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2019-07

石川県内 春夏のクマ目撃多発 元猟師とくまもり室谷会長が、若グマの餌場不足を指摘 中日新聞 

以下、中日新聞石川版の後半部分

 

県内餌場減 山戻らず越冬

 

半世紀余りクマ猟にかかわってきた石川県白山市白峰の元猟師加藤隆夫さん(78)は、人里に下りてくるクマに若い個体が多いことに注目する。「木の実などの餌場が少なくなり、餌の奪い合いになっている。確保しにくい子グマが押し出されている可能性がある」

 

親子グマ 石川県白山にて 日本熊森協会石川県支部撮影 2018.9.2

 

餌場はなぜ少なくなっているのか。天然林の再生活動に20年余り取り組む「日本熊森協会」(兵庫県西宮市)は「スギやヒノキを植林する造林政策が大きな原因の一つ」と指摘する。

 

人工林の木材は近年、価格の安い外材に押されて伐採や間伐が進まず、多くの森林が放置されたまま。日光が差さず下草が消え、雨で表土が流出して保水力が低下し、クマの餌になる木の実も育たなくなっているという。人工林が多く、手入れが行き届かなくなっている金沢、小松市の山で目撃情報が多く、木の実がなる天然林が残る白山麓では少なくなっている。

 

日本熊森協会は、2019年度から新設された森林環境譲与税による国の交付金を利用し、天然林を増やし整備するよう石川県内の自治体にも働き掛けている。室谷悠子会長は「クマは本来、山奥にすむ臆病な動物。人間とクマはこれまでうまくすみ分けてきたし、今後も共生できるはず」と訴える。

以上。

 

熊森から

中日新聞前半記事によると、人工林率40%の石川県で、クマの目撃が相次いでおり、金沢市の4月から7月21日までの目撃数は85件、この時期の目撃数としては過去16年間で最多。住宅地でも目撃されているということです。山から出てくるのは、ほとんどが3歳以下の立場の弱い若グマだそうです。

 

石川県は、7月初めに、今年の秋の木の実の結実状況を調査した結果、ブナが凶作、ミズナラが豊作、コナラが並作になる見通しで、今秋のツキノワグマが平野部に出没する可能性は低いとの予測を発表しています。

 

では、なぜ、春や夏に、山から出て来るのでしょうか。

 

環境省系の研究者たちの予測は、以下の通りです。

1、クマが生息数を増やした。

2、クマが放置された里山へ生息域を拡大した。

3、クマが人間の食べ物のおいしさを知った。(味しめ説)

4、クマが人間を恐れなくなった(人なめ説。新世代グマの誕生)。

 

原因は、全て、クマにあります。

対策は、個体数低減のための捕殺と緩衝帯としてのやぶ刈りです。

 

神のみぞ知るの世界なので、全面否定はできませんが、余りにも短絡的です。

 

熊森は、この時期、クマが出て来るのは、まず、山の中に夏の餌(オオヤマザクラ、ニワトコ、ヤマグワなどの夏の木の実、アリやハチなどの昆虫、サワガニなど)の量が不足しているのが原因だと思います。

 

みなさんはどう思われますか。

 

いろんな原因が考えられるでしょうが、熊森は若グマたちが空腹による苦しさの余り、餌を求めて出てきているという事実を押さえることから考え始めるべきだと思うのです。

 

熊森は、原因をすべて物言えぬ弱者に押し付けるのではなく、拡大造林政策、奥山観光開発、酸性雪、地球温暖化、大規模林道建設など、人間がしでかしたことで、山中のクマたちの夏の餌量不足をまねいていないか、検証していくべきだと考えます。

 

中日新聞さん、元猟師や熊森の室谷悠子会長のコメントを載せてくださってありがとうございました。

行政や肩書のある研究者のコメントしか載せない他紙と比べて、多様な意見を掲載しようとされる貴紙に、心から敬意を表します。

 

栃木県塩谷町、牧場の飼料タンクに落ちた親子グマの救出作戦

2019年7月18日、親子3頭のクマが、デントコーンなどが入った家畜用飼料タンクの中に落ち、4日間出られずに閉じ込められたままになっているというニュースが流れました。

 

飼料タンクに親子グマ 4日間閉じ込められ衰弱

 

ニュースに取り上げてくださった記者さんに、深く感謝します。

記者さんのおかげで、私たちはこの親子グマたちのことを知り得ました。

 

異変に気付いたタンクの持ち主は、親子グマがタンクに落ちて出られなくなっていることを、14日に役場に届けています。

その後の役場の対応はどのようなものだったのでしょうか。

 

熊森本部を初め関東の熊森支部員らは、町の担当者へ次々と電話して、この親子グマの救出を願い出ました。

 

 

現地は、標高1000~1100mの山奥にある町営牧場です。人家や集落からは離れています。

事件発生場所はかなりの山奥(担当者の聞き取りをもとに、熊森本部が作成)

 

以下、塩谷町の担当者とのやりとりです。

 

熊森:この親子グマを、何とか山へ帰してあげてほしいです。

担当者:私たちも何とか助けたいので、山に放す方針です。しかし、4日間、この中に閉じ込められていたので、衰弱していないかが不安です。

 

熊森:放獣決定に、感謝いたします。どのようにして放されますか。

担当者:飼料タンクを解体して横に寝かせ、タンクの上部にある蓋をロープで引いて開け、自力で脱出させます。衰弱していますので、麻酔は使えません。本日中に放獣作業をしたいです。

 

熊森:何とか水を飲ませてあげてください。本日放獣作業ができないのなら、ひもつきバケツに水を入れて、ロープでタンクの中へ降ろしてやってください。

担当者:はい。やってみます。

 

(夕方、熊森本部は、再度、塩谷町の担当者に問い合わせました。)

 

熊森:無事放獣は出来ましたか。

担当者:午後、タンクを横に寝かせ、蓋を開けて放獣作業を行いました。子グマ2頭はすぐにタンクから脱出し、走っていきましたが、母グマは衰弱がひどいのか、タンクから出られない状況です。タンクを横に寝かせるときは、母グマは興奮していたのですが。

 

熊森:タンクの外に、水を入れたバケツをたくさん置いてください。タンクを横にするときに怖かったと思います。人がタンクの近くにいると、安心して出られませんので、母グマも余計に気を張って体力を消耗してしまいます。みなさん遠く離れてください。子グマも近くで母グマが出てくるのを待っていると思います。また、現在の状況を獣医師にも相談してください。

 

担当者:わかりました。やはり水が必要なんですね。やってみます。

 

しかし、18時のニュースでは、母グマが衰弱死したことが報じられました。

 

熊森から

ニュース映像を見ると、自らも脱水症状に陥っていると思われる母グマが、タンクの中で懸命に子グマに自分の唾液を飲ませていました。

とてもつらくて見ておれません。

もう少し早くこの情報を察知できていたら、助けることができました。

とても悔しい気持ちです。

 

関東の熊森会員の皆さんをはじめ、この件で、親子グマを助けたいと、何度も町の担当者へ電話をしてくださったみなさん、

本当にありがとうございました。

また、タンクを壊してもいいから、中の親子グマを助けてやってほしいと言ってくださった牧場主さんにも感謝します。

 

飼料タンクにクマが落ちてしまう事件は、東北地方や北関東のクマ生息地では時折あります。

牧場経営者のみなさんは、クマが蓋を開けられないように、蓋の改善をお願いします。

 

この件で、日本熊森協会顧問の門崎允昭顧問と、水見竜哉研究員がメディアの取材を受けました。

 

門崎顧問のコメント入りNEWS

はしご使って?屋根のタンクに“親子クマ”落ちる

 

水見研究員コメント入りNEWS

高さ6mの飼料タンクに落ち・・・クマの親子か、救出大作戦

 

山に逃げた子グマが、母なしで生き残ることはむずかしいと思います。

命に対しては、いかに迅速な対応が必要かを、改めて思い知らされた事件でした。

みなさんと共に、今後の教訓として生かしたいです。

獣害被害額が減少 防護柵設置が奏功、みなべ町

以下、7/13(土) 紀伊民放より

 

 和歌山県みなべ町によると、町内の2018年度の野生動物による被害額は328万2千円で、17年度(451万9千円)や16年度(507万5千円)に比べ減少傾向にある。被害は続いているが、町産業課は「被害額が実際の被害のすべてだとはいえないかもしれないが、防護柵の設置が増えた効果が大きい」とみている。

 

18年度の被害内訳はイノシシ124万7千円、サル48万5千円、シカ122万円、アライグマ33万円。17年度の被害内訳はイノシシ156万3千円、サル82万5千円、シカ180万4千円、アライグマ32万7千円だった。

 

防護柵の設置に当たっては、町と県の補助を合わせて資材費の3分の2(上限1メートル当たり900円)を補助している。防護柵の補助実績は、15年度が20・6ヘクタールの1万4435メートル、16年度が21・4ヘクタールの1万6365メートル、17年度が15・8ヘクタールの1万1597メートル、18年度が29・4ヘクタールの1万6620メートル。

 

同課は「被害額は徐々に減ってきている。防護柵の整備が進んでおり、設置した人からは被害がほぼなくなったと聞いているが、柵がない所は被害が多いと聞く」と話している。

 

防護柵の設置効果として、17年度に設置した人に対し18年度にアンケートをしたところ、以前被害があった面積の約96%で被害がなかったという。

 

熊森から

他生物にも優しい文明が、一番優れている。

石川県 金沢市・白山市で室谷会長が講演

森林環境税についてもお話し、大盛況でした!!

7月12日、13日と室谷会長は日本有数の豊かな自然が残る霊峰「白山」のある石川県へ講演に出かけました。

 

12日、若手議員の会で森林環境税について講演 金沢市

金沢市会議員の熊野盛夫(くまのもりお)さんの所属する石川県の若手議員の会で、森林環境税のお話をさせていただきました。

石川県の市町村では、今年から交付される森林環境譲与税の使い道を決めていない自治体がほとんどでした。国会で、森林環境税を使って広葉樹林化の推進を求める附帯決議が付いたことなどを紹介し、豊かな水源の森再生のために放置人工林の天然林化に活用してほしいと訴えました。

これから自治体が使い道を決めていくというだけあって、1時間30分の話をとても熱心にお聞きいただき、地域の振興にも役立てられるような仕組が必要ではないかなど、活発なご意見をいただきました。森林環境譲与税の使い道を議論していく自治体の市議のみなさんに直接お話をさせていただくことはとても大事なことだと感じました。

 

13日、石川県支部主催「森と水といのち、の今」 白山市

石川県支部のみなさんがこの日のために、1人1人に声をかけ、何と104名の方が集まってくださいました!副支部長の飯島さんは、連日、フェイスブックを更新して参加を呼びかけてくださいました。

 

講演会では森林環境税・譲与税で放置人工林の天然林化を進めてもらうために行った国会でのロビー活動や石川県支部での取り組みも紹介しました。

石川県支部の浴衣での森林環境税署名活動(2018夏)

石川県支部では、地域の方と協力して金沢市への陳情を全国に先駆け実施しました。

また、熊森が22年間取り組んできた天然林再生や野生動物との共存のための実践活動も紹介しました。映像も交え、2時間弱の長時間になりましたが、みなさん最後まで、熱心に聞いてくださいました。

森林環境税の導入など、森と私たちの関りをもう一度見直す時期に来ている今こそ、豊かな森再生のために動き出すときが来ていると感じて、石川県支部のみなさんが準備してくださった講演会。石川県でたくさんの人が手をつなぎ、実践活動が始まるきっかけになればこれほどうれしいことはありません。石川県支部では、野生動物との共存へ向けた森づくりに動いていきたいとのことで、今後がとても楽しみです。

講演会終了後に支部スタッフのみなさんと。子どもたちと一緒に作ってくれた動物たちのたくさんいる素敵な壁飾りと一緒に。

石川県支部のみなさん、ご参加いただいたみなさん本当にありがとうございました。次は、ぜひ、森づくりの実践活動の現場でお会いしましょう!

 

全国で森林環境税の講演会を

日本の森の現状や豊かな森再生のために活用できる森林環境税について地域の方々や議員の方に詳しく知ってもらうこのような機会を持つことはとても重要なことだと感じました。全国の自治体が、森林環境譲与税を何に使うか検討している時期なので、各地を回ってこういう講演会ができたらと思います。

企画をしてみようという方は、ぜひ、本部までご相談ください。

 

 

 

 

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