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2019-03-02
速報:森林環境税・譲与税法案 衆議院総務委員会可決
附帯決議に「放置人工林の広葉樹林化」と体制整備が入りました!
2018年3月1日深夜、森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律案が、衆議院総務委員会で可決されました。
その際、自由民主党、立憲民主党、無所属フォーラム、国民民主党、無所属クラブ、公明党、日本維新の会及び希望の党の6派の共同提案による附帯決議も可決されました。附帯決議とは、政府が法律を執行するに当たっての留意事項を示したものです。
森林環境税・譲与税法案の付帯決議では、「放置人工林の天然林化」とそのための体制をつくることといった熊森が訴えてきた条項が入りました!
放置人工林の天然林化(広葉樹林化)を国会に出向いて訴えていたのは、私たちだけでしたが、本部支部あげて国会議員にアタックした結果です。
衆議院総務委員会の国会議員の皆さま、本当にありがとうございます!
審議は、参議院に移りますが、引き続き放置人工林の天然林化を訴えていきます。
(衆議院総務委員会での付帯決議の抜粋)
政府は本邦の施行にあたり次の事項に対して適切に処置すべきである。
12 私有人工林において、荒廃し、保水力低下、土砂災害の発生、野生鳥獣の生息地の破壊、花粉症罹患者の急増など、深刻な問題が生じていることがわが国の森林における重要な課題であると鑑み、豊かな水源の森再生のために、森林環境譲与税で地域の自然条件に応じて放置人工林の広葉樹林化を進めること
13 広葉樹林化の施業は実践例が乏しく、森林環境譲与税の交付を受ける自治体にその技術がなく、人材も不足していることから森林環境譲与税で放置人工林の広葉樹林化が進むように具体的な指針を示し、必要な支援を行うこと。
14 既存の森林整備に係る補助金等は放置人工林の広葉樹林化に利用が難しく、自治体独自の補助事業もほとんどないことに鑑み、放置人工林の広葉樹林化が各地で進むよう必要な取り組みを行うこと。
15 森林環境税及び森林環境譲与税制度について各自治体における使途及び豊かな森林の公益的機能増進への効果を検証しつつ、必要がある場合には豊かな森林環境の生のために森林環境譲与税の使途や譲与基準を始め、所要の見直しを行うこと。
熊森から
放置人工林の天然林化を誰よりも待っているのは、有害獣のレッテルを張られ、無残にも大量捕殺され続けている日本の野生動物たちでしょう。
彼らは、人間のところに出て来たくて出て来たのではなく、荒廃した広大な放置人工林によって山で生きられなくなり、生きるために食べ物を求めて里に出てきたのです。
熊森は、今回の付帯決議を、誰よりも、彼らと喜び合いたいです。
動物たちに帰れる森を、地元の人たちに安心を。
熊森は、今後も必死で天然林を復元・再生していきます。
今、日本の山野にはおびただしい数の捕獲罠が仕掛けられています。
罠にかからないように気を付けてください。
なんとか野生動物のみなさんに、生き伸びていてほしいです。
民間林業会社等に国有林の人工林伐採権を長期間与える「国有林野の管理経営に関する法律等の一部を改正する法律案」が国会に
2月26日、上記法案が閣議決定されて、農林水産委員会に提出されました。
この法案は、2018年に成立した「森林経営管理法」で新たな民有林管理システムの要となる、意欲と能力のある民間林業経営者(森林組合、素材生産業者、自伐林家等)に、10年~50の長期にわたり、数百ヘクタール、年間数千立方メートルの国有林の伐採権を与える法案です。(現在も民間が国有林を伐採していますが、現行は3年までという制限がついています)
伐採後は、伐採林業者が再造林を行い、造林経費は国が支出します。
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これによって、民間林業経営者が収入を確保し、長期的な経営計画が立てられるようにするとともに、安定的に木材を供給できる仕組みをわが国に創設し、川上・川中・川下の連携による木材需要拡大をはかるものです。
林野庁経営企画課に電話をして問い合わせました。
くまもり:国有林の多くは最奥地にあるので、伐採跡地は、天然更新させて天然林に戻してください。伐採後は林業をせず、水源の森・生物多様性保全の森に再生させて、全生物のため、子や孫のため、永久保全すべきです。
林野庁:今回の法案は、林業として成り立つ場所での伐採しか考えていませんから、そのような奥地の人工林には手を付けません。
くまもり:じゃあ、伐採跡地には、またスギ・ヒノキを植えるのですか?
林野庁:地元の森林管理局や森林管理署に任せます。もし、造林するのなら、費用は国が持ちます。
熊森:国有林伐採に外資が参入するのではないかと心配している人がいますが、その恐れはありますか。
林野庁:伐採権を得られるのは、地元で実績のある林業会社と決められていますから、外国人が入ってきて国有林を伐採することはありません。ただ、その林業会社に外資が投入されることはあるかもしれません。
熊森から
林業振興のためだけの法案であることがわかりました。これからはどんどん人口が減っていく時代ですから、材の需要が増えることは考えられません。無理に木材需要を拡大しなくても、身の丈に合った林業規模でいいのではないでしょうか。人間の利益ばかり考えるのではなく、生息地を人間に破壊されて苦しんでいる野生動物たちに、森を返してやることも考えていく人間でありたいです。
国産木材の需要の伸び悩み
以下、2月23日毎日新聞より
花粉症対策の決め手「少花粉スギ」 植え替え進まないのはなぜ?
「国民病」とも言われる花粉症患者が悩む季節が到来した。春とともに大量に飛散するスギ花粉。林野庁は花粉症対策の決め手の一つとされる「少花粉スギ」の苗木への植え替えを推進しているが、木材需要の伸び悩みや木材品質への不安などの理由が重なり、植え替えは進んでいない。
東京都の調査では、都内で花粉症を抱える人の割合は推定で48.8%(2016年現在)と、ここ20年で2.5倍に急増している。
花粉症患者の増加には、戦後の国の森林政策が関係している。成長が早く、加工がしやすいスギは人工林の主役。日本の国土の7割にあたる森林(2508万ヘクタール)のうち、人工林は約4割の1029万ヘクタール。中でもスギは448万ヘクタールと最多を占める。スギは樹齢20~30年で花粉を激しく飛散させるが、花粉症が社会問題化した昭和の後半と時期的に重なる。
そこで林野庁が進めているのが、少花粉スギへの転換だ。同庁の対策方針では、32年度までに少花粉や無花粉のスギを年間苗木生産量の7割にする目標を定めている。だが、16年度現在、少花粉スギの苗木の割合は25%どまりで、植え替えも難航。大半が少花粉スギとなるには数百年かかるペースだ。同庁担当者は「品質がダメな木だったら育てた何十年かが無駄になるので、所有者は植え替えに慎重になる。決して品質が悪いわけではないのだが」と話す。
さらに根本的な課題としては、国産木材の需要の伸び悩みがある。建物が高層化したことや輸入木材の普及、景気の低迷もあって、木材の総需要量はピーク時の6割ほどに落ち込んだ。林業従事者は15年時点で4万5000人と、1980年時点と比べ、3分の1にまで減っている。
林野庁は国産木材の活用がカギとみて、需要の拡大を図ろうとしている。昨年成立した改正建築基準法では、壁の厚さなど一定の条件が整えば高さ16メートル以上の中層建築物でも木材をそのまま使えるようになる。4月に導入される森林環境譲与税は森林整備のために各自治体に配分されるが、都市部では木材利用に使うこともできる。
林業に詳しい宮崎大の藤掛一郎教授(森林経済学)は「住宅需要の低下や労働力確保の難しさなどから、伐採後の植え替えを敬遠する林業関係者は少なくない。植え替えだけでなく、林業全体の維持に向けた取り組みが必要だ」と指摘する。【渡辺暢】
◇ことば「少花粉スギ」
花粉症対策のため森林総合研究所などが開発した、花粉量が極めて少ないスギ。花粉量は通常のスギに比べて1%以下。北海道と沖縄以外の都府県が苗木生産と植栽を進めている。07年には富山県農林水産総合技術センターが全国で初めて無花粉スギを開発し、登録した。
熊森から
今や空き家でいっぱいの時代です。建築材としての木材の需要が伸びることは、もう、考えられないのではないでしょうか。炭や紙などに利用するのであれば、広葉樹の方がいいはずです。
木材自給率の推移