くまもりNews
令和6年度兵庫県ドングリ類は14年ぶりの大凶作
2024年9月12日兵庫県庁環境部 自然鳥獣共生課 発表
(以下、概略)
兵庫県立森林動物研究センターが実施した今年のドングリ類(堅果類)の豊凶調査によると、14年ぶりの「大凶作」であることが判明しました。
兵庫県のクマ生息地域の多くで、今秋のツキノワグマの出没数は、過去5ヶ年平均の2~4倍になると予測され、冬眠前のクマが餌を求めて人里へ大量出没する可能性が危惧されます。
兵庫県に於ける今年度のクマの目撃・痕跡情報数は8月31日現在449件。
同時期としては平成13年度に統計を取り始めて以来の過去最高値。
この時期の過去最高は平成22年度の386件。(以上)
以下は、兵庫県資料を熊森がピックアップ表示
令和5年兵庫県のクマ目撃地
(色が濃くなるほど、目撃数が多い)
兵庫県のクマは北部に多く生息し、南西部にも生息しています。
令和6年堅果類の実り(ブナ、ミズナラ、コナラ)
今年は、クマの生息地にほとんどドングリの実りがないことがわかります。
もっと詳しくお知りになりたい方は、以下の兵庫県資料をご参照ください。
熊森から
保水力抜群の巨木の奥山水源の森は、これまでクマを初めとする全野生動物たちが無料で造ってきてくれました。人間は彼らに深い感謝の気持ちを忘れてはならないと思います。清らかで滋養豊かな水が豊富に湧き出してくる森あってこその日本文明です。
クマたちの大量出没を考える時、私たち人間がまずしなければならないことは、生息推定数の計算ではなく、クマたちの生息地に、「飲み水と餌があるか」のチェックです。お店のない野生動物たちは、1日中その日の餌を探して歩いています。彼らの行動を左右するのは生息数ではなく餌です。
生息数が多くても、山に十分な餌があると里に出てきません。生息数が少なくても山に餌がなければ、最後の1頭が駆除されるまで次々と出てきます。
熊森のドングリ解説
ブナ
ツキノワグマは冷温帯の動物で、冬ごもり前に一番好む餌はブナです。しかし、ブナは豊凶が激しくて凶作年の実りはゼロです。ブナに頼っていては、凶作年餓死しますから、クマは他のドングリもあてにして生きてきました。
ブナは年平均気温が6℃~12.5℃の間でないと生きられないため、兵庫県では高い山が連なる鳥取・岡山・兵庫県境の狭い範囲にしか残っていません。近年、気温高温化が激しいためか、見るからに樹勢が衰えてきており、実っても、シイナと言って殻だけで中身のない実がほとんどです。もはやクマはブナに頼って生きることはできません。
ミズナラ
ブナほど豊凶が激しくないミズナラは、冬ごもり前の食い込み期にクマが一番あてにしてきた大きなドングリです。しかし、近年の気温高温化によって暖温帯から冷温帯に上がってきたカシノナガキクイムシによって、この虫に対抗する機能を持っていなかったミズナラは、一気に大量枯死してしまいました。(ナラ枯れ)
枯れ残ったわずかな木々に実りがあったとしても、以前と比べると木そのものがないのですから、採食できる量は激減しています。
その他のドングリ類
ミズナラほどではありませんが、ナラ枯れでそれなりに木が枯れてしまっています。
結論
昨今のクマは冬ごもり前に大量に必要な脂肪のたくわえを、何によって得るのでしょうか。
昨年、豊岡市では、それなりにコナラのドングリが実っている場所もあったのですが、なぜかクマたちが食べている形跡はありませんでした。
兵庫県のクマたちは、飲まず食わずで4~5か月暮らす冬ごもりのために、今後、何を食べて行けばいいのか、大変な飢餓状態となって苦しんでいると思います。
戦後の拡大造林政策によって、兵庫県のクマ生息地の多くはスギとヒノキの放置人工林に覆われ、下草も生えず荒廃したままです。
森林環境譲与税や県民緑税を使って、林業に適さない場所に作ってしまった人工林は伐採し、早急に野生動物に餌を提供できる天然林を再生してやるべきです。
熊森は、他の都道府県の状況も調べて、クマの保全とクマによる地元の被害防止対策を同時に考えています。
そのための全国的な調査や研究を、無償又は有償で手伝ってくださる方を募集しています。
将来的には職員登用の道もあります。
調査研究が好きな方得意な方は、ぜひご応募ください。
早朝民家前で人に出くわし、立ち上がって後ずさりしながら立ち去っていったクマ
兵庫県のクマ生息地で9月10日早朝5時半に、車で新聞配達をしていた方がクマとばったり出会われ、そのクマが立ち去るまでの一部始終を車中から動画撮影されました。
乳首が目立つクマ
動画内のクマの様子
クマは人間が車に乗ってやってきたことに気づき、戸惑った感じで立ち上がり、周りをきょろきょろ見回しています。
乳首の周りの毛が倒れていくつかの乳首がくっきりと浮かび上がっているので(クマの乳首は3対)、くまもりとしては、授乳中の母グマではないかと感じました。
立ち上がって人間の方を意識しながらもあたりを見まわしているのは、近くにいる子グマを探しているのかもしれません。
やがてこのクマは、立ち上がったまま人間から目をそらさず、二足歩行のままゆっくり後ずさりし、立ち去ります。
なんだかまるで、私たち人間がクマに出会ったときの対応法を、クマが実践している感じです。
たまたま近くで作業中の本部スタッフがこのニュースを知り、現地を訪れましたが、クマはもういませんでした。
ところが、その後、このクマに捕獲罠がかけられたというニュースが流され、本部はびっくりして地元行政の担当部署に電話して状況を聞いてみました。
熊森:立ち上がって後ずさりして去って行っただけの母グマと思しきクマをなぜ捕獲するのですか。母を失うと、子グマも生き残れません。
担当者:今年は去年と全く違ってクマの目撃がすごく多いです。(今年の兵庫県の山の実りについては、次回ブログに掲載)朝に夕にクマの目撃通報があり、その度に担当者は現地に飛び出して行かねばならず、大変な状況です。
このクマは、昼間出て来たり、民家の横のクリの木の実を食べたりしたので、駆除対象です。
熊森:子グマがいるかもという配慮は全くないのですね。クマに電気柵は大変有効なので、そのクリの木の周りに電気柵を張って、クマが来れないようにできないのですか。
担当者:地元では電気柵をあまり使いたがらりません。張った当初はいいのですが、すぐ草に覆われたり、柵の下に穴を掘られたりするので、電気柵はメンテナンスが大変。過疎化高齢化した集落にはメンテナンスできる余力がない。もし、メンテナンスしてあげるから、電気柵を張りませんかという話なら、地元は大喜びするでしょうね。
以上。
熊森から
本来のクマは、争いを避ける平和的な動物です。
かれらは皆1日中餌を探しており、餌ではない人間には基本的に興味がありません。
人間がクマを殺そうとするから、クマは人間を恐れるようになり、人間から逃げたい一心で、無関係の人にまで人身事故を起こしてしまいます。
熊森は、各地のクマの出没ケースについて状況を問い合わせ、現地に行ったりして、できるだけ殺処分しない解決法をさぐっています。
地元の方や行政の声も聞きながら進めていくこのような大型野生動物たちとの共存活動を手伝っていただける有償又は無償ボランティアの方々を、くまもりは大々的に募集しています。慣れるまでは、熊森職員と一緒に現地で動いていただきます。クマとの共存を強く願われている方は、ぜひご応募ください。
【緊急シンポジウム】自然保護団体と猟友会が考える日本のクマ問題 in東京
- 2024-09-14 (土)
- くまもりNEWS
奥山水源の森の生態系維持のためには、相当数のクマが必要です。クマ問題の解決はクマ数を減らすのではなく、まずは棲み分け復活のための餌場確保や被害防除が必須。地域のクマ対策の最前線に立つ猟友会の支部長や元行政担当者をお招きして、一緒に考えます。
日時:10月20日(日) 13:30~16:30
場所:日本教育会館 707号室(東京都千代田区一ツ橋2-6-2)
地下鉄都営新宿線・東京メトロ半蔵門線神保町駅(A1出口)下車徒歩3分
参加費:1000円
要申し込み(フォーム、もしくは電話:0798-22-4190 メール:contact@kumamori.org)
申込フォーム⇒https://ws.formzu.net/sfgen/S19632911/
昨年のクマ大量出没
2023 年の夏は北海道や東北を中心に、過去最高の気温を記録。東北の秋の山の実りはブナ・ミズナラ・コナ
ラ全てが大凶作となりました。冬ごもり前の食い込み期、飢餓に苦しむクマたちが、里の柿やクリを求めて大
量出没。クマによる人身事故は全国で216 人と過去最多となり、駆除されたクマも全国で9097 頭と過去最多と
なりました。
クマを指定管理鳥獣に
環境省は、北海道、東北6 県、新潟県知事のクマ捕殺強化要請を受けて、2024 年4 月、シカとイノシシの捕
殺強化を進めるために創設した「指定管理鳥獣」にクマを加え、都道府県に総額25 億円の交付金を付けました。
クマ、絶滅に向かう恐れ
クマはシカやイノシシとは生息数が桁違いに少なく、繁殖力も弱い動物です。行き過ぎた人工林、急激な温
暖化による昆虫の大量絶滅、森林の下層植生の劣化、山でのクマたちの食料が激減している根本原因を無視し、
クマ数を大きく低減させてクマとの軋轢を減らそうとするなら、日本はオオカミに次いでクマを失うことにな
ります。
くくり罠への錯誤捕獲問題
シカやイノシシ用に大量に山の中に設置されたくくり罠に多くのクマたちが錯誤捕獲されて無駄に命を落と
している問題に対して、当協会は長年に亘り、環境省に対策を求めてきました。しかし、状況は全く改善されず、
悪化の一途です。
正しい解決法を
クマと人との軋轢問題は環境整備や被害防除で解決すべきで、捕殺強化による数の低減で解決しようとする
と、クマを絶滅させるまでクマ問題はなくなりません。クマたちの数が低減すればかれらの大きな働きで成り
立っている水源の森の生態系が壊れてしまいます。クマ問題の現場の最前線で現場を見続けてきた者たちが、今、
何をなすべきなのか、あるべき対策を話し合い、提言します。
■プログラム
第1部 クマ問題の最前線から報告
① 「生息地の再生と被害対策の普及が不可欠」
室谷悠子((一財)日本熊森協会会長、弁護士)
② 「クマ出没対応の最前線で感じるクマ絶滅の恐れ」
藤沼弘文(岩手県花巻市猟友会 会長)
③ 「あわら市と協力したクマ被害防除の取り組み」
吉村嘉貴(福井県猟友会金津支部 支部長)
④ 「くくり罠による錯誤捕獲問題解決のために」
竹下毅(( 合同)生物資源利活用研究所 代表/ 元長野県小諸市 野生鳥獣専門員)
再エネで、本当に二酸化炭素の排出量は減るのか
自然エネルギー(再エネ)が排出する二酸化炭素の量は、本当に火力発電よりも少ないのでしょうか。
科学的根拠に基づいて計算し、検証した本に、出会いました。
衝撃でした。
以下に、この本を簡単に紹介します。
近藤邦明著「電力化亡国論」2012年発行
全工程に於ける二酸化炭素の発生量を合計すると
太陽光・風力発電 > 火力発電!
計算式が多くて、読むのに一苦労しましたが、目を見張る内容だと思いました。
著者は、科学的根拠に基づく何冊ものエネルギー専門書を出されるかたわら、河合塾で講演されるなどして、エネルギー問題の真実を明らかにされてこられました。計算過程や専門的な内容についてお知りになりたい方は、近藤氏の著書、フェイスブック、ブログなどをご参照になさってください。(高校レベルの数学が必要)
この本には、様々な観点から、原発や再エネ発電の問題点が明らかにされています。今回は、その中から、同量の電気を得るために必要な化石燃料(石炭、石油、天然ガス)の使用量について、再エネ発電と火力発電を比較計算した部分に関してのみ、計算式省略にて紹介させていただきます。
再エネ発電は、発電装置製造時はもちろん、発電稼働中にも日々大量の化石燃料を消費し続けなければなりません。なぜなら、太陽光パネルは夜間や天候が悪い日には発電できないし、風力発電は風が弱過ぎても強過ぎても発電できません。その上、再エネ発電は発電できている時でも常時予測不可能な変動発電量となるため、この電気を人々が使える常時一定量の電気にするためには、蓄電装置や緩衝装置が必要です。他にも、バックアップ電源として常時、化石燃料を無駄に燃やし続けておかなければならないのです。
(太陽光発電による日中の発電量)wクリックでグラフは鮮明に。
九州電力資料より
(風力発電による1日の発電量)wクリックでグラフは鮮明に。
九州電力資料より
再エネ発電は、延々と続く太陽光パネルや林立する風車だけではなく、国土を覆い尽くす高規格の送電網とそれを支える巨大な鉄塔建設などが不可欠となり、巨大な工業製品を次々と造って国中に設置していく必要が生じます。(日本の美しい山々は、蜘蛛の巣のように張り巡らされた高圧電線や鉄塔などの工業製品で埋まり、殺伐とした景色になってしまうでしょう。熊森泣)
しかも、これらの発電装置は雨・風・日光・落雷などの厳しい自然環境にさらされるため、劣化が激しく、耐用年数は10年~20年程度。蓄電装置は非常に高価な上、10年程度で廃棄物と化します。
トータルで計算すると、再エネ発電は火力発電よりずっと多くの化石燃料を消費することになるということです。その結果、当然、火力発電よりずっと多くの二酸化炭素を発生させることになります。再エネは、限りある貴重な化石燃料の浪費以外の何物でもないことになります。ならば、まだ火力発電の方がましです。(最近は、技術革新により、限りなく公害を出さない火力発電所ができているということです。もちろん、湯水のように電気を使う生活を改めることが一番であることは言うまでもありません。次世代にも資源を残してやろうと考えるやさしい大人でありたいですね。熊森)
結論
熊森から
近藤氏は、「日本では福島第一原発事故という大災害を経て、国民は脱原発を求めるようになりました。環境保護系の市民運動家たちは脱炭素、脱原発を求め、その代わりのエネルギーとして、科学的な評価を行わないまま『再生可能エネルギーならば環境にやさしいはずだ』という思い込みのみで、導入促進に向かって活動しているのが現状です。」と、言われています。
今の日本国の最大の腐りは、政府が決めた国策に沿った説だけが学会やマスコミによって表にどんどん出され、科学的事実に基づいた見解や論文であっても、国策に反するものは日の目を見れないような仕打ちを受けるようになっているという不公平さです。
熊森も人ごとではありません。28年間の活動を振り返ると、拡大造林政策や野生動物の個体数調整捕殺などの国策に異論を唱えたために、日の目を見れない仕打ちをずっと受けています。本当にひどいです。
科学的見解は、通常、多様であり、科学的な議論と検証を通じて、科学的知見や技術が確立されていくものです。もちろん、人間は神様ではないので、それでも間違うこともあるし、できないこともあります。それでも、様々な立場から批判的に検討するというのが、科学の発展の大前提です。。
事実に基づいた誠実な対論が存在する場合は、必ず並列して紹介する社会にすべきです。(昭和の時代の新聞は、まだ、対論もよく提示していたのになあ)どちらの考えが正しいのか、対論・異論を提示して、国民みんなに自分の頭で考えてもらうようにすべきです。
この本からは、近藤氏の誠実さや知的レベルの高さが伝わってきて、感動しました。専門家の皆さんにはぜひ、近藤氏の計算結果を検討してみていただきたです。
わが国は、1974年から「サンシャイン計画」と称して、多額の予算を組み、太陽熱や水素エネルギーが使えないかと研究を重ねてきました。結果、科学技術の特性や経済性から、これらのエネルギーは使えないとして、2000年に研究の幕を閉じた歴史があります。技術として、本当に使えるのか。十分な検証や技術的な課題が克服できていないものをやみくもに進めると、再エネ推進もエネルギー自給も頓挫してしまうと思います。
近藤氏は、他にもご著書として、何冊もの本を執筆されています。
「温暖化は憂うべきことだろうか」(不知火書房)
「誰も答えない!太陽光発電の大疑問」(不知火書房)
「東電・福島第一原発事故備忘録」(不知火書房)など。
近藤氏の了承を得て2021年4月のレポートを読めるように、以下に添付させていただきました。
「工業化社会システムの脱炭素化は不可能」(7ページ)
新たに続々と再エネ事業計画が出て来ている
自然エネルギー(=再生可能エネルギー。以下、略して、再エネ。ただし、エネルギーは使えばなくなるので、再生することなどあり得ません)と、美しい名で呼ばれている太陽光発電や風力発電。これらは、現在、国内外の投資家の投資対象となっており、巨大事業化されています。
これらの発電には、火力発電や原子力発電と違って気が遠くなるような広大な敷地と巨大な発電装置が必要です。
狭い日本にそのような広大な土地はありませんから、わが国では今、何をしているかというと、各地で二酸化炭素の吸収源である奥山水源の森を延々と伐採し、災害の元になる切土や盛土を施して太陽光発電や風力発電の事業を推進しています。
こんなことになったのは、まず、一番に2012年の「再エネ特措法」による固定価格買取制度の導入、次に、菅(すが)総理大臣が2020年10月26日の所信表明演説で、突然、日本は2050年までにカーボンニュートラルをめざすと宣言したからです。(2030年には、温室効果ガスを2013年度から46%削減することをめざすとも表明)
岸田首相も、この方針を継承して再エネ推進一辺倒です。
ああ、国土が壊れていく。
首相が宣言すると、官僚を初め国中の公務員は皆、その目標に向かって総力を挙げて突き進まねばならないようです。(最近わが国では、国会審議を経ずに突然、首相から出される方針が多すぎます)今や、国を挙げて、再エネ推進まっしぐら。新しい法律がその方向に向けて次々と作られていきます。マスコミ報道も研究者の研究も一斉にそれを後押しします。事業者は儲けたいので、大喜びしていると思います。(「再エネ特措法」により、私たちの電気代に上乗せして国民から強制的に徴収している再エネ賦課金によって、再エネ事業は確実に暴利を得られる仕組みになっています。再エネ賦課金は2011年3月11日午前、民主党政権時代の菅(かん)内閣によって閣議決定されたものです)
再エネ推進のために全生物の命を支えてきた水源の森を壊していいのか。
再エネ推進のために森を壊してクマなど森の動物たちが里に出て来てもいいのか。
再エネ推進のために、多くの鳥がバードストライクで死んでもいいのか。
再エネ推進のために、山が崩れて地元の人命や財産が失われてもいいのか。
再エネ推進のために、川や海に泥水が流れ込んで川や海が死んでもいいのか。
余りにも愚かではないでしょうか。
全生物や次世代に無責任すぎませんか。
次の総選挙で熊森は、日本国を守るため再エネを争点として、全候補者にアンケートをとり、結果一覧を示そうと思っています。同時に、立候補者に再エネ賦課金を見直すべきと訴えようと考えています。儲け第一で再エネを進めるのは、国民のためにならない。これは、全国の事例を見れば明らかです。
熊森は水源の森を守る自然保護団体として、2021年から、森林伐採や山の形を変えるような再エネ事業はしてはならないと、全国再エネ問題連絡会を結成し、共同代表も事務局も引き受けて、自然破壊型再エネ事業を止めようと声を上げ、動きに動いてきました。
経産省、環境省、国土交通省、林野庁、総務省・・・各省庁を訪れ、必死に訴えてきましたが、官僚のみなさんは国策を推進せざるを得ないようで、規制はほとんど進みません。
最近、ネットでは、自然破壊型再エネ事業に反対する声が少しずつ出てくるようになりました。しかし、まだまだ多くの国民は、再エネは原発よりいいだろうとか、地球温暖化を止めるためには仕方がないのではないとか、地元にお金が落ちるのはありがたいとかで、自然破壊型再エネ事業の取り返しのつかないデメリットに気づいていません。反対する声は以前よりも大きくなってきましたが、まだまだ小さすぎます。
今年になってからも、秋田県や岩手県をはじめ各地で祖先が残してきた豊かな森や海を破壊する新たな巨大再エネ事業計画が続々と出て来ており、熊森は水源の森を守る自然保護団体として、もう危機感でいっぱいです。豊かな自然が破壊されることや住民の皆さんの生活環境が破壊されることに危機感を持った方が集まって、声を上げ事実を伝えていくしか、止める道はないのです。熊森は、全国再エネ問題の事務局として、地域の皆さんを全力で応援しています。どのようにして事業を止めたらいいのか困っておられる方は、ご連絡ください。
元佐賀市長木下敏之氏のユ-チューブ動画がすごくいいです。
ぜひ見てください。
阿蘇山のメガソーラーについて(左文字を、クリックすると見れます)
兵庫県本部:2024年度豊岡市クマ防除対策のお手伝い、春から始動しています!
- 2024-07-28 (日)
- _クマ保全
本部のある兵庫県は、西宮市や尼崎市、神戸市などの大都市がある瀬戸内海側と、たくさんの山に囲まれた中部や北部に分かれます。
中部北部はクマをはじめとする野生動物たちの主な生息地で、近年、出没が多く、中でも県内で1番クマが多く出る豊岡市は、ほぼ年中クマ防除対策を行っている市になります。
昨年、熊森は豊岡市と連携し、クマ防除対策の実働部隊として、多くの集落で「草刈り」「柿もぎ」「剪定」「伐採」などのクマを誘引する原因を取り除く作業をし、人身事故ゼロ、捕殺ゼロを達成しました。
今年もぜひクマ防除対策に協力してほしいとお声がけを頂き、今年も現場に行って暑い中、被害防除対策に取り組んでいます。
まだ柿の実は大きくなっていないので、実際にクマが集落内に出てきてはいないのですが、「クマが出てくる前に対策する」という地区長さんはじめ集落の皆様の防除意識の高さがあります。
まずは現場の確認をし、市の担当者、地区長さん、所有者さんと一緒に作業内容を共有します。
去年までクマが来ていた証拠、爪痕がしっかり残っていました!
その後、早速作業へ!
チェーンソーを使い、使用しない柿の木を伐採したり、剪定したりしました。
所有者さんが使用する柿の木は畔(あぜ)シートを巻いて、クマが登れないように対策します。
集落の皆さんも積極的にお手伝いして下さり、スムーズに作業が進みました。
こちらの集落は、作業日数2日半で伐採41本、畔シート巻き2本の対策をしました。
秋になってクマとの人身事故やクマ捕殺が発生しないよう、事前に対策できてよかったです!
山裾の柿の木は残しています。
昨年の兵庫県の堅果類の実りは、ブナ…大凶作 コナラ…豊作 ミズナラ…大凶作 3種全体…凶作でした。
コナラが豊作だったのですが、なぜかクマたちはコナラを食べずに集落のカキに来て大変でした。
今年の兵庫県は、初夏の大好物である液果類のウワミズザクラが不作のためか、6月末までのクマの目撃数は、去年より50件も多い201件。
こんなに目撃数が多かったのは、これまで2017年の219件と、2018年の237件の2回しかありません。
6月末までの捕獲数に至っては60頭(有害駆除20頭、錯誤捕獲40頭でうち38頭放獣)と、過去最大です。
錯誤捕獲の多さも問題です。クマが掛かる恐れのある場所には、くくり罠を掛けないという通達はなされているのでしょうか。
この後、兵庫県が環境省のクマ指定管理鳥獣化にそって捕獲強化路線を突っ走っていかないか心配です。
何とか以前のような棲み分け共存がが復活されるよう、熊森は今年も都市部ボランティアを動員して、地元のみなさんと一緒に環境整備にがんばります。
(本部フィールド部)
ヨーロッパなどでは、再生可能エネルギー万能論はもうない 青山議員再エネ賦課金廃止を訴え
第213回参議院経済産業委員会(令和6年5月16日)で、・低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律案及び・二酸化炭素の貯留事業に関する法律案の両案が一括して審議されました。
・
以下は、熊森の文責で、自由民主党の青山繁晴議員の質疑応答の要旨をまとめたものです。
(質疑応答の全文をお読みになりたい方は、上の青山繁晴議員の質疑応答をクリックしてお読みください。)
・
・
・
<以下、概略要旨>
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青山議員
大規模太陽光発電や巨大風力発電(陸上・洋上)は、森林や海の自然破壊であるというのは、もう自明の理です。しかも廃棄物の処理方法がない。(再エネをさらに拡大することがないように)再エネを拡大して水素を作ることを一定限度内にとどめるべきじゃないでしょうか。
※くまもり注:S+3EとはA安全性(Safety)を大前提とし、自給率(Energy Security)、経済効率性(Economic Efficiency)、環境適合(Environment)を同時達成するという意味です。
熊森から政府への注文:国民に分かる日本語で政治をやってほしいです。
実は、日本が風力発電を強化する前に、デンマーク環境省当局者3人と議論した時、いずれも、風力発電は日本には合ってないよ、まず陸でやってきっと失敗するだろう、で、海に出ていくだろうが、日本は遠浅の海が少ないので、これもまた余計な負担を強いられることになると懸念も示されたわけです。残念ながら、長い月日を経て、今現実になっているわけです。
再エネによる国土自然破壊・海洋破壊にはすさまじいものがあります。国が推進しているからか、批判的な報道がない上、一般国民の見えない場所で実施されているため、まだ、国民の多くは再エネの恐ろしい実態に気づいていないと思います。私たちも最初、再エネは素晴らしいものなのかと思っていました。各地の事業現場を見に行って、この国を潰す気かと絶句しました。
・
次の選挙では、大規模にわが国の自然を破壊し続けている再エネという名の地球破壊事業を止められる人たちを選ばないと、もうこの国に、人類に、未来はないと思います。
・
近藤邦明氏は、そもそも今わが国で行われている「再エネ」は環境に配慮したものなんかではなく、
製造過程も考慮するといっそう空気中のCO2濃度を増しているだけで、自然エネルギー発電システムは、火力発電システム以上に化石燃料を浪費する
と言われています。
また、杉山大志氏は、我が国がたとえ2050年にCO2排出量をゼロにしたところで、
地球の平均気温は0.006℃しか低下せず、(地球温暖化抑制になんら)意味がない
と言われています。
再エネ事業は電気の安定供給や地球環境のために進められているのではなく、
経済界や国内外の投資家たちが莫大な利益を得るためにだけ進められている経済活動事業
青山議員は非常によく現実を見ておられます。
NHK盛岡 再生可能エネルギーか?絶滅危惧種イヌワシか?を見て
- 2024-07-21 (日)
- 再生可能エネルギー
NHK盛岡2024年07月04日放映
以下は、上記番組を見て書かれた文です。
本人の了承を得て、以下に紹介させていただきます。
風力発電とイヌワシは、両立しない
比企の太陽光発電を考える会(埼玉県) 小山正人(獣医)
このNHKの番組のタイトルに「再生可能エネルギーか?絶滅危惧種イヌワシか?両立のジレンマ」とあります。ジレンマとは、相反する二つの事の板ばさみになって、どちらとも決めかねる状態のことですから、一方的に風力発電が進められている現状ではタイトルとしてふさわしくないと思います。
番組の中で油井先生が重要なことをおっしゃっていました。「風力発電所が建設されると、衝突を恐れて、発電所の周囲500mはイヌワシをはじめほとんどの鳥が近づかなくなり、餌場として使えなくなる。貴重な餌場が減ることで、イヌワシが飢餓状態に陥ってしまう。このまま発電所の建設が相次いだら、あっという間にイヌワシは滅んでいなくなる。このままでは、第2のトキになってしまう」むしろバードストライクよりこのことの方が深刻なのです。
イヌワシが繁殖能力を持つようになるには、生後4年かかります。イヌワシのつがいは、日本全国あわせても200つがいしかいません。それに繁殖能力を持たない4歳未満の若鳥100羽を合わせても全国で500羽しか生息していません。
この200つがいを維持するには、繁殖成功率が36.17%以上必要であることがわかっています。繁殖成功率とは、全つがいのうちヒナが巣立ちしたつがいの割合です。かつて40~50%であった繁殖成功率は、1990年頃から激減し、現在は11%です。つまり、何もしなくてもどんどん減っている状態であり、風力発電施設を作る余地などないのです。風車とイヌワシの両立など到底無理、直ちに風力発電計画を中止にしなければならないと言えます。
記事の最後の方に出てくる風力発電事業者社長は、取材に対し「これだけの(イヌワシ調査の)負担増は、風力発電事業をやっていく上では経済的に難しい問題はある。イヌワシが餌を実際にとっているかをしっかり確認し、イヌワシの保護にもデータをいかしていきたい。我々ができる範囲で対策を講じれば、イヌワシと風力発電所は共存できると思っている」と述べています。しかし、ここにも大きな落とし穴があります。今のつがいが餌場として使っていなくても、風力発電機を建てることによって次世代のイヌワシがなわばりを作る場所を狭めていることになるのです。
岩手県は、「再エネ拡大の一方、イヌワシの保護の方針も当然、掲げている。どちらも環境を重視した政策。どちらかを無視することはできない。」と言っています。どちらかを無視することはできない、本当にそうなのか?と考えてみる必要があります。イヌワシの生息地を変えることはできません。生態系が失われたら二度と元には戻らないし、イヌワシが絶滅したら元に戻りません。一方、風力発電は他の発電方式に変えることができます。そもそも現在計画されている風力発電施設をすべて設置したとしても国内全電力量の1%にすぎません。そのわずか1%の電力を得るための犠牲が大きすぎると思いませんか。
環境省は、令和3年8月19日に「イヌワシ生息地拡大・改善に向けた全体目標」を策定しました。全国の目標つがい数を206つがい、繁殖成功率を36.17%と定めました。この目標が達成できていない以上、国は風力発電開発を止めなければならないと思います。
熊森から
すごい視点です。多くの方に伝えたい。
福島県からまっとうな声があがった!福島民報6月30日玄侑宗久氏の文「ソーラーパネルと熊」
以下、福島民報に掲載された玄侑宗久氏の文です。
「ソーラーパネルと熊」
ここ数年、町場での熊の出没が激増している。環境省によれば、昨年度の熊による人的被害は、十九道府県で計一九八件、二一九人で、統計のある二〇〇六年以降最多だった。
北海道や東北北部はむろんだが、福島県でも会津地方を中心に熊被害は拡大し、県内の目撃件数となれば今年六月一六日時点で二三七件、去年の同じ時期より八五件増えている。
いったいなぜなのか? 山で何があったのか? 多くの報道では、異常気象による山の木の実の減少などを原因として挙げ、私も一応は頷[うなず]いてみる。しかし本当にそうだろうか……。これまでにも不作の年はあったはずだし、本当にそれだけだろうか……。
東日本大震災以後、国は速やかに太陽光発電パネルを全国に普及させようと、固定価格買取制度を作り、建築基準法の適用外にしてとにかく推進した。小池百合子都知事は、二〇二五年四月以降の新築家屋に太陽光パネルの設置を義務化したから、この流れは変わっていない。そして風景としてのメガソーラーは田舎でも好まれないため、勢いぐっと奥まった山の中にソーラーパネルが林立している。三春町から見える遠くの山でも、南側の斜面全体がパネル、という山があるし、その途中で伐採中という山も目立つ。
日本熊森協会のデータでは、二〇二二年までに太陽光発電のために切り倒された森林は二万三千ヘクタール。しかも今や日本は、国土面積に占めるソーラーパネル設置率と発電量が世界一なのである。パネル面積の合計は一四○○平方キロメートル、なんと東京ドーム三万個分なのだ(堤未果著『国民の違和感は9割正しい』より)。
宮沢賢治は生きるために熊を撃つマタギと熊の心の交信を『なめとこ山の熊』に描いたが、ひたすら金のために木を伐[き]り続ける人間は、熊たちも許さないだろう。
それだけではなく、ソーラーパネルは地震に弱いことも判[わか]ってきた。能登半島地震では、パネルの重さで耐震強度の弱まった家が、多数倒壊した。またパネルの寿命は一〇~二〇年、リサイクルもできず、設置業者は廃棄物の処分まではしてくれない。しかも古くなって放置されれば、シリコン系のパネルからは鉛が溶けだし、化合物系のパネルだとヒ素やカドミウム、セレンなど発がん性の有害物質が地面に沁[し]み込む。屋上のパネル設置を推進した米カリフォルニア州は寿命がきたパネルの処分に困り、地下に埋設した結果、地下水の汚染という深刻な問題に直面している。さぁどうするのか?
少なくとも水源地に近い山奥にソーラーパネルを並べるのはもう止めたほうがいい。熊はヒトの際限ない侵入と自らの生活環境の変化に戸惑い、ただ必死に生きる道を探しているだけなのではないか。(玄侑宗久 僧侶・作家 三春町在住)
熊森から
福島からのまともな声をやっとキャッチできました。
このような文を掲載してくださった福島民報に感謝します。
書いてくださった玄侑宗久さんは、まっとうな方だと思いました。
福島の山は、メガソーラーや風力発電で、すでにズタズタです。
今後もますます脱炭素という偽名目で、巨額のもうけを狙う人たちによって森林破壊が続いていくと思います。
彼らは今さえ自分さえ儲かれば、日本の水源の森なんか、どうなってもいいのです。
森の動物たちが生きられなくなって困ってしまい、里に出て片っ端から殺されていても、地元の人たちがどんなに困っていてもいいのです。
国も大手マスコミも、みんな彼らとつながっています。ならば、利権のない一般国民が組織的に声を上げるしか、この国を守る方法はないのです。
残念ながら福島県には熊森協会の支部がないので、熊森も動けておらず、やきもきしています。本部としては、どなたか福島県に熊森協会の支部を作ってくださいと叫びたい気分です。
支部ができたら、森林破壊の止め方を伝授します。
全ての命を大切に クマによる八甲田タケノコ採り女性死亡事故の終え方提案
6月25日朝、青森市郊外にある八甲田山地獄沼周辺(十和田八幡平国立公園特別保護区内)で、タケノコ(ネマガリダケ)採りをしていたむつ市の80代女性がクマに襲われ意識不明の重体となり、市内の病院で死亡が確認されたということです。死因は、多発性外傷ということです。
お亡くなりになられた方のご冥福をお祈り申し上げます。
起きてしまったことはもうどうしようもないのですが、問題は、この後どうするかです。
現地は国立公園の特別保護区であり、自然公園法によりすべての動植物の捕獲採集が禁止されている場所です。
もちろんタケノコ(ネマガリダケ)の採集も禁止されています。ここは野生動物たちの国なのです。
6月26日、西秀記青森市長は、(権限を持つ林野庁に)入山規制を要請したということで、妥当だと思います。
6月27 日、県や市は登山道を当分の間、閉鎖することにしたそうです。これも妥当だと思います。
NHK青森より
同時に、7月1日から現場に檻を設置してクマを捕獲することになったそうです。
ちょっと待ってください。これは問題です。
びっくりして行政に電話しました。
熊森「罠には誘引剤を入れるのでクマはかかるでしょうが、かかったクマが今回の死亡事故と関係があるクマかどうか、どうやって判定するのですか?現場に残されていたクマの毛と同じかどうかDNA鑑定でもするのですか?」
行政「そんなこと全く考えていません。別のクマがかかるかもしれませんが、クマが増えているので、別にいいんです」
熊森「クマが増えているって言われますが、青森県は去年生息推定数の53%のクマを有害駆除されていますよ。クマが増えたなどあり得ません」
行政「クマを駆除してくれという声がたくさん入っているんですよ。忙しいのでこれで。」
熊森から
早速、青森県知事と青森市市長に、冤罪グマを死刑にするようなことは、人間社会のためにも良くないという要望書を入れたいと思います。どちらも素晴らしい首長さんですから、わかっていただけるのではと期待します。
こんなことを認めていたら、いずれ人間社会も何らかの事件が起きたら、冤罪でもいいから誰かを死刑にしてしまえとなっていくと思います。
そんな恐ろしい社会はいやです。
クマの国に人間が入っていって、クマたちの大切な食料を取っていた時に起きた事故です。
人間もびっくりしたでしょうが、クマもびっくりして前足で人間をはたいたんだと思います。
クマはその場に10分間ほどいたということです。
クマは倒れた人間がどうなってしまったのか心配になって見ていたのかもしれません。
殺して食べてやろうなどという気はなかったと思います。
クマが食べたいのは、ネマガリタケなのです。
罠かけは意味ないでしょう。
どうしても掛けるなら、DNA鑑定して、無関係なクマなら放獣してください。
人身事故、まして死亡事故は痛ましいですが、あくまで事故なのです。
クマの国で起きた事故に対して、無関係なクマまで捕殺するなら、それは八つ当たりであり、正しい人の道ではないと思います。
行政の皆さんが責任を感じて何か行動をと思われるお気持ちはわかりますが、クマの国に罠を掛けて無関係なクマを殺すのはおかしいです。今少し冷静になっていただきたいです。
熊森は、全ての命が大切にされる社会、殺さなくてもいい命は殺さない社会を望みます。