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祝 青森八甲田ブナ林 ユーラスエナジーHDの風力発電開発から守れた

以下は、2023年10/10(火)青森放送などより

 

青森市や平内町など6つの市と町にまたがる八甲田周辺の山間部に最大71基の風車を建設する「(仮称)みちのく風力発電事業」が白紙撤回されました。

八甲田山系のブナ林

 

宮下知事をはじめ計画地域が含まれる6つの自治体すべてが景観や水資源への影響が懸念されるとして反対を表明していました。

事業者のユーラスエナジーホールディングスは「地域の皆様や各自治体からのご意見も含めて総合的に検討した結果このまま計画を推進していくことは適切ではないと判断した」として10日、計画の白紙撤回を発表しました。

 

宮下知事

「県民の皆様との約束が果たせてよかった。一方で、今回の事業が我々に投げかけた自然と再生エネルギーの共生という課題はひじょうに大きい」

 

青森市 西秀記 市長
「行動の結果であるということで非常にうれしく思っているところです」

 

七戸町 小又勉 町長
「今回の計画は我々にしてみれば無謀だと言わざるを得ません 。よかったと安心しています。」

 

PROTECT  HAKKODA  浜部信彦 共同代表
「やったぞっていう、守れたぞっていうのが、一番ですよね 。こんな話していると涙が出てきちゃって。よかったです本当に」

 

木村淳司青森市議 (元林野庁・青森県庁職員 愛する八甲田を風発開発から守るために公務員の職を辞して市議になった青年)

皆様の熱い思いが行政や事業者を動かしたと思っています。これからも、市民の声で地域や日本を良い方向に変えていきましょう!

 

ユーラスエナジーHD(東京)

地域の皆様や各自治体からのご意見も含めて総合的に検討した結果このまま計画を推進していくことは適切ではないと判断した。県が示した<自然環境と再生可能エネルギーとの共生構想>も踏まえ、引き続き青森県内での風力発電の推進を通じて再生可能エネルギーの普及や拡大をめざす。(熊森:まだやるの?)

 

熊森から

今や多くの再生可能エネルギーは自然エネルギーを得るのが目的ではなく、利権と不正を生む巨大ビジネスです。

八甲田の森が守られたことにより、クマをはじめとする多くの生き物たちが生き残れることになりました。

これによって人間の生活も守られます。

八甲田の2名のガイドが風発から八甲田の森を守ろうと全人生をかけて立ち上がった反対運動が大きく広がり、本日の朗報となりました。

ガイドの方に、おめでとう!八甲田を守ったねと電話すると、風発を止めることができたとまだ信じられなくてと、電話口で泣いておられました。

八甲田の森を開発から守ってくださった全ての方に、熊森はお礼申し上げます。

宮下知事の力も大きかったです。

八甲田に引き続き、森林破壊型再エネを国民の力で止めていきましょう。(本当は、林野庁などの省庁や地元行政が止めてほしい)

10月4日岩手県八幡平市で親子グマが牛の飼料小屋に こちらは捕獲後、今年10回目の放獣

4日午後4時ごろ、岩手県八幡平市の牛舎敷地内の小屋で餌をあさっていたクマの親子を目撃した男性が、車に乗ってクマを追い詰めたところ、3頭が小屋の上までよじ登ってしまったということです。この親子グマは、猟友会が設置したドラム缶檻で捕獲した後、山に放したそうです。

八幡平市の担当者に電話すると、今年10回目のクマ放獣で、マスコミには一切知らせず、そっと山に逃がしてきたということです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八幡平市の小屋の上に逃げ込んだ親子グマ

 

熊森から

八幡平市のクマ対応にホッとしました。

秋田県と岩手県、この違いは何なのでしょうか。

岩手県には、輪廻転生を信じる宮沢賢治の全生物の生命尊厳思想がまだ残されているということなのでしょうか。

 

~捕殺に頼らない共存の道を~

 

今や日本の多くの地域では、クマが山から出て来ると即、罠をかけ、親子グマでも子グマで皆殺処分してしまうようになってしまいました。祖先が見たら、現代人の無慈悲さにショックを受けると思います。

こうしてこの20年間ほど、毎年大量のクマを捕殺し続けてきましたが、クマの出没も人身事故も一向に減らないどころか、増えています。クマを殺し尽くさないと、クマ問題は解決しないのでしょうか。

いえいえ、そんなことをしたら、私たち人間は保水力豊かな水源の森を失ってしまいます。

どうしたらいいのか。

 

①奥山にクマの棲める食料豊かな自然の森を至急、復元・再生させること。

(来年から一人年間1000円で徴収される森林環境譲与税を使ってください。)
祖先がしていたように、人間は原則として奥山に入らないようにすること。

②クマが山から出てこないよう、緩衝帯や防護柵を設置し、棲み分け対策を実践すること。

③どうしてもクマを捕獲しなければならない事態が生じたら、捕獲後、奥山に放獣する体制を構築すること。
(八幡平市で実施しているのですから、他の町でもその気になればでできるはずです)

 

私たち令和に生きる人間がめざさなければならないのは、豊かな森を残し、全ての生命と共存する持続可能な社会です。

 

今は人間だけど、来世は他の動物かもしれないという輪廻の思想が、今の日本人には再び必要です。

 

他生物にも優しい文明が一番優れている。(完)

くまもり新潟県支部長が小屋に逃げ込んだ秋田県美郷町親子グマの放獣を求め現地に急行  その3

美郷町は、親子グマの箱罠を積んだトラックを山の上で待機させていました。

結局、美郷町は北秋田市のクマ飼育施設「くまくま園」にクマたちを引き取ってほしいと依頼しなかったそうです。

午前10時40分、銃で3頭を殺処分。死体は解剖せずに山に埋めたそうです。胃内容は調べていないとのことです。

美郷町役場の担当者から、何とか助けてやれないのかという声は出たそうです。しかし、一度人里に出たクマは、再び里に下りて住民の安全を脅かす恐れが強いと県が言い、秋田県は、有害捕獲したクマは生かしたまま山に返すことはしないと決めていたので、山に返せなかったそうです。

美郷町の担当者のひとりは、「私はクマのことをあまり知りません。生きたクマを今回初めて見ました」と語っておられました。

今年美郷町で39頭目のクマの有害駆除でした。去年の有害駆除は2頭だったそうです。
今年、秋田県ではブナが大凶作ということで、リンゴなどの果樹園やイネに、クマによる被害が出ているそうです。

いくらなんでも殺し過ぎではないかと担当者に尋ねると、秋田県が出しているクマ生息推定数は4400頭(2020年度発表)で、今年は上限枠の36.6%(1500頭)まで殺していいことになっており、現在の捕殺数は850頭ということでした。

 

熊森から

 

結局みんな、クマについて無知すぎて、殺す必要などないことがわからないのです。

水はクマたちが造る森から 生息推定数の計算結果がどこまで真実に近いのかは、誰にもわかりませんが、それにしても、生息推定数の3分の1までなら殺していいという秋田県のクマ捕殺上限枠は異常です。山にクマたちがいて初めて、私たち人間も滋養豊かな森からの水が得られていることをご存じないのでしょうか。

 

人間側に責任はないのか 山からクマのような大きな動物が出て来て農作物をあさられると困るのはわかります。しかし、人工林率が50%で多くが放置され、人里との境もわからなくなっている秋田の山に、人間の責任はないのでしょうか。クマに人里に出て来るなというのなら、人間もクマの生息地に入るべきではありません。人間の方はどんどん奥山に入って道路を造ったり、開発したりしています。

 

県の権限の方が上 秋田県では有害鳥獣駆除許可権限は市町村に降ろされていると言われていましたので、美郷町と交渉すればいいと思いましたが、やはり県の権限の方が上でした。町ではなく、初めから県と交渉すべきだったと反省しています。

 

実は、あまりにも待ち時間が長かったので、不安になった本部は、11:03に秋田県庁の佐竹知事に、親子グマを山に放してほしいと電話をしました。佐竹知事は生き物たちにとてもやさしい方で、以前お会いした時、経営破綻した八幡平熊牧場に残された29頭のクマたちの救命運動を行った熊森協会を高く評価してくださっていたからです。

電話に出られたのはお付きの方で、知事に伝えますということでした。後でわかったけれど、親子グマはこの時、もう殺されていたのです。

 

失礼というもの それにしても、親子グマを助けたい一心で遠方から駆けつけ、必死の思いで待っている熊森新潟県支部長になんの連絡もせずに、殺したと事後報告のみ。行政がこんな礼を失したことをするとは、熊森は想像もしていませんでした。どうしても山に放せないのなら、持ち帰るとまで熊森は申し出ていたのに。

 

<熊森新潟県支部長の報告文>

時々担当課に電話を入れ、進捗状況を問い合わせたが、その度に、担当者が現場に居るのでもう少し待ってくれと言われる。
待ちきれずに担当課の前まで行って待っていた。

正午頃、ようやく担当者が戻り、別室で説明を受けた。
3頭とも駆除したとして、1枚の紙きれを渡された。
「秋田県ではこれまで放獣の経験が無い。今回、県の方針に従った」
この担当者は最初の説明では、決めるのは県でも猟友会でも無い。
あくまでも町が決めると言われていたので、その言葉を信じていたのだが、、、、、
放獣は全て熊森がさせてもらうとまで言っておいたのに、、、、
最悪の場合は、この親子グマを引き取ると言って手配まで始めていたのに、、、

 

クマを駆除することで出没が減らないのは過去のデーターを見ても明らかです。
毎年無用の殺生を続けることで、多額の町予算も失われていきます。
熊森は野生動物を殺すことなく、少ない費用で野生動物と共存しながら住民の不安を無くす活動を年間100日以上展開しており、現場で取り組んでいるクマ対策専門家たちがいる。

秋田県は、そのノウハウを知り、使うべきではないのか?

それだけを言って車に戻りました。

(こんなことを言っても、もうあの親子は帰って来ない)
一人になると失望感と、無力感で、涙が止まりませんでした。(完)

 

くまもり新潟県支部長が小屋に逃げ込んだ秋田県美郷町親子グマの放獣を求め現地に急行  その2

新潟県支部長は、午前0時、車で秋田県美郷町に向けて出発。早朝駆除される前に現地に到着していなければなりません。この日の夜、高速道路が使用不可となっており、あせったとのことです。

途中で、山形県のSさんと合流し美郷町に急ぎました。

 

本部と連絡を取り合いながら、夜通し車を走らせ、到着したのは午前5時。

 

驚いたことに、すでに大勢の人たちが集まっており、一つ目の箱罠に母グマ。二つ目の箱罠に2頭の子グマが捕獲されていました。この後、クマの入った二つの箱罠はトラックの荷台に積み込まれました。

 

 

 

 

 

 

 

 

箱罠に捕獲された母グマ荷台に積み込まれる

 

新潟県支部長は、さっそく美郷町行政担当者と交渉開始。秋田県会員も駆けつけてくれました。

 

熊森:朝帰りが遅れて山に帰りそびれてしまっただけの親子グマなので、山に放してやってほしい。放獣作業は無償で熊森が全てできます。どうしても殺処分するというのなら、熊森が飼うので譲ってほしい。クマは殺しておけばいいというこの国の今の間違った流れを断ち切らなければ、生物の多様性や水源の豊かな森を守れなくなる。

 

行政:北秋田市にあるくまくま園に飼ってもらうという案もある。これからどうするか県も来てくれているので県とも検討するので待機していてください。

 

待っている間、トラックの荷台から、母を呼ぶ子グマの悲痛な叫び声が響き渡り、辛かったということです。くまくま園に一縷の望みを託しました。

 

母を呼ぶ子グマの悲痛な叫び声

 

 

それにしても、ものすごいマスコミ陣です。

クマを山へ返してやろうと思ったら、マスコミにはご遠慮願うべきなのです。

クマを山に放すにしても、人がたくさんいれば、クマは興奮し、放せなくなります。

必要最低限の人にしか知らせず、騒ぎにしないというのが鉄則だと、他県の行政の方に教えていもらいました。

この頃になると、熊森がこの親子グマの命を救うために現地に駆けつけていることが一部の会員たちに伝わり、激励や大喜びの声が湧き始めました。

 

 

 

 

マスコミ陣

 

支部長は、長い間待たされました。

何度もどうなったか尋ね、待ちきれずに担当課の前まで行って待っていたところ、部屋に通され、3頭とも殺処分し終えたとの報告を受けました。

殺すのなら熊森が飼うと申し出たのに・・・・

なぜ????!!!!

 

1枚の紙が渡されました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

熊森から

なぜなんだ!

絶句。

 

くまもり新潟県支部長が、小屋に逃げ込んだ秋田県美郷町親子グマの放獣を求め現地に急行 その1

食べることに夢中で、朝、山に帰りそびれたクマがいたようです。2023年10月4日16:42NHK news webを見た埼玉県支部長から、以下の情報が支部長ラインに届きました。(以下要旨)

 

 

本日午前7:30頃、歩いているところを人間に見つかった親子グマが美郷町役場東300mにある畳を作る作業小屋に①入り込んだ

近くには認定こども園があるため、②子供に危険が及ぶとして認定こども園は休園に。猟友会が③花火などで脅して追い出し、この④親子グマを駆除しようとしたが、日没まで待ってもクマたちは小屋から出てこず、発砲できなかった。(熊森注:秋田県は初めから駆除しか考えていないことがわかる)

そのため、警察は5日朝まで⑤作業小屋の戸を閉めてこの親子グマを閉じ込め、出口に箱罠をしかけた。明日、猟友会が駆除する方針。

町長の発言:⑥夜間にクマが出歩かないように作業場のシャッターを閉め、住民の命を守ることにした。

 

熊森から

 

①クマへの誤解を招く用語 ×入り込んだ。×たてこもった。×居座った クマは凶悪犯人ではありません。 正確にいうと、〇逃げ込んだ、です。

 

②過剰な危険意識が殺処分を正当化する ツキノワグマによる人身事故は、人間にやられると感じたクマが、恐怖のあまり人間から逃げようとして起こすもの。小さな園児にクマが恐怖を感じて排除しに行ったりするでしょうか?熊森はこれまでツキノワグマが起こした人身事故例をずいぶんと調べてきましたが、そのような事例を知りません。

 

③クマに恐怖を与えるのは一番の禁じ手 逃げ場を失っているクマに恐怖を与えると、クマはパニックになり人身事故を起こす恐れが生じます。花火や轟音玉でクマを脅したり、警察、行政、猟友会、マスコミなど大勢の人間が取り囲んだり、パトカーが住民に注意を促すために大音響で周りを回ったり、美郷町は、絶対にしてはいけないクマ対応をしています。

 

●人間がクマに恐怖を与えないことが人身事故を防ぐ鉄則●

クマが人身事故を起こさないようにすることが最も大切で、そのためには恐怖で震えているクマを刺激しないことです。追いかけるのは厳禁。クマの見張り人は離れたところに二人ぐらいで十分。建物に逃げ込んだクマが安心するように、やさしくそっとしておくのが人身事故を防ぐための鉄則です。

 

秋田県にはクマの専門家がいないのでしょうか。

 

④クマの立場に立って考える 出て行けば撃たれるだけなのに、クマが出て行けるわけがありません。

 

⑤⑥優しい方法が一番優れている 夜、戸口を開けておくと、元来た道をクマはそっと帰って行きます。周囲の人は外に出ないようにし、離れたところに暗視スコープを付けた人が二人ぐらいでクマを監視しておくだけで良いのです。万一に備えて夜は出歩かない、クマに出会っても自らそっと離れるなどの地元広報は必要です。

 

どんな生き物もみんな命は一つしか持ち合わせていません。大切な命、殺さなくてもよいクマまでは殺さないというのは、人間の倫理観の第一歩です。

 

2頭のかわいい子グマを抱えて作業所に逃げ込んだものの、水も食料もなく、大勢の怖い人間たちに包囲され、思案に暮れて恐怖におののいている母グマを思いやり、美郷町の親子グマを山に逃がしてやってほしいという声が熊森本部に入り始めます。

 

残念ながら、まだ秋田県には熊森の支部がありません。

 

兵庫県本部からは遠すぎて間に合いません。

 

そんな中、新しく結成されたばかりの新潟県支部長が、この親子熊の命を救うために現地に駆けつけると決意されました。これでこそ熊森支部長です。

 

熊森本部は、この親子グマがどういう経路をたどってここに来たか推測してみました。ツキノワグマは人間が怖いので、人目を避けて夜に水路や川を伝って移動することが多いのです。
彼らは人間以上に地理感覚が鋭く、やってきた道をしっかりと覚えていて、すばやく元来た道を帰ることができます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大枠はわかってきました。美郷行きの準備が慌ただしく進みます。室谷会長や本部クマ担当職員が、すばやくいろいろなところに手配し始めました。こういう時、本部、支部が連絡を取り合って進めますから、関係者は徹夜体制に入ります。我が国の地のクマ研究第一人者に指導され、27年間に蓄積された長年のクマに対する知識と経験、そして熊森という組織があって初めてできることです。

(つづく)

 

 

 

福島市がノーモア メガソーラー宣言 地元の強いノーで再エネ事業は止められる

8月31日、福島市木幡浩市長は、市内には吾妻連峰を中心にすでに26か所のメガソーラーがあり、景観の悪化や保水機能を低下させて災害を引き起こしかねないとして、山地への大規模太陽光発電施設(メガソーラー)をこれ以上望まないとする「ノーモア メガソーラー宣言」を行いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

河北新報より

 

 

 

 

 

 

 

 

 

福島市木幡浩市長

 

きっかけのひとつとなったのが、福島市先達山。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先達山メガソーラー建設現場
林地開発許可を降ろした福島県は、水源のことや山に棲むしかない生き物たちのことを思いやった
のか

 

先達山では、約60ヘクタールのメガソーラーを造成する計画で2021年11月から業者が工事に着手し、広範囲にわたって森林を伐採しました。

メガソーラー開発前の段階では、この地区でも「反対運動」が行なわれてはいましたが、この事業は県主導で推し進めていた背景もあり、地元はしぶしぶ受け入れるしかなかったということです。

 

 

住民の問題意識

・景観台無し

・クマなどの動物が毎日のように出て来るようになった。

・ 晴れた日には、山全体に土ぼこりが舞う。

・土砂崩れ

 

熊森から

森林伐採を伴うメガソーラーの問題点はまだまだ他にもあり、多岐にわたっています。

・ソーラーパネルが火事→水をかけると感電。消火不可能。

・パネルにヒ素・カドミウム・鉛・セレンなどの毒物例。

・パネルが草で覆われないよう除草剤→水源汚染。

・20年後、廃棄物→処理法なし。等々。

 

業者は、事業に反対すれば、財産権の侵害だと主張し、裁判提起をほのめかしたりします。

地元や行政は怖くなって泣き寝入りしてしまいますが、財産権があっても、水源保全や災害防止など公益を守るために必要があれば、法律や条例で制限することができます。

住民や首長がノーと言って、条例をつくるなど対応をして、再エネ事業を止めた例は全国にいくつもあります。

 

萩生田前経産大臣も、空気中の二酸化炭素の量を減らそうと二酸化炭素の吸収源である森林を伐採するなど、本末転倒。小学生でもわかることだと国会で答弁されています。

 

利権だけで暴走している現在の日本の多くの再エネ事業について、マスコミはもっともっと国民の立場に立って本当のことを報道すべきです。

 

福島市の先達山はどうしてこのようなことになってしまったのか。

 

この件について、河北新報は現地を訪れ、テレビやネットニュースが踏み込めない所まで調べて、こうなった原因をくわしく記事にしています。これでこそ国民啓蒙新聞。新聞購読の値打ちあり。
いつものことながら、河北新報再エネ記事に拍手です。

以下、2023.8.26の河北新報記事 クリックで拡大されます。

静岡市葵区の大規模地滑り報道に欠けている大事な視点2つ

2023年8月23日、静岡市葵区の北部で大規模な地滑りが発生。

以下、マスコミ報道。

 

地滑りの起点部分は幅約170メートルにわたって稜線から崩れ、土砂は市道まで約1・5キロ区間にわたって流出した。林道の一部も崩落した。

静岡市が19世帯に避難を呼びかけた。

難波市長は24日朝 現地を視察した上で、「深層崩壊が起きた。先週の台風7号にともなう雨が主な要因とみられる」と説明しました。

これまでに人的被害も物的被害も確認されていません。

 

大規模な地滑りが発生した現場=23日午後5時半ごろ、静岡市葵区諸子沢(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から)

大規模な地滑りが発生した現場=23日午後5時半ごろ、静岡市葵区諸子沢(静岡新聞社ヘリ)

 

熊森から

この報道には大事なことが二つ抜けています。

 

その1

崩れた山の写真をようく見てください。

単なる山が崩れたのではなく、放置されたスギの人工林が崩れているのです。放置人工林が崩れましたと報道すべきです。
今回、この山が放置人工林だったから崩れたのか、自然林でも崩れていたのかどうかは、人間にはわかりません。
しかし、圧倒的に、放置人工林が大雨で崩れやすいことは、これまでの各地の山崩れで、現象的に明らかです。
報道によって、国民が、放置人工林が大崩壊したという新たな視点を得るようにすべきです。

それによって、放置人工林を間伐しようとか、自然林に戻そうとかいう発想が国民の中から出てくるからです。

しかし、どの報道を見ても、スギのスの字も人工林のジの字も出てきません。
報道者が知らないのか、戦後の林野庁の拡大造林政策の失敗に触れないように忖度しているのか、どちらでしょうか。

 

その2

これまでに人的被害も物的被害も確認されていませんという表現は、すでに人間至上主義に陥っています。
放置人工林内ですから、生き物たちがあまりいなかったかもしれませんが、わかった範囲でいいので、イノシシが2頭巻き込まれて死んでいましたとか、川魚が土砂に埋まって死んでいましたとか、他の生き物の被害にも言及してほしいです。人間だけではなく他生物のことも思いやれる文明だけが自然を守ることに成功し、持続可能な文明となるのです。

 

報道関係の皆様、以上よろしくお願いします。

ヒグマが津軽海峡を渡る可能性は?

2023.9.6、FFNプライムオンラインでおもしろいニュースを見つけました。

 

熊森協会顧問の北海道野生動物研究所所長門﨑允昭先生もコメントを寄せておられます。

以下に、ニュースの要約を紹介させていただきます。

 

ヒグマ 本州進出の可能性は?

日本の動物界で最強の身体能力を持つヒグマ。 果たして海を渡ることは可能なのだろうか。

 

 

 

 

 

泳ぎながら威嚇するヒグマ

2020年、風蓮湖で、体長2メートルほどのヒグマが泳ぐ姿が捉えられた。 クマはうなり声をあげながら漁船に接近。 威嚇する様子が撮影された。 そのスピード感のある泳ぎから、驚異的な身体能力がうかがえる。

利尻島に2度上陸したヒグマ

2018年6月、北海道北部の利尻島に突然クマが現れ、島は大騒ぎとなった。

クマの生態に詳しい北海道野生動物研究所所長の門﨑允昭さん:利尻島と北海道間の最短距離は19キロ。 利尻島に現れたクマは、交尾のためメスを探して海を渡ったとみられる。 メスがいなかったせいか、クマはまた泳いで島から去っていった。

 

ヒグマは津軽海峡を泳ぎ切ることができるのか?

津軽海峡は北海道の汐首岬から青森県の大間崎まで最短で約21km。 北海道の白神岬から青森県の龍飛崎だと約20km。

ヒグマの生態に詳しい北海道大学大学院獣医学研究院 野生動物学教室の坪田敏男教授:距離だけで考えると津軽海峡を渡って本州に行けるかもしれないが、潮の流れや風の向きなども関係し、そう簡単ではない。

ヒグマが津軽海峡を渡って本州にたどり着いたという話は聞いたことがない。

海面が低かった時代にヒグマは一度本州に渡来していて、本州でヒグマの化石も見つかっているが、本州にいたヒグマはすべて絶滅した。

 

ツキノワグマとの交配の可能性は?

ヒグマとツキノワグマは種レベルで違うので繁殖の可能性は極めて低く、これまで交配できたという報告はない。

門﨑允昭さん:たとえ複数のヒグマが渡り切り繁殖できたとしても、もはや本州は気候が暖かすぎるためヒグマには合わない。 本州にヒグマが突如現れる…? 今のところ杞憂に終わりそうだ。

(北海道文化放送)

 

熊森から

泳いでいるクマの動画を見ると、その驚異的な身体能力にほれぼれします。感動です。

以前、この地域を訪れた時、地元の方に「ここのヒグマは何を食べていますか」と聞いたら、「貝だよ」と言われ、びっくりしました。

未来永劫に、クマも、クマが生きられる自然も、日本に残したいですね。

今を生きる私たちの使命です。

「サイレント国土買収」脱炭素の美名のもと、国土が失われている 再エネ礼賛の罠 平野秀樹 著

平野秀樹現姫路大学特任教授は、九州大学を卒業後、林野庁官僚となり、外国人による目的不明の山林買収に気づかれます。

その後、この問題について調べ始め、危機感でいっぱいになっていかれました。

第一稿は、2010年に出版された共著「奪われるに日本の森」です。

この本は、日本の森を守ろうとしていた日本熊森協会にとって衝撃でした。

クマたちが棲む水源の豊かな森が外国に買われてしまったら、大変なことになる!

国会議員が法規制に動かなければならない問題です。

 

あれから13年、事態は悪化の一途です。

この間に平野氏は3冊の本を出され、今回、5冊目となる「サイレント国土買収」を出版されました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

角川新書 960円

 

細かいデータを集め、このような本を次々と出版されるのは、命を削る大変な作業だと思います。

しかし、いくらがんばってみても、国も国民もボーッとしているだけで、ほとんど動かない。

平野氏によれば、弓折れ、矢尽きの状態が続いているということです。

 

そこにさらに輪をかけて、脱炭素の美名の元、外資などによる山林買収や山林借地契約が一気に広がっていきます。

メガソーラーや風力発電などの再エネ開発は大自然破壊を伴います。

こんなことを認めていたら、どんな大変なことになっていくのか。

国会議員も日本国民もほとんど危機感がなく、外国人に高値で買ってもらってもうかった良かったと思っているように感じます。

しかし、気づいてからではもう遅いのです。

 

国土が外国人に買収されるとどのようなことになるのか、日本人はしっかりと勉強しなければなりません。

今、このような本をじっくりと読む力のある国民が日本人の何%ぐらいいるのか心配です。

熊森会員のみなさんには、ぜひ読んでいただきたい。

全生物がこの国で生き残れるように、

次世代がこの国で生き残れるように。

 

日本の山、川、海。

もし、自然との共生文明を持たない外国人に買われてしまったら、言葉も通じないし、自然と共に暮らしてきた祖先への思い入れもないし、ますます日本の自然が守れなくなっていくと思います。

みなさんはどう思われますか。

時代は大きく変化、リニア見直し必須

リニア新幹線沿線住民ネットワークが2023年8月に発行した「ストップ・リニア!訴訟ニュース」によると、2016年5月に提訴した「ストップ・リニア!訴訟」は、7年間にわたる25回の口頭弁論を経て、7月18日東京地裁で、結審となりました。

当日は、傍聴席満席の中、市原義孝裁判官ら3名の裁判官により、「原告の請求を全て棄却する」、「訴訟費用は原告負担」の判決が下されたということです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すなわち、JR東海による環境影響評価や「全国新幹線鉄道整備法」に基づいてなされた2014年の太田昭宏国交大臣の計画認可に法違反はないという判決です。

 

川村晃生慶応義塾大学名誉教授を団長とする訴訟団は、東京高裁への控訴を決められたそうです。

 

 

熊森から

 

学校では、日本国憲法は、国会、内閣、裁判所の三つの独立した機関が相互に抑制し合い、バランスを保つことにより、権力の濫用を防ぎ、国民の権利と自由を保障する「三権分立」の原則を定めていると教わります。

 

しかし、残念ながら、我が国では、裁判所というのは事業者のしていることが国会で成立した法律に違反していないかどうかをチェックするだけの政府の機関になってしまっています。

 

一般国民と違って、裁判を通してリニアの大量のデメリットを知る立場にあったはずの裁判官なのに、国策に逆らっての判断はできなかったのでしょう。

 

本の紹介1

 

2023年7月に、リニアに関する新しい本が発刊されました。川村晃生編の「リニアはなぜ失敗したか」です。

この本は、10名の執筆者がその専門の立場から、リニアは失敗だったと結論付けておられます。

たとえリニアがいつか開通することがあっても、かけがえのない豊かな水源の森だった南アルプスに穴を開けてしまったり、国土の地下に延々と巨大な穴を開けて100年しか持たないコンクリートで固めてしまったりしたことを考えると、失敗事業であることに変わりはないそうです。(100年後の日本の国土に対する責任は、だれが取るのでしょうか)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

川村晃生編「リニアはなぜ失敗したか」1000円

 

リニア中央新幹線は1973年に基本計画線に決定されたものですが、あれから50年。

2011年の福島原発事故以降は、東海道新幹線の3倍の電気をくうと言われるリニアを動かすために、原発をいくつか作ればいいと言える時代ではなくなりました。

しかも、今後、少子化の傾向が続くと予測されることや、コロナでリモートワークが大きく伸びたことなど考えると、リニアが出来ても乗る人がどれぐらいいるのか。ペイできるのか。国から借りた3兆円のお金は返せるのかということです。

JR東海の破綻を避けるためにも、これまでの計画に固執している場合ではなく、JR東海は見直しが必須でしょう。

 

本の紹介2

 

2023年4月に信濃毎日新聞社編集局がまとめ出版した「土の声を」~リニアは誰を幸せにするのか~(岩波書店)を読みました。

「土の声」というのは、現地の人々の声ということで、これはリニア反対本ではなく、とにかく、現地の人々の声を取材してみようという姿勢でまとめられた本です。長野県大鹿村での取材が中心になっています。すでに工事が始まった地域で何が起きているかの現在進行形的検証も大切です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2023年4月に信濃毎日新聞社編集 2400円

 

熊森協会は2015年5月、職員研修旅行で「日本一美しい村」大鹿村を訪れ、地元の何人かの皆さんと親しくなりました。当時お会いした方々は、いろいろとリニアの勉強を深くされていて、南アルプスに穴をあけるなど絶対にしてはならぬと大鹿村を守る強い意志を固めておられました。

 

翌2016年、政府がリニア建設に3兆円規模の財政投融資(財投)を打ち出したことで、民間事業だったリニアが一転して、“国策事業”のようになり、用地交渉がまとまらない場合、国や自治体が予定地を強制的に取得して使用する土地収用法の適用対象になってしまいました。

土地の強制収容は召集令状と一緒だと地元の方も言っておられましたが、その通りで、こうなると相手は業者ではなく国ですから、住民はもう、いくら反対しても国には勝てません。こうなってくると、もう物が言いにくくなってしまいます。本には、あの時お会いした懐かしい方々のお名前が次々と出て来ます。彼らの苦悩を思うと胸が痛みます。

SDGsの理念である「誰一人取り残さない」の言葉が、むなしく頭をよぎりました。

現実は、多くの方々の泣き寝入りの上に成り立っているリニア事業なのです。

 

今、リニアの用地収用業務を行っているのは県庁や市の職員である公務員です。移転したくない住民に立ち退きを迫る辛い仕事ですから、誰も行きたがらない部署だそうです。当然でしょう。

 

この本によると、リニアの大工事を始めてみて、水涸れが各地で起きるなど、デメリットがいろいろ見えてきたようです。

また、ほとんどが大深度地下の工事現場から出る残土は膨大な量です。残土を盛っておく場所などありません。

盛り土を行うと、たとえ木々が生え表面的には山林に戻ったように見える場所でも崩れやすくなります。西宮市の百合台や最近では熱海の土石流がいい例です。

 

リニア建設を進めてきた方々が、このまま突っ走ってやってしまいたい気持ちはわかりますが、無視できない新しい大デメリットが次々と見えてきた今、やはり、リニアは立ち止まるべきでしょう。

 

信濃毎日新聞社の現場に密着した住民の声の連載報道を讃えるとともに、他のマスコミの皆さんにも、現実問題から目をそらさないリニア報道を願います。

 

最後に、熊森協会として、信濃毎日新聞社リニア取材陣への要望があります。

人間以外にも、リニア工事で苦しむ者たちがいます。

それは、生息地を破壊されてねぐら、水、食料を失う、クマをはじめとする野生鳥獣たちです。

彼らの悲鳴や苦しみが抜けています。彼らの視点からのリニア工事のデメリットにも触れていただきたいです。

 

ー人間至上主義は人類を滅ぼすー

 

人間は、人間だけでは生きていけない。全生物と共存しなければ、人間は滅びる。これが自然界の仕組みなのです。

(完) 文責:森山まり子

 

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