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2017-10

2017年 熊森本部による兵庫県クマ生息地の豊凶調査結果 ブナ並下、ミズナラ並、コナラ並上

ブナ、ミズナラ、コナラなどのクマ生息地のどんぐり(堅果類)には豊作、並作、凶作などと、年によって実りに差があります。

クマは8月の末から木に登り、まだ青いうちから堅果類の実を大量に食べて体に脂肪を貯え、冬籠りに備えます。

堅果類の実りが悪いと脂肪不足で冬籠りに入れませんから、食べ物を求めて人里への出没が増えてしまう傾向があります。

近年、2004年、2006年、2010年のいずれかが地域によっては山の実り全てゼロという異常なまでの大凶作となりました。原因不明です。

おびただしい数のクマが人里に出てきて駆除されました。

人里のドングリであるアラカシ等は良く実っておりましたから、それを食べに来たクマもいました。

 

熊森本部では毎年9月中旬に兵庫県のクマ生息地の豊凶調査を実施し、秋のクマの出没を事前に予測しています。

今年も9月11日から16日まで、1週間ほどかけて全21か所を回ってきました。

調査結果を数値化し、凶作、不作、並下、並上、豊作の5段階で評価しました。

 

ブナは13か所で調査しました。

一斉開花年(9割以上が実をびっしりと付ける)ほどではありませんが、場所によっては豊作の木もたくさんありました。

まったく実がついていない木もあり、県全体の平均としては並下でした。氷ノ山のブナのシイナ(殻だけで中身なし)率は53%でした。

一部地域的には、去年豊作だったところが今年はゼロなど、他地域と連動していない場所もありました。

鳥取県境のブナ

 

ミズナラは18か所で調査しました。多くの木で実りがみられましたが、並作程度の木が多かったです。

蘇武岳のミズナラ

 

今年はコナラを9か所で調べました。コナラは結構実りが良く、並上でした。

ブナ、ミズナラ、コナラの全てにおいて豊作の木も沢山みられたので、今年は全体的に実りが良いと感じました。

 

西日本では以前、どんぐりの凶作年の秋にクマの出没が多かったのですが、近年は夏の出没も多くなっています。夏のクマの餌は昆虫や液果です。奥山を調査してみると昆虫が激減しています。液果類の実りはどうでしょうか。ミズキ、クマノミズキ、ヤマブドウも数本ですが調査してみました。

氷ノ山のヤマブドウ

ミズキ・クマノミズキは並下でした。

ヤマブドウやサルナシは判断が難しいと思いました。実りゼロと思っても、人間が採ってしまったあとかもしれないからです。

ブナについたクマの古い爪痕

 

調査時にクマの古い爪痕を見つけましたが、今回は1週間歩いても、フンも含め、新しい痕跡がまったく見つけられませんでした。

もう奥山に、クマはあまりいないのかもしれません。

もしそうなら、大変なことになってきたと思います。

 

ちなみに、兵庫県森林動物研究センターの調査結果は以下です。ただし、こちらは、兵庫県全域調査の結果です。

ブナ並上、ミズナラ豊作、コナラ豊作

秋田県内の小学校にクマの絵本を贈ろう クラウドファンディング「FAN AKITA」のご紹介

2014年、経営破たんした旧八幡平クマ牧場に残されたクマたちを、旧阿仁熊牧場(現:北秋田市立くまくま園)に29頭全頭救命していただいたことがあります。

 

今年8月、そのクマたちが元気にしているか見に行った際、山で保護された「のりちゃん」という、3本足のツキノワグマ(メス)がいました。

私たちは一瞬、「くくりわなにかかったんだ」と、胸を痛めたのですが、話を聞いてみると、そのような傷ではなかったそうです。

原因はわかりませんが、大ケガをして母熊からはぐれた子グマだったそうです。

保護して「くまくま園」に連れて来られたものの、足を切断するしか命を助ける方法がなかったということで、獣医さんたちに手術をしてもらったということです。

「のりちゃん」は現在3本足になってしまいましたが、元気にみんなと暮らしていました。

 

この「のりちゃん」のことを、北秋田市の元地域おこし協力隊員 九島 千春さん(現在カンボジアにて活躍中)が文にして、秋田北鷹高校の生徒さんが絵をかいて、素敵な絵本

「月の輪ぐま 『のりちゃん』物語」

の原版ができたそうです。

この度、マタギの里観光開発株式会社の社長さんが、この絵本を製本して、秋田市内小学校に配って、「のりちゃん」が障害にも負けず元気に生きていることや、クマとはどんな動物なのか、秋田県の子供たちに伝えたいと、クラウドファンディング「FAN AKITA」に応募されました。

 

熊森も、この絵本を通してくまくま園を訪れる子供たちが増え、くまくま園の経営が安定して、全頭救命していただいたヒグマやツキノワグマが寿命までここで大切に飼育していただけることを願っています。クラウドファンディング「FAN AKITA」にご寄付いただける方は、よろしくお願いします。

【熊森本部・岡山県支部】岡山県クマ狩猟再開の中止を求め、知事あての意見書を県庁で提出

10月2日(月)午後、日本熊森協会本部と岡山県支部は、今年から岡山県が再開しようとしているツキノワグマの狩猟の中止を求める岡山県伊原木隆太知事あての意見書を、岡山県自然環境課課長へ提出しました。

 

これに先立って、昼頃、JR岡山駅に行きました。あいにく大雨で、用意していった「狩猟再開反対」の横断幕や拡声器は使えませんでしたが、岡山県支部長にも来ていただいて、市民のみなさんにクマ狩猟再開の何が問題なのかを知っていただくチラシを4名で配りました。

岡山クマ狩猟反対チラシはこちらをクリック

 

岡山県でクマ狩猟が再開されることが
県民にほとんど知られていない!

 

うれしいことにチラシを受け取ってくださる方は多く、順調に配布を終えました。話し込むことになった方もおられます。

ほとんどの方が、「岡山県でクマ狩猟が再開されるなんて知らなかった」と話されました。何も言わずにチラシを物珍しそうに受け取って、ずっと歩きながら読まれている方もおられました。関心を持っていただければと願いました。

 

 

この後、15:30、熊森室谷副会長と熊森岡山県平井支部長、本部クマ保全担当の水見ら3名・岡山県会員1名で岡山県庁自然環境課を訪れ、クマ狩猟再開中止を訴える意見書を提出し、1時間交渉しました。

意見書の内容はこちらをクリック

 

室谷副会長:「岡山県のクマ生息地の奥山は、人工林や開発で荒廃しており、クマが暮らせなくなっています。このような状態を放置して、奥山にひそむわずかなクマまでもを狩猟だと追いかけまわしたら、かえってクマが人里まで降りてきてしまう危険があり、地元の皆さんにとってもマイナスです。人とクマの問題を解決するためには、ハンターのための楽しみ目的の狩猟再開ではなく、被害防除、生息地の復元による棲み分け復活で解決する必要があります」

意見書を提出する室谷副会長(左)と意見書を受け取る岡山県自然環境課、米戸課長

岡山県の奥山にクマの生息できる環境がないことを訴える室谷副会長(左)とクマ保全担当水見(右)

 

岡山県「クマは狩猟獣なので狩猟解禁します」

 

意見書を提出した後、熊森から「岡山県はなぜクマの狩猟を再開しようと思ったのか」という質問を県の担当者に投げかけました。「生息推定数が業者計算で205頭に爆発増加しているとされた」「増えすぎたクマを減らす効果がある」などの理由を述べられたら、昨年度の兵庫県のクマ狩猟再開の結果を元に、反論しようと思っていました。

しかし、県の答えとしては、「クマは狩猟獣と環境省が決めているので、狩猟解禁します」という機械的な答えしか返ってきませんでした。岡山県が何のためにクマ狩猟を行おうとしているのか、全く見えてきませんでした。どうも今回の岡山県のクマ狩猟再開は、岡山県の担当者たちの積極的な判断ではなく、国と結びついた外からの大きな圧力の結果のように感じました。

 

地域の実態に合わせたクマの保護体制を考えるべき

 

日本のツキノワグマの生息地は様々です。東北地方の山々には、まだクマの食糧や潜み場が残っており、奥山にクマが生息できる環境が十分にある場所もあります。

(詳細は、http://kumamori.org/news/category/genchi/40237/ 

一方で、十数頭しか残っていないという四国山地のようにクマが絶滅寸前の地域もあります。

岡山県の場合、クマの生息地は高率の人工林で埋められたまま荒廃しており、残された自然林も年々劣化、山頂まで観光開発が進むなど、クマが山で生き残れるような場所はありません。生息地を失った野生動物はいずれ絶滅します。岡山県でも、ツキノワグマは絶滅危惧種に指定されております。日本ではクマが狩猟獣になっているからといって、岡山県で狩猟をしていいわけではありません。岡山県には、もっと地域の実態に合わせたクマとの共存体制を考えていただかなくてはなりません。集落周辺での農作物被害や精神被害は放置できませんが、まずは、奥山にえさ場を復元し、そちらに放獣していくしかありません。スギやヒノキの人工林も、一定量は自然林に戻していく必要があります。

 

これらの対策は、クマをはじめとする森の生き物たちのためだけではなく、水源の森を未来にわたって確保することでもあり、わたしたちの子供たちのためでもあるのです。

 

今回のクマ狩猟反対の意見書提出には、山陽新聞社とテレビ瀬戸内の記者さん2名が駆けつけてくださいました。ニュース放映とデジタル記事、ありがとうございました。

山陽新聞デジタルhttp://www.sanyonews.jp/article/606825/1/

岡山県庁の担当者のみなさんにも、お忙しい中対応していただきありがとうございました。

 

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