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10月15日 豊能グマ、藁入れ後、1週間目のご報告

大阪府豊能町で誤捕獲され、狭い檻に入れられたまま4か月になるオスグマ。推定4才。

クマは、まだ、生きていますか?元気でしょうか?

各地から、安否を問う電話やメールが、くまもり本部には入ってきます。みなさん、心配して下さってほんとうにありがとうございます。

本部も一生懸命お世話をしていますので、一応、見た目は元気です。

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 10月15日撮影

 

狭い運搬用檻ではありますが、少しでもクマがストレスを発散できるよう、本部ではいろいろな工夫をこらしてお世話をしています。

8月19日に、今年初めて獲れたドングリを、少量与えることができました。それ以降は、会員の皆さんがドングリをたくさん送ってくれるようになりましたので、今では、大量のドングリを与えています。

最近は気温が下がってきました。先週は、水洗いによる獣舎の掃除後、濡れた鉄板の上で寝るのは寒かろうと、床の水分をよくふき取ってから、藁を入れてやっています。

 

 

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1週間後の10月15日に行ってみると、何と、クマは、藁を床の半分に押しやり、寝床にしていました。残りの半分の床には、ドングリの殻などが大量に散乱しており、こちらは、食事場所として利用しているもようです。また、檻手前の右隅っこには、1週間分と思える糞が藁に浸み込んでいました。クマは、この狭い檻の中で、少しでも快適に暮らせるようにと、いろいろと工夫しているようです。(かしこ~い)

 

主食はドングリ、そしてクルミやリンゴなどのデザートを与えました。一番、よく食べていたのは、クルミでした。太郎や花子と比べると、体の周りの脂肪のつき方がかなり弱く、冬籠りに備えた身体になっていません。

 

このクマは、放せるものなら、1日も早く山に放してやりたいです。もし、どうしてもそれがかなわないのなら、殺処分ではなく、くまもりがきちんとした獣舎の建設を開始してそこで保護飼育をしたいと考えています。ありがたいことに、獣舎の土地提供を申し出てくださった方が現れました。どちらにしても、早く行動に移したいのですが、どれも交渉相手のあるものなので思うようなスピードでは進みません。わたしたちはクマの健康状態を考えてやきもきしていますが、しかしもうタイムリミットです。はっきりした方向が決まり次第、ブログで発表したいと思っています。

 

9月22日 朝日放送テレビ 夕方の「ニュースキャスト」が、豊能グマ問題を大きく報道(関西エリア)

「ツキノワグマ捕獲したけど、対応苦慮なぜ」

(以下、内容)

ナレーター:今年6月の事ですが、大阪府内で初めて、野生のクマが捕獲され、それから3か月経つのですが、今もクマは狭い檻の中に閉じ込められたまま。

大阪府はこの事態を受けて対応マニュアルを作成したのですがこのマニュアルがまた波紋を広げています。

 

<日本熊森協会提供の、豊能誤捕獲グマの映像>

 

シャッターが開けられ薄暗い部屋に日の光が射しこむ。

檻に体当たりするのはツキノワグマ。餌をやるため人が出入りするときしか日光があたらない。この狭い檻の中で軟禁状態なってから3ヶ月。一頭の野生のクマの取り扱いを巡って行政の対応が八方塞がりになっている。

 

(現地から)ここは大阪府豊能町の国道です。この辺りはのどかな風景が広がりますが、この田んぼの奥の山の中で、今年6月、国道から300m離れた山中で、野生のツキノワグマが捕獲されました。

 

<猟友会豊野支部会長下村氏>

「ここですね。これはシカとイノシシの捕獲用に設置したんですが、熊なんて大阪では信じられへん話で。」

 

捕獲されたのは体長1.3m、体重51.5㎏、4~5歳のオスとみられている。

兵庫県立大学森林動物センター 横山真弓準教授

6月オスがメスを求めて行動圏を拡大する時期でたまたま通過をしてしまった。

 

大阪府内でクマが捕まったのは初めてで、関係者は困惑した。対応マニュアルが無かったからだ。府はとりあえず二つのドラム缶をつなぎ合わせた檻に閉じ込めた。しかし、その様子を報道で知った自然保護団体が、ヒグマの移送用の檻を府に提供。その時、あくまで臨時の物だと釘を刺したという。

 

<日本熊森協会 森山会長> 

「運搬用ですから狭い、しかも水飲み場やトイレはありません。それで大阪府さんに渡す時に1か月が限度ですよと。」

 

ところがツキノワグマは3か月過ぎた今も、狭い檻の中にいる。なぜなのか。クマが捕獲された時の対応としては、山に返す「放獣」、動物園などへの「譲渡」、そして「殺処分」の3つが考えられる。大阪府ではこれまでなんとか引き取り先がないかと、全国の動物園やクマ牧場などに打診したが、野生なので病気を持っている可能性がある、成獣では人になつきにくい等、105か所すべてに断られた。ならば殺処分できるのかというと、実は捕獲したツキノワグマをむやみに殺すわけにはいかない。近畿地方のツキノワグマは生息数が少なく絶滅が危惧されていて、環境省はイノシシの罠などに誤って捕獲されたものは原則、山に返すよう指針を出している。

 

 

<大阪府動物愛護畜産課 堤側課長補佐>

「人がかなりたくさん山の方まで住んでまして、クマを放したら急きょ人間と接触する可能性がものすごく高くなるという場所にありますので、大阪では無理ですね。ということで自分とこでは放せないという事になりますね。」

 

結局、行き場が見つからず、クマは狭い檻に閉じ込められたままだ。これまで大阪府では10年近く目撃情報すら無かったが、今年は豊能町以外にも、春先からツキノワグマの出没が相次いでいる。

 

近隣府県ではどう対応しているのか。京都府与謝野町 先月からクマの出没情報が連日続いている。

 

<京都府与謝野町住民>

「ここに細長い檻が据えてあった。向こう向きに蜂蜜が入れてあって、中に入って檻の蓋がバタっと閉まった状態で。」

 

先週柿の木などの被害が多かった場所に檻を仕掛け、メスのツキのワグマが捕獲され、その日のうちに集落から離れた場所で山に返したという。クマは臆病で学習能力が高い。 その習性を逆手に取って、この場所は危ないと認識させて山に返すと、人里に下りてくる可能性が低いという。

 

<京都府森林保全課 佐藤課長>

「檻とか罠にクマとかがかかってしまう。そういう場合は、目的と違う狩猟行為、捕獲行為になるので、その地域で放獣をしていると。」

 

とはいえ、クマを山に返すことについて、地元住民の思いは様々だ。

住民 A 「みんなクマ怖いがな。」

B 「処分してもええんじゃないかと思うのだが」

C 「いちいち殺すのは可哀想や思うで」

D 「何とも言えないが、そういう具合に決まっているのなら・・・。」

クマを放すことに住民から反対意見もあるが、京都府はクマを集落に寄せ付けない対策を進めたうえで原則クマを山に戻している。

 

インタビュアー 「住民の方から、放獣しないでとかいう声は?」

佐藤課長 「あっ、そうですね。ありますね。放すことについては、ご理解を頂くんですが。それに対して、一方では被害の防獣対策ですとか、いろんな普及啓発活動を市町村と一緒になって進めて、ご理解を頂いています」

 

 

豊野町と隣接している兵庫県も、京都府と同様、地元に理解を求めながら、誤って捕獲されたクマは、理解を求めながら山に返している。ツキノワグマは極力捕殺しないというのが大原則で、人とクマとの共生の道を探っているのだ。

 

これまでクマの対応マニュアルを持たなかった大阪府が、今回の事態を受けて今月上旬急きょ作った対応マニュアルが波紋を広げている。誤って捕獲されたクマを山に返すのに地元の合意という条件を付けたのだ。

 

<大阪府 堤側課長補佐>

「どこまでというのは難しいと思いますが、住んでおられ方の意見を全てというわけではないかもしれません。ただ出来るだけ多くの方の合意が要るかなと思っています。」

 

地元の住人はどう思っているのか

住民 A 「そらあかんわ。怖いわ。遠いとこ行くんならいいけどな。」

B 「誰かに引き取ってもらうとかが安心ですけど。」

C 「何とも言えない。返した方がいいけどなあ。」

 

少なからず否定的な意見が聞かれた。

府の新ルールでは誤って捕獲されたものは地元が反対すれば事実上殺処分することになる。それは環境庁の指針や他の自治体の対応とは正反対になる。

 

インタビュアー 「他のエリアから見るとどう取られるかな。不公平じゃないかなとあるんですが。」

堤側課長補佐 「ありますね。他と若干違っているのは、近隣府県さんではクマが実際に子孫を残しながら棲んでいる。大阪の場合はそこに棲んでいるのではなく、たまたま来たクマ。そこにひょこっと現れたものなので、若干その取扱い、感覚的には違うものかなという風には思います。」

 

人とクマとが共生するために兵庫県や京都府で作り上げた保護体制。一頭の迷いグマを巡る大阪府の体制がその保護体制を揺るがしかねない。

 

<大阪府行政の発言に対する熊森の見解>

大阪府行政担当者の不勉強と身勝手さ、ごまかしには、あきれ返ります。大阪府民の水源は、琵琶湖です。琵琶湖の水が、いつも満々とたたえられているのは、雨水や雪解け水以外に、琵琶湖の周りに残されたクマたちが造る豊な森から、毎日、琵琶湖に大量の水が流れ込んでいるからです。

 

「水は、森から」なのです。

 

琵琶湖の周りの森を形成している重要な構成メンバーであるクマが絶滅しそうになっているため、みんなで守ろうとしているわけです。

 

大阪府はクマの生息地ではないから、クマが迷い込んで来たら殺しますという身勝手な答えにはあきれてしまいます。しかも、豊能の山は、大阪府と言っても、京都府や兵庫県と隣接してつながっており、生息地に行政の境界線などないのです。

豊能の山に、クマが生息していないかどうかは知りませんが、生息していないならなおさら、放獣すべきです。クマは餌のない市街地になど向かいません。生息場所に帰っていくだけです。全く持って生態を不勉強です。

ほんの一瞬、大阪府の山中に顔出ししただけのクマを、なぜ、大阪府は殺す権利があるのか、理解できません。

しかも、殺すことに決めたのに、大阪府ツキノワグマ対応方針では、「周辺住民の合意が得られた場合、速やかに放獣を実施する」と記述し、一般の国民に、<次回は放獣もあり得ると誤解させる書き方>をしています。大阪府担当者のずるさは、全く許せません。大阪府にクマが顔出ししたら、速やかに殺すことにしましたと、誰にでもわかるように書くべきです。

 

今、捕獲して狭い檻に収容しているクマの状態は、明らかに動物虐待であり、動物愛護法違反です。大阪府動物愛護畜産課としては、早急に飼育改善をすべきです。大阪府では、お手本になるべき行政が、鳥獣保護法違反と動物愛護法違反を続け、動物を虐待しています。

(以上)

㉔ 9月18日 朝日放送テレビの夕刻番組「キャスト」の取材

豊能町誤捕獲グマのことで、「キャスト」の取材陣が熊森本部に来られ、森山会長を取材してくださいました。

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打ち合わせる時間もなく、いきなりテレビカメラが回り始めました。本当に取材現場のみなさんも、忙しくされているんだなあと思いました。少しでも国民のみなさんに真実が伝わりますようにと、願います。一方的な行政発表だけではなく、自然保護団体の声も流していただけるのは、あたりまえのことですが、本当にありがたいことです。

 

放送は22日夕方の予定だそうですが、状況次第では、変わることもあるということでした。

㉓ 9月17日、豊能誤捕獲グマのお世話

9月17日、北大阪地区の会員の方々を中心に、豊能グマのお世話に行っていただきました。

クマが入れられているクマ運搬用檻はきれいに掃除されており、部屋もとても明るかったそうです???こんな報告は初めてです。

何があったのか知りませんが、「大阪府のこの誤捕獲グマの飼育環境は、暗く狭く不潔で、クマを虐待している。改善して欲しい」と、訴え続けてきた熊森にとっては、一歩前進で、ありがたく思いました。

この日は、関東の会員が本部に送ってきてくださったマテバシイのドングリも持って行って、クマに与えて頂きました。

 

大阪府は依然として、マスコミのクマ収容現場の取材要請を拒否していますが、その代わり、行政が撮影した近況写真を提供することになったそうです。記者が自分の目で見ず、行政が取り繕った写真を掲載し、行政のコメントだけを流す。このような報道のあり方に、やがて恐ろしい世の中がやって来る気配を感じました。

㉒ イギリスの動物愛護団体から 大阪府松井一郎知事に、豊能のクマ問題で請願署名 数日間で5,312名分の署名が届けられる

イギリスの動物愛護団体が、豊能のクマを救うため、ネットで署名を集めてくださいました。熊森にとっては、初めて見るネット署名で、最初意味が解らず、戸惑ったり驚いたりしました。海外のみなさんを初め、署名をしてくださった全ての皆さんに、心からお礼申し上げます。すでにこの請願署名は、大阪府松井一郎知事に届けられたということです。

 

ヨーロッパでは現在、アニマルライト(動物の権利)が声高に叫ばれるようになってきております。この地球は、人間だけのものではない。全生物と人間が共存する場所としてとらえ直そうという方向に、文明の転換が始まっており、現代生態学の発達もあって、人間の事しか考えない人間中心主義は、人類破滅への道であるということへの理解が広まっているようです。

日本でも、人間が、他生物の存在に畏敬の念を持つやさしい文化を取り戻したいものです。

 

他生物にも優しい文明が、一番優れている

 <注:以下は、イギリス(ロンドン)の団体が大阪府知事にあてた請願署名の日本語版です>
大阪府知事 松井一郎様
請願書 
                                                                                                                                                                          2014年9月15日
貴府は2014年6月19日に貴府豊能郡豊能町山中で初誤捕獲されたクマを、日本国の定める鳥獣保護法に準じて即放獣しなければならないにもかかわらず、いまだに放獣しておられません。
3ヶ月以上も、日の当たらない暗い倉庫の中、水飲み場も糞尿処理もない狭い輸送用檻にこのクマを閉じ込めたままで、劣悪な環境でクマを衰弱させています。
これは虐待行為以外の何ものでもありません!
8月20日貴府動物愛護畜産課は「もらい手も放獣先も見つからなかった」としてこのクマの殺処分を熊森協会に通告したことがわかりました。
これは明らかに鳥獣保護法ならびに動物愛護法違反です。
今回の地域個体群であるツキノワグマは、絶滅危険種にも指定されております。
さらにこの事件後、9月4日発表の「大阪府ツキノワグマ出没対応方針」によると、「住民や自然公園等の利用者の安全確保を最優先するため」、今後も大阪府に顔出ししたクマや大阪府で誤捕獲されたクマはすべて捕殺するという内容です。
近隣府県行政が誤捕獲グマをすべて放獣し、生態系保全への努力を続けている中、大阪府だけが時代遅れも甚だしい自分勝手なわがままを通そうとしています。
一体何という暴挙でしょうか。
大阪府だけが、国法を逸脱することはいかなる理由をもってしても許されることではないと思います。
この事件はすでに全世界の人々の知るところとなりつつあり、クマの状況に関して世界中の心ある人々が常時固唾をのんで見守っております。
さらに貴府は管轄保健所で収容した犬や猫をことごとく殺処分しています。これに関して日本でワーストワンという事です。
この事実に関しても今回の事件と相まって全世界の人々の知るところとなりつつあります。
上記の事を踏まえました上で、謹みまして以下を請願させていただきます。
1.  クマを即時開放すること。
2.  長い拘束期間の後でクマの健康状態が戻りリハビリ後放獣可能な状態になるまで熊森協会にクマを預け、放獣すること。
3.  9月4日発表の「大阪府ツキノワグマ出没対応方針」を即時撤回していただく事。
ほんの数日間で集まりました分ですが、緊急の事態ですので急遽5,312名分の署名を添付させていただきます。
すでに現在新規の署名活動が開始されており、そちらの方もまとまり次第お送りさせていただきます。
貴府動物愛護畜産課の法律違反に対して、知事の正しく適切なご指導をなにとぞよろしくお願いさせていただきたく存じます。
万一上記の請願が却下されました場合、運動はさらに活発に広がっていくことになるとは必至でございます。
ご迅速なご善処を切にお願い申しあげます。
A・M
London, UNITED KINGDOM
熊森注:請願署名文書日本語版に訂正が必要な部分がありましたので、熊森本部が一部訂正しておきました。

㉑ これはひどい 熊森が、豊能のクマをぜひ飼いたいと言ったことになっています 

9月10日、大阪府松井一郎知事定例記者会見で、「豊能のクマをぜひ飼いたいといってくれているところもまだある」という発言に、驚きました。大阪府動物愛護畜産課の担当者に確認してみました。

 

熊森:豊能のクマをぜひ飼いたいといってくれているところがあるんですって?

 

大阪府:熊森だけです。他にはありません。

 

熊森:まさか。これってうちのことなんですか!うちは、飼いたいなんて言った覚えは全くありませんよ。

(熊森注:熊森の考えは、「野のものは野に」であり、特に、クマは飼うべきではないという考えです。しかも、クマを飼うということは、獣舎だけでも数百万円かかるし、土地、毎月の餌、人件費、それらを30年間分をかけると、何千万円も必要です。熊森はクマを飼いたいと思っておりません)

大阪府が殺処分すると言ってきたから、誤捕獲グマを殺すのはおかしい。大阪府が殺すなら、熊森はやむをえず保護飼育すると言っただけです。いったい、あなた方は、知事に何と報告して下さったのですか。自分たちが殺処分を伝えたため、熊森がやむにやまれぬ気持ちで、保護飼育を申し出たと、正しく伝えてくださったのですか。

 

大阪府:そのように伝えています。

 

熊森:これまで、このクマの保護飼育に関して、回答期限を付けたものまで含めて、当協会から3回FAXを大阪府庁に入れさせてもらっていますが全くお返事がありません。完全無視です。

 

大阪府:口でお答えします。

 

熊森:こちらも文書で書いたので、回答できる範囲でいいので、文書で回答していただきたい。

 

大阪府:わたしたちは、文書による回答は致しません。

 

熊森:文書でやり取りしないと、今までもそうですが、事実と違うことが何回も流れており、もう、動物愛護畜産課と安心してお話しすることはできません。

 

大阪府:行政というところは一切文書を出しません。

 

熊森:他の行政の方からいただいた文書が、これまでたくさんあります。大阪府さんが一切文書で答えないと言われるなら、国民に対する誠意が全くないということではないですか。国民をばかにしていると思います。(ちなみに、動物愛護畜産課にメールやFAXを出した人たちから、一切返事がないという訴えが、当協会に6月から来ています)

 

<熊森から>

知事の発言を読むと、有害捕獲と誤捕獲の区別もできておらず、動物愛護畜産課が実態を正しく知事に伝えておられるのかどうか、大変疑問です。そもそも、大阪府はこの誤捕獲されたクマを、3か月間も運搬用の狭い檻に閉じ込めており、鳥獣保護法と動物愛護法に違反し続けていること、担当部署が殺処分を決定したこと、熊森がそれはおかしいと言ったこと、…知事答弁を読んでいると、真実が伝わっているとはとても思えません。知事はお忙しいですから、担当部署がきちんと伝えないと、対応を間違い恥をかかれることになると思います。

 

現在、多くの方が、豊能の誤捕獲グマのことで松井知事に真摯な声を届けてくださっているようですが、今回の知事の記者会見答弁を読むと、全く知事の耳には何も入っていないような気がしました。もし、きちんと人々の声が入っていてこのお答えなら・・・言葉を失います。

 

 

⑳ 9月10日 大阪府松井一郎知事 豊能グマに関する記者会見

(以下 、大阪府のホームページより)

捕獲されたツキノワグマの受け入れについて

 

町中:大阪日日新聞の町中と申します。
6月に豊能町で捕獲されたツキノワグマなんですけれども、受け入れ先を探すということでされてきたと思うんですけど、現在はどのような状況でしょうか。

松井:捕獲されたその熊を、この間、105カ所打診をいたしました、引き受けてほしいということで。しかし、現在は引き受けるという返事をいただいたところはまだありません。今はこちら側で飼育をしております。
今後のことについては、今、内部で検討しています。全て協議先が立ち消えたかといえば、そうではなくて、ぜひ飼育したいと言ってくれているところもまだあります。ありますが、そこが安全に本当に飼育できるのかどうかをしっかり確認しないことにはお渡しするわけにいきませんから、その協議を継続して今やっているところです。

町中:結果的に飼育を始めてから約3カ月、野生動物を保護しているというこの状態については、どのようにお考えでしょうか。

松井: やっぱりこの大阪で熊が発見される、捕獲されるという想像を今までしていなかったわけで。大阪の場合は熊は生息していないという前提で今までやってきました。それで、その他の有害鳥獣と言われているイノブタとか鹿とか、そういうものについては、これまでも何度も捕獲をし、処分しています。だから、やはりそちら側は、慣れていたんですけどね。やっぱり熊というものに慣れがないので、すぐに処分できないのが今の現状です。だから、イノシシ、イノブタと言われるそういう有害鳥獣は、罠でひっかけたらすぐ殺処分ですよね。みんなあれ、ボタン鍋にしていますよ、それは。でも、そっち側は、慣れているからすぐできるんですけど、熊はやっぱり初めての経験なので、なかなかすぐに処分というところに、これ、気持ちの問題もあってできないというところですね。
でも、全国では年間約2,000頭…。

 職員

1,000頭ちょっとです。

松井: 1,000頭ちょっとが捕獲されて、そのほとんどは殺処分という形でされているわけですね。
だから、それは、慣れているところはすぐにそういう対応ができるんでしょうけども、大阪の場合、慣れていないので、今は3カ月かかってしまっているということです。

町中: 現在、協議中のところがあるというふうなことをおっしゃいましたが、仮にその団体なり施設さんが結局受け入れられないとなった場合、殺処分ということも視野に入れなきゃいけないのかなと思うんですけれども、そのあたりの判断というのはいつぐらいにするか決めていますでしょうか。

松井: 現在、団体と協議中ですから、その答えが出次第ということです。

⑲9月9日付で、豊能グマ飼育環境改善願い文書を提出

当協会は、大阪府知事、動物愛護畜産課課長、豊能町町長あてに、以下3点について、豊能グマ飼育環境改善願いを申し出ました。

毎日の新鮮な水補給と給餌はもちろんですが、衰弱死しないよう、
①日光に当てること。
②衛生上の問題を考え、毎日糞尿の除去をすること。
③木切れ等の遊び道具を檻に入れるなど、ストレス軽減のための措置をとること。

以上。

 

 

尚、以前から申し伝えておりますが、当協会はボランティア団体なので、クマの保管場所を開錠して頂ければ、ボランティアで飼育手伝いに入らせていただきます。

 

9月9日に放映されたMBSニュースで、当協会が飼育手伝いに入った時の豊能グマの映像が流れたため、多くの方に、豊能グマは、明るくていい環境で大切に保護飼育されているという誤ったイメージを与えてしまいました。実際は、劣悪な環境で1日中暗い中で閉じ込められています。何もすることがなく、明らかに動物虐待です。普段の部屋の中の様子は以下です。写真中央にクマがいます。

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⑱「大阪府ツキノワグマ出没対応方針」は動物愛護畜産課が勝手に作ったもので無効

「大阪府ツキノワグマ出没対応方針」は、よく見ると、大阪府が発表した形になっていません。動物愛護畜産課名で発表された文書にしか過ぎないのです。知事認定を受けていないということでしょうか。しかも、環境省野生生物課に問い合わせると、記者発表直前に、メールで突然入ってきた文書であり、国としては、何の相談も受けていないということです。明らかに、この文書は無効です。

 

いろいろとこの方針文書のおかしさについて指摘したい箇所がありますが、とりあえず、誤捕獲部分について、きっちり反論しておきたいと思います。

 

<動物愛護畜産課作成方針における誤捕獲の項目>

誤捕獲が発生した際には、①人身被害の危険性がないと判断し、②周辺住民の合意が得られた場合、速やかに放獣を実施する。この1文だけです。

 

電話で、担当者に聞いてみました。

くまもり:人身被害の危険性がないかどうかの判断基準は何ですか?

動物愛護:まだ決めておりません。

熊森:②周辺住民の合意が得られたかの判断基準は何ですか?

動物愛護:まだ決めておりません。

 

もし、明日、また誤捕獲が発生したら、一体どう対応するのでしょうか。また、次回も捕まえて、何十日間も保管するのでしょうか。そして、大阪府は一切支援・協力しませんが、どこかもらってくれませんかと虫のいい要請を出すのでしょうか。判断基準も決めずに対応方針文書を記者発表するなど、ふざけているとしか言えません。

 

おそらく次回は、人身事故の危険性がゼロとは言えない、周辺住民全員に聞いたわけではないが、放獣に反対する人もいると思われるので、殺処分しておきましたと言って、動物愛護畜産課は誤捕獲グマを殺すでしょう。

 

これでは、住民はいつまでたっても、カヤの外で、成長できません。今回も、誤捕獲グマについて1回の住民説明会も開いておりません。豊能町にも言えることですが、なんとか逃げようとして檻に体当たりし続けているこの誤捕獲グマを、住民に公開していただきたいと思います。子どもたちにも全員に見せてほしいと思います。実物以上の環境教育はありません。そして、このクマをどうするか、住民みんなで考えて頂きたいのです。行政が考えるよりもずっといい名案が出るかもしれません。このクマが誤捕獲された地区は、ネットで調べると、78世帯175人と出ております。全員が集れる数です。

 

ちなみに、兵庫県のツキノワグマ保護管理計画ではどうなっているでしょうか。

記述は簡単です。以下の記述により、100%放獣が実施されています。

錯誤捕獲された個体は放獣する。 

ただし、出没対応基準の3および4に相当する場合は、その基準により対応す る。

(注)3というのは、繰り返し出没し、精神被害を含めた被害を 発生させた場合。

   4というのは、集落内徘徊など人身被害の危険性が高い場合。

 

 

⑯ 今後、大阪府に顔出ししたクマは捕殺 最悪の「大阪府ツキノワグマ出没対応基準」

出没

大阪府は、今回の初マニュアルで、府内全域を人間の場所と決め、クマが出没すれば、追い払い、捕殺、捕獲による取り除きが重要としています。大阪府に追い払い体制などありませんから、結局は、捕獲か捕殺です。捕獲した場合、現在捕獲されている豊能グマもそうですが、放獣しませんから、すべて捕殺するという意味になると考えられます。

 

誤捕獲

誤捕獲グマに関しては、人身被害の危険性がないと判断し、周辺住民の合意が得られた場合、速やかに放獣を実施すると書かれています。100%人身被害の危険性がないと判断できるクマなどいないし、周辺住民が全員放獣に同意することなどあり得ませんから、このような書き方は、放獣しないで捕殺するという意味になります。 熊森としては、言葉だけであっても、次回からは放獣すると書いてあるのだろうと予測していましたから、これには驚きました。

 

これまで読んだ全国のツキノワグマ対応マニュアルと比べて、どこよりも生態系の保全を理解しておらず、一番ひどい内容です。「大阪府ツキノワグマ出没対応基準」に対して、みんなで声をあげていきたいと思います。大阪府は、滋賀県にあるクマの棲む豊かな森をはじめとする自然に、大阪府民が生かされていることが全くわかっていないような気がします。

 

 

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