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勉強になりました 岩波ブックレットNO.888 守られなかった奇跡の山―高尾山から公共事業を問う―

熊森本部には、顧問の先生方や全国の会員のみなさんらから、読み切れないほどの多くの本や資料が送られてきます。おかげで、本部にいると大変勉強になります。

 

最近、東京都会員から送られてきた高尾山の自然をまもる会編の「守られなかった奇跡の山」も、そのうちのひとつですが、まさしく、大変、勉強になりました。自然保護活動家をめざすみなさんの必読書になるだろうと思われました。まだの方は、ぜひ、お読みください。

 

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高尾山は、東京都八王子市の西部にある、標高約600メートル面積770ヘクタールの低くて小さな山ですが、植物の種類だけでも1321種という、生き物の宝庫でした。

今は、残念ながら、もう昔の自然豊かな山ではなく、行政にずたずたにされて、どこにでもある行楽地になってしまったそうです。2012年3月、国定公園高尾山のどてっぱらに、直径10メートルの巨大な2本の穴、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)のトンネルがあけられてしまったからです。

 

 

自然保護に関心のある者なら、1984年から始まった、市民たちの、「高尾山に圏央道を通すな」という、すさまじい反対運動や裁判のことを、何度か耳にされたことがあると思います。

30年間にわたる行政との戦いによって、市民側のリーダーは、身も心もずたずたになって次々と倒れていったそうです。

日本環境法律家連盟の弁護士さんたちや心あるマスコミが応援してくださったのですが、相手は国交省です。高尾山問題は、国会で審議されることもなく、閣議決定だけで工事が決定されました。

反対運動に人生を使い切った人たちの無念さはいかばかりかと、胸が痛みます。しかし、この本に登場する人達には、後悔や愚痴がありません。それどころか、厳しかったが楽しかったと述懐されています。運動を通して、目を見張る人間成長があったことに気づかれています。

無関心を決め込んで逃げていた人と、最後まで高尾山を守ろうと戦った人とでは、どちらの人生が充実したものになったか、明白です。あなたは一度しかない人生を、どちらの使い方で終えたいですか。

 

 

この本は、最後に、なぜ、市民には、自然破壊でしかない公共事業を止められないのかの考察があります。ここがすばらしいのですが、その答えは、各自本を買ってお読みください。

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