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2月5日<滋賀県長浜市トチノキ巨木林>業者が、自分に伐採権があると、山主を大津地裁に訴える

(以下、中日新聞2月5日より)

 

長浜のトチノキ巨木群、誰のもの?保全めぐり論議

 

 滋賀県長浜市木之本町金居原地区に群生して残っていたことがわかったトチノキの巨木群に関して、伐採を計画していた業者(73才)が、地主2人を相手に、トチノキなどの所有権の確認を求めて大津地裁長浜支部に提訴した。伐採対象は推定樹齢が最長で400~500年とされる貴重な巨木群。保全をめぐり、滋賀県などを巻き込んだ議論に注目が集まっている。

 訴状によると、業者側は2014年3~5月、金居原地区の土地4、6ヘクタールを所有する山林地主2人からトチノキやケヤキなどの樹木を計190万円で買い取ったと主張。2月4日に大津地裁で第一回口頭弁論があり、地主側は請求棄却を求め、争う姿勢を示した。

 滋賀県自然環境保全課によると、金居原地区には幹回り3メートル以上(推定樹齢200~300年以上)のトチノキやケヤキだけで数十本はある。訴訟の対象となった土地は「県内で最も大きい巨木林の一角」(同課)とされる。

 業者は2014年に伐採を長浜市に申請。同年9月にも伐採する予定だったが、滋賀県や長浜市が業者に保全への協力を求めたため伐採には至らず、協議を継続してきた。昨年5月には三日月大造知事が現場を訪れ、「守る価値がある」などと保全を求めてきた経緯がある。

 業者側は再び伐採を模索しているが、地主側が「当初とは事情が異なる」と折り合わず、提訴に至った。

 木造建築の専門家によると、トチノキは木目が美しく、家具や内装の装飾に重宝されてきた。スギやヒノキに比べて価格が安定し、単価も高いという。(熊森注:1本300万円で売れるとのこと)

 業者の男性は取材に対し、「スギやヒノキを切っても売れず、生活は成り立たない。巨木には穴があいて枯れそうな木もあり、山のリサイクルとして活用していくべきだ」などと話した。

 4日の法廷には、巨木群の保全を訴える市民や学者らが傍聴に訪れた。京都大の岩坪五郎名誉教授(森林生態学)は取材に「県は保全の努力を」と伐採に反対した。

 地主側の代理人弁護士は「木の売買については双方の認識が異なっており、契約の合意の有効性に疑問がある。これまでのやりとりについて詳細な調査が必要だ」と述べた。訴訟は、次回期日から地裁本庁へ移されることが決まった。(角雄記、山中正義)

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山奥にひっそりとたたずむトチノキの巨木=長浜市木之本町金居原で

 

くまもりから

この伐採業者は、2010年に滋賀県高島市朽木に残されていた当時西日本最大級と言われていたトチノキ巨木群を伐採していた業者と同じ人です。

当時、伐採が始まっていることに気づいたくまもり滋賀県支部は、地元の方々や滋賀県民のみなさんと立ち上がり、伐採中止に持ち込みました。その後、裁判所に間に入ってもらい、2013年、残された巨木群を市民の力で960万円で立木トラストすることで決着し、巨木群は無事伐採から逃れました。

この業者はその後、長浜市でトチノキの巨木群を見つけ、2014年から伐採しようとしました。しかし、すぐに人々や行政に気づかれ、伐採阻止の動きが起こりました。くまもり滋賀もすぐに現地の山を調査しました。その結果、何と、高島市のトチノキ巨木群を上回る規模のトチノキ巨木群であることがわかったのです。もちろん、残された貴重なクマの生息地です。

 

くまもりは、高島市の時と同様、①クマをはじめとする多くの森の生き物たちのために、②近畿2府4県の水源のために、③未来の子供たちのために、長浜市のトチノキ巨木群も、絶対に残すべきだと思います。

 

くまもり滋賀は2014年6月、地元の方々と共に、当時の嘉田滋賀県知事に、直ちに伐採阻止を訴える緊急提言を行いました。(2014年6月12日くまもりブログ参)

長浜市のトチノキ巨木群は、伐採反対の声が高まり、いまのところまだ1本も伐採されておりません。そのため、今回、伐採業者が、「自分が生活する為に、伐採したい。自分には伐採する権利がある」と、裁判所に訴えた訳です。原生林は、さわらないのが一番いいのです。山のリサイクルなど詭弁です。

原発再稼働問題で、原発周辺の食堂などが、早く再稼働してくれないとお客が減って自分たちが生活できないと訴えている構図と同じだと感じました。個人の一時の生活のために、かけがえのない地球環境を破壊して取り返しのつかない事になっても良いという考え方は、地球の有限性がここまで明らかになった今、もはや認められないと思います。

ただし、この業者のような個人に対しては、彼らを責めるのではなく、転職斡旋や、それまでの間の生活保障などがなされねばならないと思います。

 

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