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2020-02-01
熊森山形県支部、吉村美栄子県知事にクマ捕獲数半減の要望書を提出
- 2020-02-01 (土)
- くまもりNEWS
以下は、2020年1月28日山形新聞記事
山形県支部長から
山形県では2019年度、359頭ものクマが捕殺されました。
1月27日午後「山形県特定鳥獣保護管理検討委員会」が開催され、来年度のクマの 捕獲について捕獲「水準」を340頭、春季捕獲を184頭とする案が出されました。案とはいえ、すでに捕獲数は決まっており、私がいくら意見を言っても毎度のことながら変わりません。
今年は雪が異常に少ないので、春先の雪解けも早いでしょう。これは春季捕獲するみなさんには不利な条件となります。今年度も、春季捕獲206頭に対して「実 績」は77頭でした。
できるだけ捕殺数が少なくなることを願っています。
私はいつも委員会で、農業被害や人的被害がないことが望ましいのだか ら、何頭捕獲してよいなどを目安にするのではなく、農業被害をどれぐらい減らすのか、被害防護柵をどれくらい設置するのかなどを目安にすべ きだと意見を述べています。
これであれば、被害が 何%減った、柵が何km設置されたと、目標が具体的になります。
<地元の方の声>
私は山形市に住んで25年以上になりますが、昨年夏に初めて、熊、イノシシ、サルに家庭菜園(トウモロコシやカボチャなど)をやられました。
当初、何にやられたのか解らず、市役所に連絡したところ、猟友会の方が見に来て、熊とイノシシだと判断されました。近くの果樹園でも熊被害が発生し、隣組で緊急注意のチラシが配布されました。
すぐに罠が仕掛けられ、2頭の熊が捕獲されたようです。上の畑では栗の枝がおられる被害がその後もありましたから、まだ熊がいると思います。
数年前は果樹園や畑だった所が、高齢化で放棄され、荒れ地が増えてきました。それに伴って、イノシシや猿の目撃も増えてきました。
森林保全はもちろん大切ですが、耕作放棄地の草刈りや樹木の伐採等々の必要性を感じます。
隣の地主さんに雑木の伐採をお願いしましたが、高齢で無理とのことで、私が人を頼んで伐採しました。今年の春も再度伐採する予定です。(荒れ地のままにしておくと野生動物たちが来ますので、自費で伐採です。)
野生動物たちが山から下りてくる原因を探り、棲み分けを復活させるようにしていかないと、これからの高齢化社会では、安易な捕殺がますます主流になって行くと思います。
正直なところ、クマが捕殺されたと聞いた時は、ほっとしました。
<山形県支部から>
個人の問題として行った樹木伐採には公的な財政支援は出ません。
ただこうした問題は、地域の問題でもあり、地域ぐるみで解決してゆくべき面もあると思われます。「地域からの要望」ということで、まとまって対策を要望すれば、財政支援も検討していただける余地があります。
目の前の被害問題と、長期的な視野の中での野生動物たちとの共存の問題は、区別して考えることが必要なのではないかと思います。
山形県支部では、酸性雨や酸性雪で弱った森の木々の根元に毎年炭を撒いて土壌を中和するなど、長期的な森林保全につながる活動も継続して行っています。
熊森山形県支部長が県の救護所で保護中の衰弱子グマを見舞う
- 2020-02-01 (土)
- くまもりNEWS
(記事要旨)
1月19日午前7時ごろ、住民の80代男性が、米沢市の住宅が点在している地域の住宅の軒下で、衰弱して横たわっていた体長約50センチで1歳未満の子グマを発見。近くに親がいないか捜したが見つからず、地元猟友会が袋に入れて捕獲し、保護しました。
子グマはやせていましたが、保護後はリンゴを食べるなど安定した状態。親が駆除されたか、親とはぐれたかのどちらかとみられます。山形県にはこのような弱ったクマを春まで保護して、山に戻したり動物園などに送ったりする救護所があります。
(熊森本部注:全国にこのような救護所が必要です。衰弱した野生動物を保護することは、今やアメリカでも当たり前の行為になってきています。しかし、日本では、クマは人を襲う狂暴動物という間違った情報がマスコミによって国中に広まってしまっている上、行政が、クマに害獣というレッテルを張ったため、子グマであっても撃ち殺されることが一般的になっています。無知は、本当に罪深いです。)
救護所の方によると、親子のクマは早い段階で冬眠するため、「今回の子グマの出没と暖冬の関連性は低い」そうです。一方で「暖冬と雪不足の影響で、例年は冬眠している若いクマが現在も動いているようだ」と話されています。
熊森山形県八木文明支部長から
例年なら長井市は1メートルの積雪があるのだが、今年は積雪ゼロの異変。
このためか、1月になってもクマの目撃が相次いでいます。
1月23日に救護所を訪れ、子グマに会って、目に優しさがある救護所の方ともいろいろ話し込んできました。
救護所の方によると、これまでもクマを保護して、時期を見ては山に放獣してきたそうです。野生のクマが人になつくことはまずない。これまで山に放獣したクマで里に居ついてしまったクマはいないということでした。
この子グマは、まだものをかみ砕く力が弱く、熊森本部から送られてきたドングリは、まだ食べられないようでした。今は、牛乳をぺちゃぺちゃなめたり、牛乳に浸したパンや、規格外のリンゴのスライスを下の歯ですくうようにして食べていました。この辺りは規格外のリンゴがたくさん入手できる上、県や市からの助成もあるので、エサには困らないとのことです。
救護所の方のお話で一番印象に残っているのは、以前と比べて、森や里山の様子が激変しているという話です。以前は、かなり山奥に入らなければクマを見ることができなかったが、最近は人里でも当たり前に見られるようになった。原因は重機を山奥に運び込んで、チップにするために広大な森林を伐採しており、野生動物たちの生息地がますます狭められていることと、中山間地の過疎化など。山間の休耕田に飼料用のデントコーン畑が作られたりしているが、これもクマを里へ引き寄せている原因と言われていました。
人間の活動の変化が動物たちの行動に変化をもたらしているかもしれないのに、私たちは相変わらず、「出てきたら捕殺する」という、モグラたたきのような対応を続けています。
目先の被害対策ももちろん重要ですが、遠回りのようであっても時間をかけて、共生のための環境づくりを進めてゆかなければならないと思いました。この子グマが、いつかまた元気に山に戻される日が来ることを願います。(完)