ホーム > _クマ保全
カテゴリー「_クマ保全」の記事一覧
西日本のツキノワグマの遺伝的多様性が減っている(2017年、国立研究開発法人森林総合研究所研究紹介より )
- 2017-08-16 (水)
- _クマ保全
論文名
Loss of allelic diversityin the MHC class II DQB gene inwestern populations of the Japanese black bear Ursus thibetanus japonicus(ツキノワグマの西日本個体群におけるMHC遺伝子の多様性低下)
著者
石橋 靖幸(北海道支所)、大井 徹(石川県立大)、有本 勲(白山ふもと会)、藤井 猛(広島県庁)、間宮 寿賴(富山県自然博物園)、西 信介(鳥取県林業試験場)、澤田 誠吾(島根県中山間地域研究センター)、田戸 裕之(山口県農林総合技術センター)、山田 孝樹(四国自然史科学研究センター)
掲載誌
Conservation Genetics、Springer、2016年10月
内容紹介
西日本の3つのツキノワグマ地域個体群(西中国山地、東中国山地、四国)は、レッドデータブックで「絶滅のおそれのある地域個体群」に指定されています。これまでの研究から、これらの個体群では、本州中部~東北地方の個体群と比べて、MHC(主要組織適合遺伝子複合体)というタンパク質を作る遺伝子の多様性が低いことがわかっており、過去に著しく個体数が減少したこととの関係が指摘されています。
今回、私たちは新たに2001~13年に集めたツキノワグマのDNAサンプルを調べ、少し古い年代のサンプルを用いた先行研究と多様性を比べました。その結果、3つの地域個体群や近畿北部の個体群では、先行研究で低い頻度で見られた遺伝子のタイプ(対立遺伝子)の多くが無くなり、多様性がさらに低下していることがわかりました。歯の年輪を調べたところ、私たちのサンプルは1980年代のなかば以降に生まれたクマに由来するものでした。したがって、今回見られなかった対立遺伝子はその頃までに消失したことがわかりました。
1980年代以降の保護活動により西中国や東中国個体群では個体数は増えつつ(熊森疑問:戻りつつと表現すべきではないのか)ありますが、それに対して遺伝的な多様性はかなり低下していることが明らかになりました。MHC遺伝子の多様性が低い個体群では、免疫機構が認識できないタイプの病原体による伝染病が蔓延するおそれがあります。この結果は今後これらの地域個体群を健全に保全するために必要な対策に活用されます。
(熊森から)
MHC遺伝子というのは、免疫をつかさどる遺伝子です。
上の論文によると、この遺伝子の研究から、西日本の3つのツキノワグマ地域個体群(西中国山地、東中国山地、四国)は、過去に著しく個体数が減少したことがわかるそうで、現在遺伝子の多様性はさらに低下しているそうです。
そんな中で、兵庫県が昨年からハンターに、「クマ狩猟を楽しんでください」と、クマ狩猟を再開しています。この間違った政策を、どう正当化されるおつもりでしょうか。
今、兵庫県がすべきことは、棲み分け復活をめざして、奥山人工林を動物が棲める自然林にもどすことです。これ以外にないはずです。
現在、ワイルドライフ・マネジメントと称して、厳しい自然界でひとり生き抜いている野生動物たちの命を、人間が好き放題殺してもてあそんでいます。(人間、お前一体何様なんだ?)
もはや異常な精神状態といえるでしょう。
「まっとうな声」を、気づいたひとりでも多くの人が上げねばならない時だと思います。
人間が、他生物の生命の尊厳がわからなくなって、本来のやさしさを失い、無用の殺生に走る。
もはや狂気としか言えません。戦争中の殺戮と同種の狂気です。
8月6日 守るべきは、あと十数頭の四国のクマでしょ! 愛媛県支部立ち上げ準備会(於:松山市)
守るべきはパンダじゃなくて四国のクマでしょ!
愛媛県会員たちの中から、四国のクマを絶滅から救うためにくまもり愛媛県支部を結成しようという、うれしい動きが出てきました。
すでに、支部立ち上げ準備が始まっています。
8月6日の松山市での集まりに、本部から森山会長と本部スタッフも参加させていただきました。
本部は、神戸三宮から神姫バスハーバーライナーに乗って、4時間かけて松山に向かいます。
今や、島々は全部橋でつながっています。すごい技術です。
四国山地の人工林率は高率なので、山の動物たちは山で暮らせなくなって悲鳴を上げているはずです。
<四国人工林率>
香川県34%、徳島県63%、高知県66%、愛媛県64%
戦後、見渡す限りスギ・ヒノキが植えられました。
結果、その材は使われているのだろうかと、バスの窓から山々を眺めていました。
しかし、あちこちで人工林が皆伐されていた宮崎県と違って、松山に着くまでの間、1か所の伐採地も見つけられませんでした。
ハーバーライナー沿いでない所で、伐採されているのでしょうか。
四国の山の13%は、国有林です。そのうちの7割が、スギ・ヒノキの人工林にされてしまっています。
国有林を自然林にもどしていただくだけで、クマの絶滅は止められるのではないでしょうか。
注:国有林は、我が国の奥地脊梁山地や水源の森に広く分布しています。戦後、林野庁は、拡大造林政策を展開し、特別会計として林業を企業的に運営してきましたが、海外から安い材が入ってくるようになって経営が行き詰りました。平成24年に成立した法律によって、平成25年から国有林野事業は一般会計に移行されました。(もう、林野庁は、林業で儲けなくても国民の税金で食べていけることに!)
松山に到着して、初めてお会いする会員さんやその友人とすぐに打ち解けました。
お集まりくださった元気なみなさん (松山市)
「守るべきはパンダじゃなくて四国のクマでしょ!」と言われて、おもしろいと思いました。
四国のクマが絶滅寸前といわれて久しく、これまでいろいろな研究者や団体が調査研究に入られています。
ネット検索で「四国のクマ」と入れると、各団体や研究者の膨大なデータが出てきます。敬意を表します。
熊森もずっと気になっていましたが、なかなか手が回りませんでした。
しかし、四国のクマがいよいよ危ないと聞いて、絶滅は何としても止めたい。いてもたってもおれなくなってきました。
熊森に何ができるでしょうか。
愛媛のみなさんが言われるには、「四国の者は、四国にクマがいることを知らない」のだそうです。
四国のみなさんに四国のクマのことを知らせ、みんなで守ろうという流れを市民レベルで作って大きくしていく。
これなら、熊森の得意分野ですからできそうです。すでに熊森紙芝居も2回上演されたそうです。
四国のクマが増えられない最大の原因は、生息地となる落葉広葉樹林があまりにもわずかしか残っていないことです。
国有林を民間が買うことはできませんが、民有林なら熊森も借りたり買い取ったりできます。
スギやヒノキで埋まっている人工林を買い取って自然林に戻していく。これは、熊森が各地で取り組んでいることです。
人工林の自然林化によって、野生動物たちは守られ、人間は水源の森と災害に強い森を手に入れることができます。
熊森に出来ることを何とかしていきたいです。
わたしたちの、四国のクマの絶滅を止めたい気持ちは、誰にも負けません。
愛媛県支部結成は、11月5日(日)午後1時から3時 松山市男女参画推進センターで予定されています。
愛媛県の皆さんはもちろん、高知、徳島、香川の皆さんも、ぜひご家族やご友人を誘ってお集まりください。
赤丸内が今もクマが残っている所(WWFJより)
前橋市が設置している子グマ捕獲罠について その後
くまもり本部がグーグルマップで場所特定
前橋市農政部農林課 東部農林事務所に電話して、今回の事故があった場所などをグーグルマップ上で教えていただきました。本部としては今たてこんでおり、現地に駆けつけられていませんが、これで場所や周りの環境をだいたい把握することができました。赤城山のすそ野という感じの場所です。これからは、グーグルマップを用いて、場所や環境を特定してから意見を言うようにすれば、話がもっと通じやすくなると思いました。便利なものができたものです。もちろん、現地に駆けつけることにまさるものはありません。
群馬県環境森林部自然環境課野生動物係に本部から電話
<群馬県のクマ放獣体制の現状について確認>
担当者:
以前、群馬県には、クマ放獣体制がありました。2~3年前までは市町村の要望に応じて、年間30~50頭のクマを放獣していました。しかし、人員配置が変わり、今、自然環境課に、クマの放獣ができる人も体制もありません。鳥獣被害対策支援センターというところには、麻酔銃を使える獣医が一人おられ、サルなどの放獣を手掛けておられます。しかし、その方にはクマの放獣経験はなく、クマはできません。イノシシ罠に錯誤捕獲されたクマに関しては、小さな子グマはその場で放獣できますが、それ以外は、殺処分するしかない現状です。
群馬県では、人畜の被害は市町村に捕獲権限を委譲しており、農作物被害などについては県庁の出先である県森林事務所が担当しています。今回の場合だと、前橋市長名で、このクマの捕獲申請を前橋市に出し、同じく前橋市長名で、このクマの捕獲許可を出したことになっています。クマが罠にかかったら、前橋市長名でどうするか決めることになっています。
熊森からの提案2<行政に、声を届ける>
①前橋市長あてに依頼の電話、メール、FAXなどを送る
(依頼内容)クマが罠にかかったら、すばやく赤城山の奥の水とえさがあるところにドラム缶檻ごと車で運ぶ。檻の扉が水平に引けるように檻を90度倒し、車の中からこの扉にかけたロープを横に引いて放してやってください。この方法だと、獣医さんをはじめ、麻酔銃や吹き矢など、一切不要です。
②群馬県知事・農政部長・環境森林部自然環境課あてに依頼の電話、メール、FAXなどを送る
(依頼内容)クマの放獣体制を至急再構築し、誤捕獲グマの放獣が群馬県でもできるようにしてください。
知事 大澤正明 様
総務部秘書課
〒371-8570 前橋市大手町1-1-1
電話 027-226-2043
FAX 027-243-3575
E-mail hisyoka@pref.gunma.lg.jp
多くの声が届くと、行政も動いてくれると思います。みなさんの声を届けてください。
群馬県支部長も声を届けてくださっています。
群馬県前橋市でクマによる人身事故が発生 本部が電話で聞き取りするも、うまく話し合えず 追加 再追加
2017年7月24日、前橋市で70歳の女性がクマと遭遇し、頭や腹を引っかかれ軽傷を負う事故がありました。会員からの情報を受け、熊森本部担当者は早速、地元行政の担当者に電話を入れ、状況を聞き取りました。以下、概要。
●行政担当者
事故が起きた場所は、赤城山中腹の標高500m。クリやクワの巨木(胸高直径20センチ)が多く繁る、まさにクマの夏の食料庫ともいえる山中に、1軒家を建てた人がいます。そこに住む女性(70)が7月24日の早朝4時50分ごろ、一人で山中の林道を散歩していたところ、林道沿いの高さ1.5m程ある篠藪から、突然クマが出て来て引っ掻かれたということです。女性は、幸いにも少し引っ掻かれた程度の軽傷で、体長1m程度の小さなクマだったということです。この方は、ふだんは犬と一緒に散歩されていたようですが、この日は犬の調子が悪くて、お一人で散歩されていたということです。
熊森本部
今後どのような対応をされますか。
行政担当者
麓集落の方々へは、チラシを配ったり、防災メールを送って、ごみの管理の徹底や早朝・夕方のクマの活動が活発になる時間帯に外出される際は音の出るものを持ち歩くように呼びかけています。人身事故が起きたので、クマの有害捕獲用の檻を設置しました。捕獲したクマは、2次被害を起こさないようにするためにも殺処分します。
熊森本部
麓集落にお住いの方々への注意喚起は非常に重要ですので、今後も続けてください。しかし、クマの捕獲罠を設置するのはおかしくありませんか。そこは、クマの生息地です。しかも、捕獲罠を設置しても、事故を起こしたクマが捕獲されるとは限りません。事故を起こしたクマだとどうやって特定するんですか。関係のないクマを捕獲して殺処分してしまう可能性があります。新たな人身事故を防ぐためには、住民がクマにばったり遭遇しないように注意喚起するしかないと思います。
行政担当者
無関係のクマを捕獲してしまうかもしれませんが、行政としては2次的被害を防ぐためにも、何か対策をとらないといけないんです。
熊森本部
無関係のクマを捕殺して殺処分することが、今後の人身事故を防ぐことに、どのように関係してくるんですか?
行政担当者
普通の方はここまで言ってこないです。熊森さんは勉強されているからわかっているでしょ。人身事故が起きたら捕獲罠を設置して、かかったクマを殺処分しなくてはならないんです。他の行政どこもそうでしょ?それを、事故を起こしたクマを特定できないとわかっていながら、人身事故を起こしたクマを特定して捕まえることができるんですか?と聞く熊森さんはずるいです。
熊森本部
???・・みなさんは今回の事件を受けて、
①クマを殺して個体数を減らす
②クマによる被害を減らす
どちらが必要だと考えられているんですか?
行政担当者
どうして理解してくれないんですか?
熊森本部
まず、この質問に答えてくださいよ。そうでないと理解できないです。
行政担当者
そんなにわたしたちのクマ対策が不満なのであれば、もっと上の人たちに熊森さんが働きかけて、マニュアルを変えてみてはいかがですか。私たちはマニュアルに沿って実行しているので。パブリックコメントは重要ですよ~。書かれた方がいいですよ。
熊森本部
今年1月に群馬県が募集されていた、クマ管理計画改訂のパブリックコメントですか。群馬県のクマ管理計画へ意見提出しましたよ。私は、ちゃんと書きましたよ。クマによる被害を減らすために、被害防止対策を徹底するよう管理計画に書いてくださいって。単に何頭クマを殺すかだけ書くような計画にしないでくださいって。何回も文章練り直して群馬県に送りました。このような意見があったことを全然行政間で情報共有できてないんですか!私の書いた意見を読んでみてくださいよ!
熊森協会はこれまでに国や都道府県に、クマなどの野生動物と人々が共存していくためには何が必要か、各地のクマ生息地を訪れて調査してきましたし、本部のある兵庫県では、クマと人の事故が起こらないように、集落周辺の不要果実をもいだり、クマの潜み場の草を刈りはらったり、クマが集落へ近寄らないよう、クマの目撃が相次いだ山間地域で毎日大きな声を出して追い払いをしたり一生懸命活動してきました。その中でわかってきたことを、提言させてもらっているんです。人命を守るには、クマを殺すのではなく、被害防止対策を徹底して、人がクマにばったり出会わないように注意することが最重要なんです。熊森協会のブログにこれまでの活動を載せていますので、ぜひ読んで、勉強してください。
(熊森から)
この度のクマによる人身事故でけがをされた方には、お見舞い申し上げます。
今回の件で行政担当者は熊森の質問にほとんど何も答えてくれませんでした。
私は、全国の野生鳥獣担当者と絶えず電話で話し合ったり時には会いに行ったりしていますが、今回のような対応を受けることは珍しく、1時間も電話したのに話し合いになりませんでした。どこに問題があったのでしょうか。
集落から離れた赤木の山中のクマの餌がたくさんある場所、すなわちそこはクマの国です。そこに、クマ捕獲罠をかけてかかったクマがどのクマでもいいので殺処分して一件落着とするというのは、生態系保全上も倫理上も間違っていると思います。
現地は人間の背丈ほどのササに覆われたところだそうです。被害女性は、子グマだと思ったということですから、まだ母熊から離れたばかりのクマなのかもしれません。
このクマが何をしていたのかわかりませんが、午前4時50分という予期せぬ時間に突然人間が現れて、クマもびっくりし、恐怖の余り逃げようとして引っ掻いたのだと思います。この女性は元都市市民ということです。いつからここに住まれているのかわかりませんが、会いに行ってクマ対応を教えてあげたい思いです。
どちらにしても、今回のような事件の場合、普通、罠かけはしません。
現在設置中の罠にクマがかかってしまう前に、どなたか納得していただけるように担当部署に声を届けていただけないでしょうか。それとも担当者が言うように、もっと上の人に言うべきでしょうか。
前橋市農政部農林課 東部農林事務所
〒371-0217 群馬県前橋市粕川町西田面216-1
電話番号 027-285-4116
FAX番号 027-285-5227
追加
7月26日、くまもり森山会長が、東部農林事務所の責任者と電話で約1時間話し合いました。
前日担当者がマニュアルに沿って対応していると言われたようなので、群馬県ではどのようなマニュアルになっているのかたずねると、個々の状況に応じたものはなく、群馬県クマ管理計画に書かれているものを現地市町村で判断して対応しているということでした。(群馬県の熊捕殺権限は市町村に移譲されている)
前橋市では、クマは保護しなければならない動物だと考えているので、イノシシ捕獲罠の上部に穴をあけて、クマがかかったら脱出できるように全部改造したと言われていました。
今回の事故が、山に入ったハイカーの場合だったら、クマの捕獲罠はかけないが、1軒屋とはいえ、住民の生活道路上で起きた事故なので、行政としては捕獲せざるを得ないということでした。(東部農林事務所の責任者の方から、今回の場所なら、ハイカーであっても捕獲罠を掛ける。奥山でハイカーが引っ掻かれた場合は掛けないという意味だったと訂正が入ったので、そのように訂正させていただきます)
捕獲罠に入れられた誘引物に引き寄せられて、関係のないクマがやってきて罠にかかる可能性があり、そのクマを殺処分しても人身事故は減らないなど、熊森の言うことはよくわかるが、行政としては住民感情を考えると、とにかく捕獲して、まず1頭、殺処分しなければならないということでした。(東部農林事務所の責任者の方から、とにかく捕獲して、まず1頭、殺処分しなければならないとは言っていないと訂正が入りました。どこが違うのか尋ねると、捕獲されたら、まず県庁に電話して相談してみるのだそうです。しかし、群馬県庁は今クマの放獣体制がない上、前橋市が決めることと言われています。前橋市の担当者の方は、罠にかかったら殺処分しますと言われていたので、まとめるとこの記述でいいと思うのですが・・・訂正してほしいと言われた事実はお伝えします。)
熊森から:もし罠にかかったクマを放獣してやる気があるのなら、かかってから相談では遅くて、一刻も早く対処してやらないと、この暑い中ドラム缶檻の中でクマは死んでしまいます。かかる前から放獣場所、放獣人員、放獣法の確認など、いろいろと準備しておかなければなりません。そういうことを一切していないということは、選択肢に放獣はないというのと同じであり、かかったら殺処分しますの担当者の言葉からはこれでいいのではないかとおもいます)
何人かの方が、今回のような場合、罠をかけてクマを捕殺することは無用の殺生になるだけで、新たな人身事故の防止にならないと電話をしてくださったようで、ありがとうございました。熊森としては、言うべきことはもう十分お伝えしたと思います。後は、前橋市の担当事務所が私たちの声を聴いてどう判断するのか見るしかありません。
再度追加
本部に入った情報では、赤城山でクマが捕獲された場合、殺処分するとも別の場所に放つとも、前橋市農政部農林課東部農林事務所ではまだ結論を出しておらず、事務所責任者は、麻酔銃がないので、捕獲後に群馬県と協議して結論を出すと言っておられるそうです。
新聞報道の写真を見ると、ドラム缶型檻ですから、この暑い時期、かかったらすぐに対応しないとクマが弱って死んでしまいます。かかったらどうするかその時になって県と相談するというのはどう考えても、間に合いません。
麻酔銃がなくてもその場でふたを開けて放してやればいいことですし、何よりも捕獲すること自体が間違っています。
群馬県庁にも声を届けた方がいいかもしれませんね。人間側の道徳観の喪失、生命軽視にははなはだしいものがあります。人間たち同士で正していかねばなりません。
くまもり本部が、クマ生息地の梨園の繁み伐採をお手伝い
兵庫県では今年、春先から人里付近でのクマの目撃数が多く、6月末までのクマの目撃数は過去最多となっています。残念ながら、これまでに2件のクマによる人身事故が起きてしまいました。
6月下旬、兵庫県温泉町の山辺にある梨の果樹園で糠袋の糠を食べた後、梨の木の上で昼寝をしていたと思われるクマとばったり遭遇して怪我をされた果樹園主を熊森本部職員が見舞いました。その際、道沿いには背丈の高いササが生い茂り、見通しが悪くて、これではここがクマの潜み場になると感じました。
果樹園主は高齢で、もう草刈りまでは手が回らないと言われていたのがずっと気になっていました。7月になって、草刈り機をもってこの方の果樹園を再度訪れました。
私が果樹園に到着すると、果樹園の中からライオンの鳴き声やパトカーのサイレン音等、5種類くらいの様々な音が突然大音量で流れ出したため、何が起きたのかわからず、びっくりしていったん逃げました。大きな動物がいるのかと思ってしまいました。落ち着いてから再び現場に戻ると、音の正体はセンサー式の警報器であることがわかりました。果樹園主が、クマが来ないようにあの後、対策を講じられたのです。
ご家族にご挨拶してから、さっそく草刈りを始めました。
↓
果樹園の周囲には、このようなササ地が3か所あり、全て刈りはらって見通しをよくしました。これで、当分クマが近寄りにくくなったはずです。
↓
草刈りを終えて一休みしていると、果樹園のご主人がお茶や冷たいコーヒーを持ってきてくださいました。怪我も大分治って、お元気そうな姿にホッとしました。
「ありがとう。前から草刈りをしなければとは思っていたけれど、一人でこの梨園をやっているので、年齢的にもなかなかしんどくて。本当に助かった。」と喜んでくださいました。暑い日できつかったのですが、喜んでもらえて私も疲れが吹っ飛びました。
この果樹園主は、17歳の時から何十年もこの地で果樹栽培をされてこられたそうです。
「ここには動物たちがよく来るんですか」とたずねると、後ろの山を指さして「山の中は、スギやヒノキでいっぱいだから、動物の餌になるものがない。だから、里に動物が降りてきてしまうんだ。」と話されました。
クマが出てきたから捕殺するという対応では、かけがえのない命が失われただけで、何も解決していません。
クマがなぜ出てきたのか、その原因をしっかり分析して対応してこそ大人です。
熊森本部では、毎年兵庫県のクマ生息地に出向き、クマを人里に引き寄せないために不要果樹や生ごみなどの撤去を手伝ったり、クマの潜み場をなくす草刈りをしたり、声を出してクマの追い払いをしたりして、人間とクマの軋轢の軽減をめざしてきました。過疎化高齢化した地元のみなさんの手助けが少しでもできればという気持ちです。
もちろん、クマ等の野生動物と人間の軋轢を防ぐためには、クマと人間が棲み分けることが最重要です。そのためには少しずつでも、スギやヒノキの人工林を自然林にもどし、クマなどの野生動物が里に出て来なくても安心して棲める食料いっぱいの森を復元・再生していく必要があると思います。
これまで会費で支えてきてくださった熊森会員のみなさんの多くが70代80代になり、高齢化して次々と退会せざるを終えなくなってきています。
私のように、体を張ってでも自然を守りたい、野生動物と共存したいと強く願っている若者たちもいますので、まだ会員になっておられない現役のみなさんは、私たちの活動を見ているだけではなく、会員になって会費を出し、熊森活動を支えていただければと心から願っています。どうぞよろしくお願いします。
このブログではまだ活動の一端しか伝えらていませんが、できるだけ熊森活動をみなさんに伝えていけるようがんばります。
くまもり本部2017年7月度> 自然保護ボランティア募集(初参加、非会員も歓迎)
- 2017-07-04 (火)
- _クマ保全 | _奥山保全再生 | _環境教育 | いきもり | お知らせ(参加者募集) | 太郎と花子のファンクラブ
※拡散希望
熊森協会本部では、各分野のボランティアを募集しています。
会員・非会員に関わらず、多くの方々にご参加していただきたいです。
学生さんや若い方も、みなさん誘い合ってご参加ください。
ご参加いただける方は、活動日の3日前までに電話、FAX、メールにて熊森協会本部事務局までご連絡ください。
本部電話番号 0798-22-4190
本部FAX番号 0798-22-4196
メール contact@kumamori.org
2017年7月の活動予定
<皮むき間伐フェスタ>暗い森を間伐して、動物が棲める豊かな森を再生しよう
7月30日(日)9:30現地集合 10:00~16:00
内容:皮むき間伐、森の紙芝居、ネイチャーゲーム、ロケットストーブで炊き出し体験
参加費:ひとり600円(昼食のカレー代・保険代)
集合場所:酒井公民館(兵庫県三田市酒井212-2)
持ち物:帽子、飲み物、動きやすい服装、雨具、マイ食器(コップ・お皿)
当日連絡先090-3288-4190
- 皮むき間伐は小学生以上であれば誰でもできる間伐方法です。真っ暗な放置人工林のスギやヒノキを間伐し、光を入れて豊かな森を再生していきます。1年でもっとも水分を吸い上げる今の時期が一番気持ちよく皮を剥くことができます。是非ご参加ください!
<自然保護CAFE> 自然を守る仲間になりませんか?
7月15日(土) 13:00~15:00
内容:自然保護に興味があるけどまだ参加したことない方、どんな活動があるのか分からない方など、熊森協会の自然保護をご紹介して一人一人に合った活動を楽しくお茶をしながらお伝えしていきます。これまでにボランティア活動に参加したことある方は体験談を話してもらったり、気軽に自然保護に関するお話ができればと思います。
場所:自家焙煎珈琲工房 ブルー ブルージュ(西宮市分銅町1-10)
※カフェをお借りするので1品以上のご注文をお願いします。
<いきものの森活動>森林整備
7月15日(土)苗畑のメンテナンス(兵庫県宍粟市千種町)
午前8:00に阪急夙川駅南口ロータリーに集合してください。
- いきものの森活動は人工林の間伐や実のなる木の植樹、クマの潜み場の草刈りや柿もぎなど、兵庫県北部を中心に実施しているフィールド活動です。参加者のペースに合わせて活動を進めていきますので、誰でもご参加いただけます。
現地までは本部が用意した車にご乗車いただけます。
天候不順で中止になることがあります。
当日連絡先090-1073-0980(担当:家田)
<環境教育例会(於:本部事務所)>自然の大切さを伝える
7月6日(木)10:15~ 見学も歓迎。
- 小学校や保育施設などで、森や動物の大切さを伝える環境教育を実施しています。環境教育例会では、授業に向けての練習や打ち合わせ、プログラムの作製を行います。絵本の読み聞かせや紙芝居にご興味のある方、子どもがお好きな方、ぜひご参加ください。
<とよ君ファンクラブ(大阪府豊能町高代寺)>飼育グマのお世話
7月6日、13日、20日、27日(毎週木曜日)
- 大阪府豊能町で保護飼育しているツキノワグマのとよ君のお世話です。
現地までの交通手段は本部にご相談ください。
<太郎と花子のファンクラブ(和歌山県生石町)>飼育グマのお世話
7月23日(日)(毎月第4日曜)
参加費:1000円(交通費)
- 和歌山県生石高原で保護飼育しているツキノワグマの太郎と花子のお世話です。
午前8:30に阪急夙川駅南口ロータリーに集合してください。
現地までは本部が用意した車にご乗車いただけます。
環境教育以外は兵庫県ボランティア保険(4/1~3/31の年間500円)への加入が必要です。
太郎と花子のファンクラブ以外は本部の車に乗車される場合、集合場所から現地までの交通費は不要です。
自車参加も可能です。
たくさんの方のご応募をお待ちしております。よろしくお願いします。
兵庫県知事立候補者へのくまもり奥山アンケートの結果です 7月2日投票時のご参考に
兵庫県知事選挙に4人の候補者が立候補されています。
各候補者事務所に熊森協会本部より、次のようなアンケートをFAXで送らせていただきました。
<アンケート前文と質問事項>
兵庫県の中部・北部の奥山は、戦後の国策であった拡大造林政策により、スギやヒノキなどの針葉樹の人工林で埋められたままになっています。その結果、山からの湧水が激減しており、大変なことになってきています。また、奥山を生息地としていたクマをはじめとする野生動物たち(国策の第一次被害者)は生きられなくなり、人里に出て来て、地元の人たち(国策の第2次被害者)を困らせ、大量捕殺されています。政治は、この両者を救わねばなりません。
当協会は、
①奥山スギ・ヒノキ林を林業用に間伐するだけではなく、自然林へ大幅に転換させて、野生動物たちが山に帰れるようにし、昔のように人と動物の棲み分け共存を復活させること、それによって
②次世代の水源を確保すること、
③野生動物を大量捕殺するのではなく、被害防除対策に予算を集中させることを願っています。本来の生息地を失っている絶滅危惧種のクマを、スポーツやレジャーとして狩猟対象にすることはやめるべきです。
④当協会のような民間自然保護団体が奥山問題に参画できるように、兵庫県立森林動物研究センターが持っている情報を隠ぺいせず、せめて他府県並に公開することを求めます。
回答者のお考えに〇をお付けください。
候補者への質問
Q1、奥山スギ・ヒノキ林の自然林化について
1、大いに進める 2、どちらともいえない 3、多くの人工林を温存する
Q2、兵庫県がツキノワグマを狩猟対象としていることについて
1、狩猟禁止とする 2、どちらともいえない 3、今後も狩猟対象とする
Q3、兵庫県立森林動物研究センターの、他府県並情報公開について
1、他府県並に公開する 2、どちらともいえない 3、情報を公開する必要はない
コメントがありましたらお願いします。
以上
6月26日現在、全候補者より回答がありましたので、ご紹介します。(クリックするとPDFが開きます)
(回答受信順)
(熊森より)
各候補とも、誠実にお答えくださっていると感じました。
候補者の皆さん、超多忙の中、本当にありがとうございました。
★熊森会員をはじめとする兵庫県民の皆さん、どうぞ候補者選びの参考になさってください。
6月15日 とよが初めて山菜を食べました!
- 2017-06-16 (金)
- _クマ保全 | 大阪府 | 豊能町誤捕獲クマ「とよ」
これまで何を与えても、ほとんど山菜類を食べなかった「とよ」に、本日、ミズ(ウワバミソウ)を与えたら、初めて食べました。
熊森的には、ビッグニュースです。
目を輝かせてうれしそうに、ミズをたべる「とよ」
「とよ」お世話ボランティアのKさんが、岡山の山からミズを取って持ってきてくださいました。
「とよ」は、なんと、ミズにむしゃぶりついて、バケツ1杯分も食べてしまったそうです。
驚きニュースに、熊森本部事務所は湧きました。
お世話隊長のHさんが、動画でばっちり撮影してきてくださいました。
クマの大好物とは聞いていたけれど、ミズなら食べたのか。
かつて、母さんに教えてもらって、一緒に食べたんだろうな。
「とよ」の、この上もなくうれしそうな表情を見ていると、
やさしかった母さんとミズを食べた幸せな日々を思い出したのかなと思いました。
お世話隊は、さっそく、本日、獣舎内に、ミズを植えたそうです。
「とよ」がこんなに喜んで食べる山菜があっただなんて。
Kさん、ミズを取ってきてくださってありがとうございました。
5月31日、会津若松市の工業団地に迷い込んだクマを駆除→山へ帰す優しさを望む
- 2017-06-03 (土)
- _クマ保全
5月31日、福島県会津若松市内の住宅地と工場が隣接する場所で、クマの目撃情報が相次ぎ、同日午前10時頃、地元猟友会の会員がこのクマを駆除しました。
熊森本部は、すぐに会津若松市の担当部署へ電話しました。
〇会津若松市の担当者のお話
クマが出没したエリアは、阿賀川とJR只見線が交差している地域で、山からは遠い。
阿賀川は、奥羽山脈から流れ出る大きな河川で、河川内には人の背丈を超す繁みが広がっている。
今回のクマは奥羽山脈の方から阿賀川を伝って北上し、JR只見線の法面の繁みに入って住宅地に侵入してしまったのだと思う。
会津若松市は、周囲を山に囲まれた盆地。
市街地と山の接する場所や河川の近くでは度々クマが出没し、行政の担当者らが爆竹等で追い払ったりしてきた。
このクマは、最終的に周囲を住宅地で囲まれた緑地の中に潜み、この後どこへ逃げるのか分からなかったため捕殺する以外の対応はなかった。
(熊森から)
福島県郡山市では、2015年11月27日に工場内に入ってしまったクマを捕獲し、山へ放したという報道がありました。
今回もクマを捕獲して、山へ放獣してやる優しさが必要だったと思います。
もし自分がこのクマだったらと、共存するには常に相手の立場に立って考えてみることが必要です。
繁み伝いに移動していたら、突然町に入ってしまい、人間たちに追い掛け回されて、元来た道に帰れなくなってしまった可能性があります。
熊森本部は、今後、人間の居住区にクマが迷い込まないようにするために、河川内のクマの侵入経路となる繁みをできるかぎり刈りはらって、クマの潜み場を失くしていただくよう、市の担当者にお願いしました。
クマと人間の事故を防ぐためにも、ぜひ実施してください。
市民もボランティアで、手伝えればいいですね。
秋田県、早急に立ち入り禁止措置「やれることは全部やっています」田沢湖死亡事故
2017年5月27日、秋田県仙北市田沢湖玉川で、ネマガリダケをとりに笹薮へ入られた女性が、クマと思われる動物にかまれたり引掻かれたりして亡くなるという事故が発生しました。土曜日であったため、県や市とは連絡が取れず、熊森本部はすぐに警察に状況を聞き取りました。
〇警察担当者のお話
女性は、本日早朝から、お連れ様(女性)とネマガリダケをとりに山へ入られていた。笹薮の中でお互いにはぐれ、お連れ様は近くにいた他の山菜取り客に捜索を手伝ってもらった。しかし、女性が血を流して倒れているのを発見され、病院に搬送された。女性はニュースでは重体と言われているが、亡くなられている。
6月2日、熊森本部は秋田県庁・仙北市へ電話し、詳しくお話を伺いました。
〇仙北市の担当者のお話
事件現場は、田沢湖から北へ20km離れた場所で、鹿角市との境界近く。標高1000m前後で、国道341号線から近い場所にあり、国道の東側の焼山山系に属する。
この現場は、毎年多くの方がタケノコ取りに来るスポットで、去年の鹿角市での事故が相次いでいるときも、多くの方々が山へ入られていた。
しかし、これまで、この現場付近でタケノコ取りに入った方がクマに襲われるということはなかった。近くには玉川温泉郷などの観光地もある。
〇秋田県庁の担当者のお話
亡くなられた女性は、頭や左腕に深い引っかき傷と、かまれた跡があったようで、警察は失血死だとみている。警察の報告では、傷の状況からクマによるものと考え、県もクマによる人身事故として対応していく。女性の身体は、クマに食害された跡はない。
今後の現場対応としては、事件現場付近の笹薮への立ち入り禁止措置をとっている。事件現場は国有林で、国道から現場付近へ向かう林道を封鎖して、毎日朝4時から昼まで8人の警察官がパトカー4台で見回りし、現場へ入ろうとする人がいないか監視している。やれることはすべてやっている。
(熊森本部から)
この度の事件で、亡くなられた方とご遺族の方々にご冥福をお祈りします。
昨年の鹿角市での死亡人身事故を受け、秋田県は今年4月からの新しいツキノワグマ管理計画で、
「死亡事故が発生した場合の入山禁止、道路閉鎖等を関係機関と協力して迅速に実施する。」という方針を示しています。
今回の事故現場は、秋田県や関係機関によって早急に立ち入り禁止措置をとられました。このような対応は、今後さらなる人身被害を防ぐために必要だと思います。
しかし、立ち入り制限を行っても、現場を柵で取り囲んでいるわけではないので、どうしても入山される方がおられるそうです。
見通しの悪い森林内では、常にクマと人間が遭遇しやすい状況です。
これから事件現場へ山菜取りへ行こうと思っておられる方は、さらなる人身被害を防ぐため、入山をお控えいただきたいと思います。