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2018-11-14

兵庫県 ツキノワグマの狩猟、15日解禁 

以下、2018年11月14日神戸新聞より

 

クマ狩猟制限撤廃 効果は

兵庫県内でツキノワグマなどの狩猟が15日から解禁される。生息頭数の回復などを受けて2016年度に再開されたツキノワグマの狩猟数は初年度が4頭で、17年度は1頭のみだった。3年目の本年度、県は「狩猟者1人当たり1頭」としていた制限を撤廃する。

 

県内のツキノワグマは、絶滅の恐れから、20年間狩猟が禁止されていた。しかし推定生息数が「絶滅の恐れは当面ない」とされる800頭を超えたため、県は16年度に狩猟を再開した。

 

一方、クマの生息数増加に伴い、農家やハイカーらが襲われる事案も発生。本年度は人的被害はなかったが、9月までの目撃・痕跡情報は418件。但馬地域が約7割を占め、阪神、北播磨でも報告があった。

 

県は毎年度、クマの生息数に応じ、狩猟だけでなく、行政から駆除の依頼を受けた有害鳥獣対策も含めた捕獲上限数を設ける。本年度は、17年当初の推定生息数918頭の15%に当たる137頭。すでに有害鳥獣対策で9月末までに46頭が捕獲されている。

 

県内でのクマの狩猟は、免許の所持などに加え、特別な安全講習を受けた承認者だけに認められる。その数は16年度140人、17年度154人、本年度168人と増えているが、狩猟数は2年間で5頭にとどまる。担当者は「捕獲数は想定の範囲内。シカなどを狙いながら、護身のために承認を受ける人がほとんど。クマを人里から離れた奥山に戻す効果もある」と話す。

 

県内での狩猟は15日から、イノシシやニホンジカ、マガモなど計48種で解禁。期間はクマが12月14日まで、イノシシとニホンジカが来年3月15日まで。その他は同2月15日までとなっている。(山路 進)

 

熊森から

「明日から狩猟が解禁される。動物たちはなんも悪いことしてへんのに、撃たれるんや。痛いやろうな。私は胸が痛い。」

毎年、狩猟解禁日前日になると、故東山省三顧問の奥様がつぶやかれた言葉があざやかによみがえってきます。

奥様は、つらそうにお顔をしかめておられました。

 

狩猟については、様々な意見があります。

近畿地方では、狩猟を好まない人、狩猟に反対している人がほとんどだと思います。

だのになぜなくならないのかというと、おかみのすることに物言わない人たちがほとんどだからです。

おかみのすることであっても、間違うことはあります。

嫌なものは嫌、おかしいと思うことにはおかしいと言える国民こそ大人です。勇者です。

 

兵庫県のクマ狩猟に関しては、熊森は絶対におかしいと思っています。

なぜなら、広大な奥山生息地が人間によって破壊されたままだからです。

よって、「狩猟によって、クマを人里から離れた奥山に戻す効果もある」という言葉は、現実を見ていない、まったくおかしな言葉だと思います。

 

10月26日、熊森は兵庫県庁記者クラブで兵庫県のクマ狩猟などに関する記者会見のアポを取っていました。しかし、前日、急遽 、時間がとれなくなったとして記者クラブから中止の連絡が入りました。

仕方がないので、後日別の日に、記者会見の再アポを取ろうとしたのですが、記者クラブに断られました。

 

今回の神戸新聞の記事を読むと、一方的な行政発表を記事にしているだけです。

なぜ、21年間も兵庫県のクマ問題に完全民間で真摯に取り組んできた日本熊森協会本部の主張を、1行でも紹介しようとしないのでしょうか。

マスコミの報道姿勢には、がっかりです。

 

兵庫県が、熊森がさも非常識な団体であるかのごとく言いふらし、マスコミが確認もしないでそれを信じて取材を避けている節があります。

行政のそのような手に乗ってしまうのなら、マスコミに真相究明などできないと思います。本当に悲しいです。

 

熊森は、流されている疑惑についてすべて答えられますので、マスコミのみなさんは、ぜひ一度、熊森本部に取材に来てください。

ご自分の目と耳で、熊森をお確かめ下さい。そうすることは、熊森の為だけではなく、本当の情報を待っている国民のためであり、マスコミが国民から信頼される報道を流せるようになるためでもあるのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

捕殺中心の兵庫県主導は危険 「近畿北部・東中国ツキノワグマ広域保護管理協議会」の設立総会

(2018年10月31日神戸新聞記事より)

 

兵庫、京都、岡山、鳥取の4府県は10月30日、ツキノワグマの広域管理に向けた「近畿北部・東中国ツキノワグマ広域保護管理協議会」の設立総会を神戸市中央区の兵庫県民会館で開いた。府県境を超えて移動するクマの特性に合わせ、4府県の担当者が行政の垣根を越えて生息数の把握や対策などで連携する。

 

クマの行動範囲は100平方キロメートルともいわれ、兵庫県内では県北西部から鳥取、岡山両県にまたがる「東中国地域個体群」、兵庫県北東部から京都府北西部にかけた「近畿北部地域個体群(西側)」の二つの群れが生息している。だが現在は府県ごとに調査方法が違うこともあり、生息規模などの把握が難しいという。

 

同協議会は兵庫県の呼び掛けで発足。今年から調査方法を統一することや、二つの群れの管理方針を定めた「広域保護管理指針(仮称)」を2021年度に策定することなどを決めた。

 

近年、出没情報が相次いでいる大阪府や、環境省もオブザーバーとして参加。兵庫県森林動物研究センター(丹波市)の横山真弓研究部長は「クマの数が増え、分布エリアも拡大している」と連携の重要性を強調した。(前川茂之)

神戸新聞NEXT

 

熊森から

奥山生態系の最大動物であるツキノワグマにどう対応するか、近隣府県の担当者が集まり情報交換して連携することは必要で、とてもいいことだと思います。

 

しかし、今回、上記事の総会開催にあたって傍聴が認められたのは記者だけで、自然保護団体である熊森などの傍聴は拒否されました。

 

このような姿勢が、まず、もうあるまじきことで、兵庫県の猛省を促したいと思います。私たち完全民間の自然保護団体に聞かれてまずいことなどあるのでしょうか。兵庫県は、前近代の隠ぺい体質から一刻も早く脱して、民主主義社会に合わせて全てを情報公開してほしいと県民として強く願います。

 

本協議会の模様を報じた毎日新聞の写真を見たところ、協議会参加者の大半は兵庫県庁と兵庫県森林動物研究センターの職員で占められています。会を主導したのは兵庫県森林動物研究センター(丹波市)の横山真弓研究部長のようです。これは大変危険だと思いました。

 

横山真弓氏は、野生動物の生息数を、野生動物を殺すことによって人間が決めた数に管理していくことに熱意を傾けておられる大変偏った研究者です。狩猟や有害駆除を推進するだけではなく、個体数調整という名の野生動物殺害を推進されます。兵庫県はなぜかずっと、彼女に兵庫県の野生動物対策を主導してもらってきました。その結果、人間性を失った残酷なだけの野生動物対応が当たり前になっています。

 

科学技術により地球上で最強の動物となった私たち人間が、本来取り組まなければならないのは、野生動物の個体数調整ではなく、野生動物たちの生息地保障による棲み分け共存です。彼女の論文は、兵庫県のクマたちの奥山生息地が放置人工林で埋まって大荒廃していること等には、全く触れません。目撃数・捕獲数・捕殺数などの数字を見て、「クマの数が増え、分布エリアも拡大している」と言っているだけです。行政としては行政の森林政策の失敗に言及しないこのような研究者を雇用することは、好都合だったのでしょうが、野生動物との共存をめざすなら、完全に研究者として失格です。

 

林野庁がこの11月、民有拡大造林地の8割が放置されて荒廃していると正直に発表しました。きちんと管理できているのは1%とも発表されています。もう我が国の「外から見たら緑で内部は砂漠」という森林大荒廃は、隠しおえなくなっているのです。野生動物は、こんな日本の山の中では生きられなくなって山から出てきています。

 

彼女が「近畿北部・東中国ツキノワグマ広域保護管理協議会」を主導するのであれば、大切な科学部会から熊森を外すことは目に見えている上、山にいるクマまで殺す必要はないとまっとうな主張をしている鳥取県に、クマ狩猟の導入をせまることが考えられます。5府県の行政が、共存を忘れて兵庫県のように管理一色の残虐な対応に染まっていく恐れがあります。昔から人間は常軌を逸した残虐行為に熱狂する一面がありますから、本当に気を付けなければなりません。

 

野生動物管理思想が日本に導入されて19年になります。大量殺害の手をゆるめるとすぐに元の生息数に戻ってしまいます。もう破たんが確実になっているのに、いまだに行政が野生動物管理思想から脱することができないでいるのは、担当部署の任期が3年と期間限定されているため、専門性が持てないからです。動物にそんなかわいそうなことしていいのかなと思いつつも、数字やデータで攻めて来る管理派研究者に従ってしまうのです。

 

何か問題を感じたとき、誰がこれによってもうかるのかと考えると、予算獲得を狙って動く人たちの動きが見えてきます。兵庫県立大学と兵庫県森林動物研究センターで横山真弓氏の同僚であった坂田宏志氏は、兵庫県のクマが爆発増加していると言い出した人です。彼は何人かで公務員を退職し、野生鳥獣対策連携センターという株式会社を設立し、行政の仕事を次々と請け負っています。ネットで会社概要を見ると、役員4名従業員18名(うち博士7名)だそうですから、給与だけでもすごい額が必要でしょう。

 

 

野生動物を人間が考えた生息数に一定させることなどできませんし、そんなことをする必要もありません。野生動物は人間と違って、自然環境を改変して人口爆発を続けることはありません。環境適応数を超えると、自ら減少に転じます。これからの野生動物研究者は、このような神の手ともいえる自然界のバランスを勉強していただき、自然界のしくみを知った上で、生息地保障・被害防除など非捕殺での野生動物対応策を考えていただきたいものです。

 

 

 

 

 

 

 

 

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