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兵庫県で開かれたシカ問題の地元フォーラムに参加して、熊森が発言

兵庫県は昨年度、45000頭のシカを捕殺したそうです。

それでも、シカが減らないということで、地元環境保全団体の主催でシカをどうやって減らせばいいのかを考える会が、10月25日豊岡市でもたれ、熊森本部から4名が参加しました。

 

記念講演をされた方は企業の社員として利潤追求にあけくれる人生に疑問を感じ、エコで持続可能な仕事をして暮らせないかと故郷に戻り、白炭を焼いて生計を立てようとされている40代後半の方で、共感を覚えました。山の中に動物たちの餌がなくなっていると言われるのを聞いて、いつものことながら、但馬のみなさんの生き物への優しさを感じました。

 

後半は、どうすればもっとシカが殺せるかということで、県や市町の行政、猟友会、市民団体の皆さんが、駆除の規制緩和や財政支援、捕獲事業専門会社の導入などについて発表されました。

 

全員の発表が終わってから質疑の時間があり、熊森スタッフ2人が質問しました。

くま森質問、豊岡市には、田畑ごと金網で囲ってシカ害をなくした集落もある。捕殺にばかり多大な予算をかけないで、防除にもっと予算をかけるべきではないか。

答え:金網の管理が大変。シカの害は田畑だけでなく、森にも及んでいる。

くまもり質問、くくり罠の規制緩和をめざすということだが、国が定めたくくりわな直径12センチ規定は、クマが誤捕獲されないためには必要な規定である。くくり罠の規制をどのように緩和するつもりか。

答え:地面に置くくくり罠は、雪が積もると使えなくなる。規制緩和してもらおうとしているのは、胴体くくり罠だ。餌を探してやってきたシカの首にワイヤーがかかると首がしまる。通り道に垂直にかけるくくり罠の規制緩和を要望している。

答えに対する地元市民の要望:くくり罠は大変危険な猟具だ。住民としては、簡単に規制緩和してもらったらこわい。慎重にやってもらいたい。

 

森山会長が最後に意見

議題がすべて終了してから、それまで議事進行の邪魔をしてはならないと遠慮して発言を控えていた森山会長が意見を述べました。

 

(要旨)地元でシカの被害に苦しんでおられるみなさんにとっては、対症療法として、どうしたらもっとシカを殺せるかが議題になるのだろうと思います。しかし、わたしたちは自然保護団体なので、ちょっと別の角度から意見を述べさせていただきたいと思います。

今、本当に、シカを殺しているだけでいいのでしょうか。

山では昆虫などの生物の大量絶滅が続き、それと同時に山の砂漠化が進行して湧水がどんどん減ってきています。

根治療法として、野生動物たちを本来の生息地に戻してやるべきなのです。

 

自然生態系は非常に複雑で、人間の頭でコントロールできるようなものではありません。みなさんに、シカを殺してシカ数をコントロールせよと指示を出している人たちは、自然界がどういうものなのか、ご存じないのだろうと思います。

 

シカは、そもそも草原の動物です。昭和の初めには草原や湿地など、シカの生息地が500万ヘクタールあったそうです。それを宅地や農地にと、人間がシカから取り上げたのです。シカは生息地を奪われ山奥へと追い込まれました。シカが草原で生活している時は、和芝などの草を食べて暮らしていました。このような草は、シカが食べてもすぐにまた生えてくる上、シカの食害にあっても枯れることがありません。しかし、森林生態系の下草は草の種類が全く別です。シカが食べると消えてしまうのです。

 

シカを絶滅させるつもりなら別ですが、シカも豊かな国土の自然形成に何らかの役割を持って存在しているはずだと考えるなら、シカが草原で暮らせるようにもう一度ある程度の草原を復元して、シカを山から出して本来の生息地である草原に帰してやるべきではないでしょうか。

 

一方、本来奥山が生息地だったクマは、奥山が戦後の国策によりスギやヒノキで埋め尽くされて棲めなくなっています。残された自然林はシカの食害で下草が消え、隠れ場所がありません。夏の食料である昆虫も消えて、クマたちはみんな里に下りてしまっています。奥山に広葉樹林を復元して、1%でも2%でも毎年人工林率を落としていき、本来の住民であるクマを奥山に返してやるべきです。

 

これは、第一に野生動物のためではありますが、コンコンと水の湧き出す水源の森を取り戻すことでもあり、結局は人間のためでもあるのです。

 

(感想)当日参加されておられた地元のみなさんは、環境保全にかかわってこられた方たちだからでしょうか。熊森の主張に同感してくださる方が何名もおられました。これを機会に、新たな地元とつながって行けたらいいなと思いました。

本来は、但馬のみなさんは殺生を嫌い、生き物に優しい心をもっておられるのに、そういう方々に、生き物を殺すことばかり勧めている国に、怒りを覚えました。

はっきり言って国策が失敗して、野生動物も国民もみんな生活できなくなり困っているのです。国を責める気はありませんが、国策の180度方向転換を強く望みます。

野生動物を本来の生息地に返してやりましょう。

 

熊森は、以下、千松氏の発言をうれしく思います。

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151024-00065459-hbolz-bus_all

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