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2023年 兵庫県豊岡市で行政・地元・熊森の3者が協力し、クマの人身事故ゼロ、捕殺ゼロ達成

これまで熊森協会は設立以来27年間、「動物たちに帰れる森を、地元の人たちに安心を」のスローガンの元、放置人工林を伐採するなどして、食べ物が豊富な奥山広葉樹林の再生活動に取り組んできました。

何度お願いしても全く動こうとしてくださらない行政に、まずお手本を示そうと思ったわけです。民間のすることですから、面積的にはしれていますが、でも、各地でかなりの面積で実施してきました。

 

早く国が保水力豊かな奥山広葉樹林再生に乗り出さないと、我が国は水源を失ってしまう。米作りができなくなる。現地を調査し続けている私たちは危機感でいっぱいです。

 

森が再生するには気が遠くなるほどの年月がかかります。

 

その間、本部は、兵庫県のクマ生息地で、集落にクマがやってこないよう、地元の皆さんと共にクマのひそみ場になりそうな場所の草刈りをしたり、クマが柿の木にやってきた時は実を採ってクマのいる山に運んだり、都市市民を中心としたボランティアのみなさんにも手伝っていただきながら、被害防止活動を展開してきました。

 

 

 

 

 

 

熊森職員+都市ボランティア+地元

 

リンゴ園にクマが入らないよう、網を張ったりクマを花火で脅したりして追い払ったり、何日間も寝ずの番をしたこともあります。

 

また、クマによる人身事故が発生したらすぐ現地へ行き、おケガをされた方を見舞い、聞き取りをして、原因を特定し、再発防止対策をお伝えしたり、実施させていただいたりもしてきました。兵庫県のみならず他県にまでこのような活動を広げたことで、実にいろいろなことを学ぶことができました。

 

 

 

 

 

 

人身事故現場の草刈り

 

行政と熊森が協力

2020年秋、豊岡市の鳥獣被害担当の職員から、数年ぶりに電話がありました。クマが集落内の柿の木に来ており、人身事故が起きそうな危険な場所がある。力を貸してもらえないか?ということでした。各所から熊森が現場でクマの被害対策に力を入れているという声を聞いていたそうです。

 

現地へ行ってみると、たくさんの方々が利用する山裾の駐車スペースの上に柿の木が反り出ており、夜間、その木の上にクマが柿を食べに来るとのことです。

「この状況、熊森さんならどうしますか?」

この時の熊森は、もうかなり力が付いていました。柿の木は約20本です。

市の担当者、地主、熊森の3者で話し合い、熊森は実を回収したり、クマが登りにくいように柿の木を剪定したり、幹にトタンを巻いたりしました。見事、クマは現れなくなりました。みなさんは、熊森のクマ被害防止対策を高く評価してくださり、今後、クマを捕獲する前に、熊森に被害対策の依頼をしていただけることになりました。本当にうれしかったです。

 

そして、いよいよ去年、2023年9月、私たちは豊岡市役所へ招かれ、市内の振興局と県の担当者、市本庁の担当者あわせて13名の行政担当者と、クマ対策会議を持ちました。

約1時間の会議で、民間団体の熊森協会と市、自治会とどのようにクマ被害対策の段取りを取っていくか話し合いました。

 

熊森本部ではボランティアと本部スタッフからなる、12名の「くまもりフィールドチーム」を作り、各種安全講習を受け、練習もしました。

 

9月は数件だったご依頼ですが、10月~12月にかけてクマが里に出て来ることが多くなり、東北ほどではありませんが、豊岡市でもほぼ毎日、人身事故やクマ捕獲の危険性がありました。

 

去年の豊岡市は、コナラのドングリなどそれなりになっており、山の実りはそれほど悪くありませんでしたが、なぜかクマたちが柿にたくさん来ていました。どのクマもがりがりに痩せているわけではなく、太っているクマもいて、食べる柿・食べない柿をクマ自身が選んで食していました。柿の木によって、味は少しずつ違います。クマたちはこの微妙な味の違いがわかるのでしょう。

 

みごと、人身事故ゼロ!捕殺ゼロ!を達成

結果、豊岡市と熊森で、12地区の89か所で被害対策を行い、人身事故0、有害捕獲0を達成しました。もちろん、地域住民や行政機関の協力があってできたことです。9月下旬~12月上旬まで55日出動したことになります。必要経費は熊森会員の皆さんの会費を使わせていただきました。

 

 

 

 

 

 

 

クマが来ないようにと熊森が大きな柿の木を伐採。地元のみなさんに喜んでもらえました。

 

最後に

根本的なクマ対策は、戦後の拡大造林や大規模林道建設などで人間が破壊してきた奥山広葉樹林の再生、及び、人間が一歩下がることによる、棲み分け復活です。(開かずの森、入らずの森の復活)

 

残念ながら、いまだに国はこの方向に動こうとしません。

 

また、近年は急激な地球温暖化によるナラ枯れや昆虫の消滅など、会設立当時には予想もしなかった奥山の劣化が猛スピードで進んでいます。人間活動による地球環境破壊によって、クマたちは本来の生息地で生きられなくなっています。本来の生息地では大変穏やかな動物ですが、餌を求めて人間のいるところに出てきた時点で、恐怖や緊張感でいっぱいになっていますから、人間から逃げようと人身事故を起こしてしまうんだろうと思われます。

 

クマによる人身事故をなくすこと、被害を軽減すること、できるだけクマを殺さずに棲み分け共存を復活させることが大切です。

クマ問題を解決するためには、環境省はクマを指定管理鳥獣に指定して捕殺強化に交付金を出すのではなく、クマに対応できるだけの専門知識のある行政職員を市町村に配置するためにこそ交付金を出すべきです。

 

林野庁の方の中には、「戦後の森林政策は失敗だった、山を大荒廃させてしまった。私たちはもうどうしたらいいのかわからない」と個人的に言われる方もいます。熊森は林野庁を責める気はありません。良かれと思ってやったことが失敗したのだから仕方がない。しかし、きちんと失敗を認めて、早く山を元に戻していただきたいです。

 

今を生きる私たちが、大型野生動物たちが造る豊かな水源の森を、全生物に、子や孫に残すべきだと思います。

そのためには、国を動かすことのできる欧米並みの大自然保護団体が、今、日本に必要です。

活動できなくてもいいので、ご入会いただきたいです。

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