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神奈川県またしてもくくり罠に錯誤捕獲された絶滅危惧種クマを殺処分 県立七沢森林公園厚木市

神奈川県厚木市には、県立七沢森林公園という65ヘクタールもある広大ですばらしい森林公園があります。

公園パンフレットより転載  wクリックで拡大

この公園に仕掛けられたシカ・イノシシ捕獲用罠に6月20日、1頭のツキノワグマが誤ってかかっていたそうです。

またしても、放獣場所がなかったからという理由で、神奈川県は残り少ない絶滅危惧種ツキノワグマを捕殺してしまいました。

 

<以下、神奈川県記者発表より>

 

ツキノワグマの捕殺について

    2023年06月21日記者発表資料(厚木記者クラブ発表)

令和5年6月20日(火曜日)午前7時30分頃、県立七沢森林公園内に設置されたシカ・イノシシ捕獲用のくくりわなに、1頭のツキノワグマが掛かっているのを、見回りにきたわな設置者が発見しました。
ツキノワグマが公園内に立ち入ったことによる公園利用者や施設への被害はありません。
当公園では、引き続き、公園利用者への注意喚起を行い、安全管理に努めてまいります。
なお、他の動物捕獲用のわなに掛かったツキノワグマについては、人身被害を生じさせる恐れが高い場合を除き、人が怖いことを学習させて奥山に放獣することとしていますが、放獣できる場所を確保することができなかったため、やむをえず、捕殺しました。

(1)性別、大きさ等

性別 メス、全長 127cm、体重 44.5kg

(2)捕殺の状況

ア  日時 令和5年6月20日(火曜日) 午後2時47分

イ  場所 神奈川県立七沢森林公園(厚木市七沢901-1)

(3)捕殺後の措置

学術研究のため、神奈川県立生命の星・地球博物館に搬送します。

 

捕殺したツキノワグマ(神奈川県の記者発表ページより)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

問合せ先

神奈川県県土整備局厚木土木事務所

所長 竹内  電話  046-223-1711

道路都市課長 西田  電話  046-223-1715

以上 上記HPより

 

熊森から

神奈川県がクマを殺処分したことを即公開されていることは評価しますが、神奈川県発表では県のツキノワグマは残り少ない絶滅危惧種であること、国の鳥獣保護管理法では錯誤捕獲された動物はその場で放獣することになっているのに、神奈川県が法違反を行ったことが書かれていません。

 

また、公園利用者への安全管理には心配りされていますが、何も悪いことをしていないのにくくり罠にかかって恐怖と痛みを味わった上、殺処分されてしまったクマへの思いやりや謝罪が全くありません。これは神奈川県だけの問題ではなく、今の日本の行政全般の傾向です。日本の行政担当者の多くは、政権と結びついたワイルドライフマネジメント系の研究者たちに洗脳され、人間さえよかったらいいという人間中心主義に染まってしまっています。この考えでいくと、人間は自然を破壊し続けて、やがて自らも滅ぶことになります。しかし、日本人は元々、他生物の命と人間の命は同じく貴いという持続可能ですばらしい生命観を持っていたので、今も、多くの一般国民はこのようなニュースを知れば、私たち同様、胸を痛める方が圧倒的に多いと思われます。

 

神奈川県では5月にも相模原市で錯誤捕獲されたクマを殺処分しており、熊森はその時も、今後このようなことがないように、市町だけに任せず、至急県が放獣場所を確保するように県行政の皆さんにお願いしたばかりです。2022年度、神奈川県は錯誤捕獲グマを4頭も殺処分しています。2023年度はこれで2頭目。 これでは、神奈川県ではツキノワグマは絶滅危惧種なので保護していますという言葉が嘘になってしまいます。

 

どうしてこんなことになったのか、熊森本部は今回も順次担当部署に電話して聞き取っていきました。

①神奈川県庁 環境農政局 緑政部 自然環境保全課

県庁は報告は受けていたようですが、実質的な判断は現地の出先機関に任せているようです。

②七沢森林公園管理事務所

ほとんど何もご存じではないようでした。

神奈川県厚木土木事務所

県立公園なので、厚木土木事務所がこの公園を実質管理をしていることがわかりました。シカを見かけたりイノシシが地面を掘った跡があったりしたので、厚木土木事務所がくくり罠を掛けたいと、神奈川県県央地域県政総合センター環境部環境調整課に申請して、捕殺許可を得たそうです。

今年は4月から30個のくくり罠を掛けており、3か月間でシカ1頭がかかった。イノシシは0頭、そして、今回クマがかかったということでした。クマの錯誤捕獲があったばかりなので、もうくくり罠はいったん公園から撤去されたのかと思っていたら、まだ掛けたままで、7月1に片付けようと思っているということでした。(3か月間の設置許可だったのかもしれません)

熊森からは、またクマがかかるかもしれないので、放獣場所が見つからない限りすぐに撤去してくださいと訴えました。

④県央地域県政総合センター

直接の担当者は不在でした。職員の方に、この公園をはじめ、クマの放獣場所はないといっている市町に対しては、クマがかかるかもしれないような場所にくくり罠の設置許可を出さないようにお願いしました。神奈川県には、緑の回廊もある丹沢という広大な国有林があるのですから、神奈川県森林管理署と連携して、市町に放獣場所がない場合は、国有林に放せるようにしてほしいとお願いしておきました。

 

四国のツキノワグマのように、残り10数頭になってしまってから慌てても、種の保全は非常に難しいです。神奈川県の場合、いろんな部署の方々にクマ保全に頑張ってもらおうと思っていますが、やはりこうなったらもう急がねばならないので、黒岩祐治知事に早急にクマの放獣場所を確保していただくよう動いてもらうしかないと感じました。

 

もちろん、熊森は、シカやイノシシにならくくり罠を掛けていいと思っているわけではありません。足をばねで締め付けて切断してしまうこんな残酷な罠は、人間として使用してはならないと考えています。多くの国民の皆さんに実態を伝え、野生動物たちに共感できる感性をお持ちの方々に声を上げてもらいたいです。野生動物にやさしい国をつくるのは、研究者でもなく、行政でもなく、名もなき心優しき一般国民の声なのです。

春の戸倉植樹地メンテナンス~くまもりボランティア大活躍~

雪融けを待って植樹地へ

4月21日、27日の2日間に渡って、熊森のフィールドボランティアチームが、兵庫県宍粟市戸倉にある植樹地のメンテナンスを行いました。

戸倉は豪雪地帯で、毎年大量の雪が山を覆い尽くします。植樹地はシカなどに苗木を食べられるのを防ぐためにネットで囲いをしていますが、雪の重みでネットをかけている支柱が倒れたり、折れたりしてしまいます。雪が積もっていると作業できないので、春が来て雪融けとともに修復作業を開始しています。

今回はボランティアの女性3名が作業してくださいました。

 

1日目

戸倉トラスト地には5か所の植樹地があります。21日は3か所の修復作業を行いました。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

壊れた囲いが・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この通り!

 

苗木の生育状況の確認も行いました。戸倉は苗木がうまく定着せず、なかなか大きく育ちません。今後さらに試行錯誤を続けていきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

苗木から新芽が!順調に育って欲しいですね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

移動中にシカの角を発見!

 

2日目

27日は残りの2か所をメンテナンスです。

太陽が照り付け少々暑い中、皆さん頑張ってくださいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

丁寧にネットをかけていきます

 

野生動物はちょっとした隙間も見逃しません。ネットがたわんでいないか、破れている部分はないかなど、細かいところまで気を配って作業を進めます。

 

 

 

 

 

 

 

 

全ての囲いの修復が完了!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

余った資材を確認して作業終了です!

 

2日間で5か所全ての囲いが修復できました。苗木や外から入ってきた植物が無事に大きくなり、少しでも早く広葉樹林が再生されることを願うばかりです。野生動物が安心して暮らせる山になるといいですね。

今回は女性のみのチームでしたが、大変な作業を根気強く頑張ってくださいました。作業してくださった方々本当にありがとうございました。

日本熊森協会はこれからも人工林の広葉樹林化を目指して、地元の方々やボランティアの皆さんと手を取り合って頑張っていきます!

熊森の活動やボランティアに興味のある方は、ぜひご連絡ください!

くまもり全国支部長研修会 1泊2日:座学+青山高原現地視察

4月15日(土)の全国大会が終了すると、支部長たちは直ちに新大阪のユースホステルに移動し、恒例の1泊2日の全国支部長研修会に参加しました。全国大会に都合で参加できなかった支部長たちは、オンラインでこの研修会に参加しました。

 

1日目夜

15日 19時30分~ 支部から18名、zoomで6名が参加

室谷会長から、今後もどこにも気兼ねなく物言える自然保護団体であり続けたいとして、熊森の現在と今後についての話がありました。

 

 

 

 

 

 

 

 

2歳の長男と支部長研修会に参加された室谷会長

 

特別講師として、宮城県丸森町からご夫婦で参加してくださり全国大会で10分間理路整然と熱のこもった発表をしてくださった義高光氏が、森林伐採を伴うメガソーラー建設計画からどうしたら地域や森を守れるか、実体験に基づいたリアルなお話を30分間語ってくださいました。

目を見張る内容でした。参加した本部スタッフたちはもちろん、支部長の皆さんも圧倒されたと思います。

 

支部長研修会でお話をいただいた内容は一般公開を前提としていないので、公開はできませんが、義高さんが全国大会で発表された内容については、ユーチューブで公開させていただいています。

 

第26回くまもり全国大会での義高光氏の発表

 

支部長発表

リンパ癌と壮絶な闘いをされていた熊本県支部の上田支部長は、見事に癌を克服され、今回の研修会に元気な姿でお越しくださいました。癌との闘いの日々や熊森活動への熱い想いを語られました。

今や、日本人の半分が癌にかかる時代です。明日は我が身。参考になりました。上田支部、貴重な克服体験をありがとうございました。熊森は今も昔も、みんなで信頼し合いお互いに思いやり励まし合う温かい家族です。

 

その後、各支部長から支部活動報告があり、課題の共有が行われました。

 

支部活動の歴史が一番長い滋賀県支部の村上支部長の発表には、目を見張りました。すごく大きく活動されているな、すばらしいなと思いました。

本部同様、どんな活動も一朝一夕に実るわけではなく、息の長い粘り強い活動を根気強くみんなで仲良く続けた者たちだけが、ついに大輪を咲かせるのだと感銘を受けました。

 

22時から24時までは、開放された食堂での自由時間。支部長間の親睦が深まったと思います。

 

2日目

16日朝 9時30分~10時30分 支部から17名、zoomで8名が参加

室谷会長と本部職員から支部活動や支部の運営等に関しての話がありました。

 

最後に、再エネ森林破壊問題を担当している本部スタッフより、この日の午後から見学する予定となっている三重県青山高原の風車群についての事前説明と見学ポイントのレクチャーがありました。とてもよくまとまっているので、皆さんも動画でご覧になってください。

 

三重県青山高原の風車群について

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レクチャー中のスタッフ

 

 

巨大風車の巣窟「青山高原」

 

16日午後からは支部代表13名や新城市の市議会議員の方々、本部スタッフらで三重県の青山高原を訪れました。案内してくださったのは、地元で風力発電の反対運動を長年続けておられる武田恵世氏です。

 

国定公園である青山高原には現在89基の風車が建っており、異様な光景が広がっていました。風車はメカ上とても故障しやすいそうで、故障しては直すを繰り返しています。一番古い風車群は20年を経過しており、新しい風車に置き換えるために停止していました。

 

 

 

 

 

 

青山高原に居並ぶ異様な風車群

 

 

 

 

 

 

 

 

 

青山高原の現状を見学

 

異音を放つ巨大風車

 

古い型の風車だからでしょうか。ブレードは回転するたびに「ブーン、ブーン」と大きなローター音を響かせます。加えてブレードが時速200km以上のスピードで空気を切り裂く音が重なります。とても居心地の良い場所ではありません。参加者の中には早くも体調不良を訴える方が数名出ました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

巨大風車

 

健康被害もさることながら、切り開かれた高原はあちこちで崩れてきており、環境への悪影響は計り知れません。事業者は、崩れた個所はその都度修理していると言いますが、過去に斜面崩壊が起きた箇所の修復工事は応急的なもので、今後また崩れてしまうだろうと感じました。野生動物たちはこんな環境では、とても暮らせないだろうと感じました。生物多様性の喪失です。

 

 

 

 

 

 

 

 

あちこちで斜面崩壊が起きており、国定公園なのに林道使用不可

 

 

百聞は一見に如かず。参加された皆さんは風車が建設されるとどうなるか、実感できたと思います。(完)

 

 

初めて参加された支部長の感想 要旨

 

青森県支部長  石戸谷 滋

 

4月14日の午後から日本熊森協会の全国大会、同日夜と翌日午前には支部長研修会、午後からは三重県青山高原の風力発電現場の視察、私はそのいずれにも参加しました。

 

全国大会は、尼崎市の「ホテルヴィスキオ尼崎」で行われました。大会には各県の支部長の他に数名の国会議員も来賓として出席されており、これが熊森がその存在を世間に訴える場なんだなあと感じました。今年の大会は「東北地方の森林破壊型再エネ事業の阻止」をテーマとしていて、宮城県の代表たちの他に、私も「みちのく風力発電事業」の現在の状況を伝える5分間程度のスピーチを行いました。

 

全国大会終了後、本部スタッフと支部長たちは「新大阪ユースホステル」に移動、そこで支部長研修会が開かれました。対外的な宣伝の場である全国大会から、実質的な打ち合わせの場である支部長会議に移ると、会場も質素なユースホステルに変わったわけです。関西らしいと思いました。

 

支部長研修会では、何と言っても、宮城県丸森町耕野地区で大規模太陽光発電事業に反対する本気の運動を繰り広げている義高(よしたか)光さんのレクチャーに圧倒されました。

 

義高さんはまず「事業者に正面切ってのイデオロギー論争を挑んでも、勝ち目はない」と言い切りました。彼らは反対運動の論点を知り尽くしていて、最初からそれを無視するつもりでいるからです。ならばどうすればいいかということを、経験をもとにおはなししてくださいました。

(内容非公開)

 

勉強になりました。

 

支部長交流会で得たもの

(省略)

 

翌16日、一行は三重県の「青山高原ウインドファーム」を見学しました。案内してくれたのは、地元で風力の反対運動を繰り広げている武田恵世さんという歯医者さんでした。この人がまた徹底して風力のことを調べているのです。(「自然エネルギーの罠 化石燃料や原子力の代わりになり得るエネルギーとは何か」という著書もあります。)

 

青山高原風力発電所には、現在91基の風車が設置されています。建設後20年以上が経つ750kWの小型のものから、5年前に建てた2,000kWのものまで、混在しています。

 

見学当日は、私にはかなり強い風が吹いているように感じられ、風車もよく回っていました。でも、この程度の風では、発電はするものの、送電にまでは至らないだろうと武田さんは言います。少々の発電では、送電する意味がないのだそうです。つまり、この日のような風の弱い日は、このウインドファームの出力はゼロになります。ではどのぐらいの風が吹けば送電できるの? 傘がさしにくいぐらいの風が必要だが、それはめったに吹かず、1週間にせいぜい1日半ほど、設備利用率は20%以下で、しかも2,000kWという定格出力で発電する時間はさらにその10~20%程度に過ぎないのだそうです。

 

業者はどこも発電実績を非公開としています。あまりに低すぎることがバレないようにでしょうか。そして、対外的には、定格電力で発電しているとして数字を出しているようです。こんなカラクリがあったのかあ。

 

では中部電力の子会社はなぜこれを建てたのか? 「うちはクリーンエネルギーに力を注いでいます」という宣伝をして建設するだけで儲かるからです。再エネの裏側を見せられ、ちょっとばかばかしくなりました。

 

この発電所の敷地および取付道路の風化も見てきました。そこは毎年いくつもの小さな土砂崩れが起きているそうで、10年、20年というスパンで見るとひどい劣化になっています。風力事業者の説明会のとき、副社長が「風車を建設すると確かに自然破壊が起きるが、それは建設するときだけの話だ」と言いましたが、ああ、あれは嘘だったのかあ・・・。山を削って何か大きなものを造るとき、そこでは継続的に自然破壊が進むのですね。

 

再エネを規制する条例について。現在、太陽光発電を規制する条例が全国で約200件、太陽光と風力の両方を規制する条例が数十件できているそうです。弁護士でもある室谷会長によると、「条例で再エネを規制するのは違法ではない」そうです。

ドイツやデンマークなどは概して日本よりも風が強く、山地が少ないため、日本より風車の発電に適しているそうです。洋上風力発電も、海が遠浅であることで、比較的造り易い。けれども、ヨーロッパでも再エネ発電が成功しているとは言い難いそうです。

メディアを使っての大々的な(自然にやさしいという美しくてきれいな)キャンペーンによって、再エネの本当の姿が市民には見えにくくなっている感じがする、と室谷会長。

いま無理やり進めている再エネ化のしっぺ返しがいずれ来ると思っておいた方がいいかもしれません。

 

 

4月1日くまもり神奈川講演会に参加者84名!熊森の輪がさらに大きく! 於:横浜市

2023年4月1日(土)、横浜市のかながわ県民センターで神奈川県支部主催のくまもり講演会が開催されました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

支部長作成のポスター

 

神奈川県・東京都支部のボランティア計13名が会場の準備・片付け等をお手伝いしてくださいました。

当日の参加者はなんとスタッフ寄せて84名!

みなさん、お忙しい中、足をお運びくださってありがとうございました。

 

神奈川県支部の高野支部長は、以前から個人でツキノワグマの調査をしていました。誰か一緒に調査してくれる人はいないかなと探していて、熊森を見つけたそうです。今も仕事を兼ねて毎日山に入っています。今回初めて熊森講演会を企画しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高野支部長

 

まず、神奈川県出身の本部研究員羽田が、クマの特性や熊森が行っている被害対策、都市の人々に知っておいてもらいたいことなどを30分間話しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

本部研究員羽田

 

次に、室谷悠子会長が熊森の成り立ちや歴史、再生可能エネルギーによる森林破壊に対する熊森の取り組みについて90分間講演しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

室谷悠子会長

 

 

 

 

 

 

 

 

 

会場風景

 

参加者の皆さんには質問事項を用紙に記入してもらい、休憩後、室谷会長と羽田が約20分間、お答えさせていただきました。

 

<主な質問内容>

・野生動物が山で生きてけるようにするにはどうしたらいいのか?

・クマの個体数が急増しているというニュースをよく見るが実際どうなのか?

・人工林はどうやって伐り出すのか?

・国は荒れた人工林に対してどのような対策をとっているのか?

・人工林を天然林に戻す場合、山は購入しなくてはならないのか?

などなど

 

 

皆さん最後まで熱心に聞いてくださり、「今日は勉強になりました」という喜びの感想を何人もいただきました。

帰る前に物販コーナーに立ち寄ってくださる方も大勢いました。

熊森協会の活動を多くの方に知っていただくことができて、とても良かったと思います。

高野支部長のリーダーシップでさらに神奈川県での熊森の輪が大きく広がり、大型野生動物と彼らの棲む豊かな森を守ろうという流れが関東でも大きくなることを願います。(完)

 

尼崎市公立小学校3年生に、熊森職員になって初めての環境教育 「わたしたちに森は必要か」 

わたしは、昨春、環境教育担当として熊森に就職したものの、いきなりコロナで、これまで学校で授業させていただく機会がなく、学校外でくまもり紙芝居をさせていただいたことが少しあっただけでした。

 

1月14日、遂に初授業の日がやってきました。なんと熊森は、この小学校で20年間連続、環境教育をさせていただいているのです。

 

兵庫県も今、コロナ第3波のまっただなかですが、何とか例年通りのイベントを子供たちに体験させてあげたいという学校側の意向で、コロナ対策を強化しながらの環境教育となりました。例年は、1、3、5年生を1学年ずつ3クラス教室に集めて3時間の授業するのですが、今年は密にならないよう、子供の間を離して、3年生のみ1クラスごとに3回実施です。

 

まず初めに、自己紹介。

おねえさんが大学4年生の時、研究室にクマが入ってきたのです。こわくなって、クマのことをネットで調べてみて、日本熊森協会を知りました。このことがきっかけで、日本熊森協会に就職し、野生動物や森を守る仕事をしていますと話すと、全員の子供たちの目が私を見ているのを感じました。

 

次に森の写真を見せて、森はどんなところか発表してもらいました。

明るい、虫がいる、木がいっぱい生えている・・・板書が間に合わないほど次々と子供たちが発言してくれます。

次に、スギの放置人工林の写真を見せて、これも森かな?木がいっぱいあるよというと、子供たちは比較することにより、森とはなにか認識しなおします。

 

 

=いろいろな植物+いろいろな動物+いろいろなび生物

 

尼崎市には今や森はゼロです。森がどういうものかわかってもらってから、私たちに森は必要かという投げかけをしてみました。

 

この日は4つの観点を提示して子供たちに考えてもらいました。

時々、ぬいぐるみのツキノワグマの「つっきん」が登場して、情報を提供してくれます。

「昔はね、森にいっぱい食べ物があったんだけど、去年もその前の年も、森のドングリの木が大量に枯れちゃって木の実は実らず、大好きな昆虫もほとんどいなくなっちゃったんだ」

と語ると、子供たちから、一斉に

「どうして」

の疑問が飛び出します。3年生の子供たちにどう説明すればいいのか、一瞬たじろぎました。

「地球温暖化とか酸性雨とかいろいろ言われているけど、まだよくわかりません。どっちにしても人間が原因を作っているようです」フーッ。

 

ツキノワグマの「つっきん」が、

「ぼくたちおなかがすいてね、食べ物を求めて次々と山から出て行ったんだ。そうしたら、人間が大勢やってきて、みんな鉄砲で撃ち殺しちゃったんだ。ニュースで見たでしょう」

というと、

「かわいそう!」

の声が、子供たちの中から反射的に上がりました。子どもたちにとって、こういうことは理屈ではなく、本能的にかわいそうなのです。

 

授業も終盤にさしかかりました。

1400万人もの人が毎日水道水を使うのに、どうして琵琶湖の水はなくならないんだろう。実は460 本の川の水が一年中、琵琶湖に注がれています。

滋賀県の全ての川をていねいに熊森スタッフが色塗りした地図を見せると、子供たちはびっくりする前に、

「川はいっぱい分かれてたりするのに何本かわかんない!」という反応。

何のことを言っているのかよくわからなかったので、前に出てきて説明してもらいました。

 

「(川の)こことかくっついてたり離れてたりしてるよ」と教えてくれる児童

 

 

確かにこれはどう数えてるの?と一瞬、私も考えこんでしまいました・・・。

(後で調べたところ、琵琶湖に注ぎ込んでいる川の数というのは、琵琶湖に面している川の本数のみを数えたもので、支流の本数は数えていないとのことでした。)

 

子どもたちから出る発言は予想外の連続でした・・・

 

子どもたちの視点はいつも鋭いです。おかげで大変勉強になりました。私も子どもたちのような目で見れたらなぁと思います。

 

私は初めての授業でドキドキだったのですが、コロナもなんのそのビックリするくらい元気いっぱいな子どもたちに助けられ、なんとか初授業を乗り越えることができました。

 

 

 

3年生だけでもこんなに勉強になったので、他の学年の授業もしてみたくなりました。

 

コロナの中、子どもたちにすこしでも幅広い体験をと、熊森を呼よんでくださったこの小学校に、心から感謝します。

 

●熊森協会本部では環境教育部員を募集中!!

これまで、日本熊森協会では、多くの大学生たちが、今、日本で起きている森や野生動物の危機的状況について学び、保育園、幼稚園、小学校に出かけて、後輩たちに環境教育を実施してきました。

学生の皆さん、若者が教える子供たちへの熊森環境教育、学外サークルとして、一緒に取り組みませんか?

関心のある方は、ぜひご応募ください!

電話0798-22-4190

メールconntact@kumamori.org

 

コンコンさまにさしあげそうろう

(絵本「コンコンさまにさしあげそうろう」から)

何日も何日も雪がふりつづいて、山も畑もまっしろです。

「かあさん、さむいよう、おなかがすいたよう」

ふるえる子ギツネをのこし、

母ギツネは食べものをさがしにそとに出ました。

そのとき、おいなりさんの森から、

「チーン、チーン、ドン、ドン」と、

かねとたいこの音が聞こえてきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かねとたいこの音は、山に餌のない一番寒い大寒の晩に行われる野施業の音で、「こんこんさまにさしあげそうろう」と言いながら、村人みんなで野の者たちに与える食料を持って雪山に入る行事です。

子供たちはさんだわらに、キツネの好きなあずきめしとあぶらげとかわじゃこをのせて、あちこちに置いてまわります。

餌のない時期の野の者たちを人間が思いやると共に、彼らが人間の所に来なくていいようにする知恵でもあるのです。

作者の森はなさんは1909年、兵庫県但馬地方の和田山というところで生まれました。

32年間、小学校の先生を務めた後、作家に。知的障害を持つ心優しい男の子を、村人みんなで守り育てた代表作「じろはったん」はとても有名です。

但馬地方の人々のやさしさが、胸に温かく伝わってきます。人間ていいな、人間が好きになってくるお話です。

 

 

野施業: 寒中に餌をさがすことのできない野の狸や狐などの鳥獣に餌を施すこと。近畿一帯から山口県にかけての地方で広く行なわれてきた行事。

 

この絵本を読んだ人の感想(ネットから)

「のせぎょう」という、えさが最も乏しくなる大寒の夜に、キツネやタヌキなどの山に住む動物に食べるものを施し、動物達が村の鶏を盗むなどの悪さをしないよう考えられた昔からの年中行事を題材にした本です。

何日も雪が降り続いて、食べ物が底をついたキツネの母と子。寒くてお腹がすいた子ギツネは、泣きながらお母さんキツネの胸の中で眠ってしまいます。母親にとって、これほど辛いことはないと思います。母ギツネは村の鳥小屋を襲おうと決心しますが、犬にほえられて断念。池も凍っていて魚も取れない。諦めて母ギツネが穴に戻って見たのは、枯れ葉をくわえ、泣いて眠ってしまった子ギツネの姿。切なすぎます…。

でも、そんな時、村はずれのお稲荷様から、「こんこんさまにさしあげそうろう」という子供達の声が聞こえてきます。丁度、のせぎょうの日だったのです。母ギツネは「ありがたい」とお稲荷様に手を合わせ、お供え物のあずきめし、あぶらあげ、かわじゃこを持って帰り、子ギツネに食べさせます。母ギツネの目に涙が一杯たまります。私も涙が出てしまいました。

この本を読んで、最近、民家まで下りてきて畑を荒らし、射殺されるクマ、捕獲される鹿や猿などを思い出しました。昔の人達は、動物達の生を尊重することが自分達の生活を守ることだと判っていたので、こういった行事をしていたのでしょう。

今、地球温暖化、樹木の伐採など、彼らのえさを取り上げているのは私達人間。自然、野生の動物、人間がどう共存していくのか、改めて考えさせられる一冊でした。(東京都40代ママ 2010年)

 

熊森から

 

子供を巻き込んでの昔からの野施業は、山に住む動物たちと人間との共存方法を、現地での実践を通して子々孫々に体得させていくすばらしい環境教育です。

 

私たちは今一度、クマ、サル、シカ、イノシシ、明治になった時にはこの国にまだオオカミも残っていましたが、このような大型野生動物たちを一種もほろばさなかった奇跡の日本文明の元となる、祖先の動物観や自然観に学ぶべきだと思います。西洋文明と違って、私たちの祖先はこうやって、人間も動物たちも、みんな一緒にこの国で暮らしてきたのです。

 

西日本で生まれ育ってきた私たちには、飢えに耐えかねて山から次々と出て来るクマたちを今のように皆殺しにするのではなく、都会の公園で集めたドングリを獣道に運んでやって、山から出てこなくてもいいようにし、人身事故が起きたりクマが射殺されたりしないようにする緊急避難措置の「どんぐり運び」に、何の違和感もありません。

 

もちろん、私たちが熊森が23年間全力を注いできたのは、クマ問題の根治療法である奥山での広葉樹林再生里山でのクマ止め林造り、すなわち、棲み分け再現事業であることはいうまでもありません。

 

<祝>石川県小松市のクマ止め林づくりクラウド・ファンディング、早々と目標額500万円達成

石川県小松市×かが森林組合プロジェクト

ふるさと納税で応援(ガバメントクラウドファンディング)

・・
クマを森に帰そう!
豊かなドングリの森づくりで、
・・
人と野生動物の共生を
目標額、達成!
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<以下、中日新聞12月2日記事より>

森林再生のために植栽するかが森林組合の組合員=小松市内で(かが森林組合提供)

森林再生のために植栽するかが森林組合の組合員=小松市内で(かが森林組合提供)

 

食べ物を求めて人里に現れるクマの出没を減らそうと、小松市とかが森林組合(同市)は、豊かな餌場をつくる森林整備のため、ふるさと納税を活用したクラウドファンディングで寄付を募っている。クヌギやコナラなどドングリの実をつける広葉樹を植栽する。目標金額は500万円。

 市には今年、例年の約5倍の225件のクマの目撃情報が寄せられ、人身事故が2件起きている。冬眠前のクマの餌のドングリが凶作で、餌を求めて住宅密集地まで出没するクマが後を絶たない。森林の手入れが行き届かず、里山が荒廃し、人里との境目があいまいになったことも出没の要因とされる。
 寄付金は放置林の除去、森林の間伐や植栽、苗木の生産などに活用する。ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス ガバメントクラウドファンディング」で受け付けている。募集は来年2月24日まで。
 開会中の市議会一般質問で8日、岡山晃宏議員=会派自民=がクマの餌不足対策を質問した。市産業未来部の林活歩部長は「伐期を迎えた森林の再造林を進め、クマがすみやすい環境づくりに必要な森林を整備したい」と話した。
(問)市財政課ふるさと納税推進チーム0761(24)8068 (長屋文太)

 

小松市岡山晃宏市議の質問

1.有害鳥獣対策について

今年も集中豪雨により、球磨川の氾濫など天候による災害はありましたが、それ以外に新型コロナウィルス、感染症、クマの出没と、生き物が絡む災害ともいうべき被害で日本中が大混乱した年になりました。

本市においてもクマによる人身被害が出てしまったことは残念ではありますが、消防署や消防団、警察、市の職員や関係者の皆様には、昼夜を問わず、監視の強化や、薮払いなど今できる最大限の対策をとっていただいたことに、心より感謝申し上げます。

 

 ・緩衝帯の整備について

クマが人里に降りて来る原因もいろいろあるようですが、長い目で見るとクマ対策、有害鳥獣対策は、野生獣と人との棲み分けをめざす里山の整備が必要だと考えます。一昔前は里山では、畑で多くの人が仕事をし、薪炭材として木が伐採され、移動しやすいように道が造られることにより、自然と緩衝帯ができ、里山には実のなる広葉樹が多くあり、野生獣との棲み分け・共生が成り立っていたこと、それが、過疎化や林業の後継者不足などで管理ができず、耕作放棄地や里山が荒れて行ったことを聞いたことがあります。これまで野生獣の出没抑制の緩衝帯整備は、県の石川森林環境税を使って整備され、昨年から交付が始まった国の森林環境譲与税は、本市では県の事業と重複しないよう、森林管理者や境界の調査、森林管理に必要な人材育成、木材利用の普及の促進、森林状況調査などに使われてきました。根本的な鳥獣対策は、里山の再生につながります。そのような意味で里山の再生をめざす国の森林環境譲与税の使途を、人工林の伐採や緩衝帯整備に迄広げることはできないでしょうか。本市の見解をお聞かせください。

 

・エサ不足への対応について

次に餌の確保についてでございます。熊が人里に降りて来る原因の一つが山林のえさ不足と言われています。えさとなる木の実の豊作凶作だけでなく、気候変動や酸性雨により木が枯れていることも懸念されています。今年捕獲されたクマは、胃の中が空っぽでやせ細っていたとお聞きしました。クマは本来、落ちた木の実は食べないと言われていますが、ドングリを集めて獣道に置いたら、夜食べに来たり、糞の中に普段は絶対に食べないギンナンが確認されたりと、クマも生きるために必死で食料を探していたと思われます。そのような意味で実のなる木を里山に植樹することが必要と考えます。樹種としてクヌギ、アベマキ、ナラガシワ、クリ、サルナシ、コバノガマズミや春から初夏にかけて実がなるサクラなどがよいと聞きました。これらの実のなる木は広葉樹であり、人工林を広葉樹林化することは森林環境譲与税の目的のひとつでもあります。森林環境譲与税で植樹を行うようにすることはできないのでしょうか。本市の見解をお聞かせください。

<以下、石川県かほく市塚本佐和子市議のブログより>

 

小松市でのクマの出没 人身事故は深刻

今年は例年の5倍を超えるクマの出没

人身事故も多発

市民の方は 不安を抱える日々を送られてこられたと思う

・・

クマは本来

人目を避けて暮らす動物でありますが

主食であるドングリの実が不作で

食べ物を求めて人里に下りてきたものと考えられておりますが

 

この度 小松市では

長いスパンを見て(おそらく持続可能にするために)

豊かな森の生活者クマが棲みやすい

環境づくりと循環型の森林づくりを進めるため

人の野生動物の共存をテーマにしたプロジェクトとして

ふるさと納税で応援していただこうと募集を開始しました

 

プロジェクトは

ドングリの実を付ける広葉樹(クヌギ、コナラなど)を植栽し

クマの餌場と豊かな森をつくることで

クマが人里に降りてこなくても冬を越せるよう取り組みです

 

小松市!すばらしい

 

本市としては

今年はクマの出没はございましたが

人身事故はございません

 

しかしながら

森林が荒れていることや

人と野生動物のすみわけがわかる境界線がなくなっている現状もあり

今後のことも踏まえ

クマ対策についてお考えいただく必要はございます

(ということで 12月8日の一般質問ではクマ対策について質問いたします)

 

自然

森林の復興まで長い時間がかかりますが

何もしないよりまし

時間をかけて 森を取り戻そうとする動き

参考にさせていただきます

 

熊森より
・・
人間活動によって昆虫、サケ科渓流魚、木々の実り、山中の全ての食べ物が消え、冬ごもり前の食い込みができず、生きられなくなり、おなかをすかせて山から出てきたクマたちを、全部撃ち殺してしまう。今、日本中でしていることは、恥ずべきことで、人が狂ってしまっています。人間のすることではないと思います。
小松市が、今年もクマが山から続々と出てきたのは、山の実りが消えて、クマが餌不足に陥っているからと、原因を正しく特定してくださったことに、心から拍手を送りたいです。
・・
では、どうしたらいいのか。
・・
えさ場復元しか、共存への道はありません。
・・
このクラファン、もし集まらなかったら、熊森が補填しなければならないだろうと考えていましたが、それにしても500万円は大きなお金です。
どうしたものかと思っていたところ、うれしいことに早々と目標達成がなされたもよう。やれやれ。
2月24日締切の予定が、現在すでに、624万円になっています。
熊森は、日本初、小松市の英断に拍手です。
森林環境譲与税を使うという手もあります。
他の都道府県市町村も、小松市に続いてください。

何度でも訴えたい 石川の山からクマたちの命の糧、ミズナラの木が消えてしまっているのです

2005年時の石川県白山のミズナラ巨木の総枯れ写真です。当時、車で2時間ほど白山の周りを走りましたが、延々と山が真っ赤でした。この世の終わりを感じました。

 

北国新聞2005年8月トップ面

 

次は、石川県白山の2年後の写真です。

枯れたミズナラ巨木群が白骨死体のように見えます。主原憲司先生提供

 

現在の白山の写真

ミズナラの巨木が倒れた空間は、何事もなかったように、他の広葉樹が枝を伸ばして埋めています。

 

白山の山は今も、一見、素晴らしい自然林です。

しかし、何度でも言いたい。クマが冬ごもり前の命の糧にしてきた大きなドングリの実を大量にもたらすミズナラ、野生動物たちの命を支えてきたミズナラの木が消えているのです。

 

環境省も地方自治体も、担当者は3年ごとに新しい人に変わるため、新しい担当者は15年前にほとんどミズナラの木が消滅したことを知らないことが多いのです。

 

これでブナまで大凶作のゼロとなると、クマはもう生きていけません。この歴史を知らないと、クマがえさを求めてどんどん山から出て来るという現象を見て、クマが増えて山からあふれ出してきたという見解になってしまうのです。

 

ナラ枯れの原因は解明されていませんが、200年も300年も生きてきたであろうミズナラの巨木が一気に枯れてしまったことを思うと、ナラ枯れは、昨今の人間活動の結果である地球温暖化や大気汚染が原因であると思われます。

 

国は、ナラ枯れの原因を5ミリほどのカシノナガキクイムシのせいにしていますが、責任転嫁している間は、問題は解決しないと思います。

 

かつて大量の実りをもたらしていた、大きな実が大量に付くミズナラの木

 

1本のミズナラの巨木が100キロのドングリを落とすとすると、4本あるだけで、秋のクマ1頭の食料を賄えるのではないかと思われます。(以前15年生のクヌギを調査した時、1本の木で、10キロのドングリを落とすことが分かりました)祖先が残してきた奥山は、人間の予想以上に、数多くのクマたちを養っていたのではないかと推察されます。

それが、今や、ああ・・・絶望的です。

 

ナラ枯れの跡地にミズナラの稚樹を見かけた場所もありますが、まだまだ実をもたらすまでには至っていません。

とよ君、今年は早々と冬ごもり

12月15日、大阪府豊能町高代寺山の山頂に初雪が降りました。(すぐにとけてしまったようです)

15日のお世話日誌(ラインで毎日本部に送られてくる)によると、この日は飲み水に氷が張っていたということです。

とよは、寝室にこもったままで、入れてもらった藁を、好みの形に整えていたそうです。

冬ごもりに入るんじゃないかなと、思わせました。

本部は、2020年のとよの冬ごもり開始は12月15日と記録しました。(やはり、とよは初雪が降ったら寝る)

 

12月20日に、藁を足しに行ったところ、とよはなかなか寝室から出ようとしなかったため、ブドウなどでおびきだしました。ゆっくりした動作で運動場に出てきて、食べ終わるとすぐに寝室に戻ろうとしました。(冬ごもり中を起こした感じ)

冬ごもりを確認するために、寝室から運動場に出る引き戸を10センチだけ開けて帰りました。

 

12月22日最終確認に行きました。

引き戸は10センチ開いたままです。

運動場に出た形跡はありません。(出たければ、とよは自分で引き戸を開けて出ます。閉めることはできません。)

運動場に置いていたリンゴもブドウも食べていません。(ドングリしか食べない時期は、もう終わっている)

引き戸10センチ開いたまま、運動場のリンゴもブドウも手付かず。

 

寝室の餌箱に入れたボールの水を飲んでいるかどうか調べました。

餌箱に、少しだけ糞がしてありました。

今年最後の糞です。間違いなく冬ごもりに入っていることがわかりました。

触ってみましたが、無臭で、いつもの糞と変わった点はありません。

水入りボールの水替えをして、餌箱に戻しました。

 

とよが冬ごもりに入ったことを示すポスターを張りました。

とよ、来年3月にまた会いましょう。

私たち人間は、今年もとよにどれだけ癒されたことか。

とよ、ありがとう。

今頃は、野山を駆け巡る夢でも見ているかな。

ゆっくり冬ごもりしてね。

お世話隊を見つめるとよ

 

副住職さんがやって来られて、コロナのため、今年の除夜の鐘はお寺関係者だけでつくことにしましたと言われ、そのことを伝えるチラシを張られました。

 

殺処分されそうになっていたとよを助けてくださった、優しい住職さんのお寺です。

お寺の御朱印が、とよになっていて、びっくりしました。

住職さんがデザインされたそうです。

この御朱印にはご利益があるかもしれないと思いました。

今、参拝記念に御朱印を集めるのがブームだそうです。

高代寺の御朱印はいかがですか。

 

 

来年は、獣舎のペンキを塗りなおした方がいいな。

とよのとなりの部屋が空いたままなので、冬ごもりが明けたらとよに両方の部屋を使わせてあげるといいな。

いろいろ思いながら、帰途につきました。

今後は、近くに住む会員たちが、時々そっと冬ごもり中のとよの安否確認に行ってくださいます。

この1年、とよのお世話をしてくださった皆さん、とよに会いに来てくださったみなさん、遠くからとよに声援を送ってくださっていたみなさん、ありがとうございました。

とよは、まだ完全回復とまでは言えませんが、昨年の原因不明の両後肢マヒから見事に立ち直って、夏からは、また再びプールにも入れるようになっています。来年もあたたかく見守ってやってください。

 

 

徳島県支部設立記念シンポジウム、会場50人、ウェブ参加35人、盛大に開催

11月14日、熊森徳島県支部は、「くまともりとひと~わたしたちのこれから」をテーマに、設立記念シンポジウムを徳島市の市立図書館に併設されたシビックセンターで開きました。

 

シンポジウムには、四国4県から熊森会員だけでなく新聞報道などで開催を知った非会員を含め計約50人が会場で参加したほか、会場の様子はインターネット中継され、約30人がウェブ参加、入場時の体温チェックや着席の間隔を確保する新型コロナウイルス感染防止対策を取り入れながら、盛大に開催することができました。

 

大西さちえ支部長は開会のあいさつで、今年6月には人工林の皮むき間伐のため、今回のシンポジウム直前の11月12日には初の実のなる木の植樹のため、急峻な山道を2時間かけて、絶滅寸前といわれる四国のツキノワグマの生息地でもある徳島・高知県境の熊森四国石立山トラスト地に登り切って作業したことを報告。「会場には徳島、高知、愛媛会員の他、香川県で熊森の支部をつくりたいという人も来られています。四国のみんなで力を合わせて、くまもりの輪を大きくしていきましょう」と笑顔で呼びかけました。

 

続いて、滋賀県知事を2期8年務められ現在は参議員議員の嘉田由紀子熊森顧問と、徳島県旧木頭村の元村長の藤田恵熊森顧問が記念講演をしてくださいました。

 

記念講演要旨

 

●嘉田由紀子顧問

「奥山からの総合的な流域治水こそが多くの命を守る」

 伐採寸前の滋賀県のトチノキ巨木群を裁判までして守ってくださったのが熊森協会です。弁護士の室谷会長です。本当にありがたい。
今年7月の九州豪雨で熊本県球磨川が氾濫し、死者50名。これによってダム必要論が再浮上、中止された川辺川ダム計画の復活の動きも出てきました。ダムに頼らない治水を訴えてきた私としては、ダムがあれば50名の死が防げていたかを現場を訪れ徹底的に調査しました。結論として、川辺川ダムがあれば救えていた命は3名です。

吉野川の河口堰もいつ復活するかわからない。水を流すための河川掘削や浸水する恐れのある地域に建物を建てないなど、奥山からの総合的な流域治水こそが多くの命を守ります。

 

●藤田恵顧問

「日本は森再生に取り組むべき」

 全国各地で連日クマが山から出てきました。あれは山に餌がないからですよ。昔は木頭村でも奥山に行けば、大きなブナの木があり、クマは大木の洞などに寝て暮らしていました。森にはいろんな種類の木がありましたが、今は全くありません。国は拡大造林政策で1950年代から広葉樹を次々と伐り、スギなど針葉樹を密植したまま放置してきました。山の保水力は失われ、近年、豪雨時、山崩れなどの災害が頻発するようになりました。学者は御用学者ばっかりで、拡大造林の「カ」の字も言わない。マスコミも忖度して一切書かない。そんな中、拡大造林政策の弊害を熊森協会は一貫して指摘してきた。本当にすごい団体だ。
(森が豊かだった頃の徳島の森のイメージ写真を何枚も映し出しながら)今の徳島の山を自然だと錯覚しないでほしい。昔の豊かだった時の山の姿を知ってほしい。今後は、スギと広葉樹を交互に植えて針広混交林を造ったり、広葉樹林を再生したりしていかねばならない。砂漠緑化に成功したすごい人がいる。砂漠緑化に比べたら、日本の森再生はもっと容易なはず。熊森が進めようとしている森再生は、きっと日本で成功する。日本熊森協会の実践活動に大いに期待しています。

 

後半プログラム

 

●本部クマ保全担当、水見竜哉研究員

「自然保護団体として、今回初めて四国のツキノワグマのために実のなる木を植えた」

 水見竜哉研究員が、四国のツキノワグマをめぐる現状や四国の山々で放置人工林が広範囲に及んでいる様子をスライドを使って基調報告。「自然保護団体として、今回初めて四国のツキノワグマのために実際に実のなる木を植えることができました」と喜び一杯に報告。今後も、50メートル四方の群状間伐と広葉樹の植樹を継続していきたいと意欲を語りました。

 

●森山まり子名誉会長

「自然保護団体を大きくして、地球環境破壊に歯止めを」

最後に森山まり子名誉会長が、戦後の林野庁の「拡大造林政策」と、1999年に導入された環境省の「ワイルドライフ・マネジメント政策」、この2つの誤った政策により、日本の森や動物、地元の人たちが、悲鳴を上げています。

今年も、何の罪もないどころか人間活動の被害者であるクマが害獣のレッテルを貼られ、連日、大量に捕殺されていきました。私たちは毎日胸のつぶれる思いでした。クマが山から出て来るのは、生息地であった奥山の自然環境が破壊されたからで、この問題を解決しなければ、私たち人間もやがて生きられなくなります。

他生物や次世代に責任を持つ大人として、熊森がもっと大きくならなければならない。会員をもっともっと増やして、私たちが声を上げていかなければならないと、熱っぽく語ると、会場は大きな拍手に包まれました。

みなさん、ありがとうございました。

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