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環境省特定鳥獣保護・管理計画(クマ類編)ガイドライン に対する熊森の主な見解 その1

これからパブリックコメントを書かれる方のご参考にして頂ければ幸いです。

特定鳥獣保護・管理計画(クマ類編)

 

特定について

・野生鳥獣は、①豊かな自然環境の中で、②多種多様な無数の生物たちと網の目のように繫がりあって、絶妙のバランスの上に生存している。生態系まるごと見ていくことが大切であり、特定の鳥獣だけを取り出して問題を解決して行くことは不可能である。自然がどういうものかわかっていない。特定という言葉を外すべきである。

管理について

・「管理」という行政言葉は、銃や罠で殺して、野生鳥獣の生息数を人間の都合がいいようにコントロールする(=下げる)ことをさす。保護にしろ管理にしろ、人間が野生鳥獣の生息数をコントロールすることなど不可能であることを知るべきである。自然がどういうものかわかっていない。

「クマ類との共存計画」と表題を変えるべきである。

 

(1)クマ類の生息状況

p2-14 分布の拡大 → 分布域の最前線が人間の生活圏に近づいても、兵庫県のように、山に棲めなくなり、集落周辺に分布域を移動させてドーナツ化現象が起こしていることも考えられる。分布が拡大したと決めつけるべきではない。布の拡大または移動が考えられるとすべき。

p2-19四国のツキノワグマは、近年では10数頭しか確認されておらず、近未来、絶滅の危険性が極めて高い。→このように言われてから久しい。高知県と徳島県に任せておくだけでは、全く改善の兆しがみられないので、環境省が国家プロジェクトとして高知県や徳島県と共に絶滅回避に取り組むべき。

 

(2)捕獲動向

P4-2 狩猟獣→手負いのクマを生んでおり、人身事故の原因となっている。見直すべき。

P4-10 数年に一度の発生 → 2004年2006年2010年の3回あっただけで、数年に一度と決めつけられない。

 

(3)被害状況

1)農林業被害

P7-9森林被害 →事実誤認。クマは森造りの名人であり、森に被害を与えることは一切しない。具体的な中身を書くべき。スギの皮はぎを指すのなら、森林被害ではなく林業被害。クマは昔はスギの木の皮の片方しか剥がなかったので、スギを枯らすことはなかった。最近は全周の皮を剥いで、放置人工林のスギを間伐状態に枯らしている。これは放置人工林の荒廃を見かねたクマによる森造りのための無料間伐であり、林業的には被害かもしれないが、森林被害ではない。林業被害には被害防除対策が必要であり、現在も多額の補助金が使われている。広大な単一造林を生んだ森林政策の見直しが必要である。

 

3.ガイドライン改訂にあたっての課題

(1)ガイドライン改訂の背景

p10-7近年のクマ類の生息動向の変化やクマ類を取り巻く自然環境の変化、人間の社会状況の変化に伴い、

→ 最大の問題点は、クマ生息地に造り過ぎた人工林であり、明記すべきである。また、近年のクマ類の生息動向の変化・クマ類を取り巻く自然環境の変化・人間の社会状況の変化を並列に並べるのは間違っている。植え過ぎた人工林や、クマ類を取り巻く自然環境の変化・人間の社会状況の変化があって、クマ類の生息動向の変化が生じているのである。よってこの部分は、それぞれの中身も具体的に入れて、「植え過ぎた人工林や、近年のナラ枯れ、ブナのシイナ率の高まり、下層植生の消滅などクマ類を取り巻く自然環境の変化、過疎化・高齢化による地元の被害防除力の低下など人間の社会状況の変化に伴い、クマ類の生息動向の変化がみられるようになり」と、原因と結果が人々にはっきりわかるように書きなおすべきである。

 

誤捕獲グマ問題

p10-37錯誤捕獲の増加が懸念 → シカ・イノシシの多い所では、シカ・イノシシ用の捕獲罠が無制限数掛けられるようになり、箱罠の中の米糠の発酵臭にクマが誘引されたり、環境省の直径12センチ規制を緩和した直径20センチのくくり罠にクマの足がかかるなど、クマの誤捕獲数は、府県によっては恐るべき数に上っている。また、環境省の誤捕獲グマ放獣はまっとうな指針であるが、県によっては指針を無視して大量に殺処分しているところもあり、誤捕獲グマ問題は、クマ保全への脅威である。環境省は早急に実態を調査して、問題県が誤捕獲が起きない対策をとり、誤捕獲された場合は放獣するよう指導に乗り出すべきである。

 

1種2種問題

p11-8~12第1種保護、第2種管理の選択が必要→同一都道府県内でも場所によって生息状況はかなり違う。1種2種の二者択一的な分類は、四国のツキノワグマのようによほど極端な事態にならない限り、判定できない。自然界は個体群でとらえるべきで、人間が線引きした都道府県の行政ラインではとらえられない。また、著しく増加、著しく減少という表現も基準が曖昧で、原因を考えず生息数の変化だけ見て保護対象か管理(=捕殺)対象か判断してはならない。著しく増加したわけでもなく、著しく減少したわけでもないというところがほとんどなのに1種2種を選択せよというのは、あまりにも現実とかけ離れ過ぎている。それどころか、1種2種と決めつけてしまうことで思考停止が生まれ、今回の秋田県のように、うちはクマは第2種で管理対象だからどんどん捕殺すればいいのだとでもいう安易な捕殺推進体制を生む恐れがある。自然がどういうものかわかっていない。今後、1種2種の分類はやめるべきである。

 

 

 

 

 

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