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「森林環境税で天然林化を」のくまもり署名提出が、林経新聞に掲載される!

日本を救うため、放置人工林の天然林化という熊森主張を、全ての新聞に大きく取り上げていただきたいです。

しかし、残念ながら、まだ記者さんたちのご理解が、ほとんど進んでいません。

そんな中で、林経新聞が記事にしてくださっていたことがわかって、とてもうれしかったです。

ありがとうございました。

 

以下、林経新聞3月21日記事 Wクリックで大きくなります。 

 

3月19日 初代総務大臣 片山虎之助議員 参議院総務委員会で森林環境税について質問

2019.03.19 15:35~16:00 参議院総務委員会で初代総務大臣の片山虎之助議員が森林環境税について質問されました。

以下、要旨(文責くまもり)

 

片山虎之助議員:だれかが昔、わが国は神の国って言って問題になりましたが、わが国は、木の国、山の国です。

ところが、実際は森林はおかしくなっている、林業は衰退する、山村は崩壊しているんですよ。このままじゃいかんというのがこの森林環境税の根っこにあるんですよ。

森林環境税は国税で取って、地方に分け与える。本当は地方の財源でやれたらいいのですが、山村中心地域で(これだけの多額の)税金は取れません。

森林環境税、私は、賛成です。

林野庁長官のご感想や今後の見通しを聞きたいです。

 

牧元林野庁長官:森林・林業・山村をめぐる状況は、ご指摘がございましたように、森林所有者の経営意欲の低下や、所有者不明森林の増加などもございまして、必要な間伐等が適切に行われていない森林が増えている等、森林資源の適切な管理が困難な状況も出て来ています。

一方で、戦後造成しました人工林が本格的な利用期を迎えておりまして、近年、国産材の供給量が増加をしております。木材自給率も7年連続して上昇して、36%まで回復してきたということで、明るい兆しも出て来ています。

農林水産省といたしましては、昨年制定されました森林経営管理法に基づきまして、意欲と能力のある林業経営者に、森林経営を極力集積・集約化すること。もう一つは、森林環境税も活用しながら、市町村が主体となって、条件不利な山については、間伐等の森林整備を進めること、この両面によりまして林業の成長産業化と森林資源の適切な管理の両立を図ってまいりたいと考えております。

 

片山虎之助議員:税収総額600億円の9割が市町村、1割が都道府県に配分されるんだよね。都道府県はいらないんじゃないの。超過課税もやっているし、もともと財政規模も大きいんだから。

市町村への配分は、私有人工林面積5割、林業就業者数2割、人口3割に基づいて配分するんだね。市町村の支援、研修、人材の確保を言っているけれども、研修しようにも研修する人はいませんよ。給料安くもないけれども高くもない。そうゆうのでどうやって林野の職員を確保するんですか?この税金はね、使途特定の目的税なんですよ。ところが何に使うかという所が極めて抽象的であいまいなんですよ。なんにでも使えるんですよ。この財源を有効に使わないと、特別な負担なんだから、国民が怒りますよ。

 

牧元林野庁長官:確かに、市町村の職員を見てみますと林務担当の職員がほとんどいないという市町村が多いのが事実でございます。総務省でおつくりになった地域林政アドバイザーという制度を活用しながら、市町村の体制整備を図ってまいりたいと考えているところでございます。

 

片山虎之助議員:ある民間団体が、戦後の造林したスギやヒノキの人工林が約1000万ヘクタール以上あって、その3分の2が荒廃しているといっているよ。荒廃している人工林は、(本来林業に向かない場所にあるから放置されているんであって、そういうところは、)天然林化、複層林化、広葉樹林化すべきだと言っていた。選択するのは市町村だが、やれるかどうか、やれない時にどうするか考えないといかん。お考えがあれば。

 

牧元林野庁長官:今後の日本の森林をどうするかという基本的なことにつきまして、その1は、林業に適した森林につきましては適切な間伐・再造林によりまして人工林を維持する。その2は、それ以外の森林では、抜き伐り等によりまして広葉樹の導入を図る、3つ目のカテゴリーとしては原生的な天然生林については適切に保全するということを、基本的な計画の中でうたっております。

現在、育成単層林となっているスギだけの山・ヒノキだけの山のようなのが1000万ヘクタール前後ございますけれども、そのうちの3分の1程度におきまして、広葉樹の導入等によりまして、複層林化をめざす風にしている所でございます。農林水産省としては、このための支援措置といたしまして、国土強靭化のための臨時特別総試算のなかに、人工林に広葉樹林の導入等を図るためのメニュー等も措置をしている所でございます。

 

片山虎之助議員:去年は、災害が連発しましたよね。減災防災、国土強靭化で、7兆円予算を組んでいるんですよ。公共事業中心に。この税の補助事業の中に、(荒廃している人工林の天然林化、複層林化、広葉樹林化を)入れてくださいよ。やっぱり日本は山の国、木の国なんだから。それを復活しないとね。日本の地方創生はなりませんよ。総務大臣も関係長官もよろしくお願いします。

 

熊森から

片山虎之助議員が、森林環境税に関心を持ってくださってありがたかったです。

本当にこれでうまく行くのかどうか見直すことを忘れてはならないと、片山虎之助議員が内藤税務自治局長に言われていましたが、その通りだと思いました。

熊森は森林環境税がどう使われていくか、ずっと追い、評価し続けて、世間に発表し続けていきます。

 

 

 

 

3月15日  片山大介議員、参議院予算委員会で、森林環境税についてご質問

片山大介議員は、現在、森林環境税法案が審議されている総務委員会に所属しておられません。しかし、何とか質問できないかと熱い思いを持って下さり、予算委員会でご質問くださいました。

 

以下、2019.03.15 片山大介議員 予算委員会質問要旨

(文責:熊森)

 

片山大介議員:森林環境税と森林環境譲与税について聞きたいと思います。

森林環境税というのは、全国の住民から毎年1000円徴収して、そのお金を全国の自治体に交付して、森林整備などに役立ててもらおうというものです。

まず森林環境譲与税が平成31年度からスタート、森林環境税はその5年後の平成36年度からスタートです。

譲与額は3段階になっていて、最初の3年間が200億円、次の3年間が300億円、そしてそれ以降は600億円になっています。

そもそも1000円とるということにした理由を説明していただきたいんですが。

 

石田総務大臣:お答えさせていただきます。

森林環境税の税収規模を検討するにあたりまして、必要な森林整備やその促進に要する費用等につきまして林野庁から年間600億円程度が必要との試算が示されたところでございます。

国民の皆さんに広く均等にご負担を求める観点から、個人住民税均等割りの枠組みを活用することと致しました。

その納税義務者数は6千万人強ということで見込んでおります。

そういうことから、年間1000円にしたところであります。

 

片山大介議員:じゃあ林野庁に聞きます。600億円は本当に必要な額なのか。十分なのか。

 

農林水産省牧本林野庁長官:お答えを申し上げます。

条件が不利な私有林では経営力の低下などによりまして、従来の施策のみでは適切な間伐等を進めることは困難となっているところでございます。

このため、そのような条件不利な私有林における間伐量を年平均10万ha程度と推計いたしまして、これに境界確定や担い手育成など、その促進に関する費用を加えまして年間600億円程度と試算したところでございます。

 

片山大介議員:現在、森林整備等を目的として37府県及び1政令市(横浜市)において、独自に超過課税(=標準税率以上の課税)が行われている。これ二重課税になるのではって話にもなっている。そこについてはどのように調整を図るつもりか。

 

内藤自治税務局長:お答え申し上げます。

府県が行っております超過課税の使途において重複する可能性がありますが、国は森林環境税を平成36年度から課税することとしておりますので、それまでの間に、関係府県において超過課税の取り扱いを検討いただけるものと考えているところでございます。

 

片山大介議員:そうすると、自らの財源で積極的に森林整備に取り組んでいる自治体ほど、影響を受けるってことになるんですよね。そうするとね、地方の自主性だとか、地方の自立性だとかそういったものを損なう懸念があります。これについて、大臣どうお考えですか。

 

石田総務大臣:お答えさせていただきます。

両者の財源の帰属主体が基本的に異なるということになってくるんだろうと思います。36年まで猶予の期間があるわけですから、この間においてそれぞれの自治体でご検討いただけるものと思っております。

 

片山大介議員:国の上から目線になっちゃうんじゃないですか。大丈夫ですか。

 

石田総務大臣:この森林環境税につきましては、地方6団体(=全国知事会・全国都道府県議会議長会・全国市長会・全 国 市 議 会 議 長 会 ・全国町村会・全国町村議会議長会)の方からも長年にわたりまして、ご要望がありました。そういうことを受けて、創設をしたものです。

 

片山大介議員:課税とその導入時期が5年違っています。これまで、このような法案っていうのは過去にあったのかどうか。

 

内藤自治税務局長:ございません。

 

片山大介議員:そこまでして譲与の方を早めた緊急性っていうのはなんなのですか。

 

内藤自治税務局長:お答え申し上げます。

パリ協定の枠組みのもとにおけます、我が国の温室効果ガス排出削減目標の達成や災害防止等を図りますため、森林整備等に必要な地方財源を安定的に確保する観点から創設するものでございます。

森林環境税の開始時期につきましては、全国の地方団体による防災施策の財源を確保するための個人住民税均等割りの引き上げ措置(=東日本大震災からの復興を踏まえて、年間一人1000円を徴収している税)が終了する時期も考慮して設定したところでございます。

 

片山大介議員:地球温暖化のことで言えばね、もっと他に緊急でやらなきゃいけないことが、実はいっぱいありますよね。

消費税が10月から10%にあがる、そしてそれからもう一つ、今その東日本大震災の教訓として全国で行う防災施策対応分として個人住民税均等割りの税率の引き上げっていうのを平成35年までやっているんですよね。それに引き継ぐ形でやってる。だからこれ良く言えばね、その負担感をちょっと和らげるためにちょっと遅らしたというのもあるけれども、悪く言えばね、ちょっと気付かれないうちにそのまま引き続いてやるみたいなね、なんかとれるところからとれるタイミングでとっていくみたいな感じもするんですけど、ここらへんはどのようにお考えですか。

 

内藤税務局長:お答え申し上げます。

国民の負担感ってことを考えました場合に、防災施策の財源を確保するために個人住民税均等割りに上乗せする措置が終了した後の平成36年度から課税を開始することとしたところであります。

 

片山大介議員:地球温暖化のことを言うんだったら、排出源として多いのはやはり産業界ですよね。法人への課税も検討すべきだったんじゃないかなと思いますがこれはどうですかね。

 

石田総務大臣:お答えさせていただきます。

地球温暖化対策は、二酸化炭素の排出対策と森林吸収源対策の両面から推進する必要があります。

二酸化炭素の排出抑制対策については、これまで自主構造計画等の枠組みの中で、温室効果ガスの排出削減を実現するとともに、平成24年度の税制改正によりまして創設されました石油石炭税の上乗せ措置も負担をしていただいており、すでに産業界からは一定の貢献をしていただいております。

地球温暖化対策は、個人・法人双方に相応の負担をいただくことになるものと考えております。

 

片山大介議員:排出抑制のことを言うんだったら、じゃあカーボンプライスはどうなっているのかって話ですよね。きちんと出来てないですし、今の地球温暖化課税だってパーセンテージは欧米に比べて低いですよね。今日は、環境省がきてないですから、これ以上は言いませんけども。

森林が二酸化炭素吸収してくれるために必要な間伐ですが、2013年から20年のまでで年平均52万ha必要だと資料にありますが、達成できたのは2013年だけです。

今回の森林環境譲与税で年52万haまで回復するのですか。試算はできているのですか。

 

牧本林野庁長官:お答え申し上げます。

厳しい財政事情もありまして、委員ご指摘のように近年、十分な森林整備の確保が出来てないというような状況でございます。

また一方、森林所有者の意欲低下などもございます。このような状況を背景にいたしまして、昨年、森林経営管理法を制定いたしました。

これを踏まえて、新たに市町村が担うことになる森林の公的な管理をはじめとする森林整備の財源として、この森林環境税・森林環境譲与税が創設されたということでございます。

 

片山大介議員:私が聞いたのは分析データがきちんとあがっているような試算が出来ているのかという話です。

 

牧本林野庁長官:基本的には、使途は、市町村等の判断ということでございます。

この税の創設によりまして、どれぐらい森林整備量があがるかとは一概には言えないところでございますけども、森林整備量の増加に寄与するということは事実かと思います。

 

片山大介議員:使い方は自由に自治体に任すだけではなく、目標達成できるような努力もきちんとしていただきたい。

 

牧本林野庁長官:今回の森林環境譲与税によりまして、従来なかなか森林整備が進んでこなかった、経済的にうまくまわらないような森林の管理をですね、市町村が中心にやっていただくということでございます。このような取り組みを通じまして、森林整備量の向上というものが図られるという風に考えております。

 

片山大介議員:今の日本の森林には、放置人工林がとても多いという話ですが、天然林に戻していくことについてはどのようにお考えですか。

 

牧本林野庁長官:お答え申し上げます。

平成28年5月に閣議決定された森林林業基本計画におきましては、地域の自然条件等に応じまして、林業に適した森林においては適切な間伐や再造林によります人工林を維持するということ、それ以外の森林は、抜き伐り等によりまして、広葉樹等の導入を図っていく。これがまさに委員がご指摘するところの天然林化ということかと思います。それから原生的な天然生林については適切に保全する、こういったことを通じまして、多様で健全な森林を育成することとしているところでございます。

尚、現在、育成単層林となっているいわゆるスギの山とかヒノキの山とかですね、これは約1000万ha程度あるわけでございますが、将来的には、この3分の1程度におきまして、広葉樹の導入等により針葉樹と広葉樹が混ざっている複層林、そういう山に転換していくことを目指しているところでございます。農林水産省といたしましては、自然条件等に応じた多様で健全な森林づくりというものに取り組んで参りたいと考えております。

 

片山大介議員:是非よろしくお願いします。自治体にはノウハウがなかったりするわけです。自治体にね、アドバイスしたりノウハウを伝えたりするようなことも国としてやっていってもいいんじゃないかと思います。

 

牧本林野庁長官:お答え申し上げます。

人工林への広葉樹の導入についてでございますけれども、これは種子の供給源となる広葉樹林からの距離などですね、自然条件に応じて伐採方法を適切に選択をしていかなきゃいけないということでございます。

林野庁都道府県におきましては、これまでの育成複層林への誘導技術等に関する各種マニュアル、技術指針等をとりまとめまして、市町村等への助言に努めていきたいと思っているところでございます。

また、森林所有者等が行います広葉樹を含めた造林保育につきましては、森林整備事業により補助することが可能ともなっているところでございます。

加えて、今後、森林環境譲与税を活用した地方団体の取り組みによりまして、条件不利な人工林における広葉樹の導入など、多様で健全な森づくりというものが一層推進されることが期待されているところでございます。農林水産省といたしましてもマニュアル等活用いたしまして、施業管理方法の周知・助言というものにしっかりと努めてまいりたいと考えております。

 

片山大介議員:是非きちんとやっていただきたいと思います。

 

石田総務大臣:森林環境税の使途につきましては、各地方団体に行っていただきたいと思います。その使途につきましても、毎年度、インターネット等により公表することを義務付けることといたしておりますので、適切な使途に用いられることを担保されていると思います。

 

片山大介議員:終わります。ありがとうございました。

 

くま森から

さすが、見事に、予算委員会での質問になっていました。片山大介議員、新たな角度からのご質問をありがとうございました。

 

速報 衆議院総務委員会に引き続き 3月14日、参議院総務委員会でも、森林環境税で放置人工林を天然林化するよう、熊森資料で国会議員が質問

2019.03.14  参議院総務委員会
参議院インターネット 3時間12分1~3時間18分までで視聴可能

http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.phpより
「総務委員会」を選択し、発言者に「若松謙維」と入力すると、3/14の動画が表示されます。

 

若松 謙維(かねしげ)議員 総務委員会での質問要旨(約6分間)文責:くまもり

 

若松:森林環境税につきまして、総務省と農水省にお伺いいたします。

今回の森林環境税と森林環境譲与税は、森林の公益的機能に着目した税であります。

この税で本州や四国、九州に広がる人工林を天然林化して、土砂災害防止や豊かな水源の森を再生することを、税の使用目的に入れるべきだと考えております。

資料を委員の先生方にもお配りさせていただいております。(委員たちが、資料を見る)

ご存知の通り、戦後の拡大造林政策で天然林を伐採し、奥地までスギ・ヒノキを植林しました。しかし、間伐もしているわけでありますが、現在、その人工林の3分の2が間伐が間に合わないで放置されて、荒廃しております。

放置された人工林の内部には日光が入らず下草も生えない、雨で表土が流出し保水力が低下した結果、谷川の水量も低下、生態系にも影響が出ています。

私も災害対策特別委員長でありましたので、豪雨による山崩れに関しましては、九州北部豪雨災害も現地も行ってまいりましたし、また西日本豪雨災害の被害も見てまいりました。災害に強い森をつくるためには天然林の再生が必要であります。

特にこの放置人工林はですね、食べ物がないということで野生動物たちが餌を求めて里に出てくると、こういう原因にもなっております。併せて、大量の花粉を発生させているという弊害もあります。

この放置人工林を天然林に再生すること、これが野生動物との共存や花粉症軽減にもつながるということです。

次に、この天然林化ですが、具体的にどうしていくかということなんですけども、これはもうずっと研究してるNPO関係者の方のお話が(注:熊森作成資料に)実体験を基にわかりやすく説明されております。

 

配布された資料を見ている委員たちと、質問中の若松謙維議員

 

特に人工林の間伐、これは必要だなと思うんですけど、実際にやってみると(人工林の)木を太くするには有効なんですけど、結局残された針葉樹がですね、成長してすぐに元の状態(放置人工林)に戻ってしまったというのが(配布資料の)最初の例であります。ですから、間伐ではですね、結局、天然林の復元にはならないことが、実証されております。

そこで、皆伐という考え方がありまして、この図にもありますが、まるごとしっかり(人工林の)木を皆伐して除くと、種とかが鳥に運ばれて自然に(天然林に)回復したということで、特にこの9年経過後、青く広葉樹が茂っている状況になっています。併せて、一番下の図にありますが、こういう風に豪雪とか寒冷地の上、シカも多いという地域は、当然、シカが若芽を食べてしまいますので、そのための防護柵を設置することが必要になってまいります。

この場所には、広葉樹が植樹されたそうですが、結局、周囲から鳥や風によって種が運ばれて、4年間で46種類の自然の木が生育したということであります。(平野虎丸顧問による植えない森造りの提唱)

今回のこの森林環境税はどちらかというと財源確保が重点なんでしょうけど、この税をどう使っていくかということがこれからの議論であります。是非、今ご説明させて頂いたような放置人工林の天然林化、是非、こういったところにも使途として使っていくべきだと考えますが、総務大臣、いかがでしょうか。

 

委員長:石田総務大臣

 

石田:森林環境譲与税の使途につきましては、法律上、森林の整備に関する施策及び森林整備の促進に関する施策を規定しているところでございまして、各地方団体におきましてはこの法律上の使途の範囲内において地域での実情に応じて幅広く断続的に事業を実施することが可能であり、ご指摘の人工林を天然林化する事業についても森林の整備に該当するものとして活用可能であると考えます。

 

答弁する石田総務大臣

 

委員長:若松かねしげくん

 

若松:そこで、農水省にお伺いしたいんですけども、いわゆる、実際にどう使われるかはなかなか不透明でありますし、実際にこのような天然林化っていうのはなかなかそのノウハウとして定着されていないし、今後どうやっていいかということがよくわからないということもありますので、是非ですね、放置人工林の天然林化ですか、これが進むように指針の明示とかノウハウの提供、これ是非ですね、林野庁にお願いしたいと思っているんですけど、いかかでしょうか。

 

委員長:林野庁、織田森林整備部長

 

織田:はい、お答えいたします。平成28年5月に閣議決定いたしました森林林業基本計画におきましては、多様で健全な森林づくりを推進することとしておりまして、その際、地域の自然条件等に応じて、針葉樹だけではなく、針葉樹に広葉樹が混じったような針広混交の森づくりなども進めることとしているところでございます。

これまでの対策に加えまして、この森林環境税を活用した地方団体の取組みにより、針広混交林化も含めて多様で健全な森づくりが一層推進されることを期待しているところでございますし、また農林水産省にいたしましても、必要な技術的支援を行って参りたいというふうに考えております。

 

答弁する林野庁、織田森林整備部長

 

委員長:若松かねしげくん。

 

若松:是非あの、そのノウハウが伝わるようにしっかり良いガイドラインなり、通達などを期待しております。よろしくお願い致します。

 

熊森から

今回、参議院総務委員会で配布された資料は、熊森が、兵庫県宍粟市波賀町原集落の皆さんと人工林を天然林化するため2005年から10年かけて共同実施した事業結果に基づくものです。

原集落のみなさん、本当にありがとうございました。みなさんとの先行事例が、全国に於ける人工林の天然林化の良き指針となります。おかげで、間伐では、針広混交林にはならないことを、前もって全国市町村の皆さんに知っていただけます。

[速報] 森林環境税 27562筆の全国署名と要望書を総務大臣宛に提出!!

全国で放置人工林の天然林化が進むよう要請しました

昨日3月13日、東京都の総務省庁舎内にある総務大臣政務官室にて、古賀友一郎政務官(参議院・自民)に、皆様の想いが詰まった2万7562筆の署名と森林環境税でスギ・ヒノキの放置人工林を天然林に再生することとそのための体制整備を求める要望書を届けてまいりました!

熊森本部に届いたたくさんの署名用紙には「日本の森を豊かにしてください」「国を変えるために熊森ががんばってほしい!」というお手紙も一緒に送ってくださった方々もおられました。みなさんの想いを、日本熊森協会の室谷悠子会長と現役参議院議員の片山大介顧問がしっかりとお届けさせていただきました!

署名をお渡しする室谷会長、左が古賀総務大臣政務官で、右が片山大介議員(熊森顧問)

 

お渡しした署名27562筆の署名。2019年3月13日

 

署名提出後、室谷会長は、古賀政務官へ以下のような要望書を提出しました。

 

要望書日本語

 

 

室谷会長はここで、

  1. 日本の人工林の3分の2が、放置林で、野生動物の食料にならないスギやヒノキの単一針葉樹林を人間が植えてしまったことで野生動物の生息地が失われてしまったこと。
  2. 山の保水力を著しく低下させ、各地で湧き水が激減し、台風や大雨により放置人工林が大規模に崩壊し、毎年多くの人命や財産が失われていること。
  3. スギ・ヒノキから発生する大量の花粉が、多くの国民が花粉症をもたらしていること。

について政務官にお話し、森林環境税を使って全国規模で放置人工林の天然林化を進めていくように国の政策を大転換していただきたいと要望されました。

 

古賀政務官は

「この問題は非常に重要な問題ですね。昨年は西日本豪雨災害など大規模な大雨災害がありました。総務省としても、森林環境税・譲与税が放置人工林の天然林化が進んでいくよう取り組んでまいります。」と回答されました。

 

片山大介顧問は

「森林環境税・譲与税がしっかりと市町村に天然林化に使っていただけるような体制づくりをしていただきたい。今後の国会で質問します。」と、古賀政務官へ話されました。

 

日本の森林は今、大転換期を迎えようとしております。熊森が今取り組んでいることは、今後の日本の歴史を大きく変えることにつながるかもしれません。メディアのみなさまには、ぜひ取材をしていただきたいです。またフェイスブックでこのブログを読まれた方は、広く世界へ拡散してください。

 

速報:森林環境税・譲与税法案 衆議院総務委員会可決

附帯決議に「放置人工林の広葉樹林化」と体制整備が入りました!

2018年3月1日深夜、森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律案が、衆議院総務委員会で可決されました。

その際、自由民主党、立憲民主党、無所属フォーラム、国民民主党、無所属クラブ、公明党、日本維新の会及び希望の党の6派の共同提案による附帯決議も可決されました。附帯決議とは、政府が法律を執行するに当たっての留意事項を示したものです。

 

森林環境税・譲与税法案の付帯決議では、「放置人工林の天然林化」とそのための体制をつくることといった熊森が訴えてきた条項が入りました!

放置人工林の天然林化(広葉樹林化)を国会に出向いて訴えていたのは、私たちだけでしたが、本部支部あげて国会議員にアタックした結果です。

 

衆議院総務委員会の国会議員の皆さま、本当にありがとうございます!

審議は、参議院に移りますが、引き続き放置人工林の天然林化を訴えていきます。

 

(衆議院総務委員会での付帯決議の抜粋)

政府は本邦の施行にあたり次の事項に対して適切に処置すべきである。

 

12 私有人工林において、荒廃し、保水力低下、土砂災害の発生、野生鳥獣の生息地の破壊、花粉症罹患者の急増など、深刻な問題が生じていることがわが国の森林における重要な課題であると鑑み、豊かな水源の森再生のために、森林環境譲与税で地域の自然条件に応じて放置人工林の広葉樹林化を進めること

 

13 広葉樹林化の施業は実践例が乏しく、森林環境譲与税の交付を受ける自治体にその技術がなく、人材も不足していることから森林環境譲与税で放置人工林の広葉樹林化が進むように具体的な指針を示し、必要な支援を行うこと。

 

14 既存の森林整備に係る補助金等は放置人工林の広葉樹林化に利用が難しく、自治体独自の補助事業もほとんどないことに鑑み、放置人工林の広葉樹林化が各地で進むよう必要な取り組みを行うこと。

 

15 森林環境税及び森林環境譲与税制度について各自治体における使途及び豊かな森林の公益的機能増進への効果を検証しつつ、必要がある場合には豊かな森林環境の生のために森林環境譲与税の使途や譲与基準を始め、所要の見直しを行うこと。

 

熊森から

放置人工林の天然林化を誰よりも待っているのは、有害獣のレッテルを張られ、無残にも大量捕殺され続けている日本の野生動物たちでしょう。

彼らは、人間のところに出て来たくて出て来たのではなく、荒廃した広大な放置人工林によって山で生きられなくなり、生きるために食べ物を求めて里に出てきたのです。

 

 

熊森は、今回の付帯決議を、誰よりも、彼らと喜び合いたいです。

 

動物たちに帰れる森を、地元の人たちに安心を。

熊森は、今後も必死で天然林を復元・再生していきます。

 

今、日本の山野にはおびただしい数の捕獲罠が仕掛けられています。

罠にかからないように気を付けてください。

なんとか野生動物のみなさんに、生き伸びていてほしいです。

 

 

日本学術会議・兵庫県共催「野生動物と共に生きる未来」は、野生動物の生存権や存在益を一切無視した野生動物害獣視の捕殺推進シンポジウム①

2019年2月9日、兵庫県公館で開催されたシンポジウム「野生動物と共に生きる未来」は、予想通り、テーマと中身が180度反対の、「野生動物捕殺推進」シンポジウムでした。

 

チラシ絵を見て、目を疑いました。

山中の、クマ、サル、シカ、イノシシたちが、みんな幸せそうにニコニコと笑っています。

 

チラシ絵

 

しかし、現実は全く正反対です。兵庫県では毎年、県の指導で、シカ・イノシシ・クマ・アライグマやヌートリアなどの外来種を、手あたりしだい殺しています。

ハイテク罠を次々と開発して、山の中にいるものまで、猟友会や捕殺会社に駆除金付きで殺させています。

里山も奥山も人間によって大荒廃。だが、彼らが山に帰れるように生息地を復元してやることはしません。

野生動物たちはみんな泣いているのです。

 

テーマもチラシ絵も、人間に殺され続けている野生動物たちへの冒とくです。

 

2018年度、環境省は亀澤玲治自然環境局長の名で、日本学術会議山極壽一議長に対し、「人口縮小社会における野生動物管理のあり方の検討に関する審議」を依頼しました。

日本学術会議はその後、「人口縮小社会における野生動物管理のあり方の検討に関する委員会」を立ち上げ、これまでに5回の会合を重ねました。

この委員会の委員長は鷲谷いづみ氏、副委員長は兵庫県森林動物研究センター梶光一所長、幹事のひとりが、兵庫県森林動物研究センターの横山真弓氏です。

今回のシンポジウムは、この委員会の中間発表にあたるそうです。

 

 

会場の兵庫県公館は、風格のあるすばらしい建物です。

熊森は、入り口で、兵庫県の野生動物の大量捕殺状況や生息地の荒廃実態を訴えるチラシをみんなで配りました。

参加者が400名を越えたということで、用意した200枚のチラシがあっという間になくなってしまいました。

熊森本部クマ部会メンバーが、2つの入り口に分散してチラシ配り

 

会場に入ると、例のチラシ絵が舞台の左右に大きく掲示されていました。

私たちは違和感でいっぱいでしたが、県民は兵庫県の実態を知らされていないので、温かみのあるいい絵だなあと思って見ていたかもしれません。(実際、絵としてはいいものなのです。)

シャンデリアも美しい格調高き公館内部

 

まず、井戸敏三兵庫県知事が開会の挨拶で、「森林動物研究センターの研究員である横山(真弓)さんや山端(直人)さんには、本来の研究生活に没頭していただかなくてはならなかったのに、シカ退治やイノシシ退治に没頭してもらうことになり、私としては恐縮に思っております」として、退治という言葉をあいさつの中で何度も使われました。

兵庫県では、野生動物は管理対象を通り越して、病原菌並みに退治の対象になっていることがわかりました。口では共に生きると言いながら、野生動物を退治の対象としてしか見ていないのは、大問題です。

 

 

次に、山極壽一日本学術会議議長(京都大学総長)のビデオレター挨拶がありました。

山極「日本の野生動物たちは、50万年前に大陸から渡ってきました。(熊森注:人間は2万年前にわたってきました)
現在、日本では、毎年、シカやイノシシをそれぞれ50万頭以上捕獲除去していますが、これをどう利用すべきか、今後はクマやサル、ヒヨドリなどの鳥、外来種も含め、どれくらい捕っていかなけれなばらないのか、その人材育成などが喫緊の課題となっています。このシンポジウムの結果を大変期待しています。」

山極先生と言えば、ゴリラ研究の第一人者です。サルだけは殺したくないと言われるのかと思っていたら、さらっとサルも捕っていかなければならないと言われました。頭数調整のためとして人間に理不尽に殺されていくサルたちの無念さ、残された家族の悲しみは、サルとて人間と同じはずです。ビデオレターから見えた山極先生は、完全に、兵庫県と同じ野生動物頭数管理派でした。

 

次に挨拶されたのは、鳥居敏男環境省大臣官房審議官です。

鳥居「都市化が進む一方、地方では過疎が進み、耕作放棄地や森林が増えていきます。こういう背景によって、野生鳥獣の激増と急速な分布域拡大が見られるようになりました。

毎年、計100万頭以上捕獲されているシカ・イノシシのほとんどが、現在廃棄処分にされています。野生鳥獣を資源として活用していく道を考え、地域の経済循環に資することを考えねばなりません。今日のシンポジウムで科学的な議論が行われると期待しております。」
(熊森注:兵庫の山の大荒廃をご存じないように感じました。物事にはすべて原因があります。自然界は、本来絶妙のバランスが取れた世界です。野生鳥獣の激増と急速な分布域拡大と言われるのなら、その原因を究明されるように研究者たちに指示すべきです。原因が人間だった場合、どうされるのでしょうか。生き物たちはみんな生きたい。生きるために生まれてきたのです。高齢化が進み、空き家も増えた中山間地に、野生動物が移動するのは当然で自然です。特別な被害防除対策が必要です。)

 

この後、鷲谷いづみ日本学術会議課題別委員会委員長、梶光一兵庫県森林動物研究センター所長の発表がありましたが、みなさん、いずれも欧米の人間絶対優位のワイルドライフマネジメントをお手本にしようとされていました。

 

 

熊森から

日本学術会議、兵庫県・兵庫県立大学、環境省、農林水産省、日本生態学会・日本哺乳類学会、「野生生物と社会」学会・・・、このシンポジウムで発表した研究者たちは、全員が、人間は野生動物を殺すことで頭数管理をすべき、殺害個体の資源利用も進めるべきというワイルドライフマネジメント派の仲間であることがわかりました。

彼らは、野生動物の生存権や存在益には全くふれません。この方面は全く研究していないようです。

生きた野生動物を研究していて、その純粋さに共感したり、同じく生きとし生けるものとして愛情をいだいたりしないのだろうかと、人間として不思議に思いました。

 

野生動物の生息数を人間が思う数に調整するには、まず、野生動物の生息数がわからなければなりません。適正生息数は何頭かという問題も発生してきます。

このような人間には永久に把握できない複雑系の自然界に対して、ワイルドライフマネジメント派の研究者たちは、野生動物を捕獲し、全身麻酔を掛け、発信器付き皮首輪装着で首を締めあげるなど、野生動物の心身に耐えがたい負担をかけながら、どこまでも仕事として調査を繰り返します。それだけではなく、今や銃やハイテク罠の前に完全に弱者となってしまった野生動物たちを、いかに効率的に大量殺害するかという研究も進めます。野生動物たちが造ってくれる森から湧き出す水で命を永らえている人間として、あまりにも傲慢です。

 

西洋文明を良しとするこれら野生動物管理派の研究者たちの自然観や動物観は、可能な限り殺さないで問題解決をしたいと願う一般の日本国民からは大きく乖離しています。

「鳥獣被害防止特措法」の苦い経験から、森林環境税の使途に「人工林の天然林化」の明記を願う

熊森が、「森林環境税」の使途に、「人工林の天然林化を進めること」という言葉を入れていただきたいと訴えて回っているのは、2007年の「鳥獣被害防止特措法」の苦い経験があるからです。

 

この法案は最初、「有害鳥獣特措法」という名前でした。「有害鳥獣」などこの世にいないのだから、「有害鳥獣」という言葉を法律名に使うべきではないとして、熊森顧問の赤松正雄当時衆議員議員が、当時、国会でひとり必死に闘ってくださいました。

 

そして、法律の名を、「鳥獣被害防止特措法」と変えてくださっただけではなく、赤松議員は、第十八条に

 

国及び地方公共団体は、人と鳥獣の共存に配慮し、鳥獣の良好な生息環境の整備及び保全に資するため、地域の特性に応じ、間伐の推進、広葉樹林の育成その他の必要な措置を講ずるものとする。(生息環境の整備及び保全)

 

という条文まで入れ込んでくださったのです。

 

熊森が、泣いて喜んだのは言うまでもありません。

この法案に対して、年間96億円程度の予算が国から出ることになったのですが、鳥獣を捕殺することに予算を使うだけではなく、鳥獣が人里に出て来なくてもいいように、鳥獣の奥山餌場づくりにも予算を使っていいことになったのです!

 

ところが、毎年予算の使われ方をチェックしましたが、鳥獣の餌場づくりには1円も使われませんでした。

 

鳥獣の餌場となる広葉樹林の育成にも使うことという明記がなければ、実際上は使われないと、私たち熊森は学習しました。

 

こういう経緯があったため、今、熊森は、森林環境税を使って人工林を天然林化することという文言を、法文に入れてほしいと訴えて回っているのです。

税は森林整備に使ってくださいという法文だけでは、人工林の天然林化が進むとはとても思えません。

「森林環境税で放置人工林を天然林へ」室谷悠子会長が国会議員を訪れ、精力的にロビー活動中

「森林環境税法案」は2月8日に閣議決定されたので、ネットでも法文を読めるようになりました。「森林環境税法案」

ただいま、衆議院総務委員会で審議中です。本会議で採決後、3月には、参議院総務委員会で審議される予定です。

法文第34条に、森林環境税の使途として、

1 森林の整備に関する施策

2    森林の整備を担うべき人材の育成及び確保、森林の有する公益的機能に関する普及啓発、木材の利用の促進その他の森林の整備の促進に関する施策

となっていますが、これだけでは税が林業用整備や間伐に使われるだけになることが考えられます。間伐では、天然林は再生しません。

法文に、この税で、放置人工林を順次計画的に天然林へ移行していくという文言を入れてください!

熊森は動きに動いています。

 

2018年

12月4日

総務省市町村税課担当職員に (総務省)

12月4日衆議員議員に訴える室谷悠子会長(国会議員会館)

 

2019年

2月5日参議院議員に訴える室谷悠子会長(国会議員会館)

2月20日衆議院議員に(国会議員会館)

これまで約20名の国会議員に会って、訴えを聞いていただくことができました。

 

地元でも、地元選出国会議員にアタック

 

2月23日

石田真敏総務大臣の和歌山県地元秘書に訴える(和歌山県岩出市)

和歌山県北野久美子支部長・真造賢二和歌山県みなべ町議会議員

 

「森林環境税で放置人工林を天然林へ」の署名27000筆は、3月上旬に、石田真敏総務大臣に提出予定です。

<2019年は、、日本の林政大変革期です>

私有林に関する法律

「森林経営管理法」2018年国会成立、

森林環境税法案」2019年国会審議中

「森林バンク法案」2019年国会提出予定

 

11月4日(日)林野庁初参加 祝 第11回くまもり東京シンポジウム「人工林から豊かな森へ」

2018年11月4日(日)東京都表参道のウイメンズプラザにて、くまもり東京都支部主催の第11回くまもり東京シンポジウムが開催されました。

 

今回のくまもり東京シンポジウムには、林野庁担当者がご出席くださり、今年5月に国会で成立した「森林経営管理法」をもとに、林野庁の考えていることを発表してくださいました。

くまもりの集まりで林野庁の係官が発表してくださるのは初めてのことであり、画期的なことです。時代の変化を感じるとともに、発表してくださった担当者には心からお礼申し上げます。

 

また、今年新たに熊森顧問になってくださった元徳島県木頭村村長の藤田恵氏も、ビデオ発表となりましたが、熱弁をふるってご講演くださいました。

 

室谷悠子くまもり新会長も、30分間の力強い講演を行いました。

 

以下は、各発表者の要旨です。

まず初めに、くまもり東京都支部の川崎支部長より挨拶がありました。

「日本は世界で唯一、首都にまだクマの棲む森が残っている国です。しかし東京都の山の多くが戦後の拡大造林政策でスギなどの単一人工林に覆われてしまいました。残された自然林の山の実りが悪いときは、クマなどの野生動物が人里に出て来てしまいます。

 

山にかかわってこられた三重県の後藤さんは、次のように述べられています。

「本来植林は大きな山でも、その3分の1しかできません。それ以上したら間違いです。

山の尾根は全部自然林で残す。谷間の緩やかな所だけ植林する。谷間にはスギを植え、中腹にはヒノキを植え、南向きの日の当たる所は全部自然林で残す。これが紀州人の掟でした。

戦後の拡大造林は、これを破って山という山に全部植林しました。だから今ある植林の3分の2は間違いです。

手入れできない人工林も、半分土砂で埋まったダムも、コンクリートで固められた河川や海岸も、全てが今後、大規模災害につながる負の遺産です。

全てのことに私が解決策を訴えられるわけでもありませんが、崩壊寸前の植林地に関しては国民総出で巻き枯らし間伐の運動を行えば、今なら崩壊を止められると思います。」

 

動物と人間の棲み分けを復活させるためにも、大都市の水源を守るためにも、来年度からの森林環境譲与税は、「放置人工林を豊かな森へもどす」ことに使っていただきたい。私たち都民にとっても、重要な話です。今日はたくさんのことを学びましょう。」

 

くまもり新会長  室谷悠子 「熊森がめざす豊かな森づくり」

「私たちが兵庫県北部の豪雪地帯で実験した例では、スギやヒノキの人工林に6割の強度間伐を施して、間に広葉樹の苗を植えても、数年たてばまた残されたスギが太り、林内が真っ暗な元の人工林に戻ってしまいました。こうなるともう広葉樹は育ちません。

 

人工林を広葉樹林に戻すには、定性間伐ではなく、皆伐または崩れやすい山では小面積皆伐を実施する必要があります。兵庫県北部はシカが多い場所でもあり、シカが侵入しないための囲いや雪対策が必須です。

 

一方、温暖で湿潤な気候の九州では森の再生力が大きく、シカが多くても、シカ除け柵など不要で、皆伐場所を放置しておくだけで、数年で広葉樹林化できます。

 

これまで熊森が人工林の広葉樹林化をめざして長年試行錯誤した結果得られた知見からモデルをつくり、国や行政に提示していかなければならないと考えています。

 

また、来年1月に国会に提出される森林環境税法案は、現段階では何に使うかという使途がはっきり決まっていません。ぜひ放置人工林の自然林化を使途に義務付けるよう、多くの国民の皆さんに声を挙げていただきたいです。」

 

熊森顧問・元徳島県木頭村長 藤田恵氏 「拡大造林で壊れ続ける四国の山と川」

「戦後の拡大造林により、山の保水力が落ちてしまいました。その影響で台風や大雨がくると山からどんどん土砂が流れてきて、川底やダムを埋めていきました。また、土建業者をもうけさせるための補助金規定に従って、山奥まで不必要な幅の広い舗装林道が作られ、山奥の自然がどんどん壊されています。」

 

林野庁森林整備部計画課 三間知也氏 「新たな森林管理システム(森林経営管理制度)について」

「林野庁としても、スギやヒノキなどの針葉樹の人工林を、造り過ぎたと感じています。なので、今後は減らしていき、林業で使われない部分は、できる限り針葉樹と広葉樹が混交するような複層林に変えていきたいです。

 

また、森林環境税が市町村で実際に使われる際に、土地所有者が不明もしくは亡くなられているなどの理由でおられないときは、市町村の権限で放置人工林の整備をしていけるように法改正しました。

 

九州豪雨災害や西日本豪雨災害で大規模な土砂崩れが発生したのは、人工林のせいではなくて、異常な降雨によるものだと私たちは考えています。」

 

この後、東京都支部、神奈川県支部から、活動報告がありました。

 

熊森から

この日、62名の方々がこの会場に来てくださいました。

 

参加者の中には、人工林問題や東京都のツキノワグマ生息状況に関心の高い都議会議員の先生や、大学の生物系の先生方もおられました。また、質疑応答の時間には、参加者からたくさんのご意見・ご感想をいただきました。

 

戦後の拡大造林政策の失敗は、林野庁だけの責任ではなく、声を上げなかった全国民に責任があると熊森は考えています。

 

林野庁は、ごく最近まで、戦後進めてきたスギやヒノキの針葉樹の単一造林に問題はないと主張されていましたが、ようやく「人工林を造り過ぎた」と発表されるようになりました。しかも、今回、民有人工林の8割が放置されていると、言いにくいことを正直に発表されました。国民としては、温かい拍手を送りたいと思います。

しかし、近年の豪雨被害で発生している山崩れに人工林が関係していることについては、今も林野庁は否定的であることがわかりました。

 

森林経営管理法や森林環境税が正しく効力を発揮するためには、多くの国民が山のことも勉強し、声を上げていかなければならないと思います。(国民が勉強しなければならないことが多過ぎて、大人は本当に大変です)

 

まだ、奥山放置人工林を森林環境税を使い天然林に再生すべきだという署名にご署名をいただいてない方は、以下のネット署名でご協力ください。Change.org森林環境税で、スギ・ヒノキの放置された人工林を天然林に戻してください

 

 

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