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2017-08-26

北海道下川町 なぜ草原の向こうにいるヒグマまで撃つのか ヒグマ捕殺許可権限はどこに

(以下、産経新聞記事より一部抜粋)

 北海道下川町役場森林総合産業推進課によると、下川中のグラウンド付近で8月9日午前7時50分ごろ、突然変異で色素が欠乏した『アルビノ』の個体とみられる全身が白いヒグマが目撃された。

様子を見た学校関係者が写真を撮影し、ボランティアの男性に声をかけてそばに近寄ったところ、ヒグマは学校南東部の下川スキー場の方へ逃げた。

 

下川中学校関係者撮影の白いヒグマ

 

学校関係者は「猟友会の人たちと現場を後で見たところ、木の根にアリの巣を掘った穴があり、ヒグマがアリを食べに学校付近の林道に入ってきていたのでは」と推測している。

9日午後5時ごろ、ヒグマはスキー場付近の牧場の草地で発見された。猟友会が2回発砲したが弾は当たらず、ヒグマは茂みに逃げた。14日になってもこのヒグマの発見には至っていない。この白いヒグマは約4年前、下川中学校の東側の西興部(にしおこっぺ)村で子熊の状態で最初に目撃されている。

今年4月になって、下川スキー場付近で成獣となった状態で目撃され、同町が警戒していた。(WEB編集チーム)

 

(熊森から)

ライフルの音がパンパンと鳴った時、ニュース映像ではこのヒグマはかなり離れた遠い草地にいました。

てっきり追い払っていると思い、下川町役場に問い合わせたところ、駆除しようと思って発砲していたとのこと。

アルビノで目立ってしまうこのクマが、狩猟も有害駆除もされずに西興部でここまで成長してきたのに、下川町はなぜ撃ち殺すのか。

「今、クマがアリを食べに来ているので、しばらく通行止めにします」などと人間側に注意喚起して、非捕殺対応を取れないものか。

または、ドラム缶檻で捕獲し、山に放獣してやれないのか。

北海道では、国有林も民有林もクマの放獣はお断りというので、放す場所がないそうです。

私たち熊森は自然保護団体ですが、自然保護の基本は、他生物の尊重です。これができなければ自然は守れません。

北海道のヒグマ捕殺許可権限がどうなっているのか調べてみました。

 

<北海道のヒグマ捕殺許可のしくみ>

北海道では、環境省から降ろされた捕殺許可権限は、北海道庁が持っていることになっています。

しかし、実際は、捕殺許可権限は全道に14ある北海道庁の出先の各振興局に降ろされています。

さらに振興局は、個々のヒグマのケースには関係なく、春に一括して包括的に、市町村に上限数を決めて捕殺許可権限を降ろしてしまっています。

 

市町村は振興局や道庁に相談する必要はなく、単独判断でヒグマを駆除し、駆除後、振興局に報告すればいいことになっています。

北海道は広いので、振興局の人が現地を見に行く事はないそうです。

 

市町村の担当者が判断すると言っても、ふつう、担当者はヒグマに詳しくないので、猟友会に相談することになります。

実質上、猟友会が、捕殺許可権限を持っていることになります。

駆除すれば、猟友会には駆除費が入ると共に、駆除したヒグマがもらえるそうです。

これでは結果的に、1年中クマを狩猟していることになり、ヒグマが守れないのではないかと思うのですが・・・。

 

ある振興局の担当者にお聞きすると、有害駆除は山中ではできないことになっているし、駆除の上限数も決められているから、以前のように駆除オンリーではなくなっていると言われました。しかし・・・

 

当協会顧問のカナダのフィッツアール先生の話では、カナダではヒグマの放獣もどんどん行われているということです。

北海道はカナダより遅れているようです。

多くの国民は、環境省から北海道に降ろされた捕殺許可権限は、道が責任を持って行使してくださっていると思っています。

実際は、猟友会の行使に任されている部分が大きいとは・・・。

 

ここまで生き抜いたアルビノのヒグマ、神の使いとして最後まで生き抜いてほしいです。

 

 

奈良市D地区のシカ1頭捕殺して解体 一線を越えた奈良県 神鹿文化への冒涜 防鹿柵補助予算0円、シカ捕殺予算2000万円

8月17日、奈良市の東里地区で、見回りをしていた猟友会のメンバーが、罠にかかったおとなのオス鹿、1頭を発見しました。

奈良県は、捕殺されたシカの胃の内容物などを調べ、生態の調査に生かすとして、猟友会に即解体を依頼しました。(調査業者は未定で、今後入札を掛けるそうです。それまで解体部位は冷凍保存されます)

猟期が始まる11月中旬まで、120頭をめざしてシカ捕殺が続けられます。

これまで奈良市一円のシカは国の天然記念物に指定され、「神の使い・神鹿(しんろく)」として保護されてきました。

いわゆる「奈良のシカ」が捕獲されたのは、60年前に、天然記念物に指定されて以降、初めてです。

 

 

(熊森から)

このような捕殺の流れを全国に広めてきたのは、野生動物の科学的・計画的管理を標榜する西洋思考のワイルドライフ・マネジメント派の研究者や彼らと繫がっている業者です。(他の分野での西洋文明の良さはもちろんありますが、こと野生動物との共存に関しては、大量絶滅させてきた西洋の自然対応をまねてはなりません。自然は人間の頭で考えた科学の力でコントロールできるような簡単なものではありません。)

彼らは大学教授などの立派な肩書を使って行政に取り入り、賛同してくれそうな人達ばかりを集めてもらって検討委員会を立ち上げ、その答申として捕殺を行政に進言して実行させるのです。

そういうわけで、今回も、「奈良のシカ保護管理計画検討委員会」で、シカ捕殺に反対した委員はゼロでした。

こういうのを、世間では「出来レース」と言います。

 

一般に、首長や行政担当者は最初は捕殺に抵抗を示しますが、専門知識がないので、偉い先生方から、早く殺さないとシカが無限に増えると脅されると簡単に洗脳されていきます。(実際は、野生動物は環境収容力以上に増えられません。現在のシカ問題は人間が引き起こしたもので、昔のように棲み分けを復活させることが必要です)

こうやって、多くの心優しい日本人の思いとは違う残酷な方向に、物事がどんどん進んでいきます。

奈良県は、天然記念物のシカを殺すという一線をついに超えてしまいました。

戦争と同じです。一線を超えるともう止められなくなり、市民は、何かおかしいと思いながらも、声を挙げられなくなっていくのです。

そのうち、C地区のシカも個体数調整しようとなって行くでしょう。B地区、A地区・・・

しかも、死体をねんごろに葬るのではなく、データをとるためとして、即バラバラに解体しました。

祖先が1300年間守り通してきた奈良の神鹿文化への冒涜です。

 

研究者は論文が書けるし、業者は毎年仕事が入っていいことばかり、きっと喜んでいる事でしょう。

まるで、利権構造です。

シカ被害を減らす目的と言いながら、いつの間にか目的がすり替えられています。

全国どこでもこうです。

120頭のシカを殺しても、胃内容のデータをとっても、農作物被害軽減になどには全く結びつきません。

新たなシカが移動して来るだけです。

 

 

今年度のシカ柵補助金を調べてみました。

何と、奈良県から奈良市農家へのシカ柵補助金はゼロです。(奈良市からの補助金は970万円)

ちなみに、シカ120頭捕殺のために、奈良県から猟友会や大阪に本社のあるコンサル会社に、計2000万円が予算計上されています。

この2000万円をシカを殺すことではなく、D地区のシカ柵を強固にすることに使った方が、シカ害は確実に減ります。

 

こんなおかしなことが許されていくのは、国民が声を挙げないからです。

 

ネットで調べてみたら、2012年度にも、奈良県がシカ捕殺に乗り出そうとしたことがあることがわかりました。

 

(以下、当時のj-castニュースより)

担当部署である奈良公園室などに100件以上、「シカを駆除するな」「撃つな」といった抗議電話が殺到し、業務に支障を来した。電話は日本全国からかけられ、「地元はシカを害獣として殺してしまうが、奈良だけは守ってくれると思っていた」といった内容もあり、凍結にいたった。担当者は、「奈良公園内のシカが殺されることはない」と断言。そして、公園周辺の「人とシカとの共生」について、外国人観光客らから「人と自然との共生が残っている素晴らしいもの」と評価されていると強調し、「これまで1000年続いてきた。これから1000年も続けていきたい」と話した。

 

熊森は、当時の担当者は、 普通の人間の感覚で 、専門家と言われる人達よりもすごくまっとうで正しい判断をされたと思います。

 

p.s 8月25日現在のシカ捕殺数3頭。

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