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カテゴリー「山形県」の記事一覧

4月16日(土)山形県支部総会開催!

4月16日(土)13:30より、山形国際交流プラザ「ビッグウイング」にて、山形県支部総会が開催されます。
群馬県川嵜支部長が出席し、群馬県支部の実践活動についてお話していただきます。
また、去年の山形県での活動のご報告を行なうとともに、
今年一年の活動について、多くの方と意見交換を行なう予定です。
会員・一般、山形県民・他県民、どなたでもご参加していただけますので、
ぜひお越しください!

■日時   2011年4月16日(土) 13時30分~16時00分
■会場   山形国際交流プラザ「ビッグウイング」4F研修室
       990-0076 山形市平久保100  TEL:023-635-3100 
■内容    (1)群馬県支部の活動に学ぶ
        (2)この一年間の支部活動の報告
        (3)支部決算の報告
        (4)特定鳥獣保護管理検討委員会報告
        (5)今後の活動について
        (6)その他

ご案内・お申し込みについてはこちら

山形県支部長の投書が朝日新聞に掲載!

八木山形県支部長の投書が、2月22日付け朝日新聞「声」の欄への掲載されました!
八木支部長は先日山形県のクマ春季捕獲中止などを求めて要望書を提出するだけでなく、一人でも多くの方に現状を知っていただくために投書も行っていたのです。
熊森ではあちこちでこのような声を上げていくことを求めています。

*山形県支部ではクマ春季捕獲中止の要望書賛同署名を集めていましたが、2月16日を持って受付を終了致しました。 たくさんの方にご協力いただき、誠にありがとうございました。

「クマ捕殺 根本的な解決にならぬ」

自然活動指導者 八木 文明 
(山形県長井市 57)

 昨年は全国的に山の実りが少なかったせいか、クマの出没が相次いで人身事故も多発。農作物の被害もかなりの額に上ったと聞く。そうした状況下、県内では今年度220頭のクマが捕殺された。県内の推定生息数の10%超だ。  山形では今世紀の10年間で約2300頭のツキノワグマが捕殺されたことになる。クマはブナ、ミズナラ、コナラなどの広葉樹の森に依存して生きている。しかしそれらの実は毎年豊作というわけではなく、豊凶の差が大きい。  私は、クマの人里への出没の背景に、開発や酸性雨などによる森林環境の変化があると考える。さらに数年前から低山では「ナラ枯れ」、標高の高いブナ帯ではブナの「葉枯れ」が進行している。原因が解明されたわけではないが、里山の荒廃や農薬使用などが遠因という説もある。  豊かな森林を守ろうと、植樹などささやかな活動を仲間たちと続けているが、モグラたたきのような捕殺は控えてほしいと願っている。根本的な解決にはならないからだ。しかし願い空しく、県は来年度の捕獲数の上限を今年度より11頭多い229頭とする方針を固めた。極めて残念だ。 

山形県クマ春季捕獲中止の要望書賛同署名、全国29都府県1021名分を持って特定鳥獣保護管理検討委員会へ

全国の皆様に報告と御礼
日本熊森協会山形県支部 八木文明

日本熊森協会山形県支部では、去る1月24日、山形県知事に対し、森林環境の保全や野生動物との共生という観点から、クマの「春季捕獲」を来年度は中止してほしいことなどを盛り込んだ要望書を提出しました。この要望書への賛同署名を呼びかけておりましたが、2月17日までに、全国29都府県からあわせて1021名分の署名をお送りいただいております。それぞれの地域、職場、ご家族、ご友人などへの呼びかけ、ほんとうにありがとうございました。

去る2月16日、私は、山形県の「特定鳥獣保護管理検討委員会」に、自然保護団体の代表として出席してきました。この日に間に合った署名912名分を自分の席に置き、皆様から後押しをしていただいていることを心強く感じながら会合でさまざまな発言をしてまいりました。

結論を先に申し上げれば、来年度について、私たちの要望を実現することはできませんでした。せっかく署名をお送りいただいたのにと思うと残念です。しかし、私はそれほど落胆してはいません。私たちの働きかけはまだ始まったばかりであり、今後の地道な取り組みがいつか理解されるはずであるという可能性に期待しているからです。

痛ましいことですが、山形県では今世紀に入ってからの10年間で、2300頭を超えるツキノワグマを捕殺してきました。そこに来年度は、「229頭」(今年度は218頭)を上限として、捕殺が行われることになりました。また、この中に「春季捕獲分」として含まれているのは86頭(今年度は83頭)です。いずれも昨年度を上回る数字となっています。

この数字を出すにあたって県は、県内に生息するクマを1985頭と試算しています。これは昨年度当初の推定生息数の2109頭から捕獲分227頭を差し引き、それに自然増加率が環境省のマニュアルの中に示されている12%であるとして算出したものです。

百歩譲って、この数値がかなり精度の高いものであるとすれば、環境省が全国に棲むツキノワグマの生息数を15000頭から25000頭と見積もっていることから、その10%もの個体が山形にいることになります。そしてさらに、「捕獲上限229頭」は、この生息数の11.5%になります。クマは、前の年の秋の実りの状況によって、出産が大きく影響をうけると聞いていますが、昨年山の実りが大凶作だったことなどは、この算出では全く考慮されていません。

全国のみなさんからの署名が集まっていることに触れながら、私は、「この会合で話し合っているのは実は山形だけの問題ではない」ということを強調してきました。クマに住民票はありませんし、森林が作り出す酸素や水にも、県境も国境もありません。
会合は、県事務局が出した案に反対の意見を述べたのは私一人でした。結果としては「少数否決」ということですが、今回の取り組みは「ゼロ」ではなかったと思っています。いくつか前進の兆しも見えています。

山形県内にはたくさんの国有林がありますが、これまで森林管理局は国有林へのクマの放獣を認めてきませんでした。そのことが放獣のハードルにもなっていたのですが、昨年秋、県の自然保護団体協議会(私たちの支部も加入している)の名前で東北森林管理局に提出した要望書に対し、今後条件の整備を県との間で行ないながら、放獣を認めてゆくという回答が得られています。

また、放獣の前提となる、クマを傷つけないで捕獲するドラム缶ワナの製作について、県費での対応を検討してゆくという考えを県は示しています。

問題の大きさを考えれば小さな一歩ではあるのですが、一歩がなければ365歩もないのです。

ご協力いただいたみなさんにお願いです。署名は「終わり」ではなく始まりです。たとえば、山形のクマ捕獲の問題点について、新聞にぜひ投書してくださいませんか。また、県のHPから入って、県知事や担当部局あてにみなさんの声を届けていただけませんか。山形が全国の方々から注目されているということは、行政には強いインパクトを与えるはずです。どうぞご検討ください。なお、その際には決して匿名や無記名ではなくお願いいたします。正しいと信ずる意見を表明するのに、自分を隠す必要はありません。

山形支部では現在4月24日(日)の午後に、支部の総会を兼ねて勉強会を開催する予定です。山形県外からの参加も大丈夫です。ちょうど桜が見ごろの時期かもしれません。花見を兼ねてぜひ参加ください。また、今年秋あたりに、山形の森をみていただくツアーの実施を考えています。ナラ枯れやブナ枯れの現状と、ゆたかな原生林を見ていただく中身の濃い、しかも低価格のツアーを検討してゆくつもりです。案内を協会のHPなどに掲載していただきますので、ぜひお声をかけあってご参加ください。

このほかに、山形県の鶴岡市内でクマのクロちゃんを飼育しておられる佐藤八重治さんが、6月あたりにツアーを検討してくださっています。こちらも何らかの広報がなされると思いますので、そのときには参加をご検討ください。

みなさま、ほんとうにありがとうございました。

春グマ狩りの取りやめなどを求め、知事へ要望書提出!    (熊森山形県支部)

熊森山形県支部が、クマノイ(胆嚢:漢方薬として高く売れる)が一番大きくなっているときに狙って行われる、県内でのツキノワグマの春季捕獲(春グマ狩り)を取りやめることや、増大しているナラ枯れやブナの葉の食害対策を求めて、山形県吉村美栄子知事宛に要望書を提出しました!

http://kumamori.org/files/5812/9587/1717/山形県知事等への要望書.pdf
八木支部長は2月16日、山形県の特定鳥獣保護管理検討委員会で、

要望を強くアピールします。

福島県国見町でもどんぐり運びの成果あり!

山形県支部長より、どんぐり運びの報告がありました!

しっかりクマさんのところまで届いたようです。

以下、報告をお知らせします。

————————–
11月17日に、およそ120kgのクリを、2ヶ所に分けて置きました。

12月8日、その2箇所を見てきました。

クリを置いたすぐ回りに大きな糞が3ヶ所にありました。

こちらは昨日から気温が下がり、奥羽山系では雪が降っていました。しかし、現地はわずかに小雪は舞っていましたが、積雪はなく、クリを置いたものが雪で隠れることもないギリギリのタイミングだったと思います。

今回のことで、この周辺にたしかにクマは生息していることがわかりました。置いたものは120kg、残っていたのがおよそ20kg(推定)。 100kgは動物たちに食べられたことになります。

以上、報告です。

~野生動物たちの楽園にしたい~          第2回福島県国見町広葉樹植樹会

10月30日(土)
「どんぐりの木を植樹しませんか
~ 動物のすめる森復元 第2回福島県植樹会」

〈主催〉日本熊森協会
〈共催〉国見町、桑折町、国見町桑折町有北山組合

福島県国見町が熊森の考えに賛同してくださったことがきっかけで、昨年秋から始まった東北での広葉樹植樹会。動物たちとの共存を願う、東北の方々が集う貴重な機会です。

福島、山形、宮城を中心に東京、神奈川、茨城からも参加者があり総勢44名。
地元国見町、桑折町からは十数名の方々がおいでくださいました。

ここは標高約600mの奥地。アカマツの植林地でした。その伐採地跡に、ブナ、ミズナラ、シバグリ、トチなどの、200本の実のなる広葉樹の苗木を植えていきました。
あいにくの雨天の中でしたが、初対面の方々も、チームワークよくどんどん作業がすすみます。
昨年植えた200本の苗木は、9割が根付いていました。喜びの声があがります。元気な苗木は、私たちの希望の象徴のようですね。こちらはブナ。植樹せずとも、自然に再生しつつある幼木も、たくさんありました。
去年に引き続いて今年も植樹会の世話役をしてくださったくまもり山形県八木支部長から、山形県の今年のクマ状況について、報告がありました。果樹王国山形県では、温暖化のせいもあり、果樹園を、クマたちが棲む標高の高い奥地へ作ることも多いそうです。その果樹園にクマが来て、補殺されています。
集まることが、大きな力に、今こそクマ救えの声を、大きくつないでいきましょう。

今回植えた苗木が大きく育ち、森になるのはいつのことでしょうか。ここには、クマ、サル、イノシシはじめ、いろいろな動物が棲んでいるようです。いつか彼らが安心してすめる場所になるとよいですね。

来年の初夏には、草刈りなど苗木の手入れを行う予定です。成長した苗木の世話は、本当に楽しい作業です。ぜひまた、おいでください。
最後に、国見町佐藤町長はじめ地元の皆様には、今回も準備から当日の車出し、植樹指導など、大変お世話になりました。

心よりお礼申し上げます。みなさま、ありがとうございました。(早く、福島県・宮城県にも手を挙げる人たちが現れて、リーダーが誕生してほしいですね。)

中学校に逃げ込んだクマ

山形県支部長のブログに、中学校に逃げ込んだクマの事件を報じる地元紙の夕刊の書き込みがあります。
是非読んでください。下リンクをクリック

http://kumamori.org/news/shibuchiku/shibu/20101015yamagata-3.html/

ウェブチームより

どんぐりの木を植樹しませんか

どんぐりの木を植樹しませんか

~ 動物のすめる森復元 第2回植樹会 ~

日本熊森協会国見町植樹の集い2010要項

■主催     日本熊森協会

■共催     国見町、桑折町、国見町桑折町有北山組合

■開催期日  2010年10月30日(土)

■開催主旨
「動物たちに帰れる森を! 地元の人たちに安心を!」という呼びかけのもとにこれまで各地で開催されてきた日本熊森協会植樹の集いを、今年も開催します。国見町の佐藤町長さんが、日本熊森協会の活動の主旨に賛同してくださり、町をあげて全面的なご支援をしてくださっています。植樹を通じて、野生動物たちとの共生の動きを一層盛り上げてゆきましょう。

■当日の日程  12時30分  国見町役場駐車場集合

※列車の方はJR藤田駅で待機ください。

(役場→藤田駅→現地へ移動)

13時~14時30分  植樹

(現地→役場へ移動)

15時~16時     参加者交流

(会場:国見町役場内)

■服装・準備  屋外での活動にふさわしい服装、防寒具・雨具、長靴・手袋、マイカップ、健康保険証
(剣スコップお持ちいただける方は持参ください)

■注意     ・現地にトイレはありませんので、ご留意ください。

■参加申し込み  参加希望者は10月25日(月)までに必ず下記にご連絡ください。
氏名・住所・電話番号・生年月日。これ以降に申し込みをされますと、傷害保険に加入できない場合がありますことをご承知ください。申し込みをされた方に、協会所定の「健康チェック・免責同意書」をお送りします。当日受け付け時にご提出ください。

【申し込み先】日本熊森協会山形支部長 八木文明
〒993-0053 山形県長井市中道2-16-40
TEL/FAX 0238-84-1537
携帯電話 090-5230-8819
e-mail  happa-fy@dewa.or.jp ☆できるだけメールでお願いします!!

みなさんの声を届けてください! 9月13日 山形県で親子グマ3頭捕獲

9月13日17時過ぎ、山形県西川町のモモ畑で捕獲されていた親子グマ3頭のうち母グマが捕殺されました
子グマ(体長60㎝、今年生まれ)は放獣
しかし、子グマは2年ほどかけて、親グマから、食べ物の採り方や冬眠の仕方など、人間と同じように生きる術を教わります。山に放しても、小さな子グマだけでは生き残れず、見殺しです。
みなさん、ぜひ意見を届けて下さい!
(意見先は下記)
・・・
(報道より)
「親グマに襲われ大けが 西川・わなに子グマ、見回り中」
11日午前5時55分ごろ、西川町睦合のモモ畑で、クマ捕獲用のわなの様子を見に行った近くの農業長登政信さん(71)がクマに襲われたと、長登 さんの 家族から119番通報があった。長登さんは頭から左足にかけ、つめで引っかかれる大けがをし、山形市内の県立中央病院に搬送された。命に別条はないとい う。寒河江署によると、県内で今年、クマに襲われてけがをした被害は2件目。
同署などによると、長登さんは同日午前5時半ごろ、1人でモモ畑に出掛けた。わなはドラム缶を改造したもので、子グマ2頭が掛かっていた。わなに 近づい たところ、親グマとみられる成獣に襲われた。長登さんが携帯電話で家族に連絡し、助けを求め、自分で車を運転し自宅に戻ったという。

わなは最近、現場付近で頻繁にクマが出没した形跡が見られたため、町の有害鳥獣駆除の許可を得て10日、地元猟友会が設置した。現場は長登観音か ら北東 約500メートル地点の山中で、近くを国道112号と山形自動車道が通り、約500メートル離れたところに睦合小がある。地元猟友会は11日午前、長登さ んを襲ったクマを捕獲するためのわなを現場付近に仕掛けた。町は現場付近の道路を通行禁止とし、同署はパトロールを強化している。

県内では今年5月11日、河北町岩木の山林で、山菜採りに出掛けた無職の男性(78)がクマに襲われてつめで顔などを引っかかれ、大けがをしてい る。県警地域課によると、今年はクマの目撃情報が昨年より増えているという。
(以上、2010年09月11日 山形新聞より)
その後、9月13日朝、親グマと思われるクマが、捕獲オリにかかったと判明
・・・・
(熊森見解)

このたび、ケガをされた方には、さぞ大変だったことだろうと、心よりお見舞い申し上げます。

ただ、山形県の今秋山の実りは、ブナもナラも凶作が予想されるなど、動物たちは苦しい状況におかれています。
クマには人を襲う習性はなく、今回の事故は、子グマを守りたい一心で人間に向かっていった、母グマの行為です。

命がけで里に出てきたクマを、捕まえて殺すというのは、人として恥ずべき行為ではなかったでしょうか。

今後、果樹園を電気柵で防除する、捕まえたクマは奥地に放すなど、人間側も努力して、クマと共存を目指していただきたいです。

山形県のツキノワグマは生息推定数1500頭といわれていますが、平成18年から去年までの4年間に、有害駆除として届出があっただけでも1008頭が捕殺されています。これ以上安易な捕殺は、種の保全上からも、止めるべきです。
クマが造る豊かな森を残せなければ、動物同様森に依存して生きている、人間も生き残れません。
みなさん、ぜひ、意見を届けてください!
■山形県(代表)
メール:t77H58hB@pref.yamagata.jp
電話:023-630-2211
■西川町(代表)
FAX:0237-74-2601
メール:info@town.nishikawa.yamagata.jp
電話:0237-74-2111
・・・
(以下、くまもり山形県支部長のブログより)
私の子どもたちを返してください!
<このワナの中にこどもが!>
11日明け方、私は子どもたちを連れて食べるものを探していました。いつも歩き回っているところではブナもナラもほとんど実りがなく、食べるもの がど うしても足りないのです。雪解けのころには山菜やタケノコなどがありましたが、今はそういうものもありません。それで知らず知らず斜面を降りていたので す。ちょっと目を離したときでした。ガチャンという音。そして子どもたちの叫び声がしました。駆け寄ってみると、子どもたちはドラム缶でつくられたワ ナの中に閉じ込められていました。不覚でした。そういうものに対する注意をまだ十分に教えていなかったのです。
私は必死にこじ開けようとしましたが、うまくいきませんでした。もう子どもたちも私もパニックでした。そのとき、人が近づいてくる気配がしたので す。 私はとっさに近くの繁みに身を隠しました。その人が何と檻に近づいてゆくではありませんか。私は子どもたちを守りたい一心でした。檻からその人を遠ざけようと、檻をめがけて突進したのです。
私にも何がどうなったのか、その瞬間は覚えていません。その人はそこを離れてゆきましたが、子どもたちは檻の中に閉じ込められたままでした。しば らくすると、今度は大勢の人声がしました。そして子どもたちを檻ごと車に積んで持ち去ってしまったのです。
私の子どもたちを返してください! どうかお願いです。
西川町のクマ母より

9月2日 各地で、ナラ枯れ猛威 (山形県編) 

広がるナラ枯れブナ枯れに胸痛む

(以下は、熊森山形県支部長のブログからの転載です)

初夏の頃の長期予報が「冷夏」だったはずですが、どうしたわけか猛暑の夏でした。お元気で夏を乗り切られましたか? 昨年の「梅雨明けなし」の夏から一転、今夏は夜も気温がなかなか下がらないために、果樹農家の皆さんはさまざまご苦労をされているようでした。

8月4日、担当した夏季集中講座の一環で、山形大学の学生たちと長井葉山に登りました。ここ5年ほどナラ枯れが広がっていましたが、7月下旬になって、新たに枯れ始めたナラの木の葉っぱが赤茶けて葉山の東斜面にさらに拡大しました。毎年4倍ぐらいに拡大してゆくと言われていた通りの拡大スピードです。さらに、ナラより少し上で多くなるブナの樹幹が遠目にみても茶色っぽい色に変色しているのは、ウエツキブナハムシによる「ブナ枯れ」です。目にしみるような緑であるべき山肌のこのような様子を見ると、胸が締め付けられる思いがします。

長井葉山山麓のナラ枯れ

長井葉山山麓のナラ枯れ

森に起こっているこれらの異変の原因は、直接的には昆虫によるもの、あるいは昆虫が媒介する菌類によるものですが、これまで目立たなかったこのような現象がここ数年続いている背景はいったい何なのでしょうか。ある人は温暖化だと言い、ある人は酸性雨だと言います。また別の人は農薬散布が絡んでいるとも言います。原因がはたして一つであるのかどうかもわかりません。このまま進めばあと何年かしたらこのあたりの森は立ち直れないほどのダメージを受けるのでしょうか。

「ナラ枯れ」に関しては、これまで県が進めてきた 薬剤注入がほとんど効果を示さないことだけは明らかです。一方で、日本熊森協会の顧問の宮下先生が、佐渡の森で炭を撒いたところに効果が見られたとの報告が先日ありました。それは果たして全ての地域で有効な方法であるのか私にはわかりませんが、試してみる価値があるのではないかと考えています。

森の現状を見て心が痛む一方で、どこか楽観的な自分もいます。その根拠は自然林に見られる種の多様性への信頼です。ナラが枯れ、ブナの葉っぱが食害を受けても、100%やられるわけではありません。また、森にはブナやナラ以外の様々な樹木が生育しています。そうした多様性が、森の全滅の防波堤になることもあるのではないかと考えているのです。あまりに楽観的すぎるでしょうか。

ウエツキブナハムシにより食べられ始めたばかりのブナの葉

ウエツキブナハムシにより食べられ始めたばかりのブナの葉

森の変化のサイクルは少なくとも数百年を単位とするものです。それにひきかえ、私たち人間のサイクルはせいぜい数十年。例えてみれば、針の穴から巨大な象を覗いているようなものかもしれないのです。あわてて目先だけの対処をすれば、かえって事態の悪化を招くということもあるかもしれません。

そのように考える一方で、森の野生動物たちにとってみればやはり厳しい状況であるとは言えるでしょう。山形では春先にクマの目撃情報が相次ぎ、これは2006年の大量捕殺の年の再現かとも懸念されたのですが、夏に入って目撃も捕獲(捕殺)もほとんど増えてはいません。しかしながら、これから秋にかけて、クマたちは多くの食べ物を必要とします。やはり秋のことが気がかりでなりません。

今年は「生物多様性年」ということで、秋に日本で国際会議が開催される予定です。これをきっかけに多くの国民が種の多様性の重要性に気づき、私たちがその多様性を維持してゆくためのきっかけになることを願っています。

フィード

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