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温暖化 の検索結果: 112

再エネで、本当に二酸化炭素の排出量は減るのか

自然エネルギー(再エネ)が排出する二酸化炭素の量は、本当に火力発電よりも少ないのでしょうか。

科学的根拠に基づいて計算し、検証した本に、出会いました。

衝撃でした。

以下に、この本を簡単に紹介します。

 

近藤邦明著「電力化亡国論」2012年発行

全工程に於ける二酸化炭素の発生量を合計すると

太陽光・風力発電 > 火力発電!

計算式が多くて、読むのに一苦労しましたが、目を見張る内容だと思いました。

著者は、科学的根拠に基づく何冊ものエネルギー専門書を出されるかたわら、河合塾で講演されるなどして、エネルギー問題の真実を明らかにされてこられました。計算過程や専門的な内容についてお知りになりたい方は、近藤氏の著書、フェイスブック、ブログなどをご参照になさってください。(高校レベルの数学が必要)

 

 

この本には、様々な観点から、原発や再エネ発電の問題点が明らかにされています。今回は、その中から、同量の電気を得るために必要な化石燃料(石炭、石油、天然ガス)の使用量について、再エネ発電と火力発電を比較計算した部分に関してのみ、計算式省略にて紹介させていただきます。

 

再エネ発電は、発電装置製造時はもちろん、発電稼働中にも日々大量の化石燃料を消費し続けなければなりません。なぜなら、太陽光パネルは夜間や天候が悪い日には発電できないし、風力発電は風が弱過ぎても強過ぎても発電できません。その上、再エネ発電は発電できている時でも常時予測不可能な変動発電量となるため、この電気を人々が使える常時一定量の電気にするためには、蓄電装置や緩衝装置が必要です。他にも、バックアップ電源として常時、化石燃料を無駄に燃やし続けておかなければならないのです。

 

(太陽光発電による日中の発電量)wクリックでグラフは鮮明に。

九州電力資料より

 

(風力発電による1日の発電量)wクリックでグラフは鮮明に。

九州電力資料より

 

再エネ発電は、延々と続く太陽光パネルや林立する風車だけではなく、国土を覆い尽くす高規格の送電網とそれを支える巨大な鉄塔建設などが不可欠となり、巨大な工業製品を次々と造って国中に設置していく必要が生じます。(日本の美しい山々は、蜘蛛の巣のように張り巡らされた高圧電線や鉄塔などの工業製品で埋まり、殺伐とした景色になってしまうでしょう。熊森泣)

 

しかも、これらの発電装置は雨・風・日光・落雷などの厳しい自然環境にさらされるため、劣化が激しく、耐用年数は10年~20年程度。蓄電装置は非常に高価な上、10年程度で廃棄物と化します。

 

トータルで計算すると、再エネ発電は火力発電よりずっと多くの化石燃料を消費することになるということです。その結果、当然、火力発電よりずっと多くの二酸化炭素を発生させることになります。再エネは、限りある貴重な化石燃料の浪費以外の何物でもないことになります。ならば、まだ火力発電の方がましです。(最近は、技術革新により、限りなく公害を出さない火力発電所ができているということです。もちろん、湯水のように電気を使う生活を改めることが一番であることは言うまでもありません。次世代にも資源を残してやろうと考えるやさしい大人でありたいですね。熊森)

 

結論

 

 

 

 

熊森から

近藤氏は、「日本では福島第一原発事故という大災害を経て、国民は脱原発を求めるようになりました。環境保護系の市民運動家たちは脱炭素、脱原発を求め、その代わりのエネルギーとして、科学的な評価を行わないまま『再生可能エネルギーならば環境にやさしいはずだ』という思い込みのみで、導入促進に向かって活動しているのが現状です。」と、言われています。

 

今の日本国の最大の腐りは、政府が決めた国策に沿った説だけが学会やマスコミによって表にどんどん出され、科学的事実に基づいた見解や論文であっても、国策に反するものは日の目を見れないような仕打ちを受けるようになっているという不公平さです。

 

熊森も人ごとではありません。28年間の活動を振り返ると、拡大造林政策や野生動物の個体数調整捕殺などの国策に異論を唱えたために、日の目を見れない仕打ちをずっと受けています。本当にひどいです。

 

科学的見解は、通常、多様であり、科学的な議論と検証を通じて、科学的知見や技術が確立されていくものです。もちろん、人間は神様ではないので、それでも間違うこともあるし、できないこともあります。それでも、様々な立場から批判的に検討するというのが、科学の発展の大前提です。。

 

事実に基づいた誠実な対論が存在する場合は、必ず並列して紹介する社会にすべきです。(昭和の時代の新聞は、まだ、対論もよく提示していたのになあ)どちらの考えが正しいのか、対論・異論を提示して、国民みんなに自分の頭で考えてもらうようにすべきです。

 

この本からは、近藤氏の誠実さや知的レベルの高さが伝わってきて、感動しました。専門家の皆さんにはぜひ、近藤氏の計算結果を検討してみていただきたです。

 

わが国は、1974年から「サンシャイン計画」と称して、多額の予算を組み、太陽熱や水素エネルギーが使えないかと研究を重ねてきました。結果、科学技術の特性や経済性から、これらのエネルギーは使えないとして、2000年に研究の幕を閉じた歴史があります。技術として、本当に使えるのか。十分な検証や技術的な課題が克服できていないものをやみくもに進めると、再エネ推進もエネルギー自給も頓挫してしまうと思います。

 

近藤氏は、他にもご著書として、何冊もの本を執筆されています。

「温暖化は憂うべきことだろうか」(不知火書房)
「誰も答えない!太陽光発電の大疑問」(不知火書房)
「東電・福島第一原発事故備忘録」(不知火書房)など。

 

近藤氏の了承を得て2021年4月のレポートを読めるように、以下に添付させていただきました。

「工業化社会システムの脱炭素化は不可能」(7ページ)

 

 

新たに続々と再エネ事業計画が出て来ている

自然エネルギー(=再生可能エネルギー。以下、略して、再エネ。ただし、エネルギーは使えばなくなるので、再生することなどあり得ません)と、美しい名で呼ばれている太陽光発電や風力発電。これらは、現在、国内外の投資家の投資対象となっており、巨大事業化されています。

 

これらの発電には、火力発電や原子力発電と違って気が遠くなるような広大な敷地と巨大な発電装置が必要です。

 

狭い日本にそのような広大な土地はありませんから、わが国では今、何をしているかというと、各地で二酸化炭素の吸収源である奥山水源の森を延々と伐採し、災害の元になる切土や盛土を施して太陽光発電や風力発電の事業を推進しています。

 

こんなことになったのは、まず、一番に2012年の「再エネ特措法」による固定価格買取制度の導入、次に、菅(すが)総理大臣が2020年10月26日の所信表明演説で、突然、日本は2050年までにカーボンニュートラルをめざすと宣言したからです。(2030年には、温室効果ガスを2013年度から46%削減することをめざすとも表明)
岸田首相も、この方針を継承して再エネ推進一辺倒です。

 

ああ、国土が壊れていく。

 

首相が宣言すると、官僚を初め国中の公務員は皆、その目標に向かって総力を挙げて突き進まねばならないようです。(最近わが国では、国会審議を経ずに突然、首相から出される方針が多すぎます)今や、国を挙げて、再エネ推進まっしぐら。新しい法律がその方向に向けて次々と作られていきます。マスコミ報道も研究者の研究も一斉にそれを後押しします。事業者は儲けたいので、大喜びしていると思います。(「再エネ特措法」により、私たちの電気代に上乗せして国民から強制的に徴収している再エネ賦課金によって、再エネ事業は確実に暴利を得られる仕組みになっています。再エネ賦課金は2011年3月11日午前、民主党政権時代の菅(かん)内閣によって閣議決定されたものです)

 

再エネ推進のために全生物の命を支えてきた水源の森を壊していいのか。
再エネ推進のために森を壊してクマなど森の動物たちが里に出て来てもいいのか。
再エネ推進のために、多くの鳥がバードストライクで死んでもいいのか。
再エネ推進のために、山が崩れて地元の人命や財産が失われてもいいのか。
再エネ推進のために、川や海に泥水が流れ込んで川や海が死んでもいいのか。

 

余りにも愚かではないでしょうか。
全生物や次世代に無責任すぎませんか。

 

次の総選挙で熊森は、日本国を守るため再エネを争点として、全候補者にアンケートをとり、結果一覧を示そうと思っています。同時に、立候補者に再エネ賦課金を見直すべきと訴えようと考えています。儲け第一で再エネを進めるのは、国民のためにならない。これは、全国の事例を見れば明らかです。

熊森は水源の森を守る自然保護団体として、2021年から、森林伐採や山の形を変えるような再エネ事業はしてはならないと、全国再エネ問題連絡会を結成し、共同代表も事務局も引き受けて、自然破壊型再エネ事業を止めようと声を上げ、動きに動いてきました。

 

経産省、環境省、国土交通省、林野庁、総務省・・・各省庁を訪れ、必死に訴えてきましたが、官僚のみなさんは国策を推進せざるを得ないようで、規制はほとんど進みません。

 

最近、ネットでは、自然破壊型再エネ事業に反対する声が少しずつ出てくるようになりました。しかし、まだまだ多くの国民は、再エネは原発よりいいだろうとか、地球温暖化を止めるためには仕方がないのではないとか、地元にお金が落ちるのはありがたいとかで、自然破壊型再エネ事業の取り返しのつかないデメリットに気づいていません。反対する声は以前よりも大きくなってきましたが、まだまだ小さすぎます。

 

今年になってからも、秋田県や岩手県をはじめ各地で祖先が残してきた豊かな森や海を破壊する新たな巨大再エネ事業計画が続々と出て来ており、熊森は水源の森を守る自然保護団体として、もう危機感でいっぱいです。豊かな自然が破壊されることや住民の皆さんの生活環境が破壊されることに危機感を持った方が集まって、声を上げ事実を伝えていくしか、止める道はないのです。熊森は、全国再エネ問題の事務局として、地域の皆さんを全力で応援しています。どのようにして事業を止めたらいいのか困っておられる方は、ご連絡ください。

 

元佐賀市長木下敏之氏のユ-チューブ動画がすごくいいです。

ぜひ見てください。

阿蘇山のメガソーラーについて(左文字を、クリックすると見れます)

ヨーロッパなどでは、再生可能エネルギー万能論はもうない 青山議員再エネ賦課金廃止を訴え

第213回参議院経済産業委員会(令和6年5月16日)で、・低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律案及び・二酸化炭素の貯留事業に関する法律案の両案が一括して審議されました。


以下は、熊森の文責で、自由民主党の青山繁晴議員の質疑応答の要旨をまとめたものです。
(質疑応答の全文をお読みになりたい方は、上の青山繁晴議員の質疑応答をクリックしてお読みください。)

 

 

 

 

 

 

<以下、概略要旨>

青山議員

水素法の審議を通じて、いまだに再生可能エネルギー万能説のような主張も聞きます。(水素法が)またぞろ太陽光パネルを増設する理由にされるのではと危惧しております。知床でも長崎県の五島列島(宇久島)でも、太陽光パネルを敷き詰めて環境を破壊するのはもうやめてほしいという地元からの訴えがあります。
大規模太陽光発電や巨大風力発電(陸上・洋上)は、森林や海の自然破壊であるというのは、もう自明の理です。しかも廃棄物の処理方法がない。(再エネをさらに拡大することがないように)再エネを拡大して水素を作ることを一定限度内にとどめるべきじゃないでしょうか。
齋藤経産大臣答弁
※Sプラス3Eを大前提に、特定の方法のみに依存することなく水素等の安定供給を実現していくことが大事ではないかと考えています。

※くまもり注:S+3EとはA安全性(Safety)を大前提とし、自給率(Energy Security)、経済効率性(Economic Efficiency)、環境適合(Environment)を同時達成するという意味です。
熊森から政府への注文:国民に分かる日本語で政治をやってほしいです。

 

青山議員
再生可能エネルギー万能論は、もうとっくにヨーロッパでも中東でもなくなっています。再エネ賦課金は、もう廃止すべきじゃないかと思います。
齋藤経産大臣答弁
政府としては、再エネ特措法がございますので、この法律に基づいて、2030年度の電源構成比に占める再エネ電気の割合を36%~38%にするという目標がありますので、この実現に向けて再エネ賦課金は私は必要なのではないかと思っています。
青山議員
(当時は)福島原子力災害後だったので、太陽の光や普通に吹いている風で発電できるならいいねとなったのですが、やってみると低周波障害などいろいろデメリットが明らかになってきた今、当初の再エネ賦課金のロジックはもう崩れていると思います。
実は、日本が風力発電を強化する前に、デンマーク環境省当局者3人と議論した時、いずれも、風力発電は日本には合ってないよ、まず陸でやってきっと失敗するだろう、で、海に出ていくだろうが、日本は遠浅の海が少ないので、これもまた余計な負担を強いられることになると懸念も示されたわけです。残念ながら、長い月日を経て、今現実になっているわけです。
齋藤経産大臣答弁
2030年度目標を実現しなくてはいけないというその前提があります。この目標を下げていいんであれば、これはもう楽になるんですけど、そうもいかないということであります。
青山議員
これ、政権党の現職議員が今の国策を変更をしたいという意思表明しているわけです。もちろん自由民主党全体の意見にはまだなっていませんけれども。ちょうど今、エネルギー基本計画の新しいものの策定にも入ったところですし、当然私はその主張もしていきたいと思います。水素を作るときに再エネに過度に依存しないために(日本海の海底に豊富に存在する)自前の海洋資源であるメタンハイドレートからの水素製造にも注目していただきたいと思います。
齋藤経産大臣答弁
私は、メタンハイドレートも含めた自前資源による水素の製造の可能性というものはしっかりと追求をしていかなくてはいけないと考えています。
青山議員
次に、CCS法案について質問します。CCSというのは、 カーボン・キャプチャー・アンド・ストレージ、つまり二酸化炭素をつかまえて、土の中に埋める、貯蔵するという新しい国策事業、要は地層処分です。 太陽光パネル、風車の巨大なブレードも、恐らくは結局は(廃棄時)地層処分、土に埋めましょうということになると思います。地震の引き金になったりしないか、太陽光パネルの中の毒物が地下水に混じったらどうなるのかという懸念もあります。地層処分は海外もやっているというのは全然あてになりません。大体、再生可能エネルギーは万全だと言っていたのはヨーロッパ諸国でしたから。現段階では、CCS技術は国民の不安を払拭するに至っていないと思います。
熊森から

再エネによる国土自然破壊・海洋破壊にはすさまじいものがあります。国が推進しているからか、批判的な報道がない上、一般国民の見えない場所で実施されているため、まだ、国民の多くは再エネの恐ろしい実態に気づいていないと思います。私たちも最初、再エネは素晴らしいものなのかと思っていました。各地の事業現場を見に行って、この国を潰す気かと絶句しました。


次の選挙では、大規模にわが国の自然を破壊し続けている再エネという名の地球破壊事業を止められる人たちを選ばないと、もうこの国に、人類に、未来はないと思います。

近藤邦明氏は、そもそも今わが国で行われている「再エネ」は環境に配慮したものなんかではなく、

製造過程も考慮するといっそう空気中のCO2濃度を増しているだけで、自然エネルギー発電システムは、火力発電システム以上に化石燃料を浪費する

と言われています。

また、杉山大志氏は、我が国がたとえ2050年にCO2排出量をゼロにしたところで、

地球の平均気温は0.006℃しか低下せず、(地球温暖化抑制になんら)意味がない

と言われています。

 

再エネ事業は電気の安定供給や地球環境のために進められているのではなく、

経済界や国内外の投資家たちが莫大な利益を得るためにだけ進められている経済活動事業

であるという真実を、マスコミは国民に伝えるべきです。
齋藤健経産大臣は、大学を出てからずっと資源エネルギー政策に関与してこられたそうです。一方、青山議員がエネルギーに専門家としてかかわって四半世紀。この二人の質疑応答がどうなるのか、今回、非常に興味がありました。
青山議員は非常によく現実を見ておられます。
齋藤大臣も、再エネの問題点についてはさすがにわかっておられるのでしょうが、大臣は内閣の一員で国策を推進する立場にあるので、わかっていても、政府の意に反したことは言えないんだろうなと、答弁を聞いていて感じました。
ただ、大臣は、自然エネルギー100%をめざすのではなく、エネルギーはベストミックスであるべきと考えておられることがわかり、少しだけ、ホッとしました。
しかし、閣議の中では、専門知識を生かして、信念に基づく発言をし、総理をはじめ閣僚たちの認識を変えていっていただきたいです。すべては日本国と日本国民のために。
一度動き出してしまった国策を方向転換させることは大変でしょうが、取り返しのつかない再エネのデメリットが現在明らかになってきた今、熊森は、青山議員が言われるように、電気代に上乗せされて私たち国民から強制徴収している再エネ賦課金を、早急にやめるしかないと思います。気づいた時に方向転換する。その勇気が政治家に求められます。再エネ賦課金が廃止されると再エネ事業は成り立たなくなり消滅します。カギを握っているのは再エネ利権のない私たち一般国民なのです。
間違った国策の方向転換には、有権者たちの大声が必要です。絶望的な再エネ自然破壊に気づかれたみなさん、声上げをがんばりましょう!全生物のために、次世代のために、山川海田畑を守りたい人は、ぜひ日本熊森協会の再エネ森林破壊から大型野生動物たちが棲む水源の森を守る活動にご参加ください。(完)

4月21日、クマ保全未曽有の危機の中、第27回くまもり全国大会盛大に開催③

4月21日の13時から16時まで、3時間にわたって展開された恒例のくまもり全国大会のもようを最後までご紹介します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

会場入り口

 

6、顧問

新顧問紹介
ビデオレター 山梨大学名誉教授 鈴木猛康 氏 (防災学)
特定非営利活動法人防災推進機構理事長

熊森とは、行き過ぎた再エネを止めるということで出会いました。工学部ですが、森林保全のための重要な知識である地質学も学んでいますので、熊森と一緒に山に入って熊森活動にも貢献できるのではないかと思っています。

 

 

 

 

 

 

 

顧問紹介
ビデオレター 務台俊介衆議院議員

衆議院環境委員会委員長を仰せつかっています。クマがまるで危ない野獣のように扱われておりますが、実は生物多様性の頂点に立つ大切な存在です。熊森をしっかり応援していきたいと思います。今、地域の生物多様性増進のための法律が、衆議院を通っております。

 

 

 

 

 

 

 

ビデオレター 片山大介参議院議員

クマが指定管理鳥獣に指定されてしまいましたが、安易な指定や捕殺には反対していきたいと思います。皆さんの頑張りで、再エネによる森林伐採も止まるところがいくつか出てきました。今後もクマの棲む水源の森の大切さを共に訴えていきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

会場

和田有一朗衆議院議員

私は、実は熊森を立ち上げたメンバーの一人でございます。クマが指定管理鳥獣になって、今までにない新たなピンチだと思います。体を張ってこの1年闘ってこられた皆さんに、心から敬意を表します。

 

 

 

 

 

 

嘉田由紀子参議院議員

以前、滋賀県知事をしていた時、トチノキ巨木の伐採問題に直面しました。研究者として知事として、トチノキの1本も守れなくてどうすると、自分を鼓舞して頑張りました。その節は、熊森にもずいぶんと助けていただきました。ここ尼崎市の蛇口の向こうにある滋賀県の水源の森長浜市で、5月18日19日「全国トチノキ学ネットワーク」第1回大会を開催します。

 

 

 

 

 

 

 

7、来賓代表挨拶

中野洋昌衆議院議員

多くのクマが急に里に出て来た中で、温暖化が原因なのかどうか、どうしていけばいいのか、大きな課題です。再エネによる乱開発の問題では、クマの棲む一番豊かな森を守っていくというのが皆さんの活動であり、今日来させていただきましたので、私もしっかりお役に立てるように頑張ります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

8、法人紹介 略

9、支部長紹介 略

10、祝電披露

 

 

11、支部活動報告

北海道 鈴木ひかる 支部長

クマを指定管理里鳥獣にして捕殺を強化しようと呼びかけたのは北海道鈴木知事ですが、私は北海道のもののけ姫になって、北海道の自然と野生鳥獣を守ろうと思います。

 

 

 

 

 

 

 

札幌でシンポジウム開催

 

スペシャルゲスト 我満嘉明 札幌地区長 85才

札幌市森林組合理事の我満氏は、北海道のエジソンと呼びたいぐらい、これまで様々なものを発明してこられました。戦後の森林政策は間違っていた、今後は広葉樹林を再生すべきであると断言される力強い同志です。今回は、ヒグマとの遭遇に、電池式クマ杖を開発してご持参くださいました。いざという時には、杖の先から4万ボルトの高圧電流が発射されます。これを製品化して、収益は熊森に寄付したいと言われています。

 

 

 

 

 

 

 

 

クマ杖

 

秋田県 井阪 智 支部長
大仙市で東北大学名誉教授である清和研二先生の「人とクマが棲み分けるための森づくり」講演会を開催。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

青森県 井垣 真由美 支部長代理

八甲田の次は奥入瀬渓流を守る。森林破壊型風力発電事業から水源の森を守るスタンディングを開始。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

山口県 松田 利恵 支部長

支部長として、各地でお話し会「今、日本の森で起こっていること」を開催し、山口県と広島県に多くのくまもり会員を誕生させている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

松田支部長講演会チラシ

 

 

12、森林保全活動報告 坂部幸太

13、環境教育活動報告 工藤真那

14、保護グマ動画

会計報告

15、日本奥山学会 脇井真理子

17、終わりの言葉 赤松正雄顧問

ここまでの司会は、くまもり国際部長 米田真理子が担当しました。

 

<休憩時間>

19、懇親会

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紅茶を飲みながら楽しそうに歓談する皆さん


20、熊森応援隊   応援隊長 石原じゅん

 

熊森応援隊のラインは現在150名が参加。

今日の会にも何名かがお手伝いに来ています。

 

 

 

22、記念撮影

 

熊森から

 

今年の全国大会も、多くのボランティアの皆さんが支えてくださいました。

ボランティアの皆さん、参加してくださったみなさん、本当にありがとうございました。

参加して良かった、来年も来たいの声がしきりでした。

 

日本国の生き残りをかけて、水源の森と森を造る野生動物たちを守るために、完全民間団体である熊森は今後も奥山保全・再生に果敢に声を上げ行動し続けます。

 

来年またお会いしましょう。

第28回くまもり全国大会は2025年4月19日(土)兵庫県尼崎市で開催します。

全国支部長研修会は4月19日夜と20日午前となります。

皆さん今からご予定ください。

 

4月21日、クマ保全未曽有の危機の中、第27回くまもり全国大会盛大に開催②

クマ保全未曽有の危機、だからこそ集まろう!

 

1、去年お亡くなりになられた会員の追悼

2、開会宣言

3、オープニング
コマーシャルソングの女王と呼ばれた熊森会員でもあるミネハハさんが、「いのちの森」「ありがとう地球」の2曲を熱唱してくださいました。会場が感動で包まれました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

熱唱中のミネハハさん

 

4、特別報告動画は、「クマ大量捕殺の嵐に立ち向かう」(東北編)です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昨年、東北地方で起きた山の実りなしという過去に例のない異常事態発生によって、大量のクマが生きるために餌を求めて決死の覚悟で山から出て来ました。地元は対応の仕方がわからず、人身事故発生数が過去最高に。

そんな中、クマが増えている、クマが生息域を拡大している、クマは人を襲う凶暴な動物であるなど、事実に反した誤情報のみがマスコミに氾濫し、北海道や東北地方で、クマ大量捕殺の嵐となりました。
今年の特別報告は、この嵐を何とか鎮めようと奮闘した熊森のクマ保護活動報告です。

この中に、秋田県美郷町の親子グマの救命に駆け付けたが命を救えなかった、新潟県村上市在住の佐藤支部長のコメントが出てきます。ぜひ全国民に聞いていただきたいです。

 

 

佐藤支部長コメント(約1分)

 

 

 

5、「去年は、本当に苦しい苦しい1年でした」から始まる室谷悠子会長の圧巻の基調報告です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

室谷悠子会長

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

会長の基調報告に聞き入る参加者たち

 

要旨

マスコミは全く伝えませんが、わずかに残された奥山の自然の森で何とか生き延びてきたクマたちが、地球温暖化などによりいっそう森が荒廃し、生きられなくなって山から出てきたということは、クマ生存の危機と共に、水源の森がいっそう荒廃してきたという、私たち人間社会の危機でもあるのです。

ウクライナやパレスチナでもそうですが、危機的な状況においては、弱い立場のものが翻弄されます。森のエサ不足においてエサにありつけず出て来ざるを得なくなったのも親子のクマや子グマたちでした。親子グマでも子グマでも、山から出てきたクマは全部殺してしまうという今のクマ対応は、子を持つ母の一人として、つらいものがあります。

 

さらなるクマの捕殺強化をめざして、クマを指定管理鳥獣にしようという国の動きに対して、熊森は環境省に反対する要望書や署名を提出、記者会見を行う、兵庫県の豊岡市で行政や地元と連携してクマを殺さないクマ対応を行い、人身事故ゼロ、クマ被害ゼロを達成して見せるなど、必死でがんばりましたが、国はクマを指定管理鳥獣にしてしまいました。
ますます厳しいクマ保全状況になってきましたが、今後は地域に働きかけていきます。

 

昨年の全国大会には、再エネ巨大森林開発と闘っている宮城県の皆さんに来ていただきました。
丸森町では地域、町、県が協力してメガソーラー着工を止めています。
加美町では、町長選で風車反対の町長を誕生させました。

青森県では、日本最大の八甲田山の風力発電計画にたくさんの県民が反対するようになって白紙撤回が決まりました。

くまもりは次世代のためにそして全ての生き物たちのために、本当に必要な自然保護活動を必死で自分たちでも頑張り、全国の仲間を応援するという会でもあり続けたいと思っています。
仲間を増やしていくこと、いろんな方と協力していくことが、豊かな森を残すことになると信じて、今年もがんばります。

 

4月21日、クマ保全未曽有の危機の中、第27回くまもり全国大会盛大に開催①

4月16日、伊藤信太郎環境大臣が、クマを指定管理鳥獣に指定すると発表しました。

マスコミは、これで国の交付金を用いてクマを捕獲したり被害防除したりできるようになりますと、一斉に報道。
問題は山や人ではなく、クマに原因があるとの誤った報道が、全国に広がり、クマはさらに追いつめられた状況におかれています。

まさに、クマ保全未曽有の危機です。

クマが棲めないほど山の荒廃が深刻で、捕獲を強化しても何も解決しない。問題の解決には山を豊かにし、人とクマの棲み分けこそ支援すべきという、熊森の主張はメディアにほとんど取りあげられません。

そんな中、第27回くまもり全国大会開催が熊森発祥の地、兵庫県尼崎市で開催されました。

 

今年も、新潟県の法人会員マルソー株式会社様から見事な祝い花が届けられ、会場入り口は華やかな雰囲気に包まれました。

 

 

 

 

 

 

 

 

豪華な祝い花

 

以下はプログラムです。

プログラムの裏には、3名の顧問の先生方が寄せてくださった500文字のコメントが掲載されていますので、それをまず、ご紹介したいと思います。

 

●環境省は何の為にあるのか

宮澤 正義 顧問(長野県 日本におけるツキノワグマ研究第一人者)

 

第27回熊森全国大会おめでとうございます。
私は、昭和2年生まれの97歳です。もう限られた時間の持ち合わせしかありません。熊森本部、支部の皆様の献身的なはたらきに、いつも感謝しています。
今回、愚かな環境省がクマを指定管理鳥獣に指定してしまいました。熊森の皆様の、クマをシンボルに日本の水源の森を保全・再生しようという27 年間にわたる大変な努力を、無駄にしてしまいかねない暴挙です。
病気治療の目的の方が奥山の温泉を訪れたりすることは否定しませんが、元気な人たちが、最近では300 名山までリストアップし、奥山にどんどん入り込んで行く。そのために、そこでしか暮らせない野生動物たちが蹂躙され、どんな苦難を強いられることになっているのか、考えてみたことはあるのか。生きるために人間の生活圏に出て行かざるを得なくなった彼らを駆除することに、環境省は予算を付けて推進する。
縦割り行政の弊害なのか。環境省の人たちは大臣から職員に至るまで、生態系とは何か、日本国も批准した生物多様性条約とは何かわかっているのか。この国に環境庁が作られた理由、庁から省への格上げの狙いさえわかっていないのではないか。無念です。

 

●ツキノワグマの出没要因となる温暖化問題

主原 憲司 顧問(京都府 昆虫研究者)

 

昨年は観測史上最も暑い夏となりました。マスコミ報道は、連日、クマの出没や人身事故で埋め尽くされていましたが、このクマの異常出没に温暖化が関係していることを述べる報道は皆無でした。温暖化により寒冷気候帯に生息している種の多くは適応できずに衰退しています。私は蝶類を継続調査していますが、食樹となる木の芽吹き時期がずれることで、標高の低い山地では既に絶滅が始まっています。この状況は冷温帯の昆虫や植物を餌にしているクマにも連動します。
秋のクマの出没はブナ科堅果類の凶作が大きな原因です。冬眠に必要な栄養を得るため、冷温帯林のブナが不作だとクマはミズナラ域に移動。コナラやクリが混交する中間温帯林に移動することもあります。ここも不作だと、人里を徘徊し、周辺で越冬し、春の出没要因になります。奥山の餌不足で人里に出没しているクマをこのまま有害駆除し続けても、絶滅以外に人里での出没は止められません。
薮の刈り払い等の対策は出没位置の変化を生むだけで、根本解決には至りません。山からクマが出て来ないようにするためには当面の餌不足問題を解決する必要があり、そのためにはクヌギのドングリ(地域固有の遺伝子を持たない)を山に運ぶなどの給餌行為も、場所によっては必要です。

 

●クマの棲める森を

藤田 恵 顧問 (元徳島県木頭村村長)

 

本来のクマは「人の匂を嗅ぐと四キロ先まで逃げる」と言われ、1940 ~ 70 年代の私が子供の頃から青年の時分の常識でした。
クマが山から出て来る根本原因は「拡大造林」です。「拡大造林」は1950 年代から、広葉樹を皆伐して主にスギやヒノキを密植した国の愚策です。このため、クマが住んでいた全国の広葉樹林が殆ど無くなってしまったのです。それで、棲みかも十分な食べ物もないためクマは命がけで、民家付近へ出て来ていたのです。(注:四国のクマは残り十数頭。ここまで減ると種の保全はもうむずかしい)
以上のようなクマの側からの発想で、拡大造林で荒れ果てたスギなどの針葉樹林をケヤキやクリなどの広葉樹の森にしなければ、根本的な、クマなどの獣害対策は不可能です。人間のした生息地破壊は棚に上げて、民家近くで害があったからと、クマなどを銃で撃ち殺しているのは私が知る限り世界中で、低民度の日本だけです。
「クマの棲める森」は、広葉樹林によるクマを頂点とした生物多様性の原点です。近年のコロナ被害、鳥インフルエンザなどの多くは生物多様性が失われていることが原因だとされています。クマなど大型動物の出没は、これらに対する人間への警告だと思います。

以上

3月15日 林佑美議員が参議院予算委員会でクマの生息地である奥山の生活環境について質問

3月15 日、令和6年衆議院第3回環境委員会で林佑美衆議院議員(和歌山県、維新・教育無償化を実現する会)が、クマ生息地の生活環境の改善について質問されました。

 

質問中の林佑美議員
要旨 (文責熊森)
林佑美(ゆみ)議員 
クマによる人身被害の防止についてお伺いいたします。近年、クマの市街地などへの出没、人身被害が春や秋に多く発生しており、とりわけ昨年秋はクマの大量出没が起こり、今年度クマによる人身被害の件数は2月末の集計で全国で計197件となり、統計を始めた平成18年以降で最多となっております。
こうした人身被害の増加を受けて、先月大臣からも談話が出され、クマを指定管理鳥獣に指定する手続きも進んでいると承知しております。
しかし、他方でツキノワグマは九州では絶滅、四国ではあと20頭弱、紀伊半島、中国山地、近畿など西日本を中心に1990年代から2000年代に各地で絶滅危惧種になっております。

 

この原因は、拡大造林政策によるスギ・ヒノキの植林、奥山の大規模開発による生息地の自然林の減少です。九州、四国、紀伊半島では、人工林率が6割を超えております。大臣もよく発言されておられますように、クマはシカやイノシシと比較して、生息数も少なく、繁殖力も弱く、環境変化にも弱い動物です。

 

クマは春夏秋の山の植物を食べており、食べる植物の種類は200種類を超えると言われております。秋はドングリ類を大量に食べ脂肪をつけ、冬眠に入ります。奥山に豊かな自然林があることがクマの生存条件です。昨年は東北や北海道で大量出没が起こりました。

 

山の実りの凶作が原因とされておりますが、異常な熱波による記録的猛暑となったためか、山に食料が何もないという例を見ない状況が発生した模様です。気候変動などの環境破壊により、豊かな森が残っていた東北や北海道でも森がクマを養えるだけの豊かさを失ってきていると感じております。

 

秋田県は近年、クマの捕殺の強化を進めてきましたが、昨年生息推定数の半数を優に超える2400頭超のクマを捕捉しております。捕殺をいくら繰り返してもクマが出てくる根本原因を解決しなければ被害は減りません。また、大量捕殺を繰り返していくと、地域的にクマが絶滅するところも出てくるでしょう。

 

そこで質問なのですが、被害を減らしていくにはクマが人里に出なくてもいい環境をつくるという根本的な対策が一番大切であり、林業不振により放置された人工林を自然林に戻す取り組みや、去年のような温暖化の影響が考えられる山の実りの大凶作の年であっても、クマが山の中に餌を確保できることを考えた、実のなる樹種の植樹などが必要となってくると考えますが、クマの生息地である奥山の生息環境について、環境省はどのように考えられておられますでしょうか。

 

朝日健太郎 環境大臣政務官

お答えいたします。環境省では、クマ類の保護や管理に関しまして都道府県の対策の指針となるような①ガイドラインを策定しております。また、昨年秋の、委員からありましたとおり、深刻な被害状況を受けまして、②専門家による検討会を設置をいたしまして、本年2月8日に被害防止に向けた総合的な対策の方針を取りまとめていただきました。

 

この内容ですけれども、クマ類の地域個体群の保全、そして人間との軋轢の軽減の両立を図るため、人間とクマ類の③棲み分けを図ることとしております。こうした考えに基づきまして、奥山などにおいてクマ類の保護を図るための保護優先地域や人身被害の防止を図るための人の生活圏、それらの間の緩衝地帯を設置設定し、それぞれの地域に応じて適切に管理を行うゾーニング管理を進めているところであります。

 

環境省では、奥山地域を含めまして、④国立公園や鳥獣保護区などの保護区域の指定などによりまして、生息環境の保全を図ってまいります。引き続き、農林水産省などの関係省庁と連携をいたしまして、クマ類の生息環境の保全を図って参りたいと考えております。

 

林議員

ありがとうございました。日本最大の大型野生動物であるクマの棲める森は、多種多様な生き物が絡み合う生態系の営みの中でつくられた水源の森でもあります。人工林が多く占める森林環境を少しでも改善して、クマの生息できる環境を奥山につくっていくことが、人や動物のみならず、地球の環境にも資すると考えております。

 

ぜひ環境省が先頭に豊かな森林環境をつくっていただきたいと思います。

 

熊森から

林議員、ご質問ありがとうございました。戦後の拡大造林政策による奥山人工林化が行き過ぎ、クマなど奥山の動物たちが生きられなくなっているという指摘を私たちが開始してから32年目です。人工林は行き過ぎていないとして、私たちはずいぶん批判されてきました。やっと国会でこの問題が出るようになったことに感無量です。
今の日本の行政は、経済第一で、野生動物たちの食料を思いやるような優しさは皆無に近い状態です。一般国民は胸を痛めているので、環境省や農水省が市町村など地方行政を指導して、野生動物たちの餌場となる森再生事業を進めていただきたいです。

 

熊森から環境省と国民のみなさんへ

①環境省のガイドラインが守られていないという現実があります。
熊森はこれまで各地の奥地集落を訪れ、地元の方や猟師の皆さんと話し込んだり、自分たちで調べたりして得た見聞を元に、何度も環境省に、「錯誤捕獲された野生動物は放獣すること」などのガイドラインを多くの都道府県が守っていないという現実を訴えてきました。
しかし、1999年の地方分権法によって野生動物の捕獲に関しては、国は都道府県に権限を委譲しているからとして、これまでこの件に対して環境省は都道府県を指導してくださっていません。権限を委譲したと言っても、国の定めた範囲内での権限移譲のはずですから、環境省は都道府県を支援するとともに、国のガイドラインを守るように強力に指導すべきだと思います。
第一、くくり罠のような残虐罠を山の中に無数に設置してシカやイノシシの問題を解決しようという発想自体が、人間の倫理観からも生態系保全上からも間違っていると思います。

 

②検討会委員に自然保護団体や動物たちの心がわかる動物愛護団体を加えるべきです。
研究者ばかり集めて検討しても、斬新な発想が生まれにくいと思います。クマ関係の検討会には、ツキノワグマ研究の第一人者である宮沢正義先生(今年97才)や、ヒグマ研究の第一人者である門崎允昭先生(今年86才)らに長年指導していただき、自らも徹底した現地調査やクマの生息地保全、被害対策の実践を行ってきた日本熊森協会も検討委員会に入れていただきたいです。国の今後を決めるにあたって正しい歴史を学ぶことが大切なのと同様、自然保護にとってもわが国の野生動物たちとの共存の正しい歴史を知る識者から学ぶことが大切です。

 

③祖先がしていたように、原則、奥山をクマの生息地として棲み分けるべきです。
現在、スキー場やキャンプ場など、奥山にも人間活動の場が多く広がっており、そのような場所を人間ゾーンとしてゾーニングしている現状では、クマたちはどこにおればいいのか居場所がないという現実があります。

 

④国立公園内での風力発電など再エネ事業を禁止してください。
巨大風力発電計画が奥山尾根筋で目白押しです。環境省が国立公園を守ってくださるのはありがたいことです。ならば、山の命ともいえる山の最も大切な場所である尾根筋を平らに削ってしまい、尾根筋に至る道路建設のためにと森林を大伐採して国立公園を破壊してしまう再エネ事業を環境省は禁止すべきです。
環境省には、本当にがんばってもらいたい。
環境省がんばれ!
私たちは環境省の応援隊です。

母を探して走り回るくくり罠で左前足切断の子グマ、みなし子グマたちを作らず保護する社会に

今年1月9日のTVニュースによると、ある町のショッピングセンター入り口付近に、子グマが猛ダッシュで走り込んできました。本来なら、母グマと一緒に冬眠しているはずの時期にです。

なんだか走り方が変です。前足の左手首がないのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ショッピングセンター入り口付近に、3本足で猛ダッシュで走り込んできた子グマ

 

入り口を通り過ぎて、ショッピングセンター前の隅っこに行ったので、人々がその辺にあったいすなどを使って包囲し、逃げないようにしました。2時間後、警察と猟友会がやってきて鉄製の箱罠に移し、山に返したということです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

箱罠に捕獲された子グマ。左前足手首がちぎれている

 

 

この子グマに関するマスコミの報道論調には驚かされました。

報道文中の太字は、とんでもないと思われる言葉です。

 

 

<以下、報道文>

1月9日、昼下がりのショッピングセンターに体長およそ50センチの子グマ1頭が出没し、店内が一時騒然としました。

この後始まる大捕物、その一部始終をカメラが捉えていました。

冬眠しないこの子グマは、来店客が行き交う入り口に2時間居座りました。

子グマはその後捕獲され、客などにけが人はいませんでした。

市では子グマは山に返す方針ということです。

 

 

熊森から

 

地元の方の話では、クマが出た!というと、記者のみなさんは大喜びで飛んでくるとのことです。怖いもの見たさ故か、クマニュースは視聴率アップ間違いなしになるからだそうです。

その辺の犬と同じくらいの大きさのやせてガリガリの小さな子グマに人身事故を起こす危険性など全くないことを、熊森は多くの人に伝えたいです。

冬眠しないのではなく、こんなガリガリでは、冬眠できません。(食い込みができていないと冬眠中に死ぬ)
第一、母グマがいないので、大地が雪で覆われる前に、どこでどうやって冬眠しておけばいいのか、この子グマにはわからないでしょう。

 

居座ったのではなく、周りを囲われて動けなくされていたのです。

けがをした人はいませんでしたと言うけれど、けがというなら、子グマの前足首切断という大けがにはなぜふれないのでしょうか。

 

山に返すと言われても、何の餌もない真冬の山で、この子グマは100%生きていけません。

 

この子グマ、どこにいるのか。

熊森は、緊急保護の必要性があると判断し、警察と行政に次々と電話しました。

警察:県に聞いてください。

県庁:市に任せているので市に聞いてください。

市:保健所が対応したので、保健所に聞いてください。

保健所:猟友会に任せているので猟友会に聞いてください。人混みがすごかったので、子グマの前足首がないかどうかは、見ませんでした。

 

行政と違って、電話番号が公開されていない猟友会の方には連絡のしようがありません。個人情報だからと行政も教えてくれません。

 

私たちが保護することを申し出ましたが、飼育許可は降ろせないと言われました。

私たちは胸がつぶれそうになり、どこに放されたかわからないこの子グマのことを思って、何日間も苦しみました。

 

後日、地元の方に聞くと、この子グマは、河川敷を母グマともう一頭の兄弟と3頭で歩いている時に、河川敷に設置されていたくくり罠に左前足がかかってしまったんだそうです。なんとか、罠を外そうとこの子は必死にもがいていたが、何をしてもワイヤーは外れません。早くこの場を立ち去らないと、人間に見つかったら皆殺されると判断したのでしょう。母グマは子グマを助けようと必死でしたが、やがて不可能と悟ったのか、もう1頭の子グマを連れて去っていったようです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地元では、シカやイノシシ無制限捕獲用の無差別くくり罠が、至る所に仕掛けられている。
強力バネでワイヤーが足を締め付けるため、様々な野生動物たちが足を失っていく。
日本は先進国です。こんな残酷な罠は、使用禁止にすべきです。

 

残された子グマは、自分の前足の手首を引きちぎり、狂ったように母を探し求めて走り回わっていたということです。ショッピングセンターに何かの物を狙って来たわけではなく、自分を置いていかないでほしいと必死で母を探していたんだろうということでした。

 

昨年、人身事故が相次いだこともあって(過去最多年の1.3倍)、食料を求めて山から出て来て有害獣のレッテルが張られた大量のクマたちは、ハチミツ入り罠に次々と誘導されて駆除されました。(2023年度のクマ捕殺総数は前代未聞の9028頭)その結果、冬が来てもどうしていいかわからず、各地で孤児グマたちが雪の中をさまよっていました。いずれ死ぬだけですが、誰も助けようとしない日本社会です。こんな人間社会でいいのでしょうか。

 

我が国がクマに無慈悲でクマを憎む社会に変化したのは、権威のある人たちやマスコミが、臨界距離内(一般的に12m)で人間に出会ってしまったクマが、人間が怖くて人間から逃げたいあまりに起こす人身事故を、クマが人を襲ったと一斉表現して、まるで一方的にクマが意図して人間に傷害事件を起こすかのような誤情報を出し続けているからだと思います。クマは本来、大変平和的な動物です。

 

日本は水道の蛇口をひねるといつでも水が出て来ます。しかも飲める水です。こんなめぐまれた国は、世界にまたとありません。
これは祖先が奥山水源の森を、森づくりの名人クマたち以下全ての森の生き物たちの聖域として、手つかずで残していたからです。平成になるまで、クマが奥山から出て来ることなどまずなかったのです。

この奥山生態系の仕組みを、熊森は全ての国民に伝えたいです。

 

その奥山を、わたしたち人間が、拡大造林、さらに今、地球温暖化、再生可能エネルギーなどで破壊し続けたから、クマたちは山から出てこざるを得なくなったのです。

人間活動の被害者であるクマたちをさらに殺し尽くそうとしている私たち人間、どうかしています。
人間の倫理観や道徳観はどうなってしまったのでしょうか。

 

野生動物対応の権限は都道府県にありますから、軌道修正するには、各都道府県庁に一般都道府県民が改善を求めて声を上げていくしかありません。

 

私たちは、この県の地元の皆さんのためにも、クマ問題の真の解決に向けて声を上げ行動しようという熱い方々が現れるのを心待ちにしています。(完)

2023年 兵庫県豊岡市で行政・地元・熊森の3者が協力し、クマの人身事故ゼロ、捕殺ゼロ達成

これまで熊森協会は設立以来27年間、「動物たちに帰れる森を、地元の人たちに安心を」のスローガンの元、放置人工林を伐採するなどして、食べ物が豊富な奥山広葉樹林の再生活動に取り組んできました。

何度お願いしても全く動こうとしてくださらない行政に、まずお手本を示そうと思ったわけです。民間のすることですから、面積的にはしれていますが、でも、各地でかなりの面積で実施してきました。

 

早く国が保水力豊かな奥山広葉樹林再生に乗り出さないと、我が国は水源を失ってしまう。米作りができなくなる。現地を調査し続けている私たちは危機感でいっぱいです。

 

森が再生するには気が遠くなるほどの年月がかかります。

 

その間、本部は、兵庫県のクマ生息地で、集落にクマがやってこないよう、地元の皆さんと共にクマのひそみ場になりそうな場所の草刈りをしたり、クマが柿の木にやってきた時は実を採ってクマのいる山に運んだり、都市市民を中心としたボランティアのみなさんにも手伝っていただきながら、被害防止活動を展開してきました。

 

 

 

 

 

 

熊森職員+都市ボランティア+地元

 

リンゴ園にクマが入らないよう、網を張ったりクマを花火で脅したりして追い払ったり、何日間も寝ずの番をしたこともあります。

 

また、クマによる人身事故が発生したらすぐ現地へ行き、おケガをされた方を見舞い、聞き取りをして、原因を特定し、再発防止対策をお伝えしたり、実施させていただいたりもしてきました。兵庫県のみならず他県にまでこのような活動を広げたことで、実にいろいろなことを学ぶことができました。

 

 

 

 

 

 

人身事故現場の草刈り

 

行政と熊森が協力

2020年秋、豊岡市の鳥獣被害担当の職員から、数年ぶりに電話がありました。クマが集落内の柿の木に来ており、人身事故が起きそうな危険な場所がある。力を貸してもらえないか?ということでした。各所から熊森が現場でクマの被害対策に力を入れているという声を聞いていたそうです。

 

現地へ行ってみると、たくさんの方々が利用する山裾の駐車スペースの上に柿の木が反り出ており、夜間、その木の上にクマが柿を食べに来るとのことです。

「この状況、熊森さんならどうしますか?」

この時の熊森は、もうかなり力が付いていました。柿の木は約20本です。

市の担当者、地主、熊森の3者で話し合い、熊森は実を回収したり、クマが登りにくいように柿の木を剪定したり、幹にトタンを巻いたりしました。見事、クマは現れなくなりました。みなさんは、熊森のクマ被害防止対策を高く評価してくださり、今後、クマを捕獲する前に、熊森に被害対策の依頼をしていただけることになりました。本当にうれしかったです。

 

そして、いよいよ去年、2023年9月、私たちは豊岡市役所へ招かれ、市内の振興局と県の担当者、市本庁の担当者あわせて13名の行政担当者と、クマ対策会議を持ちました。

約1時間の会議で、民間団体の熊森協会と市、自治会とどのようにクマ被害対策の段取りを取っていくか話し合いました。

 

熊森本部ではボランティアと本部スタッフからなる、12名の「くまもりフィールドチーム」を作り、各種安全講習を受け、練習もしました。

 

9月は数件だったご依頼ですが、10月~12月にかけてクマが里に出て来ることが多くなり、東北ほどではありませんが、豊岡市でもほぼ毎日、人身事故やクマ捕獲の危険性がありました。

 

去年の豊岡市は、コナラのドングリなどそれなりになっており、山の実りはそれほど悪くありませんでしたが、なぜかクマたちが柿にたくさん来ていました。どのクマもがりがりに痩せているわけではなく、太っているクマもいて、食べる柿・食べない柿をクマ自身が選んで食していました。柿の木によって、味は少しずつ違います。クマたちはこの微妙な味の違いがわかるのでしょう。

 

みごと、人身事故ゼロ!捕殺ゼロ!を達成

結果、豊岡市と熊森で、12地区の89か所で被害対策を行い、人身事故0、有害捕獲0を達成しました。もちろん、地域住民や行政機関の協力があってできたことです。9月下旬~12月上旬まで55日出動したことになります。必要経費は熊森会員の皆さんの会費を使わせていただきました。

 

 

 

 

 

 

 

クマが来ないようにと熊森が大きな柿の木を伐採。地元のみなさんに喜んでもらえました。

 

最後に

根本的なクマ対策は、戦後の拡大造林や大規模林道建設などで人間が破壊してきた奥山広葉樹林の再生、及び、人間が一歩下がることによる、棲み分け復活です。(開かずの森、入らずの森の復活)

 

残念ながら、いまだに国はこの方向に動こうとしません。

 

また、近年は急激な地球温暖化によるナラ枯れや昆虫の消滅など、会設立当時には予想もしなかった奥山の劣化が猛スピードで進んでいます。人間活動による地球環境破壊によって、クマたちは本来の生息地で生きられなくなっています。本来の生息地では大変穏やかな動物ですが、餌を求めて人間のいるところに出てきた時点で、恐怖や緊張感でいっぱいになっていますから、人間から逃げようと人身事故を起こしてしまうんだろうと思われます。

 

クマによる人身事故をなくすこと、被害を軽減すること、できるだけクマを殺さずに棲み分け共存を復活させることが大切です。

クマ問題を解決するためには、環境省はクマを指定管理鳥獣に指定して捕殺強化に交付金を出すのではなく、クマに対応できるだけの専門知識のある行政職員を市町村に配置するためにこそ交付金を出すべきです。

 

林野庁の方の中には、「戦後の森林政策は失敗だった、山を大荒廃させてしまった。私たちはもうどうしたらいいのかわからない」と個人的に言われる方もいます。熊森は林野庁を責める気はありません。良かれと思ってやったことが失敗したのだから仕方がない。しかし、きちんと失敗を認めて、早く山を元に戻していただきたいです。

 

今を生きる私たちが、大型野生動物たちが造る豊かな水源の森を、全生物に、子や孫に残すべきだと思います。

そのためには、国を動かすことのできる欧米並みの大自然保護団体が、今、日本に必要です。

活動できなくてもいいので、ご入会いただきたいです。

熊森は奥山水源の森の保全・再生活動に取り組んでいる実践自然保護団体です 

マスコミのみなさん、この国を救うために、どうか勇気を出して日本熊森協会を取材してください。

 

どうして近年、クマがこんなに山から多数出て来るのか、自然界のことは、地域差も大きく、調べても調べても人間にはわからないことだらけなのですが、私たちは長年クマ生息地の山を歩き続けて調べてきた稀な者として、記者さんたちが知っておかねばならないことを、全て語ります。当協会の顧問研究者は、北海道を除く全国のクマ生息地を歩いて動植物を調査し続けて63年になります。

 

目撃数が増えたなどの現象を見て、クマ数が増えたと思う人たちもいます。地域によって様々ですが、しかし、クマ本来の生息地である奥山が人間活動によって荒廃し続け餌がなくなっている場所で、クマ数が増えたりするのでしょうか。山形県の深山ガイドに聞くと、今年、本来のクマ生息地はクマの姿どころか糞さえないと言われていました。彼は、クマが増えているというマスコミ報道について、あり得ないと思うと言われています。マスコミはこんな声も取り上げてほしいです。

 

 

熊森は全国を飛び回っている会長以下、全理事が無報酬で活動しています。

だから、利権ゼロの会です。

これだけでもすごい会だと思われませんか。

私たちは、真実を語ります。

 

また、国から1円ももらわずに27年間、会員の会費と寄付だけで会を運営してきた完全民間団体でもあります。

だから、自分たちの徹底した現地調査に基づいて、国の政策に対してもなんの遠慮もなく、正義感と良心だけで、こうしたらどうでしょうかと提案できるのです。研究費や活動費欲しさに、国に迎合したり、真実を語らなかったりしたことなど、一度もありません。きちんとした政策提言型団体です。

 

1992年1月のことです。私たちは、残り60頭絶滅寸前と言われた兵庫県のツキノワグマの絶滅原因を調べていて、日本の奥山が戦後の拡大造林政策や奥山開発によって動物が棲めないまでに内部が大荒廃していることに気づき、大きな衝撃を受けました。

 

 

 

 

 

 

 

 

奧山に延々と続く人工林。地元の方たちが緑の砂漠と呼ぶ光景。

山の外観は緑ですが、内部は荒廃して茶色一色の死の世界。

この人工林内に野生動物の餌は皆無で野生動物は棲めない。

 

31年前、私たちはこの国の人と全生物を守るために立ち上がったのです。

 

一番初めに兵庫県庁の林務課に行って「スギやヒノキの植林にストップをかけてください!いくらなんでも植え過ぎており、大変な弊害が出ています」と訴えました。係官は、「何を馬鹿なことを言い出すんだ、兵庫県はこれからますますスギやヒノキを植えていきます」と、怒りをあらわにされました。

 

<行き過ぎた拡大造林政策の弊害>

1、平成になると人工林の苗木も大きく成長し、人工林内は餌が全くない所になる。すると、生きられなくなった野生動物が餌を求めて山から次々出て来るようになり、地元は悲鳴。クマは有害獣として多数駆除されていくようになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

兵庫県豊岡市1998年

 

2、林業不振により多くの人工林が放置され益々荒廃、山の保水力は年々低下。各地で湧水が激減。

 

 

 

 

 

 

 

 

谷川で泳ぐのが夏休みの子供の遊びだったのに、もう泳げる所なんかどこにもないと地元の高齢者
兵庫県宍粟市

 

3、大雨の度に放置人工林が崩れ出し、災害が多発する国になっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

2004年兵庫県朝来町 山崩れで放置人工林のスギが流出し、橋げたに引っかかって洪水に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

兵庫県の人工林分布 人工林率42%

赤色部分がスギやヒノキの人工林。多くは放置されて内部は大荒廃している。

南部の緑の●はゴルフ場 クリックで地図拡大。

 

現状を放置していたら山はどんどん荒れて、年々保水力が低下していきます。かつて森を破壊し過ぎて水源を失い滅びた多くの文明と同じ道を、日本がたどっています。

森の再生には長い年月がかかるので、一刻も早く森林政策の方向転換が必要です。

私たちは兵庫県庁に行って怒られただけでしたが、めげませんでした。奥山荒廃問題にはこの国の運命がかかっています。がんばって声を上げようと決意しました。

 

私たちが国の拡大造林政策に問題ありと正直に言うと、国や行政からにらまれ、マスコミは国や行政の顔色を見て私たちを取材しようとしなくなりました。

 

後年、林野庁の偉い方に私的にお会いした時、私たちは開口一番「奥山水源の森が大荒廃しています!」と訴えました。その方は、「戦後の森林政策、大失敗しちゃいました。どこもかしこも、奥山を大荒廃させちゃいました。もうどうしたらいいのかわかんないのです」と、正直に言われました。

 

私たちは、「すぐに国策の方向転換をしましょう」と呼びかけました。水源の森を失った文明は過去すべて滅びているからです。しかし、この方は、「私たちは組織の人間なので、この事実は、口が裂けても国民には言えません」と答えられました。

 

仕方なく、私たちは自分たちで団体を作り、地元の皆さんと連携して、まず自分たちで汗まみれ泥まみれになって、各地でボランティアとして、奥山の人工林伐採跡地に実のなる木を植え始めました。場所によっては命がけの危険な活動ですが、みんな使命感でいっぱいなので、未だ無事故です。

 

 

 

 

 

 

 

2002年兵庫県但東町 実のなる木の植樹会

 

国には、一刻も早く食料いっぱいの奥山広葉樹林再生運動に国を挙げて取り組んでいただき、野生動物たちが以前のように奥山に帰れるようにして、祖先がしてきた棲み分け共存を復活させなければならないと訴え続けました。

 

 

 

 

 

 

 

 

兵庫県がある中国山地のかつての棲み分けラインは標高800m。
これより奥は野生動物たちの聖域として、日本文明を支える水源の森として、人間が入れない入らずの森でした。

 

奥山は巨木の原生林で、この原生林があった時、クマたちが里に出て来ることなどなかったそうです。この棲み分けラインを戦後、一方的に破ったのは人間の方です。

 

私たちは片っ端から国会議員を訪ね、奥山全域、尾根筋、山の上3分の1、急斜面、沢筋の5か所は祖先がしていたように天然林に戻すよう、法整備をお願いしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

この5か所は、天然林のまま残さねばならないと祖先が言い伝えてきた場所に重なります。

熊森に賛同して強力に支援してくださったのが、当時、国会議員だった赤松正雄議員や鳩山邦夫議員、石井登志郎議員(現西宮市市長)らでした。

 

 

 

 

 

 

 

2010年、奥山天然林再生のための法整備に向けて、64名のすばらしい超党派の国会議員たちによる議連が誕生

しかし、3か月後に、東北大震災と福島原発事故が発生し、議連は解散に

法整備のチャンスを失う

 

国産林業が不振の上、もう植えられるところは植え尽くしたこともあって、新たなスギ・ヒノキの植林にはブレーキがかかるようになりました。しかし、荒廃した放置人工林は今もそのままです。(林業は大切な産業なので、林業に向いた場所はしっかりと林業用の整備を行い、他は森林環境譲与税などを使い、早急に天然林化すべしと、熊森は何度も国会に訴えに行きました)

 

まさか・・・残された天然林内まで大劣化し始める

 

この後、とんでもないことが起き始めたのです。地球温暖化が原因と思われるのですが、残された天然林までもが猛烈に劣化しだしました。下草が消え、昆虫が消え、虫媒花は実らなくなり、野生動物たちの餌はますますなくなってきました。

 

 

 

 

 

 

 

地球温暖化で、天然林の内部まで大荒廃 餌が何もない森に

兵庫県豊岡市のクマ生息地 熊森協会自動撮影カメラによる撮影

 

さらに現在は、国内外の投資家たちが、再生可能エネルギー事業推進と称して日本の水源の森を大破壊しだしました。熊森は、森林伐採を伴う再生可能エネルギー事業にストップをかけようと、日々、奔走しています。国民のみなさんも、子や孫のため、全生物のため、声を上げてほしいです。

 

 

 

 

 

 

 

再エネ事業が広大なクマの生息地を大破壊

宮城県仙台市

 

これ以上水源の森が壊されないように、至急、法規制をかけねばなりません。壊し過ぎた森をもう一度天然林に再生していかねばなりません。森の動物たちのためでもありますが、人間のためでもあるのです。森を残し全生物と共存しなければ、人間も生き残れないのです。

 

国民の皆さんが、熊森協会をイギリスのナショナル・トラスト(会員数425万人)のように大きな団体にしてくだされば、国会議員が協力してくれるようになるので、日本でもイギリスのように自然を守る法律を次々と成立させていくことができるようになります。

 

水源の森を守るには、会員数が必要です。みなさん、ぜひ熊森協会の会員にご登録ください。

電話1本で会員になれます。0798-22-4190

 

まとめ

熊森協会は、奥山水源の森の保全・再生団体です。

 

私たちがシンボルにしているクマの棲む森は、最高の保水力を誇り、あらゆる生き物たちが生きられる完璧に豊かな森です。私たち人間は棲み分けを復活させるために、荒廃させた奥山を野生動物たちの餌場として再生しなければならなかったのに、全くそういうことをしてきませんでした。もし地球温暖化が人間活動の結果だとしたら、今年の山の天然林の実りなしも全てが自然現象なのではなく人間の責任も問われます。クマを殺しておけばいいではなく、どうしたら共存できるのかみんなで考えねばなりません。やさしい解決法が一番優れている。

 

 

 

 

 

 

 

 

当団体への誤解もあるかもしれませんが、皆さん、ぜひ当団体の本質を知っていただけるとうれしいです。

 

詳しくは1冊100円の小冊子「クマともりとひと」をお読みください。

真実を求める人たちの口コミによって、現在57万冊発行。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

文責:森山まり子

 

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