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平成27年度からの都道府県別クマ・サル・シカ・イノシシ対策を決める第11次「鳥獣保護管理事業計画」

平成26年に環境省は、その数が著しく増加し、またはその生息地が拡大している鳥獣による生活環境、農林水産業または生態系にかかる被害に対処するための措置を法に位置付けるためとして、いわゆる

「鳥獣保護法」正式名「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律」

の内容を改訂すると共に、「管理並びに」を付け加えて、法律名も

  →「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」

と、変えました。管理=殺し、生息地を縮小させることです。

 

環境省はもはや、昔のように、「野生鳥獣を守る」ところではありません。国民の意識が付いていけないまでに、変節しています。

 

☆国の法改訂を受けて、兵庫県がどう判断するのか見極めるため、委員として、傍聴人として、熊森は、2月17日、平成26年度兵庫県野生動物保護管理運営協議会に出席しました。

 

(1)特定鳥獣指定について

環境省の方針を受けて、各都道府県知事は、これまでの特定鳥獣を、保護すべき一種または管理すべき(=殺すべき)二種に分類して、それぞれ保護計画または管理計画を策定することになりました。各都道府県の鳥獣行政が策定する「鳥獣保護事業計画」も、「鳥獣保護管理事業計画」という名称に改められました。

 

(熊森より)・・・自然界の生き物をまるで工業製品のように、一種または二種等と機械的に振り分けようとする発想自体が既にクレージー。自然とは何かということが全く分かっていない人たちが考えた案なのだろうかと残念に思いました。鳥獣行政は地方分権なので、都道府県ごとに判断すれば良いと言われても、同じ都道府県内でも、地域によって野生鳥獣の生息状況はかなり違っています。一律規定など無理です。兵庫県行政の判断は、以下です。

 

<兵庫県行政が出した判断>

保護すべき第一種特定鳥獣・・・ クマ 

管理すべき第二種特定鳥獣・・・ シカ、イノシシ、サル

みなさんの都道府県では、どのように分類されましたか。

 

(2)指定管理鳥獣捕獲等(等=殺傷)事業の創設

 

(熊森より)・・・指定管理鳥獣とは、集中的かつ広域的に管理を図る必要があるとして、環境大臣が定めた鳥獣です。国がこのたび指定管理鳥獣に指定したのは、シカとイノシシです。指定管理鳥獣に指定されると、以下のことが、都道府県の判断でできるようになります。まるでナチスの根絶殺害(ホロコースト)であり、もはや狂気です。

 

①捕獲等の許可が不要・・・住宅地、墓地、公道以外なら、鳥獣保護区内であろうと国立公園内であろうと、見つけ次第どこでも殺して良い。

②夜間銃猟等の規制緩和・・・24時間罠や銃で殺し続けても良い。死体を山中に放置しても良い。

 

これまでの有害駆除とちがって、そのシカやイノシシが、人間に何の被害も与えない所、例えば山奥に生息していても、撃たれます。鳥獣たちは、なぜ撃たれたのか分からない為、どこにいればいいか学習できなくなります。しかも、1年中24時間撃たれるため、鳥獣たちはどこにおればいいのかわからなくなり、大混乱をきたすと思われます。

人間のすることには必ずミスがありますから、人身事故も多発すると思われます。猟友会もこの事業は危険過ぎると猛反対されてきました。

 

<兵庫県行政が出した判断>

 

本年度(平成27年度)は、指定管理鳥獣捕獲等事業を導入しない。

みなさんの都道府県では、どうなりましたか。環境省によると、指定管理鳥獣捕獲等事業を導入した都道府県があるそうです。どこなのか聞いても教えてもらえませんでした。

 

(その他)

認定鳥獣捕獲等事業者(民間の株式会社など)制度の導入、住宅地での麻酔銃による捕獲、網猟免許、罠猟免許の取得年齢を18歳へ引き下げなどは、全国一斉に導入されます。

 

平成26年度兵庫県野生動物保護管理運営協議会での、熊森森山会長の主な発言

 

・生息地の保証を・・・大型野生鳥獣が山から出てこざるを得なくなった元凶である鳥獣の棲めない兵庫県内の人工林率は、この間1%も下がっていない。

 

<兵庫県クマ生息地の主な人工林率> 朝来市66%、養父市61%、豊岡市43%、宍粟市73%、香美町44%、新温泉町45%

 

しかも、わずかに残された自然林が、近年年々劣化する一方で、昆虫も消え、実りも消えて、野生鳥獣が棲めなくなっている。人間が破壊した野生鳥獣たちの生息地を復元してやらずに、かれらを撃ち殺すだけなら、人間がもう悪魔になってしまう。野生鳥獣の生息地の復元に取り組むべきだ。ある論文によると、我が国には草地が500万ヘクタールあったが、戦後ことごとくつぶされてほぼ消えたということだ。シカに草原という採食場所をある程度は返してやるべきなのではないか。

 

・命を奪うことを人間が機械的に決めるべきではない・・・兵庫県のツキノワグマ推定生息数の中央値は、今回798頭であり、800頭を超えると狩猟再開となっている。今は、保護対象動物で、あと2頭増えたら捕殺対象動物になるなど、あまりにも機械的だ。第一、なぜ、生息推定数の中央値が798頭になるのか理解できない。人間が勝手に考えた数式に、勝手に考えた数字を入れて、800頭を超えたら狩猟再開すべきと勝手に決めている。人間の勝手が過ぎる。数字の検証をしたいので、ずっと言い続けてきたことだが、このような数字が出てきた全過程を公表してもらいたい。(目撃数と捕獲数を2大パラメーターとして、いろいろなことを加味した結果、コンピューターが計算して出した数字ですと言われても、何が何だかわからないので、検証のしようがない)

最近、韓国ではクマの胆(くまのい)が日本の10倍の値段で流通しているという。安易なクマの狩猟再開によって、捕獲が暴走する恐れもある。

→ 兵庫県の回答・・・クマの生息推定数の中央値が800頭を超えたからといって、狩猟を即再開するというような機械的なことはしません。

 

 

(環境省の野生鳥獣対策政策についての熊森見解)

他生物の生命の尊厳が完全に吹っ飛んでいる。

この大地は人間だけのものではないのに、まるで人間だけのものと勘違いしている。

クマ・シカ・サル・イノシシから人間は豊かな大地を作ってもらうという大恩恵を受けているのに、まるで彼らの存在が有害オンリーであるかのごとく取り扱われている。

野生鳥獣の問題は、生息地の自然環境や餌場、ねぐら、他の生物とのつながり(リンク)などをしっかり見ていかなければ解決できないのに、それらを無視して、クマ・サル・シカ・イノシシという動物だけをバラバラに見ている。

自然観、動物観が、根底から間違っている。完全に強者の一方的な論理である。この様な政策では、野生鳥獣との共存など永久に不可能なばかりか、人間社会をも、強者の一方勝ちという優しさを失ったものにしてしまうだろう。大変残念である。

 

最近メディアは情けないことに、国家権力の顔色をうかがいながらの報道しかしないので、国民は国がこのような残酷なことをしていることをまず誰も知らない。以前なら考えられなかったことだ。知れば多くの人達が間違いなく胸をつぶすだろう。反対する声が起きるだろう。

今回も兵庫県庁記者クラブに協議会を傍聴しに来てくださるようにお願いしたのだが、一社も来なかった。記者が記事を書いても、デスクに没にされるという話をよく聞くが、それでも記者は、傍聴にきてほしい。国が国家権力を使って進めようとしている非人間的で理不尽なことを、国民に届けてほしい。

都道府県別「第11次鳥獣保護管理事業計画」に関するパブリックコメントに応募ください!

以下、パブリックコメントを募集中の都道府県です。ぜひ、ご応募ください。

ただし、多くの人が意見を寄せたからと言って、計画内容が変わったりはしません。

日本のパブリックコメントは、パブリックコメントをとりましたというアリバイ作りのためのパブリックコメントです。

それでも、国民の声を届けることは大切です。

 

●北海道

第11次北海道鳥獣保護管理事業計画(素案)平成27年2月20日~平成27年3月20日

北海道エゾシカ管理計画(第4期)(素案)平成27年2月20日~平成27年3月20日

●宮城県

第11次宮城県鳥獣保護管理事業計画書(改定案)平成27年2月20日~平成27年3月20日

●栃木県

「栃木県第11次鳥獣保護事業計画」(案)等平成27年2月6日~平成27年3月7日

●群馬県

第11次鳥獣保護事業計画変更案平成27年1月30日~平成27年2月28日

群馬県ニホンジカ適正管理計画(第二種特定鳥獣管理計画・第四期計画)案、群馬県イノシシ適正管理計画(第二種特定鳥獣管理計画・第二期計画)案、群馬県ニホンザル適正管理計画(第二種特定鳥獣管理計画・第三期後半計画)案平成27年1月30日~平成27年2月28日

 

群馬県ツキノワグマ適正管理計画(第二種特定鳥獣管理計画・第一期計画)案、群馬県カモシカ適正管理計画(第二種特定鳥獣管理計画・第二期計画)案、群馬県カワウ適正管理計画(第二種特定鳥獣管理計画・第一期計画)案平成27年1月30日~平成27年2月28日

●長野県

「第11次鳥獣保護事業計画の変更について」平成27年2月9日~平成27年3月10日

「第3期特定鳥獣保護管理計画(ニホンジカ)の変更について」平成27年2月9日~平成27年3月10日

「第3期特定鳥獣保護管理計画(ツキノワグマ等)の変更について」平成27年2月9日~平成27年3月10日

●愛知県

第11次鳥獣保護管理事業計画(変更)案及び第二種特定鳥獣管理計画案平成27年2月20日~平成27年3月23日

●和歌山県

和歌山県第二種特定鳥獣管理計画平成27年2月17日~平成27年3月6日

●広島県

第11次鳥獣保護管理事業計画(変更原案)平成27年2月17日~平成27年3月3日

●高知県

「第11次高知県鳥獣保護管理事業計画(案)」及び「高知県第二種特定鳥獣(ニホンジカ及びイノシシ)管理計画(案)」平成27年2月16日~平成27年3月17日

 

全国都道府県の第11次鳥獣保護管理計画の募集状況

これらすべてのパブリックコメントに意見することは難しいですが、もしご自分がお住まいの都道府県が募集していれば、是非ご応募していただきたいです。

豊能グマ、元気です & 獣舎建設進捗状況

2月の6日のご報告

日光を浴びて、大好きなイチゴをいただく豊能グマ。至福の時間です。

それにしても、たくさん藁を入れてもらっていますね。足が埋まっています。

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2月13日のご報告

山口県支部のみなさんから豊能のクマさん支援として、藁より水切れがいいというカヤや、果物などが、どっさり本部に届けられました。みなさん、ありがとうございます。

この日はこれらを持ってお世話に行きました。残念ながら、豊能グマは、ミカンやサツマイモ、ギンナンなどには、見向きもしませんでした。食べたことがない物は食べないのかもしれません。リンゴやクルミ等、いつも与えているものを食べました。

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カヤを檻に入れてもらう

 

2月20日のご報告

おなかもすいていないし、のども渇いていないようでした。きれいなお水を入れてやっても飲みませんでした。

リンゴとキウイを少し食べると、後は、檻の中ではしゃいでいました。

ヒノキの間伐材の輪切りはお気に入りで、うれしそうに齧ります。齧りきるとなくなることを覚えたのでしょうか。このごろは、いったんかみ砕いたかけらを拾って、さらに細かくかみ砕くようになりました。ときにはかじり甲斐のないようなほんとうに小さなかけらまで拾い上げて口に運ぶこともあります。退屈しのぎでしょうが、檻の中では、これしかすることがありません。

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ヒノキ間伐材の輪切り齧りに夢中の豊能グマ

 

ひとしきり遊び終えると、甘い干し柿の差し入れをぱくぱく食べました。殻付きクルミもあのかたい殻をパキッとよい音をたててかじります。ただ、かじるだけで、 あまり実を食べていないように見えます。おなかがすいていないのかもしれません。

 

3つあるステンレス製の水入れパッドが、2つしか見当たりません。1つは藁の中に入ってしまっているのだと思います。探しても見つかりませんでした。

 

お掃除の最後に、水入れバットをきれいに洗って底面にマグネットシートを両面テープで貼り付け、床に固定して水を張ったところ、ひとつのバットはさっそく軽々とクマにひっくり返されてしまいました。バットを置き直してもう一度水を張って帰りました。後で飲んでいるかな。

 

山口県支部差し入れのカヤ(茅)は、クマさんにとっては、ワラより馴染みのある植物だろうと思われましたが、クマさんは、ワラもカヤも区別せず同じように利用しているようでした。

 

 

●獣舎建設がどのくらい進んでいるか、建設現場を見に行ってきました。3月末には完成します。

 

 

くま保護基金は、現在600万円を超えたところです。みなさん本当にありがとうございます。

今回は、1500万円をめどに基金を集めています。

クマの場合は、よほど頑丈な獣舎でなければ飼育許可が出ないため、クマの獣舎を造るには、想像を超えた驚くほどのお金がかかります。

まだの方で、余裕のある方は、どうぞご寄付のほどをよろしくお願いします。

 

熊森は、このクマを飼うことでクマへの理解が広がり、クマの保全、クマの棲む森の保全・復元・再生が進むことを願っています。

この時期赤い九州の山

2月1日、飛行機で大阪伊丹空港から九州へ行きました。この日は珍しく、ずっと空が晴れ渡っており、下界がよく見えました。まるで、地図帳を見ているようで楽しかったです。

 

下の写真は、四国の山です。奥地の高い山の尾根筋に、風力発電の風車がずらりと並んでいました。遠すぎて、風車が回っているのか止まっているのか、わかりませんでした。尾根は山の命、ここをコンクリートで固めてしまったのでは、この山はもう荒れていく一方でしょう。残念。

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四国の山の尾根に連なる風車

 

飛行機が九州の上空にさしかかり、高度を下げ始めました。

人工林がスギの花で赤く染まっています。

 

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杉の花で赤く染まる九州の山々

こんなに多くの花が付くのも、カメムシが大発生するのも、山の自然が壊れているからだそうです。この町の人工林率は、70%にものぼります。自然林は緑色ですから、この時期、区別がはっきりとつきます。不自然に多く植えられてスギやヒノキが弱って来ており、必死で子孫を増やそうとしているのです。

専門家によると、ヒノキの一つの球花の汁を吸って、5~6匹のカメムシが育つそうです。

植え過ぎた人工林―花粉症の増加―カメムシの大発生、これらはつながっているということです。

国策によりスギやヒノキで埋まってしまった九州の山ですが、自然の山を取り戻そうと、コツコツと 広葉樹の実のなる木をこの町で植え続けておられる方がいます。尊いことです。

1月30日 興味津々、豊能グマの1週間の動きが記録されました 自動撮影カメラ回収

記録された動画をチェックしてみました。自動撮影カメラを設置したことでクマに負担をかけないか心配でしたが、豊能グマは赤外線の小さな明りをあまり気にしていないようだったのでほっとしました。

 

豊能グマは1週間中ほとんど寝ていましたが、時々体を動かして寝返ります。そのさまは、まるで休日に寝転んでいる人間にそっくりです。何もすることがないからか、時々思い出したように寝床のわらをしごいて細かくしたり、何かを食べたりしていました。

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ちょっと寝る向きを変えてみようかな 

撮れた動画は、全編通して、本当に静かなものでした。時々、移送檻の内部を見まわして、これから僕はどうなるのだろうかと考えているようにも見えました。退屈なのでしょうね、大きなあくびも時々していました。

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 大きなあくびをする豊能グマ

落ち着いたクマの様子にホッとしました。一日も早く明るくて広い獣舎に出してやりたいです。みんなで応援しているから、春までここで我慢してね。

<冬の京都奥山調査> これこそ餌付け、野生動物たちを山から次々とおびき出している

1月27日、雪が積もる京都の奥山を調査しました。林道に入ると、道沿いの雪上にベージュ色の粉がまかれていました。

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米ぬかでした。見渡すと、道路沿いに何カ所かまかれています。地元の人に聞くと、こうやって山奥から動物たちをおびき出すのだそうです。イノシシなら、1頭仕留めたら、30万円で売れるということでした。こうやって1年中、山奥から動物たちをおびき出しておいて、動物が山から出て来たからけしからんと、動物を敵視する。人間の道徳観として、疑問でした。

 

よく見ると、そばにイノシシの足跡が少しありました。さっそく、米ぬかにつられて出てきてしまったのでしょう。

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イノシシノの足跡は、シカと違って、ひずめだけではなく、かかとの部分にもへこみができます。木の枝で示しているのがかかとのへこみです。

 

ヌカは、イノシシをおびき寄せるためにまいたのでしょう。水に少し濡れて酵母菌により発酵すると、アルコール臭を発するようになります。こうなると、クマをはじめ、いろんな動物がやってくるようになるそうです。昆虫も集まってきます。森の動物たちは甘い樹液等の好物を探す時、糖分が発酵して醸し出すアルコール分を手掛かりにしているということです。

ヌカ以外にも、箱罠、囲いわななど、人里には果物、野菜、ヌカ、ハチミツなど、中においしい物が入った罠がいっぱい仕掛けられています。このような行為こそまさに餌付けですが、国が咎めないのは不思議です。最近、動物が山から出て来るようになった原因はいくつかありますが、一つはこの餌付けでしょう。

 

積雪は40センチぐらいでしたが、雪道は歩くのがなかなか大変でした。長靴に入ってきた雪が、中で溶けて、足が濡れてしまい、もう冷たくてたまりません。こんな中、冬籠りしないシカやイノシシは、エサを探して歩くのかと思うと同情します。雪道に全くシカの足跡がないのは、シカはこの時期、川の中を歩くからです。

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京都府の人工林率は37%ですが、このあたりはスギの人工林が多い所です。人工林にする前は、ウラジロガシなどの実のなる木がいっぱいあったそうです。戦後の開発と人工造林で野生動物たちの奥山生息地を人間がどれだけ広範囲に壊滅的に壊したのか、私たち人間は忘れてはなりません。自分たちのしたことに責任を感じる人間でありたいです。

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延々と続く人工林

 

下の写真の左側斜面は、長年観察してきた人工林の皆伐跡地です。冬は葉っぱを落としていますが、何もなかった斜面に、シカが食べないタラノキがかなり大きく育っていました。自然はどんどんと遷移していきますから、そのうち先駆種のタラノキは消えて、次の木が生えてくることでしょう。いつそうなるか。すべて自然が決めることです。

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冬でないと学べないいろいろなことを、この日学びました。

寒かったけれど、とても気持ちの良い楽しい調査でした。人間は本来、自然と接することによって、心身の健全を保てるように作られているとつくづく思いました。寒いですが、みなさんも、冬の自然の中に出かけてみませんか。

 

<JA京都のことを追記>

移動中の車の中で、JA京都から電話が入りました。先日京都新聞で、JA京都が職員をハンターに養成して、野生鳥獣の捕殺を推進するという記事が出ていました。どういう被害状況なのか教えてもらいに行って、野生動物を殺すだけでは農業被害は解決しないという私たちの話も聞いてもらおうと思い、アポを取っていました。

しかし、担当者は突然アポを取り消して、熊森とは絶対に会わないと言い始めました。会って意気投合出来ないかもしれませんが、対話によって、双方学ぶものがあるはずです。懇談を楽しみにしていたので、本当に残念でした。

1月25日 本部 太郎と花子のファンクラブ  和歌山生まれと長野生まれの冬毛の違い

今年初の、本部の太郎と花子のファンクラブです。お世話に参加して下さったのは、8人。

太郎と花子は、入れてもらった藁で、今年も上手に寝床を作っていました。

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長野生まれの花子は冬ごもり中ですが、冬ごもりというのは完全に寝ているわけではないので、私たちが行くと起きてきてくれます。

会員さんから送ってもらったドングリを、おいしそうに食べていました。(ええっ、冬ごもり中は何も食べないんじゃなかったの?)

それにしても、長野生まれの花子の冬毛のふさふさとしていること!

 

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 ドングリをおいしそうに食べる花子

 

一方、和歌山生まれの太郎くんは、冬ごもりをしません。冬でもちゃんと食べて元気に動いています。

それにしても、太郎君の冬毛の短いこと!

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1年中元気な太郎

同じツキノワグマでも、その土地の気候風土に適応できるよう、長い間には身体が変化していくのです。

今回参加して下さったみなさんです。

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お世話をありがとうございました。

1月16日23日豊能グマ近況 元気です

1月16日お世話日  ステンレスの容器に入れてもらったきれいな水を、おいしそうにごくごく飲んでいました。このクマが水を飲む姿を初めて見ました。

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1月23日お世話日  気分転換用に入れてあげた間伐材の輪切りを、右の歯で、左の歯で、交互にかんで、あっという間に粉砕してしまいました。

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この通り粉々です。我が家の17キロの犬は、かまぼこ板を与えると噛み砕きますが、間伐材の輪切りを与えると、歯が立ちませんでした。さすがに、クマはものすごい力です。犬とは比べ物になりません。

 

この日、自動撮影カメラをセットしました。クマが動くと、自動的に写真撮影動画撮影が始まります。クマにできるだけ負担をかけないように、弱い光で撮影します。1週間後が楽しみです。

 

 

「リニア中央新幹線」建設批判封殺の背後にあるもの

リニア新幹線沿線住民ネットワークは2014年12月16日、国交大臣が出したリニア中央新幹線工事実施計画承認に対する異議申立て書5048通を国交省の鉄道局施設課に提出しました。わずかの期間に、5000を超える国民から異議申し立てが出たことを、国もJR東海も無視できないはずです。しかし、ほとんどのマスコミが取り上げなかったため、熊森も異議申し立て書がいつ提出されたのか知りませんでした。

どうしてマスコミはリニア推進記事しか報道しないのか

 

不思議に思っていたところ、LITERAがこの問題を取り上げていました。以下に、一部紹介します。

<マスコミが抱える“JRタブー”>LITERAより

今月(1月)8日、「週刊プレイボーイ」(集英社)のウェブニュースサイトに、「リニア報道に圧力が? メディアは不都合な真実をなぜ伝えられないのか!」と題された記事が掲載された。執筆者はリニアへの取材を続けるジャーナリスト・樫田秀樹氏。その内容は、リニア計画に対する異論を封殺する動きがあることを指摘したものだ。

 

日本最大の公共交通機関であるJRはマスコミの広告元として強大な地位を占めている。加えて、新聞・週刊誌はJRの販売店「キヨスク」での取り扱いの比重が大きい。つまり販売ルートをガッチリと押さえられている。その上、すでにリニア計画は一企業の枠を超えて“国策”の様相を呈し始めている。(どおりでマスコミが口をつむる訳だ)

 

<熊森から>

リニア中央新幹線は、日本の歴史始まって以来の巨大国土破壊となります。勇気あるジャーナリストが各所に出てきて、本当にこんなものを造っていいのか、しっかりと実態を報道して欲しいです。

実態さえ国民に伝われば、ほとんどの国民は「夢のリニアモーターカー」が「悪夢のリニアモーターカー」であることに気づき、日本の国土を愛する気持ちが強い人ほど、建設に反対すると思います。

 

ほとんどが地下走行ですから、巨大地震が起きたら、救出不可能の上、復興も不可能です。(コンクリートは地下深く流し込むことはできますが、いったん固まったら地上に取り出すことはできないからです)国土弱体化の最たるものです。

 

ぜひ、良識ある国民の力で、建設見直しにもっていきましょう。

 

またクマ、林業作業員重傷 北海道・厚岸の国有林 近くに巣穴  地元猟友会はクマの駆除(=捕殺)開始

先日の1月26日、釧路管内標茶町の塘路原野の山林で同僚5人と枝打ち作業をしていた男性がヒグマに襲われ死亡するという痛ましい事故が起きたばかりです。1970年以降、このような事故は7件だそうです。

 

ヒグマは、人間が自分たちを殺そうとしている怖い動物であることをよく知っており、通常、簡単には巣穴から出て来ません。山林作業の音や振動でびっくりして飛び出してきたと思われます。子育て中の母熊だったそうです。

地元は、この母熊を見つけて殺処分しようとしていますが、北海道野生動物研究所所長の門崎允昭博士は、マスコミの取材に対して、「クマも被害者だから、殺すべきではない」と答えられました。しかし、マスコミはこの部分を世に伝えませんでした。

(こうして、マスコミによって、ゆがんだ世論が形成されていくのです)

 

1週間後の2月2日、またまた同様の事故が近くで起きました。今回、クマが出てきたとみられる巣穴は、入り口の直径が50センチ以上と大きく、オスの可能性もあるということです。そんな大きな穴を、どうして事前に人間側が察知できなかったんでしょうか。

 

NHKテレビニュースでは、アナウンサーが、もうやるせないという感じで、「また、クマによる被害です」と、ニュースを読み上げ始めました。この方の、道徳観や倫理観はどうなっているのだろうかと熊森は疑問に思いました。事故は痛ましいものですが、明らかに非は人間側にあります。

 

地元猟友会は、さっそくこのヒグマの捕殺に乗り出したそうです。

今後、ヒグマが冬籠りしているそばで林業作業をすることを、人間側が反省して見直さない限り、また同様の事故が起きるでしょう。その度に、ヒグマを殺せでは、とても共存などできません。人間は本来備わっている慈悲の心を取り戻しましょう。

 

<以下は北海道新聞2月3日記事>

 

【厚岸】2月2日午後2時35分ごろ、釧路管内厚岸町上尾幌の国有林で、樹木の調査業務を行っていた森林林業調査研究所(帯広市)の作業員岩田正則さん(74)=帯広市西16北2=がヒグマに襲われ、顔などを引っかかれて重傷を負った。

厚岸署などによると、同研究所は根釧西部森林管理署(釧路市)の委託を受け、12人で2日午前8時から樹種ごとの太さや高さなどを調べ、伐採する木の選定作業を行っていた。3人一組で作業中、突然ヒグマが現れ、岩田さんが襲われたという。

事故現場は釧路管内標茶町との境界付近。1月26日には、直線距離で約15キロ離れた標茶町塘路原野で別の会社の林業作業員がヒグマに襲われ、死亡する事故が起きているが、同研究所は特にクマの対策をとっていなかったという。

標茶町の事故との関連について、猟友会関係者は今回の事故現場近くにクマの冬眠する巣穴があり、別の個体の可能性が高いとみている。

フィード

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