くまもりNews
兵庫県氷ノ山のブナのシイナ率を調べました
- 2015-09-28 (月)
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実がたくさんついていた氷ノ山のブナの実を持ち帰り、シイナ率を調べてみることにしました。
*シイナとは殻だけで、実の中に中身が入っていない種子です。1990年代の終わりごろから登場しました。
一方、充実種子は実の中に中身が入っている種子で、食べられるし、発芽も可能です。
ブナの実の皮をひとつひとつむいて、実が入っているかどうかを確認していきました。シイナの実は、外から見ると殻がへこんでいるので、作業に慣れてくると、皮をむかなくても、予想がおおよそあたるようになりました。
結果:シイナ率は37%でした。(充実種子27:シイナ16)
最初、密度の違いから水に浮いたり浮かなかったりするのではないかと思い、コップの水の中に種子を入れて両者を区別しようと試みました。しかし、どちらも水に浮かんでるものと浮かばないものがあり、有意差が認められませんでした。この方法は判別の有効な手立てとは言い難いようです。
栃木県那須町のクマ違法捕獲について、内部告発あり
栃木県那須町で、クマの違法捕獲が行われているという訴えが、8月末、地元からくまもり栃木に届いた。
栃木県では、イノシシを獲るなどで行政から許可を得れば、くくり罠を仕掛けてよいことになっている。
ただし、クマが誤ってかからないように、くくり罠の直径は12センチ以下と決められている。
しかし、直径を20センチに広げて、何回も違法にクマを獲っている近隣の狩猟者がいるというのである。
見かねた方からの通報である。
くまもり栃木メンバーが、現地を訪れたが、行政も警察も、現場の証拠写真がない話は取り上げられないとして、
非協力的だったそうだ。
現地は福島との県境で、放射線量が高く、熊森栃木のメンバーの中心スタッフたちが住んでいるところからはかなり遠いとのこと。
どうやったら違法捕獲がなくなるか、熊森栃木の挑戦が始まった。
みなさん、応援してあげて下さい。
詳しくは、熊森栃木のブログに書かれています。
ワイルドライフ「栃木足尾山地 ツキノワグマ復活の森を生き延びろ」再放送
9月21日午前8時よりNHKBSで「栃木 足尾山地 ツキノワグマ 復活の森を生き延びろ」が再放送されます。
先日の放送を観て、よかったという会員からの声が本部に多数寄せられています。
あまりにも素晴らしかったので、DVDに録画をしたものを何度も見ているという声も届いています。
以下番組のウェブサイトより
本州最大の陸上動物、ツキノワグマ。険しい地形での追跡が難しいため、直接観察がほとんどできず、多くの謎に包まれている。その生態に迫ろうとする男がい る。動物カメラマン、横田博氏。およそ20年間、クマを見つめ続け、それを膨大な映像に記録してきた。フィールドは、栃木県足尾。かつて鉱毒事件が起き た、日本の公害の原点の地だ。一度破壊し尽くされた足尾の森。生態系の頂点に君臨するクマの存在は、森の復活の証なのだ。
ここまで
カメラマンの横田博氏は熊森会員で、栃木県支部の顧問をしてくださっています。
番組を視聴された方は感想を是非本部に寄せください。
NHKワイルドライフのウェブサイトはこちら
<本部>9月24日(木)のドングリ豊凶調査参加者を募集!
- 2015-09-18 (金)
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熊森本部では、毎年この時期、ドングリの豊凶調査を行っています。
興味のある方は、ぜひ、ご参加ください。
平成27年 9月24日(木)
調査場所:兵庫県 鉢伏山
<本部車に同乗又は同行される方>
集合:午前7時45分 西宮市阪急夙川駅南口
<自車で現地集合される方>
集合:午前10時30分 はち高原スキー場
・持ち物:雨具、昼食(現地にはお店がないため、必ずご持参ください)、飲み物、雨具、双眼鏡(あると便利です)
注・舗装されていない悪路も通りますので、高級車で来られないようにお願いします。
注:今年度のボランティア保険に加入されている方のみとさせて頂きますので、ご了承ください。
お申込み&当日携帯:TEL 090-1073-0980 (お申込み期限は、20日正午まで)
2015年山の実り調査実施 ブナ、ミズナラ共に並下
今年の秋のクマの出没を予測するため、本部では毎年9月の初旬にブナとミズナラの豊凶調査を実施しております。
今年は9月11日~16日までかけて、一応兵庫県全域を回ってきました。
A堅果
●ブナ:並下
ブナは氷ノ山近辺では豊作の木が多かったのですが、それ以外の地域では実りが並作以下のものも多くて、全域で平均すると並下という結果でした。
下の写真は、養父市にある妙見山のブナです。
一見、豊作ですが、シイナ率を調べるため、持ち帰って、種子の中身を調べてみました。
シイナ:殻だけで中身がない。動物の食料にならない。
なんと、種子は100%シイナで、健常種子は見当たりませんでした。これは標高が低い所で採集したため、地球温暖化の影響を受けていると思われます。
ある程度標高の高い場所に生えているブナじゃないと、今や健常種子にならないのだそうです。
●ミズナラ:並下
ミズナラもブナと同様並下ですが、ブナよりもさらに実りが悪く感じました。それぞれの場所に1本くらいは豊作の木も生えていましたが、兵庫県全体では、どちらかと言えば不作の木が多かったように感じます。
B液果
ところどころに生えていた山ブドウも見てきましたが、山ブドウは鈴なりに実がついている木をいくつか見つけました。
サルナシもたくさん実がついているものを見つけましたが、数自体をたくさん見れていないので全体の豊凶状況は分かりませんでした。食べてみると、まるでミニキウイです。
サルナシ
この時期、クマのフンによく入っているアオハダも実っていました。

アオハダ
ミズキもよく実っていると感じました。ミズキはクマノミズキとよく似ています。
今年のクマノミズキは生理落下(完熟しないうちに落ちてしまう)が多いようです。ミズキには生理落下がほとんどありません。
今年の兵庫県の豊凶状況ですが、ブナやミズナラなどの堅果類だけではなく、山ブドウやアオハダ、ミズキなどの液果を含めて考えると、そこまで悪くはないのかなと思っています。
ただし、ブナに関しては10月の種子散布時期にもう一度シイナ率を調べに行く予定ですが、その割合によってはブナが不作になることも考えられ、油断はできません。
シンポジウムのお知らせ「クマと人との共存」について考える(島根県益田市)
- 2015-09-18 (金)
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9月19日(土)20日(日)に島根県益田市匹見で、上記シンポジウムが開催されます。
主催は益田地区広域市町村圏事務組合、共催はWWF、後援はJBNです。
お申込み等の詳細は、WWFのホームページから見ることができます。
以下は、そのリンクです。
http://www.wwf.or.jp/join/action/event/2015/09/post_224.html
シンポジウムは2日間あり、
一日目:◇フィールドツアー「匹見町内におけるツキノワグマの仕業を探る」
二日目:◆シンポジウム「もっと知ってもらいたい匹見とクマの実態」~クマをはじめとする野生動物とのあつれきの軽減に向けて~
となっております。
2日目のシンポジウムは、ピッキオの玉谷宏夫氏、島根県中山間地域研究センターの澤田誠吾氏のお二人が話されます。
直前のお知らせで申し訳ございませんが、ご参加出来る方は上記からお申し込みください。
内戦のシリア、1060万人が住居失う 全人口の半分
- 2015-09-13 (日)
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武力で解決しようとする愚かさ
(熊森から)
いつまで人類はこんな愚かなことを繰り返すのでしょうか。本当に悲しいです。バックに、武器弾薬を売って大儲けする死の商人たちが、うごめいているのでしょうか。
昨年度、日本は武器輸出禁止三原則を見直し、包括的に認めて、日本の防衛産業の海外進出を後押しすることに変わりました。もう一度、武器輸出は禁止にもどすべきだと思います。武器があるから戦争になるのです。
人類がこの地球で生き延びるためには、あらゆる国の戦争に加担しないという強い姿勢が、日本にも必要です。
お金を儲けるよりも、地球環境を守ることの方が大切です。子供はみんなわかりますが、一部の大人たちは、こんな簡単なことがわからないようです。
戦争は最大の自然破壊であり、人間をはじめ生物たちの最大の生息環境破壊であることを思うと、自然保護団体として看過できません。
武力での解決は、憎しみの連鎖を生むだけです。
70年前の敗戦で、ほとんどの一般日本国民は、武力で物事を解決しようとすると、敵も自分たちも、どんなに筆舌に尽くしがたい悲惨なことになるのか、身を持って学びました。
全人類が、1日も早くこのことに気づいて、核だけではなくすべての武器を放棄する方向に進んでもらいたいものです。
以下は、CNNニュースからです。
国連などは13日までに、内戦下にあるシリアで戦闘などに巻き込まれ、居住先を失った住民が約1060万人に達したと報告した。2011年の内戦開始前の総人口の約半数に当たる。内乱を逃れ出国したシリア人の数は約410万人。多くはトルコなどの国を出て、亡命を求めるため欧州諸国へ向かった。
以下、略
「安全で、一番安く、クリーン。これ、全部うそだ」 小泉元首相、原発を語る
- 2015-09-13 (日)
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(熊森から)儲けたいために嘘をつく。これも狂気の一つだと思います。
政府も、電力会社も、福島原発事故からなぜ学べなかったのでしょうか。みなさん頭のいい人たちなのに、本当に疑問です。
空から放射性物質が降ってくる。森や動物を守っている場合ではない。何とかしてほしい。これは、3.11福島第一原発事故の時、熊森本部に寄せられた東日本会員たちからの声です。
もう、自然保護以前の問題です。
大事なものは国土や命ではないのですか。なぜ、お金なのですか。熊森は自然保護団体として、原発再稼働を即刻辞めるべきだと思います。
以下、朝日新聞から
小泉元首相(73)が朝日新聞の単独インタビューに応じ、川内原発1号機が営業運転を再開するなど原発再稼働の動きが進んでいることについて、「間違っている。日本は直ちに原発ゼロでやっていける」と語った。政府や電力会社が説明する原発の安全性や発電コストの安さに関して「全部うそ。福島の状況を見ても明らか。原発は環境汚染産業だ」と痛烈に批判した。
小泉氏は、07年の新潟県中越沖地震や11年の東日本大震災など、近年、日本で大きな地震が頻発していることから「原発は安全ではなく、対策を講じようとすればさらに莫大(ばくだい)な金がかかる」と主張。原発が温暖化対策になるという政府の説明についても、「(火力発電で発生する)CO2より危険な『核のゴミ』(高レベル放射性廃棄物)を生み出しているのは明らかで、全然クリーンじゃない」と語った。
鬼怒川越水は人災で、太陽光発電業者の土手付近の掘削工事が原因と住民が指摘
- 2015-09-13 (日)
- くまもりNEWS
北関東や東北を中心に降った記録的な豪雨により浸水被害を受けた茨城県常総市若宮戸地区で、民間の太陽光発電事業者が鬼怒川の土手付近の掘削工事をしたことが、水害の要因になったのではないかと住民らが指摘している。川があふれた現場は工事場所周辺とみられ、地元住民は昨年から、危険性を訴えていた。
この地区は、鬼怒川が決壊した三坂町地区の上流約5キロにあり、10日は決壊より前に越水被害を受けた。
常総市議会の昨年5月定例会の会議録によると、若宮戸地区の鬼怒川沿いには堤防のない区間が約1キロあり、自然の土手が堤防の役割を担ってきた。昨年3月、住民からの通報で、そのうち約150メートルにわたって高さが約2メートル削られていたことがわかった。この区間は民有地で、民間の太陽光発電事業者がソーラーパネルを設置するために掘削したという。
この地区で農業を営む小林康裕さん(66)は昨春、関東地方整備局の担当者に「何とかしないと危険だ」と電話で訴えた。地区の自治会や市議にも危険性を訴え、議会で取り上げられたという。小林さんは「不安が的中した。誰がどういう理由で、土手の掘削を認めたのか、明確にしてほしい」と憤る。
市側の指摘を受け、鬼怒川を管理する国土交通省下館河川事務所は、削られた部分に土囊(どのう)を積み上げた。その後、堤防を早急に設置するため、測量や設計を実施するなど、対策を本格化させたところだった。(千葉卓朗、牛尾梓)
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資料②日刊スポーツ9月12日
越水「人災だ」住民反対押し切りソーラーパネル設置
鬼怒川から大規模な水害が発生した茨城県常総市で11日、住民の逆井(さかさい)正夫さん(67)が「これは人災だ」と訴えた。同市若宮戸地区では、昨年3月ごろから大規模太陽光発電所(メガソーラー)が建設されたことがきっかけで自然堤防が削り取られた。豪雨による濁流はその場所から越水し、住宅地をのみ込んだとみられる。
近隣住民で最後までメガソーラーの建設に反対していたのは逆井さんだった。昨年3月ごろから常総市、国土交通省の担当者らに鬼怒川氾濫の恐れを訴えた。今回の水害では同市三坂地区の堤防が決壊し、若宮戸地区で越水が発生した。
建設場所は私有地だったが、「生命や財産を失う不安があった。それらを守る権利が国民にはある」と声を上げ続けた。しかし、同年5月には、同市石下庁舎の職員に「何かあれば自己責任で逃げてください」と切り捨てられた。「鼻つまみ者にされたんだ」。役所に味方にされず、逆井さんは地域で孤立していった。
高さ2~3メートルの自然堤防が約150メートルにわたって切り崩された。メガソーラー建設地に自宅が面している遠藤玲子さん(59)は「自然堤防と生い茂った木々のおかげで、2階からでも昔は鬼怒川は見えなかった」という。
逆井さんは「本当に悔しいよ」と憤る。13年11月に病気で亡くした妻幸子さん(享年60)の遺骨は今も自宅にあった。がれきにまみれた幸子さんの車いすを手に「女房を守るためにも堤防を削るなとずっと戦ってきたんだ」と涙が噴き出た。自宅には濁流が流れ込み、妻が大好きだったバラや家庭菜園も全て流された。
近隣住民の50代女性は建設業者に脅されたという。「危ないから山を崩さないでと言ったら『あんまり騒ぐと、ここに住めなくなるよ。いいんですか』とすごまれた」と振り返る。自宅が壊滅的被害を受けた20代女性は「住民一体となって市なり、国なり訴えたい」と怒りをあらわにした。
削られた自然堤防の代わりには土のうが積み上げられただけだった。逆井さんは「危惧していたことが実際に起こった。こうなってからじゃないと、みんな分からねえんだ」と悔やんでも悔やみきれなかった。【三須一紀】
9月7日 本部森林生態学講座 「温暖化による昆虫の消滅が、クマを絶滅させる」(1日目座学)
平日ではありましたが、兵庫県西宮市で「森林生態学講座」をもちました。
講師は、昆虫の研究者です。
参加者は、大学生からリタイア組まで計18名。
熊本県の法人会員さん3名も参加されました。みんな熱心にメモを取っておられました。
2002年に、日本の森で、大異変が起きました。
2002年の冬の気温は、例年と比べてかなり高めで、京都市での月平均気温は1月5.7℃、2月6.1℃、3月10.3℃でした。
ちなみに前年度は、1月3.9℃、2月5.3℃、3月8.6℃でした。
2002年は雪も少なくて、2月の芦生原生林の積雪は10センチしかありませんでした。
この年、葉を食べる多くの昆虫が、森から消えました。絶滅したのです。原因は、植物の春の芽吹き時期と昆虫の産卵との時期のずれが起きたことです。
ふつう、卵からかえったいわゆる毛虫は、柔らかい葉しか食べられません。柔らかい葉にありつけなかった毛虫は生き残れません。
毛虫(=蝶や蛾の幼虫)がいなくなると、これらを餌としている、アシナガバチやスズメバチ、小鳥たちのヒナも生きられなくなりました。
沈黙の春です。
クマの春から夏にかけての食料は昆虫です。ツキノワグマの舌が異様に長いのは、蟻やハチを食べるためです。
以前はこの時期に拾ったクマの糞の中には、昆虫がいっぱい入っていましたが、最近はもうそのような糞を見かけなくなりました。
いかに山から昆虫が消えたかです。
最近、クマは、6月ごろから、もう食料を求めて、里に出てきます。
その背景にはこの時期の餌だった昆虫の大量絶滅があります。
1997年に、気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3、京都会議 )で、地球温暖化を早く止めないと、2050年までに地球上の30%の昆虫が絶滅するという警告が発せられました。
人類が、急激な温暖化を何とかして食い止めねばならないということが、この日の結論でした。