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鉛弾を浴びて駆除されたシカの死体を食べる野生鳥獣たち・・・わたしたちは鉛中毒を心配する

都道府県によっては、シカの捕殺数が、最近、膨大な数となっています。ちなみに、兵庫県の平成22年度のシカ捕殺数(狩猟+有害駆除)は、約3万6千頭です。

 

シカはふつう30メートルぐらい離れたところから、ライフル銃か散弾銃で撃つそうです。(割合は半々ということです)

 

山に放置されたシカの死体をよく見かけるようになってきたため、シカの死体をどう処理しているのか、いくつかの県に尋ねてみました。埋設処理という指導が口頭でなされていても、実際は、シカを埋めるような大きな穴を山中で掘ることは難しく、ある県の猟友会関係者にきくと、例外以外は山中に全て放置しているということでした。焼却場に持って行くと、焼却代を1頭あたり2千円取られるので、持って行く人はまずいないだろう。ジビエ料理と言っても、鉛弾で撃っているため、鉛が体内で溶けだしている恐れがあり、人間の食用にするのは難しい。せいぜい、金属探知機で鉛弾を取り除いて、ペットフードに一部を加工している程度ということでした。

 

現実問題として、放置されたシカの死体を、クマをはじめとする野生鳥獣が食べている例があります。ここで心配される大きな問題は、鉛弾を誤って肉と共に胃の中に取り入れることによる、野生鳥獣の鉛中毒の恐れです。海外では、鉛が自然界に広がらないように、もう20年以上も前に、鉛弾が使用禁止になり、鋼鉄弾に変えた国がいくつもあります。しかし、日本では、北海道以外は、いまだに昔ながらに鉛弾が使用されています。ある猟友会員に尋ねると、鉛弾用の銃で鋼鉄玉を使用すると銃がいたむので、弾の鉄への転換は難しいと言われました。

 

ライフル銃の弾は親指ぐらいの大きさなので、野生鳥獣が飲み込むことは少ないと思いますが、散弾銃の弾は直径5ミリなどと小さいので、シカ肉と一緒に体内に入れてしまうことが考えられます。実際、クマの糞を調べている人が、糞を水洗いすると、鉛の散弾銃の弾が出て来たと言われていました。強烈な胃酸で溶かされた鉛が、いったん体内に拡散すると、もう元に戻せません。一番現実的な解決案は、散弾銃の鉛弾の使用禁止でしょうか。

 

国も都道府県も、まだどこも真剣に考えてくれていませんが、熊森は野生鳥獣に鉛中毒が広がらないかとても心配しています。大変な問題が起きてからでは遅い。未然に防いでこそ、大人と言えます。

 

 

 

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