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2010
11月7日 各県でどんぐり運びが進む
- 2010-11-09 (火)
- _野生動物保全
7日の日曜日、各地で、熊森のどんぐり運びが進みました。ある県のある町では、1トン以上運んだチームもありました。なんとか殺されずに冬篭りができるよう、みんな祈る思いでした。クマに発信機を付け回っている行政は、クマがどの辺りにいるのか知っているのですが、私たち自然保護団体には、絶対に教えてくれません。地元の人たちの、「あそこに、行政が罠をかけているよ」などの情報がとても役に立ちます。
クマの錯誤捕獲事故後も、清川村にくくり罠を16基設置したままにしている神奈川県庁
新聞報道によると、10月29日、神奈川県清川村で、シカやイノシシを獲る為のくくりわなにクマがかかりました。猟友会員が近づいたところ、急にクマが立ち上がったため、危険と感じて射殺したということです。死体は、研究のため神奈川県の生命の星地球博物館に送ったそうです。誤捕獲なのに、急に立ち上がったから殺していいなど、無茶苦茶です。では、クマは、どうすればよかったのでしょうか。
清川村は、これまでも、獲ってはいけないといわれているクマを獲っているとして、熊森本部に地元から通報が何回か来ているところです。
さっそく、神奈川県庁自然環境保全課に電話をして、状況を聞いてみました。
くまもり「神奈川県のツキノワグマは、もう、絶滅寸前ですよね」
神奈川県「ええ、丹沢に、残りあと30頭、孤立個体群です」
くまもり「そんな清川村に、だれが、くくりわななどかけたのですか」
神奈川「神奈川県です」
くまもり「ええっ?!密猟者かと思ったら、県なのですか」
神奈川「シカやイノシシを効率よく獲るための罠さくの実験をしようと、自然環境研究センター(環境省の外郭団体)に委託して、9月から11月14日の期間で実験してもらっていました」
くまもり「クマがかかるところでは、そういう実験はすべきではないと思うのですが。今回のように貴重な1頭を失います」
神奈川「くくり罠の直径を12センチを超えないようにと言ってありますから」
くまもり「でも、クマが今回かかったのですよね。クマの指ですか」
神奈川「いいえ、前足がズボッとかかっていました」
くまもり「じゃあ、12センチのくくり罠は、クマがかかるということですね。本当に12センチは守られていたのですか。終わってしまったことは、もう仕方がないとして、今後の反省として、ここはクマの生息地だから、また、クマがかかるかもしれない。罠は撤去してくださいましたよね」
神奈川「いいえ、シカさくの開口部に、今も16基のくくり罠を設置したままです」
くまもり「どうして撤去しないんですか」
神奈川「11月14日まで、シカとイノシシを獲るさくの実験をしていますので」
くまもり「もうすぐ14日ですよね。今回こんな事故があったのですから、また、クマがかかるかもしれないと考えて早めに撤去するのが、自然環境保全課ではないのですか。」
神奈川「その予定はありません」
くまもり「それはそうと、イノシシやシカを殺すことばかり考えるのではなく、県は、神奈川の放置人工林を間伐して、なんとか動物が山に帰れるようにしてあげることにこそ、力を入れるべきだと思うのですが」
神奈川県庁自然環境保全課担当者の考えることが、どうしても理解できません。
クマの有害駆除名目の捕殺が暴走する富山県
- 2010-11-09 (火)
- _クマ保全
11月2日、熊森北陸会員たちは、富山県で宿泊研修会を持ちました。その席に、3人の富山県猟友会員が参加してくださいました。肉を食べたり、クマノイが高く売れること(販路は秘密だそうです)などから、富山県では2004年2006年に続いて、今年2010年もまた、クマの有害駆除名目の大量捕殺が暴走しているそうです。県が発表しているような多いクマ数なんて絶対に富山にはもういない。このままでは、富山県のクマが早晩絶滅してしまう。熊森にもっと動いてもらいたいという、危機感いっぱいの訴えがなされました。
とにかく富山では、クマの有害駆除許可が市町村に下ろされてしまっています。ふつう、行政は逃げてしまっており、猟友会のしたい放題。無法地帯であるということでした。
最近、魚津の山に行った人が、山から出てくる猟友会員に会ったら、火薬のにおいがして、銃を撃ってきたことがわかったそうです。(本人は否定していたそうですが)
車のトランクからは、明らかに血の臭いがしていたそうです。谷川の石には血がべっとりと付いていて、さっきクマを獲って解体していたことがわかったそうです。車が発達し、道路がどこまでもついて、簡単に人が奥山まで入れるようになりました。決まりを守らないハンターがたくさんいたらどうなるか。密猟監視人などのチエック機能が全くない日本は、本当にどうかしています。
それにしても、どこの県にも、仲間の違法行為に胸を痛めている猟友会員がいること、そのなかでも勇気のある人たちは、熊森に名を出してきちんと教えてくださることに、胸を打たれました。
ある富山県会員が、「空腹で生きられなくなった子供たちを連れて、山から出てきた母グマを、平気で撃ち殺すことを許していたら、動物たちがかわいそうなだけでなく、人間がもうだめになってしまう。人間が人間でなくなっていく。恐ろしいことだ」と、うめいておられました。
11月6日 祝 埼玉県支部結成会
- 2010-11-09 (火)
- 埼玉県
浦和駅前のパルコ9階で、埼玉県支部結成会が77名の参加で盛大に持たれました。新聞社も3社来てくださり、大変熱心に取材されていました。
思い起こせば、2005年5月に、東京都在住の高島青年が、関八州に次々と熊森支部を作っていくと決意して、東日本に初めて関東支部を結成。初代関東支部長となりました。その後、千葉県、茨城県、神奈川県、群馬県、栃木県、山梨県と熊森支部が次々と誕生していきました。そしてついに、5年後、関八州の最後 として、待ちに待った埼玉県支部が結成されたのです。(ただし、現在、茨城県支部と神奈川県支部は、2代目支部長が現れずに休部中)
オープニングは、プロ歌手である稲川副支部長の歌です。聞かせました。歌の力はすごいですね。
次は、3時間もかけて、クマの生息地から駆けつけてくださっ た保育園の園長先生のお話です。クマさんが出てくるようになったので、山に入って遊べなくなった園児たちに、園長先生が語られた言葉が胸にしみました。そ の後、高岡支部長から、埼玉の森と動物について発表がありました。埼玉県の人工林率は49%にも達しています。クマは100頭以下ということですが、いま だに狩猟自粛です。早く狩猟禁止に持っていかなければなりません。
休憩後、NPO法人奥山保全トラストの四元理事長と、熊森協会森山会長の講演、埼玉出身の本部スタッフからの国会ロビー活動報告がありました。参加者一同、大変熱心に聞き入っていました。 支部結成会を準備してくださったみなさん、参加してくださったみなさん、応援してくださったみなさん、本当にありがとうございました。
さあ、いよいよ動き始めた、埼玉県支部、今後の活動が期待されます。定例会は、今回結成会が行われたのと同じ階の集会室で行われます。次回は12月。
11月14日(日) 参加者募集「自然農」(柵取り外し・ゲンゴロウ用ため池設置) 兵庫県豊岡市
- 2010-11-08 (月)
- _自然農 | お知らせ(参加者募集)
くまもり田んぼに生息する絶滅危惧種のゲンゴロウの調査や、越冬用の貯水場を作る予定です。
生き物調査で来ていただいた姫路市立水族館の市川館長さんらも参加予定。
是非、多くの方々のご参加をお待ちしています!!
ご注意
参加される際は、ボランティア保険等の関係上、
3日前までにお申込み(電話・メール)を
お願いいたします。http://kumamori.org/contact
【出発・解散】 阪急夙川駅前…8時出発、19時解散
(車に乗り合わせていきます。8時までにご集合下さい。)
(現地集合も可。事務所にお問い合わせ下さい。)
【服装】 軍手、長靴、汚れてもよい服装。長袖・長ズボン(虫・草負け防止のため)。
【持ち物】 雨具、タオル、着替え、昼食とお茶、その他各自必要なもの
【参加費】 1000円
【保険代】 500円(未加入者のみ。翌年3月末まで有効)
11/14(日) 三重県支部総会 熊森顧問 安田喜憲先生 の講演会
- 2010-11-08 (月)
- お知らせ(参加者募集) | 三重県
日本熊森協会 三重県支部総会にて熊森顧問 安田喜憲先生(環境考古学) の貴重な講演会が行われます。先生のご講演は、3時から1時間です。
日本の水源の森や野生動物を守りたい方、ぜひお集まりください。
日時: 11/14(日) 13:00~16:00
会場: 伊勢シティホテル(三重県 伊勢市吹上1-11-31 近鉄『伊勢市駅』北口(近鉄側改札)から徒歩3分、近鉄『宇治山田駅』徒歩5分*JRでお越しの方は近鉄改札口をご利用下さい)
記念講演: 安田喜憲先生 (環境考古学者、国際日本文化研究センター教授。フンボルト大学客員教授、麗澤大学比較文明文化研究センター客員教授、日本熊森協会顧問)
連絡先:西山 0596-58-8700
※当日参加可能 参加希望の方は出来る限り事前にご一報ください。
富山県魚津で実のなる広葉樹の植樹会
11/3 実のなる広葉樹の植樹会 を富山県魚津市にて開催しました。
ツイッターを見て初めて参加したという方々も現れて、大いに盛り上がりました。
「どうしても撃つというのなら、私を先に撃ちなさい」 体を張って違法罠にかかっていた1頭のクマの命を救った、
故富山県亀田支部長の意志を引き継いで、
私たちは北陸の森の再生に取り組んでいきます。
テレビ局や新聞社が取材に来てくれました。
詳細はくまもり石川のBlogへ
どんぐり運び 延長のお知らせ
くまもりはクマたちが冬眠できるまで、狩猟期間中も山にドングリを運び続けることを決定しました。
今後も、ドングリや規格外果実を、くまもりまでお送りください。
(送付先はこちら)
鳥取県さん、腹すかしたクマを殺さんといてやってくれ、お願いや (大阪在住H氏の大奮闘)
- 2010-11-05 (金)
- _野生動物保全
大阪で商売を営むH氏(非会員)が、1ヶ月ほど前、熊森本部に飛び込むようにして入ってこられました。がっしりした体格でこわもてのH氏。熊森に何か言いに来られたのかと、一瞬、私たちは身構えました。しかし、H氏の口から出た言葉は、
「殺されたクマの胃の中は、からっぽやったんやて。えさがないから出てきただけやないか。何で殺すねん。もう耐えられへんわ。クマがかわいそうやないか。なんとかしてやってくれ。毎日毎日全国で、腹空かしたクマが殺されていってるんや。熊森の会員、何人おるねん?みんな何してるねん!」と、うめきにも似たものだったのです。
何日か後に、H氏、再び熊森本部に、今度は元気良く飛び込んでこられました。「鳥取県が、26頭のクマを今年捕まえたというので、そのクマをどうしたのかきいてみたら、4頭殺して、あとは放獣したというんや。鳥取にドングリをいっぱい持って行こうと思う。放獣するとき、いっぱいくわしてやったらええんや」
さっそく電車に乗って、H氏、鳥取県庁へ。わかってもらえなかったようですが、めげずに、こんどは鳥取県のクマ生息地役場へ。「むずかしいことはわからん。お願いするしかない。お願いや、腹すかしたクマ殺すのだけはやめてやってくれ。かわいそうやないか。もう、たえられへんのや」H氏は、鳥取県民に協力者が必要と感じ、大阪の、鳥取県人会を訪れることまでしました。もちろん、熊森鳥取県支部にも電話。その純粋さと行動力は、18年前の中学生たちと同じです。
最近、H氏に電話したら、「今、鳥取です。今日は電車違う。車や。ドングリいっぱい積んでるから、車でないとあかんねん。思てるだけでは世の中変わらんで。自分が動かな」元気な声が返ってきました。「お願いします。殺さんといてやってほしいねん」大きな体を曲げて、鳥取のクマ生息地を、頭を下げてまわっているH氏の姿には、熊森スタッフ一同も、胸を打たれます。本当は、日本の自然や森、動物を守っていく力を持っているのは、このような人たちなのです。
そういえば、昔、私の周りには、H氏みたいな大人が、たくさんいたような気がします。人間の心を失っていないあたりまえの人間たちです。
新潟県のハンターから、新潟のクマが絶滅するという悲痛な叫び
新潟県のハンターから、熊森本部に電話が入りました。
クマを有害駆除するには、法的には、有害とする理由を書いて、行政に駆除申請し、許可を得てから罠をかけます。
しかし、新潟県ではこのような手続きは作動しておらず、ハンターが罠かけをしてクマをとってから、有害駆除しておいたと行政に言う。言わない人もいる。行政は、見にも来ない。新潟のクマはハンターの獲りたい放題ということでした。
クマは、日本では狩猟するとき、罠を使ってはいけないことになっています。これでは捕まえるのがなかなか大変です。しかし、有害捕殺するとなると、罠の使用が許されます。罠に蜂蜜を入れると、簡単にクマがかかるため、ハンターは、狩猟ではなく、有害駆除でクマを獲ろうとするのです。新潟県のクマ生息推定数は、600頭とされていましたが、平成16年から18年の3年間で、768頭が有害捕殺されています。(環境省発表) 狩猟を合わせればもっと多くのクマが殺されているわけです。
当時、新潟県庁にとんでいって、担当部署に、クマを絶滅させてはならないという話をしましたが、担当者はまったく関心が無いという感じでした。生息推定数以上のクマを殺しても、何の疑問も感じない自然保護課だなんて!生物の多様性を保全することの大切さが、いまだに伝わっていないのには驚きました。新潟県民の中から、クマを滅ぼすという人間の自滅行為に歯止めをかけようとする人が、勇気を出して現れないと、状況は変わらないと思います。
新潟はナラ枯れもものすごくて、クマがもう生きられない。その上に保護の動きも全くない。新潟のクマは、今年も獲りたい放題に獲られている!もう絶滅する!ハンターの訴えは悲痛でした。
新潟県庁環境企画課鳥獣保護係に電話をしてみました。有害駆除の許可権限は市町村に委譲している。県としては調査していないが、きちんと作動していると信じているということでした。保護係の職務を全うするには、いくつかの県内事例を抜き出して、駆除申請の記載状況が本当だったかどうか、チエックしてみる必要があると、調査をお願いしましたが、「やります」とは、言ってくださいませんでした。