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富山県の奥山調査 ナラ枯れのひどさに絶句、クマの痕跡を見つけられず

4月29日、くまもり本部調査研究部は、地元の方に案内を頼んで、念願であった「富山のクマの巣」と言われてきた奥山の調査に富山県会員らと入りました。

 

写真の奥にそびえる残雪が少し残った山々が、今回の調査対象の山です。

手前に見えるのは、奥の森から流れ出てくる水をせき止めた水力発電用ダムです。

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山の近くまでやってきました。雪解け水も入っているのでしょうが、川の水量の多さに驚きます。透明で、本当にきれいな水です。

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案内人によると、ここから奥は、タテヤマスギ、ミズナラ、ブナなどの巨木からなる原生林だそうです。もしタテヤマスギを伐り出せたら、大変なお金になるが、道がないため、伐っても運び出す方法がないので無理と言われていました。

 

このあたりの山に入るチャンスは、4月下旬から5月上旬だけだそうです。それ以降になると、下草がびっしりと生い茂って山に分け入れなくなるということです。さらに、夏になると、オロロという大きなアブの一種が猛威を振るい人を襲うため、地元の者も怖くて山に入れないということでした。

 

すばらしい原生林に感動しつつ、カメラをズームアップしてみてびっくりしました。 ミズナラが総枯れです。クマを支えているのは数年に1回しか豊作にならないブナではなく、豊凶はあるもののそれなりに実るミズナラなのです。そのミズナラが失われた山に、クマが生存しているのだろうか。心配になってきました。この日、クマの生存痕跡は全く見つけられませんでした。

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白く箒のように見えるのは、枯死したミズナラ

 

翌30日、丸1日かけて森の奥まで入っていきました。

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広大な富山の奥山

 

1頭のカモシカを見かけましたが、それ以外の哺乳類を見つけることはできませんでした。クマの生息痕跡であるクマ棚、爪痕、糞を探して歩きましたが、残念ながらどこまで行っても見つけられませんでした。この辺りは雪が深いため、シカはいません。シカがいない山なら、今もクマがいるだろうと思ってやってきたのですが、古い爪痕すら見つけられませんでした。一体これはどう考えればいいのでしょうか。

 

地元の方は、去年は、山からクマが出てこなかったと言われていました。クマは山にいるのか、もういないのか、連休が明けたら、役場に電話して役場の方の見解も聞いてみようと思います。

 

帰宅してから、グーグルアースでこのあたりの山々を最大限にクローズアップしてみると、白骨化したミズナラがまるで幽霊のように、緑の木々の間から次々と浮かび上がってきました。ミズナラが総枯れしていることがわかります。

 

2007年に来た時は、山が枯れたミズナラの葉で赤くなっていたので、クマが大量出没して大量駆除された2006年にミズナラの総枯れという異常事態が起きたのだろうと推察されます。奥山水源域の山で、とんでもないことが起きているのに、気づいている人は研究者でもまだほとんどいないと思います。行政も、クマについて述べる時、生息地の異変については一切言及しません。

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