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2019-06

人類のせいで「動植物100万種が絶滅危機」IPBES

熊森は、以下の報告書を地球上の全人類が、何度も何度もかみしめて読まねばならないと思います。

全世界の学校で、この報告書を授業に用いなければならないと思います。

地球環境保全のためではありますが、とりもなおさず、人類が生き残るためでもあるのです。

 

BBCニュース5月7日より

 

人類のせいで「動植物100万種が絶滅危機」IPBES

 

国連環境計画(UNEP)主催の政府間会合は6日、人類が陸海空で自然環境と生物多様性に壊滅的な打撃を与えていると警告した。

 

世界132カ国の政府が参加する「生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム」(IPBES)は、人類の活動によって約100万種の動植物が絶滅危機にさらされていると警告する、報告書を発表した。

 

自然環境は地球上のあらゆる場所でかつてない速度で衰退しており、その最大の原因は人類の食糧とエネルギー需要が拡大し続けているからだという。

IPBESは、この衰退の動きは食い止めることができるものの、それには人類の自然の関わり方が全面的かつ「抜本的に変化」する必要があると結論している。

 

1800ページに及ぶIPBES報告書は、1万5000点の資料を3年間にわたり研究調査したものの集大成。私たちの農作物を受粉するハチ、土壌に水を蓄え洪水を防ぐ森林など、人間の活動が自分たちの社会を支える自然環境そのものを破壊している様子を、報告書は明らかにしている。

「政策決定者のため」として、パリ会合で発表された40ページの要約は、この地球しか住む場所のない人類がいかに地球を荒廃させてきたか、かつてないほど強力に糾弾している。

確かに歴史上、人類は常に地球環境に影響を与えてきたものの、かつてはかすり傷に過ぎなかったものが、過去50年の人間活動によって地球環境が負った傷は極めて重傷で深刻だと要約は指摘している。

1970年以来、世界人口は倍増し、世界経済の規模は4倍に成長し、国際貿易の量は10倍に増えた。この膨れ上がる人類に十分な食料と衣類とエネルギーを与えるため、各地で森林が驚くほどのペースで切り倒されてきた。特に熱帯地域の森林が、とてつもないペースで減少している。

 

1980年から2000年の間に失われた熱帯林の面積は、1億ヘクタールに及ぶ。南米での牧畜と東南アジアのパーム油生産が、その主な原因だ。

森林よりさらに破壊の度合いがひどいのが湿地帯で、1700年にあった湿地帯のうち2000年にも残っていたのは13%に過ぎない。

各国で都市部は急速に拡大し、都市地域の面積は1992年から倍増した。

人類のこうした活動によって、かつてないほど大量の生物種が死滅している。

 

報告書によると、動植物の25%の種が絶滅の危機にさらされている。

昆虫への地球規模の影響は分かっていないが、地域によって昆虫が急速に激減している様子は詳しく記録されている。

様々な現象を総合して、IPBESは約100万種の動植物が数十年のうちに絶滅すると警告。この絶滅のペースは過去1000万年の平均より10倍から100倍速いという。

報告書の統括執筆責任者の1人、米ミネソタ大学のケイト・ブラウマン博士は、「生物多様性と自然が本当にかつてないほど衰退している様子を記録した。衰退のペースや脅威の規模という意味で、人類史上このような現象はまったく前例がない」と指摘する。

 

「すべてを並べてみたとき、生物種の衰退があまりにひどくて、自然環境が人間に与える恩恵がどれほど失われるかを見て、衝撃を受けた」と博士は言う。

報告によると、地球上の土壌もかつてないほど劣化しているため、地表の生産性は23%も後退しているという。

人類の飽食によって巨大なゴミの山が積みあがっている。プラスチック公害は1980年から10倍に増え、私たちは毎年、3億~4億トンのもの重金属や溶剤、有毒ヘドロなどの廃棄物を地球の海や河川に投棄している。

 

この危機の背景は

報告書によると、これほど多くの生物を絶滅の危機にさらしている要因は複数あるが、土地利用の変化が主要因だという。

要するに、草原を集約農業の耕作地に切り替えたり、原生林を農園に変更したり、耕作のために森林を伐採したりする活動を意味する。こうした土地利用の変化は世界各地で、特に熱帯地域でさかんに行われている。

1980年以来、農業生産拡大の半分以上は原生林の破壊によって実現した。

 

熊森から

日本における多くの生物の絶滅の危機の最大原因は、林野庁が行った戦後の拡大造林政策によって、680万ヘクタールにも及ぶ広大な原生林が皆伐され、林業でもうけるためにスギやヒノキの人工林に造林されて放置されたこと、人口の爆発増加、国民の食事の肉食化などによってもたらされたと思われます。

しかし、何と言っても最大の原因は、国民の自然環境保全への無関心と他生物への共感の欠如、声を挙げる勇気のなさでしょう。

若いみなさんに期待したいです。

ひとりではむずかしい。若いみなさん、熊森協会に入会して、みんなで声を挙げましょう!

食べもの通信7月号!

食べもの通信社が発行している「食べもの通信2019年7月号」2ページ~4ページに、日本熊森協会の森山まり子名誉会長インタビュー記事が掲載されました。

どのようなものをどのようにして食べればいいのかというオーソドックスな内容を、1970年から追求し続けてきた「食べもの通信」。

ネット情報が氾濫している今、年間購読料8000円を出してこのような雑誌を購読されている方はどれくらいおられるのだろうか。

疑問に思い読者数をたずねてみると、意外に多い。

なぜだろうと、思わず中身を読んでしまいました。

 

単なる料理本ではなく、生産者や消費者の話、医学情報や環境問題と内容はバラエティに富んでいます。

「クマに奥山の森を返す活動を続けて26年」なんて内容が、トップの特集記事になるぐらいですから、編集者の興味関心はかなり柔軟で幅広いと言わざるを得ません。

 

日本という歴史のある国で、祖先が長年かかって作り上げてきた食文化は貴重です。

しかし、何をどう食べるかは個人的な問題ですから、少しでも強制力が働くと、相手を傷つけてしまう恐れがあります。

 

編集部の方に、どんな方がこの雑誌を購読されているのですかとたずねると、お姑さんが購読されて、そっとこの雑誌をお嫁さんに見せたりされていますという一例を教えてくださいました。なるほど、こうすれば角が立ちにくいですね。

 

いろいろな方がいろいろな目的で購読し続け、50年間にわたり愛されてきた「食べ物通信」。

日本熊森協会の「くまもり通信」も、かくありたいと思いました。

 

森山名誉会長の2019年5月時のインタビュー、ぜひ多くの方に読んでいただきたいです。

6月22日、兵庫県の山奥に、初の大苗植樹!

大苗を植えたらシカ除け柵が不要だったと、地元で植樹をされているグループに教えてもらいました。

今年6月22日、熊森も試験的に、2m~3m級の中苗~大苗4種4本を但馬地方に植えてみました。

クワ、ウワミズザクラ、ヤマボウシ、クリです。

クワとウワミズザクラは、初夏にクマの食糧となります。

大苗とまではいかないのもあるので、当分シカ防除も必要と判断し、シカ除け網も張りました。

 

左からクリ、ウワミズザクラ、ヤマグワ、ヤマボウシの苗木。

 

この日は、いろいろな場所で長年、植樹指導をされてこられた但馬の熊森会員が、指導して下さいました。

 

植える苗がいつもより大きいので、掘る穴もいつもより大きくなくてはなりません。

指導1、掘った穴の底を、つるはしでつついて柔らかくすると、根が張りやすい。

指導2、植樹後、苗木の周りに少し盛り土をする。

(地面にへこみがあると、雨水がたまって根腐りを起こす)

 

ヤマグワには、すでに実がびっしりついている

 

次は、支柱の立て方指導です。

 

大きな苗の植樹は、成果がすぐ出そうで、これまで以上に楽しかったです。

植樹後、突然の雷雨となり、植えた苗木はたっぷりと雨水を浴びました。

「苗木がうまく根付いて、早く動物たちに食料を提供してくれるようになってほしいね」とみんなで話しました。

 

作業後、植えた苗木をバックに記念撮影

 

クマが人里に出てこないように、熊森本部はこれまで1万本以上の実のなる木を、兵庫県のクマ生息地の奥山に植樹してきました。苗木は全て、一番根付きやすいと言われている小さな3年苗でした。

 

中苗や大苗でも根付くことがわかったら、苗木代は高いのですが、これからどんどん中苗や大苗を植えていこうと思います。

 

 

6月24日、滋賀県高島市でのクマによる人身事故現場へ熊森本部が急行、聞き取りと草刈対策を実施!

2019年6月23日、滋賀県高島市今津町でクマによる人身事故発生!

MBSTV 裏庭でクマと遭遇、70歳男性噛まれけが 滋賀県高島市

 

上のニュースを見て、6月24日朝、高島市の担当者に電話をすると、高島市としては、朝夕のクマが出やすい時間帯に、近くの道路をパトロールしている。クマ捕獲予定はないということでした。

心配なので熊森が現地に行って、ケガをされた男性を見舞い、できる被害防除対策があればやってもいいかたずねると、「それはありがたいです。ぜひよろしくお願いします」と言ってくださいました。

 

そこで、さっそく熊森本部スタッフ2名が、兵庫県西宮市から現地へ駆けつけました。

 

現地は山すその別荘地帯で、クマが出る地域だそうです。

お会いした方々は、「このあたりの人は皆、クマ鈴を持ってるよ」と話されていました。

ケガをされた男性は、自然が好きで10年ほど前に引っ越してこられたということで、左腕に包帯をされ、顔や左腕の一部にはクマの爪痕が残っていました。命にかかわるお怪我ではなかったことが確認でき、熊森本部スタッフも安心しました。

男性は、熊森の訪問を大変喜んでくださいました。

 

男性のお話

「事故があった日は、朝早くに(5時くらい)庭で物音がした。窓から見てみたら、2頭の小さなクマが、自分が庭に捨てた生ごみを食べていた。この地域はよくサルが出てくるので、家の中に何個かの石を用意している。サルが敷地内に入ろうとしたら、家の窓から音がするように石をポイと地面に投げて追い払ってきた。クマを見たのは今回が初めて。

 

クマといってもコグマだったので、山に追い払おうと思って、サルの時と同様にコグマに当たらないように、石をポイと地面に投げた。

 

そのあと、2頭のコグマが山へ逃げたかどうか確認しに庭に出て行ったら、塀の外側のスギの木に2頭が登っているのが見えた。

その瞬間、視界の左前方から塀を超えて、母グマが突然飛び出してきて、私の左腕に噛みついた。私は驚き、その場に倒れこんだ。母グマは、そのあとすぐに、コグマを連れて山へ走り去っていったと思うが、衝撃のあまりそのあとは覚えていない。噛まれたのは一瞬だったと思う。

 

事故現場で説明を聞く。2019年6月24日

 

すぐに家に入ってタオルで止血をし、救急車を呼んだ。入院するほどではなく、病院では3時間ほど治療をうけて帰ってきた。かまれた部分は傷が深いので腕を動かすと痛む。

 

今思うと、母グマは子供たちを守ろうと必死だったんだなと思う。考えもせずコグマに近づいていった自分が迂闊だった。今後は、生ごみを外に置かないようにする。反省している。」

 

再発防止対策

 

事故現場にはクマが身を潜められる繁みが多くありました。

事故再発防止のために、男性の許可を得て、草刈り機で草を刈り、見通しを良くしました。

事故現場(草刈り前) 写真の最奥部分の繁みにご注目ください。

 

草刈り後。30m先まで見通せるようになった。

 

男性は「こんな団体があるんだ。知らなかったです。来てくださって嬉しかったです。ありがとう。」と、大変喜んでくださいました。

 

熊森スタッフは、「こうした活動は、全国各地のくまもり会員の方々が、クマを初めとする野生動物たちと人との棲み分け共存を願って振り込んでくださる会費や寄附によって成り立っています」と話し、会報「くまもり通信」や小冊子「クマともりとひと」をお渡ししました。

 

男性はすぐに読んでくださり、「動物たちも、山に餌が無くて大変なんだな。人間が豊かな山を壊してしまったんだな。」とご理解くださっただけではなく、なんとその場でご寄附してくださいました。

 

全国の熊森会員の皆様・ご寄附くださった皆様へ

 

皆様のおかげで熊森本部は今日も、クマと人の棲み分け共存を進める活動ができました。

本当にいつもありがとうございます。熊森はこれからも可能な限り、現地へ駆けつけます。

これからも、よろしくお願いします。

【奄美嘉徳浜】ウミガメが護岸工事をストップ!

自然海岸を壊して世界自然遺産に登録できるの⁈

鹿児島県知事に声を届けよう

ウミガメの来る貴重な自然海岸である奄美大島の嘉徳浜海岸で、鹿児島県がコンクリート護岸工事を進めようとしています。

地域住民が中心となり、コンクリートに頼らない海岸浸食対策をと護岸工事差し止めの裁判提起をしました。熊森の室谷会長の所属事務所であるあすなろ法律事務所、奄美あすなろ法律事務所の弁護士も代理人として奮闘しています。

6月11日、鹿児島地方裁判所で第1回の口頭弁論が開かれました。

第1回口頭弁論期日のニュースはこちら

 

裁判期日と前後して、工事区域内でウミガメの産卵が確認されたとして、工事が一時中断したというニュースが入ってきました。

 

ウミガメたちたちも、自然海岸を守ってと訴えています。

日本政府は、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」を世界自然遺産に登録しようと推薦書を提出しており、鹿児島県も登録実現へ向けて積極的に取り組みを行っています。

わずかに残った貴重な自然海岸を壊して、世界自然遺産に登録をめざすのは矛盾しています。

裁判の原告である住民らは、海岸浸食は自然の植栽を生かした別の方法で行えると訴えています。

カメたちのためにも、貴重な自然を次の世代に残していくためにも、みなさんも鹿児島県知事へ、嘉徳海岸を守ってと声を届けていただきたいです。

 

【鹿児島県三田園訓知事への声の届け先】

FAX(099-286-2119)

知事への便り入力ホーム

 

 

 

宮崎県 除草剤の山林散布実験の中止を発表

㊗ 熊森宮崎県支部の申入れ実る!

日本熊森協会の宮崎県支部が他団体とともに中止を求めていた、宮崎県での育林のための除草剤の山林散布実験について、宮崎県は今年度は実施しないことを決定したと発表しました。

今年の2月11日の申入れの後、他の団体も申し入れを行ったり、反対の署名集めが開始されたり、ネットニュースで取り上げられたりする中で、水源の農薬汚染など環境への影響を懸念する声が宮崎県庁へ届いたことなどにより、農薬散布実験の中止がきまったようです。

宮崎県で実用化されれば、山林への農薬散布が全国へ広がっていったかもしれません。水源や山の生きものたちを守るため、いち早く動いた宮崎県支部の鶴永支部長と支部のみなさん、共同で申し入れをしてくださった団体のみなさんに、心からの拍手と感謝を送りたいです。

林業は大切にしなければなりませんが、山に農薬を撒くのは論外です。今後もこのような動きが起こらないように注視をしていきます。

熊森宮崎が51団体を代表し、宮崎県河野知事に無人ヘリによる森林への薬剤散布の中止を求める

森林への除草剤散布実験の今年度中止を伝えるNHKニュースはこちら

6月11日  川勝平太静岡県知事「県民はあきらかにリニアより南アルプスの生態系保護を選ぶ リニアルートを変更せよ!」と発言

静岡県知事「無礼千万」とJRを突き放す リニアルートを変更せよ

以下、6月12日、静岡新聞より

リニア工事幹線静岡工巡り、川勝平太知事は11日の定例記者会見で、リニア沿線の他都府県で作る建設促進期成同盟会に静岡県の加盟が認められない場合について「道(ルート)を外してほしい。急がば回れという言葉がある」と述べ、県内の南アルプスを横切るルートの変更をJR 東海に求める考えを示した。

 

同社の金子慎社長が静岡工区の未着工を理由に2027年のリニア開業時期が遅れる可能性を示唆したことには「(リニア)事業計画の年次を金科玉条のごとく相手に押しつけるのは無礼千万だ」と強く反発。「私は県民の安全、南アルプスの生態系保護という観点でのタイムスパン(期間)で考えている。事業計画に何ら影響されるところはない」と突き放した。

 

リニア開業の移動時間短縮効果と南アル プスの自然環境を比較し「県民は明らかに南アルプスを選ぶ」と強調した。 同盟会は6日の総会で入会を保留。川勝知事は会見で加盟申請の理由を、沿線自治体に本県の立場を理解してもらうためだと説明し「議論が平行線になってはいけない。事実を知ってもらう必要がある」とした。政府には「どうなるのが最善の解決策か公平無私の観点で考えられる立場」と調整役を期 待した。 また、南アルプストンネル準備工事の現場を13日に視察する際、水資源や生態系への影響と、建設される施設が将来的に観光に役立つかを重視して追加の準備工事を認めるか判断する姿勢を示し た。

 

熊森から

よくぞ言ってくださった!

お忙しい方は一行でもいいので、全国から支持お礼のメール電話FAXが大量に届くように、みなさんよろしくお願いします!

熊森本部からも、さっそくメールを入れさせていただきました。

南アルプスを貫通するリニアトンネルを掘ってしまえば、南アルプスの乾燥化が始まり、多くの動植物が息絶えて消えてしまいます。

私たち人間も水源の森を失います。もう取り返しのつかないことになります。

自然保護団体がいくら反対しても、JR東海は横暴きわまり、耳を貸そうともしません。

かくなる上は、天変地異が起きて、天の怒りでリニア工事がストップするよう祈るしかもうないのかと思っていましたが、このような知事さんが現れたこと、大拍手で応援したいと思います。

 

川勝平太静岡県知事に対する声の届け方

固定電話の方(無料)TEL  :0120-464-119
携帯電話の方(有料)TEL  :0570-041-001
(いずれも平日 9:00~17:00 年末年始除く)
FAX  :06-6455-3268
電子メール: help-shinsei-shizuoka@s-kantan.com

〒420-8601 静岡県静岡市葵区追手町9番6号

 

 

「ストップ・リニア!訴訟」では、ただいま、サポーターを募集中です。

南アルプスにリニアトンネルを貫通させ、水脈を切断、生態系を破壊することに反対の方は、「ストップ・リニア!訴訟」サポーターになってください。

<個人会員>初年度会費一口2,000円 次年度以降一口1,000円

<団体会員>年間会費一口5,000円

00270-3-55439 (ゆう貯銀行)
「ストップ・リニア訴訟」原告団・山梨

兵庫県丹波篠山市「篠山市広葉樹林化促進のための人工林等皆伐モデル事業補助金」創設

兵庫県にこんな町があります。以下丹波新聞より。

 

人工林皆伐補助が”大ヒット”単価8倍増で申請件数9倍に

4/19(金) 11:00配信

丹波新聞

人工林皆伐補助が”大ヒット” 単価8倍増で申請件数9倍に/兵庫・篠山市

「篠山市広葉樹林化促進のための人工林等皆伐モデル事業補助金」を活用した山林=2019年4月8日兵庫県

所有者負担減、林業家も育成

 森林所有者が行う山すそなどの人工林(スギ、ヒノキ)、広葉樹林(コナラ、アベマキなど)の皆伐にかかる費用を補助する兵庫県篠山市のモデル事業が昨年度、補助単価を8倍に拡充したことが奏功し、前年度実績を大幅に上回る“大ヒット”となった。100平方メートルあたりの補助単価を2500円から2万円に拡充するなどしたところ、前年度は9件200万円だった補助実績が、79件3200万円まで増加した。

 

 この「市広葉樹林化促進のための人工林等皆伐モデル事業補助金」は2015年度から始まり、人工林などを皆伐し、広葉樹に転換していくのがねらい。伐採した木を市場に出せば売上は所有者に還元される。

山の手入れが行き届かず、特に人家裏などで木が生い茂るなど危険な個所は増える一方で、伐採しようと思っても、以前の補助を活用してもなお所有者の負担が大きく、見送るケースが目立っていたという。

そこで市は昨年度、補助金を8倍増にしたほか、大径木(およそ胸の高さで直径20センチ以上)を伐採する場合は15万円を上乗せするよう改正。2180万円を当初予算に盛り込んだところ、申請は件数で約9倍、補助額で16倍に。補正予算で対応した。

市森づくり課は、「申請は増えると思っていたが、予想以上」と驚き、「補助を使い、伐採した木を売れば“とんとん”か、ややプラスという単価。所有者にも有利で、林業家にもメリットがあり、育成につながる。材として売れない木はペレットにするなど、資源として循環していけば理想的」と話す。

川阪自治会は昨年度、同集落内を通る県道本郷藤坂線沿いの約1・2ヘクタールで、同補助事業を活用した。昨年度まで自治会長を務めた男性は、「台風で木が道路上に倒れそうになるなど危険な状態が続き、道路の視界の妨げにもなっていた。木を伐採し、村全体が明るく開けたような印象になった」と話している。

 

くま森から

100平方メートルあたりの補助単価2万円ということは、1ヘクタールに換算すると200万円。これだと伐採業者に支払う伐採費用は全額補助されたに等しい。兵庫県内にこんなことをしている町があることを、今まで知りませんでした。経緯や実施結果などについてもっと詳しく知りたいです。兵庫県民緑税との関連や森林環境税との関連も知りたいですね。何と言っても、地元から、「スギばかり植えて失敗した。天然林に戻そう」という声が高まり、市が条例を制定して後押しし始めたというのがすばらしいです。

全国を探せば、他にもこんな町があるのでしょうか。もしあれば、ぜひ、日本熊森協会までご連絡いただきたいです。

 

久し振りに、人工林の広葉樹林化や天然林化をキーワードにして、ネットで検索してみると、だいぶん項目が出てくるようになりました。

三菱総合研究所などは、日本の森林は大部分を占める人工林の荒廃が進み、有史以来第 4 の危機を迎えているとまで 記述しています。

まさにその通りなのですが、私たちが26年前、日本の山が大荒廃していることを絶滅寸前のクマから教えてもらい、「大変だ、拡大造林にストップをかけてほしい」と訴え出した頃は、理解者が皆無に近くて、どこでも怒鳴られ笑われ変人扱いされたものです。このことを思うと、隔世の感があります。

しかし、論文や記述が増えても、実際に人工林の天然林化が社会で進んでいるかどうかは別問題です。

もう手遅れの感もありますが、日本熊森協会は自然保護団体として、実際に人工林の天然林化が進むよう、これからも活動し続けていきます。

みなさんぜひ応援してください!どうしたら応援できるかとよく聞かれますが、一番簡単にすぐできる応援は、会員に登録していただくことです。

賛同者はまずご入会ください!世の中を変えていくには、数が必要なのです。

国有林野管理経営法改正案、6月4日の農林水産員会での質疑

企業に長期に亘る大規模な国有林を伐採する「樹木採取権」を与えることを可能とする国有林経営管理法改正案について、熊森協会は、伐採した後は天然林に戻すまたは、針広混交林にしてほしいと訴えていました。

最後の審議となった6月4日も、各委員から質疑も白熱した内容でした。

 

小川勝也議員(北海道)

長年地元林業者の生活向上を応援してこられた小川議員としては、この法案で大手企業が国有林内人工林の伐採権をとってしまい、地元が潤わないのではないかと心配されています。国は、地元の中小の企業に伐採権を与えることを考えているという答弁でした。

また、樹木伐採権を取得した企業が、伐採だけして、再造林せずに山を放置して荒らしてしまうのではないかということも心配されており、伐採・再造林に関して、徹底した情報公開、国民参加、意見募集を国に求められました。

 

森ゆうこ議員(新潟県)

日本が、ドイツのような森林産業大国になることを望んでおられる森議員としては、責任感のあるきちんとした企業が樹木伐採権を取得するのかどうか、もし、きちんとした企業が取得したとしても、そのうち樹木伐採権が外資などの怪しげな企業に買収されて誤伐や盗伐が横行しないか心配されており、監督庁としての林野庁のマンパワーの不足をなんとかすべきと訴えられていました。国は、ドローンなどを使ってしっかり監督すると答弁していました。

 

儀間光男議員(沖縄県)

儀間議員は、戦後、国が造った針葉樹の単相育成林1000万ヘクタールの多くが放置され、大荒廃。野生動物たちが生きられなくなって山から出て来ざるを得なくなったことに、ずっと胸を痛めておられました。生態系が維持できる山に戻すべきだ。そのためにはスギ・ヒノキの林業ばかりではなく、広葉樹を植えて広葉樹も利用する多様な林業を構築していってほしいと訴えられました。(人間だけのことではなく、他生物のことまで考えておられる儀間議員の質問は、まるで熊森です)牧元林野庁長官は、1000万ヘクタール造った単相育成林のうち660万ヘクタールは今後もスギ・ヒノキを植えるが、350万ヘクタールは奥山や急傾斜地にあるので、広葉樹林又は針広混交林に戻しますと答弁されました。(林野庁が、26年遅れて、やっと熊森に追い付いてきた!高く評価します。)

 

紙智子議員(北海道)

紙議員も、地元の林業者たちの生活を心配されてきた方です。今回の法改正による樹木伐採権は、水道などのコンセッションと同じで、一部の大企業に国有林の材を売り渡すものではないか。短伐期皆伐の林業は、持続可能な林業にはならないのではないか。一般産業者の年間所得平均は年間400万円だが、林業従事者の年間所得平均はいまだに日給であり、300万円。今回の法改正は国産材の生産量を増やすためというが、林業従事者の所得を増やすための法改正はしないのかと訴えられました。国は、今回の法改正は、川上や川中の事業者のアンケートに基づいて造ったものだと答弁されました。

 

毎日新聞<5月30日の審議より>

改正案は伐採業者に与える「樹木採取権」の期間を「50年以内」とだけ明記。農水省が「10年を基本に運用する」と答弁するなど、法案成立後の運用に委ねられる項目が多い。牧元幸司林野庁長官は30日の参院農水委で、成立後に運用のガイドライン(指針)を策定する方針を示し、「政省令やガイドラインはパブリックコメント(国民の意見公募)を実施する。恣意(しい)的な運用にはならない」と釈明した。国民民主党の徳永エリ氏への答弁。

一連の林業改革は、成長戦略を議論する政府の未来投資会議(議長・安倍晋三首相)が提案。農水省は今回の制度設計にあたり、伐採・加工業者から意見を募るにとどめていた。野党側には「防災や水源保全など国有林に期待する国民の声を反映していない」との批判があり、同省は成立後のパブリックコメントで万全を期すと強調。法案成立に理解を求めた形だ。

また高野光二郎農水政務官は30日の農水委で、伐採業者との契約に伐採後の再造林について盛り込むことに加え、業者が樹木採取権の公募に応じる際に「再造林を行う意思」を書面で提出させると答弁した。牧元長官は「国が責任を持って100%再造林を行う」と繰り返した。

【田中裕之】

島根県浜田市 いとも簡単に連続2頭の若グマ捕殺 メディア報道にも大問題 熊森本部厳重抗議

浜田市内ではこの2週間余りで、JR下府駅周辺や石見海浜公園、それに県立大学周辺などの広い範囲でクマの目撃が23件相次いでいたそうです。
警察などがパトロールを強化する一方、石見海浜公園を一部を立ち入り禁止にして、捕獲おり2基を設置していたところ、

①5月30日に体長1メートル13センチ、体重36キロで2歳から3歳のオスがかかり、直ちに殺処分されました。

 

テレビニュースから

 

親から離れたばかりの若グマです。殺処分が速すぎて、熊森が放獣してくださいの声を挙げる暇もありませんでした。

 

この件に関するマスコミの報道のひどさには、絶句です。

 

テレビニュースでは、檻にかかったクマに記者が近づき、「カメラに向かって、威嚇してきました!」と、それが重大問題であるかのように伝えていました。クマがどんなに狂暴であるか人々に伝わるようにしたら面白いニュースになると思ったのでしょうか。

罠にかかってしまい、人間に殺されるのではと恐怖でいっぱいになっているクマに人が近づいたら、クマは人間を必死で追い払おうとします。クマの行為は、当然です。こんなことすらわからない記者さんがおられるのでしょうか。

クマが捕殺された後、「捕まって一安心です。良かった」と、いうようなコメントをばかりを取り上げていました。

他生物との共存本能を失っていない子どもたちは、このニュースを見たらショックで胸がつぶれただろうと思います。

 

捕まえるのは仕方がないとしても、相手は、まだこの世に生まれて2~3年しかたっていない、何もわからない若グマです。

このクマがやったことは、公園にたくさん実るサクラの実を食べに来たことだけです。

殺してしまうのではなく、山へ逃がしてやろうという声は、島根県民から起きなかったのでしょうか。

信じられないほど一方的なニュースでした。

記者の不勉強には、あきれるばかりです。

 

 

目撃数が多いことから、クマは他にもいるのではないかということだったので、熊森本部としては、次回クマが捕獲されたら、今度は山に放獣してやってくださいとお願いしようと思いました。

6月5日、行政の連絡先をネットで探し始めたところ、体長130センチメートル、年齢は5歳か6歳、体重45キロのオスの若グマが、浜田市国分町の住宅の近くに仕掛けたおりにかかったので、すぐに殺処分したという新しいニュースが入っていました。またしても、罠にかかるのと殺処分が同時なので、声を挙げる時間がありませんでした。

 

今、日本国は、一部の研究者たちが広めた、「大切なのは人間の命だけ」という、とんでもない誤った思想に覆われてしまっています。

西中国山地のクマは、環境省が絶滅の恐れがある地域個体群に指定しており、島根県の保護動物でもあるのです。これまで島根県は、日本一のクマの保護先進県として名をとどろかせてきました。罠にかかったクマの放獣体制も整備されています。殺さなくてもいい命を殺すのは、犯罪だと思います。

 

いったいどういうことなのか、石見海浜公園の管理責任者に電話をしてみました。

 

責任者によると、自分たちはこの件にノータッチで、自分たちが殺処分してくれと言った訳ではないということです。次回からは、山に逃がしてやってくれるよう県に頼んでほしいとお願いしておきました。

 

次に、浜田市の農林振興課に電話をすると、自分たちは捕獲申請はしたが、捕獲されたクマを殺処分してほしいとも、山に逃がしてやってくれとも、何も言っていない。全て、権限は県にあり、県が決めたということです。

そうかもしれませんが、若いクマが、人間の恐ろしさも知らずに、桜の木の実や住宅のビワの実を食べたからと言って、即死刑は行き過ぎです。県にクマをどうするかの権限があったとしても、市の職員として、山に逃がしてやってくださいとお願いはできたはずです。ここでも、次回は、人間としての倫理観から、山に逃がしてやったらどうかと県に頼んでほしいと、お願いをしておきました。

 

最後に、島根県庁の鳥獣対策室の担当者に電話しました。今回クマが出た場所は、人が多く訪れる場所で、島根県ツキノワグマ保護計画のゾーニングでは、クマ排除地域だったということです。それはわかりますが、それと捕獲後殺処分するのとはつながりません。島根県は放獣技術を持っているのですから、次回から、放獣してやってほしいとお願いしておきましたが、なんだか歯切れの悪い対応でした。どうされたのでしょうか?

 

電話を切ってから、みんながクマという動物をあまりにも悪く誤解し過ぎていることに気づきました。さっそく、石見海浜公園と浜田市に、くま森小冊子「クマともりとひと」を郵送しておきました。人々が、野生動物に共感を持てなくなり、害獣としか見なくなったのは何故だろうと思うと、やはり、メディアの報道姿勢に問題があるからだと思いました。あす以降は、メディアの記者たちにも、アタックしてみようと思います。くま森小冊子「クマともりとひと」を読んでいただければ、クマがどんな動物か、クマたちが棲んでいた山を、人間がいかに破壊し続けてきたかが、短時間でだいたい伝わると思います。

 

クマを初めとする野生動物の本当の姿や、彼らが置かれている悲惨な状況を知っていただくために、行政やマスコミのみなさんを筆頭に、くま森小冊子「クマともりとひと」を、生涯をかけて、全財産をつぎ込んで、全国民に配布して回りたいです。心ある皆さん、ご協力ください。

野生動物たちの存在意義を知ることは、とりもなおさず、私たち人類が、この地球上で生き残る道なのです。(完)

 

p.s 島根県のクマと森の状況をお知りになりたい方には、日本熊森協会発行の、田中幾太郎著「西中国山地からクマを失うことの意味」500円(送料別)をおすすめします。

益田市在住の田中先生は、幼少の頃より、猟師だったおじい様と、中国山地を駆け巡られてきた方で、「中国山地の主」と、呼ばれています。

地元の方々に、中国山地の生き証人の声を、ぜひ聞いていただきたいです。

 

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