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カテゴリー「_奥山保全再生」の記事一覧
石川県 金沢市・白山市で室谷会長が講演
森林環境税についてもお話し、大盛況でした!!
7月12日、13日と室谷会長は日本有数の豊かな自然が残る霊峰「白山」のある石川県へ講演に出かけました。
12日、若手議員の会で森林環境税について講演 金沢市
金沢市会議員の熊野盛夫(くまのもりお)さんの所属する石川県の若手議員の会で、森林環境税のお話をさせていただきました。
石川県の市町村では、今年から交付される森林環境譲与税の使い道を決めていない自治体がほとんどでした。国会で、森林環境税を使って広葉樹林化の推進を求める附帯決議が付いたことなどを紹介し、豊かな水源の森再生のために放置人工林の天然林化に活用してほしいと訴えました。
これから自治体が使い道を決めていくというだけあって、1時間30分の話をとても熱心にお聞きいただき、地域の振興にも役立てられるような仕組が必要ではないかなど、活発なご意見をいただきました。森林環境譲与税の使い道を議論していく自治体の市議のみなさんに直接お話をさせていただくことはとても大事なことだと感じました。
13日、石川県支部主催「森と水といのち、の今」 白山市
石川県支部のみなさんがこの日のために、1人1人に声をかけ、何と104名の方が集まってくださいました!副支部長の飯島さんは、連日、フェイスブックを更新して参加を呼びかけてくださいました。
講演会では森林環境税・譲与税で放置人工林の天然林化を進めてもらうために行った国会でのロビー活動や石川県支部での取り組みも紹介しました。
また、熊森が22年間取り組んできた天然林再生や野生動物との共存のための実践活動も紹介しました。映像も交え、2時間弱の長時間になりましたが、みなさん最後まで、熱心に聞いてくださいました。
森林環境税の導入など、森と私たちの関りをもう一度見直す時期に来ている今こそ、豊かな森再生のために動き出すときが来ていると感じて、石川県支部のみなさんが準備してくださった講演会。石川県でたくさんの人が手をつなぎ、実践活動が始まるきっかけになればこれほどうれしいことはありません。石川県支部では、野生動物との共存へ向けた森づくりに動いていきたいとのことで、今後がとても楽しみです。
石川県支部のみなさん、ご参加いただいたみなさん本当にありがとうございました。次は、ぜひ、森づくりの実践活動の現場でお会いしましょう!
全国で森林環境税の講演会を
日本の森の現状や豊かな森再生のために活用できる森林環境税について地域の方々や議員の方に詳しく知ってもらうこのような機会を持つことはとても重要なことだと感じました。全国の自治体が、森林環境譲与税を何に使うか検討している時期なので、各地を回ってこういう講演会ができたらと思います。
企画をしてみようという方は、ぜひ、本部までご相談ください。
6月22日、兵庫県の山奥に、初の大苗植樹!
大苗を植えたらシカ除け柵が不要だったと、地元で植樹をされているグループに教えてもらいました。
今年6月22日、熊森も試験的に、2m~3m級の中苗~大苗4種4本を但馬地方に植えてみました。
クワ、ウワミズザクラ、ヤマボウシ、クリです。
クワとウワミズザクラは、初夏にクマの食糧となります。
大苗とまではいかないのもあるので、当分シカ防除も必要と判断し、シカ除け網も張りました。
この日は、いろいろな場所で長年、植樹指導をされてこられた但馬の熊森会員が、指導して下さいました。
植える苗がいつもより大きいので、掘る穴もいつもより大きくなくてはなりません。
指導1、掘った穴の底を、つるはしでつついて柔らかくすると、根が張りやすい。
指導2、植樹後、苗木の周りに少し盛り土をする。
(地面にへこみがあると、雨水がたまって根腐りを起こす)
ヤマグワには、すでに実がびっしりついている
次は、支柱の立て方指導です。
大きな苗の植樹は、成果がすぐ出そうで、これまで以上に楽しかったです。
植樹後、突然の雷雨となり、植えた苗木はたっぷりと雨水を浴びました。
「苗木がうまく根付いて、早く動物たちに食料を提供してくれるようになってほしいね」とみんなで話しました。
作業後、植えた苗木をバックに記念撮影
クマが人里に出てこないように、熊森本部はこれまで1万本以上の実のなる木を、兵庫県のクマ生息地の奥山に植樹してきました。苗木は全て、一番根付きやすいと言われている小さな3年苗でした。
中苗や大苗でも根付くことがわかったら、苗木代は高いのですが、これからどんどん中苗や大苗を植えていこうと思います。
6月11日 川勝平太静岡県知事「県民はあきらかにリニアより南アルプスの生態系保護を選ぶ リニアルートを変更せよ!」と発言
静岡県知事「無礼千万」とJRを突き放す リニアルートを変更せよ
以下、6月12日、静岡新聞より
リニア工事幹線静岡工巡り、川勝平太知事は11日の定例記者会見で、リニア沿線の他都府県で作る建設促進期成同盟会に静岡県の加盟が認められない場合について「道(ルート)を外してほしい。急がば回れという言葉がある」と述べ、県内の南アルプスを横切るルートの変更をJR 東海に求める考えを示した。
同社の金子慎社長が静岡工区の未着工を理由に2027年のリニア開業時期が遅れる可能性を示唆したことには「(リニア)事業計画の年次を金科玉条のごとく相手に押しつけるのは無礼千万だ」と強く反発。「私は県民の安全、南アルプスの生態系保護という観点でのタイムスパン(期間)で考えている。事業計画に何ら影響されるところはない」と突き放した。
リニア開業の移動時間短縮効果と南アル プスの自然環境を比較し「県民は明らかに南アルプスを選ぶ」と強調した。 同盟会は6日の総会で入会を保留。川勝知事は会見で加盟申請の理由を、沿線自治体に本県の立場を理解してもらうためだと説明し「議論が平行線になってはいけない。事実を知ってもらう必要がある」とした。政府には「どうなるのが最善の解決策か公平無私の観点で考えられる立場」と調整役を期 待した。 また、南アルプストンネル準備工事の現場を13日に視察する際、水資源や生態系への影響と、建設される施設が将来的に観光に役立つかを重視して追加の準備工事を認めるか判断する姿勢を示し た。
熊森から
よくぞ言ってくださった!
お忙しい方は一行でもいいので、全国から支持お礼のメール電話FAXが大量に届くように、みなさんよろしくお願いします!
熊森本部からも、さっそくメールを入れさせていただきました。
南アルプスを貫通するリニアトンネルを掘ってしまえば、南アルプスの乾燥化が始まり、多くの動植物が息絶えて消えてしまいます。
私たち人間も水源の森を失います。もう取り返しのつかないことになります。
自然保護団体がいくら反対しても、JR東海は横暴きわまり、耳を貸そうともしません。
かくなる上は、天変地異が起きて、天の怒りでリニア工事がストップするよう祈るしかもうないのかと思っていましたが、このような知事さんが現れたこと、大拍手で応援したいと思います。
川勝平太静岡県知事に対する声の届け方
固定電話の方(無料)TEL :0120-464-119
携帯電話の方(有料)TEL :0570-041-001
(いずれも平日 9:00~17:00 年末年始除く)
FAX :06-6455-3268
電子メール: help-shinsei-shizuoka@s-kantan.com
〒420-8601 静岡県静岡市葵区追手町9番6号
「ストップ・リニア!訴訟」では、ただいま、サポーターを募集中です。
南アルプスにリニアトンネルを貫通させ、水脈を切断、生態系を破壊することに反対の方は、「ストップ・リニア!訴訟」サポーターになってください。
<個人会員>初年度会費一口2,000円 次年度以降一口1,000円
<団体会員>年間会費一口5,000円
00270-3-55439 (ゆう貯銀行)
「ストップ・リニア訴訟」原告団・山梨
兵庫県丹波篠山市「篠山市広葉樹林化促進のための人工林等皆伐モデル事業補助金」創設
「篠山市広葉樹林化促進のための人工林等皆伐モデル事業補助金」を活用した山林=2019年4月8日兵庫県
森林所有者が行う山すそなどの人工林(スギ、ヒノキ)、広葉樹林(コナラ、アベマキなど)の皆伐にかかる費用を補助する兵庫県篠山市のモデル事業が昨年度、補助単価を8倍に拡充したことが奏功し、前年度実績を大幅に上回る“大ヒット”となった。100平方メートルあたりの補助単価を2500円から2万円に拡充するなどしたところ、前年度は9件200万円だった補助実績が、79件3200万円まで増加した。
この「市広葉樹林化促進のための人工林等皆伐モデル事業補助金」は2015年度から始まり、人工林などを皆伐し、広葉樹に転換していくのがねらい。伐採した木を市場に出せば売上は所有者に還元される。
山の手入れが行き届かず、特に人家裏などで木が生い茂るなど危険な個所は増える一方で、伐採しようと思っても、以前の補助を活用してもなお所有者の負担が大きく、見送るケースが目立っていたという。
そこで市は昨年度、補助金を8倍増にしたほか、大径木(およそ胸の高さで直径20センチ以上)を伐採する場合は15万円を上乗せするよう改正。2180万円を当初予算に盛り込んだところ、申請は件数で約9倍、補助額で16倍に。補正予算で対応した。
市森づくり課は、「申請は増えると思っていたが、予想以上」と驚き、「補助を使い、伐採した木を売れば“とんとん”か、ややプラスという単価。所有者にも有利で、林業家にもメリットがあり、育成につながる。材として売れない木はペレットにするなど、資源として循環していけば理想的」と話す。
川阪自治会は昨年度、同集落内を通る県道本郷藤坂線沿いの約1・2ヘクタールで、同補助事業を活用した。昨年度まで自治会長を務めた男性は、「台風で木が道路上に倒れそうになるなど危険な状態が続き、道路の視界の妨げにもなっていた。木を伐採し、村全体が明るく開けたような印象になった」と話している。
くま森から
100平方メートルあたりの補助単価2万円ということは、1ヘクタールに換算すると200万円。これだと伐採業者に支払う伐採費用は全額補助されたに等しい。兵庫県内にこんなことをしている町があることを、今まで知りませんでした。経緯や実施結果などについてもっと詳しく知りたいです。兵庫県民緑税との関連や森林環境税との関連も知りたいですね。何と言っても、地元から、「スギばかり植えて失敗した。天然林に戻そう」という声が高まり、市が条例を制定して後押しし始めたというのがすばらしいです。
全国を探せば、他にもこんな町があるのでしょうか。もしあれば、ぜひ、日本熊森協会までご連絡いただきたいです。
久し振りに、人工林の広葉樹林化や天然林化をキーワードにして、ネットで検索してみると、だいぶん項目が出てくるようになりました。
三菱総合研究所などは、日本の森林は大部分を占める人工林の荒廃が進み、有史以来第 4 の危機を迎えているとまで 記述しています。
まさにその通りなのですが、私たちが26年前、日本の山が大荒廃していることを絶滅寸前のクマから教えてもらい、「大変だ、拡大造林にストップをかけてほしい」と訴え出した頃は、理解者が皆無に近くて、どこでも怒鳴られ笑われ変人扱いされたものです。このことを思うと、隔世の感があります。
しかし、論文や記述が増えても、実際に人工林の天然林化が社会で進んでいるかどうかは別問題です。
もう手遅れの感もありますが、日本熊森協会は自然保護団体として、実際に人工林の天然林化が進むよう、これからも活動し続けていきます。
みなさんぜひ応援してください!どうしたら応援できるかとよく聞かれますが、一番簡単にすぐできる応援は、会員に登録していただくことです。
賛同者はまずご入会ください!世の中を変えていくには、数が必要なのです。
5月24日 元農林水産大臣政務官に面会
「国有林野の管理経営に関する法律等の一部を改正する法律案」について
衆議院の審議では、<立地条件等に応じた針広混交林化等の多様な森づくりを推進する>という付帯決議を付けていただきました。
日本熊森協会としては、もう一歩踏み込んで、国有林内の人工林伐採跡地の広葉樹林化(ベター)又は天然林化(ベスト)を進めてもらえるように訴えています。
なぜなら、自然界では、気候や標高によって、自然状態が広葉樹林であったり、針広混交林であったり、針葉樹林であったりします。よって、熊森のめざす森林を一言で表すには、「天然林化」という言葉が最適なのです。
広葉樹林 針広混交林 針葉樹林
・戦後、皆伐した奥山原生林の面積628万ヘクタール
(民族の大失敗、近い将来水源枯渇の恐れ)
・国有林内の人工林面積232万ヘクタール
・造りすぎたためなどの理由で針広混交林に戻す国内人工林の面積343万ヘクタール(林野庁発表)
→ (熊森の主張)ならば、国有林内の人工林面積から、まず天然林に戻すべき
5月23日夕方、自民党農林水産委員会理事の上月良祐議員事務所から、お会いできるという連絡をいただき、森山まり子名誉会長が急遽、上京しました。
参議員議員会館
上月良祐議員と森山熊森名誉会長
上月議員は、茨城県選出で農林水産大臣政務官をされていたことがわかりました。「これから人口も減っていく一方ですから、使わなくなった山や田畑は、自然に戻していけばいいと個人的には思っています。」と、言われました。熊森の主張を誠実に聞いてくださったことに心から感謝します。
記念写真を撮ってもいいですかとお聞きすると、天然林化を訴える熊森の資料をさっと手に持って、これと一緒に撮りましょうと言われ、うれしかったです。
この法案に関する審議時間は少ししかないようですが、引き続き、審議を見守っていきたいと思います。
参議院農林水産委員会議員への配布物第2弾
赤松顧問の投稿「豊かな森を取り戻すために」が神戸新聞全県版に
神戸新聞全県版に掲載! 2019年5月26日(日)
日本熊森協会は、熊森運動を理解してくださる議員のみなさんに、党派を超えて個人として応援していただいています。
赤松正雄元衆議院議員に応援していただくようになって、20年です。
この度、神戸新聞オピニオン(7ページ)の、「見る思う」というコーナーに、赤松顧問の投稿文が掲載されました。すばらしいことだと思います。
Wクリックで大きくなります。
今国会で「国有林野管理経営法の一部を改正する法案」が審議されていますが、放置人工林を伐採することも大切だが、伐採後どのように森づくりがなされるのかが重要であるという趣旨の投稿文です。日本熊森協会は、まさにその通りだと思います。
また、なぜ、日本熊森協会の主張を理解するようになられたのかも書かれています。
ぜひ多くのみなさんに読んでいただきたいです。
読まれた方は是非ご感想を送ってください。赤松顧問に届けます。
国有林野の管理経営法改正案に熊森が要望書
2019年5月15日も、国有林野の管理経営法改正案に対する質疑が、農林水産委員会で続行されました。
今回の法改正は、国有林内の手入れが行き届いた収益の上がる人工林を、とりあえず大手の10社に600ヘクタールぐらいずつ50年にわたる伐採権を与え、伐採させてあげるというものです。国民の税金を使い、1ヘクタール当たり220万円のお金をかけて手入れしてきた優良人工林が対象です。
マスコミのみなさんにこの法案を取り上げていただき、国民の声を聞いてもらいたいです。
熊森作成資料 (Wクリックで大きくなります) 国有林内の人工林
本日は、午前午後と5時間以上ぶっ通しの審議でした。国会議員のみなさんも、大変だなあと思います。
インターネット中継で、4月25日、5月8日・9日・14日・15日と審議を見てきましたが、問題点を真剣に調べ追究されている議員さんが何人もおられることがわかってきて、うれしくなりました。
こういうのを見ていると、その国会議員や官僚のみなさんの人間性やレベルが、一目瞭然でわかりますね。
(Wクリックで大きくなります)
熊森が出した要望書です。熊森要望書
今回の法改正は問題がありすぎて、まだまだ不明部分も多く、国会中継を視聴している一国民としては、継続審議が必要だと感じます。
数の力で、さっさと採決してしまわないように願いたいです。
質問内容をネットにあげている議員が見つかりました。4月25日本会議質問分
なかなか鋭いです。問題点が良くわかります。
他の議員さんも、こういうのをネットに上げて下さったら、国会中継を見る国民が増えるのではないでしょうか。
改正法案衆院審議始まる 国有林内の人工林伐採跡地は未来の林業のためにもせめて針広混交林に
2019年5月8日から衆議院農林水産委員会で、「国有林野の管理経営に関する法律等の一部を改正する法律案」の審議が始まっています。この法案のことは3月2日のブログでも紹介しました。
5月9日の議員のみなさんの質疑のようすは、インターネット(衆議院3時間3分)で見れます。(長時間ですが、とても面白くて参考になりますので、可能な方は是非ご覧になってください」)
日本に住む私たち全生物の大切な財産である国有林の今後50年の姿が決まる大切なターニングポイントです。多くの国民の皆さんに関心を持っていただき、声を上げてもらいたいです。
林政審議会(平成31年2月20日)の配付資料:林野庁という資料によると、わが国の森林面積のうち3割にあたる761万ヘクタールが国有林で、そのうち3割にあたる232万ヘクタールが戦後の拡大造林政策で植えられたスギ・ヒノキ・カラマツを中心とした針葉樹の単一人工林です。
林業不適地とされる急傾斜地や林道から離れた奥山にあるものを除く人工林が、今回の伐採対象地で、50年の伐期を迎えているそうです。
広大な面積にびっしりと植えられたスギの人工林
この法案は簡単にいうと、「林業の成長産業化をめざす」という名目で、国民の膨大な税金を使って国有林内で国が育ててきた人工林の樹木伐採権を、「意欲と能力のある林業経営者」と呼ぶ、実質、大手の林業会社に数百ヘクタールの人工林を最高50年間提供するものです。こまごまとした私有林の人工林と違って、国有林の人工林は広くまとまっており、道路も入っているので、材を搬出しやすく有利です。しかも、伐採後の再造林は国が経費を持ち育林もしてくれます。樹木を採取する前に、樹木料を国に納付しなければならないなどいくつかの制約があり、中小の地元林業会社の参加は難しいと考えられます。
これが林業の成長産業化を促進させることになるのでしょうか。大手素材生産会社はもうかるかもしれませんが、一から自分たちで苦労して育てた木を伐るのでなければ、ただのバイヤーであり、林業とは言えないのではないでしょうか。
国有林問題を報道するマスコミ人がまずいないので、ほとんどの国民が何も知らないうちに事が進んでいっています。
今後、5月14日には参考人招致が予定されているそうです。
私たち熊森は、今回の法案による皆伐地は、スギ・ヒノキ・カラマツの再造林ではなく、原則として以前のように天然林に戻していただきたいです。
国有林は、本来、公益のために存在するのであって、経済活動の場となる林業には使うべきではないと考えます。
どうしても林業用地にしなければならない国有林があるのなら、そこは、その山に合った針広混交林施業を施していただきたいです。
50年後、何の材を育てておけば売れるのか、誰にも予測できません。
人気の建材が、スギ・ヒノキ・カラマツに代わって、ケヤキやクリに代わっているかもしれません。
針広混交林にしておけば、公益的機能の増進はもちろんですが、未来の林業のためにもなります。
パルプ、家具材、バイオマス燃料などは、断然、広葉樹がいいです。
スギ苗を植林後放置したため、広葉樹が自生し、針広混交林になった山
熊森としては、急傾斜地や林道から離れた奥山にある国有人工林を放置してもらっては困ります。
材の搬出は不可能でしょうが、群状皆伐などを施し、こちらは天然林に戻していただきたいです。
都市部に配分された森林環境譲与税の使い道提案(2)市民や子供たちの森林学習に使う
今や国民の9割が、森から離れて都会で暮らす時代です。実は、これはとても怖いことなのです。森に生かされていることを日々実感して森と共に暮らしてきた私たちの祖先の感性が、都会暮らしではすっかり失われてしまいます。
その結果、森の破壊や荒廃に関心のない国民が、大量に誕生してしまっています。(現在の日本の姿)
これは、日本文明崩壊への道です。(森≠林)
そこで、市民や子供たちが、生物の多様性や水源の森の保全の重要性を理解できるような講演会や体験学習が必要となります。
<実践報告>
放置人工林地帯に広葉樹苗を植樹する尼崎市の中学生たち 兵庫県朝来町1998年
1998年秋、尼崎市立園田東中学校3年生330名の義務教育最後の遠足を、当時の学年主任が、奥山人工林地帯での実のなる木の植樹と決めました。
予想通り、最後の遠足は、遊園地でパーッと楽しく遊ばせてほしいという生徒たちから、強いブーイングが出ました。
そこで、体育館に学年全生徒を集め、理科教師2名が、戦後造り過ぎた人工林が放置されて大変なことになっているという話をしました。ひとりは都市出身者、もうひとりは奥山出身者です。
説明会後、遊園地に行きたいという声は生徒たちから消えていました。ひとりの男子生徒が、「先生たちの話を聞いていて、泣きそうになったわ。人工林が大量に放置されて、野生動物や地元農家がえらい困ってるんやな。しょうがないな。山奥行って、広葉樹を植えてやるわ」と言ってきたのを、今も覚えています。(中学生は、まだ純粋なのです)
いよいよ当日。普段より30分早く登校。大型バス8台を連ねて兵庫県朝来町の伊由峠に向かいました。バスが兵庫県の人工林地帯に突入すると、バス酔いで気分が悪くなっていた生徒たちまでもが思わず立ち上がって「ワアーッ」と、びっくりして、窓の外の景色を見ました。
「これは、話に聞いたよりひどい!どこまで行っても、スギ以外何もない。まるで死の世界や。これでは、野生動物たちが山から出て来ざるを得んなあ。農家も大変やなあ」生徒たちの目が輝き出しました。
朝来町から提供された広葉樹の植樹地は、トンネル掘削工事で出た残土置き場です。
ここでまず、地元の方たちから林業や農業の大変な現状を聞かせていただきました。生の声は、生徒たちの胸に響きます。
植樹地は、土が固い上、石も多く、生徒たちは穴掘りや土入れに苦労していましたが、一人残らず目を輝かせて作業に取り組んでいました。(信じられない光景でした)
朝早く出たのに作業に手間取って、お弁当の時間が午後2時にずれ込みました。しかし、みんな喜々として文句ひとつなし。(信じられないできごとでした)
帰りのバスの中で生徒たちが口々に語りました。
・僕ら今日、役に立ったなあ。僕らにも地球環境のためにできることあったんや。うれしかった。(一番多かった声)
・がんばって植樹したけど、帰りのバスの中から振り返ったら、山に何もしなかったのと同じくらい植樹地が小さい。
・日本中の中学生の最後の遠足を、奥山人工林地帯で広葉樹の植樹にしたらいい。
・すごい思い出になった。遊園地より良かった。
このたった1日の校外学習が、生徒たちを信じられないほど大きく成長させました。
よほどうれしかったのでしょう。卒業後何年かして、バスを1台チャーターし、元生徒有志たちが植樹地に出かけました。
今ではこの場所は、秋になるとドングリやクリの実がたくさん実っています。
(あれから21年。残念ながら周りの放置人工林は、今も放置されたままです。奥山天然林化は、まだ全く進んでいません。)
森林環境譲与税でこのような森林教育を市内全校が行えば、森を大切に思い、林業や農業の問題にも心を寄せる若者たちが育つと思います。
そのためには、まず、森林環境譲与税で森林教育の入門書として、「クマともりとひと」(1冊100円)を購入して、全先生たちに配っていただくことから始めなければなりません。
p.s空き家が大変多くなっている今、林業の成長産業化をめざすためにとして、無理に国産材を使って新たに家を建てなくてもいいと思うのです。みなさんはどう思われますか。
都市部に配分された森林環境譲与税の使い道提案(1)奥地市町村の奥山天然林化を共同で行う
今や、自主的なものも含めて報道規制が強まっており、ほとんどの国民は国策の失敗など知りません。
結果として失敗した国策の一つが、林野庁の拡大造林政策です。山奥に大量に放置された人工林が引き起こしている問題は、もはや、はんぱなものではありません。
待ったなし 延々と続く放置人工林の内部 撮影:和歌山県
税の創設理由と本心の違い
森林環境税及び森林環境譲与税は、「パリ協定の枠組みの下におけるわが国の温室効果ガス排出削減目標の達成や災害防止等を図るため、森林整備等に必要な地方財源を安定的に確保する観点から、創設する。」となっています。
しかし、放置人工林の崩れによる近年の死者の増加を見るにつけ、林野庁の本心としては、パリ協定などどうでもよくて、一刻も早くこの国から放置人工林を消し去りたいという思いに駆られているのではないかと推察します。
(林野庁は、表向きには今もなお、山が崩れるのは豪雨のせいであり、放置人工林とは無関係という見解ですが・・・。責任問題に発展する恐れがあるので、口が裂けても、放置人工林と山崩れの関連を認めないのだろうと思われます。)
都市市民への気遣いなど不要なのに・・・
森林環境税及び森林環境譲与税は、都市市民にも一律に負担を強いるため、都市市民の賛同を得なければなりません。
その為の気遣いからか、総務省は 市町村に配分する森林環境譲与税の50%を「私有林人工林面積」、20%をが「林業就業者数」、30%を「 人口」の比率によって配分することにしました。
熊森としては、30%も「 人口」比で配分しなくても良いと思います。
そんなところにお金を回す余裕など、ないはずです。
国として、放置人工林を消し去ること、天然林に戻すことに全力投球しなければならない緊急事態なのです。
人口比など3%で十分です。放置人工林の窮状を説明すれば、都市市民は納得すると思います。
たかだか30%と言っても、大都市になると、人口が多いのでかなりの額になります。
税の使い道が思いつかない都市
いくつかの都市に電話をして使い道を尋ねてみたところ、何に使えばいいのかわからないのでとりあえず積み立てるというところがいくつかありました。(うーん、熊森としては、その町の水源の森がある郡部に税を回してあげてほしいなあと思います)
尼崎市に対し、環境教育に使って欲しいと熊森本部が陳情
兵庫県尼崎市は、町全てが都会であり、山はゼロです。
しかし、人口が46万人のため、2019年度は1700万円が配分されます。
(2025年度からは3600万円が配分されます。)
尼崎市では、国産材の利用促進を使途の中心にすれば森林整備につながるのではないかと考え、とりあえず本年度は、シロアリにやられている田能遺跡の高床式倉庫を、この税で新しく国産材を使って造り替えることにするそうです。
熊森本部としては、尼崎市に対し、森林環境譲与税を、子どもや市民が奥山天然林を保全・再生する大切さを学べるような環境教育に使って欲しいという陳情書を提出しました。
議会委員会を傍聴
2月26日に、尼崎市議会経済産業建設委員会でこの陳情に対する第1回の審議が行われました。
会議の最後に、経済管理課の方が、森林環境譲与税は、経済の中で考えたいと言われ、継続審議となりました。
4月23日に尼崎市議会経済環境企業委員会で、この陳情が審議されるということを聞いて傍聴に出かけました。
4月から職員が新しく入れ替わっており、今年からこの部署に来ましたという人でいっぱいでした。
森林環境譲与税の使い道を決めるのは、財務部財政課で、公共物の木質化の予算の中で考えていくことが確認されました。
その後、議員と担当課職員の間で、森林環境譲与税の使い道についての質疑が約20分間ほどありました。
熊森が尼崎市のある小学校で、奥山水源の森保全の大切さを伝える環境教育を17年間続けていることを知っている議員が、1校だけではなく、このような森林環境教育を全市に広めたらどうかと提案されました。
また別の議員は、個々の自治体を越えて広域的に使うことを考えてみてはどうかと提案されました。(担当部署が、即否定)
民間のアイディアを募ってみたらどうかという提案もありました。
この税を何に使ったかは、毎年、全市町村がインターネットで公開することになっています。1年後、どのような使い道がなされたか全てわかります。
熊森は、東京都や横浜市が100年先1000年先まで見据えて、山梨県の奥地で広大な天然林を水源林として購入していることを、高く評価しています。
将来を見据えられてこそ政治だと思います。
全国的に奥山開発や奥山人工林化で山からの湧水がどんどん減ってきている今、使い道が考えられない都市部の森林環境譲与税は、水源の森となる奥地の市町村の奥山天然林化に使ってもらうことも考えるべきではないでしょうか。
山からの湧水が消えて一番に滅びるのは都市です
参考文 林野庁が出している月刊誌「林野」2018年2月号
特集 森林環境税(仮称)と森林環境譲与税(仮称)の創設より
(税の使い方の例)
都市部の市町村においても、森林整備を支える木材利用等の取組を進めていただくとともに、例えば山間部の市町村における水源の森づくりを共同で行ったり、都市部の住民が参加しての植林 ・ 育林活動を実施したりといった新たな都市・山村連携の取組も各地で生まれることを期待しています。
都市は、この税をまず何に使うべきか
市議会の委員会を傍聴してみて、都市部がこの税を使うべき最初の用途は、放置人工林の弊害がわかりやすく説明されている熊森小冊子を担当職員全員に購入していただくことだと確信しました。
都市に住んでいて、奥山荒廃の実態を知らない、見たこともない職員に、森林環境譲与税の有効な使い道など思いつくはずがありません。
読後は、現地を視察する予算を組んで下さい。熊森がご案内します。まずはここからでしょう。