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⑥誤捕獲されたクマが一時保護されている大阪府豊能郡豊能町て、どんなところ?

6月19日、大阪府で初めて、クマが捕獲されました。イノシシ罠に誤ってかかってしまったのです。このクマは、現在、豊能町で、職員から水やえさを与えられて、一時保護飼育されています。

クマが捕獲された場所から約1~1.5キロメートル行くと、京都府亀岡市であり兵庫県川西市です。京都府庁と兵庫県庁に電話で問い合わせたところ、今回このクマが、府内または県内で誤捕獲されていたなら、自分たちはすぐに放獣したと断言されました。

 

豊能町はというのはどんなところか。熊森本部スタッフたちは、6月末に、大阪府北西部に位置し、京都府亀岡市と兵庫県川西市に隣接する豊能町を車で訪れました。

 

【問題が起きた時はすぐに現地へ】というのが、熊森活動の鉄則です。

 

現地は、大阪府にこんな田舎が残っていたのかと信じられない思いがする、山々に囲まれた農村風景の町でした。小川にはいろいろな魚たちが泳いでおり、懐かしいふるさとに帰ったような気がしました。山並みは、北摂山系です。この辺りはかつての薪炭林で、現在は、アカマツ、クヌギ、コナラ等の放置里山林となっており、最近は、野生シカによる林業被害が起きているそうです。

 

豊能町は大阪府の自然景勝地であり、標高は400m~600m。大阪の中心地より気温が約3度低く、大阪の北海道等と呼ばれています。兵庫県境にある妙見山(660m)は、ブナとアカガシの巨木の混交林です。雪量も多いということです。

 

豊能町の面積は34平方キロメートル。森林率は、64%で、うち51%がスギやヒノキの人工林となっていますが、こちらもほとんどが放置されています。人口は21536人で戸数は8739戸です。

 

クマが捕獲されたのは、山林に仕掛けられていたイノシシ罠であり、クマが市街地に出て来たわけではありません。3歳のオスグマが、京都府または兵庫県のクマ生息地から、冒険心を起こしてそっと遠出してみたのではないかと、わたしたちは豊能町の山並みを見ながら感じました。

 

どちらにしても、一時保護飼育されているとはいえ、クマは小さな檻に閉じ込められているため、このままでは弱っていく一方です。豊能町は、一刻も早く絶滅危惧種のこのクマを、山に帰してやってほしいものです。

 

地図の赤い風船のあたりが、誤捕獲された場所周辺だと思われます。

豊能町野間口

ちなみに、今年の6月、このすぐ近くの京都府では3回、兵庫県では1回の、クマの目撃が報告されています。この辺りは、クマが一時期生存できる自然環境にあるということで、そういう意味で、すばらしい自然環境が残されている町だと思います。

 

 

 

 

⑦誤捕獲グマに対する国の対応規定はどうなっているのか

クマ等の野生動物は、「動物愛護法」や「鳥獣保護法」によって対応が国に規定されています。

法律というのは、大きな網の目で規定されたもので、個々の具体的な対応は、環境省が出す様々な文書で規定されます。

 

誤捕獲グマについては、平成23年に環境省が告示した「鳥獣の保護を図るための事業を実施するための基本的な指針」が、平成24年から平成29年まで使われることになっています。以下は、この指針に記載されていることです。(以下の赤線は、熊森によるもの)

 

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第4、鳥獣の捕獲等及び鳥類の卵の採取等の許可に関する事項2

(6)捕獲実施にあたっての留意事項

 ② ツキノワグマの生息地域であって錯誤捕獲のおそれがある場合については、
地域の実情を踏まえつつ、ツキノワグマの出没状況を確認しながら、わなの形
状、餌付け方法等を工夫して錯誤捕獲を防止するよう指導するものとする。ま
た、ツキノワグマの錯誤捕獲に対して迅速かつ安全な放獣が実施できるよう
に、放獣体制等の整備に努めるものとする。

 

(7)捕獲物又は採取物の処理等

さらに、錯誤捕獲した個体については原則として所有及び活用はできないこ
と、放鳥獣の検討を行うこと、狩猟鳥獣以外においては捕獲された個体を生きた
まま譲渡する場合には飼養登録等の手続が必要となる場合があること、また、捕
獲許可申請に記載された捕獲個体の処理の方法が実際と異なる場合は法第9条第
1項違反となる場合があることについてあらかじめ申請者に対して十分周知を図るものとする。

 

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(9) 保護の必要性が高い種又は地域個体群に係る捕獲許可の考え方

地域における生息数が尐ない等保護の必要性が高い種又は地域個体群に係る捕
獲許可は特に慎重に取り扱うものとし、継続的な捕獲が必要となる場合は、生息
数や生息密度の推定に基づき、捕獲数を調整する等、適正な捕獲が行われるよう
図るものとする。このような種については、有害鳥獣捕獲と紛らわしい形態を装
った不必要な捕獲等の生じることのないように各方面を指導するとともに、地域
の関係者の理解の下に、捕獲した個体を被害等が及ぶおそれの尐ない地域へ放獣
させる等、生息数の確保に努めることも検討するものとする。

 

<熊森から>

近隣府県はどこも、それぞれ大変な中、誤捕獲グマを100%放獣されています。生息地であった奥山が大破壊されたままであるという問題が全く手付かずであるため、誤捕獲グマの放獣だけでクマ保全ができるものではありません。しかし、まず、助けられる命は助けること。豊能町は誤捕獲グマを一日も早く、放獣していただきたいと願います。

 

放獣にあたっては、クマ放獣に慣れている近隣府県のクマ担当者に会いに行って納得できるまで話を聞かれたり、放獣専門業者に放獣してもらったりしてください。

大阪豊能誤捕獲クマ③ 同一個体群として生物を見るべきなのに、行政の厚い壁が救命を阻む

6月21日(土)22日(日)、大阪豊能誤捕獲グマのその後が気になるものの、行政が休みに入ったため、連絡がつかなくなりました。これまでも、こういう命に関わる大事な時に限って、よく土日に入ってしまうのです。   6月23日(月)、大阪府庁に問い合わせると、放獣するところもなく、貰ってくれるところも見つからず、このクマはずっとまだ、ドラム缶檻に入れられたままということです。水とハチミツだけはやっており、ドラム缶は屋内に入れてある。クマは生きているということです。いろいろと配慮していただいていることはわかるのですが、立つこともできない狭いドラム缶の中に、4日間も閉じ込めたままでは、動物虐待になります。自分がこのクマだったらと思うと、想像しただけで、耐えられません。とにかく、ハチミツではなく食料を与えてやってほしいとお願いして、この後、くまもりは、このクマの放獣に向けて、精いっぱい動いてみました。大阪や京都のくまもり会員たちも、有力者に頼むなど、陰で動いてくれました。   その結果、見えてきたのが、行政の厚い壁です。クマは絶滅寸前種なのですから、行政としては連携して守らなければならないはずです。しかし、現実問題としては、捕獲された市または町で放獣するという、決して動かせない鉄則が、行政にはあるのだそうです。今回の場合、豊能町で誤捕獲されたので、豊能町内で放獣する以外に放獣の道はないという他行政のみなさんの答えでした。   これまで多くのクマの放獣を手掛けてきた行政のみなさんは、「クマを放獣して問題が起きたことは一度もない。豊能で放獣しても、クマは直ちに兵庫か京都の山に帰る」と言われます。しかし、大阪府や豊能の担当者は、未経験ですから、クマを放したら、その場にとどまるのではないかなどという不安も当然、持ってしまうわけです。くまもりが間に入ることによって、他府県であっても、行政同士、連携し合って助け合って、絶滅危惧種に対応していただけないか、あちこち飛び回ってお願いしてみたのですが、行政の厚い壁は動きません。   本当に悲しくなりました。このクマは、兵庫の山から出て来たにしろ、京都の山から出て来たにしろ、自然界に行政の線引きはなく、<近畿北部地域個体群>に属するクマです。クマは人間によって近々絶滅させられる恐れが大きいため、ワシントン条約でも、保護するために厳しくいろいろなことが規制されています。日本でもこれからは、地域個体群として市町村行政枠を超えて、みんなで対応するように切り替えて行かないと、クマの保全はできないと思います。   こうなったら、大阪豊能誤捕獲グマ問題の解決は、国に乗り出してもらうしかありません。国有林に放獣するなどの、地方行政を超越した手段が必要です。くまもりは、環境省に大阪豊能グマ問題の解決を投げました。

大阪豊能誤捕獲クマ② 飼い主を探すのではなく、山に返してやってください

6月20日(金)、大阪府が、兵庫県と京都府の行政にクマの放獣をお願いしたが断られたので、動物園などの貰い手を探しているという情報が、くまもりに入ってきました。   これまで、野で大きくなった後に捕獲され、動物園や施設で飼われることになったクマのうち、クマのストレスが高じて悲惨な結果になった例が、いくつか思い起こされました。   第一、これまで、くまもりもクマの貰い手を探し回ったことが何度もあるので知っているのですが、誤捕獲されたクマを貰ってくれるところなど、まず、ありません。 しかも、クマは広い山野を駆け巡って 生をまっとうする動物です。   豊能町や大阪府庁にすぐに電話をしました。   いったん野生で大きくなったクマを獣舎に閉じ込めて飼育することは、クマにとって限りなくストレスです。山に返してやることが一番です。すぐ、放獣してやってください。     長年、クマの保護に関わってきたくまもりとしては、とてもていねいに説明してお願いしたつもりです。 この時、担当者から、クマはイノシシ罠からドラム缶檻に移されたことを教えていただきました。     捕獲場所を地図で確認すると、住所としては大阪府ですが、大阪府、京都府、兵庫県のちょうど境です。このクマは、京都府または兵庫県の生息地から出て来たことが考えられます。京都府でも兵庫県でも、どちらにしてもクマは絶滅危惧種であり、イノシシ罠に誤捕獲された場合、行政によって100%放獣されています。 今回のケースも、お願いすれば、行政の連携によって放獣していただけるだろうと、くまもりは思いました。

大阪豊能誤捕獲グマ① 専門家の手で山に返してやってください

6月19日(木)午前、大阪府豊能郡豊能町で、イノシシ罠にツキノワグマの若いオスが誤って捕獲されたというニュースがくまもりに入ってきました。

 

誤捕獲ですから、法律では直ちにその場で放獣しなければなりませんが、くまもりが一報を得てまず思ったのは、大阪にはクマは生息していないし、大阪でクマが捕獲されたこともないので、大阪の担当者たちがけがをしたら大変だということです。

 

そこで、くまもりとしては、すぐに大阪府庁の担当者に電話をして、クマ放獣の専門家を紹介しました。

 

捕獲場所で放すことが無理なら、移動して、直ちに山へ帰れるように放してやってくださいとお願いしました。捕獲されたクマは、人間が住む場所の怖さを知り、山の中へとんで帰るという話を何度か聞いています。クマの方向感覚は、まるで地図や磁石を持っているのかと思うぐらい正確だという話も、専門家から聞いています。

大阪豊能町誤捕獲グマ④ 狭いドラム缶檻に閉じ込められて8日目 いったん出して保護を

くまもりはこれまで一貫して、このクマを山に返すことを訴えてきましたが、ドラム缶檻内に9日目となった今、いったん休すです。

とにかく有害駆除用の箱罠でも何でもいいので、一度、このクマを狭いドラム缶檻から出してやってください。立てる所に移してやってください。きちんと食料も与えてください。お願いします。

小さな穴が少しあいているだけで、四方八方全てふさがっています。これでは、呼吸すら困難ではないでしょうか。

この状態では、もはや、今さら放してやっても、このクマには、遠くまで逃げる力が失われているでしょう。明らかに、動物虐待です。命を守るには、もっと迅速なプレーが必要です。

以下、読売新聞6月27日記事に掲載されていた、このクマが入れられているドラム缶檻の全景写真です。こんなところに大きな生き物を8日間も閉じ込めているなんて、もう、信じられません。

ドラム缶檻

フィード

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