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[速報] 森林環境税 27562筆の全国署名と要望書を総務大臣宛に提出!!
全国で放置人工林の天然林化が進むよう要請しました
昨日3月13日、東京都の総務省庁舎内にある総務大臣政務官室にて、古賀友一郎政務官(参議院・自民)に、皆様の想いが詰まった2万7562筆の署名と森林環境税でスギ・ヒノキの放置人工林を天然林に再生することとそのための体制整備を求める要望書を届けてまいりました!
熊森本部に届いたたくさんの署名用紙には「日本の森を豊かにしてください」「国を変えるために熊森ががんばってほしい!」というお手紙も一緒に送ってくださった方々もおられました。みなさんの想いを、日本熊森協会の室谷悠子会長と現役参議院議員の片山大介顧問がしっかりとお届けさせていただきました!
署名提出後、室谷会長は、古賀政務官へ以下のような要望書を提出しました。
室谷会長はここで、
- 日本の人工林の3分の2が、放置林で、野生動物の食料にならないスギやヒノキの単一針葉樹林を人間が植えてしまったことで野生動物の生息地が失われてしまったこと。
- 山の保水力を著しく低下させ、各地で湧き水が激減し、台風や大雨により放置人工林が大規模に崩壊し、毎年多くの人命や財産が失われていること。
- スギ・ヒノキから発生する大量の花粉が、多くの国民が花粉症をもたらしていること。
について政務官にお話し、森林環境税を使って全国規模で放置人工林の天然林化を進めていくように国の政策を大転換していただきたいと要望されました。
古賀政務官は
「この問題は非常に重要な問題ですね。昨年は西日本豪雨災害など大規模な大雨災害がありました。総務省としても、森林環境税・譲与税が放置人工林の天然林化が進んでいくよう取り組んでまいります。」と回答されました。
片山大介顧問は
「森林環境税・譲与税がしっかりと市町村に天然林化に使っていただけるような体制づくりをしていただきたい。今後の国会で質問します。」と、古賀政務官へ話されました。
日本の森林は今、大転換期を迎えようとしております。熊森が今取り組んでいることは、今後の日本の歴史を大きく変えることにつながるかもしれません。メディアのみなさまには、ぜひ取材をしていただきたいです。またフェイスブックでこのブログを読まれた方は、広く世界へ拡散してください。
速報:森林環境税・譲与税法案 衆議院総務委員会可決
附帯決議に「放置人工林の広葉樹林化」と体制整備が入りました!
2018年3月1日深夜、森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律案が、衆議院総務委員会で可決されました。
その際、自由民主党、立憲民主党、無所属フォーラム、国民民主党、無所属クラブ、公明党、日本維新の会及び希望の党の6派の共同提案による附帯決議も可決されました。附帯決議とは、政府が法律を執行するに当たっての留意事項を示したものです。
森林環境税・譲与税法案の付帯決議では、「放置人工林の天然林化」とそのための体制をつくることといった熊森が訴えてきた条項が入りました!
放置人工林の天然林化(広葉樹林化)を国会に出向いて訴えていたのは、私たちだけでしたが、本部支部あげて国会議員にアタックした結果です。
衆議院総務委員会の国会議員の皆さま、本当にありがとうございます!
審議は、参議院に移りますが、引き続き放置人工林の天然林化を訴えていきます。
(衆議院総務委員会での付帯決議の抜粋)
政府は本邦の施行にあたり次の事項に対して適切に処置すべきである。
12 私有人工林において、荒廃し、保水力低下、土砂災害の発生、野生鳥獣の生息地の破壊、花粉症罹患者の急増など、深刻な問題が生じていることがわが国の森林における重要な課題であると鑑み、豊かな水源の森再生のために、森林環境譲与税で地域の自然条件に応じて放置人工林の広葉樹林化を進めること
13 広葉樹林化の施業は実践例が乏しく、森林環境譲与税の交付を受ける自治体にその技術がなく、人材も不足していることから森林環境譲与税で放置人工林の広葉樹林化が進むように具体的な指針を示し、必要な支援を行うこと。
14 既存の森林整備に係る補助金等は放置人工林の広葉樹林化に利用が難しく、自治体独自の補助事業もほとんどないことに鑑み、放置人工林の広葉樹林化が各地で進むよう必要な取り組みを行うこと。
15 森林環境税及び森林環境譲与税制度について各自治体における使途及び豊かな森林の公益的機能増進への効果を検証しつつ、必要がある場合には豊かな森林環境の生のために森林環境譲与税の使途や譲与基準を始め、所要の見直しを行うこと。
熊森から
放置人工林の天然林化を誰よりも待っているのは、有害獣のレッテルを張られ、無残にも大量捕殺され続けている日本の野生動物たちでしょう。
彼らは、人間のところに出て来たくて出て来たのではなく、荒廃した広大な放置人工林によって山で生きられなくなり、生きるために食べ物を求めて里に出てきたのです。
熊森は、今回の付帯決議を、誰よりも、彼らと喜び合いたいです。
動物たちに帰れる森を、地元の人たちに安心を。
熊森は、今後も必死で天然林を復元・再生していきます。
今、日本の山野にはおびただしい数の捕獲罠が仕掛けられています。
罠にかからないように気を付けてください。
なんとか野生動物のみなさんに、生き伸びていてほしいです。
日本学術会議・兵庫県共催「野生動物と共に生きる未来」は、野生動物の生存権や存在益を一切無視した野生動物害獣視の捕殺推進シンポジウム①
2019年2月9日、兵庫県公館で開催されたシンポジウム「野生動物と共に生きる未来」は、予想通り、テーマと中身が180度反対の、「野生動物捕殺推進」シンポジウムでした。
チラシ絵を見て、目を疑いました。
山中の、クマ、サル、シカ、イノシシたちが、みんな幸せそうにニコニコと笑っています。
チラシ絵
しかし、現実は全く正反対です。兵庫県では毎年、県の指導で、シカ・イノシシ・クマ・アライグマやヌートリアなどの外来種を、手あたりしだい殺しています。
ハイテク罠を次々と開発して、山の中にいるものまで、猟友会や捕殺会社に駆除金付きで殺させています。
里山も奥山も人間によって大荒廃。だが、彼らが山に帰れるように生息地を復元してやることはしません。
野生動物たちはみんな泣いているのです。
テーマもチラシ絵も、人間に殺され続けている野生動物たちへの冒とくです。
2018年度、環境省は亀澤玲治自然環境局長の名で、日本学術会議山極壽一議長に対し、「人口縮小社会における野生動物管理のあり方の検討に関する審議」を依頼しました。
日本学術会議はその後、「人口縮小社会における野生動物管理のあり方の検討に関する委員会」を立ち上げ、これまでに5回の会合を重ねました。
この委員会の委員長は鷲谷いづみ氏、副委員長は兵庫県森林動物研究センター梶光一所長、幹事のひとりが、兵庫県森林動物研究センターの横山真弓氏です。
今回のシンポジウムは、この委員会の中間発表にあたるそうです。
会場の兵庫県公館は、風格のあるすばらしい建物です。
熊森は、入り口で、兵庫県の野生動物の大量捕殺状況や生息地の荒廃実態を訴えるチラシをみんなで配りました。
参加者が400名を越えたということで、用意した200枚のチラシがあっという間になくなってしまいました。
熊森本部クマ部会メンバーが、2つの入り口に分散してチラシ配り
会場に入ると、例のチラシ絵が舞台の左右に大きく掲示されていました。
私たちは違和感でいっぱいでしたが、県民は兵庫県の実態を知らされていないので、温かみのあるいい絵だなあと思って見ていたかもしれません。(実際、絵としてはいいものなのです。)
シャンデリアも美しい格調高き公館内部
まず、井戸敏三兵庫県知事が開会の挨拶で、「森林動物研究センターの研究員である横山(真弓)さんや山端(直人)さんには、本来の研究生活に没頭していただかなくてはならなかったのに、シカ退治やイノシシ退治に没頭してもらうことになり、私としては恐縮に思っております」として、退治という言葉をあいさつの中で何度も使われました。
兵庫県では、野生動物は管理対象を通り越して、病原菌並みに退治の対象になっていることがわかりました。口では共に生きると言いながら、野生動物を退治の対象としてしか見ていないのは、大問題です。
次に、山極壽一日本学術会議議長(京都大学総長)のビデオレター挨拶がありました。
山極「日本の野生動物たちは、50万年前に大陸から渡ってきました。(熊森注:人間は2万年前にわたってきました)
現在、日本では、毎年、シカやイノシシをそれぞれ50万頭以上捕獲除去していますが、これをどう利用すべきか、今後はクマやサル、ヒヨドリなどの鳥、外来種も含め、どれくらい捕っていかなけれなばらないのか、その人材育成などが喫緊の課題となっています。このシンポジウムの結果を大変期待しています。」
山極先生と言えば、ゴリラ研究の第一人者です。サルだけは殺したくないと言われるのかと思っていたら、さらっとサルも捕っていかなければならないと言われました。頭数調整のためとして人間に理不尽に殺されていくサルたちの無念さ、残された家族の悲しみは、サルとて人間と同じはずです。ビデオレターから見えた山極先生は、完全に、兵庫県と同じ野生動物頭数管理派でした。
次に挨拶されたのは、鳥居敏男環境省大臣官房審議官です。
鳥居「都市化が進む一方、地方では過疎が進み、耕作放棄地や森林が増えていきます。こういう背景によって、野生鳥獣の激増と急速な分布域拡大が見られるようになりました。
毎年、計100万頭以上捕獲されているシカ・イノシシのほとんどが、現在廃棄処分にされています。野生鳥獣を資源として活用していく道を考え、地域の経済循環に資することを考えねばなりません。今日のシンポジウムで科学的な議論が行われると期待しております。」
(熊森注:兵庫の山の大荒廃をご存じないように感じました。物事にはすべて原因があります。自然界は、本来絶妙のバランスが取れた世界です。野生鳥獣の激増と急速な分布域拡大と言われるのなら、その原因を究明されるように研究者たちに指示すべきです。原因が人間だった場合、どうされるのでしょうか。生き物たちはみんな生きたい。生きるために生まれてきたのです。高齢化が進み、空き家も増えた中山間地に、野生動物が移動するのは当然で自然です。特別な被害防除対策が必要です。)
この後、鷲谷いづみ日本学術会議課題別委員会委員長、梶光一兵庫県森林動物研究センター所長の発表がありましたが、みなさん、いずれも欧米の人間絶対優位のワイルドライフマネジメントをお手本にしようとされていました。
熊森から
日本学術会議、兵庫県・兵庫県立大学、環境省、農林水産省、日本生態学会・日本哺乳類学会、「野生生物と社会」学会・・・、このシンポジウムで発表した研究者たちは、全員が、人間は野生動物を殺すことで頭数管理をすべき、殺害個体の資源利用も進めるべきというワイルドライフマネジメント派の仲間であることがわかりました。
彼らは、野生動物の生存権や存在益には全くふれません。この方面は全く研究していないようです。
生きた野生動物を研究していて、その純粋さに共感したり、同じく生きとし生けるものとして愛情をいだいたりしないのだろうかと、人間として不思議に思いました。
野生動物の生息数を人間が思う数に調整するには、まず、野生動物の生息数がわからなければなりません。適正生息数は何頭かという問題も発生してきます。
このような人間には永久に把握できない複雑系の自然界に対して、ワイルドライフマネジメント派の研究者たちは、野生動物を捕獲し、全身麻酔を掛け、発信器付き皮首輪装着で首を締めあげるなど、野生動物の心身に耐えがたい負担をかけながら、どこまでも仕事として調査を繰り返します。それだけではなく、今や銃やハイテク罠の前に完全に弱者となってしまった野生動物たちを、いかに効率的に大量殺害するかという研究も進めます。野生動物たちが造ってくれる森から湧き出す水で命を永らえている人間として、あまりにも傲慢です。
西洋文明を良しとするこれら野生動物管理派の研究者たちの自然観や動物観は、可能な限り殺さないで問題解決をしたいと願う一般の日本国民からは大きく乖離しています。
「鳥獣被害防止特措法」の苦い経験から、森林環境税の使途に「人工林の天然林化」の明記を願う
熊森が、「森林環境税」の使途に、「人工林の天然林化を進めること」という言葉を入れていただきたいと訴えて回っているのは、2007年の「鳥獣被害防止特措法」の苦い経験があるからです。
この法案は最初、「有害鳥獣特措法」という名前でした。「有害鳥獣」などこの世にいないのだから、「有害鳥獣」という言葉を法律名に使うべきではないとして、熊森顧問の赤松正雄当時衆議員議員が、当時、国会でひとり必死に闘ってくださいました。
そして、法律の名を、「鳥獣被害防止特措法」と変えてくださっただけではなく、赤松議員は、第十八条に
国及び地方公共団体は、人と鳥獣の共存に配慮し、鳥獣の良好な生息環境の整備及び保全に資するため、地域の特性に応じ、間伐の推進、広葉樹林の育成その他の必要な措置を講ずるものとする。(生息環境の整備及び保全)
という条文まで入れ込んでくださったのです。
熊森が、泣いて喜んだのは言うまでもありません。
この法案に対して、年間96億円程度の予算が国から出ることになったのですが、鳥獣を捕殺することに予算を使うだけではなく、鳥獣が人里に出て来なくてもいいように、鳥獣の奥山餌場づくりにも予算を使っていいことになったのです!
ところが、毎年予算の使われ方をチェックしましたが、鳥獣の餌場づくりには1円も使われませんでした。
鳥獣の餌場となる広葉樹林の育成にも使うことという明記がなければ、実際上は使われないと、私たち熊森は学習しました。
こういう経緯があったため、今、熊森は、森林環境税を使って人工林を天然林化することという文言を、法文に入れてほしいと訴えて回っているのです。
税は森林整備に使ってくださいという法文だけでは、人工林の天然林化が進むとはとても思えません。
「森林環境税で放置人工林を天然林へ」室谷悠子会長が国会議員を訪れ、精力的にロビー活動中
「森林環境税法案」は2月8日に閣議決定されたので、ネットでも法文を読めるようになりました。「森林環境税法案」
ただいま、衆議院総務委員会で審議中です。本会議で採決後、3月には、参議院総務委員会で審議される予定です。
法文第34条に、森林環境税の使途として、
1 森林の整備に関する施策
2 森林の整備を担うべき人材の育成及び確保、森林の有する公益的機能に関する普及啓発、木材の利用の促進その他の森林の整備の促進に関する施策
となっていますが、これだけでは税が林業用整備や間伐に使われるだけになることが考えられます。間伐では、天然林は再生しません。
法文に、この税で、放置人工林を順次計画的に天然林へ移行していくという文言を入れてください!
熊森は動きに動いています。
2018年
12月4日
総務省市町村税課担当職員に (総務省)
12月4日衆議員議員に訴える室谷悠子会長(国会議員会館)
2019年
2月5日参議院議員に訴える室谷悠子会長(国会議員会館)
2月20日衆議院議員に(国会議員会館)
これまで約20名の国会議員に会って、訴えを聞いていただくことができました。
地元でも、地元選出国会議員にアタック
2月23日
石田真敏総務大臣の和歌山県地元秘書に訴える(和歌山県岩出市)
和歌山県北野久美子支部長・真造賢二和歌山県みなべ町議会議員
「森林環境税で放置人工林を天然林へ」の署名27000筆は、3月上旬に、石田真敏総務大臣に提出予定です。
<2019年は、、日本の林政大変革期です>
私有林に関する法律
「森林経営管理法」2018年国会成立、
「森林環境税法案」2019年国会審議中
「森林バンク法案」2019年国会提出予定
11月4日(日)林野庁初参加 祝 第11回くまもり東京シンポジウム「人工林から豊かな森へ」
2018年11月4日(日)東京都表参道のウイメンズプラザにて、くまもり東京都支部主催の第11回くまもり東京シンポジウムが開催されました。
今回のくまもり東京シンポジウムには、林野庁担当者がご出席くださり、今年5月に国会で成立した「森林経営管理法」をもとに、林野庁の考えていることを発表してくださいました。
くまもりの集まりで林野庁の係官が発表してくださるのは初めてのことであり、画期的なことです。時代の変化を感じるとともに、発表してくださった担当者には心からお礼申し上げます。
また、今年新たに熊森顧問になってくださった元徳島県木頭村村長の藤田恵氏も、ビデオ発表となりましたが、熱弁をふるってご講演くださいました。
室谷悠子くまもり新会長も、30分間の力強い講演を行いました。
以下は、各発表者の要旨です。
まず初めに、くまもり東京都支部の川崎支部長より挨拶がありました。
「日本は世界で唯一、首都にまだクマの棲む森が残っている国です。しかし東京都の山の多くが戦後の拡大造林政策でスギなどの単一人工林に覆われてしまいました。残された自然林の山の実りが悪いときは、クマなどの野生動物が人里に出て来てしまいます。
山にかかわってこられた三重県の後藤さんは、次のように述べられています。
「本来植林は大きな山でも、その3分の1しかできません。それ以上したら間違いです。
山の尾根は全部自然林で残す。谷間の緩やかな所だけ植林する。谷間にはスギを植え、中腹にはヒノキを植え、南向きの日の当たる所は全部自然林で残す。これが紀州人の掟でした。
戦後の拡大造林は、これを破って山という山に全部植林しました。だから今ある植林の3分の2は間違いです。
手入れできない人工林も、半分土砂で埋まったダムも、コンクリートで固められた河川や海岸も、全てが今後、大規模災害につながる負の遺産です。
全てのことに私が解決策を訴えられるわけでもありませんが、崩壊寸前の植林地に関しては国民総出で巻き枯らし間伐の運動を行えば、今なら崩壊を止められると思います。」
動物と人間の棲み分けを復活させるためにも、大都市の水源を守るためにも、来年度からの森林環境譲与税は、「放置人工林を豊かな森へもどす」ことに使っていただきたい。私たち都民にとっても、重要な話です。今日はたくさんのことを学びましょう。」
くまもり新会長 室谷悠子 「熊森がめざす豊かな森づくり」
「私たちが兵庫県北部の豪雪地帯で実験した例では、スギやヒノキの人工林に6割の強度間伐を施して、間に広葉樹の苗を植えても、数年たてばまた残されたスギが太り、林内が真っ暗な元の人工林に戻ってしまいました。こうなるともう広葉樹は育ちません。
人工林を広葉樹林に戻すには、定性間伐ではなく、皆伐または崩れやすい山では小面積皆伐を実施する必要があります。兵庫県北部はシカが多い場所でもあり、シカが侵入しないための囲いや雪対策が必須です。
一方、温暖で湿潤な気候の九州では森の再生力が大きく、シカが多くても、シカ除け柵など不要で、皆伐場所を放置しておくだけで、数年で広葉樹林化できます。
これまで熊森が人工林の広葉樹林化をめざして長年試行錯誤した結果得られた知見からモデルをつくり、国や行政に提示していかなければならないと考えています。
また、来年1月に国会に提出される森林環境税法案は、現段階では何に使うかという使途がはっきり決まっていません。ぜひ放置人工林の自然林化を使途に義務付けるよう、多くの国民の皆さんに声を挙げていただきたいです。」
熊森顧問・元徳島県木頭村長 藤田恵氏 「拡大造林で壊れ続ける四国の山と川」
「戦後の拡大造林により、山の保水力が落ちてしまいました。その影響で台風や大雨がくると山からどんどん土砂が流れてきて、川底やダムを埋めていきました。また、土建業者をもうけさせるための補助金規定に従って、山奥まで不必要な幅の広い舗装林道が作られ、山奥の自然がどんどん壊されています。」
林野庁森林整備部計画課 三間知也氏 「新たな森林管理システム(森林経営管理制度)について」
「林野庁としても、スギやヒノキなどの針葉樹の人工林を、造り過ぎたと感じています。なので、今後は減らしていき、林業で使われない部分は、できる限り針葉樹と広葉樹が混交するような複層林に変えていきたいです。
また、森林環境税が市町村で実際に使われる際に、土地所有者が不明もしくは亡くなられているなどの理由でおられないときは、市町村の権限で放置人工林の整備をしていけるように法改正しました。
九州豪雨災害や西日本豪雨災害で大規模な土砂崩れが発生したのは、人工林のせいではなくて、異常な降雨によるものだと私たちは考えています。」
この後、東京都支部、神奈川県支部から、活動報告がありました。
熊森から
この日、62名の方々がこの会場に来てくださいました。
参加者の中には、人工林問題や東京都のツキノワグマ生息状況に関心の高い都議会議員の先生や、大学の生物系の先生方もおられました。また、質疑応答の時間には、参加者からたくさんのご意見・ご感想をいただきました。
戦後の拡大造林政策の失敗は、林野庁だけの責任ではなく、声を上げなかった全国民に責任があると熊森は考えています。
林野庁は、ごく最近まで、戦後進めてきたスギやヒノキの針葉樹の単一造林に問題はないと主張されていましたが、ようやく「人工林を造り過ぎた」と発表されるようになりました。しかも、今回、民有人工林の8割が放置されていると、言いにくいことを正直に発表されました。国民としては、温かい拍手を送りたいと思います。
しかし、近年の豪雨被害で発生している山崩れに人工林が関係していることについては、今も林野庁は否定的であることがわかりました。
森林経営管理法や森林環境税が正しく効力を発揮するためには、多くの国民が山のことも勉強し、声を上げていかなければならないと思います。(国民が勉強しなければならないことが多過ぎて、大人は本当に大変です)
まだ、奥山放置人工林を森林環境税を使い天然林に再生すべきだという署名にご署名をいただいてない方は、以下のネット署名でご協力ください。Change.org森林環境税で、スギ・ヒノキの放置された人工林を天然林に戻してください
森林環境税署名 1万筆突破、もっと声が必要です
熊森会員のみなさま
いつも応援いただきありがとうございます。
会報96号が届いているころだと思います。
2018年6月から集めている森林環境税の署名、たくさんの方にご協力いただき、紙とネット署名を合わせて1万筆を突破しました!本当にありがとうございます。特に林業県である熊森協会宮崎県支部のみなさんがたくさん集めてくださいました。
国会を動かすには、まだまだ声が必要です。
10月末の集約へ向けて、もうひと頑張りご協力をお願いいたします。
この署名をきっかけに、日本の森の危機を知っていただき、豊かな森再生のために日本熊森協会の会員になっていただければ幸いです。
集めた紙の署名を持っておられる方は集約のため、そろそろ本部にお送りください。
送付先
662-0042 兵庫県西宮市分銅町1-4 熊森ビル 一般財団法人 日本熊森協会
◆署名用紙のダウンロード◆
http://kumamori.org/index.php/download_file/view/1395/
◆ネット署名◆
https://chn.ge/2JsWbSW
熊森栃木県支部提出 林野庁全国森林計画に対するパブリックコメント
栃木県の里山にある農村地帯に居住されている栃木県支部長は、以下のコメントを提出されました。
1. 放置人工林が多く、これを天然林に戻すことを前提とした計画にしてください。
私の住む場所は、個人所有の小規模山持ちが多く、高齢化も著しく手入れがされない、出来ない。地形の変化も多く搬出道整備も困難。伐採適期だが材木は
売れない。また、シイタケ栽培が盛んだったので、コナラ・クヌギの広葉樹林も多い。苦労して開墾のこんにゃく畑、売れずにシイタケ林に戻ったが、同様な状態
です。20年前後で伐採し萌芽更新させていたが、7年半前の福島原発事故で生産も厳しく原木需要もなく、(負)動産化している。家屋に近い針葉樹や広葉樹は、
倒木の不安を抱えながら生活している方も多い。伐採は多大な費用が必要です。イノシシが徘徊し、農作物は防護柵設置とセットでないと耕作も困難。長い年月
で作り上げてきた里山も、政策の失敗などで井十するのも困難。せめて、森林環境税などを投入し、官民が力を合わせて里山の健全な育成を図ってください。
2. 天然林は、生物多様性の生棲域・水源涵養など多くの機能があります。これ以上減らす計画はやめてください。
栃木県の北側は、クマ・シカ・サル・イノシシなどが増加して、生物多様性域のようにもイメージされますが、野生獣の被害も深刻です。彼らたちと可能な限り共生
の道を模索するためにも、奥山に広葉樹林帯を設け、里に下りない方法も検討ください。ジビエ料理への活用も体内への放射能濃度がが高めで、駆除しても活
用されず処分されます。天然林・人工林も多いのですが、荒廃している山が多く、山道散策は歩きにくいことはなはだしいのが実情です。観光客も多数訪れます
が、快適の森林整備が訪問者へのリピート率を向上させます。そのための施策の努力をお願いします。
熊森本部提出 林野庁全国森林計画に対するパブリックコメント
以下のコメントは、室谷悠子会長が日本熊森協会を代表して、林野庁に提出したものです。
林野庁森林整備部計画課全国森林計画班パブリックコメント担当 御中
全国森林計画に放置人工林の天然林化を組み込んでください
当会は、水源の豊かな森の保全・復元及び野生動物保全に取り組んでいる実践自然保護団体です。設立以来21年間、奥山の放置された人工林を天然林に戻していくことを提唱し、自身でも地元の方と協力し、天然林再生に取り組んできました。
拡大造林政策により、天然林を伐採し奥地の奥地まで造られた人工林は、外材の輸入や木材(特に建築用材)の需要減少のため約3分の2が放置され荒廃し、沢涸れ、豪雨の際の土砂崩れ、生物多様性の低下が各地で問題となっています。林業をするには採算が合わなかったり、水源保全や治山のためには天然林で置いておくべき場所まで人工林にしてしまったことが問題の根本原因であり、現在、1030万㏊ある人工林を減らし、林業に適した場所以外は天然林に戻していくことが必要です。
来年度、森林環境税が導入予定ですが、国民一人一人から徴収される税金は、水源の豊かな森を守るために今、一番必要な、放置人工林を天然林に戻していくことに使われるべきです。
平成31年度から平成46年度までの全国森林計画案についても、造りすぎてしまった放置人工林を、天然林へ戻していくことを前提とした計画にしてください。
1 水源保全、生物多様性保全、災害防止、花粉症低減のため奥山で放置されている人工林を天然林へ再生するための計画にしてください
(1)Ⅰ の1「森林の整備及び保全の基本的な考え方」に、放置人工林の天然林化を入れるべき
(2)Ⅰの1「第1表森林の有する機能ごとの森林整備及び保全の基本方針」の「水源涵養機能」、「山地災害防止機能/土壌保全機能」及び「生物多様性保全機能」の部分に、天然林がこれらの機能に優れていることに鑑み、放置人工林の天然林化を森林整備及び保全の基本方針として組み込むべきである。
(3)Ⅰの2「森林の整備及び保全の目標」の地域ごとの保全目標に、それぞれの地域で、放置人工林の天然林化を組み込むべきである。
(4)Ⅱの1(3)「造林」について、花粉症対策として花粉の出ないスギを植えることが掲げられているが、不自然なことをすべきではなく、放置人工林を天然林化し、スギ・ヒノキ等の減らすことにより、花粉症対策をすべきである。
2 天然林が大幅に減少する計画では豊かな森は守れません。天然林が増えていく計画に転換してください
(1)Ⅰの2の「第2表森林の整備及び保全の目標」では、計画最終年である平成46年には、天然林が57万㏊減少することになっており、水源保全、生物多様性、災害防止等の機能の強化する方針と矛盾するものであり、これ以上天然林を減らすべきではなく、増やす計画にするべきである。
(2)Ⅰの2の第2表森林の整備及び保全の目標では、育成複層林が52万㏊増えることになっているが、育成複層林化は将来的に天然林に戻していくことを見すえた施業がなされるべきである。
3 林業に向き、継続的な手入れが可能な場所でのみ、自立でき、持続可能な林業が育つような施策を
(1)Ⅱの4「森林施業の合理化に関する事項」について、拡大造林により、本来林業に向かない場所にまで人工林を造りすぎたことにより、広大な面積の森林が荒廃し、地域の環境に適した強い林業を育てられなかったことを反省し、継続的に手入れがしやすく林業に適した場所でのみ人工林施業が行われるようにし、そのような場所で、自立し、持続可能な林業が育つような施策を実施すべきである。
4 豪雨の際の流木対策は、治山ダムを奥地の奥地までつくるのではなく、緑のダムと言われる天然林の保水力、治山力を生かしたものにすること(これ以上自然に逆らって、奥山をコンクリートで固めるのはやめるべき)
(1)Ⅰ の1「第1表森林の有する機能ごとの森林整備及び保全の基本方針」の「山地災害防止機能/土壌保全機能」の中に、「谷止や土留等の施設の設置を推進」とあるが、山の奥の奥までコンクリートで固めるのは生態系の破壊であり、天然林化を図ることにより、天然林の保水力・治山力を生かして土砂崩れ等を防ぐべきである。
(2)Ⅲの2(3)「治山事業」について、豪雨の際、多くの放置人工林が崩壊し、各地で土砂崩れを発生させている現状は、放置人工林の天然林を進めていくことが一番の治山対策であることを示している。流木対策として、「流木捕捉式治山ダムの設置」の推進と記載されているが、奥地をコンクリートで固めるのは自然生態系の破壊であり、天然林の保水力・治山力を生かして土砂崩れ等を防ぐべきである。
以上
猛暑のせい?兵庫県ミズナラのドングリに大きな生育の遅れ
2018年夏、兵庫県の奥山を調べたところ、なぜかドングリの実りがかなり遅れていることが分かりました。
若杉原生林やその近辺のミズナラの木も、例年と違いこの時期としては実がまだ小さく、殻斗に埋まったままです、数も少ないように感じました。
冬ごもりに備えてのクマの食い込みが、7月下旬から8月上旬にかけてもう始まっています。(飼育グマ「とよ」も、7月からの食欲がすごいです)
クマの命を支えてきたミズナラは、ナラ枯れによってすでに大量枯死してしまっています。残されたミズナラの実りがこのような状態では、クマたちは今年いっそう山で生きていけなくなるのではと心配です。
兵庫県と岡山県は今年もまた11月15日から1ケ月間、クマ狩猟を行うと発表しています。
兵庫県は人里での目撃数の増加や捕獲数の増加から、県内のクマが爆発増加したとして、熊森の大反対を押し切って、2016年から20年ぶりにクマ狩猟を再開しました。
その時、山奥でクマ狩猟を再開することで、山奥から人里に出てくるクマを山奥に追い返す効果を期待していると発表していました。山中でクマを追いかけまわすことがどうして、クマが人里に出て来ることを抑えることになるのか熊森には理解できません。
クマの生息奥地はブナ・ミズナラを伐採後植林したスギ・ヒノキの人工林で覆われており、内部も大荒廃。
残された天然林内でも近年ナラ枯れや下層植生の衰退が進み、クマが食料を得られる状態にはありません。
この状態を放置したまま、クマに山から出てきたら殺すぞというのは、あまりにも人間としての反省が足りず、他生物という弱者への配慮のなさ過ぎではないでしょうか。狩猟ではなく、奥山放置人工林の天然林化こそを進めてほしいです。
まだまだ暑い日が続きますが、両県の担当者は、クマ生息地の山を見に行ってほしいと思います。
県庁職員のみなさんは当協会の原生林ツアーにご参加いただき、本来のクマの生息であった奥山に食料がない現状を体で感じてとっていただきたいものです。
クマ狩猟再開を行政に提案されたクマ研究者は、研究対象物に愛情がないのか、クマの生態がよくわかっておられないのか、一体何なのだろうと思います。