ホーム > 豊能町誤捕獲クマ「とよ」
カテゴリー「豊能町誤捕獲クマ「とよ」」の記事一覧
⑯ 今後、大阪府に顔出ししたクマは捕殺 最悪の「大阪府ツキノワグマ出没対応基準」
- 2014-09-08 (月)
- _クマ保全 | 豊能町誤捕獲クマ「とよ」
出没
大阪府は、今回の初マニュアルで、府内全域を人間の場所と決め、クマが出没すれば、追い払い、捕殺、捕獲による取り除きが重要としています。大阪府に追い払い体制などありませんから、結局は、捕獲か捕殺です。捕獲した場合、現在捕獲されている豊能グマもそうですが、放獣しませんから、すべて捕殺するという意味になると考えられます。
誤捕獲
誤捕獲グマに関しては、人身被害の危険性がないと判断し、周辺住民の合意が得られた場合、速やかに放獣を実施すると書かれています。100%人身被害の危険性がないと判断できるクマなどいないし、周辺住民が全員放獣に同意することなどあり得ませんから、このような書き方は、放獣しないで捕殺するという意味になります。 熊森としては、言葉だけであっても、次回からは放獣すると書いてあるのだろうと予測していましたから、これには驚きました。
これまで読んだ全国のツキノワグマ対応マニュアルと比べて、どこよりも生態系の保全を理解しておらず、一番ひどい内容です。「大阪府ツキノワグマ出没対応基準」に対して、みんなで声をあげていきたいと思います。大阪府は、滋賀県にあるクマの棲む豊かな森をはじめとする自然に、大阪府民が生かされていることが全くわかっていないような気がします。
⑮ これまでの豊能グマ問題の総括 大阪府はどうしてクマ1頭の命も助けられないのか
- 2014-09-08 (月)
- _クマ保全 | くまもりNEWS | 豊能町誤捕獲クマ「とよ」
野生動物たちとの共存本能を失っていない子供たちはもちろん、ほとんどの大阪府民や国民は、豊能の誤捕獲グマをさっさと山に返してやればすむことなのに、行政は何をもたついているのかとイライラしていると思います。行政が大多数の国民の願いと違うことをしているのは問題です。(ただし、豊能町の町民は、山に返さないでほしいと思っている人も少なくないでしょう。)
今回の大阪府行政を見ていて、初めてのクマ捕獲であり、どうしてよいかわからなかっただろうという同情はあるものの、(だから、熊森としてはできる限りの協力をしようと思ったのですが)大変大きな問題を感じました。
<大阪府動物愛護畜産課にくまもりが感じた主な問題点>
1、生命尊厳・動物愛護の欠如
・・・今思うと、地域住民のために放獣しなかったというのは言い逃れで、自身の無知と保身ばかり。本当に地域住民の為を思うなら、今回のことで何回も地域勉強会を持ったはずです。初めから、この誤捕獲グマの命を何としても助けてやろうという気などさらさらなかったように思えます。決定権を持っている人間が、囚われているクマを見に来ないから、その状況がわからず、人間的な判断が下せなくなっています。
2、クマという動物は危険であるという誤解
・・・勉強不足。(わたしたちみんなの問題でもある)
3、クマを放獣するということは人身事故につながるのではないかという誤解
・・・勉強不足(わたしたちみんなの問題でもある)
4、野生で大人になったクマでも普通に飼えると思う誤解
・・・勉強不足。(わたしたちみんなの問題でもある)
5、近隣行政との協力関係を築く力がなかった
・・・今後は、大阪府と近隣行政の双方に、生態系保全のために協力する姿勢が必要。
● 他に気になったのは、行政の秘密性です。
2か月以上も囚われの身となって劣悪な環境に苦しんでいるクマを、大阪府も豊能町も、マスコミに見せないように隠してきました。町民も府民も、一体何が起きてどうなっているのか全くわからないため、野生動物とどう付き合っていくのかという大変重要な問題について、大人も子供も学べる大変いい機会であったにもかかわらず、誰も何も学べませんでした。マスコミ発表は、行政発表のみで、「クマは保護飼育されており、元気です」と出るだけです。元気なわけがないでしょう。
人間なら小さな穴だけの豊能のクマが突っ込まれていたドラム缶檻に入れられたら、精神が持たないでしょう。一番残酷な拷問は、狭い所に突っ込んで出さないことです。もし、自分だったらと、ちょっと想像してみればわかるはずです。熊森が登場して大阪府と闘い、やっとのことで13日目にドラム缶から出してやることができました。熊森という組織がなかったなら、間違いなく死ぬまでドラム缶に入れられていました。他者がいつ死んでもおかしくないようなひどい目に遭って苦しんでいるのにいるのに、元気ですという行政発表を垂れ流すだけのマスコミの軽さを恐ろしく思いました。
今回のクマ問題だけでなく、他の問題でも、国民は、今この社会で何が起きているのかわからなくされているのではないでしょうか。こうなると、弱者がどんどん切り捨てられていく社会になっていきます。児童虐待がうなぎ上りに増えているそうですが、根は全て同じところにあるような気がします。
自分だけの幸せなどこの世にはあり得ないのです。見ない言わない聞かない、このような国民でいると、結局は自分もいつか不幸になります。
<くま森のこれまでの取り組みの反省点>
①命を大切にする社会をめざして、精いっぱい取り組みましたが、今回豊能のクマを山に返してやれませんでした。まだまだ経験不足、力不足を感じました。これからも、誤捕獲グマは山に返すように訴え続けます。一方、劣悪な環境下に置かれているため、このクマの命が心配です。早急に、熊森が引き取って保護飼育できるように動きます。この準備だけでも、簡単なことではありません。
②くま森には応援団がバックにたくさんいるのに、そっと山に返すことを狙ったため、その人々を活用できませんでした。HPにも、くわしい情報を流せませんでした。
③騒ぐと、このクマが今も生きているからだとして、厄介払いのために大阪府によって早期に殺処分されるのではないかという恐れが常にあり、マスコミへの連絡もできませんでした。現在、熊森は、大阪府に、このクマの引き取りを文書で正式に申し出ました。命の尊厳と共に、誤捕獲グマを殺せない流れを守るためです。引取るためには、何が必要なのか、すべてこれから交渉です。
⑭8月25日 くまもりの衝撃:大阪府から、豊能のクマを放獣させてほしいという正式依頼など、1回も受けたことはありませんと、ある近隣府県の行政
- 2014-08-25 (月)
- くまもりNEWS | 豊能町誤捕獲クマ「とよ」
大阪府に期限と言われた8月25日が、あっというまにきてしまいました。
よくよく考えてみると、豊能のクマを、山に返してやれば、1日で問題は解決です。
しかし、終生保護飼育するとなると、まだ4才ですから、土地、獣舎建設と管理、最長30年にわたる餌代、飼育人件費、このクマが人間になつくようになるまでの想像を絶する気力や労力が、くま森の肩にのしかかってきます。犬1頭飼うだけでも大変なことなのに、野生グマを飼うなど、その比ではありません。しかも、大阪府は、支援・協力は一切しないと言っているのです。
財政規模が大阪よりもっと小さな和歌山県でも、ツキノワグマ太郎が行き場をなくした時、2頭分の立派な獣舎を県費で建てただけでなく、太郎に関しては、毎月の餌代補助も幾分かはしてくれているのです。(花子も含めた餌代は、2005年から、熊森会員の寄付による太郎と花子のファンクラブが出しています)
今回、くま森が大変な苦労をして、その分、豊能のクマが幸せになってくれるならまだしも、野山を駆け巡って大人になった豊能のクマにとっては、一生狭い檻に入れられるのは、生涯、拷問を受け続けるのと同じ苦痛です。
太郎や花子の場合は、母熊を殺されていましたから、人間が育てるしか彼らが生き残る道はなかったのですが、この豊能グマは、これまでも野山で生き抜いてきた大人のクマです。山に返してやるのが、クマの為にも人の為にもよいというか、それしか豊能グマ問題の解決法はないのです。
くま森は、ある近隣府県の行政に、手をついてでも、土下座してでも、豊能グマを放獣していただけるように頼みに行こうと心を決めました。
くま森は、行政担当者をたずねて行って、「どうしてみなさんは今年も多くの誤捕獲グマを100%放獣してくださっているのに、大阪府が1頭だけでいいからと頼んだ豊能グマの放獣を受けてやらないのですか。生態系には、行政の線引きなどないので、関西広域連合の仕事として、クマの捕獲が初めてで不安になっている大阪府を助けるために、このクマをお宅の山に放してやってください」と、お願いしました。その時、耳を疑うようなことを言われたのです。
大阪府さんから、豊能のクマを放してやってほしいという正式な放獣依頼など、1回も受けたことがありません。正式な依頼があれば、検討させていただきます。
この近隣行政といろいろと話し合っているうち時間が経って、大阪府に電話をするのが夕方になってしまいました。
大阪府:約束の8月25日です。熊森は飼えるんですか。飼えないんですか。
熊森:ちょっと待って下さい。熊森が飼うか飼わないかという以前に、山に返してやるのが一番いいのですから、大阪府が豊能で絶対に放さないというのなら、近隣府県に放獣してもらえるように、正式に依頼して下さい。今、近隣府県にきているのですが、近隣府県は、正式な放獣依頼など、1回も大阪府から受けていないと言っていますよ。文書でちゃんと正式に申し込んでください。
大阪府:もうその話は十分終わっています。それじゃなくて、どこでどうするという具体的なことを出してください。そうでなければ、私の所で考えていた最終のものになります。
長時間、正式な放獣依頼を近隣府県に文書で出してほしいと熊森は大阪府にお願いし続けましたが、大阪府は、その話はもう終わっているとして聞き入れませんでした。
翌朝、8月26日、熊森は近隣府県担当者に電話をして、「大阪府は正式に依頼しないようだが、自然保護団体として熊森が依頼したい。豊能の誤捕獲グマが囚われの身になって、もう2か月以上も経っており、窮状を見ておれない。何の被害も出していないこのクマを生かすために、何とか近隣府県で放獣してやってほしい。」と、必死で頼みました。
しばらくして、検討した結果、できないという答えをもらいました。やはり、こういう問題は、行政間で頼まないとだめだと思います。→ 熊森が飼うしか助ける道はない。それにしても・・・
8月22日 クマの保護飼育を決めるには、時間がかかる
- 2014-08-22 (金)
- くまもりNEWS | 豊能町誤捕獲クマ「とよ」
朝早くから、兵庫県のクマ生息地に向かいました。あちこちで過疎化高齢化が進んでおり、廃校が次々と出てきています。
廃校になった小学校を宿泊ができるように改造して、ボランティアとして管理しておられる元校長先生が、施設を案内して下さいました。
この方が、「ここのすばらしさは、静けさです」と教えてくださいました。そういわれてみたら、真昼間なのに、本当に静かです。思索するのに持って来いの場所だと思いました。
ここの集落では、もめごとなど何も起きない。みんなで助け合って生きているということでした。すばらしい社会です。
「クマが出ていますか」とたずねると、「今年は、この前から、何度か集落に来ていますよ」ということでした。
ここでは、クマを殺してくれという人など、ひとりもいないそうです。
この町では、以前、町がクマを飼っていました。(26歳で天寿を全う)。
「クマの飼育が、クマという動物を町民が理解するのに役立ったと思われますか」とたずねると、「それは、あるかもしれません」というお答えでした。
お話を伺っていると、このあたりの人々の自然観や感性は、まるで熊森だなと感じました。
自然や大型野生動物と共存する、おおらかで他者を思いやるやさしい文化が、このような奥地にまだ残っているのを知って、うれしくなりました。
「若いクマの研究者たちが、兵庫県のクマ数が激増したと言っていますが、どう思われますか」と、たずねると、「クマが増えているなど、ありえません」と一笑に付されました。そこに住んで日々クマに接している人たちの感覚は大切です。最先端の科学技術を駆使してクマの生息数を計算した大学の先生たちの研究結果が、もし、真実と大きくかけ離れたものになっているとしたら、今後、考え物です。
ご自宅のお庭の大きな木のテーブルの上で、昼ご飯を食べました。ここでの人々の過去の暮らしなど、興味深いお話をたくさん聞かせていただきました。本にまとめて、民族の知恵として、後世に残すべきだと思いました。
昼食後、集落の近くの山を案内してくださいました。
下草ゼロの、ヒノキの放置人工林が延々と続いていました。兵庫県は、人工林の間伐がどんどんと進められ、すでに1周が終わり2周目に入っていると聞いていましたが、実際の山に入ってみると、この辺は、間伐された山などほとんどないことがわかってきました。
地元に行く。地元の人とつながる。現場を見る。全国のくまもり支部地区でも、この活動を進めてください。
<地元とつながらなくては、熊森ではない>
別れ際に、「豊能のクマさんが、行き場をなくして殺処分されそうになっています」と言って、クマの写真を見せると、「わあ、かわいい。さっきの元学校で飼いたいなあ」と言ってくださいました。しかし、地元では、みんなが集まって、心が一つになるまで、ゆっくりゆっくり議論しながら事が進みます。
わたしたちは、今回の間にあわないと思いました。そこで、次の訪問場所に向かいました。
⑪ 大阪府、誤捕獲されたクマの殺処分を決定
- 2014-08-20 (水)
- _クマ保全 | くまもりNEWS | 豊能町誤捕獲クマ「とよ」
大阪府は、もらい手も放獣先も見つからなかったとして、8月20日、豊能のクマの殺処分を、当協会に通告してきました。誤捕獲されたクマは、即放獣して山に返さなければならないことになっていますから、鳥獣保護法違反です。行政が法違反を犯していいのでしょうか。
当協会は、6月19日以来、大阪府環境農林水産部動物愛護畜産課の動きを見てきましたが、動物愛護精神の完全なる欠如、その他もろもろのことに、大変な憤りを感じています。
現在、このクマは、狭い檻に入れられ、2か月半以上も暗い場所に置かれたままです。水飲み場も糞尿処理もないという大変劣悪な状況下にあります。クマに とっては大変なストレスで、わたしたちは、このクマはいつ死んでもおかしくないと考えています。当協会は、このクマの命を最優先に考え、当協会が引き取る ことを大阪府に申し出ました。
当協会は、クマを保護飼育するための施設を持っていませんので、現在、その準備のために走り回っています。
⑰ 9月5日 豊能グマ、今からでも遅くない、誤捕獲現場で放すべし <現場訪問>
- 2014-09-05 (金)
- _クマ保全 | 豊能町誤捕獲クマ「とよ」
9月5日、大阪府豊能町の誤捕獲現場を探しに行きました。
誤捕獲現場を探しまわる熊森スタッフたち
田んぼ道を、山へ山へと上がっていくと、棚田地帯に入り、やがてその棚田もなくなり、放棄田が現れます。その奥は、人工林ですが、シカ除け柵が張り巡らされ、それより奥には人間は入れないようになっています。そこの扉を開けて山の中に入っていくと、ついに、豊能グマ誤捕獲現場が見つかりました。こんなところまで来て柵を開け、山中に入っていく町民は、猟友会員以外にはいないと思います。(重要:クマは、一般町民がいる所に来たわけではない)
ここで、檻のふたを開け、逃がしてやればよかったんだ!
今後、このクマを飼育し続ける大変な労力や出費を思うと、気が遠くなりそうです。
誤捕獲現場を見て、確信を持ちました。今からでもここへ連れてきて放してやるべきです。クマを放すと集落に入って来るかもしれないと大阪府がそんなに怖がるのなら、放す時にクマに発信器を付けて放し、そうならないことを確かめたらいいと思います。
クマ放獣の専門家たちを呼んで来たら、みんな、ここで放せると言うだろうと、テレビ局に訴える森山会長
このあたりはヒノキの人工林地帯ですが、人工林の林縁は、コナラ、シバグリ、アベマキなどの実のなる大きな木がたくさんあり、今年のドングリがびっしりと実っていました。ドングリは豊作です。
あちこちに清水が流れており、たくさんのカエルや虫が跳びまわっていました。
わたしたちが普段調査しているブナ・ミズナラの奥山原生林は、なぜか、最近、一気に、虫もいない沈黙の森に変化しています。
それと比べたら、このあたりの山の林縁の方が、ずっと生き物たちの命あふれる場所です。このクマが豊能町に何日滞在したのか知りませんが、クマが滞在できる自然が残っている町として、豊能町は誇りを持つべきだと思います。
クマがやって来るだけの豊かな自然が残されていた、すばらしい町豊能町
豊能町役場に入っていく熊森スタッフたち 2014,7,1
イノシシ檻にしかけられていた誘引剤は米ぬかでした。わなにかかったクマは、檻から手を出して周りの小枝等を檻内に取り込み、無邪気に遊んでいる感じだったと、猟友会の方が語っておられました。
この後すぐに麻酔をかけられ、熊森が救出するまでの13日間、真っ暗なドラム缶に突っ込まれた4歳オス豊能誤捕獲グマ 猟友会 提供 (人間ほど凶暴な動物はいませんね)
再びこんなクマが出たら、大阪府は次回から、その場で殺すことにしたのです。命の尊厳など全くわからない人たちが作った、とんでもない間違った方針です。
大阪府の担当者が、クマやクマを放獣することに対する知識がないあまり、必要以上に恐怖心を抱いてしまったことには同情しますが、日常茶飯事としてクマを放獣している隣接府県行政に、クマや放獣の勉強に行くなどして、もっと現場で勉強していただきたいです。残念ながら、大阪府担当者には、クマとの共存に向けて勉強しようという姿勢が見られません。
⑩ 8月19日訪問 誤捕獲されたクマ君、もう限界 一刻も早く山に返してやって
- 2014-08-19 (火)
- くまもりNEWS | 豊能町誤捕獲クマ「とよ」
2か月前の6月19日、大阪府豊能町の山中に設置されたイノシシ罠に誤ってかかってしまった豊能のクマ君。
大阪府初のケース!
大阪府に麻酔をかけられて、気が付いたら、両面が鉄板でふさがれた密閉型ドラム缶檻の暗闇に閉じ込められていた。
ドラム缶の胴体にあけられた小さな穴から、水とハチミツが流し込まれたという。
このドラム缶の中に、豊能のクマ君が閉じ込められている (読売新聞 2014.6.26)
ドラム缶に閉じ込められて12日目の7月1日。
くまもりは、ドラム缶檻からこのクマを助け出してやろうと、秋田県から取り寄せたクマ移送用檻を持って現地に駆けつけた。
ドラム缶檻からこのクマを出すことを渋る大阪府に、動物虐待だとくまもりは訴え続け、長時間の交渉となった。
やっとのことで、次の日、出せることになった。
ドラム缶に閉じ込められて13日目の7月2日。
もうドラム缶檻の中で死んでいるのではないかと思った。
しかし、クマは生きていた!こんな地獄の状況で13日間もよく生き抜いたもんだ。
「このクマ、生きたかったんだね」熊森スタッフがつぶやいた。
クマ移送用檻に移してから、ドロドロに汚れた体を、長い時間をかけて、ホースから出る水道水でていねいに洗ってやった。
ドラム缶檻から出して、きれいに水洗いしてやった直後の豊能のクマ君(まだ麻酔が効いている) 2014、7、2撮影
こんな目に合わせて!クマが死んでしまうじゃないか。
野生動物をこのように虐待して平気な社会は異常であり、大変危険だ。
野生動物に畏敬の念をもたなくなった文明は、自然破壊に歯止めがかからなくなり、やがて滅びる。
水源の森は、クマをはじめとする野生動物たちが維持形成している。
水道水を飲む時、野生動物たちに感謝の気持ちを忘れてはならない。
わたしたちは、豊能のクマ君を一刻も早く、そっと山に返してもらいたくて、沈黙を保ってきた。
クマ君にも、あまり会いに行かないようにしていた。
ひんぱんに会いに行っても、山への放獣は十分可能だが、人馴れしたからもう山に返せませんと言われるのを恐れたのだ。
マスコミ報道は、狭い檻の中でクマは元気にしているという行政発表しか載せない。元気なわけがないじゃないか。
どうして記者さんは自分の目で見に来ないのか。
早く山に返してやらないと、弱っていく一方だ。
自分がこのクマの身だったらと、少し想像してみたらわかる話だ。
いくらがまんしても、移送用の狭い檻でクマが生きられる限界は、とっくに過ぎている。
8月19日、豊能のクマ君を久しぶりに訪問。
ずっと閉められたままになっていた倉庫のシャッターを開け、光と外気を入れてやった。
カビが生えた糞の山を取り除きながら、床を水洗いしようと、ホースの水をかけ始めると、豊能グマ君は、狂ったように糞尿の混じった汚水を飲みだした。
この檻は、クマ移送用檻なので、短時間のクマの収容を想定して造られただけに過ぎない。
水飲み場がない。糞尿の処理ができない。
豊能のクマ君は、この檻から逃げ出そうとしてか、何度も何度も、鉄格子にものすごい勢いで顔面から体当たりしてくる。
鉄格子の間隔は4センチ。鼻だけが飛び出す。
鼻の骨がくだけてしまうのではないかと思うぐらい、全力でぶつかってくる。
こうなるから、野生のクマを檻に入れてはいけないのだ。飼ってはならないのだ。
前足の指から血が出ている。小指が腫れ上がっており、なんだか変だ。
豊能のクマ君は、精神的にも身体的にも、もうこの狭い檻では限界だ。
兵庫県や京都府では、今春からだけでも、もう20数頭の誤捕獲グマを山に返している。放獣率100%だ。
大阪府は、クマ1頭、山に返せないのか。
クマ放獣何百回の専門家も、豊能町の山にクマを放獣することは可能と言う。
これまで、クマを山に放獣して、問題が起きたことは1回もないと言う。
いつまでもこの檻にこのクマを閉じ込めている大阪府の偉い人たちは、このクマの実態を見に来たらどうか。
大阪の府民を代表している全府議会議員に見ていただきたい。
松井知事に見ていただきたい。橋下維新代表に見ていただきたい。
動物虐待以外の何ものでもない。
豊能のクマ君をドラム缶檻から出してやりたい一心で、くまもりが持ってきた移送用檻。
この檻が、豊能のクマ君を狭い空間に閉じ込めてここまで苦しめているのを見て、くまもりは堪えられない。
一刻も早く、生かしたまま、この檻から、豊能グマ君を外に出してやってほしい。
移送用檻の掃除を終え、餌を与えた。
やっと探し出して持って行ったマテバシイの早熟ドングリを与えると、豊能グマ君が、カリッと音をさせて食べた。
目と目が会った。まだ生きている。
マテバシイのドングリを食べた、クマ移送用檻に収容されている豊能のクマ君 2014.8.19 撮影
注:熊森は、このクマ君が、大阪府によって秘密裏に殺処分されるのを恐れて、これまで情報を出さずに来ました。しかし、もう限界なので、少しずつ情報を出していこうと思います。
【拡散希望】大阪府が豊能町誤捕獲グマの殺処分を決定!大阪府に保護飼育の声を!!
- 2014-08-20 (水)
- くまもりNEWS | 豊能町誤捕獲クマ「とよ」
大阪府豊能郡豊能町で6月19日に錯誤捕獲されたクマの殺処分決定の連絡が、8月20日大阪府から熊森に入りました。森山会長が、命を救えるように手段を考えるから待ってくれるよう伝えましたが、長くは待てないという回答でした。これまで熊森では、環境省の指針に沿って放獣するよう大阪府に様々な働きかけをし、提言をしてきましたが、放獣する努力もせずに引き取り手が見つからないからという理由で殺処分の決定を下した府の担当者の無責任さには大変憤りを感じます。すぐに放獣しなかった大阪府が、責任をもって終生保護飼育をするべきです。
8月19日に、森山会長と本部スタッフがクマに会いに行きました。檻は掃除された形跡がなく、排泄物の山ができていました。檻の中で暴れるためか、爪が剥げ、一部出血をしている状態に、大変心が痛みました。このような環境に2か月以上も野生のクマを閉じ込めているだけでなく、更に殺処分をしようとしている大阪府は生物の命をどう考えているのでしょう。このような行為は動物愛護法にも違反している可能性があり、行政としての責任を果たしているとはいえません。
クマは大阪府が飼育するよう皆さんの声を大阪府環境農林水産部動物愛護畜産課へ届けてください。特に大阪府民の方の声が重要です!
電話06-6941-0351(代表)
大阪府民お問い合わせセンター http://www.pref.osaka.lg.jp/fumin/fusei_iken/index.html
⑨小さな檻に閉じ込められて60日間 宙に浮いたままの大阪府豊能町誤捕獲グマ 一刻も早く山に返してやって 大阪府庁に熊森が提案と要望書を提出
- 2014-08-18 (月)
- _クマ保全 | くまもりNEWS | 豊能町誤捕獲クマ「とよ」
6月19日、兵庫県・大阪府・京都府の2府1県が接する大阪府豊能町で、山林に仕掛けられたイノシシ罠に、1頭のツキノワグマが誤ってかかってから2か月が経過します。4歳のオスグマと推定されていますが、最初の13日間は密閉されたドラム缶に突っ込まれたまま、その後は狭い移送用檻に入れられたままで、今日を迎えます。
誤捕獲された場所から目と鼻の先にある京都府内又は兵庫県内での出来事であったなら、鳥獣保護法にのっとって、兵庫県や京都府で作成されたルールに従い、即、同一市町内の山に放してもらえました。しかし、たまたま、クマが生息しないと言われてきた大阪府内での初誤捕獲であったため、兵庫県も京都府も引き取り放獣を拒否。大阪府にはクマ対応ルールがなく、このクマは、行き場を失い、宙に浮いてしまったのです。
8月6日、熊森は、本部から4名、大阪北地区長、大阪南地区会員2名の計7名で、大阪府庁の本庁を訪れ、担当部署である動物愛護畜産課の課長さん達に面会しました。そして、このクマが体力的にも精神的にも弱り切って野生で生きることができなくなる前に、一刻も早く山に返してやってほしいという要望書を提出。日本で最大のクマ保護団体として、2時間にわたり、当協会ができる最大限の提案や協力を申し入れました。
大阪府動物愛護課の担当者たちに申し入れる熊森メンバー(於:大阪府庁本庁舎)
大阪府としては、飼育してくれるところを探しているが、まだ見つからないということでした。熊森は、いったん野で大人になってしまったクマを飼育することのむずかしさを、幾つかの実例を挙げて訴え、このクマを不幸なクマにしないためにも、野のものは野に返すことを、強く要望しました。また、熊森は、このクマを絶対に殺処分しないことを、改めて申し入れました。相手はモノではなく生き物です。スピード感を持って対応して下さるように、改めてお願いしてきました。
要望書は検討していただけるということでしたが、あれから2週間、今の所、大阪府庁からの返答はありません。巨大な組織をもち、優秀な人材を多く揃えておられる、大阪府、京都府、兵庫県の行政のみなさんです。関西広域連合の出番として、力を合わせ、生き物の命を大切にする解決法を国民にお示しくださるようにお願い申し上げます。子どもたちも、大人たちがどうするか見ていますよ。
尚、熊森はこの件で、環境省にも何度も、クマに初めて対応する大阪府に対して、国が支援に乗り出してくださるようにお願いの電話をかけています。国の担当者としては、心配して下さっているようですが、今の所、具体的な動きは見られません。
⑧大阪豊能町クマ誤捕獲されて40日目、殺処分の選択肢はないと大阪府庁 早く山に返してやろうよ
- 2014-07-29 (火)
- _クマ保全 | くまもりNEWS | 豊能町誤捕獲クマ「とよ」
このクマは、大阪府豊能町でイノシシ罠に誤捕獲されて40日目。誤捕獲後、ドラム缶檻に13日間閉じ込められていました。現在、このクマは、とりあえず、間口1.5メートル、奥行き2メートルのクマ移送檻に、7月2日に移され、今日に至ります。この檻は、前面と後面が4センチ間隔の鉄格子となっています。鉄格子檻に入れると、クマは逃げようとして鉄格子をかじって、歯を全部折ってしまうのではないかとか、逃げようと暴れて、手の爪を全部剥してしまうのではないか等と、いろいろ危惧されましたが、今の所、そのようなことは一切起きていません。(良かった)
ただ、檻が狭い上、飼育用に作られた檻ではないので、この檻では長期飼育はとても無理です。一刻も早くこの狭い檻から出してやってほしいです。いつまでも拘束していると弱ってしまうので、もう、山に返してやってほしいです。クマの放獣を多く手掛けてこられた専門家の方に聞くと、もらい手が見つからなかったのだから、あとは、山に放してやるか、大阪府が保護施設を建設して終生保護飼育するか、二つに一つの選択肢しかないということです。
ところが、A新聞とB新聞には、大阪府が、「殺処分するという選択肢も消えていない」と言ったことになっています。これによって、助命嘆願の電話やメールが1日数件担当部署である、動物愛護畜産課に届いているということです。
大阪府動物愛護畜産課
電話 06-6210-9619
Fax:06-6613-6276
dobutsuaichiku-g04@sbox.pref.osaka.lg.jp
クマは兵庫県では絶滅危惧種、京都府では絶滅寸前種、滋賀県では希少種として、誤捕獲グマは、全て山に返されています。こんな中、大阪府だけが、殺処分してしまったら、法違反となり、大変な問題になるでしょう。
さっそく、大阪府庁担当責任者に確認してくださった方がいます。その方の報告では、「大阪府は殺処分など全く考えていません」という答えをいただいたということです。当然の答えだと思いますが、ならば、野生で大人になってしまったクマを飼うことの困難さを、このクマを観察することから確認し、一刻も早く、山に返してやってほしいと思います。罠にかかったクマ1頭も、山に返す力がないなんて、大阪府行政のメンツにもかかわると思うのですが。
大阪府行政に、再度お願いします。相手は生き物です。いつまでも狭い檻に閉じ込めておくのは、動物虐待です。いろいろと困難はあるでしょうが、どうかスピード感を持って、山に返してやっていただきますよう、お願いします。クマの放獣に手馴れている隣接府県の行政のみなさんは、初めてのクマの放獣に戸惑っている大阪府を見て見ぬふりするのではなく、どうかあたたかい協力の手を差しのべてあげてください。道徳教材として、子どもたちにとって、これ以上のお手本はありません。
(以下、産経新聞から)
近畿大学先端技術総合研究所の宮下実教授(野生動物医学)は「理想はツキノワグマの生息地での放獣。野生動物に県境はなく、各府県が広域的な課題として議論すべきだ」としている。
(くまもりから)
宮下実教授の上の言葉を、このクマに関わる全ての方に、かみしめてほしいです。