力を合わせて取り組んでいるということです。

 

熊森として聞きたかったのは、拡大造林前の山に、このような動物たちがいたかどうかです。リーダーの方たちは、昔、若い頃、スギの植林のために、よく山へ入ったが、大型動物なんか見なかったと証言されていました。林業が振るわないので、山にはもう人は入っていません。川の水位はここでもかなり下がってきているようです。田畑はこれで守れるから良いとして、山に放置された人工林を間伐して、動物が棲める豊かな森を取り戻しませんかと熊森が提案しましたが、スギを植えた者として思いもあるからということで、地元としては乗り気ではないようでした。

 

地元リーダーの方々には、お時間を取ってもらい、いろいろとお話を聞かせていただき、お世話になりました。ありがとうございます。熊森は、山を何とかしたいと思っておられる集落を探して歩きます。

 

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