くまもりHOMEへ

ホーム > アーカイブ > 2018-12

2018-12

クマたちより 2018年もありがとう!!

クマの魅力を伝えるHP「くまプラネット」より、熊森の保護飼育クマ 太郎、花子、とよの2018ベストショットを贈ります。

今年の11月7日に天寿を全うした花子も含めて、たくさんのみなさんのお世話とご寄付で保護飼育が続けられています。今年もありがとうございました。来年も太郎やとよに会いに来てやってください。

クマたちの様子はのくまくま日記で公開中です。Facebookページもありますので、ぜひフォローください。https://www.facebook.com/KUMAplanet/

 

獣舎の柵に寄りかかって、くつろぐ太郎(7月22日)

 

プールの水を飲み、お世話隊Hさんをジィーっと見る花子(2月25日)

 

ミズをほお張って、無心にムシャムシャ食べるとよ(5月29日)

みなさま、どうぞ良い年をお迎えください!

熊森より よいお年をお迎えください

2018年もたくさんの方に応援をいただき本当にありがとうございました。今年もスタッフ一同、次世代へ豊かな森を残すため、物言えぬ野生動物たちのため、奔走した1年でした。

 

2019年も、豊かな森再生や野生動物保全に全国を飛び回ります。

一人でもたくさんの方とお会いし、自然保護に取り組む喜びを共有できればうれしいです。

どうぞよろしくお願いいたします。

事務所にもぜひ、お越しください。
本部事務局は12月29日から1月3日まで正月休みを頂きます。

熊森 スタッフ一同

クマたちの餌場になっていたくまもり植樹地

日本の森は、クマがいて初めて森林生態系が完成します。

くまもりは、クマの棲む町但東町(兵庫県)が大好きです。
地元や行政が土地を提供してくださったので、但東町には4か所のくまもり植樹地があります。

 

12月22日、久しぶりに2002年度の植樹地を見に行きました。

今年の豪雨で地面がえぐれた林道を、奥山に向かって車で注意深く25分間ほど進みます。

途中、あんなに暗かったヒノキの放置人工林が一部、明るくなっていました。

わあ、間伐が始まったんだ。

間伐されたヒノキの人工林と縦横に造られた作業道

 

やっと、くまもり植樹地に到着。

あれから 16年、当時、植えた3年苗のクヌギやコナラが、見上げるまでに大きくなっていました。

なつかしい植樹地風景

 

人工林の山の中に、突然、ドングリ公園?が出現。

シカが多いため、森にはなっていない

 

今年も、クマたちが存分にここを利用してくれていました。

シバグリ(手前の木)は、どれもクマ棚でいっぱい

 

クヌギやコナラの下には、ドングリの殻斗(かくと)がたくさん落ちていました。

中のドングリは全て食べられて、殻だけが残っていた

 

あっ、クマの糞です。

原型が崩れかけたクマ糞を発見

 

神戸東ロータリークラブのみなさんをはじめ、2002年にここに植樹してくださったみなさん、

この植樹地が、冬籠り前のクマたちにささやかながら食料を提供して、クマの生存を支えていますよ。

 

次にもうひとつの植樹地に向かいました。ここは、2012年にも植樹しています。

シカ除け網の中で元気に育っていた2012年のカキ苗

 

2002年に植えた柿苗のシカ除けチューブは、もう外してあります。

どの木にも今年のクマ棚と爪痕がびっしり。

クマに枝を折られた後、新しい枝をいっそう伸ばしたカキノキ(クマの剪定)

 

この場所は伐採跡地でしょうか、以前、長いこと草原でした。

今年行くと、大きく育ったススキの間から、ものすごい勢いでアカマツが伸び出していました。

森の遷移が始まったんだ!

 

「動物たちに帰れる森を、地元の人達に安心を!」

クマたちの絶滅を止めるために、森再生に挑戦する一方、くまもりは緊急避難措置として、実のなる木を奥地に次々と植えてきました。正解だったと思います。

 

人とクマの棲み分けを復活させるため、来春も、また実のなる木を奥地にいっぱい植樹しましょう!

 

 

 

 

 

 

なぜ「植えない森造り」でなければならないのか 平野虎丸顧問のブログより

「植えない森造り」でなければならない訳を、代々林業家の家で育たれた熊森の平野顧問が誰にでもわかるように、ブログに上手にまとめておられるので、以下にご紹介させていただきます

 

2018年09月21日

植えない森は、過程が大事

 

平野虎丸です。ご訪問ありがとうございます。
森は、植えないでも森になるので「植えない森」を皆さんにお奨めしていますが、植えたほうが早く森になるのではないか、とよく言われます。
しかし、植えない森は、森になるまでの過程がすばらしく、大事なのです。
森、と言えば、皆さんは樹が生い茂っているところ、と思われているかもしれませんが、森にも人間と同じように、種の時代から赤ちゃん、幼児、青少年時代などいろいろな時代を経て大人の森になっていきます。
まず、木が伐採されたあと、

 

●その地域の野草やイチゴなどトゲ類の先駆植物が発芽する。
●野草にチョウやハチなど昆虫がやってくる。
●ウサギやシカなど草食動物がやってくる。
●昆虫の幼虫や成虫を餌とする野鳥がやってくる。
●野鳥を餌とするタカやフクロウなど大型の野鳥がやってくる。
●木イチゴなど先駆植物に赤や黄色の実がなる。
●埋土していた森を構成する木の種が発芽して、成長を始める。
●周辺にある木の種や野草の種が飛んでくる。
●野鳥が種を撒き、木の種類を増やす。
●野草や木々、野鳥の種類が増えていく。
●先駆植物の棘類が成長して最終的に森を構成する木々をシカの食害から守り、森が本格的に成長を始める。
●森の成長と共に、茅を始め草原植物が姿を消し始め、先駆植物も枯れて森を構成する木々の肥料となっていく。
●森を構成する木々、というのが、皆さんが植えたいと思われている樹木です。
サクラ、クヌギ、ケヤキ、モミジなどです。
●森の初めに生えてくる先駆植物や草原植物は最終的な森の構成員ではありませんが、自然界に必要な植物や生物です。
●原生林では、野草も虫も野鳥も少なく、餌が少ないのでシカもあまり増えません。
●原生林を伐採することは悪いことばかりではありませんが、すべてなくしてしまうと、そこにひっそりと生きていた「ホイホイさん」のような生き物たちが絶滅します。
●そういう意味で、原生林は無くしてしまえば戻ることはありませんが、原生林の成り立ちが「植えない森」です。
●植えない森ができる過程において、たくさんの生き物たちが関わっていることが大切なので、森づくりを急がないで欲しいと思っているのです。

 

林業のように、木を伐採後すぐに整地をして(農薬などを撒くこともあります)、苗を植え、苗の成長と共に邪魔になる野草や先駆植物を刈っていくならば、野草も昆虫も野鳥も棲む暇がありません。

これが野草や昆虫が絶滅する所以です。

「漁民の森」や「企業の森」づくりは広葉樹を植えていますが、数種類の木材になる木だけを植栽するので、棘類など先駆植物も野草もなくなり、限られた草や虫だけが生き延びることになります。

自然界は人間が計り知れない植物や昆虫が生息しているので、植林しての森づくりは本来あり得ないものであり、行政と共に植林活動をされている皆さんは、木材生産をしているだけです。

 

森は多種多様な植物や生物を生み出しているものであり、シカが悪い、イノシシが悪い、というのは森づくりではありません。
イノシシは野草をひっくり返したりしますが、土を掘り返しているので、よいこともあります。
シカやイノシシが森を守っています。

 

「植えない森づくり」に人間の手は不要です。
人間が生まれる前から森はありました。
人間は森が完成した後に生まれてきたのです。
山に人間が木を植えて手入を続けることこそ森を破壊する行為です。
「日本一花の森」では、森になると消失していく希少な大陸遺存系草原植物を守るために年中草刈などの手入をしています。道づくりも草原植物を守るために必要です。
草刈りをしないと「すぐ森になる」。
それが植えない森です。

 

ライオンズクラブ複合地区環境保全セミナーでの名誉会長講演  

先月、「クマが教えてくれた日本の森の危機」と題して、森山名誉会長が上記セミナーの記念講演の講師を務めました。

270名の参加者応募があり、ホテル大阪日航の部屋は入りきれないほどの人でした。

 

講演中の名誉会長

 

社会奉仕の一環として、日頃より地球環境の保全に取り組んでおられるライオンのみなさんの意識の高さが伝わってくるような会場の雰囲気でした。

熊森としては、レジュメの代わりにくまもり小冊子を全参加者に配布させていただきました。

 

講演の中で森山名誉会長が、

「私たちは会設立以来21年間、大型野生動物たちが棲める奥山水源の森を再生しようと、植樹会を何度も実施して、あの手この手で天然林の再生を手掛けてきましたが、私たちが森再生と言って造ってきたのはドングリの木が並んだドングリ公園であり、森ではありませんでした。

ドングリ公園?

 

長年みんなで森を造ろうと活動した結果、人間には森など造れないことがわかりました。

森は、虫や鳥や動物を含む自然が、気が遠くなるような長い年月をかけて造り上げるもので、今後は、原則として人工林を皆伐し、鹿よけ柵を設置した後は放置して、熊本の平野虎丸顧問が提唱されている自然に任せた植えない森造りをめざします」

放置人工林を皆伐して地面に日光が当たるようにした後は、何もしない方がいい。

種は鳥や風や動物が運んでくる。九州では、自然の回復力が大きいので、シカがいてもシカ除け柵は不要。

 

と、話したことが、大きな反響を生みました。

 

無理もありません。ライオンズクラブの皆さんの中には、私たち同様、地球環境の保全をめざして、一生懸命植樹活動にがんばってこられた方も多くおられますから、人間には逆立ちしても森など造れないと言われたら、ショックだったと思います。

 

ただし、熊森は、植樹活動を全面否定するつもりはありません。自然界に任せておけば森の遷移をたどりながら植生が変化し続け、最終的にすばらしい本当の森が数百年後にでき上がります。しかし、今すぐここにドングリの実る場所を誕生させたいなどとなれば、そこにドングリの苗を植樹するしかないからです。

 

講演後、豪雨による山崩れの後の被災地支援の募金にがんばってきたが、放置人工林を崩れにくい天然林に変えることが大切だとわかったとか、今後の植樹についてどうすればいいかなど、多くの方々から、様々な感想やご質問をいただきました。

 

神戸には、熊森の初期からずっと熊森を応援してくださっている女性だけのクラブがあります。

そのメンバーの方が、

「これまで熊森の活動を紹介してもあまり関心を示してもらえなかったが、今日、多くの参加者が熊森の話に熱心に耳を傾けているのを見て、時代が変わってきたと感じました。是非会員に登録して、この自然保護団体を支えてほしいです」

と、参加者たちに訴えてくださいました。本当にうれしかったです。

 

後半は、各地でのライオンズクラブでの活動報告でした。

各クラブの発表

 

私たち熊森は、「今だけ、金だけ、自分だけ」の日本人がどんどん増えていくのを恐ろしく思っておりましたが、ライオンズクラブのみなさんの報告を聞かせていただいて、ここに集まっておられる皆さんは、私たち熊森会員と同じだなと感じました。

みなさんは、安田喜憲先生が言われる日本文化、「祖先への感謝、未来への責任、生きとし生ける物への畏敬の念」をしっかり身につけておられることがわかり、とても心強く思いました。

 

今までの経験からすると、せっかく熊森講演を聞いて感動してくださっても、日々のめまぐるしい日常生活に戻ってしまわれると、ほとんどのみなさんが奥山水源の森再生の話など忘れてしまわれます。それだけ現代人は忙しいということですが、今回お話を聞いてくださったみなさんの中から、あちこちで、奥山水源の森再生活動支援の芽が生まれてほしいと、切に願っています。思い出して、年会費千円の応援会員になってくださるだけでも、奥山再生に貢献できます。

 

私たちには、今すぐ文明を、経済第一、人間中心、科学盲信から、自然保護に転換をしないと、この国も人類も、近い将来滅びることがはっきりと見えています。危機感でいっぱいです。

他生物のために、子供たちのために、気づいた者ががんばるしかありません。

 

最近は、マスコミが行政に忖度して、市民による環境保全や自然保護活動を取り上げなくなってしまった現状に、私たちは危機感でいっぱいです。

会長講演、名誉会長講演、環境教育を希望される方は、遠慮なくお声かけください。

学び多かった2018年くまもり親子自然農 

今年から兵庫県三田市で取り組んだ年4回実施のくまもり親子自然農、どの回も、とても学びのある素敵な時間となりました。

 

☆☆☆

 

その3:稲刈り

 

10月28日(日)、第3回自然農は、待ちに待った収穫でした。

秋晴れに映える金色の稲穂たちは、本当に美しく、いつまでも見ていたいような光景。

 

 

たわわに実った稲に参加者一同感動しながら、鎌で大事に刈り取っていきました。

 

安全第一!鎌を使う時の注意を聞いてから実施

 

収穫!!

 

刈り取った稲は、稲わらで縛っていきます

 

昼食は100%植物食

ここでの食事は、だし汁に至るまで、動物性の物は一切使用していません。

今回も「お米の勉強会」さんが、素敵な自然食のお昼ご飯をご用意くださいました

 

美味しいお昼ご飯をいただいた後は、大人と子どもに分かれての活動。

大人チームは収穫した稲のはざ掛けに、子どもチームは自然あそびに出かけます。

 

稲の扱いにも慣れたものです♪

 

トンボやちょうちょ、オケラやバッタ…秋の生きものでいっぱい!

 

自然の力なのか、初めての子同士でも、すぐ仲良くなります。

自然体験は、子どもたちの心を健やかに、おおらかにしてくれる、最高の道徳学習だと思います。

 

 

☆☆☆

 

その4:収穫祭

 

11月25日(日)、今年最後の自然農です。メインの作業は、前回収穫した稲の脱穀。

お天気は晴れたり曇ったりを繰り返していましたが、

何とか雨は持ってくれました。

 

脱穀には、昔ながらの足踏み脱穀機を使います。

 

 

今や、教科書や資料館などでしか、見かける機会がないのではないでしょうか。

大人と子どもで力を合わせての作業でしたが、これがなかなか難しい!

 

 

 

しかし、子どもたちの飲み込みの速さはさすがというべきか、

すぐにコツをつかんで上手に脱穀していました。

 

脱穀は、子どもたちに人気!次々と稲を持ってきては、順番を待ちます

風の力で籾とわらくずを選り分ける、「唐箕(とうみ)」。

柿も収穫!笑

 

最終回ということで、昼食後に自然農第1回からの振り返りをしました。

 

「あっ、ボクだ!」と、自分の写真が出てくると、みんな大喜び♪

 

午後は、しめ縄づくりです。

 

 

しめ縄は初めての方が多く、苦戦している姿も見られましたが、

来年のお正月飾りのため、皆さん頑張って作っておられました。

 

子どもたちには、来年の稲が元気に育つように、田んぼに稲わらを撒いてもらいました。

 

 

印象的だったのは、稲わらを撒く意味を説明せずとも、

「これが来年のお米の栄養になるんだね」とほほ笑んだ、6歳の女の子の言葉。

自然農での経験が、命の循環の学びに繋がったのかなと、嬉しかったです。

 

全4回参加の子どもたちは、「自然農博士」に任命されました!

 

参加者のみなさん、ありがとうございました。

☆☆☆

 

こうして、全4回の親子自然農が無事終了しました。

様々な工夫を凝らした今年の自然農でしたが、特徴のひとつに、「食事」があります。

食事は、旬のお野菜が主体で、動物性食品は一切使っていません。

肉食に慣れきっている現代っ子がこのような食事にどう反応するか、不安もありました。

しかし、四季折々の自然の恵みを使ったお料理は、

優しい口当たりと、様々なお野菜の食感が楽しく、

子どもたちは「おいしい」「おいしい」と、にこにこ笑顔。

喜んでおかわりしていました。

 

 

毎回の感想文に、「いつもごはんをおいしくいただいています」等とあり、

次回のお食事はどんなかな?と、楽しみにしている声も。

 

かつての日本は、お米と自然からの四季折々の植物をいただく食文化でした。

私たち熊森スタッフも、本当においしいと思いましたが、この本来の日本食が、現代の子どもたちにとってもおいしいと感じるものであったことがわかり、本当に嬉しかったです。

 

 

都会と田舎が共存する三田市で、自然農を企画したのは、都会の子どもたちが、自然体験をする場になればという思いもありました。

参加してくれた子どもたちが、今はまだむずかしくても、いつか大きくなった時に、「人間は自然の恩恵を受けながら生きている。自然を大切にしよう」と思うようになってくれることを願っています。

苗の成長を見ながらの自然農では、途中、日程変更を余儀なくされる場面もありました。

自然を人間に合わせようとするのではなく、人間が自然に合わせて、その結果、自然からの恵みをいただく。これが自然農だと思いました。

 

田んぼを提供し、優しくご指導くださった会員のSさん、また、美味しいお食事を作ってくださった「お米の勉強会」の皆さん、

そして参加者の皆さん、1年間、本当にありがとうございました!(SY)

11月4日(日)林野庁初参加 祝 第11回くまもり東京シンポジウム「人工林から豊かな森へ」

2018年11月4日(日)東京都表参道のウイメンズプラザにて、くまもり東京都支部主催の第11回くまもり東京シンポジウムが開催されました。

 

今回のくまもり東京シンポジウムには、林野庁担当者がご出席くださり、今年5月に国会で成立した「森林経営管理法」をもとに、林野庁の考えていることを発表してくださいました。

くまもりの集まりで林野庁の係官が発表してくださるのは初めてのことであり、画期的なことです。時代の変化を感じるとともに、発表してくださった担当者には心からお礼申し上げます。

 

また、今年新たに熊森顧問になってくださった元徳島県木頭村村長の藤田恵氏も、ビデオ発表となりましたが、熱弁をふるってご講演くださいました。

 

室谷悠子くまもり新会長も、30分間の力強い講演を行いました。

 

以下は、各発表者の要旨です。

まず初めに、くまもり東京都支部の川崎支部長より挨拶がありました。

「日本は世界で唯一、首都にまだクマの棲む森が残っている国です。しかし東京都の山の多くが戦後の拡大造林政策でスギなどの単一人工林に覆われてしまいました。残された自然林の山の実りが悪いときは、クマなどの野生動物が人里に出て来てしまいます。

 

山にかかわってこられた三重県の後藤さんは、次のように述べられています。

「本来植林は大きな山でも、その3分の1しかできません。それ以上したら間違いです。

山の尾根は全部自然林で残す。谷間の緩やかな所だけ植林する。谷間にはスギを植え、中腹にはヒノキを植え、南向きの日の当たる所は全部自然林で残す。これが紀州人の掟でした。

戦後の拡大造林は、これを破って山という山に全部植林しました。だから今ある植林の3分の2は間違いです。

手入れできない人工林も、半分土砂で埋まったダムも、コンクリートで固められた河川や海岸も、全てが今後、大規模災害につながる負の遺産です。

全てのことに私が解決策を訴えられるわけでもありませんが、崩壊寸前の植林地に関しては国民総出で巻き枯らし間伐の運動を行えば、今なら崩壊を止められると思います。」

 

動物と人間の棲み分けを復活させるためにも、大都市の水源を守るためにも、来年度からの森林環境譲与税は、「放置人工林を豊かな森へもどす」ことに使っていただきたい。私たち都民にとっても、重要な話です。今日はたくさんのことを学びましょう。」

 

くまもり新会長  室谷悠子 「熊森がめざす豊かな森づくり」

「私たちが兵庫県北部の豪雪地帯で実験した例では、スギやヒノキの人工林に6割の強度間伐を施して、間に広葉樹の苗を植えても、数年たてばまた残されたスギが太り、林内が真っ暗な元の人工林に戻ってしまいました。こうなるともう広葉樹は育ちません。

 

人工林を広葉樹林に戻すには、定性間伐ではなく、皆伐または崩れやすい山では小面積皆伐を実施する必要があります。兵庫県北部はシカが多い場所でもあり、シカが侵入しないための囲いや雪対策が必須です。

 

一方、温暖で湿潤な気候の九州では森の再生力が大きく、シカが多くても、シカ除け柵など不要で、皆伐場所を放置しておくだけで、数年で広葉樹林化できます。

 

これまで熊森が人工林の広葉樹林化をめざして長年試行錯誤した結果得られた知見からモデルをつくり、国や行政に提示していかなければならないと考えています。

 

また、来年1月に国会に提出される森林環境税法案は、現段階では何に使うかという使途がはっきり決まっていません。ぜひ放置人工林の自然林化を使途に義務付けるよう、多くの国民の皆さんに声を挙げていただきたいです。」

 

熊森顧問・元徳島県木頭村長 藤田恵氏 「拡大造林で壊れ続ける四国の山と川」

「戦後の拡大造林により、山の保水力が落ちてしまいました。その影響で台風や大雨がくると山からどんどん土砂が流れてきて、川底やダムを埋めていきました。また、土建業者をもうけさせるための補助金規定に従って、山奥まで不必要な幅の広い舗装林道が作られ、山奥の自然がどんどん壊されています。」

 

林野庁森林整備部計画課 三間知也氏 「新たな森林管理システム(森林経営管理制度)について」

「林野庁としても、スギやヒノキなどの針葉樹の人工林を、造り過ぎたと感じています。なので、今後は減らしていき、林業で使われない部分は、できる限り針葉樹と広葉樹が混交するような複層林に変えていきたいです。

 

また、森林環境税が市町村で実際に使われる際に、土地所有者が不明もしくは亡くなられているなどの理由でおられないときは、市町村の権限で放置人工林の整備をしていけるように法改正しました。

 

九州豪雨災害や西日本豪雨災害で大規模な土砂崩れが発生したのは、人工林のせいではなくて、異常な降雨によるものだと私たちは考えています。」

 

この後、東京都支部、神奈川県支部から、活動報告がありました。

 

熊森から

この日、62名の方々がこの会場に来てくださいました。

 

参加者の中には、人工林問題や東京都のツキノワグマ生息状況に関心の高い都議会議員の先生や、大学の生物系の先生方もおられました。また、質疑応答の時間には、参加者からたくさんのご意見・ご感想をいただきました。

 

戦後の拡大造林政策の失敗は、林野庁だけの責任ではなく、声を上げなかった全国民に責任があると熊森は考えています。

 

林野庁は、ごく最近まで、戦後進めてきたスギやヒノキの針葉樹の単一造林に問題はないと主張されていましたが、ようやく「人工林を造り過ぎた」と発表されるようになりました。しかも、今回、民有人工林の8割が放置されていると、言いにくいことを正直に発表されました。国民としては、温かい拍手を送りたいと思います。

しかし、近年の豪雨被害で発生している山崩れに人工林が関係していることについては、今も林野庁は否定的であることがわかりました。

 

森林経営管理法や森林環境税が正しく効力を発揮するためには、多くの国民が山のことも勉強し、声を上げていかなければならないと思います。(国民が勉強しなければならないことが多過ぎて、大人は本当に大変です)

 

まだ、奥山放置人工林を森林環境税を使い天然林に再生すべきだという署名にご署名をいただいてない方は、以下のネット署名でご協力ください。Change.org森林環境税で、スギ・ヒノキの放置された人工林を天然林に戻してください

 

 

フィード

Return to page top