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2017-08-16

山中のくくり罠にかかった子グマを見ていた猟友会員、母グマにかまれ重傷 子グマを母グマの目の前で射殺 

以下、 8月16日朝日新聞ヤフーニュースより

 

 16日午前6時10分ごろ、長野県信濃町大井の山中で、近くに住む猟友会所属の建設作業員、島田輝明さん(60)がクマに頭などをかまれたと、島田さんの友人から119番通報があった。長野中央署と長野市消防局鳥居川消防署によると、島田さんは、頭から顔にかけて複数回かまれて重傷を負い、長野市内の病院に搬送された。

 

島田さんはイノシシを捕獲するため山中にワナを仕掛けていて、ワナ(熊森注:くくり罠)にかかった子グマ(体長約75センチ)の様子を見ていたところ、母親とみられるクマが現れ、かまれたという。

 

島田さんは近くの道路まで逃げ、友人に電話した。

 

信濃町産業観光課農林畜産係によると、猟友会や町職員が現場に駆けつけた時、子グマは助けを求めて鳴き声を上げ続け、親とみられるクマは、逃げ去らずに興奮状態にあった。猟友会が子グマを殺処分すると、親とみられるクマは姿を消したという。

 

同係は「クマを落ち着かせるため、子グマの鳴き声を止めなければならず、殺処分せざるを得ない状況だった。近くに人家もあり、子グマが成獣になった時、再びこの場所に現れ、人を襲うなどする危険性も高いと判断し、猟友会などと話し合って殺処分を決めた」と説明している。

 

(熊森から)

信濃町産業観光課農林畜産係の主張は無茶苦茶で認められない。

それにしてもクマにとっても人にとっても何と悲惨な出来事であることか。

原因は何か。

棲み分けが出来ていない。

 

肥沃な平地はすべて人間が取った。

であるなら、山中は野生動物の国である。

それを認めないというのであれば、共存などもはやできない。

 

生物多様性条約批准国としては、山中に罠を掛けることをやめなければならない。

今回の悲惨な事件の原因は人間が作ったことを、忘れてはならない。

子グマをすぐに罠から外して逃がしてやるべきだった。

箱罠と違って、くくり罠は外しにくい。

そんな罠を山中に掛けるべきではない。

子グマが誤捕獲されたらどうなるか、当然考えておくべきだった。

9月3日(日) 今年最後の皮むき間伐フェスタ開催!

皮むき間伐は、樹木が水分をたくさん吸い上げる4月中旬~9月中旬までが一番やりやすくて、気持ちよく皮が剥けます。ということで9月3日(日)に今年最後の皮むき間伐イベントを実施します。

スギやヒノキの皮を剥いて、人工林を間伐する皮むき間伐。夏休みが終わった後のビッグイベントに是非ご参加下さい!

9月3日(日) 9:30現地集合

実施時間:10:00~16:00

集合場所:酒井公民館(兵庫県三田市酒井212-2)

内容:皮むき間伐、森の紙芝居、ネイチャーゲーム、ロケットストーブで炊き出し体験

参加費:ひとり600円(昼食のカレー代・保険代)

持ち物:帽子、飲み物、動きやすい服装、雨具、マイ食器(コップ・お皿・スプーン・はし)

当日連絡先090-1508-8979

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西日本のツキノワグマの遺伝的多様性が減っている(2017年、国立研究開発法人森林総合研究所研究紹介より )

論文名

Loss of allelic diversityin the MHC class II DQB gene inwestern populations of the Japanese black bear Ursus thibetanus japonicus(ツキノワグマの西日本個体群におけるMHC遺伝子の多様性低下)

 

著者

石橋 靖幸(北海道支所)、大井 徹(石川県立大)、有本 勲(白山ふもと会)、藤井 猛(広島県庁)、間宮 寿賴(富山県自然博物園)、西 信介(鳥取県林業試験場)、澤田 誠吾(島根県中山間地域研究センター)、田戸 裕之(山口県農林総合技術センター)、山田 孝樹(四国自然史科学研究センター)

 

掲載誌

Conservation Genetics、Springer、2016年10月

 

内容紹介

西日本の3つのツキノワグマ地域個体群(西中国山地、東中国山地、四国)は、レッドデータブックで「絶滅のおそれのある地域個体群」に指定されています。これまでの研究から、これらの個体群では、本州中部~東北地方の個体群と比べて、MHC(主要組織適合遺伝子複合体)というタンパク質を作る遺伝子の多様性が低いことがわかっており、過去に著しく個体数が減少したこととの関係が指摘されています。

 

今回、私たちは新たに2001­~13年に集めたツキノワグマのDNAサンプルを調べ、少し古い年代のサンプルを用いた先行研究と多様性を比べました。その結果、3つの地域個体群や近畿北部の個体群では、先行研究で低い頻度で見られた遺伝子のタイプ(対立遺伝子)の多くが無くなり、多様性がさらに低下していることがわかりました。歯の年輪を調べたところ、私たちのサンプルは1980年代のなかば以降に生まれたクマに由来するものでした。したがって、今回見られなかった対立遺伝子はその頃までに消失したことがわかりました。

 

1980年代以降の保護活動により西中国や東中国個体群では個体数は増えつつ(熊森疑問:戻りつつと表現すべきではないのか)ありますが、それに対して遺伝的な多様性はかなり低下していることが明らかになりました。MHC遺伝子の多様性が低い個体群では、免疫機構が認識できないタイプの病原体による伝染病が蔓延するおそれがあります。この結果は今後これらの地域個体群を健全に保全するために必要な対策に活用されます。

写真:ツキノワグマ

 

(熊森から)

MHC遺伝子というのは、免疫をつかさどる遺伝子です。

 

上の論文によると、この遺伝子の研究から、西日本の3つのツキノワグマ地域個体群(西中国山地、東中国山地、四国)は、過去に著しく個体数が減少したことがわかるそうで、現在遺伝子の多様性はさらに低下しているそうです。

 

そんな中で、兵庫県が昨年からハンターに、「クマ狩猟を楽しんでください」と、クマ狩猟を再開しています。この間違った政策を、どう正当化されるおつもりでしょうか。

 

今、兵庫県がすべきことは、棲み分け復活をめざして、奥山人工林を動物が棲める自然林にもどすことです。これ以外にないはずです。

 

現在、ワイルドライフ・マネジメントと称して、厳しい自然界でひとり生き抜いている野生動物たちの命を、人間が好き放題殺してもてあそんでいます。(人間、お前一体何様なんだ?)

もはや異常な精神状態といえるでしょう。

「まっとうな声」を、気づいたひとりでも多くの人が上げねばならない時だと思います。

人間が、他生物の生命の尊厳がわからなくなって、本来のやさしさを失い、無用の殺生に走る。

もはや狂気としか言えません。戦争中の殺戮と同種の狂気です。

 

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