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2019-02

1月25日 本部・支部合同で香美林業事務所を訪れ、くまもり四国トラスト地広葉樹林化のご相談

残り数少ない四国のクマが生息する剣山地は、現在、標高1000mまでスギやヒノキの人工林で覆われています。

クマの絶滅回避、将来にわたる水源の確保のために、高標高部分だけでも、早急に野生動物たちの餌場となる広葉樹林に戻していかなければなりません。

 

2018年から熊森は、どの団体もやっていない四国のクマ生息地復元という絶滅の根本原因の問題解決に取り組み始めました。

昨年10月にナショナル・トラスト第2弾として熊森が高知県香美市に購入した山林22haは、標高810m~1100mに位置し、四国のクマたちが移動経路として利用している貴重な尾根筋が含まれています。

この山林の92%が、現在、スギやヒノキの放置人工林です。

トラストした山林内

 

何とかこの場所を、動物が棲める広葉樹林にもどしたい。

 

1月25日、室谷悠子会長、加藤高知県支部長、本部職員2名は、広葉樹林化に向けての具体的な方法を相談するため、地元の物部森林組合と高知県香美農林事務所、香美市農林課を、順次、訪れました。

この山林は保安林に指定されているため、伐採率や伐採面積に規制がかけられています。

しかし、ありがたいことに、ここは20ヘクタールまで皆伐が可能で、伐採後、広葉樹の植樹も可能です。

また、この場所は伐採後の植栽義務がないため、天然更新させることも可能です。

問題は、四国山地があまりにも急峻なため、伐採木搬出のための道を造ることがむずかしいということです。

無理に林道を造ると、そこから山が崩れる恐れがあります。

林道(上部横線)から、山が崩れる

 

架線搬出も考えてみましたが、架線を張れる限度は2㎞までです。

高知県馬路村架線(ワイヤロープ)集材より

 

山上から下の集落までは6㎞もあるので、架線も無理です。

といって、切り捨て皆伐にすると、伐採した材で地面が埋まってしまい、天然更新がむずかしくなります。

悩ましいです。

 

広葉樹林化のためには、道造り、人工林の伐採、広葉樹の植林、シカ除け柵など膨大な費用が必要です。

しかし、間伐のための補助金は出ても、広葉樹林化のための補助金は出ません。

 

補助金が出る間伐に切り替えようかとも思いましたが、間伐だと20%までというしばりがついてきます。

むずかしいです。

熊森は、森林環境税を使い、放置人工林を順次天然林化していくことを、今国会で何としても法文に明記していただきたいと思っています。

 

とりあえず、伐採者がチェンソーを持って現地に入れる作業道を造ることになりました。

高知県香美農林事務所の担当者に伐採や搬出を相談   左から、本部職員、加藤支部長、室谷会長

 

 

 

 

熊森から

高知県内で人工林の天然林化に取り組んでいる団体はありませんが、林野庁の外郭団体である森林総合研究所は「広葉樹林化ハンドブック」を出しています。

そこには、針葉樹の人工林を強度間伐して広葉樹を植えたが、スギやヒノキの勢いの方が強くて、広葉樹が育たなくなった等の例が掲載されています。

定性間伐では針広混交林にならない。人工林の天然林化や針広混交林化には、30メートル四方以上の部分皆伐が必要と、熊森が各地で訴えていることと合致しています。

「放置人工林を計画的に伐採し天然林に」熊森石川らによる金沢市への要望書提出が新聞記事に!

2018年2月5日、熊森石川県支部は金沢市に対し、地元の自然保護団体と共に、「放置人工林を計画的に伐採し天然林に」の要望書を提出しました。

北陸中日新聞と、北國新聞が記事にしてくださいました。

 

以下は、北陸中日新聞切リ抜きです。

 

うれしいです。

 

放置人工林問題はこの国の存続を揺るがす大問題なのですが、ふだん人が行かない奥山で起きているため、ほとんどの国民がこの問題に気づいていません。

私たちは、生きられなくなって奥山から出て来るようになったクマたちに教えてもらいました。

 

「森林環境税法案」が2月に、「国有林野経営管理法改正案」が3月に、国会に出て来る予定です。

マスコミのみなさん、この機会に、放置人工林問題をどんどん取り上げてください。

2月 8日  全国1665市町村に、森林環境税で放置人工林を天然林に戻すことを求める陳情書を発送

森林環境税法案は、2月中旬から下旬にかけて閣議決定され、国会に出て来る予定です。

今のところ、衆議院に出て来るのか、参議院先議となるのか、読めません。

国会議事堂

 

水源の森を将来にわたって取り戻せるかどうか、国の命運がかかっている大切な法案ですが、残念ながら、議員も国民もほとんど関心がありません。

マスコミが動かない限り、多くの人達には、目先の自分の利害しか見えないのでしょう。そんなものかもしれません。

 

 

こんな中、2月5日、室谷悠子(むろたにゆうこ)会長と本部職員2名、東京都支部スタッフ1名は、国会議員会館を訪れ、森林環境税で放置人工林を天然林に戻す流れをどうやって作っていくか、現職国会議員と打ち合わせました。

 

こんな、ほとんど票にもならないことのために、本気で動いてくださる現職の国会議員がやっと現れたのです。

感謝してもしきれません。本当にありがたいです。

環境委員だけれど、国会で質問してみようと思いますという議員も現れました。

多くの議員に質問していただきたいです。

 

 

署名

多くのみなさんに集めていただいた署名は、頃を見計らって、石田 真敏総務大臣(前和歌山県海南市長)に提出します。

森林環境税法案は総務委員会で審議されるからです。提出予定の全署名用紙に、急遽、抜けていた総務大臣様の名を、はんこで押しました。

 

 

陳情書

一方本部は、2019年2月7日には、くまもりボランティアのみなさんに来ていただき 、沖縄県を除く(スギヒノキの放置人工林がないため)全国都道府県議会議長、全国市町村議会議長あての陳情書1通1通に市町村名を手書きで記入していただき、封筒に入れてもらいました。2月8日に1665通の陳情書を出し終えました。

 

本当は、請願書を出したほうが効果があるのですが、請願書を出すには、議員の協力がなければなりません。少しですが、議員の協力が得られるところは、請願書として出させていただきました。

陳情書が入った封筒

 

2月12日からは、市町村議会議会事務局から、うちは郵送の陳情書は受け付けられないので持参し直してほしいとか、参考人として議会に来ていただきたいとか、陳情書と一緒に意見書も送ってくださいなど、さまざまな電話が本部事務所に入り、3台の電話が鳴り続けているという状況になっています。

 

会員のみなさんのなかで、居住する市町村議会に問い合わせていただき、郵送での陳情書を受け付けない市町村の場合で持参可能な方は、当分はメールやFAX等電話を使わない方法で、本部までお知らせください。

 

陳情書はこちら

意見書はこちら

熊森は、有害番組『池の水ぜんぶ抜く』の放映中止を求めます

以下、2019年02月06日 23時30分 日刊サイゾーより

 

『池の水ぜんぶ抜く』が低視聴率回続出で業界騒然 外来種を悪者扱いすることに嫌気か

『池の水ぜんぶ抜く』低視聴率回続出! マンネリ化した内容よりも「“外来種いじめ”に嫌気」が原因か

『緊急SOS!池の水ぜんぶ抜く大作戦』公式ホームページより

 

 テレビ東京系で放送されている人気番組『緊急SOS!池の水ぜんぶ抜く大作戦』に、現在、異変が起こっている。

 

同番組は2017年から「日曜ビッグバラエティ」枠で不定期放送され、人気となった番組。日本全国にある放置され汚くなってしまった池を掻い掘りし、キレイにするとともに、生き物の生態を調べるというコンセプトが視聴者に大ウケ。同枠の平均視聴率は5~6%であるのに対し、第1回目の放送は8.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)を記録。その後も不定期であるにもかかわらず、高視聴率をキープし、第6回目の放送時には、13.5%を記録し、その後も9~10%台をキープ。2018年4月からは月イチレギュラーになり、当初は9%台をキープしていたが……。

 

「2月3日放送分が7.2%と低視聴率を記録。昨年12月18日放送分は5.2%で過去最低を記録したものの、1月2日正月特番で11.1%まで回復。裏番組などの関係で一過性のものかと思われていたんですが、今回のこの結果に、ネットのみならず業界でも騒然となっています」(放送作家)

 

そんな視聴率の低下が続いている同番組。ネットでは「最初ほどおもしろくなくなった」との声が聞こえているだけに、マンネリ化との指摘が上がっている。しかし、「それ以外にも理由がある」とテレビ局関係者は、こう語る。

 

「不定期放送時は“汚い池をキレイに掃除する”“池の生態系を調査する”というコンセプトで放送しており、時には珍しい生き物を見つけたりし、視聴者の注目を集めていました。ですが、最近では、カメと雷魚といった外来種をあたかも悪者のように放送し、退治するという内容になってしまっている。ネットではそれに嫌気を感じる人が続出している模様。また、捕獲したカメに関しては動物園に渡していましたが、外来魚については、ロケの参加者から『放置し殺している』との声も。現場には専門家もいなくて、ずさんな管理だったと、週刊誌報道もされている。面白くなくなったということより、番組に対し“信用がなくなった”ことが低視聴率続きになった理由かと思いますね」

 

裏番組では『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)や『ポツンと一軒家』(テレビ朝日系)など、人気番組が多数放送されている。それらに勝つためには、一旦“初心”に戻ったほうがいいのかも!?

 

熊森から

上記記事に大拍手です。

以前、この番組の余りの内容のひどさに、熊森はテレビ局に問題を指摘する手紙を出しましたが、何の返事もなく、改善もなく、無視のままです。

生き物の命をもてあそぶ有害番組『池の水ぜんぶ抜く』は即刻、放送を中止すべきです。

これまで外来種根絶の名の元、どれだけの罪もない多くの生き物たちの無用の殺生が、面白おかしくなされてきたことか。

思い出すだけでも胸が悪くなります。

 

抗議先

テレビ東京 「視聴者センター」
03-6632-7777(代表)
受付け時間は月曜日~金曜日の午前10時から午後9時まで。
土日祝日は午前11時から午後7時まで。電話内容は録音される。

『池の水ぜんぶ抜く』 制作責任者 伊藤隆行

熊森本部が北海道市民環境ネットワークら主催のヒグマフォーラム「都市のクマとヒト」に出席 

ご報告が大変遅くなってしまいましたが、2018年12月8日(土)、北海道の環境保全活動を推進するNPO法人北海道市民環境ネットワークと一般財団法人セブンーイレブン記念財団が札幌エルプラザで開催したヒグマフォーラムに、くまもり本部から2名が参加しました。

神戸空港を発つときは、薄着で十分でしたが、札幌は気温1℃、震え上がるような寒さでした。

とても同じ国とは思えません。異国に来たような錯覚に陥りました。

自然も森もクマたち野生動物の状況も、北海道と近畿地方とでは、かなり違うだろうなと改めて思いました。

 

注:写真やグラフはいずれもwクリックしていただくと大きく見えます。

 

すてきなチラシ

 

私たちにはもう一つ目的があって、前日にあたる12月7日(金)、札幌にある北海道大学農学部を訪れました。

熊森本部では現在、自然保護を仕事にしたい新卒学生・院生計2名の正職員を募集中です。

札幌駅を降りるともう目の前が大学でした。

昔は大学構内の川にもサケが上がってきていたそうです。

 

北海道大学。強風に乗って水平方向に降る雪にびっくり。

 

ちょうど到着がお昼どきだったので、まず、学生食堂でお昼をとりました。

学生がどんどんやってきます。

さすが、まじめに勉強している感じの学生ばかりです。

しかし、今の欲望全開社会では、卒業後、ほとんどの学生たちが、望むと望まざるとにかかわらず、企業の利益を上げるために、自然破壊や地球環境破壊に加担して生きていくことになるのだろうなと思うと、むなしいです。

 

食事後ロビーでくつろぐ学生たち

 

昼食後、求人票を持って就職担当教員に会いに行くと、2019年3月卒業予定者の8割は大学院に進学することになっており、残り2割の学生の就職は、もう100%決定しているということでした。しかたなく、2020年卒業予定の学生・院生 への求人として、求人票を置いて帰らせてもらいました。

 

この後、2つ目の大学、野生動物生態学研究室がある酪農学園大学を訪れました。就職担当官は、「兵庫県からよく来てくださいました」と感激してくださいました。ここは時間が遅かったので、学生にはほとんど会えませんでした。求人票を預けて帰りました。学生のみなさん、よろしくお願いします。

酪農学園大学

 

次の日の朝、フォーラム会場に行くと、多くの人達が詰めかけておられました。酪農学園の学生たちも来ており、最終的には参加者は200名を超えていたと思います。テレビ局も来ていました。ヒグマとの共存に関心を持って集まってくださる方が、北海道にもこんなにおられたのかと感激でした。

会場風景

 

北海道では昭和の終わりまで、ヒグマは開拓の邪魔となるため根絶させるべき害獣として、根絶研究が進められていたということです。

ヒグマとの共存が叫ばれ出したのは、なんと、平成になってからだそうです。

ヒグマは、北海道の自然が開発されるのを、命に代えて遅らせた、自然の守り神だったのです。

 

人口200万都市札幌の周辺には、捕り尽くして長らく見なくなっていたヒグマが、最近、再び目撃されるようになってきたそうです。

 

200万人が住む札幌市に、ヒグマたちも棲んでいる

 

以前ほど殺されなくなってきたので、ヒグマたちが安心して本来の生息地に戻り始めたのでしょうか。

平地ほど住みやすくて実り豊かな大地はありませんから。

しかし、市街地の中にまでヒグマが出て来ると、人身事故を誘発する恐れがあり、よくありません。

 

電柱に張られた熊出没注意のポスターを見ているヒグマ

 

ヒグマたちとどうやって共存していこうかと、みんなで模索されていました。

絶滅させる前に、ヒグマとの共存に舵を切り変えて下さった北海道民のみなさんを、心から讃えたいと思いました。

発表してくださったみなさん、いろいろと勉強になりました。ありがとうございました。

1回お会いしただけなのでまだよくわかりませんが、この会に集まられた皆さんは、ヒグマを同じ大地に暮らす仲間ととらえられており、連帯感を感じました。

 

 

北海道庁生物多様性保全課では、ヒグマの主な食料として、ミズナラ、ブナ(道南のみ)、コクワ(=サルナシ)、山ブドウの4種の山の実りを毎年調査されています。

近年ずうっと不作年や凶作年が続いていること、ヒグマの有害駆除が増え続けていることを、わたしたちは心配しています。

北海道にはまだ熊森の支部がありませんが、今年の夏には、久し振りに北海道の熊森会員たちと集って、ヒグマとヒトの共存を進めるために、私たちに何ができるか考えてみたいです。

 

ヒグマは夏場に駆除されることが多い。デントコーンを食べに畑に出て駆除されるのだろうか。

近年、有害駆除数が増加傾向にある。2018年は818頭が有害駆除された。これ以外に10月1日から始まる狩猟でも、撃ち殺される。2018年の狩猟数は、今のところ不明。

 

 

 

ご参加ください!澄川嘉彦監督映画「大きな家」と講演 「森とは何か」 2月10日午後1時半~  於:芦屋市市民会館

本部の不手際で、直前のお知らせになってしまい、誠に申し訳ございません。

210(日)13:30~17:00
映画「大きな家」1時間50分

予告編 2分30秒

 

講演 「森とは何か」1時間
澄川嘉彦監督 (元NHKディレクター)

フライブルグ国際映画祭最優秀ドキュメンタリー賞などさまざまな国際映画祭で受賞

 

会場: 兵庫県芦屋市民会館301号室   参加費1000円 

 

 

 

人よりクマが多い岩手県早池峰山のふもとのタイマグラという森に、一家で東京から移住された澄川監督と熊森がつながりました!

 

その森には、クマが19頭いたそうです。クマの頭数の数え方は来られた時に教えてくださいます。

 

映画紹介

 

幼い子供たちは、幼稚園もなくテレビも映らないと最初は泣いたそうですが、そのうち、それまでほとんど触れ合うこともなかった人間以外の生きとし生けるものたちの存在を確かなものとして感じていくようになります。

めまぐるしく続くいろいろな命との出会いの中である日、一番上の女の子がつぶやきました。

「おとうさん、わたしたち<大きな家>に、住んでいるんだね」

子どもたちは、まわりの生命たちとつながることを楽しみ、まわりの生命たちへの感謝の気持ちにあふれかえるようになります。

 

7年間にわたる撮影でカメラがとらえたのは、「わたしたちは、人間だけで生きているのではない」という、都会では忘れ去られがちな事実でした。

 

熊森から

西日本にはもう残っていない豊かな森に、映画でゆったりと浸ってください。

熊森は、こんな森を復元したいです。

 

澄川氏は、

「自然界は食う食われるの世界と言われているが、実際住んでみると、森は人間も含めて全ての生き物たちがみんなで助け合って生きている場所であることがわかりました。

この森を、人間が管理するなど不可能です」と言われます。

 

深い森に住んでみて、初めてわかった。

森とは何か、熊森会員に伝えたい。

 

澄川監督は、何時間でも語りたいと、岩手県から来てくださいます。

ぜひ、周りの方も誘って皆さんでお越しください。

終了後、もっとお話を聞きたい方は、熊森本部での懇親会にご参加ください。
 

(非会員の方も参加できます)

申し込み先

メールcontact@kumamori.org

電話0798-22-4190

FAX0798-22-4196

 

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