くまもりHOMEへ

くまもりNews

11/13 地元の会と熊森が、大苗植樹で人工林皆伐跡地の広葉樹林化に挑戦 於:兵庫県千種町

兵庫県宍粟市千種町に、戦後、自然林を皆伐してスギやヒノキを植えた官行造林地300ヘクタールがありました。

2000年、この造林地が皆伐されることになりました。植樹後、手入れがなされていなかったため、当時、いい感じの針広混交林に育っていました。官行造林地としては失敗作ですが、熊森は伐採すべきではないと保全運動を展開しました。

なぜなら、人工林率83%の千種町に於いて、この官公造林地内に大きく育ったブナやミズナラの広葉樹は、クマをはじめとする千種町の野生動物たちの貴重な餌源となっていたからです。

結果、一角は皆伐されてしまったものの、ほとんどが保全されました。当時の千種町長を初め役場の皆さんの英断に、熊森は今も深く感謝しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

皆伐されてしまった官公造林地の一角

 

この一角を、広葉樹の天然林にもどそう!

 

熊森を初め、ライオンズクラブなどいくつかの団体が、この一角の天然林化に挑戦しました。

しかし、現地は急斜面・豪雪地・シカ高密度の3悪条件がそろった場所で、努力しても努力しても広葉樹の苗木は育たず、やがて動物たちが生息できないススキが原になってしまいました。

 

熊森もついにこの場所の天然林化を断念

 

その後、地元のNPO団体「千種川源流を守る会」が、シカの口が届かないような大苗を植えれば天然林に戻せるのではないかと考え、実験。見事、苗木が根付いたのです。地元からの協力要請が熊森にあり、11月13日、いっしょに本格的な大苗植樹会を実施することになりました。

 

大苗を人力で山の上に運びあげることは不可能ですから、地元がショベルカーを山に入れて、急斜面の山に車が通れるようにまず道を造られました。この道は、植林地の整備や、後には登山客のための遊歩道となるよう考えて造られています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ススキが原を切り開いて、地元が山の斜面に造ったゆるやかな道 

 

 大苗植樹会

 

当日、室谷悠子会長を初め15名の熊森会員がボランティアとして参加し、地元の皆さんと一緒に植樹に精出しました。

 

○「千種川源流の会」代表の阿曽さんの挨拶

「千種川の源流を守るということは、川でつながった瀬戸内海までも視野に入れて、水の循環を守るということです。また、わたしたちは、小水力発電にも取り組んでおり、地域で消費するエネルギーの完全自給もめざしています。町をあげて、自然を破壊しない自然エネルギーを推進してまいります。」

 

○室谷会長の挨拶

「地元の皆さんのお力で、熊森が一度は断念したこの地の天然林化に再び取り組むことができるようになりました。うれしいです。」

 

 

 

 

 

 

 

 

0歳の長男を抱きながら、娘さんと一緒に広葉樹の植樹に取り組む室谷会長

 

道に沿って2メートルほどのヤマボウシやヤマザクラなどの大苗、1メートルほどのドウダンツツジなどの苗木を植えていきました。

大苗を植えるボランティアの方

 

みんなで植えた大苗

 

本当は、もっと大きな大苗を植える予定でしたが、掘り起こせなかったということで、近くの農家の方が造られていた苗木に急遽切り替えて植樹しました。大苗以外にも、枝を短く剪定した太めの苗木も植えました。

 

 

この日の植樹は、地元の造園会社「千種園」の池田さんが植え方を指導してくださいました。参加者の皆さんは穴の掘り方や肥料の入れ方、最後の土の被せ方などを学びながら植樹していきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

この日植樹したのは、ヤマザクラやヤマボウシなど17本、カエデ160本、ドウダンツツジ80本です。

参加された熊森会員のみなさんは、「来年、この苗木がどうなっているか絶対に見にきたい。来年はもっと実のなる木を多く植えたい」と、楽しそうに語っておられました。植樹会は来年も続きます。

 

 

参加者のみなさん、ご苦労様でした!

とよ君、ただいま、冬ごもり前のドングリ食い込みに余念なし

秋も深まってきました。

大阪府豊能町高代寺で保護飼育されているツキノワグマのとよ君(オス11才)、秋になってだいぶん太ってきました。

会員のみなさんから送っていただいたドングリを小山にして与えると、抱え込むようにして乗っかります。

そして、ゆっくり落ち着いて殻を口から吐き出しながら一日中食べ続けています。

冬ごもりに備えての食い込み中です。11月2日撮影

 

 

お世話してくださっているみなさんからの報告によると、最近は、1日にドングリを7キロ~10キロ、クマフード0.3キロ、柿やリンゴ2~3個などを与えてくださっているようです。柿やリンゴは食べたり、残したり、食べなかったり、日によって違うそうです。

 

例年ですと、12月になってもう十分食い込みができて、冬ごもりに入っても大丈夫な体になると、ドングリを食べなくなります。まだ当分は、ドングリを食べ続けるとよ君です。

 

気温が低下してきていますが、プールにはまだ入っているということです。10月29日撮影

 

兵庫県養父で人身事故 クマが出て来ないように熊森本部が柿もぎに出動するもすでにクマは駆除

(以下、ネット情報)

兵庫県養父市でツキノワグマによる人身事故

11 月1日の朝 7 時頃、農道で散歩中の夫婦が突然前から向かってきた体長約100センチの熊に襲われ、夫が首をひっかかれて軽いけがをし、妻は逃げようとした際に転倒して肩の骨を折る重傷。
夫は持っていた杖を振り回したが、首をひっかかれという。熊は山へと去っていったということです。
市は防災行政無線などで注意を呼び掛けています。

 

熊森本部が現地を訪れることができたのは、 11 月4日です。

以下は、地元を取材してわかったことです。

事故現場の様子。クマは道の奥から手前に向かって歩いてきた。道の左右は高さ約2mの金網柵が延々と張られており、双方、逃げ場がなかった。

当日の朝、いつものように高齢ご夫婦がウオーキングをしていたら、ご主人の先 10m ほどを歩いていた奥さんが、30mほど前からこちらに歩いてくる 1 頭のクマに驚く。背中を向けて走って逃げようとしたはずみで躓き転倒。肩の骨を骨折し動けなくなった。

ご主人はとっさの判断で近寄ってくるクマの方に向かっていき、持っていたストックでクマを突こうとしたところ、クマに首を引っかかれ負傷。クマはそのまま、走って逃げた。

ご夫婦はクマ鈴はご持参されていなかった。1 週間ほど前からクマが集落のカキの木にきてカキを食べていた。

 

【事故現場付近の様子】
クマとご夫婦が歩いていた農道は、左右を総延長何キロにもわたって金網柵で囲われていたため、クマも人も農道の外に逃げられなかった。

【お怪我をされたご夫婦に】
クマ鈴を持つこと。クマと出会ってしまったときはゆっくりあとずさりすることをお伝えする。

【事故当時のクマの行動】
現場付近を調べたところ、当時のクマのものと思われるクマだなやふんなどの痕跡を 50か所で確認。クマはご夫婦と鉢合わせになる前に、地区で柿を食べて移動中。人と出会ってしまい恐怖のあまり、点々と脱糞しながら逃げていったもよう。

事故後、クマが逃げながらしたと思われる糞。中身はカキだった。クマは人と出会うと恐怖のあまり、脱糞しながら逃げることが多い。

逃げたクマの行く先を追うと、山の尾根を抜け山裾のカキの木に到着。幹にはごく最近柿を食べに来たクマの爪痕が残っていた。

【事故後の行政の対応】
11 月 1 日にクマ捕獲用檻を設置し、11 月 4 日の早朝に罠にかかっていたクマを殺処分。事故を起こしたクマかは不明。

 

クマが来たと思われる場所付近で、地元の要望により、柿もぎ開始

民家近くの毎年クマが登りに来ている柿の木の枝を、所有者の依頼で伐る。

この柿の木は、幹の伐採を依頼される

【区長さんから】
カキもぎをしてくれる人をずっと市に要望していたので、やっと派遣してくれたとうれしかった。(熊森注:行政からの連絡なし。熊森がニュースを見て独自に出動)

【作業】
11 月 4日は2名、5 日は 5名で、午前 10 時から作業し、昼を食べて 16 時ころまで、柿の木を伐倒したり、枝を切ったり、実をもいだりした。
地元の方は、山にスギを植えたが、管理ができないまでに植えすぎてしまったと反省されていた。クマは怖いから近くにいてほしくないが、山にはいるべきだと言われた。兵庫県のクマの駆除数を伝えると、そんなに殺していたのかと数の多さにおどろかれていた。

熊森さんにはまた来てほしいと、喜んでもらえた。

 

 

熊森から

クマが山から出て来なくてもいいように、山に柿やクリなど実のなる木をたくさん植えてやりたいです。

以下は、今回の活動に参加した西宮の大学生の文です。

(大学生の感想)

今日は野外での活動ということで熊森の活動の一端に関わることができ、とても有意義な時間だったと感じました。クマの命を救うことができず残念でしたが、地元の方々から聞き取りをしたり、新たなクマとの接触を避けるために柿取りなどを行うなど実践的な活動を体験しました。

日本熊森協会がこの6年間で行ってきたクマの人身事故後の再発防止対応は、今回で10件目だそうです。

その中でわかったことは、事故は人間側の行動一つで未然に防ぐことができるということです。例えば、この10件のうちクマ鈴を持ち歩かれていた方は0名でした。クマに、人間の存在を知らせる音が届いていなかったのです。持ち物一つで、人がけがをするか、クマが殺処分されるかという大きな事件に発展してしまうんだと思いました。

 

 

【野生鳥獣ご担当の行政の皆様方へ】

熊森は、野生動物を殺さず、かつ人間の命や安全も守る方法で被害対策を行います。人身事故が起きた原因を究明し、再発防止指導をします。クマを殺す前に、誰かがけがをしてしまう前に、クマが出てきて困っているときは熊森にご連絡をいただきたいです。ぜひお願いします。

 

日本熊森協会本部 野生鳥獣担当 TEL0798-22-4190 メール:field@kumamori.org 担当:水見

兵庫県佐用町 なぜ?ウッドデッキで寝そべるクマ、衰弱し殺処分に

配信

以下、産経新聞11月2日記事
兵庫県佐用町上三河の民家で、ウッドデッキに横たわるクマ(佐用町提供)

ウッドデッキで横たわったままのクマ=兵庫県佐用町(町提供)

 

 

 

熊森から

熊森スタッフたちが現場を訪れました。まわりに住宅が多くある場所でした。
地元の方から聞いた当時の様子を、以下にまとめます。

・10 月 31 日

朝、家の裏の茂みから動物の唸り声が聞こえた。
12時ごろ、ベランダに毛の白いクマが寝ているのを発見した。クマは、人間の存在に気づき、動き出した。様子が変で、前足を使いほふく前進をしながら庭の茂みへ逃げた。目を離すと、また、ベランダで寝ていた。クマの息は荒くて、後ろ足が動かなく、かなり衰弱している様子だった。
すぐ行政に届け出た。自分は、クマを怖いと思ったが、衰弱する姿はさすがにかわいそうで、水ぐらいは与えてやりたいと思ったが、外には出られなかった。警察と行政職員がクマの見張りを行った。

・11月1日

昼頃、兵庫県森林動物研究センターの職員が来て、安楽死させた。

死期を察して、天敵に狙われないように、屋根付きのベランダに来たのではないかと思った。

 

熊森から森林動物研究センターに電話して、「こういう時はわざわざ殺処分しなくても、もうそっと死なせてやったらよかったのではないですか。死期を察したクマが、人間を信頼して山から出てきたのだと思います。クマは殺されたくてウッドデッキに来たのではないと思うんですが」というと、「おかしなこと言いますね。人身事故が起きたらどうするんですか。そんなこと言う人はいませんよ」と言われてしまいました。

熊森と森林動物研究センターのみなさんとは、このような時、いつも意見が合いません。

みなさんは、はどう思われますか。

11月8日 飼育グマが取り持つ仲間たち 和歌山県生石高原で、3支部会員が交流

他生物への共感が、自然保護活動の原点です。

 

以下は、和歌山県真造支部長からの投稿です。

 

11月8日にたろうちゃん、くまこちゃんのお世話をしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この日は和歌山県支部の6名に加え、京都府支部から6名、石川県支部から8名、本部から2名の計22名の方が一堂に会しました。

 

おしゃべりをしながら全員で獣舎の掃除をし、お弁当を食べ、楽しい一時でした。たろうちゃん、くまこちゃんが取り持ってくれた縁に感謝です。

 

石川県の皆さんは久々のくまこちゃんとの再会を、京都の皆さんは初めてのご対面を喜んで下さっていました。
くまこちゃんは育ててくれた石川県の皆さんに逢えてハイテンションでした。

たろうちゃんは寒さ、高齢のためでしょうか、心なしか元気がなかったのが気掛かりです。

国の規制緩和で“加速” 太陽光発電に法規制なく 温暖化防止の大義で里山無残 熊本日日新聞

以下は、11/6(土) 8:35 熊本日日新聞 ネット配信より

「令和の公害」 土砂流出、住民トラブル 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

山肌がむき出しになったメガソーラーの建設現場。8月の大雨などで大量の土砂が近くの農地や河川に流出した=南関町小原(小型無人機で9月に撮影)

 

熊本県南関町小原の大規模太陽光発電所(メガソーラー)の建設現場で8月、大雨によって大量の土砂が農地や河川に流出した。

政府は2050年の脱炭素化達成に向け再生可能エネルギー導入を「最優先」に掲げるが、各地の太陽光発電施設では土砂災害や住民とのトラブルが発生。地球温暖化の防止という大義の裏で、ホタルが住む清流や里山が切り開かれる矛盾も。専門家は「令和の公害」と断じ、法整備を求めている。

南関町では南関ソーラーファーム(福岡県飯塚市)が雑木林などを切り開き、約40ヘクタールに出力40メガワットの太陽光発電所を建設する計画を進めている。しかし、8月の大雨などで露出した山肌がえぐられ、大量の土砂が河川や農地に流れ込んだ。「里山や田畑、河川への被害は深刻。生態系への影響は計り知れない」。現地視察した熊本学園大の宮北隆志教授(生活環境学)は、環境への配慮のない再エネ施設の開発に警鐘を鳴らす。

 

行政は手続き論に終始

 

 

 

 

 

 

 

 

 

菊池市内の業者が建設している太陽追尾型発電施設(写真上)に向け、「断固反対」を訴える住民ら=9月、同市大平

 

太陽光発電施設を巡るトラブルは全国各地で相次ぐ。県内でも、菊池市の民間企業が市内に建設している太陽追尾型発電施設の斜面が8月の大雨後に崩落。住民がモーターの騒音や強風時のパネル飛散の危険性、景観の悪化を訴え、施設の撤去を求めている。

「これほどまでトラブルが多いのは、災害防止などに関する法規制がないからだ」。再エネ関連の環境問題に詳しい山梨大大学院の鈴木猛康教授(土木環境工学)は「もはや令和の公害だ」と指摘し、手放しで再エネを推し進める国の姿勢を強く問題視する。

県環境保全課によると、メガソーラーの場合、出力40メガワット以上もしくは20ヘクタール以上の敷地を造成する際には環境影響評価(アセスメント)を義務付け。ただ、対象は出力要件が20年4月、面積要件が同10月以降の申請分で、それ以前はアセスが不要。出力が40メガワット未満ならば、今でも環境アセスの必要はないという。

林地開発や固定価格買い取り制度(FIT)の申請では、県や国は事業者が出した書類に不備がないかを確認するのみ。南関町の土砂流出後、県森林保全課は「林地開発の手続きに従って許可しており、県の対応に問題はない」と説明。九州経済産業局エネルギー対策課(福岡市)も「環境はうちの担当ではない。申請書類に問題がなければ、許可を出す」といい、手続き論に終始した。

 

県は「南関ソーラーファームに対しては防災工事の実施などを指導してきた」とするが、強制力はなく、土砂流出を防げなかった。

ホタルの里でもあった小原地区。被害を受けた住民への補償が11月中にまとまる見込みだが、70代男性は「自然は元には戻らん」と悔しさをにじませる。

一方、政府は規制を強化するどころか一部緩和し、再エネ推進をさらに加速させる。大規模な風力発電について、環境アセスの対象を10メガワット以上から「50メガワット以上」に引き上げるよう環境アセス法を一部改正し、10月31日に施行した。

このような国の動きに、鈴木教授は「政府は脱炭素化を目指す傍ら、自然豊かな国土を次々に破壊しているようなもの。専門家による事前の環境調査を義務付ける法整備は急務だ」と訴える。(田中慎太朗、植木泰士)

 

熊森から

熊本日日新聞様、このような記事を掲載していただき、ありがとうございます。

国土交通省、経産省、環境省、林野庁など関係省庁の皆さんに是非現実を知っていただき、再エネなどの太陽光発電は電力大量消費地である都市部で行うよう、至急、方向転換をお願いします。

10/23 兵庫県本部 今年秋のクマの餌場づくり実施しました 豊岡市で実のなる木の植樹

一昨年、昨年と、全国各地で人里にクマたちがえさを求めて出てきて、過去最多を記録する大量のクマが駆除されました。一方、今年のクマの目撃数はどこも激減です。本部のある兵庫県でのクマの目撃数も、9月末現在、過去10年間で最少です。殺し過ぎたとしか思えません。

 

人里にクマたち野生動物が出て来なくていいように、何とかえさ場を奥地に再生してやろう。

熊森は過去25年間、実のなる木の奥山植樹に取り組んできました。しかし、民間の力でできることには限界があります。絶滅してしまう前に、早く、国や行政に奥山広葉樹林化に動いていただこうと、熊森はがんばっています。

 

現在、日本は、人間が荒廃させた奥山生息地を全く顧みず、個体数調整と言って、クマなどの野生動物たちの生息数を推定計算して、研究者が考えた適正数となるように駆除し続けています。しかし、本来、生息地の保障なくして、クマたち野生動物との共存などあり得ません。

 

2021年10月23日、熊森本部は今年も兵庫県豊岡市のクマ生息地に、実のなる木25本を植えました。この場所は、人工林の皆伐跡地を放置していた場所で、動物たちの餌にならないミツマタやシンジュの木が育ってきています。

今回の苗木は、あるご夫婦が、ドングリから育ててくださったものです。

苗木の種類は、クヌギです。高さ1.5mほどの苗木が10本ありました。植樹地まで運びあげるのに結構重くて苦労しました。

 

 

この場所は、急斜面、豪雪、シカと、広葉樹林化を困難にする3条件がそろったところです。

これまでに何度も実のなる樹を植えてきましたが、春先にシカ除け柵やシカ除け網が、なだれて来る雪に押しつぶされて倒れ、一瞬にしてシカに食べられ、なかなか苗木が育たないという森再生困難地です。

 

 

これまで、あの手この手で、シカの食害から苗木を守るためのシカ柵に取り組んできましたが、やっぱり、1本ずつの苗木を囲う元のやり方の方が良かったということになり、サプリガードという鹿除け柵で囲う方法にもどしました。

皆さんでどんどん植えて、柵を作って、効率よく作業は進められていきました。

参加してくださったボランティアの皆さん、今年もありがとうございました。

 

尚、熊森本部は11月13日(土)、兵庫県宍粟市の標高1000mのクマ生息地で、地元千種町の皆さんの植樹会を手伝います。ここも、急斜面、豪雪、シカと、広葉樹林化を阻む3条件がそろった場所ですが、今回、助成金を使ってブルトーザーを導入する大掛かりな植樹会です。植えるのも大苗ばかりです。

 

地元は過疎化高齢化が進んでおり、都市市民のボランティア参加が求められています。

自車参加で可能な方は、お知らせください。

お申込先:電話0798-22-4190 メール field@kumamori.org 担当:水見 吉井

10/21 本部第4回 安藤誠の世界 どんなにクマや自然が素晴らしいかを伝えたい ~日常の奇跡~

10月21日(木)17時~19時 尼崎市中小企業会館 定員40名満席

 

(1)室谷悠子会長挨拶

森も自然もないここ兵庫県尼崎市が、熊森運動発祥の地です。

一方、北海道の大自然には都会に暮らす私たちが出会えないような様々な生き物たちが暮らしています。彼らもみんな私たち人間の仲間なんだよということを、世界的な動物写真家で様々な海外の賞もとられてきた釧路在住の熊森顧問安藤誠さんが、写真や映像で伝えてくださいます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

安藤さんの写真や映像が、熊森会員を増やしています。

 

(2)来賓あいさつ

元衆議院議員赤松正雄顧問

「クマと人間どっちが大事?」今のほとんどの国会議員は、西洋思想の影響を受けていますから「そりゃあ、人間だよ」と言います。しかし、正解は、「どっちも大事」なんです。大自然やそこに生きる野生動物たちも大事なんだよという祖先の正しい自然観を世に広めるために、熊森協会は闘い続けています。

 

何気ない日々が実は奇跡の連続なんだよという安藤さんの「日常の奇跡」という言葉を、わたしのブロブのタイトルに拝借させてもらいました。

 

 

 

 

 

 

(3)水見竜哉 くまもり主任研究員

北海道の人もあまり知らないのですが、実はヒグマは例年800頭ぐらい大量に駆除されています。

今年6月、札幌の市街地に出たヒグマが、タクシーに乗った報道陣などに追い掛け回されてパニックになり、逃げる途中に出会った4名の方に怪我を負わせ、草むらに逃げ込んだところを射殺されました。

 

 

 

 

 

 

 

 

人間の間違ったクマ対応が、人身事故を起こすのです。

 

◎安藤誠氏 講演

私は、自然がどれだけすばらしいかを伝える映画を、熊森協会と作りたい。

人間とクマ、どっちも大事なんだなあと、見ただけでわかるようになる映画です。

 

これはヒグマの動画ですが、この場面だけは一瞬ピンボケです。

20mぐらい離れたところでサケを採りに来たヒグマを撮影していたのですが、レンズ越しにヒグマと目が合い、ヒグマが僕に気づいて、「ん、お前誰だ」って僕の方をにらんできたので、思わず動揺してしまい、カメラの手がずれてピンボケになってしまったんです。でも、このヒグマは怒ってはいません。毛が立っていませんから。あっちに何か変な奴がいるなと思ったんでしょう。

ヒグマは人間を襲ったりしません。人を襲う動物だったら、僕は今ここにいません。

ヒグマって、サケの頭とイクラ(=卵)だけ食べる。一番栄養価の高いところです。あとは、ポイ。残りは、キツネとか他の動物たちの食べ物になります。

 

 

 

 

 

 

 

 

この場面だけ一瞬ピンボケしているその訳は・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クマを守るために、今年、狩猟免許を取りました。

 

体重わずか480g~800gのハシボソミズナギドリは、最長距離を渡る渡り鳥です。GPSもエンジンもついていないのに、年間3万2千キロを旅して渡ります。白鳥の渡りは3千キロメートルですから、それを思うと、ハシボソミズナギドリのすごさがわかります。

誕生した若鳥と共に、餌を求めて6月、オーストラリアのタスマニアから赤道を超え、まず日本列島に渡ってきます。千葉県の九十九里浜沖に来た時は、体重が半分に減っていますから、低気圧に巻き込まれた年は、何万羽という若鳥たちのおびただしい死体が見られます。生き残ったハシボソミズナギドリたちはこのあと北海道知床羅臼まで飛んでオキアミや魚を食べて体力をつけ、アラスカに渡り、北極海を経過してまたタスマニアに戻るのです。

人間にいろんなことを教えてくれるハシボソミズナギドリの渡り 知床にて

 

熊森から

安藤さんは、ハシボソミズナギドリたちが、勇気、やる気、生きる厳しさ、あらゆることを人間に教えてくれると言います。

 

もし、安藤さんの説明がなければ、私たちは、なんだかたくさんの鳥がいて豪快だなだけで終わってしまいます。しかし、生態を教えていただくことによって、同じものを見ても、感動が全く違います。安藤さんは、プロのネイチャーガイドでもあります。

 

安藤さんは、キタキツネの家族やラッコの家族、シマフクロウの夫婦、タンチョウの親子、クマゲラの親子、モモンガ等々、やらせなど全くない大自然の中のさまざまな生き物たちのピユアな命が輝く世界を、彼らの家族愛にあふれる会話を日本語にして紹介しながら、「どうですか、もう可愛すぎてのけぞりそうでしょう」などの感想も入れて、野生の生態や豊富な知識を紹介し続けてくださいました。

 

今年も、安藤さんから、私たちが今日生きていることそのものが奇跡の積み重ねなのだと、改めて教えていただきました。

 

安藤さんは、3分間の動画作品を作るのに、1000時間フィルムを回されているそうです。安藤さん、毎年新しい話題満載の、秋の全国講演ツアーをありがとうございます。

 

今年、熊森協会では、福岡県支部、三重県支部、本部、愛知県支部で安藤誠講演会を実施させていただきました。来年も開催させていただきますので、ぜひ皆様、ご参加ください!

 

 

 

 

 

 

 

 

参加してくださった皆様、スタッフの皆様、ありがとうございました。

 

雪が積もるまで続くヒグマのサケ狩り 北海道留萌出身の写真家佐藤圭氏のヒグマ写真と文が素敵

ベストカーwebというネットメディアが、1979年生まれの佐藤圭氏のヒグマ写真と文章を何度か掲載されています。

 

本物のヒグマを野で温かい目でそっと見続けてきた佐藤氏のヒグマ観は、釧路在住の当協会顧問安藤誠氏と同様、とても正確だと感じます。おふたりがつながればいいな。

 

ヒグマ害獣視が強い北海道にあっても、このようにヒグマを正しく理解しておられる方が何人かいらっしゃると思うと、幸せな気分になります。

 

以下は、ベストカーの佐藤氏の文と写真の一部紹介です。

 

僕は、撮影のために大雪山系の山に登ることが多いのですが、登山の途中で、ごくたまにヒグマに出会うことがあります。

出会うヒグマは、いつも草や花をのんびりと食べています。ヒグマは本来、温厚で臆病な生き物です。

登山者は、そのことを知っているため、ヒグマが去るのを待つか、距離を保って静かに通り過ぎます。それが、上手なヒグマとの付き合い方です。

北海道の山にはヒグマがいるのは当たり前なので、ヒグマがいても、ヒグマ注意の看板は立ちません。

ヒグマは嗅覚や聴覚が鋭く、人の匂いや気配、熊鈴の音などがすると自分から離れていきます。

この写真を撮影したときも、十分距離をとって望遠レンズで撮影しています。ヒグマは食事を終えると自らゆっくりと去って行きました。

本来、ヒグマは人間の存在を恐れています。人間を襲ってしまうのは、恐れから来る自己防衛の攻撃なのです。

ヒグマは大きく強く、人間は絶対に敵わない相手です。まず、ばったり出会わないための注意を最大限に払うことことが重要です。

熊森から

ベストカーは、車の雑誌のようですが、佐藤圭氏による北海道の野生動物たちの様々な生態が連載されているようです。ぜひ、ご覧になってください。

本州のツキノワグマも、ドングリばかりではなく、冬眠前には昔のようにサケを食べさせてあげたいな。そのためには、戦後、無数に造られてしまったダムを何とかしなければならない。

全国再エネ問題連絡会での熊森発表が新聞のトップ記事に!

10月22日付け長周新聞が、10月16日開催、第4回全国再エネ問題連絡会での日本熊森協会本部の水見竜哉主任研究員の発表「東北地方における森林伐採を伴う再エネ事業の実態」を、トップ記事で紹介してくださいました。

長周新聞(2021年10月22日版)

 

フィード

Return to page top