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「兵庫県第3期ツキノワグマ保護管理案」パブコメ  ①実質は進んでいない野生動物育成林事業

兵庫県では、2006年(平成18年)~2009年(平成21年)の4年間に、森林税であるみどり税(県民ひとりあたり年間800円負担)約4.6億円を使って876ヘクタールもの広大な山で、「野生動物育成林事業」が行われたことになっています。

一般県民のみなさんは、さぞ、野生動物たちの餌場が復元されたことだろうと思われるでしょう。しかし、当協会が昨年、現地検証や調査を行ったところ、確かに事業費は使われていましたが、野生動物の餌場を復元するためにはまず使われていませんでした。

以下、くまもり通信70号(2011年12月当協会発行)より抜粋

実態は、まるで鳥獣被害防止事業

21ヶ所の整備報告を見ると、そのうち19ヶ所は、バッファゾーン事業のみ、またはバッファゾーン事業と奥地広葉樹林整備事業(=広葉樹林の間伐)

がセットになったものでした。

バッファゾーンというのは、集落裏の山裾(広葉樹林が多い)を何十メートルかの幅で、動物たちが人里に出てきにくいように帯状に皆伐することで、人間のための鳥獣被害防止事業です。野生動物の餌場はかえって減少します。

クマのために奥地に広葉樹を植えた事業は、21ヶ所中、たった2ヶ所だけでした。

しかも、2ヶ所共、餌場復元効果ほぼなし

A町総事業費2341万円…30haの事業面積の中のたった1.79ha に、ケヤキ(実がならない)とコナラが500本ずつ植えられていただけでした。元々この山のほぼ全て29haは、広葉樹林。竹や広葉樹を9ha間伐したそうです。

B町総事業費2158万円…28ha の事業面積の中の4ヶ所計わずか0.35haをくり抜いて、実のなる木600本を植えたそうです。しかも、どれも苗木の生育は悪く、2ヶ所は、シカよけ網が破れたり倒されたりで、シカが入り、苗木がほぼ消えていました。周囲の人工林を12ha間伐したとのことですが、弱間伐のため林内は暗く草も生えていませんでした。

まもりは、昨年末、この予算を本来の奥山生息地の広葉樹林復元に使ってほしいと県に要望しに行きました。県の回答は、このような予算の使われ方は、地元の要望だからやむおえないということでした。

県民みどり税の導入にあたっては、奥山広葉樹林復元にも使うということで、私たちも賛成した経緯があります。これでは約束違反だとして、都市市民が税の負担を拒否したら、みどり税は成り立たなくなるのではないでしょうか。

くまもりは、人間が壊した野生動物たちの奥山生息地の復元に取り組まずに、山から出て来た野生動物たちに害獣のレッテルを張り、保護管理というわけのわからない日本語訳を用いて、実際は、動物たちを殺すことに目を向けている「兵庫県第3期ツキノワグマ保護管理案」の見直しを求めます。(注:このような野生動物対策は、兵庫県独自のものではなく、環境省の方針です)

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