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10月12・13日 四国のクマ保全に貢献するため、本部+高知県支部長+愛媛県会員が現地調査

四国に生息するツキノワグマは残り十数頭、絶滅は時間の問題とされてから、長い年月がたちます。

その後、生息調査が精力的に進められてはいるものの、一向に生息数回復のきざしがみえません。

四国山地が頂上付近まで人工林で埋められたままになっているからだろうと思われます。

クマたちが棲める広葉樹林の森の再生・拡大が急がれます。

 

11月5日にくまもり愛媛県支部が立ち上がることもあって、今回、会長以下本部3名と高知県支部長、愛媛県会員2名の計6名で、四国のクマの保全に関係する中心人物たちを訪れてつながり、高知県のクマ生息地である剣山地の奥山調査にも入ることにしました。

剣山地は、標高1500m~1900m級の山々が連なり、最高峰は剣山1955mです。

クマの生息地は、標高1000m以上のブナ・ミズナラ林にあります。

 

下の地図は、今回の調査コースです。

広域地図 クリックすると拡大

詳細地図 1日目のコース京柱峠 2日目のコース西熊渓谷 クリックすると拡大

 

【10月12日】

熊森本部は、兵庫県西宮市から3時間30分車を走らせ続け、高知県大豊町で四国のくまもり会員の皆さんと落ち合いました。

その後みんなで、京柱峠から3km南の稜線上にあるブナ林(標高約1400m、大豊町内)をめざして進みました。

四国に初めて行ってみて驚いたのは、高い山の上まで集落が点在していることです。

あんな高い標高地でどうやって生活するのだろうかと思いましたが、昔は尾根筋が街道で、多くの人々が行き来していたということです。

標高800m以上まで集落が点在する剣山地(高知県大豊町)クリックすると拡大

 

人工林が標高1200mくらいまで広がっていました。

放置されたスギ人工林。標高約1200m

 

林道の終点で車を置いて、徒歩で進みます。ここから先は背丈を超えるススキが原が延々と続いていました。

ススキが原。標高約1250m地点

 

標高1300mを少し超えたところで、やっと広葉樹林が現れました。しかし、よく見てみると、ここの広葉樹林はほとんどがカエデ類でした。クマたちの餌となる物は皆無です。

カエデ類の広葉樹林

 

もう少し上るとブナ林があるということでしたが、時間が足りなくなってここで下山しました。うーん、ここまでの山にはクマなど棲めないでしょう。

 

下山後、四国のツキノワグマの調査に長年取り組んでおられる認定NPO法人「四国自然史科学研究センター」を表敬訪問し、センター長の谷地森秀二農学博士や主任研究員の山田孝樹氏らと長時間心を開いて懇談しました。


四国自然史科学研究センターがある公民館

 

【10月13日】

この日は、四国のクマの存続のカギを握っている林野庁の出先である高知森林管理局(高知市)を訪れました。大事な局面なので、副会長も朝一の飛行機で高知空港まで飛んで来ました。総勢7名で、午前9時から担当者2名と面会。

クマが生き残っている高標高地域は国有林が多く、3割が人工林になっています。この人工林を自然林に少しでも戻すことができたら、クマの絶滅が少し遅まります。

熊森は高知森林管理局を今日初めて訪れたのですが、テーブルには厚さ2センチくらいの日本熊森協会ファイルがすでに置かれていてびっくりしました。

国有林で自然林に戻せそうな場所がないかと随分ねばってたずねてみましたが、「1か所もない」というつれない回答のみでした。

 

昼からは気を取り直して、高知県香美市にある西熊渓谷と白髪山(1769m)周辺の調査に入りました(地図参照)。あいにくの雨模様でしたが、山を登っていくと天候が少し回復してきました。

標高約900mの地点で、車を降りて森の中へ入ってみました。怖いほど急な斜面です。クマ注意の看板が2か所にありました。いくら四足でも、この急斜面は怖いだろうと思いました。

クマ注意の看板

 

クマの痕跡がないか慎重に探しながら歩きました。爪痕のようなものがありました(赤丸内)。樹に登った形跡はありませんでした。

クマの爪跡

 

この渓谷の先には、西熊山保護林という480haの広葉樹林帯があります。そこへ行けばクマの食糧が豊富にあるのかもしれませんが、今回はそこまで行くことはできず、再び、林道へ戻り、さらに車で上へ向かいました。

標高約1350mまで登ると、ササに覆われたミズナラの巨木が現れてきました。人為的に見える花園があり、養蜂箱がいくつか置かれていました。

ミズナラの巨木とササ

 

みんなでクマの生息痕跡を探しましたが、全く見つかりませんでした。いくらミズナラやササがあっても、人間が車でどんどん入ってくるところに、臆病者のクマは暮らせないのだろうと思いました。

人間に見つからないようにそっと生き残ってきたクマの最後の火が消えようとしている今、日本熊森協会に何ができるか、後で後悔しないようにできることに精一杯取り組んでいきたいです。

四国山地は頂上のわずかな部分を除いて、ほとんどがスギやヒノキの人工林に変えられてしまっています。

四国の植生

 

四国にクマが生き残ったのは、奇跡です。

この貴重な命を守るために、今後、四国4県のみなさんに、クマのすばらしさやクマを残すことの意義を伝えていきたいです。(完)

 

 

グッチ2018年春夏シーズンより毛皮の使用を廃止

  • 2017年 10月12日 14時15分
  • 提供元:AFPBB News

【AFP=時事】「グッチ(GUCCI)」のマルコ・ビッザーリ(Marco Bizzarri)CEOは11日英ロンドン(London)で、2018年以降同ブランドの製品においてファーの使用を廃止すると表した。これに伴い、現在ファーを使用したアイテムの在庫はオークションで売却する。

ビッザーリ氏がロンドン・カレッジ・オブ・ファッション(London College of Fashion)の講演中に語ったところによると、ファーの廃止は2018年春夏コレクションから適用される。この改革は「我々にとって、サステイナブルこそがビジネスの本質であると証明する」とビッザーリ氏はコメント。

また新しい取り組みは、2015年にクリエイティブ・ディレクターに就任したアレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)のおかげで実現したという見解を述べた。「新しいクリエイティブ・ディレクターには、我々と同じ信念を大切にしている人を探していた。初めてアレッサンドロに会った時に、それを感じた」 この改革の一部として、チャリティーオークションが開催され、同ブランドのファーアイテムの在庫が出品される。オークションの収益は動物愛護団体、国際人道協会(Humane Society International、HSI)とイタリア反生体解剖連盟(LAV)に寄付される。

国際人道協会のキティ・ブロック(Kitty Block)会長は、「グッチ」の取り組みは「温情のある決断」だと称賛した。「『グッチ』のファー廃止は大変革をもたらす。このイタリアの巨大ブランドが、残酷な行為であるとしてファーを使用しなくなることは、ファッション業界全体に波紋をもたらす」と声明でコメント。

「グッチ」は、40もの団体が所属する、動物保護とファッション業界にファーの代替手段を唱える国際団体、「ファー・フリー・アライアンス(Fur Free Alliance)」の一員となる。

現在同ブランドを所有する「ケリング(KERING)」は他にも、ファーを使用しないブランドとして「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」が挙げられる。

今回の「グッチ」の取り組みに先駆けて、2016年には「アルマーニ(Armani)」がファーの使用を廃止すると発表している。
【翻訳編集】AFPBB News

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熊森から
ヨーロッパで高まってきているアニマルライツ思想は、この地球上で動物たちも幸せに生きる権利があるという、かつての日本人がごく当たり前にもっていた感性に通じるものです。
この思想が、野生動物たちが生息できる豊かな自然を守り再生しようとする自然保護運動に発展するといいですね。

秋田県内クマ駆除、最多533頭 目撃数更新、冬場の猟解禁へ

以下、秋田魁新報より2017年10月15日

 

秋田県内で本年度、有害駆除や個体数調整などで捕殺されたツキノワグマの頭数が、9月末時点で過去最多の533頭に上ることが14日、県のまとめで分かった。県は今年4月時点のクマの生息数を1013頭と推定しており、その半数以上を捕殺したことになる。県自然保護課は「目撃件数が多く、実際の生息数は千頭をはるかに上回る可能性が高い」と分析。これまで県猟友会に自粛を要請してきた冬場のクマ猟を、今季は解禁する方向で検討している。

同課によると、533頭のうち509頭(95%)は住宅地や農地に出没したことに伴う有害駆除だった。駆除件数は特に8、9月に多く、2カ月で381頭に上った。捕殺数を県の地域振興局別でみると、北秋田が126頭で最も多く、仙北94頭、秋田90頭と続いた。

県内では昨年度も過去最多となる476頭を捕殺。これまでは捕殺件数の多かった年の翌年はクマの出没が減る傾向にあったが、警察に寄せられた今年の目撃件数は、今月11日現在で過去最多だった昨年の872件を上回る1169件に上り、これまで生息していないとされていた大潟村や男鹿市での出没も相次いだ。

 

熊森から

無茶苦茶ですね。

明日、秋田県に電話をします。

一体どうなっているのか!

 

クマ狩猟講習会で猟師にクマを狩猟しないようチラシ配り―岡山県美作市

岡山県でツキノワグマの狩猟が17年ぶりに再開されることになったのを受け、10月6日、岡山県美作市にて、ツキノワグマ狩猟講習会が開催されました。

 

熊森本部と岡山県支部はクマの狩猟を阻止すべく、「クマは爆発増加などしていません。クマを殺さないでください!」と講習会参加者に呼びかけました。

 

岡山県美作市にて

 

猟師の方々の反応はあまりありませんでしたが、中には「クマが人を襲わなかったら狩猟なんかしないし、別に殺したくて殺そうとしてるわけじゃない」とか「人よりクマのほうが大事なんか」と言う方もいました。そういう方々には、「共に森を復元して、クマが山に帰れるようにしてやりましょう」とチラシを配って声を掛けていきました。

 

チラシを配る岡山県支部会員と本部スタッフ

 

今回、熊森が声を上げたことで、少しでも多くの猟師の方々が無用の殺生となる山中の狩猟を思いとどまっていただければ幸いです。

あるハンターの方の「別に殺したくて殺そうとしてるわけじゃない」という言葉に表されているように、本当は誰もクマなんて殺したくないんだと思います。

熊森は、“殺さなくても人が安心して暮らせる方法(奥山の復元)”をこれからも真摯に伝え続けていきたいと思います。

 

岡山県のみなさん、クマ狩猟を止め、美しい奥山の森を復元していけるよう、これからも声を上げ続けましょう。

みなさんひとり一人の豊かな森を取り戻そうという声が、クマだけでなく、子どもたちの未来を守ることに繋がります。

 

 

 

10月5日 「とよ」元気、冬籠りに向けての食い込み進む

「とよ」はこの1週間に、クリやドングリなどを約70キロ平らげました。

フンの数は大きかたまりだけでも80個です。

殻だけになっていたクリとドングリ 周りには大量フン

 

いったんプールに入りかけましたが、クルミの袋を開けようとしたら、袋を破る音で察知したのか、もらおうとしてプールから飛び出してきました。

クルミには目がない「とよ」

 

クリを中心に、いろいろな餌を与えました。

アケビは、しばらくにおいをかいでいましたが、食べませんでした。

とにかくクリとドングリの上に座り込んで、休む間もなく、殻を外して中身だけを食べ続けていました。

ドングリとクリを夢中になって食べ続けている「とよ」

 

ちょっとお腹の辺りがふっくらしてきたように思います。

 

ドングリ不足を解消するために、近くの学校にドングリ集めをお願いに行きましたが、近くにクマが出ているのでドングリを集めるのは危険と断られました。

 

 

2017年 熊森本部による兵庫県クマ生息地の豊凶調査結果 ブナ並下、ミズナラ並、コナラ並上

ブナ、ミズナラ、コナラなどのクマ生息地のどんぐり(堅果類)には豊作、並作、凶作などと、年によって実りに差があります。

クマは8月の末から木に登り、まだ青いうちから堅果類の実を大量に食べて体に脂肪を貯え、冬籠りに備えます。

堅果類の実りが悪いと脂肪不足で冬籠りに入れませんから、食べ物を求めて人里への出没が増えてしまう傾向があります。

近年、2004年、2006年、2010年のいずれかが地域によっては山の実り全てゼロという異常なまでの大凶作となりました。原因不明です。

おびただしい数のクマが人里に出てきて駆除されました。

人里のドングリであるアラカシ等は良く実っておりましたから、それを食べに来たクマもいました。

 

熊森本部では毎年9月中旬に兵庫県のクマ生息地の豊凶調査を実施し、秋のクマの出没を事前に予測しています。

今年も9月11日から16日まで、1週間ほどかけて全21か所を回ってきました。

調査結果を数値化し、凶作、不作、並下、並上、豊作の5段階で評価しました。

 

ブナは13か所で調査しました。

一斉開花年(9割以上が実をびっしりと付ける)ほどではありませんが、場所によっては豊作の木もたくさんありました。

まったく実がついていない木もあり、県全体の平均としては並下でした。氷ノ山のブナのシイナ(殻だけで中身なし)率は53%でした。

一部地域的には、去年豊作だったところが今年はゼロなど、他地域と連動していない場所もありました。

鳥取県境のブナ

 

ミズナラは18か所で調査しました。多くの木で実りがみられましたが、並作程度の木が多かったです。

蘇武岳のミズナラ

 

今年はコナラを9か所で調べました。コナラは結構実りが良く、並上でした。

ブナ、ミズナラ、コナラの全てにおいて豊作の木も沢山みられたので、今年は全体的に実りが良いと感じました。

 

西日本では以前、どんぐりの凶作年の秋にクマの出没が多かったのですが、近年は夏の出没も多くなっています。夏のクマの餌は昆虫や液果です。奥山を調査してみると昆虫が激減しています。液果類の実りはどうでしょうか。ミズキ、クマノミズキ、ヤマブドウも数本ですが調査してみました。

氷ノ山のヤマブドウ

ミズキ・クマノミズキは並下でした。

ヤマブドウやサルナシは判断が難しいと思いました。実りゼロと思っても、人間が採ってしまったあとかもしれないからです。

ブナについたクマの古い爪痕

 

調査時にクマの古い爪痕を見つけましたが、今回は1週間歩いても、フンも含め、新しい痕跡がまったく見つけられませんでした。

もう奥山に、クマはあまりいないのかもしれません。

もしそうなら、大変なことになってきたと思います。

 

ちなみに、兵庫県森林動物研究センターの調査結果は以下です。ただし、こちらは、兵庫県全域調査の結果です。

ブナ並上、ミズナラ豊作、コナラ豊作

秋田県内の小学校にクマの絵本を贈ろう クラウドファンディング「FAN AKITA」のご紹介

2014年、経営破たんした旧八幡平クマ牧場に残されたクマたちを、旧阿仁熊牧場(現:北秋田市立くまくま園)に29頭全頭救命していただいたことがあります。

 

今年8月、そのクマたちが元気にしているか見に行った際、山で保護された「のりちゃん」という、3本足のツキノワグマ(メス)がいました。

私たちは一瞬、「くくりわなにかかったんだ」と、胸を痛めたのですが、話を聞いてみると、そのような傷ではなかったそうです。

原因はわかりませんが、大ケガをして母熊からはぐれた子グマだったそうです。

保護して「くまくま園」に連れて来られたものの、足を切断するしか命を助ける方法がなかったということで、獣医さんたちに手術をしてもらったということです。

「のりちゃん」は現在3本足になってしまいましたが、元気にみんなと暮らしていました。

 

この「のりちゃん」のことを、北秋田市の元地域おこし協力隊員 九島 千春さん(現在カンボジアにて活躍中)が文にして、秋田北鷹高校の生徒さんが絵をかいて、素敵な絵本

「月の輪ぐま 『のりちゃん』物語」

の原版ができたそうです。

この度、マタギの里観光開発株式会社の社長さんが、この絵本を製本して、秋田市内小学校に配って、「のりちゃん」が障害にも負けず元気に生きていることや、クマとはどんな動物なのか、秋田県の子供たちに伝えたいと、クラウドファンディング「FAN AKITA」に応募されました。

 

熊森も、この絵本を通してくまくま園を訪れる子供たちが増え、くまくま園の経営が安定して、全頭救命していただいたヒグマやツキノワグマが寿命までここで大切に飼育していただけることを願っています。クラウドファンディング「FAN AKITA」にご寄付いただける方は、よろしくお願いします。

【熊森本部・岡山県支部】岡山県クマ狩猟再開の中止を求め、知事あての意見書を県庁で提出

10月2日(月)午後、日本熊森協会本部と岡山県支部は、今年から岡山県が再開しようとしているツキノワグマの狩猟の中止を求める岡山県伊原木隆太知事あての意見書を、岡山県自然環境課課長へ提出しました。

 

これに先立って、昼頃、JR岡山駅に行きました。あいにく大雨で、用意していった「狩猟再開反対」の横断幕や拡声器は使えませんでしたが、岡山県支部長にも来ていただいて、市民のみなさんにクマ狩猟再開の何が問題なのかを知っていただくチラシを4名で配りました。

岡山クマ狩猟反対チラシはこちらをクリック

 

岡山県でクマ狩猟が再開されることが
県民にほとんど知られていない!

 

うれしいことにチラシを受け取ってくださる方は多く、順調に配布を終えました。話し込むことになった方もおられます。

ほとんどの方が、「岡山県でクマ狩猟が再開されるなんて知らなかった」と話されました。何も言わずにチラシを物珍しそうに受け取って、ずっと歩きながら読まれている方もおられました。関心を持っていただければと願いました。

 

 

この後、15:30、熊森室谷副会長と熊森岡山県平井支部長、本部クマ保全担当の水見ら3名・岡山県会員1名で岡山県庁自然環境課を訪れ、クマ狩猟再開中止を訴える意見書を提出し、1時間交渉しました。

意見書の内容はこちらをクリック

 

室谷副会長:「岡山県のクマ生息地の奥山は、人工林や開発で荒廃しており、クマが暮らせなくなっています。このような状態を放置して、奥山にひそむわずかなクマまでもを狩猟だと追いかけまわしたら、かえってクマが人里まで降りてきてしまう危険があり、地元の皆さんにとってもマイナスです。人とクマの問題を解決するためには、ハンターのための楽しみ目的の狩猟再開ではなく、被害防除、生息地の復元による棲み分け復活で解決する必要があります」

意見書を提出する室谷副会長(左)と意見書を受け取る岡山県自然環境課、米戸課長

岡山県の奥山にクマの生息できる環境がないことを訴える室谷副会長(左)とクマ保全担当水見(右)

 

岡山県「クマは狩猟獣なので狩猟解禁します」

 

意見書を提出した後、熊森から「岡山県はなぜクマの狩猟を再開しようと思ったのか」という質問を県の担当者に投げかけました。「生息推定数が業者計算で205頭に爆発増加しているとされた」「増えすぎたクマを減らす効果がある」などの理由を述べられたら、昨年度の兵庫県のクマ狩猟再開の結果を元に、反論しようと思っていました。

しかし、県の答えとしては、「クマは狩猟獣と環境省が決めているので、狩猟解禁します」という機械的な答えしか返ってきませんでした。岡山県が何のためにクマ狩猟を行おうとしているのか、全く見えてきませんでした。どうも今回の岡山県のクマ狩猟再開は、岡山県の担当者たちの積極的な判断ではなく、国と結びついた外からの大きな圧力の結果のように感じました。

 

地域の実態に合わせたクマの保護体制を考えるべき

 

日本のツキノワグマの生息地は様々です。東北地方の山々には、まだクマの食糧や潜み場が残っており、奥山にクマが生息できる環境が十分にある場所もあります。

(詳細は、http://kumamori.org/news/category/genchi/40237/ 

一方で、十数頭しか残っていないという四国山地のようにクマが絶滅寸前の地域もあります。

岡山県の場合、クマの生息地は高率の人工林で埋められたまま荒廃しており、残された自然林も年々劣化、山頂まで観光開発が進むなど、クマが山で生き残れるような場所はありません。生息地を失った野生動物はいずれ絶滅します。岡山県でも、ツキノワグマは絶滅危惧種に指定されております。日本ではクマが狩猟獣になっているからといって、岡山県で狩猟をしていいわけではありません。岡山県には、もっと地域の実態に合わせたクマとの共存体制を考えていただかなくてはなりません。集落周辺での農作物被害や精神被害は放置できませんが、まずは、奥山にえさ場を復元し、そちらに放獣していくしかありません。スギやヒノキの人工林も、一定量は自然林に戻していく必要があります。

 

これらの対策は、クマをはじめとする森の生き物たちのためだけではなく、水源の森を未来にわたって確保することでもあり、わたしたちの子供たちのためでもあるのです。

 

今回のクマ狩猟反対の意見書提出には、山陽新聞社とテレビ瀬戸内の記者さん2名が駆けつけてくださいました。ニュース放映とデジタル記事、ありがとうございました。

山陽新聞デジタルhttp://www.sanyonews.jp/article/606825/1/

岡山県庁の担当者のみなさんにも、お忙しい中対応していただきありがとうございました。

 

くまもり本部2017年10月度> 自然保護ボランティア募集(初参加、非会員も歓迎)

※拡散希望

熊森協会本部では、各分野のボランティアを募集しています。

会員・非会員に関わらず、多くの方々にご参加していただきたいです。

学生さんや若い方も、みなさん誘い合ってご参加ください。

ご参加いただける方は、活動日の3日前までに電話、FAX、メールにて熊森協会本部事務局までご連絡ください。

本部電話番号 0798-22-4190

本部FAX番号 0798-22-4196

メール contact@kumamori.org

 

2017年10月の活動予定

 

<いきものの森活動>

10月15日(日)(予定)トチの苗木の移植(兵庫県宍粟市千種町)

午前8:00に阪急夙川駅南口ロータリーに集合してください。

  • いきものの森活動は人工林の間伐や実のなる木の植樹、クマの潜み場の草刈りや柿もぎなど、兵庫県北部を中心に実施しているフィールド活動です。参加者のペースに合わせて活動を進めていきますので、誰でもご参加いただけます。

現地までは本部が用意した車にご乗車いただけます。

天候不順で中止になることがあります。

当日連絡先090-1073-0980(担当:家田)

 電気柵設置風景

<環境教育例会(於:本部事務所)>

10月5日(木)10:15~ 見学も歓迎。

  • 小学校や保育施設などで、森や動物の大切さを伝える環境教育を実施しています。環境教育例会では、授業に向けての練習や打ち合わせ、プログラムの作製を行います。絵本の読み聞かせや紙芝居にご興味のある方、子どもがお好きな方、ぜひご参加ください。

環境教育風景

<とよ君ファンクラブ(大阪府豊能町高代寺)>

10月5日、12日、19日、26日(毎週木曜日)

  • 大阪府豊能町で保護飼育しているツキノワグマのとよ君のお世話です。

現地までの交通手段は本部にご相談ください。

庇の上でご機嫌なとよ

<太郎と花子のファンクラブ(和歌山県生石町)>

10月22日(日)(毎月第4日曜)

参加費:1000円(交通費)

  • 和歌山県生石高原で保護飼育しているツキノワグマの太郎と花子のお世話です。

午前8:30に阪急夙川駅南口ロータリーに集合してください。

現地までは本部が用意した車にご乗車いただけます。

8月27日 くつろいでいる太郎

環境教育以外は兵庫県ボランティア保険(4/1~3/31の年間500円)への加入が必要です。

太郎と花子のファンクラブ以外は本部の車に乗車される場合、集合場所から現地までの交通費は不要です。

自車参加も可能です。

たくさんの方のご応募をお待ちしております。よろしくお願いします。

9月23日 岡山県のクマ狩猟再開を考える緊急集会 岡山のクマはもはや山にいないとの猟師発言

 今回の緊急集会を開催したことで、山陽新聞に森山会長の長文のインタビュー記事が掲載されました。

9月27日山陽新聞←クリックしていただけると読めます。

 

 

午後5時からの集会を企画していたので、会場設営のため岡山国際交流センター4階会場に4:30に入りました。

駅近くのいい会場でしたが、私たちとセンターの間に行き違いがありました。

センター職員から、「5時以前の入室は一切認めない。主催者は1階で5時まで待ってもらう」という厳しいお達しが出て、5時まで1階ロビーに足止めされました。

その結果、せっかく参加者の皆さんが来てくださっているのに準備が間に合わず、開始が遅れてご迷惑をおかけしてしまいました。
5:30開場とすべきでした。お詫び申し上げます。
何時から入室できるのか、会場を借りる場合はしっかり確認しなければならないと改めて反省した次第です。

 

5時に会場に行くと、新聞のお知らせ欄を見て初めて来られた方々や、熊森岡山県支部の方々が、すでに席についておられました。

講演中の森山会長

 

熊森岡山県平井支部長のあいさつの後、森山会長が以下の話をしました。

①日本熊森協会は、クマのため人のため全生物のために、奥山保全・再生に取り組んでいる民間の実践自然保護団体で、これまで奥山にクマたちの餌場を復元してきました。今年もクマたちが食べに来ていますが、今後は法整備して国を挙げてこのような事業を行うべきです。

熊森植樹地の2002年植樹のクリの木にできた熊棚 2017.9.16撮影(豊岡市の奥山)

 

②クマと共存すべき理由は、クマたち野生動物が存在するのが自然だからです。彼らによって豊かな水源の森・災害に強い森が造られます。

③クマとはどんな動物か、ご紹介します。

④ある民間株式会社がベイズ推定という統計学を用いて計算したところ、岡山県のクマが爆発増加しており、生息推定数の中央値:205頭(90%信頼区間:102~359頭)と発表しました。

この数字に基づいて、今回の岡山県のクマ狩猟が再開されることになりました。

しかし、現在クマの生息数を推定する方法は確立されておらず、どこまで本当の数字なのかわかりません。

過大推定すぎると反論している統計学者もいます。

兵庫で昨年度、同じ理由からクマ狩猟が再開されることになった時、餌場もすみかも奪われたクマを遊びで撃って楽しむのは、生態系保全上からも、人道上からも、倫理上からもおかしいとして、兵庫県知事やマスコミに会って中止を訴えたり、狩猟再開に反対する署名運動を起こしたりしました。

⑤今回のクマ狩猟再開問題は、岡山県の問題というより、環境省のスポーツハンティング奨励政策にあります。人間が戦後大破壊した森の復元など一切せず、「すごいアウトドア」というキャッチコピーで、野生動物を殺すことを遊びやスポーツとして若者に勧めており、環境省は今年もキャンペーンを全国展開しています。正気とは思えません。

2017年度用、広島県作成チラシ

 

この環境省の政策に反論している猟師もいます。

狩猟歴30年の猟師からの反論「ひどいアウトドア」→銃を持つということは、自分だけではなく周りの人達にも大変危険なことだ。まるで遊び感覚で獣が持てるかのような環境省のチラシの書き方は、許せない。気軽に誰でも狩猟者になれると思わせるこのようなPRは危険すぎる。狩猟とは、野生動物の大切な命を頂くということである。それがどうして「魅力」になりうるのか。理解に苦しむ。このようなキャンペーンはやめていただきたい。

 

次に、本部クマ保全担当の水見研究員が、多くの資料を提示しながら、以下の話をしました。

①岡山県のクマ生息地を調査したところ、過大な人工林、開発、自然林の劣化で山が大きく荒廃しており、クマの痕跡が見つかりませんでした。

②岡山県のクマ狩猟再開の問題点は、山に潜んでいるわずかなクマを殺してみたところで、里の被害は減らないため無用の殺生になること、岡山県の山やクマの実態を無視して、深い森が残りクマもたくさん生息している他県に合わせた全国一律の環境省のクマ狩猟規定に機械的に数字合わせをしているだけのため、岡山では無謀すぎる狩猟となることなどです。

 

熊森本部の調査ルートを、自然状況がわかりやすいように4月のグーグルアースに合わせた図

 

この後、岡山県会員の司会で、会場からの意見交換会となりました。

新聞を見て参加してくださった猟師さんが、「(熊森は)このような緊急集会を開催してクマ狩猟再開を心配しているが、兵庫と同様、岡山にはクマを狩猟する猟師などいない上、岡山のクマは山に餌がないのでほとんどが中国自動車道近くにまで下りてしまっており、山中で狩猟を再開しても、狩猟数ゼロで終わるのではないか」などと、現場を知り得た者にしかわからない情報を、いろいろと出してくださいました。ご参加いただき本当にありがたかったです。

 

また、他の参加者からも、質問や意見がいくつも出ました。まだまとめていませんが、近いうちにまとめようと思います。

 

(反省点)

狩猟、有害捕殺、錯誤捕獲、放獣など、熊森本部スタッフにとっては当たり前の用語を多用して説明しましたが、会場からの質疑を聞いていて、一般の参加者にはその違いが判っていなかったことに気づきました。

次回からは、用語の説明をしてから話さなければならないと反省しました。

今後どうしていけばいいのか、行動計画まで立てたかったのですが、この問題についての初集会では、なかなかそこまではいけませんでした。

 

ご参加くださったみなさん、ありがとうございました。終了時間も伸びてしまい、いろいろと不手際がありました。お詫び申し上げます。

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