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奥山広葉樹林化の現場を見る① (兵庫県戸倉第1皆伐地)

兵庫県宍粟市にある、奥山保全トラスト所有(120ヘクタール)の奥山広葉樹林化現場を見てきました。

周辺の延々と続く人工林地帯の中にあるこのトラスト地は、大部分が原生的なブナ・ミズナラの巨木林です。

奇跡的に残されたたすばらしい森ですが、ふもとの谷川沿いを中心に、以前植林されたスギの人工林が、約12ヘクタールほど分散して存在しています。

奥山保全トラストは、これらの人工林を、ふもとから順次、すべて広葉樹林化して自然林に戻す方針です。

 

すでに、第1皆伐地の広葉樹林化は終わっています。

伐採前

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第一皆伐地 2011,9,7撮影

 

皆伐 スギが良く成長しており、伐採木で地面が埋まってしまいました。

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皆伐後の杉丸太の運びだし

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林内作業車で、道のある対岸に丸太を引っ張り上げる。

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近くまで来てもらったトラックに載せて搬出。

 

2012年

人工林跡地に、大阪西ライオンズクラブの皆さんが広葉樹を植樹

 ↓

現在

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南道から撮影

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東植樹地から撮影

第一皆伐地 2015,10,22撮影

 

ここに至るまでには、都市や地元の多くの皆さんのご支援、林業従事経験のある職員、多くのボランティアの皆さんのがんばりがありました。

クマの食料供給調査1:今年からクルミを食べ始めた (於:兵庫県豊岡市)

10月6日、くまもり本部は、今年の野生グマの食料供給状況を現地調査しました。

地元の方が、クルミの木を指さして、今年初めてクマがクルミを食べに来たと教えてくれました。

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これらのクルミの木は野生のオニグルミではなく、栽培種のクルミです。殻が固いので、これまでは、さすがのクマも食べに来たことがなかったそうです。

そばに行ってみました。枝が見事にボキボキです。

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幹には爪痕がくっきりと残っています。クマです。

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食べ跡が落ちていました。

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左の2つはリスがクルミを食べた跡です。リスは、クルミの割り方を知っているので、きれいに殻が2つに分かれています。

右の一つは、クマが食べたクルミです。力任せに割っているので、われ口がギザギザです。

こんな固いものに挑戦しなければならないほど、食べ物に困っているのでしょうか。

 

今年、福島で撮影された「春よこい」という映画の中で、会津のマタギの方が、「クマがクルミを食べ始めた。今までなかったことだ」と驚いておられる場面がありました。クマの食性に変化が生じたのでしょうか。

 

以前、富山県のくまもり支部長が、富山のクマは、クルミの実がまだ緑色で殻が固くなっていないときに、丸ごとクルミを食べていると教えてくださいました。

 

みなさんの地方ではどうですか。調べてみてください。

 

9月24日【本部】兵庫県ハチ高原・氷ノ山で山の実りの豊凶調査

あいにくの雨天でしたが、双眼鏡を持ってドングリなどの豊凶調査に出かけました。

最初に訪れた鉢伏山(1221メートル)は広大な山で、国定公園内にあります。クマをはじめとする野生動物たちが暮らすのにぴったりの場所ですが、行ってみて大ショックを受けました。

戦後に開発が始まったそうですが、今ではハチ高原スキー場やハチ北スキー場のコースが何本も走っており、長いコースは2500メートルもあるそうです。リフトもあちこちに張り巡らされています。

スキーだけではなく、パラグライダー、キャンプ、登山と、1年中を通じてアウトドアのメッカだそうです。もう、山全部が、人間の開発によって徹底的に蹂躙され終わったという感じでした。こんな巨大な山を、ここまで丸裸に近い状態にまで開発した人間という動物が恐ろしくなってきました。自然や山への畏敬の念などゼロだと感じました。

鉢伏山

ブナ、ミズナラ、コナラの木がスキー場の道路沿いに少し残っていました。ブナの実を拾ってみましたが、全てシイナでした。

たとえ実が実ったとしても、こんな恐ろしい場所にクマたち動物は来れません。みんなどこへ行ってしまったのでしょうか。

戦後、どんどんと森が復元して、兵庫県のクマたちの生息地は増える一方ですという兵庫県の研究者たちの発表や、それを真に受けている兵庫県を思い出して、悲しくなりました。「クマたちの生息地を取り返しがつかないまでに大破壊した」が、真実なのです。みなさん、グーグルアースで、鉢伏山を一度、見て下さい。

あまりにも今の世の中、嘘の情報が多すぎる。しかも、嘘情報ほど、大手を振って歩いているのです。苦しくなってきます。

 

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豊凶状況を確認。

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ミズキの豊凶を調査

今回調べた場所は、氷ノ山から鉢伏山にかけての標高900~1200mのエリア(鉢伏山・福定・大段ヶ平)で、ここは、クマの貴重な食糧源となるブナやミズナラといった堅果類や、ミズキのような液果類が多くある地域です。3名が、豊凶調査は初めて。

コナラ2

コナラ

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ブナ

ミズナラ

ミズナラ

木に実がなっているかどうかは、必ずしも木の近くへ行けばわかるというわけではありません。特に、ミズナラ、コナラは、高さ20m、ブナは30m近くの高さにまで成長します。それらの実は、上向きに付くので、木の真下から見上げると葉に隠れてかえって実が見えなくなってしまうのです。

その樹木全体でどれだけ実が成っているかを調べるコツは、対象の樹木からある程度離れた所から、双眼鏡を使って調査すると良いという事を、この日学びました。

ミズキ

ミズキ

ヤマブドウ

ヤマブドウ

ミズキやヤマブドウ、サルナシ、マタタビ、アオハダ等の液果類も、クマの好物です。

最後、鉢伏山の隣の氷ノ山(兵庫最高峰1510メートル)を訪れました。氷ノ山にもスキー場はいくつかありますが、こちらの山は、まだ自然もある程度は残されており、ホッとしました。夏来た時は、あまり気づきませんでしたが、秋に来ると、ミズキ、クマノミズキ、ヤマブドウが結構あちこちに見られ、クマたち森の動物が食べられるかもと思いました。ただし、今回は、道路沿いの木しか調べなかったので、何かの動物たちに会ったり、痕跡を見つけたりすることはありませんでした。氷ノ山のブナは、うれしいことにいくつかが充実種子でした。みんなでソバのような小さな実の皮をむいて食べてみました。ヤマブドウやミズキ以上に、とてもおいしかったです。動物達もこの木に食べに来ればいいなと思いました。

 

今回調査してみて分かったことは、同じ場所に植わっている木であっても、実が付いているかいないか、多くついているか少しかなどに、かなり個体差があるということでした。隣り合った木でも、片方は豊作で、片方は全く実が付いていなかったりします。熊森では、大体その場所にある同じ種類の10本の木を調査して、数値化し、豊凶を出しています。

 

今年の兵庫県の堅果類の豊凶度合ですが、兵庫県立森林動物研究センターの発表によりますと、ブナとミズナラは並上、コナラは豊作だそうです。

熊森の判定はワンランク下です。

ただし、センターの発表は、ブナに関しては、目視だけであり、充実種子かシイナかは調べていないということです。ミズナラとコナラは目視だけでいいのですが、最近のブナの実は、中味のないシイナ率が無視できない割合で発生しているため、熊森はブナの実を持ち帰って、動物たちに食料を提供できる状態かどうか調べています。

 

全国各支部のみなさんも山の実りの豊凶調査を行い、本部までご報告ください。クマのいない県でも、調べてほしいです。

 

2015年山の実り調査実施 ブナ、ミズナラ共に並下

今年の秋のクマの出没を予測するため、本部では毎年9月の初旬にブナとミズナラの豊凶調査を実施しております。

今年は9月11日~16日までかけて、一応兵庫県全域を回ってきました。

A堅果

●ブナ:並下

ブナは氷ノ山近辺では豊作の木が多かったのですが、それ以外の地域では実りが並作以下のものも多くて、全域で平均すると並下という結果でした。

下の写真は、養父市にある妙見山のブナです。

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一見、豊作ですが、シイナ率を調べるため、持ち帰って、種子の中身を調べてみました。

シイナ:殻だけで中身がない。動物の食料にならない。

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なんと、種子は100%シイナで、健常種子は見当たりませんでした。これは標高が低い所で採集したため、地球温暖化の影響を受けていると思われます。

ある程度標高の高い場所に生えているブナじゃないと、今や健常種子にならないのだそうです。

 

 

●ミズナラ:並下

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福定のミズナラ

ミズナラもブナと同様並下ですが、ブナよりもさらに実りが悪く感じました。それぞれの場所に1本くらいは豊作の木も生えていましたが、兵庫県全体では、どちらかと言えば不作の木が多かったように感じます。

 

B液果

ところどころに生えていた山ブドウも見てきましたが、山ブドウは鈴なりに実がついている木をいくつか見つけました。

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山ブドウ

 

サルナシもたくさん実がついているものを見つけましたが、数自体をたくさん見れていないので全体の豊凶状況は分かりませんでした。食べてみると、まるでミニキウイです。

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サルナシ

この時期、クマのフンによく入っているアオハダも実っていました。

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アオハダ

 

ミズキもよく実っていると感じました。ミズキはクマノミズキとよく似ています。

今年のクマノミズキは生理落下(完熟しないうちに落ちてしまう)が多いようです。ミズキには生理落下がほとんどありません。

ハチ北 (3)

ミズキ

 

 

今年の兵庫県の豊凶状況ですが、ブナやミズナラなどの堅果類だけではなく、山ブドウやアオハダ、ミズキなどの液果を含めて考えると、そこまで悪くはないのかなと思っています。

ただし、ブナに関しては10月の種子散布時期にもう一度シイナ率を調べに行く予定ですが、その割合によってはブナが不作になることも考えられ、油断はできません。

 

3月27日 兵庫県千種町、15年前に皆伐したスギ人工林跡地での生態調査(本部)

ここは標高1000メートルの斜面です。積雪は、多い時には4メートルにも達します。

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2000年に人工林が皆伐された後、熊森も含め、いろいろな団体が、シカよけ柵を付けて実のなる木の植樹に挑戦しました。

 

しかし、春先の雪解け時に、雪が斜面を滑り下ってシカよけ柵や苗木をぎ倒してしまうため、苗木が育ちません。現在は、ササやススキなどに覆われる草原になってしまっています。

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2014年7月撮影

3月27日に訪れると、まだ1m前後の雪に覆われたままでした。このような環境で、いきものたちはどのようにして食糧を確保しているのでしょうか。

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写真はウサギの足跡。進行方向は奥から手前へ。

雪面をよく観察すると、まず動物の足跡に目をひかれました(写真上)。

足跡の多くはウサギで、先を辿ると、低木に行き当たります。芽の部分にウサギ独特の刃物で切り落とされたような食痕があり、その近くにウサギの糞が落ちていました(写真下)。

数は少ないのでしょうが、兵庫の山にまだウサギが生き残っていた!(うれしくなりました)

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ウサギの食痕

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ウサギの糞

低木や幼木の木の芽や樹皮が、ウサギの食料源になっていることがわかります。

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皆伐地に点々と生える低木。樹種はコハクウンボクなど。

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低木は、枝先まで雪に埋もれている

周りに残された人工林は、スギやヒノキの単一林で、林内に動物たちの食糧はありません。

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皆伐地周辺の人工林内。

また、この場所では、シカやイノシシの足跡や食痕、糞は確認されませんでした。局所的にみられるブナの木には、クマの古い爪痕が見られました。新しいのは見つかりませんでした。

大型野生動物たちは、みんなどこへ行ってしまったのでしょうか?

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ブナ樹皮に残る古いクマの爪痕

調査当日は春先の温かい日でした。日の当たるところでは、雪が解けて足跡が消えてしまい、どの動物の足跡か、はっきりしません。と言って積雪時は、ここには入れません。

 

来年は、自動撮影カメラなどを使い、冬季間の動物の生態調査をしてみたいと思いました。

 

 

3月17日 鹿児島県森林管理署のご厚意で、人工林伐採跡地に広葉樹を植樹(くまもり霧島植樹地)

鹿児島県霧島市の人工林率は70%という高率です。

そのなかで、少しでも動物の棲める広葉樹の山を取り戻したいと、くまもり鹿児島県支部は鹿児島県森林管理署にお願いし、平成23年、人工林伐採跡地の国有林約1.2haに、実のなる広葉樹500本を植えさせていただきました。

3月17日、森山会長と九州各県の熊森支部長らが、くまもり霧島植樹地を視察しました。植樹地は、シカよけ網で囲まれており、毎年下草刈りも行われ、苗木は順調に育っていました。

 

植樹地遠景。枯草で白っぽく見える所が、植樹地です。このあたりの山は、なぜか山の形が独特で、見慣れない不思議な形をしています。案内してくださった鹿児島県会員に尋ねると、シラスという火山灰で出来た山だからだそうです。

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 植樹地は、道路の上と下に分かれています。

 

看板 写真は、逆光で字が読みにくいですが、「動物たちが棲める豊かな奥山、水源の森を次の世代に」と書かれています。

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シカよけ網で囲まれた植樹地 マテバシイなどの常緑広葉樹や、クリ、アカガシ、ヤマザクラなどが植えられていました。

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ここはウサギが多くて、ウサギが苗木を齧るそうです。刃物でスパッと切ったように枝が落とされているのはウサギの仕業で、あちこちに落とされた枝がありました。シカが多いということでしたが、地面には一面に枯草が生えており、表土が露出したりはしていませんでした。九州の暖かさと雨の多さのおかげで、シカが食べても食べても草は消えないのでしょうか。

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ウサギに齧られた枝

 

掘ったばかりの穴が道路と植樹地の間のアスファルトが浮き上がったところにありました。

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 アナグマがミミズを探して掘ったあと

 

草が多いところは、生き物も多いようです。

広葉樹の植樹に土地を提供してくださった鹿児島県森林管理署に感謝しながら、帰途につきました。 全国でこのような取り組みが広がればいいですね。鹿児島県支部は、今年も、下草刈りを行います。鹿児島県支部の皆さん、その時は駆けつけてあげてください。

 

 

10月7日 兵庫県但東町くまもり東部植樹地調査 ③ここのクリの木にも熊棚が

こちらは2002年から何度も植樹をしに行った場所です。ミズナラ、コナラ、アベマキなどのどんぐりやシバクリが植えられていました。

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この植樹地はかなりの急斜面です

 

この植樹地にも、今年、クマが来ていました。まだ、効力はわずかかもしれませんが、クマ止め林の役目を少しずつ果たせるようになっていっていると思います。

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クマが折ったクリの木の枝

ここの植樹地で大きくなったミズナラにどんぐりがなっていました。

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ミズナラのどんぐり

 

今回、柿植樹地以外の全ての植樹地で、クマを初めとする野生動物たちが、植樹した苗木の実を今年も食べている痕跡を見つけることができました。植樹に参加してくださった当時のみなさんに、是非ご報告したいです。

 

しかし、自然に生えている山のドングリ類には、例外となった1本のシバグリ以外、クマ棚が全く見当たりませんでした。

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 山中に、クマ棚が全く見られない

 

20年程前になりますが、兵庫県と岡山県の県境近くの奥山の林道を走っているとき、周りの木々に、クマ棚がどこまでも延々とできていたのを覚えています。一体この一帯には何頭のクマがいるのだろうかと驚きましたが、意外と、1頭だったのかもしれません。

今回、山中にクマ棚を見つけることはできませんでしたが、クマがいなくなっているのではなく、最近のクマは、ドングリが落ちるのを待って食べるようになり、カキやクリ以外の木に登って実を食べる習性がなくなって来たのかもしれないという推論も成り立ちます。

 

自然界は、このように、まこと、判断がむずかしいです。

 

しかし、どんなにクマの習性が変わっても、糞は絶対にするはずなので、糞を探すことにも力を入れていきたいです。

 

募集!

11月8日に、豊岡市但東町で、クマ止め林の植樹会を実施します。ご自分の車で現地に集合できる方は、是非ご参加ください!!

自分が植えた苗木の実を、クマをはじめとする動物たちが食べるようになった時は、感無量ですよ。

 

9月28日 土砂で埋まっていく日本の渓流に危機感 兵庫県宍粟市<渓流の生物調査>

くまもり本部は、兵庫県の奥山の渓流に入り、水生生物の調査を行いました。

地元集落のおばあさんの話によると、昔は、この時期になると、30㎝ぐらいのアマゴが産卵のために浅瀬にたくさん上がって来て、女でもいくらでも手づかみできたということです。

 

8年前にここの谷川を見た時、すでに魚影が、見当たりませんでした。

地元の方の中には、釣り人が来て乱獲しているとか、バッテリーを持った人がやって来て、根こそぎ魚を獲っていったとか教えてくださる方もあり、わたしたちは胸を痛めました。

渓流魚は絶滅してしまったのでしょうか。今回、専門家に来ていただき、みんなで調査することになりました。

 

この日、指導して下さったのは、くまもり会員で渓流釣り歴40年のベテラン渓流釣り師です。

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まず最初に、この方は、青い雑巾で水中の岩肌をぬぐわれました。

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そこには、何匹かの小さな黒い虫がついていました。これだけで、「この川に、魚がいます」と、この方は断言されました。さっそく、釣り針にミミズを付けて、谷川の魚がいそうなところにたらすと、しばらくして12センチのアマゴがかかりました。

「まだ、アマゴが残って居た!」

わたしたちはうれしくなりました。初めてアマゴを見る人もいました。確かに、ヤマメと違って、体側にきれいな赤い斑点が付いています。

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魚は、写真撮影後、直ちに、川に戻してやりました。

 

わたしたちは、タモ網を使ってガサガサ調査をしました。

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川の中の石の下は、水生生物たちの大事な隠れ家です。石ををひっくり返すと、川虫やサワガニ、カジカなどの生き物の姿が少しありました。隠れていたところをびっくりさせて、申し訳なかったのですが、生き物たちと少し出会えてほっとしました。

 

(今回確認できた水生生物)

〇アマゴ、タカハヤ、カジカ、サワガニ、イモリ、川虫…本当に少しだけですが、見つけることができました。

× イワナとヤマメは、見つかりませんでした。

 

今回の調査で、谷川の水量が少なかったこと、流れが緩やかなこと、岩の下の空間が土砂で埋まっており、魚たちの隠れ家があまりないことなどが気になりました。

 

渓流釣り師は、まず山に入るとき、上流の山を見るそうです。戦後の拡大造林で、人工林にされてしまったところは、水量が激減です。魚もそれにつれて激減で、釣り場としては、だめだそうです。

 

また、人工林の中は下草が生えていないため、雨が降るたびに表土が流出し、谷川に流れ込んで、川を埋めていきます。川の流れが緩やかになると、水の中の酸素が不足したり、淵がなくなったり、川の中の岩の下にあった大きな空間(水生生物の隠れ家)が埋まったりして、渓流魚や川虫などの水生生物は生きづらくなります。

 

また、ダムが造られると、これらの魚は海に行けなくなってしまいます。

この日、興味深いお話をいろいろと聞かせてただきました。くわしいことは、会報などで、会員のみなさんにお伝えしていきたいと思います。

 

最近は、原生林でも下草が消えて、林床が茶色一色になっている所が多々あります。

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ササが消え、林床には、シカが食べないチャボガヤがうっすらと生えているだけです。(6月撮影)

この原因はシカだと言われていますが、それだけが原因かどうかはわかりません。その結果、雨が降ると、原生林からも土砂が流れ出て、原生林内の谷川までもが埋まっていきます。

ここでも、沢の両岸の樹木の根がむき出しになっており、川岸の土砂が谷川に崩れ落ちているのがわかります。その結果、両岸の樹木があちこちで倒れ込んできていました。

 

わたしたち人間が、経済や自らの欲望のために行ってきたことが、多くの魚たちや虫たちの生息場所を奪ったのだと思うと、悲しくなりました。

 

もう一度、昔のようにこの谷川に大きな魚をたくさんよみがえらせるには、大量の水量と、速い流れを復活させることが必要です。そのためには、この地域の奥山全部の風景を、昔の広葉樹林に戻さねばなりません。一市民団体だけでは限界があります。国を動かさなければ、だめです。

 

★当協会がシンボルにしているクマから見れば、戦後人間が奥山にしてきたことは、実りをなくし、昆虫をなくし、渓流魚をなくしたことで、徹底的にクマたちから餌を奪ったことになります。クマたちは里に出ていくしかありません。

2014年本部調査 山にクマの餌がない! 今年の豊凶調査はブナ凶作、ミズナラ不作

熊森協会本部では9月9日から13日までの5日間、兵庫県の但馬地方を中心に山の実り調査をしてきました。

調査樹種はブナとミズナラで、豊凶ランクは◎豊作・〇並作・△不作・☓凶作の4段階に分けました。各調査地で約10本程をブナは13カ所、ミズナラは15カ所で見てきました。

ブナは昨年度が一斉開花の年だったので、今年は凶作だろうという予想のもと調査しました。結果は、やはり凶作でした。ミズナラだけでも実りがあればと願ったのですが、ミズナラも不作でした。

昨年ほぼ豊作だった峰山高原のミズナラも今年は不作以下という状況でした。

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昨年度 2013年9月16日撮影 峰山高原のミズナラ-豊作

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2014年9月13日撮影 峰山高原のミズナラ-凶作

 

ブナはどの木も凶作です。梢枯れした枝に少しだけ殻斗がついている木がわずかにありましたが、中に実が入っているかどうかどうかは疑問です。しかし、それ以外はまず実が見つかりません。ゼロと思っていただければいいと思います。

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梢枯れした枝にわずかについたブナの実

ミズキはクマが大好きで、液果の小さな実がなる植物です。昨年は、この時期にたくさんの赤い実がついたいました。しかし、今年はまだ実が青く、実自体がついていない枝も多かったです。

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昨年度 2013年8月22日撮影  鉢伏のミズキ-全体的に赤い実がついているのが分かります

 

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2014年9月12日撮影  鉢伏のミズキ-全体的に実がほとんどついていません

 

今年は東北地方から中部・北陸のあたりなど、全国的に山の実りが悪いと報道されています。本当はコナラやアベマキ、ウラジロガシなどもきちんと調査すべきですが、ざっと見た感じではあまりよくないように感じました。ブナ・ミズナラ・コナラに関してはもうすぐ、兵庫県森林動物研究センター(行政)からも、発表があると思います。まず昨年よりかなり悪いと思います。

 

以前、山の実りが凶作の年、兵庫県では、秋にクマが集落に大量出没していた時期があります。最近は、春や秋から餌を求めて出てきているので、秋に大量に出て来る現象がおきるのかどうか、わかりません。

 

ただ、本来、おとなしくて臆病な動物なので、人間側が気を付けて行動すれば、人身事故も減らせます。クマの棲む山に入るときは、一人でそっと入らず、大きな声や音をたて続け、クマに人間が来たことをしっかり知らせてください。クマの方が、人間に出会わないように移動してくれます。

 

6月8日② オタマジャクシの天の川

池のふちに黒い線が引かれており、キラキラ輝いていました。

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そばへ行ってみてびっくり。オタマジャクシの塊でした。さっそく、オタマジャクシの天の川と名付けられました。

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池のまわりはイタドリの大草原です。シカはイタドリが好物と聞いていますが、食べていないところを見ると、もうシカはほとんどいないのでしょうか。草の中では小さな茶色のカエルがいっぱい飛び跳ねており、何度も踏んでしまいそうになりました。

 

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池の周りをはじめ、トラスト地内の人工林約30ヘクタールは、いずれ広葉樹の自然林に戻していく予定です。

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