くまもりNews
わが国の恵まれた自然を全生物丸ごと守ることで、未来永劫に水や食料を確保できる国に
- 2025-01-23 (木)
- くまもりNEWS
今春から、熊森は29年目に入ります。
完全民間団体として会費と寄付だけで、本当によくぞここまで分裂もせずにがんばってきたなあと、感無量です。利権ゼロの団体がここまで大きく活動して来れたのは、使命感いっぱいのスタッフたちや、会費や寄付で熊森を支えてくださる多くの国民の方々がいてくださったからです。
心からお礼申し上げます。
クマたちが平成になって山から餌を求めて出てくるようになり、有害獣として駆除し続けられているのを見てかわいそうに思ったわたしたちが、原因を調べ出したのは33年前です。そして、日本文明を支えてきた水源の森が戦後の国土総合開発や拡大造林政策により大荒廃し、森の動物たちが餌場を失って苦しんでいることを知りました。
他生物の惨状を見てかわいそう、何とか助けてやりたいと思うのは人間の本能であり、この本能は人類が地球上で生き延びるために非常に重要な本能です。自然を守ることにつながっていくからです。最近はこの本能を失ってしまっている大人を見かけることが多くなってきました。
この本能をまだ失っていなかった当時の兵庫県尼崎市立武庫東中学校の中学生たちは、クマが山から出て来る原因を調べだしました。そして、野生動物たちの餌問題だけではなく、山が年々保水力を失い、湧水が激減してきているという奥山水源問題にも気づいたのです。
しかし、学者、行政、国、どこに訴えても動いてくれるところは皆無でした。大学生になって、まず自分たちが森の再生に取り組んでみよう、うまくいったら社会全体に広めようとみんなで熊森協会を結成したのです。各地で、森再生実験を開始し、日本奥山学会で発表してきました。
私たちは必死で動いてきましたが、行政も国も未だに動いてくれないばかりか、最近は、二酸化炭素削減のためと言って二酸化炭素の吸収源である森林をメガソーラーや巨大風力発電などの再エネで広大に伐採することを推進し、???となっています。ますます水源の森が失われ、野生動物たちの餌場がなくなっていっています。
水だけではありません。日本は工業立国として栄えればよい。人間が生きていく上で日々必要な食料の多くは海外に依存しておけばいいという考えで、国が進んでいます。その結果、日本の農村は崩壊し、田畑や牧場、漁場をつぶす一方の政策がずっと取られてきました。世界の食糧生産がダウンしてくると、当然、食料輸入は止まります。一番に大量餓死するのは日本人だろうというデータを出しておられる学者もいます。
年々悪化の一途の水供給、食料供給。本来このような問題は官僚の皆さんや政治家の皆さんが取り組むべき問題です。
熊森は今年も、水源の森の重要な構成要素である野生動物の保全と森再生の2本柱に、5年目となる再エネ森林破壊問題を加え、以下の3本柱で精一杯活動していきます。本年度もご支援のほど、どうぞよろしくお願いします。
①クマに代表される野生生物の保護(くくり罠使用禁止、捕殺強化をめざす指定管理鳥獣からクマ類の指定を解除)
②拡大造林政策などで荒廃している広大な森林の再生(森林環境譲与税使用の拡大)
③再エネ森林破壊事業(メガソーラー、巨大風力発電)の白紙撤回を求める地元を支援
累計57万部達成のくまもり小冊子「クマともりとひと」を読んでいただければ、熊森の活動がわかります。すぐ読めますので、まだの方は、ぜひ、お読みください。
1冊100円+送料。100冊ご注文くださった方は、送料が無料になります。
お申し込みは電話0798-22-4190、またはinfo@kumamori.orgまで。
表紙絵は、クマに代表される大自然に抱かれている人間。パパコさん作です。
この本を作ってくださった方が、以前、この本が100万冊売れた時点で、日本は一気に変わると思うと言われていました。そうなるといいですね。それまでに、取り返しのつかない国土自然破壊が進んでしまうのではという不安もあります。(完)
1月26日まで第7次エネルギー基本計画案へ意見を❗ 水源の森を🌳 再エネ開発で壊してはいけない
- 2025-01-21 (火)
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再エネ比率を2040年までに4~5割に高めるという第7次エネルギー基本計画案についてのパブリックコメントが募集されています。








チャリティーイベント いのちの水~先人が守ってきた「入らずの山」は今~
- 2025-01-21 (火)
- くまもりNEWS
日本の水源が枯れていく‼️そんなこと想像したことがありますか?
熊野の山岳修験が守ってきたもの…それは「水源の森」
古の時代から受け継がれ士日本魂とは?
なぜ日本では「首都東京」でも。クマが生き残る世界でも珍しい国なのか…
真実を知ると感動で魂が震えます。
【詳細】
日時:令和7年2月15日(土)12:30 正式参拝 於 廣田神社拝殿
Healing Jazz Singer 猿丸詩摩子 奉納演奏
【正式参拝は希望者のみ直接拝殿へお越しください(玉串料1,000円)】
講演会 13:15開場 13:30開演 於 廣田神社参集殿(西宮市大杜町)
会費:2,000円(お子様・学生無料) ※収益から経費を差し引いて「日本熊森協会」と「玉置の世界遺産を守る会」に寄付させていただきます
申し込み:https://dream-kitchen-mico.stores.jp/items/6766402d09d63009852c951c
玉置の世界遺産を守る会 代表 原秀雄「玉置水源の森 いのち輝く神域林景観再生を目指して」
日本熊森協会 名誉会長 森山まり子「日本の水源の森は今~森なくして人なし~」
主催:くまもり応援隊
共催:一般財団法人 日本熊森協会
協力:一万人のお宮奉仕 NPO法人熊野生流倶楽部
第20回 日本熊森協会 滋賀県支部記念のつどい「生物多様性からみる森づくり」
- 2025-01-21 (火)
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坂田昌子氏講演会 環境NGO虔十の会代表 /(一社)コモンフォレスト・ジャパン理事
【講師プロフィール】
生物多様性ネイチャーガイド。高尾山の自然環境保全を中心に、生物多様性を守り伝えるためネイチャーガイド、ツリーハウス作り、生物多様性をテーマにしたイベントやワークショップ、勉強会を多数主催。
現在は東京都の高尾山にコミュニティスペースと生物多様性情報の発信基地を兼ね備えた高尾ツリーダムカフェをセルフビルドで建築中。
また生態系を読み解きながら行う伝統的手法による環境改善ワークショップを全国各地で開催。生物多様性の保全に尽力し、日本各地を駆け回りつつ、生物多様性条約COPや地球サミットなど国際会議にも継続的に参加。ローカルにしっかり足を据えながらグローバルな視点で動く環境活動家。
【詳細】
開催日時:2月8日(土)午後1時~3時30分
場所:スカイプラザ浜大津 7階 ※京阪京津線「浜大津駅」から徒歩3分
(滋賀県大津市浜大津1丁目3-32 浜大津市営駐車場7階)
入場無料/定員90名
【主催・申し込み】
主催:日本熊森協会 滋賀県支部
Email:kumamorishiga@gmail.com
TEL:090-2011-5530 / FAX:077-537-6875
後援:滋賀県
巨木と水源の郷をまもる会
びわ湖源流の森林文化を守る会
🎍くまもりより新年のご挨拶を申し上げます🎍
- 2025-01-21 (火)
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新潟県阿賀町トラスト地周辺にて(ドローン撮影:工藤真那)
~再エネ事業者が所有していた約1,000haの土地をトラスト地として取得~
2024年もたくさんの方に応援いただき、全国で活動を行うことができました。
日本熊森協会ができる前から私たちに指導してくださっている、今年で98歳になるツキノワグマ研究のさきがけであられた宮澤正義先生は、「現在の人類は生物界でひとり勝ちし、無敵の地位を得た結果、地球の森羅万象はことごとく自分のものだと勘違いし、敗者の痛みに鈍感になり、気に入らない生物を排除するようになりました。何十億年もの長い進化の果てに現世にたどり着いた仲間たちを絶滅に追いやり、自らもまた絶滅に向かう。裸の王様です」と人類の将来を憂いておられます。
自然と対立し続けたままでは、私たちの社会はそう長くは続かないでしょう。今も続く、再生可能エネルギーの名のもとに行われる森林破壊や捕殺に偏ったクマとの軋轢の解決法を、自然とも他生物とも共存できる方向へ変えていく実践活動が今、何よりも必要とされていると実感しています。
2025年も、対話を続けながら、実践活動によって進むべき道を示していけるよう、全国の仲間と力を合わせて進んでいきます。
みなさんも、ぜひ、日本熊森協会の自然保護活動にご参加ください!!
2025年元旦 (一財)日本熊森協会 会長 室谷 悠子
とよ君冬ごもりに入りました❄!
- 2025-01-21 (火)
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御礼 クラウドファンディング1000万円目標達成
- 2024-12-20 (金)
- クラウドファンディング











秋田市で目撃が続く子グマ、熊森本部が放獣または保護を要望済み
市街地に大人のクマが出て来るようになった地域のみなさん、どんなに大変か、心からお見舞い申し上げます。
戦後、奥山のクマ生息地の森を皆伐し、跡地に実のならないスギやヒノキばかり植えて放置し大荒廃している人工林、最奥地の観光地に連なる立派な舗装道路、こんなことをしていたら、餌場を失ったクマが餌を求めていずれ山から出てきますよ。そうなるまえに、奥山の餌場を再生し、人間は奥山から撤退しましょうと、熊森は28年間、各方面に緊急提案をし続けてきました。
しかし、国も都道府県も、どんどんとクマの生息地を奪うことばかりしてきました。これまで何度も私たちは、クマと人間、どっちが大事なんだ!と、お叱りを受けてきました。どっちも大事です。こんな簡単なことがわからなくなってしまったのは、自然界の仕組みを知らない国民がほとんどになってきたからでしょう。
さすがに、ナラ枯れによるミズナラの総枯れや昆虫の相次ぐ消滅は、私たちにも想像外でした。これも、クマの生息を脅かす一大事です。
どちらにしても、クマが市街地にまで出て来るようになったのは、研究者たちが言うように、クマが増え過ぎたからではありません。クマに責任はありません。人間側に大いなる責任があります。
秋田市の市街地で連日、子グマの目撃が続いています。
市街地で母が殺されたのを知らず、母を探し続けている子グマなのかもしれません。
餌を求めて水路を歩いているうち、気が付いて地上に出たら、そこは市街地。人に見つかって逃げているうち、山に帰る道がわからなくなって、迷っている子グマなのかもしれません。
人情としては、水やえさはどうしているのか、心配になります。
子グマですから、殺傷能力はありませんが、市街地をうろついている状況は、クマにももちろん人にも良くありません。
秋田市はそのうち捕獲するのでしょうが、熊森本部は放獣または保護の要望を伝えてあります。
秋田県は全国で唯一、原則としてクマを放獣しないと決めています。
いつ秋田県のだれが決めたのか知りませんが、これ、おかしくないですか。
鳥獣保護管理法(環境省)に違反では?
本部のある兵庫県では、山の実り大凶作年の今年11月30日現在、クマの放獣216頭、殺処分105頭となっています。
人間でも動物でも可能な限りの生命尊重は、生物倫理の第一歩です。
秋田県はクマは山に放しても帰って来るといわれますが、秋田で実験されたのでしょうか。
兵庫県の放獣例では、8割は捕獲場所に帰ってこなかったそうです。
秋田での科学的なデータを出すためにも、今回、放獣を試してみられるべきだと思います。
もし、山が雪で、もう山にこの子グマを返せないというのなら、春まで保護してから返してやればいいと思います。
他県ではそういう例があります。
熊森が春までこの子グマを保護せよというのならしますし、お金も出します。
この提案は、直接的には子グマのためかもしれませんが、実は私たち人間に豊かな水源の森を残すことなのです。また、まわりまわって、弱者にやさしい人間社会を作るために欠かせないことなのです。秋田の子供や教育にどれだけいい影響を与えるか、はかりしれません。秋田の子供たちのためなのです。
クマすべて殺す秋田と言われるより、助けられる命は助ける秋田と言われる方が、秋田の物産や観光イメージにも限りなくプラスだと思います。
今年は東北地方は山の実りがよくて、秋田市でもお盆以来、クマの目撃はぱたりとなくなっていたそうです。そこにどういう訳か、今回のメスグマと子グマです。
自然界は、私たち人間にわからないことでいっぱいです。
今回の子熊を保護することで、困る人は誰もいないと思います。
クマは人間が日本列島に住み着くはるか昔から、日本列島に住み着いていた先住民です。
先住民に敬意を払うのは、後から来たものとしては当然です。
秋田県のクマ対応は、市町村ではなく県が決めるそうです。
ならば、秋田県担当者のみなさん、放獣または保護をお願いします。
目撃が続いている秋田市の子グマについて、熊森本部への問い合わせが多いため、今回、広報させていただきました。
ちなみに、人工林率が40%を超えるとクマは絶滅に向かうという説がありますが、秋田県の人工林率は50%です。
日本のクマ大量殺処分に歯止めを!クマの命も人の安全も守る共存対策を広めたい!!
- 2024-12-03 (火)
- クラウドファンディング
2023年捕殺されたクマは9097頭。日本では0歳の子グマも人里に出るとほぼ殺処分。生息地はスギ等の人工林や乱開発、温暖化など人間の環境破壊で大荒廃しており、殺処分が続けば地域的な絶滅も起こり得ます。水源の森を造るクマは人にとっても大切な存在。日本熊森協会は殺さない被害対策を広げます。現在、クラウドファンディングを実施中です。ぜひご支援を!
日本ではクマ(ツキノワグマ・ヒグマ)と人とのトラブルが連日報道され、社会問題になっています。クマが人里へ現れたとなると、捕まえて殺処分がいまの主な対策ですが、元はと言えば、クマのすみかである奥山を開発し、奪ってきた人間側に原因があります。その原因を解消しないまま、殺処分を続けてもよいのでしょうか。森にエサ場がなく、人里近くに頼るしかない今、この対策を続けると、クマが絶滅するまで人身事故はなくなりません。
クマの目撃情報や人身事故があれば、現場へとんで地元の方と対策を話し合い、行政に捕殺に頼らない対策を提案するなど、地道な活動を続けています。「棲み分けによる防除」を早急に全国的な流れにするため、全国を飛び回って活動した結果、財政状況が非常に苦しくなっています。私たちは27年間、完全民間団体として会費と寄付だけで運営してきました。これからも森や野生動物を守りたいという純粋な想いを原動力に、活動していきます。
クマ問題は年々深刻化していき、待ったなしの状況です。クマの命も人の安全も守る対策を広げる歩みを止めないために、ぜひご支援ください!!
クマの命も人の安全も守る対策で共存する社会を作りたい!
【集まった支援金の使い道】
・クマ被害防除対策などの作業 500万円
・共存のための現地調査・研究 300万円
・シンポジウムや勉強会など周知活動 200万円
●各計画の旅費交通費、人件費(クマ被害対策作業、現地調査、その他クマ保護活動のため)、資材購入費、広報/宣伝費 (予定)
※目標金額を超えた場合はプロジェクトの運営費に充てさせていただきます。
環境省令で指定管理鳥獣にクマ追加も、初年度から不適で、熊森はクマを外すか別案を提案
指定管理鳥獣とは、全国的に生息数が著しく増加していたり、生活環境や農作物、生態系に被害を及ぼしたりする野生動物で、集中的かつ広域的に管理(=捕殺)が必要な種に対し、国が大幅な個体数低減をめざして捕殺強化のための交付金を出すもので、2014年に鳥獣保護管理法に新しく導入され、シカ・イノシシが指定されました。
(熊森は、1999年に当時環境庁が個体数調整捕殺を導入しようとした時から、自然保護上からも生物倫理上からも、山の中にいる何の被害も出していない野生動物を個体数調整の名で人が殺すことに一貫して反対してきました。)
仲睦まじい親子のヒグマ
今春、私たちが大反対したにもかかわらず、環境省は伊藤信太郎環境大臣が主導して、この指定管理鳥獣に、環境省令(=施行規則)でこれまでのシカ・イノシシに加え、クマを追加しました。
このような発想のバックには、クマが山から出て来て被害を及ぼす最大の原因は生息数の増加であるというクマ研究者たちの一方的で誤った考えがあります。
このクマ指定管理鳥獣、案の定、初年度から不適です。
以下、北海道のヒグマの例で見ていきます。
<北海道庁ヒグマ捕獲(=捕殺)新目標>
年間捕殺目標雌雄計1329頭、10年間で1万3290頭を捕殺する。
目標:人里周辺の森林に生息する個体を中心に捕獲を強化し、推定生息数を22年末の1万2200頭から34年末で約35%減の7931頭にする。
今年8月21日の道ヒグマ保護管理検討会では、検討会委員の一人である兵庫県立大の横山真弓教授(野生動物管理学)が、「10年で1万3290頭捕殺では不十分で、5年間で達成すべき」と主張していました。そうなると、毎年の捕殺目標は、2658頭になります。
ちなみに、山の実り大凶作の異常年となった2023年度の道内ヒグマ捕殺数は、最終統計によると過去最多の1804頭でした。
命あるヒグマをまるで工業製品でもあるかのように数字だけで機械的に扱うことを恐ろしく感じます。ヒグマは人間同様、豊かな感情を持ち親子の愛情も深い動物です。ヒグマをはじめとする北海道の野生動物たちは、北海道の豊かな自然生態系を形成してきた生き物たちで、人間から尊厳されるべき先住民です。クマ研究者の皆さんが作られた「北海道ヒグマ管理計画」には、クマが生存することによる恩恵を、今、私たち人間が受けているという視点が完全に抜け落ちていると感じます。
機械的な捕殺目標に基づき、問題を起こしていないクマも、子グマでも親子グマでも無差別に捕獲する個体数調整捕殺を止めるべきです。狩猟と有害駆除で十分です。
ところで、11月12日に報道されたUHB 北海道文化放送の番組によると、今年の北海道はこれまで長年続いていた秋の山の実り不作から一転して、10年ぶりにクマの主食であるドングリが大豊作です。
札幌市西区の登山道入り口に大量に落ちているミズナラのドングリ(UHB)
番組の中では登山者たちも、「10何年歩いていてこんなにドングリやクルミの実がなったのは見たことがない。今年は異常なほどの実りだ」 「すごく多いですよ。ドングリは大豊作。山ぶどうも多い。今年はクマ出てこないと思う。いままで出てきていたでしょ、エサなくてね」と語っていました。
ヒグマは今年の5月~7月はいつも通り出没していましたが、秋以降の出没がピタッと止まっているそうです。これまでクマと人の軋轢が増えるのは、クマ数の増加が問題とされてきましたが、熊森がずっと主張してきたように、クマの出没数は、山の中の餌量で決まることが証明されました。
道庁は、今年、どうやって1329頭(2658頭?)のヒグマを捕殺するのか。
山の中に分け入って殺すのでしょうか。捕殺する必要などあるのでしょうか。
これがクマ指定管理鳥獣初年度の実態です。
ちなみに今年10月末までのヒグマ捕殺数は579頭です。
クマという動物の特性を知らない一般の方は、今年ドングリが大豊作なら来年クマが爆発増加するのではないかと心配されているようです。
しかし、ヒグマは6月ごろの交尾期、オスの子殺しもあるそうで、生まれた子供が全て成長するわけでもなく、元々、クマは繁殖力の弱い動物です。
秋の実りの凶作年、十分な脂肪を貯えられなかったメスは受精卵を着床させません。
自ら個体数を調整する能力を持っているのではないでしょうか。
ヒグマだけではなくシカやイノシシに関しても同様ですが、野生動物と人が日本列島で共存するには、祖先がしていたように、使用する大地を分け合ってお互いに生息地を侵さないように棲み分けることが必要です。野生動物たちの聖域内で、彼らが増えようが減ろうが、それが自然なので、人間は何もしなくていいのです。
生き物にとって命ほど大切な物はないのですから、私たち人間は生き物を殺すことばかり考えずに、餌量が確保されるよう、戦後の国策であった拡大造林や奥山開発で人間が破壊し過ぎた生息地を再生させていただくこと、クマを初めとする森の生き物たちが安心して山で暮らせるように、人間が一歩後退して、原則として彼らの生息地に人は入らないようにすること、祖先が延々と設置していたシシ垣のように、被害防止柵を設置するといった棲み分け対策を優先すべきでないでしょうか。
クマとの軋轢を低減させたいのなら、まず、クマ生息地での観光開発や道路開発、メガソーラー、風力発電など自然破壊を伴う再生可能エネルギー事業をやめねばなりません。
環境省の職員の皆さんが、クマがシカ・イノシシのように捕殺強化だけにならないように、クマの交付金メニューに捕殺以外のものも入れてくださっています。しかし、地方自治体次第で、捕殺強化に偏る恐れがあり、そうなると絶滅が心配されます。元々、指定管理鳥獣はクマという動物の特性に合わないものなのです。(伊藤環境大臣の失敗です。)
浅尾慶一郎新環境大臣には、シカやイノシシと比べて繁殖力も弱く、生息数が3ケタも少ないクマを、シカやイノシシと同列に扱わないように、クマを指定管理鳥獣から至急外すことを、まずやっていただきたいです。
ただし、電気柵の設置や専門員の配置などの目の前のクマ対策に国からの交付金は必要ですから、指定管理鳥獣に、捕殺強化をめざさない種類をつくり、クマをそちらに指定する案などはありだと思います。
シカやイノシシも捕殺以外の方法で対処していけるようにすべきだと思います。殺しても殺しても、手を緩めるとすぐ元の数に戻ってしまいますから、無用の殺生になっています。これは残酷なだけで、永遠に殺処分が終わりません。明治にオオカミを滅ぼしたから、シカ・イノシシの数が制御できなくなったという説もあります。自然界のことは、調べても調べても人間にはわからないことだらけなのです。それが自然です。ただ、祖先の生命尊重思想だけは、子孫として忘れずに持ち続けねばなりません。(完)