ご報告が大変遅くなってしまいましたが、2018年12月8日(土)、北海道の環境保全活動を推進するNPO法人北海道市民環境ネットワークと一般財団法人セブンーイレブン記念財団が札幌エルプラザで開催したヒグマフォーラムに、くまもり本部から2名が参加しました。
神戸空港を発つときは、薄着で十分でしたが、札幌は気温1℃、震え上がるような寒さでした。
とても同じ国とは思えません。異国に来たような錯覚に陥りました。
自然も森もクマたち野生動物の状況も、北海道と近畿地方とでは、かなり違うだろうなと改めて思いました。
注:写真やグラフはいずれもwクリックしていただくと大きく見えます。
すてきなチラシ
私たちにはもう一つ目的があって、前日にあたる12月7日(金)、札幌にある北海道大学農学部を訪れました。
熊森本部では現在、自然保護を仕事にしたい新卒学生・院生計2名の正職員を募集中です。
札幌駅を降りるともう目の前が大学でした。
昔は大学構内の川にもサケが上がってきていたそうです。
北海道大学。強風に乗って水平方向に降る雪にびっくり。
ちょうど到着がお昼どきだったので、まず、学生食堂でお昼をとりました。
学生がどんどんやってきます。
さすが、まじめに勉強している感じの学生ばかりです。
しかし、今の欲望全開社会では、卒業後、ほとんどの学生たちが、望むと望まざるとにかかわらず、企業の利益を上げるために、自然破壊や地球環境破壊に加担して生きていくことになるのだろうなと思うと、むなしいです。
食事後ロビーでくつろぐ学生たち
昼食後、求人票を持って就職担当教員に会いに行くと、2019年3月卒業予定者の8割は大学院に進学することになっており、残り2割の学生の就職は、もう100%決定しているということでした。しかたなく、2020年卒業予定の学生・院生 への求人として、求人票を置いて帰らせてもらいました。
この後、2つ目の大学、野生動物生態学研究室がある酪農学園大学を訪れました。就職担当官は、「兵庫県からよく来てくださいました」と感激してくださいました。ここは時間が遅かったので、学生にはほとんど会えませんでした。求人票を預けて帰りました。学生のみなさん、よろしくお願いします。
酪農学園大学
次の日の朝、フォーラム会場に行くと、多くの人達が詰めかけておられました。酪農学園の学生たちも来ており、最終的には参加者は200名を超えていたと思います。テレビ局も来ていました。ヒグマとの共存に関心を持って集まってくださる方が、北海道にもこんなにおられたのかと感激でした。
会場風景
北海道では昭和の終わりまで、ヒグマは開拓の邪魔となるため根絶させるべき害獣として、根絶研究が進められていたということです。
ヒグマとの共存が叫ばれ出したのは、なんと、平成になってからだそうです。
ヒグマは、北海道の自然が開発されるのを、命に代えて遅らせた、自然の守り神だったのです。
人口200万都市札幌の周辺には、捕り尽くして長らく見なくなっていたヒグマが、最近、再び目撃されるようになってきたそうです。
200万人が住む札幌市に、ヒグマたちも棲んでいる
以前ほど殺されなくなってきたので、ヒグマたちが安心して本来の生息地に戻り始めたのでしょうか。
平地ほど住みやすくて実り豊かな大地はありませんから。
しかし、市街地の中にまでヒグマが出て来ると、人身事故を誘発する恐れがあり、よくありません。
電柱に張られた熊出没注意のポスターを見ているヒグマ
ヒグマたちとどうやって共存していこうかと、みんなで模索されていました。
絶滅させる前に、ヒグマとの共存に舵を切り変えて下さった北海道民のみなさんを、心から讃えたいと思いました。
発表してくださったみなさん、いろいろと勉強になりました。ありがとうございました。
1回お会いしただけなのでまだよくわかりませんが、この会に集まられた皆さんは、ヒグマを同じ大地に暮らす仲間ととらえられており、連帯感を感じました。
北海道庁生物多様性保全課では、ヒグマの主な食料として、ミズナラ、ブナ(道南のみ)、コクワ(=サルナシ)、山ブドウの4種の山の実りを毎年調査されています。
近年ずうっと不作年や凶作年が続いていること、ヒグマの有害駆除が増え続けていることを、わたしたちは心配しています。
北海道にはまだ熊森の支部がありませんが、今年の夏には、久し振りに北海道の熊森会員たちと集って、ヒグマとヒトの共存を進めるために、私たちに何ができるか考えてみたいです。
ヒグマは夏場に駆除されることが多い。デントコーンを食べに畑に出て駆除されるのだろうか。
近年、有害駆除数が増加傾向にある。2018年は818頭が有害駆除された。これ以外に10月1日から始まる狩猟でも、撃ち殺される。2018年の狩猟数は、今のところ不明。