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2011-06

かつてのクマ生息地にクマの生息痕跡はなく、悲しい6月のブナ林

奥山のクマ生息地を本部調査研究部が調査しました。去年からGPSを持って山に入るようになったので、歩いたルートを地図上に正確にプロットでき、調査記録がかなり正確になってきました。

そこは、ブナ、ミズナラの巨木の森で、感動でした。しかし、ブナの幹に付いている多くのクマの爪痕は、昔の古いものばかり。大好物のスズコ(日本海側の積雪地帯に生えるチシマザサのタケノコ)にも、クマが食べたあとが全くありませんでした。シカやイノシシのフンや生息痕跡も、ほとんどありませんでした。

兵庫県森林動物研究センターの大学の先生たちは、1990年に生息推定数60頭だったクマが、今や増えて増えて、600頭~700頭になっていると今年の2月に発表されています。現地を見てみると、何かの間違いではないかと感じます。地元の方に、「クマは増えていますか」とたずねると、「もうほとんどいなくなったね」と言われました。

人間の背丈以上のチシマザサ群が一斉に枯れていたり、ミズナラのナラ枯れもありました。何が原因で自然林まで荒廃していくのでしょうか。いったい日本の山はこれからどうなっていくのでしょうか。

動物の棲める森を残さなければ、人間も生き残れない。熊森は、人間目線だけでなく、動物目線でも山を見続けていきます。

民主党の森林林業再生プランである拡大路網で、山が一層荒廃していく

国産材50%自給を目指すという民主党の森林林業再生プラン。まず、国の補助金で、大型林業機械を入れるための道を1ヘクタール当り30~100メートル(条件により異なる)造ることになりました。拡大造林の後は、拡大路網、大伐り出しというわけです。

詳しい人に聞くと、山は水脈も複雑で、どこに林道を造ればいいかは大変難しく、本当は山のプロが必要だそうです。ところが、日本にはそういう人がほとんどいないので、突然大量の道路を造るように言われて、現場では、多くが山のことなど知らない土建業の方が造っているのだそうです。

水脈が断ち切られて、あちこちから水が噴き出していました。このような道路から山が崩れ出すそうです。ああ、危険危険。

実際は、横に立派な道路があるのに、間伐がなされていない人工林でいっぱいです。熊森は、国の補助金は、道路造りより、まず、道路横の放置人工林の間伐に使うべきだと考えます。そして、林道造りには、山を深く知る山造りのプロが携わってほしいです。

6月10日熊森植樹地にシカやイノシシが帰ってきた

2005年春に、1、2ヘクタールの人工林を6割間伐してもらい、鹿よけ金網を張り巡らして実のなる木の3年苗を植えた場所です。あれから6年目。

どこからか金網を乗り越えて、シカやイノシシが入り込むようになり、イノシシはササユリの球根を掘り返して食べたり、ぬた場を作ったりしていました。シカは、大好物の現地でクロとよばれている草などを大いに食べていました。木々の方は、苗木が見事に成長していました。地元の方が、あと3年したら鹿よけ金網を外そうと思っていると言われていました。

このあたりの山は人工林でいっぱいです。放置人工林の割合を地元の方に聞くと100%と言われていました。熊森は、人のためにも動物のためにも、奥山人工林に強度間伐を施し、1ヘクタールでも多く動物の棲める自然林を復元していこうとみんなで活動を続けています。国が、早くこの方向に動いてくれることを願っています。

野生鳥獣による農作物被害の増大は、狩猟者数の減少が原因ではありません

環境省や国につながる研究者のみなさんは、狩猟者が減少し始めた1970年代以降のみの狩猟者数変化グラフを見せて、野生動物による農作物被害の増大は狩猟者数が減少したためであり、何とか狩猟者を増やさねばならないと、さかんに世論を誘導しています。

(朝日新聞記事より)

しかし、同じく環境省が出している昭和初期からの狩猟者数変化グラフと捕獲された野生動物数のグラフを見ると、この説はたちまち破綻してしまいます。

日本熊森協会は呼びかけます。人間は平地と里山をとりました。動物たちに山から出てきてほしくなければ、せめて奥山だけでも、もう一度、動物が棲める森に復元・再生してやりましょう。

以下、環境省データより


「第11次鳥獣保護事業計画の基本指針(案)」へのパブリックコメントに声を届けよう!

現在、環境省では「第11次鳥獣保護事業計画の基本指針(案)」へのパブリックコメントを募集しています。この中身をじっくり読んだ結果、この指針が政策に反映されると、野生動物やその生息地の保護は不可能である、ということがわかりました。くまもりが考えるこの基本指針への意見をまとめましたので、これに一項目でも賛同していただける方は、ぜひ環境省へ声を届けてください。締め切りは6月10日(金)までとなっています。すぐに締め切りが来てしまいますが、一人でも多くの方に声をあげていただくことが力になります!よろしくお願いします。

「鳥獣の保護を図るための事業を実施するための基本的な指針」(案)に関する意見の募集(パグリックコメント)について(お知らせ)

環境省による「第11次鳥獣保護事業計画の基本指針(案)」への意見

2011年6月9日 日本熊森協会

<全体として>
・    この事業計画の名は「鳥獣保護事業」ではあるが、中身は正反対で「鳥獣大量捕殺事業」の推進となっている。

・    他生物の命に対する尊厳や畏敬の念が見られないことに疑問を感じる。

・    鳥獣保護にとって一番必要な生息地の保全・復元・再生について、具体的な方策言及が全くないことに疑問を感じる。

・    人間の人間による人間のためだけの野生鳥獣捕殺=ワイルドライフマネジメントになっており、人間中心主義を脱却できていない。

・    自然観や狩猟観に多くの誤りが見られる。

結論)このような基本指針の元に政策が実施されれば、鳥獣の大量捕殺をいっそう推進することになり、野生鳥獣やその生息地の保護は不可能である。

<用語について>
意味が不明確な言葉が多すぎる。国が何をしようとしているのかわからないようにするために、このような言葉を使っているのかと思えるほど、まやかしや不明確な言葉が多用されている。一般国民に、国が何をしようとしているのか、はっきり実態がわかる言葉に直すべきである。

1.保護管理→人間の生活を害しない程度まで野生動物の個体数を低減させるために捕殺を行うこと。

2.捕獲→捕殺

3.個体数調整→個体数を低減させるための捕殺

<誤った自然観>
1.有害鳥獣という考え方について

有害鳥獣など、この世に存在しない。鳥獣は、いずれも豊かな自然生態系を構成する貴重な生物種である。彼らの生存があってはじめて、私たち人間が生存できる。国は、有害鳥獣などという間違った言葉を使用すべきではない。

2.人が特定鳥獣の個体数を調整することについて(保護管理、個体数調整)

自然界は、無数の生物種が密接にかかわりあって絶妙のバランスの上に成り立っており、生態系の中のある特定の鳥獣数だけをコントロール(管理)することなど、人間には不可能である。生態系丸ごとの保護しかありえない。

そもそも、人間が自然界の生物数をコントロールしようと、何の被害も出していない鳥獣を個体数調整捕殺したり、ワイルドライフマネジメント(=日本語訳「保護管理」)しようとした「鳥獣保護法」1999年の改変自体が誤りである。私たち日本人の祖先が行ってきた「棲み分け」や「防除柵」などによる、人と野生鳥獣との真の共存策を見直し、速やかに実施すべきである。

<基本指針案についての意見>
1.狩猟

P9「狩猟が、鳥獣の個体数調整の手段として、鳥獣による被害の未然防止に資する役割を果たしている」
P42等、各所に同様の記述がある。

(反対意見)本来、自然界では自然の力により、鳥獣の個体数は増減を繰り返しながら長期的に一定という調整がなされており、狩猟は必要ではない。北海道の大雪山国立公園では、狩猟も有害駆除も個体数調整もこれまで一切行ってこなかったが、何の問題も起きていない。生物の個体数を決めることができるのは、自然だけである。鳥獣による被害の未然防止は、棲み分けや、柵、おどしなどの被害防除対策によらねばならない。

2.鳥獣保護区での個体数調整捕殺 ・ 休猟区での狩猟の特例

P11「鳥獣保護区においても、特定鳥獣の個体数調整の取組などにより~被害の軽減を図る必要がある」
P16「休猟区での狩猟の特例を図るものとする」

(反対意見)鳥獣保護区内や休猟区内での、狩猟、有害捕殺、個体数調整捕殺は、一切すべきではない。鳥獣の保護のためには、鳥獣が安心しておれる場所を設定しておくことが必要である。なお、狩猟、有害捕殺,個体数調整捕殺等において、捕獲予定外の鳥獣が大量に罠に誤捕獲されて殺されていっている現状を、国は知っているのか。

3.鳥獣保護員

P12「鳥獣保護員の新たな役割として鳥獣保護管理についての~」

(要望意見)鳥獣保護員の実態は、多くのところで100%またはそれに近い割合でハンターが任命されており、実質は監視体制をなしていない例を多々見てきた。鳥獣保護員には、自然保護団体や動物愛護団体などの非ハンターも入れるよう、指針を出すべきである。今後、西洋の様な密猟監視人制度などしっかりした制度を作るべきである。

4.狩猟

P12「狩猟者については減少傾向にあり」

(反対意見)国は狩猟者数の減少が始まった1970年以降のグラフをしばしば表示して、狩猟者数の減少と鳥獣被害の増大が関連しているかのごとく見せているが、1970年以前の狩猟者数は、反対に今以上に減少している。都合のいいようにデータの一部だけを提示して世論を操作することは止めるべきである。わが国に狩猟が入ってきた明治初期からの狩猟者数の変化を提示すれば、現在の鳥獣被害の増大が、狩猟者数の減少と無関係であることが一目でわかる。鳥獣被害増大の主要原因の一つは、人間による戦後のすさまじい奥山生息地破壊が鳥獣を里に押し出してきているものと思われる。

5.鳥獣の捕獲

P12「地域ぐるみで有害鳥獣の捕獲の充実を図るため~鳥獣行政と農林水産行政のいっそうの連携が求められる」

(反対意見)鳥獣行政は、行政内で唯一、野生鳥獣の立場に立って野生鳥獣の保護に努めるところであり、農作物等の被害軽減のために野生鳥獣の捕殺に努めている農林水産行政と一体となって、野生鳥獣捕殺に走るべきではない。鳥獣行政は、以前のようにあくまで鳥獣保護係に戻り、鳥獣保護の立場に立って必死に発言し、行動すべきである。

6.鳥獣の流通

P14「鳥獣の流通」

(要望意見)有害駆除個体は狩猟ではないのだから、利用できないように厳しく監視すべきである。有害駆除した熊の胆(クマノイ)が、高価格で流通しているというハンターからの情報を多々得ている。厳罰を持って取り締まってもらいたい。でなければ、殺す必要などないクマを有害にしたてて、有害駆除の名で狩猟するハンターをなくすことができない。

7.シカ

P16「シカ増加による植生被害や裸地化で、生物多様性が損なわれる恐れがあると明記する」

(疑問意見)シカが原因で生物の多様性や森が損なわれるのなら、とっくにこの国から生物の多様性は失われているし、森はなくなっているはずである。シカ増加とは、いつと比べてなのか。明治には、今よりもっとシカがいたという説もある。シカが植物を食べるのは当たり前のことで、この行為が本当に生態系に回復不可能な被害を与えたことになるのか。今起きている裸地化は、一時期絶滅寸前まで追い詰められていたシカが、生息数を回復する過程で避けられない一時的なものではないのか。現在のシカ問題を、明治まで遡って人間による生態系改変と関係付けて説明している研究者もいる。シカ異常増加説やシカ悪者説には、疑問を感じる。もっと多様な研究者の声を聞くべきである。

8.生息環境の整備

P16「生息環境の整備等による保護管理の取組が必要である」

(感想)どのようにして、誰が、生息環境の整備を行うのか、具体策の記述が全くないため、実効性はゼロと思われる。鳥獣保護にとって一番大切なこの部分にこそ、多くのページを割くべきである。

9.希少鳥獣としての取り扱い

P19「絶滅の恐れのある地域個体群についても必要に応じて希少鳥獣として取り扱う」

(賛成・提案意見)賛成。鳥獣保護は、国内絶滅レベルで保護の手をかけても遅い。地域個体群の絶滅レベルで、「種の保存法」の対象種として、手厚い保護の手を差しのべねばならない。各地で絶滅を迎えていると思われるヒグマ・ツキノワグマに、「種の保存法」を用いて早急に保護の手を差し伸べるべきである。

(ただし実態は・・・)クマなどの動物は、「地方分権一括法案1999年」により、駆除の許可権限が国の管轄から外されて、現在、それは都道府県や市町村に降ろされている。国にクマの保護を訴えても、管轄外として取り合ってもらえないのが現状である。その結果、残り数頭といわれながら、いまだにクマが狩猟対象獣のままになっている県などもあり、保護体制が取れていない。クマの駆除許可権限を、至急、国に戻さなければ、この項は絵に描いたモチで終わる。現状では、県境を越えて広大な山地を利用するクマの保全など、この国では不可能である。

10.外来鳥獣

P22「特定外来鳥獣を根絶または抑制するための積極的な狩猟及び有害鳥獣捕獲を推進する」

(反対意見)外来鳥獣のペット飼育用輸入を、一切止めるべきである。いったん日本の野に捨てられ各地で繁殖が始まりだせば、もはや、根絶殺害は不可能。外来鳥獣が自然生態系に取りこまれて落ち付くのを待つしかない。にもかかわらず、外来種であるということだけで根絶を目指して殺害を進めるのは、残酷なだけで、無用の殺生であり、倫理面、教育面、費用対効果等あらゆる面からおかしい。至急中止すべきである。在来種も外来種も命は同様に尊ばれねばならない。被害対策は、在来種と同様に行うべきである。

11.広域協議会の設置

P29「広域協議会は、対象とする地域個体群の分布域に関係する関係省庁、都道府県、利害関係者、自然保護団体等の、鳥獣保護管理事業の実施に必要な関係機関及び関係者により構成されるように務めるものとする」

(要望意見)現在、ほとんどの鳥獣保護管理事業関連の協議会や検討会は、人間の立場から発言する人ばかりが集められ、鳥獣の立場に立って発言する人がゼロの状態で進められている。鳥獣の保護のためには、必ず、鳥獣の声を代弁できる人たち(自然保護団体、動物愛護団体)を一定数以上委員に入れることを義務付けるべきである。また、そのような団体が、国内でほとんど育っていない現実に即して、そのような団体が存在しない地域では、団体でなくとも個人でもいいので、鳥獣の声を代弁できる人たちを一定数、委員に入れるよう義務付けるべきである。でなければ、鳥獣の大量捕殺暴走という現状に歯止めがかけられない。これでは、自然も人心も荒れていくのみであり、日本文明が崩壊していくであろう。

12.わなの使用にあたっての許可基準

P80「ツキノワグマの生息地域であって錯誤捕獲の恐れがある場合については、~を指導するものとする。また、ツキノワグマの錯誤捕獲に対して、放獣体制等の整備に努めるものとする」

(要望意見)クマをわなで狩猟することは禁止されているが、有害駆除名目では、くくりわなや箱罠、ドラム缶檻が使用できる。狩猟、有害捕獲にかかわらず、とらばさみやくくりわなのような残虐な捕獲方法は、文明国として即刻禁止すべきである。

ツキノワグマの錯誤捕獲を避けるため、国がイノシシやシカ用のくくりわなの直径を12センチ以下にする規定を以前設けたが、実態は、行政や保護団体からの監視人もなく、規制緩和申請もいくつかの場所で認められて、意味をなさなくなっているところもある。現在、イノシシ捕獲用の箱わななどの罠設置が推進されており、クマの錯誤捕獲が激増している。クマ生息地での箱わな使用には、クマの誤捕獲を避けるため直径40センチ程度の穴を上部に開けたクマスルー檻の導入を義務付けるべきである。

また、環境省は、狩猟数、有害駆除数だけでなく、錯誤捕獲数やその後の放獣実績を正確に都道府県から申請してもらい、統計発表すべきである。錯誤捕獲されたクマは、放獣場所がないなどの理由で、希少種であっても殺処分されているのが一般的であり、全国の国有林を放獣場所に開放するなど、国が積極的な放獣対策をとるべきである。

13.捕獲許可の考え方

P75「鳥獣による生活環境、農林水産業又は生態系に係る被害の防止を目的とする場合鳥獣による生活環境、農林水産業又は生態系に係る被害(以下第四において「被害」という。)が現に生じているか又はそのおそれがある場合に、その防止及び軽減を図るために行うものとする。」

(反対意見)捕獲された鳥獣は弱ってしまう可能性が大きいので、捕獲は禁止するべきである。生活環境、農林水産業の被害防止には、追い払いで対応できる。やむを得ずツキノワグマの捕獲を実施する場合は、唐辛子スプレーや発信器の取り付け等、クマの負担になることは禁止すべきである。捕獲されることでただでさえ、人間には想像もつかない恐怖を感じているクマに対して、それ以上の負担を与える必要は全くない。

(最後に)

①どの項目にも言えることだが、務めるものとするなどというあいまいな文末表現では、いくらいいことを言っても実効性はないと見るべきである。駐車禁止でもわかるように、人は義務付けられ罰則を設けられなければ、規則を守りがたい動物である。本当に守ってもらわねばならない項目は、文末に強制力を持った言葉を使用すべきである。

②同じことを指摘をしなければならない個所が随所に出てくるため、このようなパブリックコメントの取り方は、私たち国民にとって、とてもやりづらい。再考をお願いしたい。

以上です。ありがとうございました。

さらなる野生鳥獣の捕殺促進拡大をはかる、環境省「第11次鳥獣保護事業計画の基本指針(案)」に対するパブリックコメント 6月10日締切

環境省が、「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律(略称「鳥獣保護法」という名の狩猟法)に基づいて、平成24年度から5か年間実施されることになる「第11次鳥獣保護事業計画の基本指針(案)」(以下「基本指針」という。)の改定について、形だけだと思われますが、一応意見募集を行っています。
この「基本指針」は、環境大臣名で作成され、都道府県が作成する鳥獣保護事業計画に関する事項などを定めるものです。

環境省パブリックコメント募集要領

http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=13766
意見は、「意見募集要項」に沿って郵送、FAX又 は電子メールにて提出することになっています。
この案は、環境省が平成22年に原案を中央環境審議会野生生物部会鳥獣保護管理小委員会◆委員名簿に諮問してまとめたものです。

期間:平成23年5月12日(木)~6月10日(金)
環境省自然環境局 野生生物課鳥獣保護業務室
電話 03-5521-8285(直通)

●くまもり感想
「基本指針(案)」[PDF 454KB]は、毎度のことながら膨大で、144頁もあります。一般国民にとっては読むだけでも大変です。苦労して読んでパブリックコメントに応募しても、これまでの例だと、環境省の答えはほぼ「今後の参考にさせて頂きます」だけに終始し、ほとんど何の変化もなし。むなしい限りです。
今回の改定内容は、これまで以上に野生鳥獣の保護管理(=ワイルドライフマネジメント=殺害)や個体数調整(=殺害)という名の殺戮を促進拡大するもので、人間が野生鳥獣の生息地であった森や自然を大幅に壊してきたことは棚に上げ、哀れにも生きられなくなって人里に出て来た野生鳥獣が引き起こした農業被害ばかりに目くじらを立てるもので、ここまで人間は無責任で自分の利益しか考えられないのか、ここまで動物たちの命を軽んじ残酷になれるのかと信じられない思いです。
出された意見は一応記録には残りますので、意見を出せる人は是非出してください。

●第11次鳥獣保護事業計画の基本指針の主な変更点と、<>内は熊森解説

1 生物多様性の保全
○ シカの増加の影響によって植生被害や裸地化等のように、生物多様性が損なわれるおそれがあることを明記
<シカは増加しており、生物の多様性を損なう恐れがあるとして、鳥獣保護事業(=捕殺事業)を呼びかけている
○ 外来鳥獣の捕獲促進のため、有害鳥獣の捕獲許可等において外来鳥獣等については捕獲数の見直しを行うなどの措置を行う。
外来鳥獣の捕殺促進を呼びかけている。>

2 特定鳥獣(クマ・サル・シカ・イノシシなど)の保護
管理の推進

○ 鳥獣保護管理をめぐる現状と課題に、「有害鳥獣の捕獲」の項を設け、地域ぐるみで有害鳥獣の捕獲を図るために、狩猟者と地域住民との連携・協力や、狩猟者による技術指導等を一層推進することが重要であること、鳥獣行政と農林水産行政の一層の連携が必要であることを明記
<みんなで力を合わせて、有害鳥獣をどんどん捕殺しようと呼びかけている>
○ 狩猟者の確保に努めるとともに、狩猟者のみに頼らない個体数調整の体制についても検討を進めることを明記
<狩猟免許のない人も、野生鳥獣をどんどん捕殺しようと呼びかけている>
○ 効果的な個体数調整のための捕獲技術について検討及び情報収集を行い、技術ガイドライン等により普及を図ることを明記
<野生鳥獣を一網打尽に殺すための捕獲技術を広めようと呼びかけている>
○ 確保を図るべき人材として、地域に応じた高度な捕獲技術を有する人材を加筆
捕殺者の確保をはかろうと呼びかけている>
○ 都道府県の鳥獣部局と、鳥獣被害防止特措法に基づいて被害対策を実施する市町村が連携を図る旨を明記
<鳥獣係は鳥獣の保護をやめて、被害対策としてみんなで鳥獣を殺そうと呼びかけている>
○ 鳥獣保護区における農林業被害対策のための捕獲を適切に実施することを明記
<鳥獣保護区でも鳥獣を獲っていこうと呼びかけている>
○ 複数人により、銃器を用いないで有害鳥獣捕獲を行う場合において、その従事者の中に狩猟免許を有しない者を含むことを認める規定の追加
<狩猟免許がない人でも、鳥獣を獲れるように参加協力しようと呼びかけている>
○ 空気銃による有害鳥獣捕獲、個体数調整のための捕獲の対象鳥獣の拡大
捕獲対象鳥獣を拡大しようと呼びかけている>

{熊森結論}以上のような鳥獣捕殺一辺倒を望む国民は、ほとんどいないでしょう。国民は、野生鳥獣の生息地を
復元してやり、野生鳥獣が人間の所に出て来なくていいようにして、かれらとこの国で共存することを望んでいます。
近々、熊森本部からのパブコメを発表します。

フィード

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