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2010-12

どんぐり運びでご迷惑をかけた一部地元のみなさん ごめんなさい

猟期に入ってからも、クマ目撃が民家周辺で続いています。なんとかクマが集落の中に入ってこないように、兵庫県のクマ生息地の裏道に、地元の方とドングリを置いてまわりました。

今年は、まだ都会の公園のドングリが実っていない夏に、クマが山から出てきてしまいました。山に異変が起き、夏の食糧がなかったのです。やっとドングリが落ちだして、山に持って行ってやろうとしたとき、すでに奥山にクマはいませんでした。そのため、クマの絶滅を止めるための緊急食糧援助としては、これまでの凶作年と違って、集落近くにドングリを運ばざるをえなかったのです。

ここなら入る人もなさそうだから大丈夫だろうと判断して置いた場所が、地元の人が通ることもある場所だったりして、「こんなところに、クマを集めるな」と、お叱りを受けたこともありました。やはり、地元の学校などで取り組んでもらわないと、外から行った者には、置く場所の選定が難しいと思いました。ご迷惑をおかけしたみなさん、本当に申し訳ございませんでした。

前回置いたクリやドングリは、みごと全部食べられて、完全に殻だけになっていました。すぐ横に、大きなクマのふんがたくさんありました。まだ、クマが山に帰れないでいることがわかりました。今年、兵庫県で人里に出たとして有害駆除されたクマは、11月30日までで、68頭にものぼっています。放獣作業中に死亡した2頭と10月20日までに交通事故死したと報告されている11頭を合わせると、今年、兵庫県で、クマが人間によって、81頭消されたことになります。

1992年に、兵庫県のクマは、残り推定60頭、絶滅寸前ときいて、わたしたちは、なんとか絶滅を止めようと立ち上がり、18年間がんばり続けてきました。狩猟禁止を勝ち取り、保護獣化に成功。山の実り凶作年には、高速道路を使い、往復に6時間も7時間もかけて自費で都会の公園のドングリをクマの棲む山に運びました。100頭ぐらいに回復してきたのではないかというのを聞いて、とびあがって喜んだことを思い出します。しかし、今年の大量駆除で、わたしたちの、これまでの苦労は水の泡。座り込んでしまいたいほどショックです。兵庫県の方針が変わったのでしょうか。担当者が、クマなどどうでもいいと思う人に変わったのでしょうか。私たち自然保護団体は、県担当部署から完全にカヤの外に置かれ、行政の内部がさっぱり見えません。

今年、大量駆除が暴走しているのを知って、状況を聞こうと、10月にクマ生息地の県民局の担当部署に電話したところ、「忙しくて1分1秒の時間もありません」と断られました。「いつだったらお話が聞けそうですか」には、無言でした。いまだに県行政は、官尊民卑だと感じます。

ちなみに、2004年の山の実りなしという第1回目の異常年でさえ、兵庫県で捕殺されたクマは、7頭。同じく、2006年は4頭。そして、今年、2010年が68頭!なのです。しかも、12月の今も、兵庫県ではまだイノシシ罠に誤捕獲されるクマが後を絶たないということです。兵庫県は、イノシシの鉄格子罠の上部を開けてクマが逃げられるようにしたクマスルー罠は、クマの餌付けになる恐れがあるとして、義務付けていません。一方、富山県庁では、イノシシ罠の上部を金属ノコギリでカットするように徹底して指導したところ、今年、イノシシ罠にクマが誤捕獲される例はゼロになったということです。

変わったクマのふんを見つけました。ギンナンの実がいっぱいです。でも、皮も、当然のことながら中の種も消化されていません。食べた意味があったのだろうか、不思議でした。

11/27 新潟県初 くまもり会員のつどいに45名

新潟県内でくまもりの会報を読んでくださっているのは、約40家族。今年のクマの駆除は半端ではありません。しかも、県内に駆除の暴走を止める部署がどこにもないのです。新潟県在住のハンターからも「このままでは、ハンターの獲りたい放題。新潟県のクマが絶滅する!」という悲鳴が本部に入っています。

これまで、世話人が現れなかったため、新潟県会員は孤立したままでした。しかし、今回、子育て中のお母さんたちを中心に、名乗りがあがったため、初めて会員のつどいを上越市で持てました。上越市周辺を中心に、45名もの方々が、急遽お集まりくださいました。予想以上の参加者数に、当初の、輪になって語り合おう、自己紹介し合おうという計画は、時間的に無理となるうれしい誤算でした。

長年、新潟県でツキノワグマを研究してこられたグループの代表も来て下さいました。以前、山で酔っぱらって寝ていたら、顔をペロペロなめるものがあり、目が覚めたらクマだったというお話を、ニコニコしながら披露してくださいました。一同、犬のなかまであることを納得しました。とっさに、クマを刺激しないようにしなければと判断。その結果、何も起きなかったということでした。新潟県のクマの有害捕殺数を、くまもり本部から行ったスタッフが、「新潟県は、推定生息数600頭のクマを2006年度525頭有害駆除・・・」などと発表していく度に、この方が、「本当は607頭駆除したんだ」と、猟友会から仕入れた本当の数に訂正し続けてくださいました。クマの正確な生息数など、どんな方法をもってしても出すことなど不可能です。しかし、それなら、生息推定数以上の有害駆除が行われたことになります。新潟県だけに限ったことではありませんが、今のままでは県や市の行政が、野生動物の保護に、いかに無力であるか思い知らされました。もっともっと県民が、クマたちと共存したいという声を上げていかねばなりません。

森山会長が、江戸時代の新潟県の実話集であるという北越雪譜出典の童話「クマに助けられた男」を朗読。今はマスコミで、クマはまるで人を襲う凶暴動物にされてしまっているが、あれは、クマがその臆病さゆえに人から逃げようとして起こした人身事故であり、クマは本来やさしい動物である。ただし、大きくて力も強すぎるので、安全上、人とクマが混ざり合って棲むことは難しい。人間が一歩後退して、昔のように棲み分けて共存ですべき。人間が荒廃させた森を、もう一度人間の責任で食糧豊かな森に復元し、クマたちに返さなければならない。それは、クマたち動物のためでもあるが、人間がこの国に生き残るためでもあると、講演した。

日時:2010年 11月 27日(土) 10:00~12:00

会場:上越市市民プラザ グラスハウス

(上越市土橋1914-3 025-527-3611)

※駐車場300台(無料)

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