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京都府平成27年度クマ捕殺数・クマ誤捕獲数 西日本で突出最多 問題視した熊森が、京都府庁へ 

ツキノワグマは、西日本全域で絶滅の恐れがある種と指定され、どこも保護体制に入っている。そんな中、平成27年度の京都府のクマ捕殺数は41頭、誤捕獲数は80頭という西日本で突出最多だ。

 

H27年クマ捕殺数(近畿・中国・四国)水見

 

これを問題視した熊森本部と京都府支部は、1月28日に京都府庁を訪れ、京都府が出しているクマ保護対策はすばらしいのに、どうしてこのような大量捕殺、大量誤捕獲が起きたのか、森林保全課の係官から聞き取った。<京都府ツキノワグマ>平成14年(2002年)より狩猟禁止。

 

「京都府第一種特定鳥獣保護計画第3期―ツキノワグマ―」(平成27年~29年)より、以下を抜粋

 

・丹後個体群(推定生息数700頭)・・・危急地域個体群ナラ類が集団枯損可能な場所から広葉樹への樹種転換を図るなど、クマの生息環境に配慮した森づくりを進める。防除の徹底と被害対策を進め、加害個体を管理(=捕殺)。

 

・丹波個体群(推定生息数200頭)・・・絶滅危惧地域個体群ナラ類が集団枯損森林所有者の協力のもとに、人工林の強度間伐による下層植生の回復、針広混交林化や堅果類の広葉樹植栽。基本的には防除対策を優先し、加害個体を管理(=捕殺)。

 

・誤捕獲の防止・・・原則としてクマの生息地では、イノシシやシカ捕獲用の「くくり罠」の使用を避ける。繰り返し、クマの誤捕獲を起こす者には、捕獲許可の更新中止を検討する。

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京都府のクマ対応について森林保全課の係官に質問する熊森本部・京都府支部

 

わかったこと

★京都府が公表していたクマ保護対策は、「誤捕獲グマは放獣する」こと以外、実際の場ではほとんど実施されていなかった。(!)

野生動物たちは哀れなことに、何をされても、ものが言えない。訴えることができない。共存を達成するには、鳥獣被害を受けて苦しんでいる地元の人達のことを思うのは当然だが、同時に、動物たちの声も代弁できる民間自然保護団体が、絶えず行政事業をチェックしていく必要がある。

 

・クマ有害捕殺はX振興局管内に集中

有害捕殺されたクマは、京都府内に4つある府庁出先機関としての振興局(山城、南丹、中丹、丹後)の内、あるひとつのX振興局管内に集中していた。(41頭中40頭)。果樹や柿に来たことが捕殺理由となっているが、同じ集落で6回も捕殺されているなど、防除を徹底させたのか疑わしい。

 

・クマ誤捕獲はX振興局管内のA市に集中

誤捕獲80件(箱罠20件、くくりわな58件、麻酔銃 2)のうち、約7割にあたる55件はX振興局内で起きており、うち48件は同局内のA市で集中的に起きていた。しかも、多い集落では10回も誤捕獲を繰り返しており、誤捕獲防止対策がとられた形跡はない。しかも、京都府は、クマの誤捕獲を避けるための環境省によるシカ・イノシシ用くくり罠直径12センチ以下規制を、近畿地方で唯一、規制緩和していた。 これでは、クマの足が罠にズボッと丸ごと入ってしまい、誤捕獲が頻発するのは当然。京都府には、なんとしても他県と足並みをそろえ、環境省12センチ規制を守ってもらいたい。

 

・広葉樹林化事業は中止

京都府では、平成14年~18年に、森林所有者の協力のもと、広葉樹を植栽する「いのちと環境の森づくり事業」を約30haで実施したが、現在、広葉樹林化事業はどれも中止。理由は、植えても、シカが食べてしまうので、苗木が全く育たないからとのことだった。

 

くまもりから

どんなにすばらしいツキノワグマ保護計画を作っても、その部署を担当する人間によって、実行されるかされないかが決まる。すべて、その部署を担当する人次第なのだ。

京都府本庁の担当者は、現場には1回も行ったことがないと言う。

くまもりは、現場を担当している人に会わねばならない。現地を調査し、その後、X振興局とA市の双方の担当者に会いに行くことにした。(つづく)

 

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