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ヒグマが津軽海峡を渡る可能性は?

2023.9.6、FFNプライムオンラインでおもしろいニュースを見つけました。

 

熊森協会顧問の北海道野生動物研究所所長門﨑允昭先生もコメントを寄せておられます。

以下に、ニュースの要約を紹介させていただきます。

 

ヒグマ 本州進出の可能性は?

日本の動物界で最強の身体能力を持つヒグマ。 果たして海を渡ることは可能なのだろうか。

 

 

 

 

 

泳ぎながら威嚇するヒグマ

2020年、風蓮湖で、体長2メートルほどのヒグマが泳ぐ姿が捉えられた。 クマはうなり声をあげながら漁船に接近。 威嚇する様子が撮影された。 そのスピード感のある泳ぎから、驚異的な身体能力がうかがえる。

利尻島に2度上陸したヒグマ

2018年6月、北海道北部の利尻島に突然クマが現れ、島は大騒ぎとなった。

クマの生態に詳しい北海道野生動物研究所所長の門﨑允昭さん:利尻島と北海道間の最短距離は19キロ。 利尻島に現れたクマは、交尾のためメスを探して海を渡ったとみられる。 メスがいなかったせいか、クマはまた泳いで島から去っていった。

 

ヒグマは津軽海峡を泳ぎ切ることができるのか?

津軽海峡は北海道の汐首岬から青森県の大間崎まで最短で約21km。 北海道の白神岬から青森県の龍飛崎だと約20km。

ヒグマの生態に詳しい北海道大学大学院獣医学研究院 野生動物学教室の坪田敏男教授:距離だけで考えると津軽海峡を渡って本州に行けるかもしれないが、潮の流れや風の向きなども関係し、そう簡単ではない。

ヒグマが津軽海峡を渡って本州にたどり着いたという話は聞いたことがない。

海面が低かった時代にヒグマは一度本州に渡来していて、本州でヒグマの化石も見つかっているが、本州にいたヒグマはすべて絶滅した。

 

ツキノワグマとの交配の可能性は?

ヒグマとツキノワグマは種レベルで違うので繁殖の可能性は極めて低く、これまで交配できたという報告はない。

門﨑允昭さん:たとえ複数のヒグマが渡り切り繁殖できたとしても、もはや本州は気候が暖かすぎるためヒグマには合わない。 本州にヒグマが突如現れる…? 今のところ杞憂に終わりそうだ。

(北海道文化放送)

 

熊森から

泳いでいるクマの動画を見ると、その驚異的な身体能力にほれぼれします。感動です。

以前、この地域を訪れた時、地元の方に「ここのヒグマは何を食べていますか」と聞いたら、「貝だよ」と言われ、びっくりしました。

未来永劫に、クマも、クマが生きられる自然も、日本に残したいですね。

今を生きる私たちの使命です。

「サイレント国土買収」脱炭素の美名のもと、国土が失われている 再エネ礼賛の罠 平野秀樹 著

平野秀樹現姫路大学特任教授は、九州大学を卒業後、林野庁官僚となり、外国人による目的不明の山林買収に気づかれます。

その後、この問題について調べ始め、危機感でいっぱいになっていかれました。

第一稿は、2010年に出版された共著「奪われるに日本の森」です。

この本は、日本の森を守ろうとしていた日本熊森協会にとって衝撃でした。

クマたちが棲む水源の豊かな森が外国に買われてしまったら、大変なことになる!

国会議員が法規制に動かなければならない問題です。

 

あれから13年、事態は悪化の一途です。

この間に平野氏は3冊の本を出され、今回、5冊目となる「サイレント国土買収」を出版されました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

角川新書 960円

 

細かいデータを集め、このような本を次々と出版されるのは、命を削る大変な作業だと思います。

しかし、いくらがんばってみても、国も国民もボーッとしているだけで、ほとんど動かない。

平野氏によれば、弓折れ、矢尽きの状態が続いているということです。

 

そこにさらに輪をかけて、脱炭素の美名の元、外資などによる山林買収や山林借地契約が一気に広がっていきます。

メガソーラーや風力発電などの再エネ開発は大自然破壊を伴います。

こんなことを認めていたら、どんな大変なことになっていくのか。

国会議員も日本国民もほとんど危機感がなく、外国人に高値で買ってもらってもうかった良かったと思っているように感じます。

しかし、気づいてからではもう遅いのです。

 

国土が外国人に買収されるとどのようなことになるのか、日本人はしっかりと勉強しなければなりません。

今、このような本をじっくりと読む力のある国民が日本人の何%ぐらいいるのか心配です。

熊森会員のみなさんには、ぜひ読んでいただきたい。

全生物がこの国で生き残れるように、

次世代がこの国で生き残れるように。

 

日本の山、川、海。

もし、自然との共生文明を持たない外国人に買われてしまったら、言葉も通じないし、自然と共に暮らしてきた祖先への思い入れもないし、ますます日本の自然が守れなくなっていくと思います。

みなさんはどう思われますか。

時代は大きく変化、リニア見直し必須

リニア新幹線沿線住民ネットワークが2023年8月に発行した「ストップ・リニア!訴訟ニュース」によると、2016年5月に提訴した「ストップ・リニア!訴訟」は、7年間にわたる25回の口頭弁論を経て、7月18日東京地裁で、結審となりました。

当日は、傍聴席満席の中、市原義孝裁判官ら3名の裁判官により、「原告の請求を全て棄却する」、「訴訟費用は原告負担」の判決が下されたということです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すなわち、JR東海による環境影響評価や「全国新幹線鉄道整備法」に基づいてなされた2014年の太田昭宏国交大臣の計画認可に法違反はないという判決です。

 

川村晃生慶応義塾大学名誉教授を団長とする訴訟団は、東京高裁への控訴を決められたそうです。

 

 

熊森から

 

学校では、日本国憲法は、国会、内閣、裁判所の三つの独立した機関が相互に抑制し合い、バランスを保つことにより、権力の濫用を防ぎ、国民の権利と自由を保障する「三権分立」の原則を定めていると教わります。

 

しかし、残念ながら、我が国では、裁判所というのは事業者のしていることが国会で成立した法律に違反していないかどうかをチェックするだけの政府の機関になってしまっています。

 

一般国民と違って、裁判を通してリニアの大量のデメリットを知る立場にあったはずの裁判官なのに、国策に逆らっての判断はできなかったのでしょう。

 

本の紹介1

 

2023年7月に、リニアに関する新しい本が発刊されました。川村晃生編の「リニアはなぜ失敗したか」です。

この本は、10名の執筆者がその専門の立場から、リニアは失敗だったと結論付けておられます。

たとえリニアがいつか開通することがあっても、かけがえのない豊かな水源の森だった南アルプスに穴を開けてしまったり、国土の地下に延々と巨大な穴を開けて100年しか持たないコンクリートで固めてしまったりしたことを考えると、失敗事業であることに変わりはないそうです。(100年後の日本の国土に対する責任は、だれが取るのでしょうか)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

川村晃生編「リニアはなぜ失敗したか」1000円

 

リニア中央新幹線は1973年に基本計画線に決定されたものですが、あれから50年。

2011年の福島原発事故以降は、東海道新幹線の3倍の電気をくうと言われるリニアを動かすために、原発をいくつか作ればいいと言える時代ではなくなりました。

しかも、今後、少子化の傾向が続くと予測されることや、コロナでリモートワークが大きく伸びたことなど考えると、リニアが出来ても乗る人がどれぐらいいるのか。ペイできるのか。国から借りた3兆円のお金は返せるのかということです。

JR東海の破綻を避けるためにも、これまでの計画に固執している場合ではなく、JR東海は見直しが必須でしょう。

 

本の紹介2

 

2023年4月に信濃毎日新聞社編集局がまとめ出版した「土の声を」~リニアは誰を幸せにするのか~(岩波書店)を読みました。

「土の声」というのは、現地の人々の声ということで、これはリニア反対本ではなく、とにかく、現地の人々の声を取材してみようという姿勢でまとめられた本です。長野県大鹿村での取材が中心になっています。すでに工事が始まった地域で何が起きているかの現在進行形的検証も大切です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2023年4月に信濃毎日新聞社編集 2400円

 

熊森協会は2015年5月、職員研修旅行で「日本一美しい村」大鹿村を訪れ、地元の何人かの皆さんと親しくなりました。当時お会いした方々は、いろいろとリニアの勉強を深くされていて、南アルプスに穴をあけるなど絶対にしてはならぬと大鹿村を守る強い意志を固めておられました。

 

翌2016年、政府がリニア建設に3兆円規模の財政投融資(財投)を打ち出したことで、民間事業だったリニアが一転して、“国策事業”のようになり、用地交渉がまとまらない場合、国や自治体が予定地を強制的に取得して使用する土地収用法の適用対象になってしまいました。

土地の強制収容は召集令状と一緒だと地元の方も言っておられましたが、その通りで、こうなると相手は業者ではなく国ですから、住民はもう、いくら反対しても国には勝てません。こうなってくると、もう物が言いにくくなってしまいます。本には、あの時お会いした懐かしい方々のお名前が次々と出て来ます。彼らの苦悩を思うと胸が痛みます。

SDGsの理念である「誰一人取り残さない」の言葉が、むなしく頭をよぎりました。

現実は、多くの方々の泣き寝入りの上に成り立っているリニア事業なのです。

 

今、リニアの用地収用業務を行っているのは県庁や市の職員である公務員です。移転したくない住民に立ち退きを迫る辛い仕事ですから、誰も行きたがらない部署だそうです。当然でしょう。

 

この本によると、リニアの大工事を始めてみて、水涸れが各地で起きるなど、デメリットがいろいろ見えてきたようです。

また、ほとんどが大深度地下の工事現場から出る残土は膨大な量です。残土を盛っておく場所などありません。

盛り土を行うと、たとえ木々が生え表面的には山林に戻ったように見える場所でも崩れやすくなります。西宮市の百合台や最近では熱海の土石流がいい例です。

 

リニア建設を進めてきた方々が、このまま突っ走ってやってしまいたい気持ちはわかりますが、無視できない新しい大デメリットが次々と見えてきた今、やはり、リニアは立ち止まるべきでしょう。

 

信濃毎日新聞社の現場に密着した住民の声の連載報道を讃えるとともに、他のマスコミの皆さんにも、現実問題から目をそらさないリニア報道を願います。

 

最後に、熊森協会として、信濃毎日新聞社リニア取材陣への要望があります。

人間以外にも、リニア工事で苦しむ者たちがいます。

それは、生息地を破壊されてねぐら、水、食料を失う、クマをはじめとする野生鳥獣たちです。

彼らの悲鳴や苦しみが抜けています。彼らの視点からのリニア工事のデメリットにも触れていただきたいです。

 

ー人間至上主義は人類を滅ぼすー

 

人間は、人間だけでは生きていけない。全生物と共存しなければ、人間は滅びる。これが自然界の仕組みなのです。

(完) 文責:森山まり子

 

青森県宮下知事、まだ白紙撤回しない八甲田風発事業者(ユーラス)の良識を疑うと発言

事業者のユーラスエナジーホールディングスは、青森市や十和田市など6市町にかかる八甲田周辺で最大71基の風車を設置する風力発電事業を計画しています。(当初は2030年から150基の風車を作動させる計画でしたが、反対の声に押されて現在、約半分に計画を縮小)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

8月23日、八甲田周辺などの山間部で計画されている「(仮称)みちのく風力発電事業」を巡り、事業区域に含まれる青森市の西秀記市長ら6市町の代表者が、宮下宗一郎知事に事業の白紙撤回に向けて協力を求める要望書を提出しました。

 

以下、青森テレビ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宮下知事は「(関係自治体の)皆さんと歩調を一つにしていく」と述べ、青森県としても事業の白紙撤回を求めていく姿勢を明確にし、事業者に文書で白紙撤回を求める考えを示した上で、9月中に再生可能エネルギーと自然環境の共生に関する方策を公表するとしています。

宮下宗一郎知事 「もともと事業者が「自治体の理解なくして進めない」という話がありましたので、関係自治体(全て)が反対してもなお(計画を)進めると言っている事業者の対応については大変驚いているし良識を疑う

熊森から
はっきりものを言う知事さんを頼もしく思います。
奥羽山脈の国有林保安林である水源の森、生物多様性保全の森を守るため、ぜひ白紙撤回まで持ち込んでください。

比叡山でも登山道を外れる時はクマ除け鈴などが必要

京都府と滋賀県の境に位置する比叡山の人工林率は74%で、スギ、ヒノキ、モミなどが多く、恒常的にクマが棲める環境ではないと思われます。しかし、ときたま、クマが目撃されることがあり、一時的に滞在することはあるようです。

 

8月11日、比叡山(京都府側)の登山コース付近で、京都一周トレイルランニング中の女性がクマと遭遇してひっかき傷を負いました。

 

さっそく熊森本部は事故の原因を探るため現地へ。

 

叡山電車で八瀬比叡山口駅へ向かい、そこから叡山ケーブルで500m以上の標高差を上がり、そこから修学院方面へ下っていきます。整備された登山道が山の中を続いており、登山というよりハイキングを楽しめそうな道でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

叡山ケーブル八瀬駅

 

登山道を外れて歩いたためにクマと遭遇か

有名な場所だけあって登山客はかなり多かったです。

今回の事故は登山道ではなく脇道で起きてしまったようです。

クマはとても賢くて慎重な動物であるため、人間と遭遇するのを回避して、登山道を避けて移動していたと考えられます。

しかし、登山道を外れて脇道へ逸れてしまうと、人間は来ないだろうと安心していたクマと突然鉢合わすることが考えられます。

びっくりしたクマが人をひっかいて逃げようとして、人身事故が発生した可能性があります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

青線が登山ルート

事故は赤線で示した脇道で発生した可能性が高い

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

事故後、いたるところに行政が設置していた熊出没注意表示

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この写真の右側が登山道。それを外れて左へ行くと・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

狭い尾根が続き、木々で視界が悪くなってきます

 

比叡山にはクリ、コナラ、クヌギなどが生育している場所もあり、シカやヘビ、トカゲといった生き物を観察できました。

 

熊森から

クマと遭遇しないために

クマと急に遭遇してしまうことを回避するためには、クマ鈴、ラジカセ、大声、手をたたくなど、人間が近くにいることを早い段階でクマに知らせる必要があります。正規ルートから外れて歩くときは特に注意が必要です。今回の事故を受けて、ケーブルやロープウェイの駅に、パンフレットを置くといいなと思いました。

 

 

 

八甲田みちのく風力発電、青森6市町全首長の白紙撤回要請文提出、ユーラスの返答は計画見直し

以下、青森テレビ2023,8,16より

八甲田周辺などで建設が計画されている風力発電事業について、(地元となる)青森県内6市町が8月16日、事業者へ白紙撤回を求める意見書を提出しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユーラス側は現在、当初計画より風車数を半減させて計画中

 

意見書を提出したのは八甲田周辺にある青森市や十和田市、七戸町など6市町です。16日は各自治体を代表して、青森市の西秀記市長が(東京の本社まで出かけ)、ユーラスエナジーホールディングスの諏訪部哲也社長へ仮称・みちのく風力発電事業の白紙撤回を求めました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全市町の総意は風発白紙撤回です

 

※青森市 西秀記 市長
「6つの市町の総意です。なにとぞ宜しくお願い致します」

 

ユーラスエナジーは3月から住民説明会を開き事業への理解を求めてきましたが、参加者からは八甲田からの水が流れ込む陸奥湾の生態系への影響が懸念されるとして事業の白紙撤回を求める声が相次いでいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

民意は白紙撤回  2023年3月の説明会に押し寄せた市民
熊森青森県支部も反対発言

 

※説明会の参加者は
「事業ありきで進んでいることが信じられなくて、とにかくやめていただきたい」
「青い森・青い海が売りのポイントだと思います。漁業の問題にしても打撃を与えると思います。ぜひやめていただきたい」

こうしたなか、今年6月に宮下宗一郎知事と青森市の西秀記市長がともに仮称・みちのく風力発電事業の白紙撤回を公約に掲げ初当選しました。そして16日、西市長は関係市町村の総意として事業の見直しを求めました。

 

ユーラスエナジーは事業を実施する前提条件として、「地元首長の了承」が必要としています。

※ユーラスエナジーホールディングス 諏訪部哲也 社長
「内容をですね、一つ精査させていただき、それに必要な調査を今後させていただいて、その結果をもって、当社の計画を見直し、その後見直し計画について改めて説明していただくさせていただくと、そういった誠意を持った説明をさせていただきたい」

今後はこれまでに住民説明会であがった意見などをもとに風車の建設に伴う景観や水質への影響を調査していて、その結果を踏まえ事業計画の見直しをして公表したいとしています。

 

熊森から

「Protect hakkoda 八甲田の自然を後世に~」さんを筆頭に、青森市木村淳司市議など、青森のみなさん、よくぞここまで反対の声を大きくしてくださいました。

 

再エネ開発されそうになっていた青森県奥羽山脈の国有林に住むクマや猛禽類をはじめとする全生物を代弁して、熊森は心からお礼申しあげます。もう少しで彼らは生息地を失うところでした。

 

また、水源の森や川、青い海を守るため等々で、次世代のためにも粘り強く風発反対運動を展開されてきた青森のすべての皆さんに、大きな拍手をお送りしたいです。

 

みなさん、すごいです。

 

一方、これだけ地元住民が反対しても、再エネ事業者は事業をあきらめない。国民の再エネ賦課金に支えられたFIT制度が、いかにぼろ儲けできる制度であるかを示しています。

 

国は、良かれと思って作った制度でも、デメリットが大きいことがわかったら、見直すべきでしょう。

 

これだけ地元に迷惑をかけながら、ユーラス側は事業を縮小してでも、まだ実施しようとしています。

心底、地元住民や首長を馬鹿にしていると思いました。

 

全首長が申し入れたのは、白紙撤回要請なのです。

8月19日14時~ 長野県松本市でくまもりカフェ開催! 室谷悠子会長・務台俊介顧問

来る8月19日、長野県松本市で開催されるくまもりカフェで、室谷悠子会長のお話の後、務台顧問も話されます。県外からでもOK。皆さん、ぜひご参加ください。

 

チラシはwクリックで大きく鮮明になります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宮澤正義顧問96才、埼玉県で国会議員らに2時間半クマを語る

10頭のクマたちと20年間家族として暮らされた長野市在住の熊森顧問宮澤正義先生は、亡くなったクマたちを皆剥製にして、毛が日焼けしないよう、日光の当たらないところで大事に保管されてきました。そのため、どのはく製の毛も黒々としており、今でもまるで生きているようなクマたちです。

 

 

在庫がないため、図書館などでお読みください

 

しかし、高齢になり、これらの愛したクマたちのはく製を、バラバラではなく1か所でまとめて保管してくださる所にもらっていただきたいと熱望されるようになりました。しかし、なかなか譲渡先が見つかりませんでした。

日本に熊森協会が誕生できたのは、長野市に宮澤先生という世界でも類を見ない地のクマ研究者がおられたからで、この31年間、ずっと私たちを指導し続けてくださっています。そういう訳で、本部が引き取るべきなのですが、残念ながら、今、そのスペースがありません。

 

手を上げてくださったのは埼玉県支部で、私設の埼玉県熊森事務所が全頭引き取ってくださいました。クマの剥製ですが、 宮澤先生は剥製とは言いません。今も生きているかのように、「クマたちは元気か」といつも言われていました。

 

そしてついに、7/30(日) 、長野市から新潟県在住の娘さんに付き添われて埼玉県支部事務所にクマたちを見に来られることになりました。せっかくですから、埼玉県支部は熊森顧問の務台俊介衆議院議員ら何人かの議員の先生方をお招きし、宮澤先生のお話を聴いていただくことにしました。

当日はとても暑い日でした。大宮駅からの道中、早くクマたちに会いたいと、そわそわしておられました。移動中も、クマのことや昔の体験談をずっと話してくださいました。

 

事務所に着くと、「おー!」と歓声をあげ、一頭一頭の名前を呼び、愛おしそうに撫でて話しかけておられました。綺麗に大切に保管してくださっていると、喜んでいただけました。
務台俊介顧問(ご夫妻)他、県議や国会議員の秘書の方々がお越しくださいました。(土屋品子顧問の秘書、村井ひでき議員秘書、高橋まさお県議会議員ら)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まるで生きているようなクマたちのはく製でいっぱいの会場風景

 

宮澤先生は足腰がかなり弱ってきたとしきりに仰いますが、冒頭から立ったまま熱く語り始められました。昔の話から最近のクマの事情に触れ、昔と今の環境の変化や、クマを飼育されていた当時のエピソードを、昨日のことのように意気揚々と話されました。

 

宮澤先生はその昔、原生林に入り、たくさんのクマたちと遇ったが何もされなかったという話は、参加者に特に印象的だったようです。クマは本来、争いを好まない、とても平和的な動物なのです。

 

今は山が開発され、人がどんどん奥山のクマ生息地に入っていきました。そしてとうとう原生林までほとんど人間が占領してしまいました。一方、クマが人間に押し出されてちょっとでも人間の生活圏に入ると害獣として駆除されてしまいます。クマはいったいどこにいたらいいのか。クマは奥山と里で挟み打ちのような状態にあるという宮澤先生のお話には、90年間にわたってクマを取り巻く環境の変化を見てこられた者としての説得力がありました。

 

宮沢先生は、日本は、生物多様性の保全をもっと重要視しなければならないと強く訴えておられました。

 

先生がお若い時は、なぜかシシ垣はあったけれども、シカもイノシシも全くおらず、キツネやタヌキやウサギが多かったそうです。クマにトウモロコシを食べられた開拓農家もあったけれど、昔の農家はトウモロコシといっても家で食べるためだけの十数本ぐらいしか植えていなかったので、クマに全部食べられちゃったよというくらいで、クマ被害という意識はなかったということです。猟師は村に一人しかいなかったそうです。

 

クマは、とにかくネマガリダケが繁っている場所が大好きで、タケノコの時期でなくてもずっと笹やぶの中にいて、ササの新芽を食べたりもしていたということです。

 

毎年、当年生まれの子グマを連れて牧場近くのバッタがいっぱいの草原にやってくるなじみのメスグマがいて、去年産んだ子は育たなかったんだなとわかった。(クマは2年間子育てするので、その間は発情しない。毎年新たな子を産んでいるということは、前年産んだ子が死んだということ。クマは増え過ぎないようにできている)

 

宮澤先生のお話はどれもこれもクマという動物を理解するために、貴重です。若い研究者たちにもぜひ聞いておいていただきたいです。

 

クマを守りたい気持ちは同じ。3年前、自ら熊森顧問を名乗り出てくださった務台議員は熱心にメモをとり、いろいろ質問をされていました。以前に公務で海外事情を知り、日本にクマがいるのは素晴らしいことであると再認識した、クマに生息地を保証し、山に追い返すようにしていくべき等と話されていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

左から、務台顧問、宮澤先生

 

宮澤先生は、この日、2時間半語られましたが、時間が短か過ぎた、まだまだ議員の先生方には伝えておきたいことがたくさんあると、次の機会を望まれていました。96歳でこのお元気さはすごいです。記憶も全く衰えておられません。

長野同士ですから、長野県で、また、前環境副大臣務台議員に続きを聞いていただける機会があるといいですね。

 

務台顧問は宮澤先生のお話を聞いてどう思われたでしょうか。ご感想をお聞きするのが楽しみです。

クマの見回りを続けている地元会員の要請で本部クマ担当が緊急出動するも、地元はクマに寛容 

兵庫県のクマ生息地である新温泉町に住む本多会員は、80歳を超える高齢ですが、クマが殺されないか心配で、毎日車でクマパトロールをされています。早朝、川でクマが水浴びしているのを見た時など、うれしそうにクマのことを語られます。

 

本多会員は、以前、経営する梨園でクマが昼寝をしていたのに気づかず、入っていったことがあります。突然の人間の出現にびっくりしたクマは、本多さんの体の上に乗ってきて取っ組み合いになりました。その時、間近で見たクマの目の純粋さが忘れられないそうです。クマは明らかに人間を怖がっており、転がるようにして逃げていったということですが、本多さんはお怪我をされました。

 

以来、本多さんはクマを守りたい気持ちが強くなり、母グマが悲しんでいるからと住民に話してイノシシ用箱罠にかかっていた子グマを逃がしてやったこともあります。

 

7月31日朝、本多さんから、隣町で昼間にクマが出ている所がある。捕殺されるかもしれないという連絡があり、本部クマ担当の水見、羽田は、直ちに現地に緊急出動。本多会員と合流して、地域の方5名に聞き取りをしました。

 

目撃情報をまとめると、

・クマは、朝8時から10時くらいの間に、川下から川上に向かって川を移動しながら水浴びをしたりして移動していた。

・川すその茂みを伝って、川沿いのびっしり実がついているオニグルミの木を観察しながら歩いていた。

・国道の橋の下で川の水に浸かっていた。

・川の近くの畑で休憩しているのを私に目撃されると、クマは逃げていった、等々。

住民の方々は、クマは移動しているだけやし、とクマに寛容でした。

 

このクマは住宅地の中を白昼堂々練り歩いていたわけではなく、住宅地の外周を流れる河川を利用していただけのようでした。ここ数日、酷暑で人も大変ですが、クマも暑いので水量のある水場にきて水浴びをしていたのでしょう。このような例は全国各地であります。

 

今回のクマは、川沿いのオニグルミの実を食べる予定で下見も兼ねて出て来ていたのかもしれません。結果的に、捕殺される恐れはないと判断。本多さんも一安心。本部緊急出動を終えました。

 

地域住民の方や役場の方には、川の近くに行く場合はクマがいることが予測されるので、鈴や手をたたいて音を鳴らしてくださいとお伝えし、草刈りなどの環境整備が必要な場合は当会にご連絡くださいとお伝えしておきました。

 

橋の下で、朝、クマは川の水に浸かっていた

 

この川べりの茂みを伝って歩いていた

 

 

 

 

 

 

 

川沿いに生えているオニグルミの木をクマが観察していた

 

地域によっては、オニグルミの実が青くて柔らかいうちにクマが食べる

 

今年は山の実りが悪いと言われています。兵庫県でも新たなナラ枯れの場所があります。そのためか、クマが山から出てきて目撃される例が多くなっています。

クマ対策でお困りの場合は当会にご連絡ください。

当協会は、殺さない対応策を実施します。

地域でクマ対策講座(無料開催)もできます。

 

【お問い合わせ】

TEL 0798-22-4190 mail field@kumamori.org

日本熊森協会本部 野生動物担当 水見・羽田

 

P.S

現在日本の野生動物学研究は利権がいっぱいの西洋思考のワイルドライフ・マネジメント派に牛耳られており、兵庫県森林動物研究センターの所長をされたある高名な研究者も、「日本人は殺生を嫌うから駄目なんだ」と公言されています。

責任を取りたくないので、すべての行政は肩書のある研究者たちの野生鳥獣捕殺一辺倒対応に従っています。

 

しかし、熊森は、無用の殺生をしない、生きとし生けるもの全ての命を尊厳する祖先の文明こそが正しくて、豊かな水源の森を残して今日の日本文明の繁栄を築いたという認識です。

このため、熊森は現在日本で多くの研究者から異端児扱いされていますが、無意識ながらも祖先の影響を受けている一般庶民からは、受け入れられることが多いと自負しています。

 

ただ、今、みんなで声を上げないと、この素晴らしい生命尊厳思想が日本国から消えていく恐れがあります。熊森に賛同してくださる方は、とりあえず熊森にご入会いただき、賛同の意思だけでもお示しください。

 

7月8日札幌で母ヒグマを殺処分 炎上狙いのユーチューバーの餌付け責任を問う 

以下、UHB北海道文化放送より

札幌市環境局熊対策調整担当によると7月8日、親子とみられる4頭のクマの目撃が何度も報告されていた南区北ノ沢地区で、市が緑地帯に設置していた箱わなにクマ1頭が捕らえられ、駆除されました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このタイプの箱罠で捕獲

 

8日午前10時20分頃、箱わなに備え付けられていた動体を検知する自動監視カメラが作動し、4頭の親子のクマの姿を撮影しました。
約25分後の午前10時45分頃、箱わなに1頭が捕獲されたのを市職員が確認。クマは午後1時20分過ぎに駆除されました。

駆除されたクマは体長が146.5センチメートル。体重97キログラムのメスで年齢は7-8歳と推定されます。市は5月上旬から南区北ノ沢地区の住宅街などに出没していた4頭の親子のうちの母グマの可能性が高いとしています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

駆除されたのはこの子連れの母グマと思われる 2023年7月1日21時41分無人撮影カメラ

 

市によると3頭の子グマは現場から姿を消しており、市職員とハンターが周辺を捜索しましたが行方は分からないということです。

市は箱わなの設置も含めて今後も継続して警戒、監視を続けるとしています。(以上、記事から)

 

 

熊森から

3頭の食べ盛りの子供たちを飢えさせないように、ヒグマのおかあさん、餌探しに一生懸命だったんだろうと思われます。

 

熊森が母グマ駆除のニュースを察知したのは7月8日土曜日です。

 

土日は行政がお休みで連絡がつかないため、こういう時いつもやきもきしながら月曜を待ちます。もちろん、行政担当者の皆さんは土日でも携帯電話で連絡を取り合い、すぐ動かれていますが、守衛さんに尋ねても携帯の番号を教えてもらえません。

 

さっそく7月9日(月)、札幌市担当課に電話してみました。

 

熊森:和歌山県の猟友会の方に、猟師間には「三つ熊獲るな」(=親子グマは、獲るな)という不文律があると聞きましたが、北海道にはそのような言葉はないのですか?

札幌市:聞いたことないです。

熊森:5月の初めごろから札幌市の住宅地の横で、若い男性のユーチューバーたちがピザなどでクマを山からおびき出しておもしろおかしくキャーキャー騒いで、ただいまクマがピザを食べていますなどと餌付け動画を撮影し、再生回数を上げているという情報が熊森本部に入っています。地理的に見て、今回捕殺された母グマは、このユーチューバーが餌付けしていた親子グマですか。(熊森注:クマの嗅覚のすごさは犬どころではありません。クマは1キロ離れたところからでもおいしい匂いを嗅ぎつけて飛んでくると言われています)

札幌市:そう思われます。

熊森:この母グマを駆除する前に、このユーチューバーに餌付けをやめること、動画を下げるようにと指導すべきではなかったのですか。

札幌市:指導したのですが。(熊森:現在も、この動画は「炎上!」などとタイトルをつけて公開中)

熊森:まず、彼らを取り締まるべきです。

札幌市:警察に相談しましたが、法律に違反していることでないから取り締まれないそうです。

 

 

ならば、熊森は、世論の力に訴えるしかないと思い、北海道新聞社の読者窓口に電話してこのユーチューバーのことを知らせたところ、担当者は知らなかったと絶句されていました。

 

しかし、もし、マスコミがこの問題を取り上げたら、みんながどんな動画か見てみようとして、ますます再生回数が増えます。彼らの思うつぼです。

 

 

ならば、かれらの周りの人たちが彼らの行為に気付いて、「他者の不幸の上に自分の幸福を築いてはならない。そういう生き方は必ず破綻する」と彼らのために諭してあげるしかないのか。

 

でも、ふつうは、自分たちのしたことでヒグマ一家が殺されることになったとわかったら、反省して動画を下げると思うのですが。

皆さんどう思われますか。

 

残された子ぐまも、そのうち罠に掛ると思います。

掛からなくても、母グマから冬ごもりの仕方を1回も教えてもらっていない子グマたちが生き残ることは難しいと思います。

と言って、今、熊森にはこのヒグマの子供たち3頭を捕獲して放獣したり保護飼育したりする力はありません。

 

 

日本人は人間の命と野生鳥獣の命は同じように貴いという、すばらしい自然観を持っていました。

だから水源の森が残り、今日の繁栄があるのです。

他生物の命は物で、人間さえよければいいという今の風潮は、自然破壊への道、人類滅亡への道です。

 

ヒグマに対する人間の対応はこれでいいのか。

胸を痛めておられる方も多いと思います。

カナダなどの海外がしているように、北海道には、まず、ヒグマの放獣体制が必要です。

全国の皆さんに呼び掛けたい。心の中で思っているだけではダメなんですよ。

日本がもっともっとまっとうな社会になるよう、みなさん、熊森がしているようにみんなで声を上げてください。

 

 

31年前、熊森運動を開始した時の尼崎市の中学生たちの合言葉は、「声を上げなきゃ誰にも分らん、行動しなくちゃ何にも変わらん」でした。

こんなクマ対応ではだめだと思う方は、まず、行政やマスコミに声を上げるところから始めてください。

黙って死んだら、生まれて来た甲斐がないと熊森は思うのです。

 

北海道のヒグマ問題の現状については、当協会顧問門崎先生の以下のフェイスブックを是非ご覧になってください。

北海道野生動物研究所

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