くまもりNews
本部:クマ目撃情報があった現場へ
- 2016-11-11 (金)
- くまもりNEWS
今年は山の実り凶作です。10月に入って兵庫県のクマ目撃数も急増。
午前6時10分、集落近くの畑でクマ目撃の新聞情報
<現地調査へ>
本部が現地に行くと、集落の裏の畑に、鉄格子でできた箱罠が4基仕掛けてありました。
中には米糠と食パンが入っていました。罠を設置した猟師の方にお会いして、長時間いろいろとお話をお伺いすることが出来ました。
写真右上が箱罠
この方は、都会に永らく出ておられ、5年ほど前に帰郷されたそうです。
山には興味がないようで入っておられず、森林内部の大荒廃ぶりはご存じないようでした。
シカもクマも野生動物は人間に害を及ぼすので、山から出てきたら片っ端から殺しておかねばならないと思い込んでおられました。
畑に掛けた箱罠にシカがかかり、1週間ほど放置しておいたら弱ってきたので殺した。箱罠から死体を引き出したが、雨が降ってきたので外に放置して帰った。早朝、クマがそのシカを食べにきているのを住民が見つけ、警察に通報されたとのことでした。
裏山にはクマが1頭棲んでいて、このクマはあちこちで目撃されて目撃数を増やしていると言われていました。このクマは山から出て来ても、この方が睨むと山の中へ逃げ帰って行くのだそうです。
民家の裏の畑にクマが出て来るのは良くありませんが、今回の場合は、人間がシカやクマを山からえさでおびき出しています。
本部は、クマ目撃現場をいくつか回って現地調査をしています。
北陸自動車道のクマ、射殺 担当部署への聞き取り
- 2016-11-08 (火)
- くまもりNEWS
11月5日土曜日の、北陸自動車道に迷い込んだクマの射殺報道に胸をつぶした方が多いと思います。私は、ニュースを聞いて、射殺許可を出した人間を絶対に許さんと思いました。すぐ現地に飛んで行きたいと思いましたが、とりあえず、週明けの本日、なぜ殺したのか、関係部署に電話で聞き取りました。以下、概要報告です。
<新潟県庁環境企画課>
くまもり :このクマの射殺許可を出した人はどなたですか。なぜ殺したのか納得できないので、説明していただきたい。
新潟県庁 :新潟県のクマ駆除権は、市町村におろしています。しかも今回対応したのは、警察です。
くまもり :県庁担当課としては、何も知らない、無関係ということですか。
新潟県庁 :警察から報告は受けました。
くまもり :それで、何と指導されたのですか。
新潟県庁 :報告を受けただけです。今回の判断は警察です。
くまもり :報告を聞かれて、「そうですか」で終わるなら、何のための県庁ですか。
新潟県では、野生動物に知識のない警察が、勝手に、クマの殺処分を決めていいことになっているのですか。新潟県にクマの放獣体制がないのなら、クマを麻酔銃で眠らせて山に返すことができる体制を作るべきです。クマだけではなく、すべての生き物に対しても、そうしてください。
<糸魚川警察警務課>
糸魚川警察警務課 :今回の件は、新潟県警内の、高速道路交通警察隊(高速隊)が対応しました。
<高速隊上司> 電話 025-287-4433
くまもり :なぜ殺されねばならなかったのか、説明していただきたい。
高速隊上司 :警察官職務執行法にのっとって駆除しました。現場の判断です。午後2時過ぎに、高速道路にクマが入っているという情報が入りました。高速隊数名、糸魚川警察数名、東日本高速道路の職員数名、猟友会数名で現場へ行きました。山から1キロメートルも離れた場所で、高速道路の下は海です。とりあえず、高速道路を閉鎖しました。はじめから、射殺を考えていたわけではありません。逃がそうとして、ずいぶん長いこと待ちましたが、このクマは行ったり来たりして逃げなかったんです。
くまもり :テレビニュースで見た限りでは、パトライトがぐるぐる回って物々しい状況でした。クマは、たくさんの人間に取り囲まれて、恐怖で心臓が破裂しそうになっていたはずです。足を怪我していたとネットで読みました。
高速隊上司 :足を怪我していたという報告は受けていません。クマがどう感じていたかは、クマではないのでわかりません。
くまもり :もし、自分がこのクマだったらと想像してみたら、人間も動物ですからわかるはずです。クマは、とても臆病な動物なんです。人間がみんな消えて逃げ道を作ってやるべきでした。
高速隊上司 :このクマがどこへ行くのか見届けなければ危険ですから、人間がみんな消えるわけにはいきません。それなりに逃げ道を作ってやったつもりですが、うろうろするだけで、このクマは逃げなかったんです。そのうちこのクマは、コンクリートで囲まれた高速道路の退避場に入り込んでじっとしていました。暗くなってきたので、このクマがどこへ行くのかもう見届けられなくなってきたため、とりあえず、朝になるまで、退避場に閉じ込めておこうということになって、木枠でこのクマが入り込んでいる退避場に封をしようとしたのです。そうしたら、このクマが、退避場から出ていこうとしたのです。
くまもり :ニュースでは、人間に向かってきたから撃ったということですが、本当ですか。
高速隊上司 :そのような報告は受けていません。退避場所に閉じ込めることに失敗して、クマが出てきたときいています。夜の8時ごろになっていて、もう真っ暗で、現場の職員たちにもし怪我でもあったら大変なので、駆除するしかありませんでした。
くまもり :道路を早く開通させたかったんでしょう。
高速隊上司 :このクマをうまく退避場所に閉じ込められたら、道路はいったん開通させて、明日の朝明るくなったら、このクマを逃がす作業を再開する予定でした。
くまもり :射殺死体はどうしたんですか。
高速隊上司 :ネクスコという高速道路株式会社が、すぐにトラックに積んで持っていきました。皆さんに知っておいていただきたいのは、わたしたちも、なんとかこのクマを逃がしてやろうと努力したということです。
(熊森から)
今回のことで、新潟県の各部署に、高速道路に迷い込んだ動物を殺さずに山に返せるように、麻酔→放獣体制を今後県内に作ってくださるように要請しましたが、残念ながら、どこもその必要性を感じてくださいませんでした。
今回の場合は特殊な場所であり、ふだんは高速道路に迷い込んだクマは、自力で山に逃げ帰るそうです。
毎年、高速道路で轢かれる野生動物の数にはおびただしいものがあります。
最近、クマをはじめとする野生動物たちが山からどんどん出て来るようになり、地元は大変ですが、奥地に人間がどんどん入り込んでいるのをやめない限り、この問題は解決しません。
今回の場合、クマの生息地に高速道路を造ったことがすでに問題なのに、関係者の中に、人間側の責任を感じておられる方が誰もいませんでした。
糸魚川のクマさん、どんなに怖かったことでしょう。最後、閉じ込められないように退避場から逃げようとしたら、逃げようとしたという理由で撃ち殺されてしまいました。
このクマを哀れに思うわたしたちだけでも、せめて冥福を祈ってやりましょう。
このような難しい状況に於いては、本当に心から生き物を愛している方でないと、動物をうまく誘導できないだろうと思います。
関係者のみなさんの、「何とか逃がしてやろうと思ったんだけれど・・・」という言葉を信じたいとは思います。
【悲報】北陸自動車道のクマ、射殺される
- 2016-11-05 (土)
- くまもりNEWS
11月5日、新潟県糸魚川市の北陸自動車道の下り線にクマが1頭現れ、高速道路が通行止めになる事態がありました。詳しくは、下記URLのニュ―スをご覧ください。
http://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000087148.html
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161105/k10010757111000.html
しかし、本日20:00頃、このクマは射殺されてしまいました。
18:00頃、このニュースを知った熊森本部はすぐに新潟県の高速警察隊に電話し、当時の詳しい状況を伺いました。担当者の方は「クマはまだ高速道路の脇にいる。高速道路を通行止めにし、現場へ警察や行政、猟友会が来て、対応を考えている」と熊森本部に教えてくださいました。本部は、なにかいい方法がないか、すぐに調べて連絡しますと伝え一度電話を切り、そして、数分後にまた担当者の方へ、お電話しました。
しかし、ここで担当者の方が耳を疑うようなことを話されました。
「通行止めを解除して、クマが高速道路の本線に出てこないように、本線との出入り口を塞ぐ準備をしております」
こんな状況で通行止めを解除しようなんて、信じられません。
熊森本部は、「現場付近に人間がいるから、クマが逃げられないんです。通行止めを継続して、現場にいる方々にも撤収してもらって、クマが安心して逃げられるような環境をつくってあげてください」と、強く訴えました。
しかし担当者は「高速道路の通行止め解除を待っている方々もおられますので、それはできません」と話されました。
20:00頃、再び担当者の方にお電話したところ、「クマは先ほど、射殺されました。」と話されました。クマが現場にいる方々に向かってきたので、緊急対応をとられたようです。
熊森から:現場にいる方々はすぐに撤収して、クマの逃げ道を確保してあげるべきだったと思います。どういう状況でクマが殺されてしまったのか、詳しいことは担当者の方もわからないそうです。熊森本部は今後も聞き取りを行い、詳しいことが分かり次第、情報発信いたします。
本部11月3日、安全講習会に参加された狩猟者の皆さんにクマを撃たないようにお願い その2
- 2016-11-04 (金)
- くまもりNEWS
この日は安全講習会に来られた50名の狩猟者の皆さんに、兵庫県庁西館前で、「絶滅危惧種のクマを撃たないでください。800頭もいません」と、みんなでお願いし続けました。
立ち話でしたが、何人かの狩猟者のみなさんと立ち話ができてよかったです。もっとじっくり狩猟者のみなさんと話し合ってみたいです。
<狩猟者の声>
・「応募する気なかったんやけど、人が集まらんからって、何度も何度も応募するようにという連絡が県から来て、仕方ないから応募したんや」
・「あんたら(クマの)人身事故起きたら、保証金出すんか。そういうこともせずにクマ撃つななんて、無責任やろ」
・「クマは増えとる。子連れをよく見かけるから。放置されたシカの駆除死体を食べて増えているんじゃないかって?うーん・・・(否定的)。クマの母親は徹底的に子供を守るから、生存率がすごく高い。
山が荒れたからクマが出て来るというけど、昔、山が今よりも良かったときでも、クマは出てきて、鶏小屋とか襲っていた。柿とかには来なかったけどな。
クマは頭がいいから、罠掛けてもなかなかかからん。特に夏はかからん。有害駆除では獲りきれん。
山にクマが棲めないというけど、それはシカのせいやから、もっともっとシカを駆除せなあかんのや。
シカが何で増えるのかって?、それは、みんなしてシカのえさばっかり作っているからや。シカはな、柔らかい草しか食べられへん。みんなで草刈りをした後、柔らかい新芽が出て来るやろ。あれをシカが喜んで食べとるわ。
禁猟になる前、クマを撃ったことがある。心配せんでも、狩猟ではそんなに獲られへん。あんたらそんなにクマ守りたかったら、山の周りに金網柵張って、山からクマが出て来んようにしてくれたらええんや」
(熊森から)
以前、クマの狩猟がおこなわれていた時、狩猟数は年間10頭前後でしたが、今年、県は140頭獲る予定です。予定がすごいです。
一体、今年何頭狩猟でクマが獲れるのか、予測がつきません。
それはそうと、そもそも、それ以前の問題として、
①山奥で暮らしている野生動物まで、人間が入って獲る権利があるのか。
②人間が狩猟しないと、野生動物たちの数が増えすぎてしまうという説に根拠はあるのか。
これら根源的な問題について、国民的議論を湧き起こさせることが必要だと思います。
クマなんかいなくていいやないかという考えは、完璧な自然を形成している一つ一つの部品を、○○もいなくていいやないかと、人間の浅知恵で次々とこの世から外していくことにつながります。
宇宙船地球号に乗っていて、部品を一つずつ外して外へ捨て去っているのと同じです。
気が付いたら墜落です。自然界にいらない部品などないし、私たち人間は全部品がそろって初めて命が繫がっていることを知らねばなりません。
クマがいるから、毎日おいしい水が飲みたいだけ飲めるということを、知らない人が多すぎます。
NHKテレビニュース神戸放送局 11月2日
- 2016-11-03 (木)
- くまもりNEWS
ツキノワグマ猟解禁前に講習会 より (テレビニュース画面)
兵庫県で、ツキノワグマの狩猟が20年ぶりに解禁されるのを前に、ハンターたちが、安全対策などを確認する講習会が開かれました。
県庁で開かれた講習会には、ツキノワグマの猟を希望するハンター、およそ90人が参加しました。
はじめに、県森林動物研究センターの担当者が、「クマはふだんは用心深く、人に気づくと隠れたりするが、追い詰められると、相手を攻撃して逃げ出す性質がある」として、猟の際にはクマの反撃に警戒するよう呼びかけました。
また、講習会では、▼クマを確実に仕留めるための銃の使い方や、▼ハンター同士で事故を起こさないよう、つねに銃口の向きを確認するなどの安全対策について、説明があったということです。
ことしは全国各地で、クマに人が襲われる被害が相次ぎ、県内でも、先月17日に、宍粟市で60歳の男性がクマに襲われて、手首を折るけがをしました。
兵庫県は、こうした被害を防ごうと、今月15日から、20年ぶりにツキノワグマの猟を解禁することにしており、940頭と推定される県内の生息数を、800頭前後に減らしたい考えです。
参加した兵庫県猟友会の西川義丈会長は、「クマは木にも登るし、動きも素早いので、不安もあるが、事故を起こさないよう、しっかり気を付けて、猟に臨みたい」と話していました。
ハンターの声
「シカとかイノシシが主やからねえ。どうしても熊が自分の方に向かってきたときはしゃーないなと。わざわざクマを撃ちたいとは思いません」
「出てきたら、まあ許可出てるから撃とうかなと思います。基本的には取らない方がいいと思います。カキを植えるとかドングリを植えるとか、そちらの方に進むべきやと思います」
一方、ツキノワグマの狩猟解禁に反対する西宮市の自然保護団体、「日本熊森協会」は、講習会が行われた県庁前で、ハンターたちにチラシを配りながら、猟をしないよう呼び掛けました。
協会の室谷悠子副会長は、「ツキノワグマは、環境の悪化で山奥に住めなくなっており、そうしたなかで、猟を再開するのは問題だ。合理性がない。山の事情をよく知るハンターたちだからこそ、クマ猟を行うべきではないとわかるはずだ」と話していました。
「クマが怖い」という言葉が怖い
- 2016-11-02 (水)
- くまもりNEWS
「クマにあったらどうするか」(ちくま文庫)を読みました。アイヌ最後のクマ撃ちと言われる姉崎等氏から見た、北海道のクマと森が語られており、大変興味深い本です。
姉崎氏は2013年に90歳で亡くなられています。姉崎氏の語りをこの本にまとめられた片山龍峯氏も、もう亡くなられています。
生前、熊森と接点がなかったことを本当に残念に思うと共に、本を残してくださったことに心から感謝します。
「クマは私の師匠」と生前語っていた姉崎氏は、クマを追う一方、広葉樹の少なくなった山を憂えて、クマが暮らしやすい自然環境を守ること を訴え続けておられました。木の実がならない針葉樹の人工林が増えることの弊害と、クマが暮らせる山の自然を守ることの 大切さを訴え、「動物と人間の境界線が大事と考えていた」と娘さん。クマを知り尽くした人の語る言葉は貴重です。ブログでも何度か紹介していきたいです。
以下、ある章の姉崎氏の言葉をまとめてみました。
(1)「クマが怖い」という言葉が怖い
クマが怖いものだっていう、その言葉が怖いんだよね。クマが暮らせるようなある程度の環境を作ってやると、クマはそんなに怖くないんだってわかると思う。
山で働く人たちは、クマの足跡を見ても、「おう、クマの足跡だ」って普通に思っているだけ。クマがいるんだけど、それで人を襲うかっていうと襲わない。
いつの間にか、人もクマも学習して、出会わないようにうまく暮らしている。
ところが都会近くにクマが出たら、集団下校だとか、ハンターを頼んで山をワーワー騒がしくする。するとクマの方もいつもと様子が違うから、精神的に緊張する。
クマに対して人間も学習しないといけない。クマは危険なものだっていう考え方を改めないといけない。一般の人がクマを見ると、クマに襲われた本や新聞を見て、すぐに危ないと騒ぐ。人もクマもゆっくり学習できる時間が必要。
(くま森から)
「クマが出た」と、テレビで連日、大の大人がギャーギャー騒ぎ立てるのを、本当にやめてほしいと思う。
クマが人間の所に出て来て何をしたかというと、何も変わったことなどしていません。お腹がすいたから、何かを失敬して食べただけのことです。動物だから、おなかがすくし、山にえさがなければ、生きるために山から出て、里に食べ物を探しに来る。当たり前のことです。
キャスターは、落ち着いた声でゆったりと解説してほしいと思う。ギャーギャー騒ぎ立てて報道すると、そんなに大変なことなのかと、国民がクマを怪物のように恐れだす。まさに、その言葉が、クマを怖くするのです。
今、姉崎さんの言われるように、動物と人間の境界を再構築することが大事です。その時、クマと人の境界がなくなる原因を作ったのは、クマではなく一方的に人間であったという事実は、人として忘れてはならないでしょう。
本部11月2日 安全講習会に参加の狩猟者のみなさんに、クマを撃たないようにお願い
- 2016-11-02 (水)
- くまもりNEWS
今日の午後、兵庫県クマ狩猟再開のための安全講習会が、兵庫県庁西館で開催され、県庁担当者によると90人の猟友会の方々が参加されました。明日も同じ講習会が予定されており、残りの方が参加される予定です。
熊森本部は、兵庫に800頭もクマはいないとして、参加者の猟友会のみなさんに、「クマを撃たないでください。共に、森の再生をしましょう」と、みんなで必死に呼びかけました。
西館入り口付近で「クマを撃たないで」と、猟友会員にチラシを配って呼び掛ける熊森本部
「クマを撃ちたいから来ているのに」と、熊森のチラシを返してくる人や、チラシを読みながら説明会場に入って行かれる方など、反応はさまざまでした。
猟友会員の言葉から
「人殺しグマを退治せなあかんやろ」
「あんたら心配せんでも、そんなに獲られへんと思うで。山に入ってもクマに会うことなんかないもん」
「集落の裏にクマがいるというけど、猟期が始まると一斉にどこかに消えてしまうで」
「長いこと狩猟してないんやから、狩猟せな増えすぎてしまうやないか」
「山が荒れてクマが棲めないというけど、まだシカがあんまり入っていない山もあって、そこにはクマがおるよ。見てるもん」
やはり、みなさん、クマを撃とうと思って集まって来られていました。
(熊森から)
ー兵庫県のクマが爆発増加して940頭になっているー
事実誤認でも、権力とマスコミがバックに付くと真実になって行く。恐ろしいことだと思いました。
生息地を壊されたクマが、里に次々と出て来て、地元のみなさんが困っておられるのは本当ですが、爆発増加していることにして、狩猟で殺して終わろうとする。こういうことを考える人間のきたなさ、他生物への思いやりのなさを、本当にもう人間やめたくなるほど恥ずかしく思います。いつか、真実が人々に伝わる時がきっと来ると思いますが、その時は手遅れかもしれません。
ともあれ、熊森は、何があっても、これからも真実を伝え続けていきます。
人間が狩猟などしなくても、本来、自然界は全く困りません。絶妙のバランスをとっていきます。人間が手を入れる度に、自然は劣化してバランスが取れなくなっていくのです。
兵庫県のクマ狩猟再開を考える くま森緊急集会
- 2016-11-01 (火)
- くまもりNEWS
①10月22日(土) 兵庫県民会館(神戸市)
第1部 佐藤八重治氏 講演会
実直そのものの佐藤氏の体験に基づいたお話に、みなさん聞き入っておられました。クロちゃんを飼育してみてわかるようになったこと、「クマはとてもかしこくてやさしい動物なんですよ」ということが伝わったと思います。
クマ狩猟なんて、スポーツじゃない。人身事故を増やすだけだというのが、20年間クマ撃ちに携わった佐藤さんの結論です。
第2部
意見交換会
活発な意見交換ができました。
(熊森から)
クマを1頭仕留めるとあまりにも高く売れるため、利権が絡んできます。
佐藤さんがクマ狩猟をやめようと思った大きな原因の一つは、ハンターたちの違法行為があまりにも多かったことだそうです。
人間、もうかるとなると、狂いだす。犯罪の温床になっていきます。以前、暴力団員の家宅捜査をしたとき、押し入れから熊の胆がたくさん出てきたというニュースがありました。熊の胆が、暴力団の資金源になっていることがわかりました。
本来、春の熊の胆が高値で売れるのですが、他の季節の熊の胆を春の熊の胆と偽って売る方法があります。実際にあるところの猟友会の方たちから、実物を見せていただき、説明を受けました。「バレませんか」と尋ねると、「一つ80万円で売る。バレたことはない」という答えでした。
今回の兵庫県のクマ狩猟再開が、人身事故や、密猟、無届け、熊の胆偽装などの犯罪を引き起こすもとになることは十分に考えられます。
その時は、クマ狩猟再開を進めた兵庫県森林動物研究センターの研究員や、県担当者は責任をとっていただかねばならないと思います。
②10月23日(日)兵庫県朝来市和田山公民館
西宮市の熊森本部から会場に行く道中、佐藤氏は車窓から兵庫の山々を見られて、「兵庫の山にはクマなど棲めないよ。どんな生き物も棲めないよ。山形にはここまで内部荒廃した山はないよ」と、山の荒廃ぶりに驚きの声をあげ続けておられました。
第1部 佐藤八重治氏 講演会
第2部
意見交換会
クマ生息地のどまんなかで実施したため、地元猟友会の方も何人か来てくださいました。
「山なんか死んどるわ」
この地元の声を、都市部のみなさんにも聞いていただきたかったです。そのうち①も②も、発言内容をまとめてみたいと思っています。
今回の兵庫県のクマ狩猟再開は、兵庫の山は大変豊かであるという前提の上に成り立っています。
食料豊富な山があるのに、あつかましくも人間の所にクマたち野生動物が出て来たのは、増えすぎた証拠であり、獲ってしまえというわけです。
しかし、おもしろいことに、地元で集会を持つと、まずこの前提が嘘であることを、熊森が説明しなくてもみんな知っているのです。クマが臆病で平和的な動物であることを知っている人もたくさんいます。
地元集会での意見を、県庁の鳥獣対策課のみなさんや都市のみなさんにぜひ聞いていただきたいと思いました。地元のみなさんの声を聞いて、今回の兵庫県のクマ狩猟再開が、地元や猟友会の声を聞かずに企画されたものであることを改めて実感しました。
佐藤さん、遠く山形県から来てくださり、本当にありがとうございました。兵庫県民がクマ狩猟再開問題を考えるいいきっかけを作って下さいました。
10月15日秋田県クマ捕殺数すでに県内過去最多450頭、県が猟友会に狩猟自粛を要請
- 2016-11-01 (火)
- くまもりNEWS
以下、秋田魁新報より
秋田県自然保護課によると、本年度に捕獲されたクマは15日までに計450頭に達し、統計が残る1963年度以降最多だった2001年度の420頭を超えた。個体数を調整するため春先に計画的に行う捕獲(=春グマ狩り)は今年、19頭だった。残りの431頭は全て有害捕殺で、全体の96%が住宅地や農地の近くで出没したことになる。地域振興局別では北秋田の119頭が最多で、仙北が78頭、鹿角、雄勝が53頭ずつと続いた。
県が定めたクマの保護管理計画では、保護のため年間の捕獲総数を推定生息数の10%までにすると定めている。県は今年4月時点の県内の生息数を1015頭と推定していることから、今冬の狩猟期間の対応を検討。19日に県の助言機関である県野生鳥獣保護管理対策検討委員会から「クマ猟を自粛すべき」との意見が出されたことも踏まえ、狩猟自粛の要請を決めた。
(くま森から)
いくらなんでも、生息推定数の半分を1年で殺してしまうなど、駆除し過ぎです。人間で言うと、1億2700万人の日本の人口を、一挙に6350万人にするのと同じです。
年間の捕獲総数を推定生息数の10%までにするというきまりはどうなったのでしょうか。
さすがに環境省から獲り過ぎだという指導が入ったのではないかと思いましたが、何もないそうです。(うーん、何のための環境省か)
一体、秋田県で何が起きているのか、秋田県庁自然保護課に聞いてみました。
秋田県では、クマの捕殺許可は、県の出先が持っています。
<2016年度 月別捕殺数一覧>
4月…7頭
5月…16頭
6月…43頭
7月…70頭
8月…180頭
9月…99頭
10月15日現在…35頭
担当者の話では、今年は雪解けが早くて、早くからクマが穴から出て来ていたそうです。昨年ブナが豊作で、一斉にメスグマが子を産んだらしく、子グマがたくさん見られたそうです。秋田では、有害捕殺したクマの体は、丸ごとハンターのものになるそうで、その際、胃内容などの報告を義務づけているということです。夏に人里に出て来て駆除したクマの胃内容は、ほとんどが空っぽという報告だったそうです。秋田のクマの夏の食べ物がなかったことがわかります。
明日から11月、かなり寒くなってきているので、今後はもうあまり人里には出てこなくなるのではないかということでした。冬籠りに入るのは12月の初めごろだそうです。秋田では捕獲罠にかかったクマは全て捕殺することになっています。「子連れグマを獲るな」というようなしばりはないそうです。
県としては、狩猟の自粛を猟友会に呼びかけましたが、呼びかけただけだそうです。去年、狩猟期に秋田で捕獲されたクマは5頭ぐらいということですから、狩猟を自粛したところでほとんど影響はないと思われます。
問題は、どうしてこんなに多くのクマが、夏に人里に出てきたのか。何か秋田の山も一挙に森林荒廃が進んできたのではないかと心配です。しかし、今月に開いた有識者の会議でも、そのような異変は発表されなかったそうです。耕作放棄地が増えているということでしたが、それは何も今年に始まったことではないので、今年、大量のクマたちが山から出てきたことの説明にはならないと思います。
春に北秋田市のネマガリダケの現場で死者が4人出たことが、クマは危険、山から出てきたらみんな殺してしまえとなったのでしょうか。残念ながら、秋田県には熊森の支部がないため、どうしてこんなに大量捕殺されることになったのか、くまもり本部も今のところはつかめていません。飽食日本人に、野生鳥獣との共存姿勢など、なきに等しいですね。
クマ狩猟を実施している岐阜県のクマ生息林調査
熊森本部は、10月16日、研究者にもご参加いただいて、総勢9名で岐阜県のクマ生息林を兵庫県の山と比較しながら調査しました。
初めに調査した山は奥飛騨にある山で、70年程前に1度伐採されています。そのため、先駆種のカバノキ科やシデ類が多い林でした。下層植生はオタカラコウにそっくりのメタカラコウや、オオイタドリ、アカソ、アキノキリンソウ、カメバヒキオコシ、マルバユキザサ、マルバフユイチゴなどです。
この山の向かいにある国有林は、森林遷移の最終である極相状態の非常に豊かな山です。天然のブナやミズナラと、クロベ、チョウセンゴヨウ、サワラ、シラビソ、オオシラビソ、トウヒなどの針葉樹が生えています。将来的には、このあたりの山は、伐採後放置すると、この国有林のような針広混交林に遷移していくと思われます。
国有林
国有林内はササが繁茂していました。ここには、20年前の兵庫県の山の姿が残っていました。クマ狩猟を認める訳ではありませんが、こんな林なら隠れ場があり、そう簡単にはクマも狩猟されないだろうと感じました。
部分的にササが一斉開花しているところがありました。
チマキザサ?チシマザサ?この時期の判別はむずかしい。
この辺りの地質はとても崩れやすく、あちこちで崩れていました。山が崩れることも自然なので、人家に影響がない限り、放置しておけばいいと思います。
ところどころ、巨大な堰堤が造られていますが、それにヒビが入っていました。
この日は、この下流の宿に宿泊しました。この堰堤が崩れたら集落が影響を受けると言われて、そういう場所では何とかしなければならないと思いました。
宿舎で、御主人からイヌワシやクマの話を聞きました。
地元の人達にとって、クマがいるのは当たり前だそうです。庭のクリの木にもクマが来るそうです。クマを見かけて通報するのは観光客だと言われていました。
クマの存在を許容している人々は、このような奥地に行くと今でも全国どこでも普通におられます。クマは本来、平和愛好家で、人と共存できる動物なのです。兵庫のクマの専門家と呼ばれる研究者のみなさんに、この真実を知っていただきたいです。
次の日、10月17日は飛騨高地にある白川郷の近くの山を見に行きました。
このあたりは自然林がとても多くて、動物が棲めそうな山がたくさんありました。
カモシカの角研ぎの跡がありました。
チョウセンゴヨウマツについたカモシカの角研ぎ
古いクマの爪痕も見つけました。
ウワミズザクラについたクマの爪痕
林道を1時間ほど車で走っていると、突然、車の10メートルほど前を、黒い大きな動物が一瞬横切りました。クマかカモシカでしょう。
樹齢120年ほどのブナ林や、遷移段階の白樺林、その上には樹齢200年ほどのブナ帯など非常に豊かな植生でした。また極相状態の針広混交林も残っており、動物にとってはいろいろな種類の自然林が点在する本当にいい場所だと感じました。
岐阜県の人工林率は、県平均44%で、林業県として有名です。しかし、奥地にはまだ豊かな自然林がたくさん残っていることがわかり、ほっとしました。地方や県によって、山のようすが随分違います。
ここは道路を作ったからでしょうか。山が恐ろしく崩れていました。
山も野生動物も、人間が手を付けると、取り返しのつかないことになっていきます。
今回、日本にまだ残っていた動物の棲める森に入っていろいろと勉強することができ、幸せでした。わたしたち人間の心身まで豊かになりました。(但し、お年寄りは、山の樹木の葉の量や実りの量が昔と比べて激減していると嘆かれます。昔を知らない私たちには、本来の自然がわかりません)