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2021-03-08

3月6日開催オンラインシンポジウム「クマとの共存のために今、何が必要か」は、130名の方々にご参加いただきました!

熊森は講演会の開催が困難なコロナ渦でも積極的に、日本の奥山と野生動物の現状を多くの方々にお伝えしていこうと、昨年7月からZoomを使用したオンライン学習会を行ってまいりました。初期は、一般対象の講演会を行っても30名~40名が限界でしたが、2021年に入ってから、50名、70名と増え、そして今回は120名を超える方々にご参加いただきました。

かつては、年間100回以上もの講演会を各地でセッティングし、当時の会長、スタッフはほぼ毎日のように全国を駆け回っていましたが、現代ではインターネットを活用し全国の多くの方々に私たちの情報をお伝えできます。これからの時代は、ウェブ配信が主流になっていくのだと感じております。

今回のオンラインシンポジウムでは、ここ2年間での全国のクマ駆除数は6000頭を超え、狩猟による捕殺以外に、1468頭のヒグマ、1万1078頭のツキノワグマが許可捕獲により殺処分され、このような捕殺を続けていたらクマが絶滅するのは時間の問題であり、この危機感を130名の参加者の方々と共有いたしました。

 

【以下はシンポジウムの内容要旨です】

 

第1部「今、共存へ舵を切らなければ、手遅れに」

一般財団法人 日本熊森協会会長 室谷 悠子

近年、本州ではナラ枯れや昆虫の消滅が一気に進み、猛スピードで山が劣化しています。また人工林の中は日光が入らず真っ暗で動物たちのエサとなるものは全くありません。食料を求めて山から出てきたクマたちは、熊森の必死の駆除阻止活動にもかかわらず、片っ端から駆除されてしまいました。昨年では11の県で、捕殺の上限を上回る数のクマが殺されました。クマが絶滅しないように大切なことは、「奥山の再生」、「捕殺の抑制」、「捕殺に頼らない被害対策」です。クマと棲み分け、共存できるように、手遅れになる前に今自分たちができることをしっかりやっていきましょう。

 

第2部「クマを養えなくなっている奥山~西中国山地のツキノワグマ生息地で何が起きているのか」

広島フォールドミュージアム代表 金井塚 務氏

(西中国山地ツキノワグマ保護対策協議会 科学部会委員)

西中国山地のツキノワグマ地域の個体群は中核地域で数を減らし、生息域が周辺に拡大してドーナツ化現象を起こしていると考えられます。本来の奥山生息地ではエサが採れなくなってきたため、クマは生きるためにやむなく生息域を里に移し、フルーツや農作物など野生種ではないようなものを食べ始めるようになりました。人身事故が危ぶまれるような人里にクマがいて、奥山からはいなくなってきている。今後は、人間が奥山の生息場所を本来の豊かさを取り戻して、クマたちを奥へと地道に帰していけるように取り組むしかありません。

 

第3部「生息数推定では、クマは守れない~各地の生息推定数の検証から~」

日本福祉大学教授 山上 俊彦氏(統計学)

クマが何頭いるのか、正確な数を出すことは不可能ですし、どんなやり方でも誤差は必ず出ます。全国の自治体のクマの生息数推定の計算クマが何頭い方法を検証していますが、計算過程を非公開としている科学的検証にたえないものや、目撃や捕獲数が増えれば数が増える数理モデルとなって生息数が過剰に推定されていると考えられるものが多くあります。生息推定数は、それを使う人がどう使うかが大切で、あくまでも推定で、真実はわからないことを前提に使うべきです。どのような指標をもとにどのようなモデルで計算しているのかの外部検証が不可欠です。生息数推定に用いたデータ・モデル式・プログラミングを全て公表すべきです。

 

第4部「大型野生動物との棲み分け共存」

日本熊森協会 主任研究員 水見 竜哉

熊森では、古来より守ってきた野生動物と人間の棲み分け、共存文化をもう一度取り戻したいと活動を行っています。その取り組みの1つは、「奥山保全と再生」です。多くの命が支えられている水源の森は、山林を購入してトラストしています。放置された人工林を、実のなる木を植えて自然林に戻していっています。次は、「被害対策」です。兵庫県を中心にクマの被害に困っている40の集落で活動を行ってきました。電気柵や防護網を張ったり、クマが潜みやすい場所の草刈りをしたり、地元の方や都市からのボランティアの方たちと協力し、被害対策に取り組んでいます。また、学校や保育園での環境教育にも力を入れています。野生動物の生息地の危機的状況を子どもたちに伝え、子どもたちに考えてもらう学習プログラムです。

熊森でも、現地に足を運ぶ活動も続けながら、インターネットでの情報発信にも力を入れてまいります。今回は時間の都合により質疑応答の時間を持つことができませんでしたが、メールにて質問や感想などお送りいただけると幸いです。ご参加くださった皆様、ありがとうございました。

ご覧いただけなかった方には、近日中に本日の録画をくまもり公式のYOUTUBEチャンネル「くまもりチャンネル」にて配信する予定です。是非ご覧ください。(チャンネル登録もお願いします)

 

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