くまもりNews
コロラド州における人とクマの共存のあり方 ~徹底した防除対策~
- 2020-11-14 (土)
- くまもりNEWS
日本でクマの大量捕殺が続く一方で、アメリカでは「クマをできる限り殺さない」共存政策が採られています。日本のクマの大量捕殺に胸を痛め、コロラド州におけるクマとの共存政策について知らせてくれたのは、会員の伊藤純子さん。アメリカコロラド州に住む方からクマの人的被害の件数や共存のあり方を聞いて、情報を寄せてくださいました。
コロラド州のクマの生息数は17000~20000頭と推測されています。2019年(4/1~12/31)、クマとの接触情報は5369件寄せられました。このクマとの接触情報(ベア・コールBear Call)は、よっぽど緊急の場合は911(警察への緊急通報)ですが、CPW(コロラド・パークス・アンド・ワイルドライフColorado Parks and Wildlife)という機関へ通報されるのが通常です。
CPWはコロラド州における自然保護や野外活動、野生動物管理を指導する国および州が定めた機関であり、州の全野生動物を取り扱い、41ヶ所の州立公園や350ヶ所以上の野生動物生息地域の管理をしています。
CPWに寄せられた情報は
・外にあるごみ箱を荒らされたケースが1728件
・庭の鳥の餌箱が壊されたケースが397件
・庭の果実をつける木やハチの巣、鶏斜などが狙われたケースが1171件
・車の中に食べ物を置いておいて車に侵入されたケースが303件
・ガレージや家への侵入のケースが517件
・その他1253件
驚くべきは、計5000件以上の被害情報の中で2019年安楽死させられたクマは92頭(被害の1.7%)だということです。また、2018年の安楽死数は63頭にとどまっています。もちろん殺すことへの是非はありますが、コロラド州での「安楽死」は文字通り薬を使い、銃殺はしません。さらには、また母グマを安楽死させることはほとんどなく、仮に母親を安楽死させることがあれば、その子グマは野生に戻ることができるまで保護施設に送られるということです。
クマによる人の死亡事故は1934年から2019年までで5人となっており、一番最近の死亡者は2009年で、それ以降死亡事故は起きていません。さらに、たとえゴミなどの誘因物に引き寄せられて町中におりてきても、人が怪我をする人身事故の事例も極めて少ないです。
これは行政による住民、観光客への告知、教育、指導によるものだと考えられます。ポイントは「人間がクマの棲む場所に入ってきていることを自覚すること」その上で、クマとの接触をできるだけ回避するために
・クマがコロラド州の主にどこに生息しているか
・どの時期にどんな活動をしているか
・どの時間帯に活動しているか
をHPや配布物、看板、宣伝カーの巡回などで常にアナウンスしているということです。
また、クマは嗅覚が鋭いため、ごみの処理方法についても厳しく指導し取り締まりを行なっています。
・外に設置してあるごみ箱はクマが容易に開けられないようベアプルーフと呼ばれるタイプのごみ箱を設置していること
・BBQの後、食べ残しは絶対に置いていかないよう告知が徹底されていること
・家で料理をするときはキッチンの窓を開けないよう告知していること
・家の玄関ドアノブ(外側)はレバーではなく丸いタイプにしてクマがドアを開けられないようにするよう建築基準法で定めていること
などがあります。
CPWのSNSにはクマとの接触情報や対策などがアップされています。CPW南東部のツイッターによると
これは「排水溝に入り込んで出られずにいるクマがいる」との通報があり、駆け付けたCPWの職員が「排水溝と繋がったマンホールのフタを開けておけば、自力で脱出するのではないか」と試し、無事にマンホールから出てきたものです。その後、職員たちによってゴム弾で退散させられ、森に帰ったそうです。これは何度も捕獲されたり市民の安全を脅かしたりすると安楽死処分となるため、市街地に近寄らせないために脅しているのです。「安易に殺さずに解決する」という姿勢が見られます。
コロラド州の事例はクマとの共存のあり方として必ずしも完璧なわけではありません。生息推定数2万頭のなか、2019年は約1200頭が狩猟されている事実もあり(日本では2019年の狩猟数は数百頭)、CPWの組織自体も、狩猟や釣魚の免許の発行をしているなど、ハンティングを容認しています。しかし、日本のように、山にいる野生動物まで追いかけ回し、子グマや親子グマまで殺処分するような、非人道的な例はほとんどなく、あったとしてもCPWによって調査され、対処を受けます。違法な狩猟に対して、罰金が科せられたり、免許を剥奪されることもあります。その上、推定生息数がほぼ同じにもかかわらず、コロラド州での安楽死数(2019年92頭)と日本での捕殺数(2019年6039頭)には大きな差があります。さらに、日本では捕殺数がこれだけ多いにも関わらず、人身事故や死亡事故も毎年起きているのです。クマと人の共存や人身事故・死亡事故を防ぐということにおいて大切なのは、クマを捕殺することではなく、被害防除など人への教育と情報共有がいかに有効であるかということはコロラド州のデータから顕著です。クマの絶滅を防ぐため、日本においても、クマの大量捕殺の流れを食い止め、クマの生命を尊重した共存政策へと転換することが急務です。
10月30日、兵庫県でカキもぎを実施
- 2020-11-07 (土)
- くまもりNEWS
凶作年は里のカキを「クマにあげて」ください
大量の常設罠でクマの乱獲体制ができてしまった兵庫県
昨年、兵庫県では過去最多の119頭のクマが殺処分されました。今年もすでに37頭(9月末現在)ものクマが殺処分されています。
兵庫県は、平成29年度から、クマの捕獲体制を強化しています。クマが出没する前の春から、半年から1年の長期間で、クマが捕獲できる箱罠を設置することを認めており、現在、わずか800頭前後の生息推定数のクマに対し、約2000基の箱罠が常設されています。罠の中に入れられた米ぬかなどの強力な誘因物に誘われて、罠にかかったクマは、農作物被害を出していなくても、0歳や1歳のクマでも基本的に皆、捕殺されています。
今年は、兵庫県でも山の実りが凶作で、どんぐり類が枯死するナラ枯れも大発生しています。熊森が定期的にクマの目撃情報などを聞き取りしている兵庫県のクマ生息地では、「今年は山の実りが悪いというのにクマがほとんど山から出てこない。県がクマを獲りすぎていなくなってしまったのではないか?」と不安の声を耳にします。
さらに、今年は夏の異常高温のせいか、里の柿などの果樹も実のつきがわるいという情報を聞きます。山にも里にも餌がない。本当に危機的状況です。
ツキノワグマ目撃 兵庫県は昨年に比べ少なく323件(神戸新聞、10月24日)
ナラ枯れ・奥山エサ不足に関する記事はこちらをクリック→くまもりNEWS
ナラ枯れと山の実りの大凶作でクマの目撃が出始める
そんな状況の中、10月下旬に入り、兵庫県丹波市ではクマの目撃が何件か出始めました。丹波市は、人工林率が58%と高く、通常はクマの目撃がほとんどない地域ですが、山に実りのない年にはエサを求めてそういう場所にもクマが下りてきます。
クマが出て来ている現場はどんな場所なのか、クマが出て来て困っている方がおられたら被害対策をして少しでもお力になりたいと思い、現場へ駆けつけました。
現地へと車を走らせる中で、丹波市は、兵庫県内の他の自治体の中でも、柿の木が実っている場所が多いと感じました。
しかし、よく見ると、どの木も豊作というわけではなく、ある木はたくさん実がなっていますが、その近くの木は全然なっていないという不思議な状況です。
僅かな場所の違い、木の違いで豊凶が異なるようです。
地元の方の協力でカキもぎを実施
早速、地元の方のお話をお聞きしたところ、柿の木の成りがいい場所ピンポイントで、クマが来ているようです。
集落の中でひときわカキの実りが目立つ木がありました。
家主の方にお話を聞いてみると、こちらの柿の木は甘くて非常においしく実っており、地域の方もカキの実を頂きに取りに来られるそうです。しかし、木の頂上付近に鈴なりで、高さがあるので地域の方でも取れない部分があるとのことでした。
家主の方に、今年は山の実りが悪くて、さらにクマの餌となるドングリの木も枯れてしまって、クマにとっては非常につらいエサ不足なんです、とお話ししました。
家主の方は「自分もそう思う。最近、うちの近くの山も、時々散歩で入るが、山の中のドングリも全然実が落ちていない。それにこの地域は山にスギやヒノキをたくさん植えているから、クマもエサが無くて困るだろう。うちの柿をもいで、山にもっていってやりなさい」と言ってくださいました。
ありがたいです。私たちは、家主の方に深く感謝の言葉をお伝えして、カキもぎをさせていただきました。
本来であれば、もいだカキは、クマがカキを探して出て来るであろう裏山に置くのですが、ここの裏山は急斜面で上がるのが難しいのと、この辺りは人工林率が高く、クマは本来棲んでいない場所だったので、当会の姉妹団体である(公財)奥山保全トラストが所有する、クマの生息する山にもっていくことにしました。
事故防止対策、絶滅防止対策としてのカキもぎ
山の実りの凶作年は、冬眠のため脂肪をつけなければならないクマは、里の実りを求めて山から下りてきて、集落付近のクリやカキ、オニグルミなどを食べます。私たちは、かつての日本人がそうしていたように、そういう年は、クマに近づかないようにそっと見守って、里の実りを分けてやってほしいとお願いをしています。
ただし、クマと人が至近距離で接触すると、クマは恐怖のため事故を起こす可能性があります。そういう危険がある場所では、私たちは、地元の方の了解を得て、カキをもぎ、山へ持って行きます。
本来の生息地に十分なえさがないという危機的状況の中で、人身事故防止や過剰捕獲回避の緊急対策として、有効であると考えています。
今、あまりにも多くの地域で、クマが出てきており、私たちの力だけで全て対応することは到底できませんが、事故を防ぎたい、1頭でも多くのクマが、生きのびてほしいと願い、本部や支部で実践をしています。
クマが出没しているが、捕殺に頼るのでなく、共存の道を模索したいと考えておられる集落があれば、ぜひ、ご連絡をいただきたいです。
静岡県で「クマ止め林」づくり!
- 2020-11-01 (日)
- _奥山保全再生 | くまもりNEWS | 公益財団法人奥山保全トラスト | 静岡県
熊森の会員がボランティアで頑張ってくださっています
先日、「クマ止め林」を作ろう!という記事を公開しましたが(10月18日)、実際に静岡県の山でクマ止め林づくりに取り組んで下さっている会員の山路淳さんをご紹介いたします。
静岡県の天竜川上流で広葉樹林化をめざす
現場は、静岡県浜松市の公益財団法人奥山保全トラスト地が所有する佐久間トラスト地です。
(公財)奥山保全トラストは、熊森の自然保護活動から生まれたナショナル・トラスト運動を進める自然保護団体で、市民のみなさんからいただいた寄付で、生物多様性豊かな水源の森を開発されないように買取って保全する活動をしています。現在、全国に19か所、2346haの水源地の森を買取り、保全しています。
スギ・ヒノキの人工林率77%と山のほとんどをスギ・ヒノキにしてしまった浜松市では、野生動物の棲める生息環境はわずかにしか残っておらず、放置人工林の荒廃も深刻です。人工林地帯である静岡県では、ツキノワグマは絶滅危惧種に指定されています。
奥山保全トラストが所有する294haの佐久間トラスト地も3分の1がスギ・ヒノキの人工林です。ここでは、地元森林組合や日本熊森協会のボランティアに協力いただきながら、クマをはじめとする野生動物の生息地の回復や、保水力ある災害に強い森をめざして、スギ・ヒノキを伐採し、広葉樹林再生活動を積極的に行っています。
くまもり会員によるクマ止め林づくり
佐久間トラスト地の一角で、熊森協会の会員の方による動物のえさ場となる森づくりが進められています。
十数年に亘り、ご夫婦でボランティアでご協力くださっているSさんご夫妻の熱意に触れて参加されるようになったのが山路さんです。
山路さんにクマ止め林づくりにかける思いをインタビューしました。
(山路さんが伐採しているスギ・ヒノキの林。伐採したことで光が入るようになりました。)
くまもり活動にかける思い
茨城大学 理学部卒業後、静岡県西部で、高校の理科非常勤講師をしながら、ゴミ拾いや耕作放棄地の草刈りなどの環境活動に取り組んできました。
7年前に林業に転職。現在、中田島砂丘の海岸林整備、春野町、愛知県新城市の里山再生、広葉樹林化。竹林再生プロジェクトで、浜松市天竜区、中区の竹林整備を進めています。 海から山まで、総合的な環境保全の必要を考え、研究活動を行なっています。
熊森との関わりは、Sさんご夫妻のお宅の竹藪を整備して、沢沿いの眺め良くしつつ、孟宗竹の伐採技術の開発をしたことがきっかけで、熊森協会の存在を知り6年。奥山保全の重要さを改めて再確認して、入会しました。
人口減社会で、林業を続けるのが困難な場所を広葉樹林に戻していくことは、野生動物の保護だけでなく林業の今後の発展にも必要だと思い、活動に参加しています。
現在、ツキノワグマなど市街地の出没で騒動の中にいる人たちに、奥山の重要性について少しでも知ってもらいたいと思っています。
共生の場をつくりたい
現在、佐久間トラスト地でスギ・ヒノキの伐採や広葉樹の保護、生育調査を行っています。今後は、トラスト地全体の調査と適切な生態系保全に向けての簡易土工の実施をしていきたいです。
尾根伝いのスーパー林道の傍(最初の写真)は随分と明るくなりました。
栗の木が生えているので、それを避けて伐採を進めるのは難儀ではありますけど、広葉樹とスギ・ヒノキが混交する森を、作ること。
そのための高度の伐採技術を、地元の人々に見せていきたいです。
熊止めの森。人間と野生動物の共生の場を作っていくこと。そこは死ぬ気でやらざるを得ません。
山路さん、Sさんご夫妻、いつもありがとうございます。 奥山保全トラストや日本熊森協会の活動は野生動物との共存を願うたくさんのボランティアのみなさんに支えられています。
熊森が運んだドングリをクマたちが食べています その1
地球温暖化や酸性雨(酸性雪)などの人間活動の影響を受けて、昨年に引き続き、多くの地域で、今年も山の実りゼロの異変が続いています。
たとえば、ブナの生育条件は、年平均気温が6度~12.5度まで。気温が上がると正常種子は実りません。ブナは大凶作で、実りはゼロです。
また、どんぐり類が枯死するナラ枯れの大発生など、信じられない事態が起きています。
奥山をフィールドに活動する私たちには、クマたちの本来の生息地である冷温帯の森が急速に劣化していると感じます。
飢えに苦しむクマたちが、日本海側の里や市街地に出て行き、連日殺処分されており、人身事故も多発しています。私たちは日々胸を痛めています。
緊急対策として、里の実りを山へ
環境危機による食糧不足により、人里周辺のカキ、クリ、どんぐり、オニグルミなどを食べに来ているクマは、エサが得られれば山へ戻ります。私たちは、近づかないでそっとしておいてやってほしいと思っています。絶滅防止のために、捕殺を控えるべきだと呼びかけています。
しかし、過疎化と高齢化で動物との棲み分けのための対策ができておらず、クマと人の突然の至近距離での接触を避けることが難しい地域が多いことも事実です。
このような場合、人身事故を防ぎ、クマの乱獲を止めるためには、クマたちを山にとどめることが必要です。そのためには、里の実りを、山中に運ぶことを緊急対策としてせざるを得ないと考えています。
下の動画は、山からクマが出てこないように、熊森が地元の方たちとクマの通り道にドングリや集落でもいだ柿などを運び、自動撮影カメラをかけてチェックしたものです。クマが、里の味を覚えると批判される方もいますが、柿は山にもあり、すでに昔から、クマは凶作年には、食用の木の実としてずっと認識しています。
ドングリを運んだ日時 昼 2020年10月26日14時35分
クマがやってきた日時 夜 2020年10月26日20時48分 暗くなってから、1頭のクマがやってきました。
熊森スタッフがカメラを回収したのは、10月27日の10時30分です。この間、約20時間の記録が取れました。
2020年10月27日5時23分まで、実にこのクマは8時間半にわたって休まずに食べ続けていました。
クマは暗闇の中で、ドングリを食べ続け、明るくなる前に立ち去りました。クマは夜行性の動物ではありません。なぜ、暗いうちにドングリを食べるのかと言えば、それは人を避けて行動しているからでしょう。クマは、人を恐れ、できれば接触を避けたいと思っていることがわかります。
熊森が、大阪府豊能町で保護飼育している元野生のツキノワグマの「とよ」と同じ格好で食べています。
「とよ」との違いは、「とよ」は明るい昼に食べますが、このクマは、暗闇の中で食べていることです。
クマが立ち去ると、直ちに複数のタヌキが現れ、このドングリを食べ始めました。
このようなボランティア活動を続ける熊森に対して、焼け石に水と笑う人や反対する人もいます。しかし、何もしなければこのクマは里に下り、飢えに苦しんで夜、里の柿の実をこっそり食べに行き、大量に仕掛けられた罠に掛かって殺されるか、朝帰りが遅れて人間に見つかり、大勢の人たちに追い掛け回されて射殺されることになるでしょう。その過程で時には人身事故を起こしてしまうかもしれません。そちらの方がいいのでしょうか。多くの皆さんに考えていただきたいです。
山に実りが無い場合の緊急対策として、自治体や地域のみなさんにドングリ運び柿運びの実践を検討していただきたいです。
(注)山やクマに詳しくない方がどんぐりを運ぶのは危険です。私たちは、一般の方に山にどんぐりを持って行くことを推奨しているわけではありません。クマの出てきている地域で通り道を考え、人との接触が起こらない場所に置く必要があり、森やクマに詳しい集落の方や猟友会と一緒に行うことが望ましいです。
元野生グマ「とよ」の飼育からわかる秋のクマのどんぐり食
「とよ」は、大阪府豊能町で推定5歳でイノシシ用の箱罠にかかり、殺処分が決まったため(鳥獣保護法によれば錯誤捕獲で放獣しなければならないのですが)、やむを得ず熊森が、高代寺の協力のもと保護飼育することになりました。
とよを飼ってみてわかったことですが、成獣グマは50キロのドングリを約一週間で平らげます。200キロ運ぶと、1頭のクマを1か月間山に留められます。
秋は、クリやどんぐりなどの堅果を好む
10月13日に、「とよ」にドングリの山を与え、中央にリンゴと柿を1個づつ置いてみました。
「とよ」は、掃除後、運動場に出されると、ドングリの山に飛んできて、リンゴと柿を前足で払いのけ、ドングリと栗だけを抱きかかえるようにして、ずうっと食べ続けていました。(観察時間4時間)
冬ごもり前のこの時期、クマが本当に食べたいのは、皮下脂肪を蓄えるために欠かせない栗やドングリなどの堅果類の実りなのです。
ドングリの山の上に覆いかぶさるようにしてドングリを食べ続ける「とよ」
時たま、プールに行って水をゴクゴク飲み、また、ドングリのところに戻って食べ続けていました。
プールの水を飲む「とよ」、冬ごもりに向けてだいぶん皮下脂肪がついてきました。
人と心を通わせられる穏やかな生きものです
クマとの共存策を考えるには、殺されたクマを解剖して研究しているだけではだめで、生きたクマを飼ってよく観察することが必要です。クマを飼うと、いろんなことがわかってきます。人間と深く心が通じ合えるすばらしい動物です。
野生で大人になったクマは人を恐れています。しかし、愛情いっぱいに飼育すると、クマはやがて人間を信頼するようになり、よくなつきます。そして、表情が明るくなり、幸せそうな顔付きになります。それを見た人々の頬はゆるみ、みんなが笑顔になってゆきます。
高代寺(大阪府)の「とよ」10歳 2020.10.13撮影
クマとの共存のために動き出そう
クマは、今、まるで凶悪犯罪者のように報道されていますが、大きな誤解です。大変な間違いです。
飼ってみると、人間よりずっと平和的で飼育者を思いやるやさしい動物であることがわかります。
祖先がしてきたように、人と棲み分け生息できる環境を取り戻してやれば、クマは日本の国土で人間と十分共存できる動物です。
戦後、広大な奥山生息地を破壊した私たち人間が、責任を取って、奥山を復元しませんか。
情けはクマのためならず。
私たちの大切な水源の森を未来永劫に守ることでもあるのです。
山の実りが皆無になってしまった今、当面、山裾に、クマの餌場として、クマ止め林(凶作年のえさとなるような柿やクリ、平地で実るクヌギなどのドングリ種の林)を造っていきませんか。
目の前の問題解決を図るため、里でもいだ柿やドングリを、山に運んでやりませんか。
学校が子供たちにドングリ集めを広めてくだされば、すばらしい情操教育、環境教育になります。
今秋の緊急対策として、里のドングリを集めてくださっているすべての皆さんに、心から感謝申し上げます。(完)
京都府与謝野町でクマによる人身事故現場を調査
現地のクマ生息地の山は、凶作の上にナラ枯れが深刻、エサ不足が懸念されます
10月24日、京都府与謝野町でクマによる人身事故が発生したと報道されました。
熊森本部は、近畿圏で発生するクマによる人身事故の現場を訪ね、お怪我をされた方をお見舞いし、再発防止対策を伝えたり、再発を防ぐお手伝いをさせていただいたりしています。
10月26日、熊森本部スタッフたちは現場へ急行しました。
お怪我をされた方のご家族と少しお話が出来ました。現場は、ご自宅の裏のクリの木付近とのことです。お怪我をされた方は、24日の朝8時頃、金属製のヒバサミを使って栗拾いをされていました。栗を拾い終えて帰るころ、クマが茂みから突然出てきて、背後から耳を引っかかれ、男性が転倒した後にクマは来た道を逃げていったそうです。幸い、命に別状はなかったそうです。
今年は、京都も山の実りが悪いと発表されています。エサが無く、里のクリを食べに来ていたクマと鉢合わせになったものと考えられます。なるべく、クマと人が至近距離で合わないように、この場の草刈り等が必要と感じました。
全国各地で、クマが出来てた、事故が発生したというニュースが後を絶ちません。秋にクマが出てくる原因を考えるには、「クマの生息地が今どうなっているか」ということを調べる必要があります。
くまもりNEWS「もはや末期症状 クマが山から次々と出てくるその訳は?」
熊森のスタッフは事故が発生した現場近くの山の調査をしました。
クマが降りてきた山を下から見ると、ナラ枯れが起きているようには見えません。しかし、山に登ってみると、標高600m程の山の上にある、コナラ、ミズナラが、木の根元から粉を吹きだし枯れていました。
100m歩くだけで、ナラ枯れで、虫の穴が開いている木は15本も見つかりました。
しかし、そのうち5本は、樹液を出して樹皮を修復しようとしていました。
ナラ枯れの原因は、カシノナガキクイムシが木に穴をあけることだというのが国の見解ですが、元気な木であればこのように樹液を出して復活できます。スタッフは、ナラ枯れ以前に木そのものが弱っていると感じました。
この山はクマの棲む自然林なのに、下草が全くありません。下草が無ければ、クマが身を潜める場所や、夏のクマの食料となる昆虫の生息環境もありません。
クマたちは、もう山に棲めないのでしょう。
里だけを見ていると真の原因や対策はわからない
山を見た後、地元の与謝野町役場を訪ねました。担当者は、山の中がこのような状況であることを知らなかったようです。その理由として「里で生活していると、里のことしかわからないから、クマが里に出てきたという情報だけしか問題にならない」ということでした。担当者は、ナラ枯れで山奥にクマがいないことは、あまりにも別世界の話でにわかに信じがたいという様子でした。
事故が発生した現場は、クマ捕獲罠が設置されましたが、1日で撤去されました。担当者のお話では、クマは事故直前に、事故現場の隣の家の柿の木に来てカキを食べていたようです。このカキを、事故後にすぐに隣の家の方が除去してくださったので、被害対策が出来ているか罠の撤去に至ったようです。
全国のクマ生息地自治体の皆さま
クマによる事故が発生した、クマの目撃が絶えない、そういった地域では、クマがなぜ、本来の生息地である山から出て来ているのか調査してみてください。山でナラ枯れが発生していたり、山の実りの大凶作など、大来な異変が発生しています。里に出て来たからといって捕獲していては、クマは滅びます。
どうか、山から降りてきたクマに遭遇しないように気をつけてください。
山の実り大飢饉の今、里の実りをわけてやってください。
人身事故の危険性がある場合は、柿の実を採って山中のクマの通り道に運んでやってください。今年のような異常年、クマと人が安全に棲み分け・共存していくためにはそれしか策はありません。
以下、今回初めて被害対策にきた、新入スタッフの感想です。
初めて事故現場を訪ねました。
事故に遭われた方以外にも町の方のお話もお伺いしましたが、対して気にされていない方から怖くてお墓参りにも行けないんだという方、クマや森の話をしても無関心な方という多様な反応に出会いました。
実りゼロという異常事態が山で起きていることに無関心な方が多いと、人身事故を起こすかもしれないクマは捕殺しておこうとなり、安易な捕殺が暴走するのではないかという印象を受けました。
問題に対し関心を持ち、実際に山に入って原因を探り、対策を考えることの重要性を改めて感じました。これからも、徹底した現場主義を貫き、現地を歩き続けます。
【埼玉県飯能市】このまま、メガソーラーのために森林破壊を許していいの? 工事を止めるため、もう一度、声を上げませんか!




くまもり本部・支部、人身事故とクマの絶滅回避のために、里の実りを山に運んでいます
奥山原生林でひっそりと生きながらえてきた日本のクマたちは、戦後の林野庁の拡大造林政策と、奥山開発で、広大なえさ場を人間に破壊され、生息地を失いました。
外から見ると青々とした人工林、林内食料はゼロ
さらに、近年、残されたわずかな自然林の中から、ブドウやイチゴ類など果肉が多汁で柔らかい果物である液果の実りが少なくなっています。受粉してくれる昆虫が、地球温暖化等の影響で大量絶滅したからです。
ほとんどの液果は虫媒花です。写真は、ミズキ
ドングリ類など実の堅い堅果の実りも少なくなりました。酸性雨等の影響で、木々が弱ってきており、大量枯死してしまったからです。(ナラ枯れ、カシ枯れ、シイ枯れ)
今年枯れたクヌギの巨木(兵庫県)
今年夏の鳥取大山のナラ枯れ(赤色部分の木が枯れてしまった)
様々な液果の実りやミズナラを中心とする堅果の実りに頼って生きてきたツキノワグマたちは、食料を失いました。ツキノワグマは日本の奥山にいるだけでは生きられない状況になっています。ブナは幹の構造上、ナラ枯れしませんが、多くの地域で、去年も今年も大凶作。実りがゼロです。木々が弱ってきているのです。
こんなことになったのはすべて人間活動が原因です。
冬ごもりに備えて今大量の堅果を食べ続けなければならないクマたちは、連日、里の木々の実りを求め、次から次へと山から出てきています。
クマと共存する経験をしたことがない集落では、対応の仕方がわからず、皆さん悲鳴を上げておられます。
猟友会、警察、行政、マスコミなど大勢で1頭のクマを追いかけまわして、クマをパニックに陥れ、人身事故を誘発させています。
クマは人間と違って、本来、争いを避ける大変平和的な動物です。至近距離での突然の接触を避ければ、人身事故のほとんどは防げます。
日本のほとんどの役所は、クマが出てこないように里の柿の木を伐ったり、里の柿の実をもいで捨てたりするよう、地元に指示しています。
しかし、里の実りを利用できないと、クマたちは生きるために仕方なく、里を通り越して、その先の市街地に出て行くようになりました。
これが今、日本中で起きているクマ騒動の実態です。
熊森は、臆病なクマたちが、夜こっそり民家の柿の木に登って柿の実を食べていたら、静かに見守ってくださいと地元にお願いして回っています。
奥地に行くと、昔からクマと共存してきた集落が今もいくつもあって、必死で柿を食べるクマを皆さんそっと温かい目で見守っておられます。こういう集落では、クマによる人身事故は全く起きていません。
このようなことが無理な集落では、柿の実をもいでください。
熊森も手伝って本部・支部、みんなでどんどん山に運んでいます。
熊森本部資料より 山中のクマの通り道に運んだドングリと柿
熊森本部資料より 人間の運んだドングリを食べに来たクマの兄妹(自動撮影カメラ)
以下は、今年、くまもりの支部から送られてきた10月の活動報告写真です。
集落の方と協力して、一緒に、軽トラでごみ袋50袋分ものもいだ柿と集めたドングリを、クマが山から出てくる道に大量に運びました。
次の日見に行くと、「クマのエサ場です。近寄らないで下さい」という看板を、地元が立てておられました。
辺り一面クマの糞でいっぱいでした。
もいだ柿の実、ドングリを運び続けると、クマをこの場所で止めることができます。
平地のクヌギやコナラのドングリを、クマの通り道に運ぶ熊森会員たち
この町では、山裾に実のなる木をたくさん植樹して、令和のクマ止め林を作っていこうという熊森提案に賛成する方が、何人も出てきました。
熊森は、奥山水源の森の再生活動を進めるために結成されたボランティア団体で、がんばっています。しかし、これには時間がかかります。
当面のクマ対策として、平地向きのドングリや、カキ、クリなどを地元の皆さんと、山裾にたくさん植えていこうと思います。
飢えて人里に出て来ざるを得ない哀れなクマたちが、やっとのことで見つけた食料を取り上げた上、「危険」とレッテルを貼り殺してしまう。こんな行為が、今、日本全国で展開されており、このようなことが続けば、クマの個体数は激減し、クマは確実に絶滅します。
熊森は、やさしい解決法が一番優れていると思います。
クマが里や街中に出てきたという現象だけを見ている人たちは、現在のクマの異常事態に対してびっくりするような間違った原因説を出しておられます。
<クマが山から出てくる誤った原因説>
1、クマが爆発増加した(クマ爆発増加説)
→熊森反論:本来の奥山生息地は空っぽです。
2、クマが人間をなめだした(人なめ説)
→熊森反論:人間が怖いから人間から逃げようとして人身事故を起こすのです。
3、クマが山のものより里のもののほうがおいしいと味を占めた(味しめ説)
→熊森反論:実験で、ドングリと柿やリンゴを同時に与えると、クマはドングリに飛びつきます。
4、クマが生息地を拡大しようとしだした(生息地拡大説)
→熊森反論:生息地拡大ではなく、ドーナツ化現象です。
5、地元が里山を放置した(里山放置説)
→熊森反論:里山は1960年から放置されています。
どうしてこんなに誤った原因説が世に出回るのでしょうか。
日本熊森協会の原因説は、ただ一つです。
→1、山から食料が消えた
小泉進次郎環境相が26日にクマ被害対策の会議開催を表明されているそうです。
クマの生息環境の危機的な状況も踏まえた共存のために何をするべきかを具体的に進めることができる会議になることを祈るばかりです。(完)
【速報】クマ止め林をつくろう!
凶作年にクマたちが集落に出ないように、
えさ場づくりをめざして植樹会を開きました
10月18日 兵庫県宍粟市 原観光りんご園の裏山
ナラ枯れと山の実りの大凶作でクマをはじめとする野生動物にとって深刻な食料危機が現実になっている中、山から食料を求めて下りてくるクマたちのえさ場となるように、日本熊森協会は18日、兵庫県宍粟市波賀町原の原観光りんご園裏山でクマのえさ場づくり植樹会を開きました。兵庫県の奥地では、昔は、山すそにクリやカキを植えている地域が多く、奥山の実りの凶作年に、クマがクリやカキを食べに来て、植えた木々によってクマが集落に下りるのを止めていたそうです。
線路の枕木の利用や拡大造林のために伐られてしまった「クマ止め林」をもう一度、復活させたいと考えています。
兵庫県内だけでなく、大阪府や滋賀県在住の会員や非会員など15人とスタッフ4人が参加。原観光りんご園で約5年前まで専務理事を務めておられた幸福重信さん(83歳)に選んでいただいたカキ10本、クリ6本、ヤマボウシ2本を植えました。
幸福さんは、専務理事ご在任当時に苦労して育てたリンゴ約1万個を山から下りてきたクマたちに食べられてしまった体験を参加者に話されました。
「被害を知って腹は立ったけれど、よくよく考えてみると山に食料がないから生きるために下りて来たことが分かった。人間だけが良かったらいいのではなく原因は人間の側にあるのだ、人間が反省しないと、と思って共生の森づくりを熊森さんたちと始めました」と幸福さんはこれまでのいきさつを紹介。現場の裏山での植樹の取り組みなどを振り返りました。
幸福さんは「今年はあのころと同じように、山にえさがないひどい状態。あの当時から数えてちょうど今年は15年。クマたちと共生できる森をつくるために、いっしょに頑張りましょう」と呼びかけました。
幸福さんは続いて樹高約1メートルほどの苗木を手にとり、土を掘って水を入れ、土で固まった根を手でほぐしながら植え付けていく方法を身ぶり手ぶりを交えて解説しました。幸福さんの指導を受けながら、親子連れの参加者が植え付けにチャレンジ。植え終わると満足そうな笑顔を見せていました。
最後に、シカなどが侵入して食べられてしまう被害を防ぐためネットを外側に貼る作業をしました。
この日植えられた木は3年ほどで実をつけます。幸福さんは「皆さん自身の手で植えた木をぜひまた見に来てください」と呼びかけていました。奥山に実りが少ない状況は、当面は続くと思いますので、今後、液果やすぐエサになるものを補植していきたいと考えています。
小学1年の娘を連れて、初めて熊森の野外活動に参加した兵庫県の女性は「植えることの大切さや森林の意味についてとてもよく分かる説明で、参加して実際に植えることができて良かったと思います。必ずまた植えた木を見に来たいし、活動にも親子で参加します」と目を輝かせて感想を話していました。
山にエサがないクマたちが集落に降りて来ないようにするには、当面のえさ場が必要です。本部や支部を中心に、全国でこのような活動を広めていきたいです。
【緊急提言】食料を求め出てきて次々と捕殺されているクマたちの絶滅回避と共存のために
- 2020-10-18 (日)
- くまもりNEWS
10月17日 全国クマWEB集会を開きました!
全国でナラ枯れが広がり、クマの秋の大事なエサであるどんぐりが枯死しています。
それだけでなく、今年は2年連続、山の実りの凶作の地域も多く、各地でクマがエサを求めて人里に下りてきて次々と捕殺されています。
昨年は、過去最多、6000頭を超えるクマが捕殺されました。 熊森協会は4月以降、クマ罠規制の強化を求める署名運動に取り組み、現在署名は1万8794筆に達し目標の2万筆まであと少しに迫っていますが、奥山ではエサが全くない状況が続いており、今のように人里に出てきただけでクマを捕殺続ければ、クマは絶滅します。
森と動物たちの危機的危機的状況をたくさんの方に伝え、1頭でも多くのクマたちを何とか救っていく行動を起こそうと、インターネットのウェビナーを使ったオンライン集会を開催しました。
北海道から四国まで50人が参加
会議には北海道から四国まで50人がインターネットを通じて参加されました。
参議院議員で熊森顧問の片山大介先生も参加され「全ての生物が共存共生できる環境をつくることは容易ではありませんが、私たち一人ひとりが取り組むべき課題です。人間たちの都合で大型動物の捕殺について目を背けるのではなく、私たちは問題解決に向け取り組まねばなりません」とお祝いのメッセージを寄せてくださり、会議でも「10月26日から臨時国会、来年1月には通常国会が始まり期間中に環境委員会の審議などできちんと(国に)説明を求めて、皆さんの不安に対する回答を引き出し、署名運動に関してもお手伝いできるよう頑張っていきたい」と話されました。
奥山にえさがない! クマ生息地の危機的状況~なぜ、クマの大量捕殺が止まらないのか
クマ保全担当職員水見より
戦後以降で東北6県分に相当する天然林が伐採されクマの生息地は人間による開発と環境破壊で失われ続けてきました。
さらに追い打ちをかけるように今年、エサとなるドングリを実らすナラが全国的に広範囲で枯れてしまい、山の実りは2年連続の凶作となっています。水見職員はグラフや写真を使いながら深刻な実情を訴えました。
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しかし、人里に現れたクマたちは見つかると追いかけ回され、問答無用で殺され続けています。
海外では、同じように人里に現れても、日本のように追いかけ回されたり、すぐに殺されたりはせず、そっと立ち去るのを待つように扱われているのが自然な姿です。
ところが、最近の日本ではクマの出没が相次いでいることについて、一部のメディアは人里に相次いで出てくるクマを研究者の言葉を借りて「新世代グマ」などと表現し人身事故を起こしていると報道しています。
絶滅回避と共存のための5つの提言
会長 室谷悠子
クマにとってエサがない絶望的な状況が続き、人里にクマたちが下りてくる事態を簡単には止められない状況が続く中で、「クマの現状を知り、これから何をすべきか」と題して発言した室谷悠子会長は、熊森協会として、クマの絶滅を何としても避けたいと、「クマの絶滅回避に向けた緊急声明」(→全文はこちら)を発表しました。
【クマとの共存のための緊急提案】
1 里のどんぐり、オニグルミ、カキ・クリなどをクマに分けてやってください。人身事故の危険がある場合は、もいで山へ運んでやってください 2 人身事故が起きないようにするためにも、できる限りの捕殺抑制を 3 クマが里に出てくるのを押さえるために、山裾にクリなどを植え、クマ止め林を造る必要があります 4 潜み場除去のための草刈りや誘因物除去など人身事故防止対策の徹底を 5 根本対策として、奥山の生息地の復元を
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室谷会長は、「マスコミにも訴え、事実をできる限りたくさんの人に伝えて知ってもらいたいです。 私たちは、自ら実践していくことで何とかクマたちと共存することのできる国づくりをしていきたいです。
心ある全国の皆さんにお力を受け、助けていただき、何とか今からでも間に合うように、取り組みを続けていきます」と力強く宣言しました。
真実を広め、民間と行政が協力して行動を!
参加された方々からチャット機能を通じた意見交換や質問がさまざまに寄せられ、「きょうの内容をWEBでもぜひ公開してほしい」との意見もさっそくあり、室谷会長は「なるべくたくさんの人たちが共有できるようにしていきます」と約束しました。
最後に森山まり子名誉会長があいさつしました。
森山名誉会長は、森はなさんの童話「こんこんさまにさしあげそうろう」を手にとって示し、昔の兵庫県北部の但馬地方で子供たちが冬の大寒のころ、たくさんの食べ物を用意して「こんこん(キツネ)さまに差し上げよう」と山に食料を置き分け与えていた童話のストーリーを紹介。 「これが本来の日本の文化です。生き物にもやさしい文化だから水源の森も残すことができたのです。 今こそ私たちは、祖先の優しさを取り戻し、豊かな自然を取り戻しましょう」と語りかけました。
そして、クマたちの捕殺が止まらない中で、時間をかけて話を聞いてくれた行政担当者や、協力してくれた熊森支部のエピソードを紹介しながら「民間と、行政と、それぞれだけでできないことも、互いに力を合わせるとできることは増えてきます。 力を合わせて、政治を動かさないとだめです。 仲間をもっと増やしていけば、注目を集めることはできます。 ただ、思っているだけでは変わりません。 行動して、どんどん広めていきながら、大きな声にしていきましょう」と力を込めて呼びかけ、閉会しました。
報道機関のみなさんへ
クマの絶滅を回避し、クマたちの棲める豊かな森を残すため、問題の背景とどうすればよいのかを報道してください! 問題の解決へ向けて、実践活動を行っている日本熊森協会の本部・支部の活動も取り上げていただきたいです。 |