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2013-03-12

八幡平クマ牧場クマ全頭救命を英断された秋田県佐竹知事を表敬訪問し、署名を提出…森山会長・室谷副会長

「生き物を飼ったら、最後まで世話をするのが人間の責任です。」

この、人として当たり前のことを、大英断でもって、経営破たんした秋田県クマ牧場に残された27頭のクマたちに適用して下さった秋田県佐竹敬久知事に、3月8日、40分間お会いしていただくことができました。生涯忘れられない感激の一日となりました。ここに来るまでには、私たちが認識している方々、また、認識できていない方々も含めて、たくさんの方々のお力がありました。改めて、ここで、心から深くお礼申し上げます。

①署名提出

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これまで提出の機会を逸していた、残されたクマたちの全頭救命を願う約17000名の署名(実質、夏の約2か月間で、当協会を中心に、何人かの方々やいくつかの団体が協力して集めたもの)を、森山会長が、知事に手渡しました。県会議員さんや担当部署の県職員、報道関係者の方々もたくさん来てくださいました。みなさんうれしそうでした。

 

②懇談

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<熊森から知事に>

今回の秋田県知事がとられた、生き物の命を大切にする解決法は、全国の子どもたちに夢や希望を与えたと同時に、大人社会への信頼感を育て、海外に向けては、日本人の責任感や文化の高さを示しました。日本国民として、佐竹知事並びに秋田県の英断を誇りに思います。反対者がいるのは当然で、反対者の気持が分からないわけでもありません。どうか、阿仁に春から建設されるクマの自然飼育を加味した新施設は、訪れた方々が、幸せな気持ちになって帰れる施設にしていただきたい。そうなれば、リピーターが増え、訪問者もクマも地元も、みんな幸せになります。反対していた方々も、理解してくださるようになります。

 

③視察したドイツのクマの自然動物園についての報告

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室谷副会長が、持参したパソコンの写真をお見せしながら、視察したドイツのクマの自然動物園で参考になりそうな事例を、知事にご紹介しました。

 

(最後に)

八幡平クマ牧場に残された27頭のクマを終生保護飼育すると口で言うのは簡単ですが、実際には、財政面からも、日々の飼育に関わっていく面からも、大変なことです。去年生まれのヒグマの子どもが2頭いますから、最高34年間にわたる長期プロジェクトを覚悟しなければなりません。

 

こんなことになったのは、たくさんのクマを施設に詰め込んで見世物にするという文化を生み、失敗させた全国民の責任ですから、後始末は秋田県民だけでやるのではなく、今後は全国民で支えていくべきだと思います。全頭終生保護飼育自体は必ずしもマイナス面ばかりでなく、教育や、国民の精神衛生や、観光など、プラス面も、やりようによってはたくさん生まれます。

広く全国民からのアイディアを募集していただき、多くの方々に関わってもらいながら、この長期プロジェクトを成功させていただければと願います。

 

お会いする前から感じていたことですが、世界でも例を見ない、破たんしたクマ牧場のクマを全頭救命するという、人類が人類として希望と誇りを持てる今回の解決法に着地できたのは、秋田の殿様の末裔である佐竹知事の優しさと、生き物に対する深い共感と愛情、そして、クマを神とするマタギ文化を持つ秋田であったればこそ、できたことだと思います。

署名してくださったみなさん、基金に寄付してくださったみなさんの力が追い風となったことは当然です。みなさん本当にありがとうございました。みなさんのお声を、今回知事に直接会ってお伝えすることが出来、私たちとしては、ひとまずほっとしました。

 

以下、上の佐竹知事への表敬訪問を伝えるさきがけ新聞3月9日より

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2月24日 太郎と花子のファンクラブ 本部編 24歳と23歳、お誕生日おめでとう 

2月生まれ(クマは、冬ごもり中に出産する)の太郎と花子は、それぞれ24歳、23歳となりました。栄養価の高いおいしい食事をいただき、多くの人々の愛情に包まれて暮らしているおかげでしょうか、まだまだ青年のように元気です。

 

気候温暖な和歌山県ですが、生石高原頂上にある太郎と花子の獣舎は、さすがに寒かったです。今年も水飲み用バケツの水が凍って、バケツが壊れ、水漏れしており、使用不可になっていました。

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冬ごもり中の花子は、一応挨拶に出て来てくれましたが、まだまだ眠いらしく、すぐに冬ごもり部屋に戻ってしまいました。

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冬ごもりをしない和歌山県生まれの太郎は、大好きなサケの切り身をもらうと、食べる前に、自分の頭を切身に何度もこすり付けていました。食べた後も、自分の体に付いたサケの切り身の香りを楽しむためでしょうか。

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クマ舎の隣で飼われている高齢のイノシシは、もらったドングリがよほどおいしいらしく、ドングリを食べるのに夢中になっていました。

 

和歌山県支部のみなさんによるものだと思いますが、道中、太 郎と花子の獣舎への道筋案内看板がいくつか立てられていました。

これまで道に迷いやすい所でしたが、これで誰でも迷わずに来れるようになったと思います。みなさん、どうぞ、太郎と花子が元気なうちに、会いに来てやって ください。これまで、飼育グマは34歳が最高齢だそうです。太郎と花子は、記録を更新する可能性が大ですし、そうあってもらいたいものです。

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今回お世話して下さったボランティアのみなさん

 

第3回 くまもり本部 森再生活動 雪の中の人工林間伐作業

3月2日(日)、2013年第2回森再生活動を実施しました。現地では雪が吹雪いていて、寒い中での活動となりました。防寒着、防護チャップス、ヘルメットを着用し、いざ山林へ!

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ヒノキは24年生で細いのですが、枝がかかり、なかなか倒れませんでした。何度も力いっぱいロープで引っ張ったので、参加した女性の方が翌日、腕が筋肉痛になったそうです。スギと比較すると、ヒノキは枝が強いのでかかり木になりやすいので、倒すのが大変です。

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細かい枝がびっしりとついているので、枝払い作業も手間がかかります。

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この日参加したメンバーは全員チェンソー講習会修了者でした。安全に配慮しながら一本一本丁寧に伐倒し、事故なく無事に作業を終えることができました。今後も伐倒技術を磨きながら着実に間伐作業をすすめていきたいと思います。

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今や、シカ問題は最重要国家課題のひとつ 2月23日(土)近畿中国森林管理局(林野庁出先)主催シンポジウム 「シカと森と人の葛藤」に参加して

大阪駅前のシンポジウム会場「AP梅田」は、満席状態でした。野生動物関連のシンポジウムで、これだけの都会人が集まるのは、発表者の一人、高槻成紀氏(麻布大学獣医学部教授)も言われていたように、異常だと思います。

それだけ、シカによる農作物被害・森林被害が、一気に異常事態にまで発展しているからでしょう。

 

わたしたち近畿地方の熊森も、もう、国が乗り出さないと、この国は森を失ってしまうのではないかと思うほど、シカ問題には危機感を感じています。

 

熊森本部は、NPO法人奥山保全トラストを抱えています。この部門は広大な原生的自然林を所有しています。そこに柵を張り巡らし、シカから森を守らねばならない時が来るなど、つい最近まで、思いもよりませんでした。一体なぜ、シカの群れが、原生林の頂上まで上がってきて、下草や稚樹まで食べ尽くしてしまうようになったのでしょうか。

 

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様々な研究者から、興味深い発表が続きました。発表者の中には、「シカ問題は戦後の林野庁の拡大造林が原因であり、人災だ」と、訴えておられる方も2名おられました。

当時、奥山原生林を大伐採した後、植林苗が小さい時、大草原が出現し、シカが爆発増加したそうです。

スギ・ヒノキの植林苗が大きくなって、下層植生が消えると、増えたシカたちは、人里や、山の上へ移動し始めたというのです。

そのころは高度経済成長期で、わたしたちも、森や野生動物に関心を持っていなかったので、実際はどうだったのかわかりません。

 

どなたか、この頃の山の中を調べておられた人はいないのでしょうか。

 

下の写真は、瀧井暁子氏(信州大学)による、長野県におけるシカの季節移動調査報告

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自然界は、神の手としか思えない見事なバランスの上に成り立っています。人間がいったんそのバランスを崩すと、ここまで一気に収拾がつかなくなるものなのでしょうか。

 

歴史上、日本人が1回も経験したことのない、「爆発増加したシカに、田畑や森を荒らされる」という、お手上げ状態が出現しています。

といって、シカは森林生態系の大切な一員です。シカがいることによって生かされている生き物たちもたくさんいます。

「シカ殺せ」だけの今の対策には、違和感を感じます。

滅ぼすわけにはいかないのです。どうしたらいいのか。シンポジウムでも、対症療法ばかりで、これという解決策が出ませんでした。

 

日本の国土が、やがてイギリスのように、緑は緑でも、草原の国になってしまうのではないかと不安になってきました。

 

100年後・・・かつて日本には森がありました。

 

こんなことにならないように、全国民の英知を集めるべき時だと思います。

いや、その前に、シカによってどのような大変な事態が起きているのか、ほとんどの国民は今、都会に住んでいるため、知りません。まず、みんなに知らせなければならないと、強く思いました。

 

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