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第17回くまもり全国大会 盛会に終了 「会員であることを改めて誇りに思いました」と参加者
- 2014-05-02 (金)
- 企画・イベント
以下、ダイジェスト版です。詳しくは会報などでお伝えします。
4月27日、兵庫県尼崎市JR尼崎駅前のホテルホップインアミングにて、第17回くまもり全国大会が持たれました。
オープニングは、兵庫県会員の素敵な歌声から始まりました。
イエスタディワンスモア、愛の賛歌・・・聞きほれました。
基調講演は、17年間くまもりの旗を力強く振リ続けてきた森山会長です。
シカによる農業被害は昔からあったが、現在、日本人が直面しているシカによる森林破壊問題は、日本民族が初めて直面する大問題であり、解決法は誰にもわからない。原因は全て近代に人間が行った自然破壊、生態系破壊であると考えられる。
環境省が、私たち人間がしてきたことを棚に上げて、シカの大量補殺のみに税金を使おうとしていることは、人間として倫理上問題であるばかりでなく、生態系に更なる混乱を引き起こすことになる。せめて、奥山の人工林を広葉樹林に戻すなどの生息地復元にも取り組むべきであると訴えました。
また、国民に対しては、ユダヤ人哲学者のアンナ・ハーレントやアメリカの公民権運動のキング牧師、倫理研究所の丸山敏秋理事長らのことばを借りて、自分の頭で考えることから逃げた平凡な人たちが、結果として悪に加担することになることを指摘。生き物を大事に思い共存してきた日本文化が、今、国によって消されようとしている。このような文明の西洋化の先にあるのは、豊かな自然を失うことによる日本文明の崩壊である。国民は、国や人類の問題から逃げずに、各自が自分の頭で考えるようにしようと訴えました。
この後、顧問、来賓、企業会員、団体会員らの紹介と、代表者によるすばらしいメッセージが続きました。別の機会に、お伝えしたいと思います。
特別ゲストとして出席して下さった、元秋田県八幡平熊牧場の経営者である長崎貞之進氏から、熊森会員へのお礼の言葉がありました。
とつとつと語る長崎氏
長崎氏は、その中で、「自分の監督不行きとどきのせいで、2名の死者まで出る大変な事故を起こしてしまい、これはもう命で償うしかないと思っていた時に、森山先生が来て下さった。そして、私に、≪長崎さん、死んだらだめですよ。私は逃げませんから。クマ達に新しい飼い主を見つけることを、一緒にやりとげましょう≫と、おっしゃってくださった。それを聞いて、私は、≪私も逃げない≫と決意したのです。そして、みなさん方の多大な寄付金が集り、今日の私とクマがあります。」と、お礼のあいさつをされました。
この後、本部や支部からさまざまな活動報告があり、和田副会長が終わりの挨拶をし、福岡県南里支部長の一本締めで、全国大会を終えました。
参加して下さった方々から、感想がいくつか届いています。
・様々な活動報告を聞いて、熊森はすごい自然保護活動を実践していると改めて実感しました。ささやかではありますが、この会の活動を自分も支えているのだと思うと、会員であることが本当に誇らしく思えました。
・長崎さんの話を聞いたとき、もうこれだけでも、全国大会に参加して良かったと、心から感動しました。熊森の全国大会は、いつも感動です。
・私たちが、八幡平のクマたちだけでなく、長崎さんという人間も救っていたことがわかり、熊森は、動物も人も救うということがよくわかりました。
全国大会の後は、お楽しみの懇親会です。
懇親会で、オープニングを飾って下さったのは、愛知県会員によるアフリカのたいこです。とても力強くて、くまもり会員は勇気を出せと、何度も何度も励まされた感じがしました。
3月16日 宮澤正義顧問による本部くまもり講演会
「共に暮らしてわかった、クマの本当の姿」という演題で、熊森第一顧問の宮澤正義先生の講演会を本部で持ちました。これまで、いくつもの支部で、宮澤先生の講演会を開催してきましたが、なんと、本部では今回が初めてなのです。会場いっぱい、約100名の方がご参加くださいました。
講演の開始を待つ参加者のみなさん
今年87歳のかくしゃくとされた宮澤先生が登場すると、参加者から思わず大きな拍手が起きました。
講演中の宮澤先生
先生の頭の中には、様々な数字が資料としてびっしり詰め込まれており、参加者のみなさんは、先生の記憶力に、まず驚かれました。
次に、小さいころからずっと自然を見続けてこられた先生が解き明かす自然生態系の中の様々な生きものたちのつながりにも、圧倒されました。自然から離れて、都市に住んでいると、このようなつながりま、まったくわからなくなっています。今回の講演で、どうして人間が、生物の多様性を大事にして全ての生き物を守らなければならないのか、よくわかりました。
後半、共に暮らしてわかったクマの本当の姿の話が始まると、参加者のみなさんのお顔が一斉に輝き始めました。もっともっと聞きたかったと、多くの方がアンケートに書かれていました。体験した知識ほど、人々の心に響くものはありません。
夕食後、懇親会を持ちました。
宮澤先生は、「全国どこにでも長時間講演に行くよ」と、言われていました。先生がお元気でいらっしゃることを嬉しく思うと共に、先生と比べれば何十歳も若いわたしたちこそ、もっとがんばれるのではないかと、先生から元気をいただきました。
先生のお話は、ブログではとても紹介しきれません。いずれ、文章にまとめたいと思っています。
滋賀県支部第10回総会と画家ウィリアムズ氏による記念講演
3月2日、歴史を感じさせるすてきな建造物である大津市旧公会堂で、熊森滋賀県支部第10回総会と記念講演会がありました。滋賀県支部は、京都府支部に続く、熊森の第2号支部です。
滋賀県支部は、この10年間、村上支部長を中心にスタッフ一同が心を一つにして、熊森活動に励んでこられました。10年間変わらず、しかも、休むことなく活動し続けてこられた。これだけでも、みなさんが本気で本物であることがわかります。
村上支部長は、本業であるフルタイムのハードな仕事を持ちながらの熊森無償活動で、その大変さは、やったものにしかわからないと思います。この日、熊森滋賀スタッフのみなさんが、輝いておられるように感じました。
森山会長から村上支部長に花束贈呈。10年間の感謝とねぎらいのことばがありました。
去年度滋賀県支部は、琵琶湖西部トチノキ巨木群を伐採業者から守り、立木トラストすることに成功されました。今、滋賀県内における次なる大規模奥山トラストをめざして、動いてくださっています。
立木トラストに成功した、朽木のトチノキの巨木群展示写真
今回は、10周年を記念して、ブライアン・ウィリアムズ氏が講演をしてくださいました。有名な画家であるウィリアムズ氏が、地球の環境問題について、こんなにも勉強されていたのかと知って驚かされました。まるで専門家です。
ウィリアムズ氏は、ペルー生まれのアメリカ人で、世界一周写生旅行の途中に日本に立ち寄り、日本の風土や人情に魅了されて、大津市伊香立に定住してしまわれたのだそうです。家の窓から見える景色が、即、絵にしたくなる美しさだということでした。その感性の鋭さゆえに、人類が今のような生き方を続けるなら、地球温暖化問題をはじめ、近い将来、滅びざるを得ないことが見えておられるようでした。熊森同様、大変な危機感を持っておられました。
講演中のウィリアムズ氏
舞台には、曲面に描かれた巨木の絵がありました。魅了されて眺めていたら、ウィリアムズ氏が、私が描いた絵ですと言われました。一瞬、「えっ」と思いましたが、ウィリアムズ氏は、地球環境問題の研究者ではなく、本業は画家だということを思い出しました。ウィリアムズ氏は立体キャンバスに絵を描く画家としても有名なのだそうです。3次元の世界は、平面ではなく立体キャンパスに描いた方がいいという発想にも、驚かされました。
私が描いた絵ですと教えてくださったウィリアムズ氏
最後に、ウィリアムズ氏が、「自然保護を語っている人が多いが、よく聞くと、ほとんどが自然保護ではなく、人間保護。」と、苦言を呈しておられました。全く同感です。
この日、ウィリアムズ氏は、日本熊森協会の会員になってくださいました。それもこれも、滋賀県支部のみなさんのおかげです。
ウィリアムズ氏の講演を聞かせていただいて、ここまで日本の自然を守りたいと本気で思っておられる人は、めったにおられないだろうと思いました。その本気の人が、日本人ではなくアメリカ人というのは、なんか不思議でした。
山梨県甲府市でのくま森ジョイント講演会
報告が遅くなってしまいましたが、今年の1月25日、山梨県支部主催「くまもり講演会」に行ってきました。
静岡駅からJR身延線に乗って甲府駅に向かう長い道中、ずっと車窓から外の景色を見ていました。
この沿線沿いには、人家がほとんどありません。日本にもまだこんなところがあったのかと、うれしく思いました。
山梨県の人口は85万人。県庁所在地甲府市の人口は、わずか19万人です。しかし、人工林率は46%の高さです。
車窓から見える山梨県の川の水は、何かあったのかと思うほど、どこも少なかったです。
列車が進むにつれて、富士山が、車窓の右に見えたり、左に見えたり、後ろに見えたり、前に見えたり・・・思いもかけない方向から次々と目まぐるしく目に飛び込んで来ます。
一体、線路がどのような向きに敷かれているのか不思議に思いましたが、地図を忘れたのでわかりませんでした。
世界遺産富士山を堪能できる、ぜいたくな旅でした。
甲府に着いてから、講演会場の山梨県立文学館へと急ぎました。
人々が講演会に集まってくださるのかどうか、心配でした。
というのは、2011年の東北大震災・福島原発事故以降、世の人々の関心がそちらに移ってしまい、また、最近は、人々に無力感、脱力感が広がっているのでしょうか、以前と比べて、自然保護関連の集会への参加者がぐんと落ちているのです。
しかし、うれしいことに、今回、会場いっぱい80名の方々が集まってくださいました。自然と集まってくださったわけではありません。支部長以下、山梨県支部の皆さんが、本気になって人々に声掛けをして集めてくださった結果です。みなさん、本当によくがんばられました。本部や他の支部も、負けておれません。
<挨拶する、くまもり山梨 坂名井支部長>
最初の講演は、水ジャーナリストの橋本淳司先生。山梨県というと、リニアモーターカー。地下水の問題について、工事現場に出向き、現地取材によって集められた豊富なデータをもとに、わかりやすく説明して下さいました。さすが、大変説得力がありました。
次の、 くま森会長講演では、より良い社会をめざして、おとなになってからも絶えずみんなで集って勉強し、議論しようという呼びかけがなされました。利権のない一人一人が自分の頭で考え判断する市民社会を作っていかなければ、自然は守れない。社会が狂っていくのは、政府が悪いからではない。国民のレベル以上の政府は持てないなどとという、熱い語りがなされました。
会長は、「クマなんかおって、何かええことあるんか」と、人に食ってかかられて傷ついた会員を思いやって、そういう時には、負けずに、「あなたは、人類を滅ぼす人間中心主義という恐ろしい思想におかされていますよ。この地球は人間だけのものではありません。すべての生き物たちのものです。いていいか悪いかという前に、すべての生き物たちにいる権利があります」と返してから、クマが奥山水源の森を守ってきたことなど、クマがいて良かったことを説明していくようにとアドバイスしました。
参加者のみなさんは真剣に最後まで聞き入って下さり、帰られる時、「この講演会に来て、本当によかったです。勇気が湧いてきました」などという心からの喜びの声を、たくさんくださいました。
新入会員も誕生しました。講演会は大成功だったと思います。
山梨県支部スタッフの皆さん、参加して下さった皆さん、本当にありがとうございました。
参加者の中に、明日、リニアモーターカーの公述会があるから、ぜひ参加して欲しいと声をかけてくださった方がいて、次の日、会場に向かうことになりました。
動く度に、いろいろな人と人とのつながりが生まれ、人生がますます充実していく楽しさ、喜びを感じました。
西宮市のライオンズクラブの設立記念例会で、森山会長が講演 11月17日
西宮市のライオンズクラブの設立記念総会で、森山会長が40分間の記念講演をさせていただきました。講演会場の入り口には、熊森による、滋賀県朽木のトチノキ巨木群立木トラスト成功を報じた先月末の新聞記事のコピーが、たくさん置かれていました。材木商を営むあるライオンズクラブの会員の方が、この熊森活動に感動して、新聞記事をたくさんコピーして配布しようと発案してくださったのだそうです。
初めて熊森の話を聞かれた方々は、森や動物のことなど何も知らなかったと驚いておられました。中には、「すでに熊森会員ですよ」と声をかけてくださる方も2~3名おられました。熊森もライオンズクラブも、ボランティア団体という点では共通項があります。
この会の会長さんのご趣味は、渓流釣りだそうです。昔、ヤマメを釣って、おなかの中をわったら、セミがいっぱい出て来たと教えてくださいました。渓流魚は、死んで谷川に落ちてきた虫を餌にして食べているそうです。山が、スギやヒノキばかりになってからというもの、昔雨が降っても濁ることのなかった川なのに、今はすぐ濁るし水量も激減、山に虫がいなくなって餌不足となり、渓流魚もすごく減ったと嘆いておられました。
今度、熊森と一緒に奥山に入って、渓流魚や渓流の環境についていろいろ教えてくださることになりました。楽しみです。釣りに入られる山は、どこも熊の生息地だそうですが、40年間やっているが足跡を見るばかりで、実際のクマには会ったことがないと言われていました。人間に会わないように、そっと身を隠している森の中のクマたちの姿が見えてきそうなお話でした。
西宮市に、こんな素晴らしい活動をしている団体の本部があったなんて知らなかった。みんなで応援していこうと言ってくださる方もおられました。嬉しい限りです。
細かいところまで気配りされた楽しい例会に参加させていただき、とても勉強になると同時に、豊かなひと時を過ごさせていただきました。会長さんはじめ、関係者の皆様に心からお礼申し上げます。
11月5日 門崎顧問による札幌でのヒグマに関する講演のお知らせ
1938年(昭和13年) 帯広市生
先ず、熊について、包括的にお話しする。熊類とは、どう言う動物を言うのか。その形態(身体のつくり)と生態(生活状態)の 特徴。熊類の起源。日本の熊の由来について。それから、北海道の羆の生息域と生息数の変遷。北海道の羆の生態について。羆による北海道での人身事故の実態 について。羆に遭遇しないための対応と遭遇した場合の対処法。羆から見た札幌圏の自然。札幌の市街地に羆が出て来る理由とその対策について。 羆の棲む北海道の自然との積極的な係わり方について。私が北海道で「人と羆は共存すべきだとする理由」。最後に、アイヌと羆について、アイヌ民族が「イオマンテ、イオマンデ、(熊祭り、熊送り)」を行った理由について私の考えを述べる。
山形の月山ブナ原生林とクロちゃん見学ツアーに参加して
参加者レポート/2013.6.15~6.16
【山形の月山ブナ原生林とクロちゃん見学ツアーに参加して】
周り一面サクランボ畑が広がる山形空港で、旅行社の斉藤さんとクマのクロちゃんのお父さん(飼い主)の佐藤さんのお出迎えを受けた後、山形駅で他のメンバーと合流。勝手に少しレトロな山形駅を想像していましたが、綺麗な新しい駅ですぐ横には高層ビルがにょきりと立っていて、遠く東北まで来たという感じがしなくてちょっとがっかり。
一行は、まずは月山山麓の県立自然博物園を目指しました。夏スキーで有名な月山には、たくさんの雪が残っていて雪解け水の激しい流れに驚いていると、山から下りてくるたくさんの人とすれ違いました。聞けば山菜取りの人が行方不明になって警察も出て捜索中とのこと、地元の人も迷うほど山が深いということでしょうか。
その後、歴史を感じるお蕎麦屋さんで美味しいお昼を楽しむうちに参加者も自己紹介などもしながら和やかな雰囲気に。
佐藤さんの自宅に近いブナ林では、ドームのようになったブナの木々を下から見上げると厳かなような何とも言えない気持ちになり、目を地面に移すとそこにはブナの赤ちゃんが一面に広がっていました。佐藤さんいわく「こんなに多くあるけど来年まで育つのは一本もないだろう」とのことで、木々が一人前に育つことの大変さに想いをはせました。
今夜の宿の田麦荘に荷物を置いて、いよいよクロちゃんに会いに、佐藤さんのお宅を訪問。
クロちゃんは、佐藤さんが飼育しているツキノワグマで、佐藤さんがかつて猟師だった頃、母熊を殺されて孤児になった小熊を見つけ、保護することにしたのだそうです。
佐藤さんはクロちゃんを保護した時、「熊はすぐに大きくなるので個人で飼うのは無理だと言われ、引き取り先を探していたのが、ある時クロちゃんが迷子になり、探す私の声を聞いて嬉しそうに駆けてくるのを見たとき自分で飼うことを決めた」とおっしゃっていました。
「それから20年以上いろいろ苦労したけれど、先日私が一週間入院した時にクロちゃんはその間餌も食べず排泄もしなかったと息子から聞いて、私はクロちゃんより先には死ねないと思った」と言われたのが印象的でした。
今では日本全国からクロちゃんに会いに人が訪れます。「来られた人が泊まれるように新しい宿泊所を建てたので、熊森協会からももっと多くの人に来てもらいたい」とのことでした。
クロちゃんのオリの中はとてもきれいに掃除されていて、大事にされているのがわかりました。
野生のクマの寿命は12,3年ということで、それからすると20歳を越えるクロちゃんはかなり高齢なのですが、体のツヤも良くとてもそんな年齢とは思えませんでした。
一時間ほどお話を伺った後、宿で頂いた夕食は山菜と日本海のお魚、それとクロちゃんファンクラブの会長でもある宿の女将さんから差し入れていただいた地酒も美味しく、皆、とても満足でした。
佐藤さんは、食事の間もそのあとの二次会でも会員からの質問に丁寧に答えてくださり、お話からはクロちゃんへの思いが伝わってきました。
翌日も佐藤さんがガイドしてくださり、午前中は羽黒山観光を楽しんだあと、山形駅で解散。それぞれ帰途につきました。
佐藤さん、本当にお世話になりました。またクロちゃんに会いに、田麦俣に行きたいです。(池田)
6月23日 岡山県支部総会
岡山県支部総会は、JR岡山駅のすぐ近くにある、会員が管理されている建物で持たれました。岡山県支部の例会は毎月ここで夜7時から持たれているのだそうです。便利だし広いし、本当に恵まれていると思いました。希望者には、おいしいお弁当が安く買えるようにもなっているのだそうです。仕事帰りに寄ってくださるといいですね。岡山県支部は、これから組織化を進めていかねばならない、まだこれからの支部だということです。
森山会長の記念講演は、「初めての自然保護」という題で、町内に残された自然を守ろうと住民みんなで立ち上がり、隣町のすばらしい町内会長さんの指導で、初めて無茶な開発を止めることに成功した約30年前の体験談でした。一般国民は無力なようだが、正論で数が多いということは、実はすごい力を発揮します。声をあげる。集まる。力を合わせる。これがいかに大きな力になっていくか、集まられた方々に会長は熱く語り続けました。みなさん、笑い、集中し、食い入るように聞いておられました。
第2部は、岡山県支部の里山整備を通した実践活動が報告されました。自然から離れて暮らしている子供たちを、どんどん里山整備活動に呼び込んで、すばらしい環境教育をされていました。
会員の中には、人工林でびっしり埋まった地域の山を3.7ヘクタールも個人で買い、9割間伐を施して自然林に戻しつつある方がいました。こんな会員がおられたのか。感激でした。
また若い男性や女性のボランティアグループが、土日に奥地に通い、地元の方々と仲良くなって、地元の方々の山をきらめき(皮むき)間伐したり、チェンソー間伐したりさせてもらっている事例が、2例も発表されました。何とか間伐を広め、下草の生える山に戻そうと、汗を流している若者たちに悲壮感はなく、大上段に構えず、とにかくみんなで楽しもうという感じで仲間を集めることに成功しているようでした。若い人たちに拍手。
先週の福岡県支部で出会った人たちに続き、岡山県支部で出会った人たちもまた、未来への責任感で集まり、語り、動こうとしているすばらしい大人たちでした。お互いが出会うことで、こんなに真剣に、未来のこと、地球のこと、生き物たちのことを考えて生きておられる方たちがいたとわかっただけでも、元気をいただき、勇気が湧いてきました。孤立しておられるくまもり会員のみなさんが、まだまだ全国にたくさんおられます。どうか、勇気を出して、集会に出てきていただきたいと願っています。また、各地域のリーダーのみなさんは、集まってくださった方々が大きな元気を得て帰れるような楽しくてためになる集会企画を、がんばって作り上げてください。
6月16日 北九州市での会長講演会
福岡県支部は、当協会の支部の中でも大きな支部で、皮むき間伐などの活動も盛んです。福岡県支部には、事務所もあるし、アルバイトスタッフも1名います。
戸畑駅前の会場には、大勢の方が来てくださいました。半分は、初めて参加された方々でした。福岡県支部はこれまで、何度も会長講演を企画してくださってきましたが、3・11以降は途切れていました。
収束のめどが立たない福島原発、放射線量が高くて入れなくなっている関東以北の山々、自然保護運動に取り組んできた人たちには、これからもうどうしていけばいいのかという閉そく感もあります。
そんな中、元気の出る話をということで、持たれた講演会でした。会長は、何とかみんなを励まそうと、元気の出る話を一生懸命探して話しました。みなさん最後まで一生懸命聞いてくださいました。
後半は、顧問の平野虎丸さんとの対談です。
今、日本の山は、戦後、人がスギやヒノキを密に植えたまま放置したことによって、木が多過ぎて大変なことになっています。
なぜ大雨が降ると九州の山が崩れ出すようになったのか、なぜ<植えない森づくり>がいいのか、代々林業家の家に生まれ、ご自身も数十年にわたって山にかかわってこられた平野さんのお話は、最高の説得力を持っています。
人間が手を入れ続けないといい山にならないと思い込んでいた人たちが、目からうろこでしたと驚いておられました。
<大雨でも崩れにくい山=生物の多様性が保たれた山=保水力抜群の豊かな山>を取り戻すためには、国にお願いするだけではなく、市民が声を上げ動き出さねばならないということで、二人の話が一致しました。官のできないことは民の手で、民のできないことは官の手で。
講演会後の懇親会には、予想外に多くの方々がご出席してくださり、座席、飲み物、お菓子などが大幅に足りなくなるという嬉しい悲鳴でした。いろんな方が、お話くださいましたが、どなたのお話も、胸を打つもので、本当に元気をもらえました。ここには一生懸命生きておられる方たちが集まってくださっている。自分さえよければいいのではなく、未来に責任を持って生きたいと思っている人たちが集まってくださっていると感じました。なんと素晴らしい仲間たちなんだろう。良き友を得て、信頼できる仲間たちと共に人生を送れたなら、人生に100%成功したことになるという言葉を思い出しました。
確かに、元気が出ない今日の日本ではありますが、心ある人たちが集い、民主主義国家を形成する国民のひとりとして、この国、世界、この地球にどう向き合っていくのか語り、信念に基づいて行動するときなのだと思いました。他生物のために、次世代のために、地球環境保全のために。
準備してくださったみなさん、音楽やゲームで場を盛り上げてくださったみなさん、参加してくださったみなさん、本当にありがとうございました。
この後、会長講演は、6月岡山県、7月東京都、8月熊本県、10月広島県、千葉県、11月栃木県、来年1月愛知県、山梨県と予定されています。みなさんの地域でも、ぜひ、熊森会長講演会をご企画ください。今後は副会長も講演していきます。
5月25日 愛知県でのパネルディスカッション~水源の森と私たちの生活~ 蔵治光一郎東京大学準教授・森山まり子熊森会長
高齢の方が多かったのですが、地域の森や水源を考える講演会とパネルディスカッションに、多くの市民が参加されていました。
主催された市民団体の日頃のご活躍と、精力的に各地で講演を続けられている今をときめく蔵治先生のお力です。
(写真左から、神谷先生、蔵治先生、森山会長)
現 在、愛知県瀬戸市北部にある東大演習林(1292ヘクタール)に勤務されている蔵治先生は、かつて焼き物に使う燃料のまきとして木々が乱伐され、土壌はや せ、花崗岩の層がむき出しになっていた瀬戸の山々が、(かつて愛知県は三大禿山県の一つだったのだそうです)今日のように木々に覆われ土壌が回復するまで になった詳細な経過データや貴重な写真を次々と提示され、山と水の関係をお話しされました。
自分たちの故郷である山々の興味深いお話に、参加者のみなさんたちは食い入るように聞き入っておられました。
次に、森山会長は、森林という日本語がまぎらわしいので、今後は森≠林として、森と林を使い分けて日本の山を論じるべきだという持論から入り、
戦後の拡大造林で針葉樹の苗木を植え過ぎた結果、日本の山の今一番大きな問題は、人工林の山の木が多過ぎて超過密になって内部が大荒廃していることであると、指摘。
国 が動くのを待っているのではなく、チェンソー、のこぎり、皮むき…あらゆる方法で、市民の力で、子供たちの力で、早急に7割の強度間伐を人工林に施さないと、表土流出や山崩 れなど、これからますます取り返しのつかない事態を招くこと。皆伐や間伐を進めて、みんなで、未来のために、他生物のために、動物のすめる水源の森を再生 しようと、熊森活動の最近映像を使って提案しました。
現在
スギ・ヒノキが密生して大弊害をもたらしている放置人工林(全国人工林1000万ヘクタールのうち、8割が過密により荒廃)
↓
熊森の提唱する国土利用(ゾーニング)
ご 存命中、ずっと熊森を応援してくださった東大林学科名誉教授の高橋延清先生は、戦後の拡大造林政策に勇気をもって反対された数少ない研究者のおひとりで あったと、蔵治先生が教えてくださいました。
今の熊森もそうですが、みんながどっと一つの間違った方向に進もうとしているときに、そっちは滅びの道だと声 を上げることは大変な勇気とエネルギーがいります。
高橋先生も、どんなに大変な思いをされたことだろうかと思いました。
大変であっても、どんなに揶揄されても、気づいた者が声を 上げねばならないのです。
同じく東大の先生である蔵治先生にお会いして、以前、高橋先生が初期の熊森に教えてくださったこと、
●クマがいないと日本の山は森にならない。
●林業は択伐林業以外は山を荒らす。
●本当の自然の勉強は、現地でないとできない。大学の部屋にこもっていては絶対にできない。
等々を、思い出しました。
蔵治先生はまだ40代で、研究者としてはお若いし、多くの市民を巻き込んでみんなでどっぷりと山の中に入られ、日本の山をどうしていけばいいか、市民とともに考えるという姿勢を貫かれています。これらの点を素晴らしいと思いました。今後のご活躍を期待します。
今この国に必要とされているのは、一人でも多くの国民が、日本の山の荒廃問題に関心を持って山に目を向けることであるという点で、蔵治先生と熊森の意見が一致しました。会を企画くださった皆さん、参加してくださった皆さん、本当にありがとうございました。