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奥山保全トラスト 関東初のトラスト地が群馬県に誕生!
- 2019-08-01 (木)
- くまもりNEWS
~群馬県支部と記者会見をしました~
熊森から生まれた、水源の森のナショナル・トラスト団体・公益財団法人奥山保全トラストは、これまで全国17か所2100haの水源の森を所有する日本最大級のトラスト団体です。
奥山保全トラストは、これまで関東にはトラスト地を持っていませんでしたが、ついに、2019年7月に群馬県上野村で関東初のトラスト地が誕生しました!
7月31日、関東初のトラストを記念して、米田真理子理事長らが群馬県庁で記者会見をしました。これから現地を一緒に管理していく日本熊森協会群馬県支部長ら11名も出席しました。
熊森顧問、水ジャーナリストの橋本淳司先生も取材に来てくださり、ヤフーニュースに記事になっています!!
ぜひご覧いただき、シェアください!
ヤフーニュース
https://news.yahoo.co.jp/byline/hashimotojunji/20190801-00136537/
石川県内 春夏のクマ目撃多発 元猟師とくまもり室谷会長が、若グマの餌場不足を指摘 中日新聞
以下、中日新聞石川版の後半部分
県内餌場減 山戻らず越冬
半世紀余りクマ猟にかかわってきた石川県白山市白峰の元猟師加藤隆夫さん(78)は、人里に下りてくるクマに若い個体が多いことに注目する。「木の実などの餌場が少なくなり、餌の奪い合いになっている。確保しにくい子グマが押し出されている可能性がある」
親子グマ 石川県白山にて 日本熊森協会石川県支部撮影 2018.9.2
餌場はなぜ少なくなっているのか。天然林の再生活動に20年余り取り組む「日本熊森協会」(兵庫県西宮市)は「スギやヒノキを植林する造林政策が大きな原因の一つ」と指摘する。
人工林の木材は近年、価格の安い外材に押されて伐採や間伐が進まず、多くの森林が放置されたまま。日光が差さず下草が消え、雨で表土が流出して保水力が低下し、クマの餌になる木の実も育たなくなっているという。人工林が多く、手入れが行き届かなくなっている金沢、小松市の山で目撃情報が多く、木の実がなる天然林が残る白山麓では少なくなっている。
日本熊森協会は、2019年度から新設された森林環境譲与税による国の交付金を利用し、天然林を増やし整備するよう石川県内の自治体にも働き掛けている。室谷悠子会長は「クマは本来、山奥にすむ臆病な動物。人間とクマはこれまでうまくすみ分けてきたし、今後も共生できるはず」と訴える。
以上。
熊森から
中日新聞前半記事によると、人工林率40%の石川県で、クマの目撃が相次いでおり、金沢市の4月から7月21日までの目撃数は85件、この時期の目撃数としては過去16年間で最多。住宅地でも目撃されているということです。山から出てくるのは、ほとんどが3歳以下の立場の弱い若グマだそうです。
石川県は、7月初めに、今年の秋の木の実の結実状況を調査した結果、ブナが凶作、ミズナラが豊作、コナラが並作になる見通しで、今秋のツキノワグマが平野部に出没する可能性は低いとの予測を発表しています。
では、なぜ、春や夏に、山から出て来るのでしょうか。
環境省系の研究者たちの予測は、以下の通りです。
1、クマが生息数を増やした。
2、クマが放置された里山へ生息域を拡大した。
3、クマが人間の食べ物のおいしさを知った。(味しめ説)
4、クマが人間を恐れなくなった(人なめ説。新世代グマの誕生)。
原因は、全て、クマにあります。
対策は、個体数低減のための捕殺と緩衝帯としてのやぶ刈りです。
神のみぞ知るの世界なので、全面否定はできませんが、余りにも短絡的です。
熊森は、この時期、クマが出て来るのは、まず、山の中に夏の餌(オオヤマザクラ、ニワトコ、ヤマグワなどの夏の木の実、アリやハチなどの昆虫、サワガニなど)の量が不足しているのが原因だと思います。
みなさんはどう思われますか。
いろんな原因が考えられるでしょうが、熊森は若グマたちが空腹による苦しさの余り、餌を求めて出てきているという事実を押さえることから考え始めるべきだと思うのです。
熊森は、原因をすべて物言えぬ弱者に押し付けるのではなく、拡大造林政策、奥山観光開発、酸性雪、地球温暖化、大規模林道建設など、人間がしでかしたことで、山中のクマたちの夏の餌量不足をまねいていないか、検証していくべきだと考えます。
中日新聞さん、元猟師や熊森の室谷悠子会長のコメントを載せてくださってありがとうございました。
行政や肩書のある研究者のコメントしか載せない他紙と比べて、多様な意見を掲載しようとされる貴紙に、心から敬意を表します。
トヨくんに会いに行きました
- 2019-08-03 (土)
- くまもりNEWS | 豊能町誤捕獲クマ「とよ」
はじめまして、私は、7月22日から8月4日まで、熊森協会でインターンシップさせて頂いている学生です。
私は動物が守りたくて、保護関係の仕事に就きたいと思いました。
自分なりに動物を守るにはどうすればいいのか考えた結果、環境を守ればその環境に生息している動物は悠々自適に過ごせるのではないかという単純な考えから始まりました。
今回初めて、動物保護関係の団体でインターンシップをすることができました。
経験を積んでいき、今後につながるようにしたいと思います。
7月22日に熊森協会が保護したクマ――トヨくんのお世話に行きました。
その時は雰囲気的に少しやせていて、構わないでほしいように見えました。
目線もずっと別のところを見ていて、たまにチラッとこちらを見るぐらいで、私に興味を持ってはくれなかったです。
前日の餌も手付かずで、ビタミン剤を入れたソーセージも少しいじったぐらいで、減ってはいませんでした。
職員さんもボランティアさんも、とても心配していて、食事を取らないことで栄養が足りなくなり、ますます衰弱しかねないので、何とか食事を摂ってほしく、トヨくんの好物を色々用意してマジックハンドで口元まで運んでみたり、親しい人が名前を呼んでみたり、色々な方法を試してみました。それでも食べなく、少し鼻を鳴らしてそっぽを向いてしまいました。
職員さんとボランティアさんも何とか元気にならないか相談したり、トヨくんを見てくれる獣医さんを探したり、お世話をするため毎日のように訪れるほど皆さんは心配でいっぱいでした。
寝室に引きこもったままのトヨ
ボランティアさんが用意してくださったものの中で、犬猫用のドライフードを与えてみたら、少しクンクンと匂いをかいだらパクパク食べ始めました、フードの量は少ないがきちんと栄養とカロリーが凝縮しており、活動や生きるために必要なものが詰まっているので、ちゃんと食べてくれて皆さんホッとしていました。
25日、また職員さんとトヨくんを訪れました。初めての時と打って変わって、色々食べていました。大きなマスカットを美味しそうに食べていたり、ボランティアさんが採ってくれた山菜をもぐもぐ食べていたり、終わっても口をこっちに向けもっと頂戴とねだっているように見えました。とてもではないですが、元気そうで何よりです。
飲んだヤギミルクが付いて、鼻が白くなっているトヨ
そんなトヨくんのために、ボランティアさんが雨でぬかるんでしまった運動場を新しい木の板で張り直し作業を行いました。
私も含め、皆で置く場所をどこにどう置けばトヨくんが過ごしやすいかを話し合って決めました。
トヨくんが早く元気になれるようお薬を用意し、好物の蜜蝋と合わせて与えてみたところ、お薬に気付かずペロッと食べました。
その後、トヨくんのところから事務所へ帰ったところ、ボランティアさんから動画が送られてきていて、トヨくんが運動場に出ていました。
お薬が効いたのか少し後肢を引きずりながらプールの横までいき、トイレができるくらい踏ん張れるようになっていました。
動画を見た職員さんもとても喜んでいて期待が高まっていました。
トヨくんが元気に運動場で動き回っている姿が見られないのは残念ですが、職員さんやボランティアさんと一緒にエサを工夫したり、運動場の模様替えをしたり、色々な方法を試して回復に繋がるように考えていき、トヨくんが元気になっていく姿を見ると、喜びとやりがいを感じました。
インターンシップ生 H
栃木県塩谷町、牧場の飼料タンクに落ちた親子グマの救出作戦
2019年7月18日、親子3頭のクマが、デントコーンなどが入った家畜用飼料タンクの中に落ち、4日間出られずに閉じ込められたままになっているというニュースが流れました。
ニュースに取り上げてくださった記者さんに、深く感謝します。
記者さんのおかげで、私たちはこの親子グマたちのことを知り得ました。
異変に気付いたタンクの持ち主は、親子グマがタンクに落ちて出られなくなっていることを、14日に役場に届けています。
その後の役場の対応はどのようなものだったのでしょうか。
熊森本部を初め関東の熊森支部員らは、町の担当者へ次々と電話して、この親子グマの救出を願い出ました。
現地は、標高1000~1100mの山奥にある町営牧場です。人家や集落からは離れています。
以下、塩谷町の担当者とのやりとりです。
熊森:この親子グマを、何とか山へ帰してあげてほしいです。
担当者:私たちも何とか助けたいので、山に放す方針です。しかし、4日間、この中に閉じ込められていたので、衰弱していないかが不安です。
熊森:放獣決定に、感謝いたします。どのようにして放されますか。
担当者:飼料タンクを解体して横に寝かせ、タンクの上部にある蓋をロープで引いて開け、自力で脱出させます。衰弱していますので、麻酔は使えません。本日中に放獣作業をしたいです。
熊森:何とか水を飲ませてあげてください。本日放獣作業ができないのなら、ひもつきバケツに水を入れて、ロープでタンクの中へ降ろしてやってください。
担当者:はい。やってみます。
(夕方、熊森本部は、再度、塩谷町の担当者に問い合わせました。)
熊森:無事放獣は出来ましたか。
担当者:午後、タンクを横に寝かせ、蓋を開けて放獣作業を行いました。子グマ2頭はすぐにタンクから脱出し、走っていきましたが、母グマは衰弱がひどいのか、タンクから出られない状況です。タンクを横に寝かせるときは、母グマは興奮していたのですが。
熊森:タンクの外に、水を入れたバケツをたくさん置いてください。タンクを横にするときに怖かったと思います。人がタンクの近くにいると、安心して出られませんので、母グマも余計に気を張って体力を消耗してしまいます。みなさん遠く離れてください。子グマも近くで母グマが出てくるのを待っていると思います。また、現在の状況を獣医師にも相談してください。
担当者:わかりました。やはり水が必要なんですね。やってみます。
しかし、18時のニュースでは、母グマが衰弱死したことが報じられました。
熊森から
ニュース映像を見ると、自らも脱水症状に陥っていると思われる母グマが、タンクの中で懸命に子グマに自分の唾液を飲ませていました。
とてもつらくて見ておれません。
もう少し早くこの情報を察知できていたら、助けることができました。
とても悔しい気持ちです。
関東の熊森会員の皆さんをはじめ、この件で、親子グマを助けたいと、何度も町の担当者へ電話をしてくださったみなさん、
本当にありがとうございました。
また、タンクを壊してもいいから、中の親子グマを助けてやってほしいと言ってくださった牧場主さんにも感謝します。
飼料タンクにクマが落ちてしまう事件は、東北地方や北関東のクマ生息地では時折あります。
牧場経営者のみなさんは、クマが蓋を開けられないように、蓋の改善をお願いします。
この件で、日本熊森協会顧問の門崎允昭顧問と、水見竜哉研究員がメディアの取材を受けました。
門崎顧問のコメント入りNEWS
水見研究員コメント入りNEWS
山に逃げた子グマが、母なしで生き残ることはむずかしいと思います。
命に対しては、いかに迅速な対応が必要かを、改めて思い知らされた事件でした。
みなさんと共に、今後の教訓として生かしたいです。
獣害被害額が減少 防護柵設置が奏功、みなべ町
以下、7/13(土) 紀伊民放より
和歌山県みなべ町によると、町内の2018年度の野生動物による被害額は328万2千円で、17年度(451万9千円)や16年度(507万5千円)に比べ減少傾向にある。被害は続いているが、町産業課は「被害額が実際の被害のすべてだとはいえないかもしれないが、防護柵の設置が増えた効果が大きい」とみている。
18年度の被害内訳はイノシシ124万7千円、サル48万5千円、シカ122万円、アライグマ33万円。17年度の被害内訳はイノシシ156万3千円、サル82万5千円、シカ180万4千円、アライグマ32万7千円だった。
防護柵の設置に当たっては、町と県の補助を合わせて資材費の3分の2(上限1メートル当たり900円)を補助している。防護柵の補助実績は、15年度が20・6ヘクタールの1万4435メートル、16年度が21・4ヘクタールの1万6365メートル、17年度が15・8ヘクタールの1万1597メートル、18年度が29・4ヘクタールの1万6620メートル。
同課は「被害額は徐々に減ってきている。防護柵の整備が進んでおり、設置した人からは被害がほぼなくなったと聞いているが、柵がない所は被害が多いと聞く」と話している。
防護柵の設置効果として、17年度に設置した人に対し18年度にアンケートをしたところ、以前被害があった面積の約96%で被害がなかったという。
熊森から
他生物にも優しい文明が、一番優れている。
人類のせいで「動植物100万種が絶滅危機」IPBES
- 2019-06-29 (土)
- くまもりNEWS
熊森は、以下の報告書を地球上の全人類が、何度も何度もかみしめて読まねばならないと思います。
全世界の学校で、この報告書を授業に用いなければならないと思います。
地球環境保全のためではありますが、とりもなおさず、人類が生き残るためでもあるのです。
BBCニュース5月7日より
人類のせいで「動植物100万種が絶滅危機」IPBES
国連環境計画(UNEP)主催の政府間会合は6日、人類が陸海空で自然環境と生物多様性に壊滅的な打撃を与えていると警告した。
世界132カ国の政府が参加する「生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム」(IPBES)は、人類の活動によって約100万種の動植物が絶滅危機にさらされていると警告する、報告書を発表した。
自然環境は地球上のあらゆる場所でかつてない速度で衰退しており、その最大の原因は人類の食糧とエネルギー需要が拡大し続けているからだという。
IPBESは、この衰退の動きは食い止めることができるものの、それには人類の自然の関わり方が全面的かつ「抜本的に変化」する必要があると結論している。
1800ページに及ぶIPBES報告書は、1万5000点の資料を3年間にわたり研究調査したものの集大成。私たちの農作物を受粉するハチ、土壌に水を蓄え洪水を防ぐ森林など、人間の活動が自分たちの社会を支える自然環境そのものを破壊している様子を、報告書は明らかにしている。
「政策決定者のため」として、パリ会合で発表された40ページの要約は、この地球しか住む場所のない人類がいかに地球を荒廃させてきたか、かつてないほど強力に糾弾している。
確かに歴史上、人類は常に地球環境に影響を与えてきたものの、かつてはかすり傷に過ぎなかったものが、過去50年の人間活動によって地球環境が負った傷は極めて重傷で深刻だと要約は指摘している。
1970年以来、世界人口は倍増し、世界経済の規模は4倍に成長し、国際貿易の量は10倍に増えた。この膨れ上がる人類に十分な食料と衣類とエネルギーを与えるため、各地で森林が驚くほどのペースで切り倒されてきた。特に熱帯地域の森林が、とてつもないペースで減少している。
1980年から2000年の間に失われた熱帯林の面積は、1億ヘクタールに及ぶ。南米での牧畜と東南アジアのパーム油生産が、その主な原因だ。
森林よりさらに破壊の度合いがひどいのが湿地帯で、1700年にあった湿地帯のうち2000年にも残っていたのは13%に過ぎない。
各国で都市部は急速に拡大し、都市地域の面積は1992年から倍増した。
人類のこうした活動によって、かつてないほど大量の生物種が死滅している。
報告書によると、動植物の25%の種が絶滅の危機にさらされている。
昆虫への地球規模の影響は分かっていないが、地域によって昆虫が急速に激減している様子は詳しく記録されている。
様々な現象を総合して、IPBESは約100万種の動植物が数十年のうちに絶滅すると警告。この絶滅のペースは過去1000万年の平均より10倍から100倍速いという。
報告書の統括執筆責任者の1人、米ミネソタ大学のケイト・ブラウマン博士は、「生物多様性と自然が本当にかつてないほど衰退している様子を記録した。衰退のペースや脅威の規模という意味で、人類史上このような現象はまったく前例がない」と指摘する。
「すべてを並べてみたとき、生物種の衰退があまりにひどくて、自然環境が人間に与える恩恵がどれほど失われるかを見て、衝撃を受けた」と博士は言う。
報告によると、地球上の土壌もかつてないほど劣化しているため、地表の生産性は23%も後退しているという。
人類の飽食によって巨大なゴミの山が積みあがっている。プラスチック公害は1980年から10倍に増え、私たちは毎年、3億~4億トンのもの重金属や溶剤、有毒ヘドロなどの廃棄物を地球の海や河川に投棄している。
この危機の背景は
報告書によると、これほど多くの生物を絶滅の危機にさらしている要因は複数あるが、土地利用の変化が主要因だという。
要するに、草原を集約農業の耕作地に切り替えたり、原生林を農園に変更したり、耕作のために森林を伐採したりする活動を意味する。こうした土地利用の変化は世界各地で、特に熱帯地域でさかんに行われている。
1980年以来、農業生産拡大の半分以上は原生林の破壊によって実現した。
熊森から
日本における多くの生物の絶滅の危機の最大原因は、林野庁が行った戦後の拡大造林政策によって、680万ヘクタールにも及ぶ広大な原生林が皆伐され、林業でもうけるためにスギやヒノキの人工林に造林されて放置されたこと、人口の爆発増加、国民の食事の肉食化などによってもたらされたと思われます。
しかし、何と言っても最大の原因は、国民の自然環境保全への無関心と他生物への共感の欠如、声を挙げる勇気のなさでしょう。
若いみなさんに期待したいです。
ひとりではむずかしい。若いみなさん、熊森協会に入会して、みんなで声を挙げましょう!
食べもの通信7月号!
食べもの通信社が発行している「食べもの通信2019年7月号」2ページ~4ページに、日本熊森協会の森山まり子名誉会長インタビュー記事が掲載されました。
どのようなものをどのようにして食べればいいのかというオーソドックスな内容を、1970年から追求し続けてきた「食べもの通信」。
ネット情報が氾濫している今、年間購読料8000円を出してこのような雑誌を購読されている方はどれくらいおられるのだろうか。
疑問に思い読者数をたずねてみると、意外に多い。
なぜだろうと、思わず中身を読んでしまいました。
単なる料理本ではなく、生産者や消費者の話、医学情報や環境問題と内容はバラエティに富んでいます。
「クマに奥山の森を返す活動を続けて26年」なんて内容が、トップの特集記事になるぐらいですから、編集者の興味関心はかなり柔軟で幅広いと言わざるを得ません。
日本という歴史のある国で、祖先が長年かかって作り上げてきた食文化は貴重です。
しかし、何をどう食べるかは個人的な問題ですから、少しでも強制力が働くと、相手を傷つけてしまう恐れがあります。
編集部の方に、どんな方がこの雑誌を購読されているのですかとたずねると、お姑さんが購読されて、そっとこの雑誌をお嫁さんに見せたりされていますという一例を教えてくださいました。なるほど、こうすれば角が立ちにくいですね。
いろいろな方がいろいろな目的で購読し続け、50年間にわたり愛されてきた「食べ物通信」。
日本熊森協会の「くまもり通信」も、かくありたいと思いました。
森山名誉会長の2019年5月時のインタビュー、ぜひ多くの方に読んでいただきたいです。
6月22日、兵庫県の山奥に、初の大苗植樹!
大苗を植えたらシカ除け柵が不要だったと、地元で植樹をされているグループに教えてもらいました。
今年6月22日、熊森も試験的に、2m~3m級の中苗~大苗4種4本を但馬地方に植えてみました。
クワ、ウワミズザクラ、ヤマボウシ、クリです。
クワとウワミズザクラは、初夏にクマの食糧となります。
大苗とまではいかないのもあるので、当分シカ防除も必要と判断し、シカ除け網も張りました。
この日は、いろいろな場所で長年、植樹指導をされてこられた但馬の熊森会員が、指導して下さいました。
植える苗がいつもより大きいので、掘る穴もいつもより大きくなくてはなりません。
指導1、掘った穴の底を、つるはしでつついて柔らかくすると、根が張りやすい。
指導2、植樹後、苗木の周りに少し盛り土をする。
(地面にへこみがあると、雨水がたまって根腐りを起こす)
ヤマグワには、すでに実がびっしりついている
次は、支柱の立て方指導です。
大きな苗の植樹は、成果がすぐ出そうで、これまで以上に楽しかったです。
植樹後、突然の雷雨となり、植えた苗木はたっぷりと雨水を浴びました。
「苗木がうまく根付いて、早く動物たちに食料を提供してくれるようになってほしいね」とみんなで話しました。
作業後、植えた苗木をバックに記念撮影
クマが人里に出てこないように、熊森本部はこれまで1万本以上の実のなる木を、兵庫県のクマ生息地の奥山に植樹してきました。苗木は全て、一番根付きやすいと言われている小さな3年苗でした。
中苗や大苗でも根付くことがわかったら、苗木代は高いのですが、これからどんどん中苗や大苗を植えていこうと思います。
6月24日、滋賀県高島市でのクマによる人身事故現場へ熊森本部が急行、聞き取りと草刈対策を実施!
2019年6月23日、滋賀県高島市今津町でクマによる人身事故発生!
MBSTV 裏庭でクマと遭遇、70歳男性噛まれけが 滋賀県高島市
上のニュースを見て、6月24日朝、高島市の担当者に電話をすると、高島市としては、朝夕のクマが出やすい時間帯に、近くの道路をパトロールしている。クマ捕獲予定はないということでした。
心配なので熊森が現地に行って、ケガをされた男性を見舞い、できる被害防除対策があればやってもいいかたずねると、「それはありがたいです。ぜひよろしくお願いします」と言ってくださいました。
そこで、さっそく熊森本部スタッフ2名が、兵庫県西宮市から現地へ駆けつけました。
現地は山すその別荘地帯で、クマが出る地域だそうです。
お会いした方々は、「このあたりの人は皆、クマ鈴を持ってるよ」と話されていました。
ケガをされた男性は、自然が好きで10年ほど前に引っ越してこられたということで、左腕に包帯をされ、顔や左腕の一部にはクマの爪痕が残っていました。命にかかわるお怪我ではなかったことが確認でき、熊森本部スタッフも安心しました。
男性は、熊森の訪問を大変喜んでくださいました。
男性のお話
「事故があった日は、朝早くに(5時くらい)庭で物音がした。窓から見てみたら、2頭の小さなクマが、自分が庭に捨てた生ごみを食べていた。この地域はよくサルが出てくるので、家の中に何個かの石を用意している。サルが敷地内に入ろうとしたら、家の窓から音がするように石をポイと地面に投げて追い払ってきた。クマを見たのは今回が初めて。
クマといってもコグマだったので、山に追い払おうと思って、サルの時と同様にコグマに当たらないように、石をポイと地面に投げた。
そのあと、2頭のコグマが山へ逃げたかどうか確認しに庭に出て行ったら、塀の外側のスギの木に2頭が登っているのが見えた。
その瞬間、視界の左前方から塀を超えて、母グマが突然飛び出してきて、私の左腕に噛みついた。私は驚き、その場に倒れこんだ。母グマは、そのあとすぐに、コグマを連れて山へ走り去っていったと思うが、衝撃のあまりそのあとは覚えていない。噛まれたのは一瞬だったと思う。
すぐに家に入ってタオルで止血をし、救急車を呼んだ。入院するほどではなく、病院では3時間ほど治療をうけて帰ってきた。かまれた部分は傷が深いので腕を動かすと痛む。
今思うと、母グマは子供たちを守ろうと必死だったんだなと思う。考えもせずコグマに近づいていった自分が迂闊だった。今後は、生ごみを外に置かないようにする。反省している。」
再発防止対策
事故現場にはクマが身を潜められる繁みが多くありました。
事故再発防止のために、男性の許可を得て、草刈り機で草を刈り、見通しを良くしました。
男性は「こんな団体があるんだ。知らなかったです。来てくださって嬉しかったです。ありがとう。」と、大変喜んでくださいました。
熊森スタッフは、「こうした活動は、全国各地のくまもり会員の方々が、クマを初めとする野生動物たちと人との棲み分け共存を願って振り込んでくださる会費や寄附によって成り立っています」と話し、会報「くまもり通信」や小冊子「クマともりとひと」をお渡ししました。
男性はすぐに読んでくださり、「動物たちも、山に餌が無くて大変なんだな。人間が豊かな山を壊してしまったんだな。」とご理解くださっただけではなく、なんとその場でご寄附してくださいました。
全国の熊森会員の皆様・ご寄附くださった皆様へ
皆様のおかげで熊森本部は今日も、クマと人の棲み分け共存を進める活動ができました。
本当にいつもありがとうございます。熊森はこれからも可能な限り、現地へ駆けつけます。
これからも、よろしくお願いします。
【奄美嘉徳浜】ウミガメが護岸工事をストップ!
- 2019-06-22 (土)
- くまもりNEWS
自然海岸を壊して世界自然遺産に登録できるの⁈
鹿児島県知事に声を届けよう
ウミガメの来る貴重な自然海岸である奄美大島の嘉徳浜海岸で、鹿児島県がコンクリート護岸工事を進めようとしています。
地域住民が中心となり、コンクリートに頼らない海岸浸食対策をと護岸工事差し止めの裁判提起をしました。熊森の室谷会長の所属事務所であるあすなろ法律事務所、奄美あすなろ法律事務所の弁護士も代理人として奮闘しています。
6月11日、鹿児島地方裁判所で第1回の口頭弁論が開かれました。
裁判期日と前後して、工事区域内でウミガメの産卵が確認されたとして、工事が一時中断したというニュースが入ってきました。
ウミガメたちたちも、自然海岸を守ってと訴えています。
日本政府は、「奄美大島、
わずかに残った貴重な自然海岸を壊して、世界自然遺産に登録をめざすのは矛盾しています。
裁判の原告である住民らは、海岸浸食は自然の植栽を生かした別の方法で行えると訴えています。
カメたちのためにも、貴重な自然を次の世代に残していくためにも、みなさんも鹿児島県知事へ、嘉徳海岸を守ってと声を届けていただきたいです。
【鹿児島県三田園訓知事への声の届け先】
FAX(099-286-2119)